森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.01.31
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戦前は子供のしつけや教育は、親が全責任を負っていたわけではなかった。
親は生きていくことに精一杯で、子供に手をかけてやりたくても、実際問題困難であった。
どこの家も二世帯、三世帯の大家族が普通であり、家族全体で子育てにあたっていた。
特に祖父、祖母、曽祖父、曽祖母が子育てに積極的に関与していた。
また隣近所の共同体が子供のしつけや教育面に口を挟むといったことが当たり前の社会であった。
さらに学校では社会のしきたりやルールについて、厳しく指導していた。
親だけが子供のしつけや教育を担っていただけではなく、社会全体として取り組んでいた。
そこでは、我が子のことなのに他人が口を挟み、煩わしい面があったが、独りよがりの誤った子育てはある程度回避することができた。ここが重要な点です。

現代社会では、子どものしつけや教育に対して、それらの影響力は見る影もなくなった。
そういうしがらみはほとんど取り払われた。これは喜ぶべきことなのか。
その代り、子育ての責任はすべて親が担うことになったのである。
大変な責任を親だけが引き受けることになったのだ。
これは戦後急速に日本中に拡がっていった。

親が自由に子育てに取り組めるような時代が到来したのである。
一見素晴らしい社会が実現したかのように思えたが、実際には多くの問題が噴出してきた。
子育ては、自分の人生の中では決してやり直しがきかないものである。
失敗したと後悔してもどうしようもない。だから試行錯誤の連続となる。
知識もない、経験もない、相談する人もいない、協力してくれる人もいない中での、ぶっつけ本番を余儀なくされているのである。そんな状態でまともな子育てができるだろうか。
できたとしても多くの時間と労力を子育てにつぎ込まなくてはならなくなる。
夫婦共稼ぎでないと、生活が成り立たない現状ではとても無謀な挑戦のように思える。
未婚や子供を産まないで一生を終える人も増加してきている。
子どもを生んでも、価値観が多様化して、自分の思いこみと先入観で、方向性のない、その場限りのしつけや子育てが横行しているのが現状である。

親が自分たちの快楽をとことんまで追い求めて、子どもへの虐待、放任や無関心などによる悲惨な事件は毎日のようにマスコミ報道されている。
また母子密着ともいえる過保護に陥っている家庭もある。
反対に「かくあるべし」を一方的に子供に押し付ける過干渉の親もいる。
他人に依存し、いつまでも自立した生活ができない。
他人の思惑ばかりに振り回されて、生きることが困難で、精神的に不安定な子供を作り上げている。
かわいそうな子供たちが大量生産されている。

これらの問題に対して、まず親は子育てについては「無知」だという自覚が必要だと思う。
まずはそこが出発点だ。
次にしつけや子育てについては、仲間が集まって学習することが大切であると思う。
一人では学習すると、横道にそれてしまうので要注意である。
そこには母親だけではなく父親も参加することが必要であると考える。
いくら仕事や趣味などが忙しいといっても、子どもを持った親の最低限の責任であると思う。
せめて1か月に半日程度はそういう場に参加して、みんなで助けあいながら学習していくことだ。
本当は国がそういう学習の場を推進していくべきなのかもしれない。
問題が起こってから、対症療法を考えていたのでは、これからもどんどんと問題が増えていくだろうと思う。その際、モンテッソーリの教育に対する考え方、親業、平井信義氏の著作、そして森田理論の学習が大いに参考になるだろうと思う。
子どもは放任、無関心、過保護、過干渉ではまともに育つことは決してない。
子育ては親の務めであるという自覚を持つことが国をあげて取り組むべき課題であると考える。





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Last updated  2024.04.07 19:29:58
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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