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ベストセラーになった「バカの壁」で解剖学者の養老孟は、バカの壁のひとつの例として、「地球温暖化の原因は炭酸ガス」という推測をみんなが盲信している、と指摘した。最近の太陽観測の結果、太陽から降り注ぐ放射エネルギーが過去24年間ずっと強まっていることが分かり、人類が地球に与えた影響はそれほどでもないのではないか、と言われ始めている。火星調査でも最近、氷の溶解を示すデータが得られたそうだ。科学はときに人類をミスリードしかねない。最近、「トンデモ科学の見破りかた」(ロバート・アーリック著)を読んだ。もしかしたら本当かもしれない9つの奇説が紹介されている。「紫外線は体にいいことの方が多い」という奇説をあなたは信じるだろうか。紫外線は白内障、網膜症、皮膚ガンなどの原因になる。一方で、結核、骨軟化症、精神障害に治癒効果があり、何より、冠状動脈が徐々に閉塞していく虚血症心疾患に対し、保護的な効果が持つという。米国では、虚血症心疾患による死亡率は、皮膚ガンによる死亡率の実に100倍に上るという。著者はさまざまなデータを分析し、この奇説は「本当であってもおかしくない」と結論づけた。また、「石油、石炭、天然ガスは生物起源ではない」という奇説についてはどうだろう。石油、石炭、天然ガスなど化石燃料と呼ばれるものは、地中に埋もれた植物がバクテリアなどに分解されてできた、とこれまで考えられてきた。石油や石炭には炭化水素が含まれていたからだ。ところが最近、炭化水素は、わざわざ生物と関連づける必要はなく、惑星の構成物質のひとつで地殻やマントルに多量に存在することが分かってきた。もしそうだとしたら、植物がないとされた場所でも、ボーリング調査をすれば、石油や石炭が得られるかもしれない。70年代半ば以降、私たちがずっと悩まされ続けてきた「原油の埋蔵量は20年で枯渇する」という心配とは無縁になるかもしれない。著者はこの奇説についても「本当であってもおかしくない」と結論づけている。科学もときにはウソをつく!と悟って初めて、私たちは「バカの壁」の外へ踏み出すことができるのである。
May 28, 2004
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人はときに隠蔽工作に走る。たいていは傷口を広げてしまうものだ。横山秀夫著の短編小説「午前5時の侵入者」「静かな家」は、会社組織のなかで自ら犯したミスを隠そうする人間模様を見事に描いている。「どうにか上に知られず内々で事をすませられないものか。自分の往生際の悪さに半ばあきれていた」という主人公の心境、どこかで経験したような。実際に起こったあの事件の「主人公」たちもきっと同じ思いだったのだろう。飼っていた鶏が大量死した浅田農産(本社・兵庫県姫路市)の社長(41)は、鳥インフルエンザ感染を確信したあとも、取引先の食鶏加工会社にすべての鶏を出荷しようとしていた。大量死が始まってから約10日間、届けるべきか隠し通すべきか多くの逡巡があったに違いない。隠蔽への道を選んだ瞬間、被害者から加害者に転がり落ちた。待っていたのは全従業員約180人の解雇と事業撤退だった。一方、いまや隠蔽の代名詞ともなった三菱自動車の場合はどうだったろう。横浜で起きた母子死傷事故の原因が自社トラックの「ハブ」(車軸と車輪をつなぐ金属部品)にあると分かっていたのに、国交省には「使用者がちゃんと整備していなかったからだ」などとウソをついた。このときの経営陣の黒い腹は想像するだに恐ろしい。彼らはこの報告に先立ち、やってもいない実験データをでっちあげ、ご丁寧に架空のグラフまでそろえていた。カーテンを締め切った暗い一室で雁首をつきあわせて相談したか。それとも役員室でふんぞり返りながら、数字合わせを楽しんでいたか。きのうやっと約16万8千台のリコールを届け出た。「本来なら96年当時にリコールしなければならなかった」(ポート社長)という。当時すでに社内では「放置すれば破損事故は04~05年までに70~80件に達する」との報告があり、実際に、破損事故は03年までに60件を数えた。この8年間、経営陣たちは枕を高くしては寝られなかったと思いたい。【DEERS百貨店】 本・雑誌 ◇ パソコン・家電・AV ◇ 生活・インテリア ◇ スポーツ・アウトドア ◇ ファッション・ブランド ◇ ダイエット・健康 ◇ トラベル ◇ 趣味・ペット ◇ フード・ドリンク・ワイン ◇ 現金5万円プレゼント ◇ 出品初心者は30日間無料! 蓮4044
