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2024.09.24
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カテゴリ: 沖縄市

(合祀された大工廻拝所)

沖縄本島沖縄市の「嘉間良集落」にある「尚宣威王の墓」の西側に合祀された「大工廻(ダクジャク/ジャクジャク)拝所」があります。この小高い森の広場には、かつて「大工廻集落」に点在していた「クボー御嶽」「ナカムイ御嶽」「ガキジョー御嶽」が合祀された赤瓦屋根の祠が建立されています。1713年に琉球王府により編纂された「琉球国由来記」には、それぞれ『ゴバウノ嶽 弐御前 大工廻村 壱御前 神名 イシナカゴフ御イベ 壱御前 神名 真南風石司ノ御イベ』『中森 神名 コバヅカサノ御イベ 大工廻村』『ウラウシノ嶽 マネヅカサノ御イベ』と記されており、付け加えて『右四ヶ所、大工廻巫崇拝所。三・八月、四度御物参之時、有祈願也。』との記述があります。ちなみに、祠内部に記された「ガキジョー御嶽」は『ウラウシノ嶽』に相当すると考えられます。


(合祀された大工廻拝所)

(合祀拝所の祠正面)

(合祀拝所の祠内部)

(祠内部のウコール)

(祠内部のウコール)

赤瓦屋根の祠に向かって右側に「ビジュル」が祀られておりウコールが設置されています。さらに向かって左側には「地頭火ヌ神」が祀られていて、ヒヌカンの霊石3体とウコールが設定されています。この「地頭火ヌ神」はかつて「大工廻集落」にいた脇地頭のヒヌカンであると考えられ、歴代の「大工廻親方/ダクジャクウェーカタ」や「大工廻親雲上/ダクジャクペーチン」が脇地頭職に就いていました。また、赤瓦屋根の祠の後方には「久保御嶽」と「久保井戸」が祀られる拝所があり、それぞれウコールが設定されています。「大工廻集落」の先祖は500〜600年前に「倉敷ダム」周辺にかつて存在した「倉敷集落」に住んでいたという言い伝えがあります。ちなみに「倉敷」という名前は首里王府に上納する産物の倉屋敷があった事に由来しています。「倉敷ダム」の湖畔には現在も「大工廻」の拝所である「久保御嶽」が残されており、ダムの湖底には「倉敷集落」の井戸や田畑が残っています。


(ビジュルの拝所)

(ビジュルの拝所内部)

(拝所内部のウコール)

(地頭火ヌ神の拝所)

(地頭火ヌ神の拝所内部)

(拝所内部の霊石とウコール)

(久保御嶽の拝所)

(久保御嶽の拝所内部)

(拝所内部のウコール)

(久保井戸の拝所)

(拝所内部のウコール)

「大工廻集落」の拝所について琉球国由来記には他にも『大工廻巫火神 大工廻村 河陽村 麦穂祭之時、花米九合・五水四合 大工廻・河陽二ヶ村百姓中。稲穂祭三日崇之時、花米九合・五水2合 大工廻地頭、花米九合・五水2合・神酒一器 粟・肴一鉢 大工廻村 百姓中、供之。大工廻巫ニテ祭祀也。其時、盆壱通七組、大工廻地頭ヨリ、同壱通七組、河陽地頭ヨリ、大工廻里主所ニテ巫馳走仕也。』と記されています。さらに『大工廻神アシアゲ 大工廻村 河陽村 稲二祭之時、五水二合宛・神酒壱宛・備後筵壱枚・盆二通宛七組 大工廻地頭、五水2合宛 河陽地頭、五水壱沸・備後筵二枚・神酒八宛 三米、五芋・盆二通宛七組 大工廻・河陽、二カ村百姓中、供之。大工廻巫ニテ祭祀也。』との記述があります。


(ヌハナジ井・前ヌ井・ウブ井の拝所)

(ヌハナジ井・前ヌ井・ウブ井の祠内部)

(合祀された大工廻拝所)

(合祀された大工廻拝所)

(合祀された大工廻拝所)

(合祀された大工廻拝所)

(合祀された大工廻拝所)

(合祀された大工廻拝所)

(合祀された大工廻拝所)

大工廻の合祀拝所の敷地に「 ヌハナジ井・前ヌ井・ウブ井」が祀られた拝所があります。このうち「前ヌ井」は「琉球国由来記」に『前之川 大工廻村 河陽村 稲穂祭三日崇之時、花米九合・五水二合 大工廻地頭、花米九合・五水壱沸・神酒一器 粟。大工廻・河陽二ヶ村百姓中、供之。大工廻巫ニテ祭祀也。』と記されています。「大工廻集落」は戦前までサトウキビ栽培が盛んな村でしたが、沖縄戦により集落全域が米軍の軍用地として土地が接収されました。住民は周辺の村に離散し、この「嘉間良集落」に移り住んだ人達により「大工廻の合祀拝所」を造り、生まれ島の「大工廻」を遥拝したと考えられています。


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最終更新日  2024.09.24 16:07:29
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