森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2019.01.08
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人付き合いを円滑にするためには、 「純な心」を意識することはとても大切である。
物事や出来事に接して、 1番最初に湧き上がってくる素直な感情のことである。
森田理論学習をしていないと、なかなかこの感情をキャッチすることが難しい。

例えば、中学生ぐらいの女の子が家に連絡もしないで帰宅が遅れると親はとても心配になる。
何かあったのではないかとやきもきする。あっちこっちの心当たりのところに電話をする。
あるいは警察に相談したり捜索願を出すかもしれない。
なんとか無事に帰って来てほしいという願いでいっぱいである。
これが親の子供に対する「純な心」である。

ところが、そのうち何事もなかったかのように娘が帰ってくる。
その姿を見ると急に怒りがこみ上げてくる。
「こんなに遅くまでどこをうろついていたのだ。家族を心配させるのもいい加減にしろ」と感情を爆発させる。これは、最初に感じる素直な感情とは言い難い。
親が娘の行動を見て、是非善悪の価値判断を行い、娘を自分の思い通りにコントロールしようとしているのだ。その時、注意や意識は自分の素直な感情にはない。

こうした例はいくらでも存在する。こうした時は、どのように行動すればよいのだろうか。
まず感情には瞬間的なものと、それ以外のものがあるという事実を頭の中に入れておくことだ。
そして瞬間的な感情は、よほど注意をしておかないと、すぐに見落としてしまうという特徴があることを押さえておく。
つぎに、第一に感じる感情の次に、 「かくあるべし」を含む第二の感情が発生するのだ。
この第二の感情に基づいて行動すると、事実のねじ曲げ、ごまかし、言い訳、隠蔽、対立などが起きやすい。そして人間関係に摩擦を生みやすいということだ。

この第一の感情と第二の感情は連続して起きるものである。
その区別ができないということが問題になる。
怒りの感情が湧いてきたとき、これは第一の感情なのか。
あるいは第二の感情なのか、自分に問いかけてみる必要がある。
そういう習慣作りが肝心である。
ほとんどの場合は、怒りの感情は第二の感情である。
先の例で見てきたように、怒りの感情の前に「心配で仕方がない。イライラして落ち着かない」という気持ちがあるのだ。この第一の感情に立ち戻っていくことが極めて重要なのである。
「無事に帰ってきてくれて嬉しい。帰るまでは、気が気ではなかったんだよ」
これこそが、素直な自分の感情だ。そこから出発して、その気持ちを娘に伝えればよいのだ。
以後、娘が早く帰宅するようになるのか、あるいは電話をするようになるのかはわからない。
その判断は娘に決定権があるからだ。

第一の感情を大切にするようになると、大きなメリットがある。
自分の素直な感情、自分の気持ち、自分の意志、五感、身体感覚などに注意を向けていると、頭の中での試行錯誤はなくなる。
相手に対する怒りの感情に火がついて燃え上がるということがなくなる。
自分の感情や感覚に注意を向けていると、是非善悪の価値判断をすることがなくなる。
それは頭の中でその両方に同時に取り組む事は出来ないからだ。1つしかできない。
そうなると、自分の素直な感情と対話することだけになる。排斥したり逃げたりしないので、最後には味わい尽くしてしまうと鎮火してしまうのである。感情の法則が教えてくれている通りだ。
「純な心」を学習し、自分の生活の中に取り入れて定着させること極めて大きな意味がある。
森田理論で「純な心」学習をした人は、集談会の場などで個人の体験を持ち寄り、議論をして欲しい。そうすることが、 「純な心」を身に付ける近道であると思う。





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Last updated  2024.04.07 17:02:29
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