May 27, 2004
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原爆投下50周年を迎えた95年ごろ、米ワシントン郊外のスミソニアン航空宇宙博物館で企画された「原爆展」が、米空軍関係者や退役軍人らの猛反発で中止となり、当時の館長が辞任する騒ぎに発展したことがあった。人は誰しも、自分の加害行為には目をつぶりたいものだ。日本も第二次世界大戦後、戦争の恐ろしさを伝える象徴としてヒロシマの原爆ドームを残したが、加害行為にまつわるものはほとんど残していない。唯一、憲法9条がそれにあたるだろうか。きょう米国のブッシュ大統領がイラク人に対する虐待の舞台のひとつとなったアブグレイブ刑務所を取り壊すと発表した。これは虐待事実の隠蔽を図るもので、私たちは断固反対しなければならない。昨日までピザ店で働いていた普通の市民が、戦場に送り込まれたとたん、全裸のイラク人の性器を指さし、犬に見立てて首輪を引く人間に変身してしまったのだ。人間のもろさ・弱さについて、これほど率直に私たちに教えてくれた場所はない。ジュネーブ条約(1949年)には、捕虜について「肉体的または精神的拷問その他の強制を加えてはならない」と記されているが、戦場ではそんなお約束は何の意味も持たないことがよく分かった。今回の虐待事件では、さらに尾鰭がついた。米の有力紙ボストン・グローブが、迷彩服の男がイラク女性をレイプしているように見える写真を掲載し、のちにインターネットのポルノサイトに載っていたものと判明して謝罪した。また、英タブロイド紙デーリー・ミラーも英軍兵士と見られる人物がイラク人に暴行した後、放尿している写真を1面で掲載し、のちにでっちあげと分かってこれまた謝罪した。信じられないことが日々起こりすぎて、もはや何がウソで何がホントか見分けがつかない。アブグレイブは私たちの常識を超えた場所だったとあらためて思い知った。蓮4044
May 25, 2004
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世の中には、絶対ありそうにないのだが、科学的な検証が難しくて完全に否定できないものがある。例えば、「無生物は感情を持っているが、それを伝える方法を持っていない」とか「宇宙は誕生から5000年しかたっていないのに、45億年経過したように見えるよう工夫されている」とかいったことをちゃんと理論だてて否定できるだろうか。最近、「聖徳太子は実在しなかった」という議論が盛んだが、こうした論争もその部類に入るのではないだろうか。聖徳太子といえば旧一万円札や教科書でおなじみで、17条憲法を起草したり遣隋使を派遣したりした人物とされる一方、10人の話を一度に聞いたエピソードなどにわかに信じられない面も少なくなかった。これまで聖徳太子のお話のよりどころになってきたのは、その没後100年以上後に編まれた「日本書紀」の記述だった。だが、いまはこの「日本書紀」が、否定論者たちによってやり玉にあげられている。彼らの指摘によると、当時、天皇とか皇太子とかという制度がなかったのに「皇太子、みずからはじめて憲法17条を作りたまう」と記述しているのが、いかにも作り話っぽいという。また「大礼小野妹子を隋に遣わす」と紹介した遣隋使の記述についても聖徳太子の文字が見あたらず、聖徳太子が派遣したことにはならないらしい。そもそも、それほどの大人物なら、なぜ、ほぼ同じ時期に編まれた「古事記」に聖徳太子がまったく登場しないのか、とボルテージをあげる。ただ、こうした批判は、タブーに挑戦した鼻息の荒さだけが空回りし、実在説を直接否定するほど説得力がないのが残念なところだ。科学的根拠がない以上、「聖徳太子は私がでっち上げました」という人物が現れるのを待つしかない。聖徳太子はいたのかいなかったのか。というわけで、最近出版された「聖徳太子はいなかった」(谷沢永一著)という本に期待した。タイトルに惹かれ、何か新しい事実でも出てきたのか、とワクワクして著書を開いてみたが、読んでるこっちが恥ずかしくなる文章力にびっくり。インターネットで検索したら、アマゾンコムのレビュー欄にこんな酷評があった。「著者は文中で何度か、自分のような素人が、というようなことを書いていますが、素人なら尚更、小手先での表現遊びに走るのでなく、まっとうな文章を使い正面から論じてほしかったと思います」。まったくその通り。聖徳太子の死から21年後の643年、その一族25人が政府軍に襲われ、法隆寺で自殺する事件があった。当時、天災が起きたり、疫病がはやったりすると、聖徳太子の怨霊のせいだと噂された。聖徳太子の功績を高く評価する梅原猛氏は「のちに法隆寺が再建されたのは聖徳太子の怨霊を沈めるためだった」と解説している(「日本の仏教をゆく」梅原猛著)。生半可な材料で「聖徳太子はいなかった」なんて主張すると、聖徳太子の逆鱗にふれかねないゾ。【楽天市場】本・雑誌 ◇ パソコン・家電・AV ◇ 生活・インテリア ◇ スポーツ・アウトドア ◇ ファッション・ブランド ◇ ダイエット・健康 ◇ トラベル ◇ ホビー・ペット 蓮4044
May 24, 2004
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「自民党の○○は、北朝鮮の金日成主席と会談し、過去の植民地支配と戦後45年間の損失についての償いの一環として、国交正常化交渉の途中段階であっても経済協力を実施することを表明した」。いまなら仰天する内容だが、これは90年9月の本当の新聞記事のくだりである。○○には金丸信元副総理が入る。金日成との共同宣言で合意を得た金丸は当時、署名式をわずか5分で済ませ、ホテルに駆けつけて記者会見し、「丁々発止もあったが、生まれて初めての光栄に浴した」とおおはしゃぎだった。のちに、金丸が金日成にひとり呼ばれて接待を受け、完全に籠絡されてしまったことが明るみに出た。この問題は、右翼団体から「土下座外交」と批判を受け、その押さえつけに暴力団を利用し、佐川急便事件なども絡んで金丸逮捕につながっていった。あれから10年以上たち、小泉首相がきのう北朝鮮を訪問した。だが、今回も金丸の轍を踏んだと言わざるを得ない。最大の焦点だった拉致問題で、拉致被害者の家族5人の帰国以外みるべき成果がなかったのに、小泉首相は食糧25万トン、医薬品1000万ドルの支援を約束し、「日本側は制裁を発動する考えはない」「日本側は在日朝鮮人に差別などが行われないよう友好的に対応」などと譲歩を重ねた。もともと拉致被害者の家族を早く手放したがっていたのは北朝鮮の方だし、経済協力を得るための国交正常化交渉を望んでいたのも北朝鮮だった。小泉首相のいうように、5人帰国が無条件だったのだとしたら、今回の日朝交渉は日本側にはメリットが一つもなかったことになる。 唯一、行方不明者10人の再調査が約束されたが、期限を明記せず、空手形になる可能性の方が大きい。多くの国民をがっかりさせたのは、小泉首相自身がこの程度の取引で、国民が納得すると思っていたことだ。首相は訪朝を発表した14日、「進展があると判断しない限りは、こういう決断はできませんからね」と話していた。今回の会談を90分で早々と切り上げたことから察すれば、小泉首相にとっての「進展」とはこの程度のことだったということか。拉致問題が解決するまで国交正常化交渉はありえないと考えてきた国民意識とは落差が大きすぎる。拉致被害者5人が帰国した02年9月以降これまで、日本は珍しく強気の外交を展開してきていた。「5人を返せ」という北朝鮮の要求を突っぱね、米国や韓国さえ実施してきたコメ支援をやめ、北朝鮮の貨客船「万景峰号」に対して厳格に検査した。今年2月には、北朝鮮への送金を許可制にしたり輸出入を承認制にしたりできるよう外為法を改正し、現国会でも特定船舶入港禁止法案をちらつかせて、北朝鮮に少しずつ圧力をかけてきた。それらがすべてパーになった。こうなった以上、期待するのは、家族の帰国で北朝鮮を怖がることもなくなった蓮池薫さんが、ほかの拉致被害者についての新事実を明らかにしてくれることだけだ。
May 23, 2004
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先日、あのばかばかしい年金未納問題で辞任した民主党・菅代表の後がまに、小沢一郎がつくと聞いてちょっと寒気がした。民主は、菅氏が代表なら「市民政党」というイメージが残るが、小沢代表なら紛れもなく第二の自民党になる。昨年の総選挙で衆院の全480議席のうち、自民が237議席、民主が177議席を取った。合わせれば400を超える。すでに冷戦が崩壊し、保守やら革新やらの時代ではないが、似たり寄ったりの保守陣営が国会を牛耳ってしまえば、現下の小選挙区制では有権者の選択肢はきわめて限られる。あの89年のおたかさんブームや、93年の日本新党ブームのような受け皿を失ってしまうのでは、と心配でならない。97年、代理署名拒否問題で沖縄米軍用地特別措置法の改正が焦点になっていたとき、その特別委員会の委員長という立場で法案成立に奔走した野中広務自身が突然、「どうぞこの法律が沖縄県民を軍靴で踏みにじることのないように。今回の審議がどうぞ再び大政翼賛会のような形にならないように」と発言した。新進・自民は慌てて、この部分を議事録から削除したが、野中はこのときのことについて、「わずか9日間の審議で9割以上の議員が賛成する様子を見て、軍国主義に傾斜していく戦前の日本にいる錯覚に陥り、衝動的に語ってしまった」と振り返っている(「老兵は死なず」野中広務著)。野中が懸念した翼賛は、当時よりいまの方がむしろ深刻だ。イラクへの自衛隊派遣や北朝鮮を標的にした特定船舶入港禁止法案、憲法改正論議などは反対論が封じられ、歯止めを失っている。先月下旬には、防衛庁の古庄幸一海上幕僚長が定例会見で、「このままでは国際的に十分な活動ができない。集団的自衛権は将来認められるべきだ」と語った。制服組トップがこうした発言をすれば、一昔前なら首が飛んでいたろうが、今回はマスコミさえあまり問題にしなかった。私からみれば、日本人はいま、ちょっとハイになっている。北朝鮮が拉致を認めたらドーと怒り、イラクで2人の外交官が殺害されればドーと悲しみ、最近では、イラク人質事件でドーと自己責任論一色に染まった。日本はいまこそ、自民党以外に、自民党とは異なる価値観をもった野党、すなわちハイな気分を冷却する政党が必要なのだ。小沢の民主党ではとてもその役はつとまらない。小沢は結局、自らの年金問題で代表を断念し、岡田克也が代表につくことになった。ぜひ、夏の参議院選挙のとき、国民の半数が「投票したい」と思うような対立軸を示してもらいたい。
May 21, 2004
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先日、03年度のアカデミー賞11部門に「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」が選ばれた。「ベン・ハー」「タイタニック」に次ぐ完全制覇という。アカデミー賞に選ばれると、一般的に観客がさらに増えて3000万ドルの増収につながるとされるから、今後どこまで収入が伸びることやら。私は以前、ロード・オブ・ザ・リング3部作のうち第1作目を見たが、全く感情移入できなかった。のろわれた指輪を捨てるために冒険するというその設定自体がばかばかしくてついていけない。まぁトールキンの原作を読んでいないからあまり大きな声で言えないが。日本では最近DVDが普及し、ホームシアター一式を買い込んで自宅で映画を楽しむ時代になった。最近の分譲マンションには共用の「シアタールーム」まで用意されているらしい。さぞ、映画館の収入が落ち込んでいるのではと思いきや、実は日本の映画館はいま絶好調だというから不思議だ。03年の映画興行収入は、なんと過去最高の2032億5900万円。実写としては過去最高の売り上げ173億5千万円を記録した「踊る大捜査線 レインボーブリッジを封鎖せよ!」をはじめ、「黄泉がえり」(30億円)や「座頭市」(28億円)などが牽引役になった。それでも売り上げの7割を占めるのはやっぱり洋画だという。「ハリー・ポッターと秘密の部屋」(173億円)「マトリックス・リローデッド」(110億円)「ターミネーター3」(82億円)「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」(79億円)とどれも目が飛び出る人気ぶりである。映画館の好調ぶりは日本だけの話ではない。米国でも一時下火だった映画館が息を吹き返している。70年代はじめ1700万人だった1週間あたりの観客動員数が、2000年には2700万人に伸びたという。こうした現象をどう分析したらいいだろう。最近、「ハリウッドはなぜ強いか」(赤木昭夫著)を読んだ。著者は、強さの秘密として、ハリウッドの三つの戦略を挙げた。まず第一に、その映画を見たくなる環境をつくる、第二に、成功した前作の物語を土台にする、第三に、一斉上映し、どこでもその映画しか見られなくする。先に挙げた03年度の洋画ヒット作をみれば、すべてその通りだと納得させられる。私たちはずっとヒット作品の方程式に乗せられてきたわけだ。見なくては話題に付いていけないと思いこみ、自然と次回作が気になってくる。私たちの心をもてあそんできたハリウッドとは一体何者なのだろう。かつて「ハリウッドはどこにあるのか」と聞かれたジョン・ウェインはこう答えたという。「われわれさえどこにあるか知らないのさ」
May 20, 2004
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北朝鮮による拉致事件は、なぜもっと早く見破ることができなかったのか。その機会は過去3回あったといわれる。いずれも歴史のいたずらに邪魔をされた。1度目は78年に富山県の海岸で起きたアベック拉致未遂事件。犯行に使われた頭沱袋などの遺留品が朝鮮半島で出回っていたものと分かり、読売新聞が「アベックなぞの連続蒸発」などと報じた。だが翌79年、韓国の朴大統領が暗殺されると北への不信感がかき消されてしまった。2度目は81年の伏木国分事件。北朝鮮の工作船が沿岸に停泊しているとの情報をもとに、富山県警が海岸にいた男を職質し、監視を続けた。ところが、この男は高岡駅近くのビルから「金日成主席バンザイ」と叫んで飛び降り自殺してしまった。その日は休日で分からなかったが、翌日、役所に問い合わせたところ、持っていたのは偽造した外国人登録証だった。3度目は、85年の辛光洙事件である。大阪の日本人コックになりすました北朝鮮工作員・辛光洙が渡韓後、韓国当局に逮捕された。拉致への関与を自供したにもかかわらず、日本の検察陣は軍事政権下の韓国で得られた証言を疑ったため、それ以上進展しなかった(「拉致はなぜ防げなかったのか」川邊克朗著)。日本の公安当局は、73年の金大中拉致事件以来、北より南に不信感を募らせていたのがまずかった。そして四半世紀をムダにしたのだ。1年半前の日朝首脳会談で金正日が突然、「70~80年代、特殊機関の中に妄動主義、英雄主義があり、工作員が日本語を学び、日本人になりすまして南(韓国)に潜入するため拉致した」と切り出さなければ、いまもヤミの中だったかもしれない。それを想像するとゾッとする。小泉首相が今月22日、再び北朝鮮を訪れることになった。一国のトップが国交のない国を2回も訪問するのは異例だなどという解説をよく聞くが、これはまったくくだらない議論だ。必要なところにしかるべき人が行くのは当たり前。そのために私たちは日頃、税金を払っているのだ。ただ、心配なのは、これまでの外務省ルートではなく、政治家ルートで北朝鮮側に働きかけたため、カヤの外だった外務省が気乗り薄なことだ。足を引っ張ることだけはやめてほしい。また、北朝鮮の外交はしたたかだ、などと言われるが、実は行き当たりばったりにすぎず、恐れるに足らない。金正日は、部下に責任をなすりつけることばかり考えて、拉致を認めることが外交上どれほど影響があるのか理解していなかった節があるし、死亡・不明の10人の遺骨や死亡証明書についても、慌ててコピーし、名前だけ変えるような愚を犯し、後日「ねつ造だった」と認めるいい加減さだ。北朝鮮はまったく当事者能力がなく、6者協議などの場でもすぐ「本国に連絡をする」といって席を立つ。こういう国とは今回のような直談判が一番。その場で証拠を見せて追いつめるのだ。今回の首相再訪朝では、すでに帰国している5人の家族計8人の帰国・来日は当然として、生存しているはずの横田めぐみさんや有本恵子さんらの帰国も絶対譲れない。金正日の机のうえに、コメ25万トンと1000万ドルの札束を並べて、譲歩を迫ってほしい。首相も外務省の反対を押し切って行くわけだから、失敗したら北朝鮮に亡命するくらいの覚悟が必要だ。
May 19, 2004
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つい先頃まで、「不況はあと10年続く」という議論が盛んだった(「経済学的に考える。」伊藤元重著)。20代・30代を消費世代、50代を貯蓄世代、その上を取り崩し世代と分類したうえで、人口のこぶがちょうど団塊世代にあるため、彼らが老後に備えて貯蓄する間は景気は良くならない、とまことしやかに言われたものだ。しかし、実際はすでに景気が好転し出した。内閣府がきょう発表した速報値によると、03年の日本経済の実質成長率は3.2%だったという。さて問題は、今回の景気好転については、恩恵に預かれる人と預かれない人がいるということだ。今回の発表のなかで注目すべきは、名目成長率がわずか0.7%だったことである。実際、いまのデフレ局面では、単純計算すると、以前と同じ給料をもらっていた場合、以前より2.5%分多くのモノが買えるはずである。ただし、これは実際にお金を使った場合の話で、「景気が悪いから将来に備えよう」と給料をそのまま貯蓄に回すような人は、0.7%の名目成長率分か、またまた、現在の低金利のもとではそれを下回る恩恵しか受けられない。ちなみに名目成長率の0.7%というのは、過去10年でも下から数えて5番目に低い数字で、お金を使わない人たちには、まだまだ景気は回復していないわけだ。振り返ってみると、10年前の94年は、実質成長率が2.3%成長で今より低かったわけだが、名目成長率もほぼ同じ2.2%だったため、貯蓄しても、また買い物しても、みな平等に経済成長を実感できたわけだ。いまは、お金を使えば景気の回復が実感でき、日本経済のさらなる発展にも微力ながら貢献できる。さぁ街に繰り出し、ウインドウショッピングばかりしていないで、たまにはレジに並びましょう。
May 18, 2004
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きょう「誰か」(宮部みゆき著)を読んだ。全部で379ページ。最後にやっと宮部らしいアップテンポさが登場し、読後感は悪くないのだが、振り返ってみれば全体的に物足りない印象だ。とくに300ページくらいまでは、物語性としても、その後の展開のための伏線としても弱すぎる。今多コンツェルン会長をはじめ登場人物の性格づけも不十分だ。今回のミステリーの軸となった自転車事故や誘拐事件と向き合う主人公・杉村の態度も、どこか腰が引けていて共感できない。さらにミステリーの種明かしについて、ちょっと説明くさかったのも、伏線と結末をうまくつなげられなかったことの裏返しだろう。この「誰か」は、書店の販売部数ランキングでいまも上位を争っているが、こういう内容が続けば、もう直木賞作家・宮部みゆきの名前だけでは売れない。私は宮部みゆきのファンで、これまでほぼすべての作品を読んできた。物語の核心に近づくときの宮部のタッチの軽快さと奥深さはだれにもまねできない。そこが宮部ワールドたるゆえんだったろう。消費者金融と自己破産を扱った「火車」(93年山本周五郎賞)のラストシーンは本当にピカ一だった。03年度の長者番付で第4位に入り、いまや超売れっ子になった宮部みゆきだが、近い将来、「宮部みゆきって誰か」なんていわれないよう、第2の「火車」を期待したい。【DEERS百貨店】 本・雑誌 ◇ パソコン・家電・AV ◇ 生活・インテリア ◇ スポーツ・アウトドア ◇ ファッション・ブランド ◇ ダイエット・健康 ◇ トラベル ◇ 趣味・ペット ◇ フード・ドリンク・ワイン ◇ 出品30日間無料 ◇ 人気blogランキング ◇ 大感謝祭セール蓮4044
May 17, 2004
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ベトナム戦争最中の71年、「想像してごらん」とジョンレノンは歌った。「国境なんてないと思ってごらん。難しいことなんかじゃない。殺し合う理由なんてないし、宗教なんてものもない。すべての人々が平和の中で生きているんだと思ってごらん」。この反戦ソング「イマジン」はその後、湾岸戦争時の英国や9・11直後の米国などで放送禁止になった。音楽は、人々の心をときに大きく揺さぶるのだ。振り返れば、19世紀半ば、オーストリア=ハンガリー帝国の支配下にあったチェコの民族意識を盛り上げたのは、スメタナの交響詩「わが祖国」だった。フィンランドのシベリウスは交響詩「フィンランディア」を作曲し、ロシアによる自治権停止や言語の強制に立ち向かい、祖国の独立を訴えた(「国家の役割とは何か」櫻田淳著)。私はいま、混迷化するイラクで、市民たちがすべきことは武器を取ることではなく、歌うことではないかと真剣に思っている。武器は武器を呼ぶだけだからだ。98年の長野冬季五輪の閉会式で、「故郷」を大合唱し、欽ちゃんが「わたしたちの故郷は地球です」と言ったとき、わたしたちが笑わずに共感できたのは、やっぱり音楽の力だったのだ。イラク人の手で、シーア派もスンナ派もクルド人も共感できる曲をつくれないだろうか。一昔前の「ウイー・アー・ザ・ワールド」のように。ジョンは生前、こんなことを言った。「政治的なテーマでも、ちょっとハチミツをかければ、無関心な若い人たちも振り向いてくれるのさ」。 楽天ブックストップページ蓮4044
May 7, 2004
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ハンナングループによる偽装牛肉事件が世間を騒がせている。同じように国に偽装牛肉を買い取らせた日本ハムと比べれば、無名の会社だ。しかし、日本ハムが国に買い取り申請した938トンのうち偽装分が5.6トンだったのに対し、ハンナングループは1132トン以上を国に買い取らせ、ほぼ全量を焼却して証拠隠滅をはかっていた。疑惑はそれだけではない。ハンナンの総帥たる浅田満は計20億円以上もする豪邸(計5000坪以上)に住んでいるが、税金はこれまでほとんど払ってこなかったらしい。部落解放同盟や部落解放大阪府企業連合会を後ろ盾に、税査察が入らないよう68年、「7項目の確認事項」を大阪国税局長と結んでいた。また、牛肉買い取り制度を国に働きかけた鈴木宗男に対し、ハンナンは、厚生年金、健康保険、失業保険などの面倒を見ていたとの情報もある(贈収賄の疑い)。さらに、このハンナンが輸入牛肉を扱う会社だと知っていながら、1132トンもの牛肉の買い取りに応じた農水省も責任を免れないだろう。これらの問題を著書「食肉の帝王」で指摘した溝口敦は「浅田は、同和と食肉、二つの行政の不備を上手に食い、途方もなく肥え太ったゴッド・ファーザー」と言い切った。国民の税金をここまで食いものにした「大阪最大で最後の闇の世界」を表に引きずり出して欲しい。一方で、国民は被害者が自分たちだけでないことも忘れてはならない。もし、日本から輸出したコメが外国の焼却炉で焼かれたらどう思うだろうか。それなのに、農水相がオーストラリアなどに謝罪したという話をついぞ聞かなかったのはどういうわけなのか。
May 6, 2004
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ネスカフェゴールドブレンドのCMで「違いの分かる男」というシリーズがあった。昔の出演者のなかには、コーヒーの違いが分かるどころか、実はコーヒーが大の苦手で中身は別の飲み物だったという建築家もいたそうだ。さて先日、「サービスの天才たち」(野地秩嘉著)という本を読んだ。床屋、キャディ、カメラマン、マッサージ師、タクシー運転手など計7人を紹介しているのだが、残念ながら、どの人もどう天才なのか十分伝わらなかった。著者自身が「違いの分からない男」なのに、こんな企画を思いついてしまったという感じだ。半年間通った床屋について「いいところはいつまでも初々しさを失わないこと」と締めくくったのには笑ってしまったし、マッサージ師について述べた「心までもみほぐす」という抽象的な表現にはあきれてしまった。さらに、その床屋に通ってわずか半年後に「ハサミを開く幅2センチの差が名人と普通を分ける」と言い切ってしまった無神経さには目を疑った。本に登場する床屋は東京・高輪のホテル内にあり、高倉健をはじめ金持ちたちが多数押し寄せる店だ。半年前から通い始めたばかりのお客さんに訳知り顔で、腕の違いを指摘されたほかの従業員たちにどう同情したらいいだろう。読者がこのタイトルの本に期待したのは、著者がどう感じたかではないと思う。その人がいかに天才と呼ばれるようになったか、また、その技術へのこだわりぶりをなるべく名詞と動詞を使って描くことだったはずだ。著者は取材が不十分なまま締め切りに追われたか、いや、そもそも「違いの分かる男」ではなかったのか、のどちらかだろう。無名の天才たちに照準を合わせた点がおもしろかっただけに、できれば取材を始まる前に、ネスカフェゴールドブレンドを飲んでじっくり天才と向き合ってほしかった。
May 3, 2004
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先日、ジャズファンになりたいと思って「超ジャズ入門」(中山康樹著)と「マイルス・デイヴィス」(同)を読んだ。だが、期待した「超ジャズ入門」が全然ジャズの旅先案内人になっていなかった。1900年ごろ、ニューオリンズで生まれたとされているジャズ発祥の定説について、実はサンフランシスコがそうだと語ったり、小泉八雲こそ世界でジャズを最初に聴いた人だったと語ったり、素人にはどうでもいい話ばかり。肩肘張らずジャズを聴くことを勧めながら、一方で「だまされたと思ってレコードを毎月2枚買い、それを1年間続けて聴いてください」とものすごい忍耐力を求めている。入門書なんだから、とっかかりの「これを聴いて」「この部分を感じて」というのを期待していたのに。もう一冊の著書「マイルス・デイヴィス」のエピローグの文章にしても、生前のマイルスと交流があったことを主題にしているが、そもそもこの本とは関係がない内容だし、文章の時系列がちぐはぐで、何が言いたいのかさっぱり分からなかった。「互いに知り合いだったことを自慢したいだけじゃないの」といぶかる読者もいるかもしれない。この本を読んで分かったのは、マイルス・ディヴィスのCDがなぜ、レコード店に100枚以上もあるのか、ということくらい。マイルスは1955年ごろ、二つのレコード会社と契約して「マラソンセッション」と後に呼ばれることになる大量のレコードディングをしたらしい。ともあれ、せっかくジャズにお近づきになったのだし、まずは「カインド・オブ・ブルー」を聴いてみた。マイルス・デイヴィスの泣くようなトランペット、う~ん、とてもいいじゃん。「ラウンド・オブ・ミッドナイト」や「枯葉」もいい。このまま食わず嫌いを増やさないためにも、いい旅先案内人、現れるべし。
May 2, 2004
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「仏教、キリスト教、イスラム教と500年ごとに新しい宗教が生まれて、だんだん質が悪くなったのはどうしたことだ」と嘆いたのは、著名な人類学者レヴァ・ストロースだった。その疑問に答えるカギは、その説法を受けた側にある、というのが私の考えだ。ブッダの周りに集まってきたのは良家の子女たちだった。だから倫理なんか当たり前で「心の問題」を説くことが求められた。キリスト教の場合は、モーゼはエジプトやシリアの奴隷たちを相手に「十戒」を唱え、またイエス・キリストはガリラヤ地方の漁師たちを相手に説法した。だから「盗むことなかれ」とか「姦淫することなかれ」とかといった倫理を説くことを求められた。マホメットが登場したころのイスラム社会は、キリスト文化圏の支配下にあった。だからイスラムの団結を促すため、「メッカに一日5度祈れ」とか「豚肉、酒を口にするな」とか排他的な説法が必要だった。やがて「聖戦」まで容認してしまった。逆にいうと、説法する相手が違ったから説法が違っただけで、みんな同じ山に別々の登山口から登っているだけなのだ。実はそれはそれで辻褄がちゃんと合うことがあまり知られていない。ブッダは自ら悟りを開いた神様ご自身で、イエス・キリストは自ら「神の子だ」と言っているからブッダの子供。ムハンマドが「神の啓示を聞いた」といっているのは、ブッダの声を聞いたわけだ。よって矛盾なし。イエスがブッダをあがめた可能性についてはこんな説がある。新約聖書によると、キリストは布教活動に入る前の9年間、突然姿をくらましている。実はこのとき、インドに旅して父が開いた仏教を学んでいたかもしれないのだ(「仏教が好き!」河合隼雄・中沢新一著)。宗教はみな同じ。人間の幸福を実現するための手段だ。その手段のために争って、逆に幸福から遠のいてしまうのは、本末転倒というほかない。
May 1, 2004
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