2012年01月22日
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カテゴリ: 平安時代

平安末期に現れた強大な権力者といえば、白河法皇。

天皇の位を退位してからも、その子や孫を、次々と天皇に指名して権力を握り続ける
院政という政治形態を創始し「院政時代」ともいうべき一時代を築き上げた傑物です。

今年の大河ドラマ「平清盛」では、伊東四郎が味のある怪物ぶりを出して好演していますね。



この白河法皇が始めた院政というものの、歴史的な位置づけは、というと、

一つは、これまで権勢を極めていた藤原摂関家に代わり、
その力が衰えた隙を捉えて、藤原氏から天皇家に実権を取り戻したということ。

もう一つは、幼い子や孫を次々と天皇に就けることで、
皇位の継承を安定化させることが出来たということ。

しかし、それは、自分の直系に間違いなく皇位を継がせることが出来るようにという
恣意から出たものであったとは云えますね。



また、この白河法皇は、女性関係においても、旺盛かつ積極的な人でありました。

身分を問わず、非常に多くの女性と関係を持ったといわれていて、
さらに、その関係を持った女性を、次々と人に与えるということをしていたものですから、
「白河法皇の御落胤」とされる人が、多く生まれることにもなりました。

やがて、これが崇徳上皇の悲劇を生むことになり、
さらには、平清盛なども白河法皇の御落胤であるという噂が、
広く信じられることにもなっていきます。




絶大な権勢の限りを尽くした、とも云える白河法皇。

しかし、そんな白河法皇でさえ、自分の意のままにならないものが3つだけあったのだといいます。
それが、この3項目。

・賀茂の水

・双六の賽

・山法師


このうち、賀茂の水とは、鴨川の氾濫のこと。
今では、たおやかに流れている鴨川ですが、昔は、暴れ川として恐れられていたようで、
幾度も氾濫を繰り返し、周辺に被害を与えていました。

双六の賽とは、すごろくのサイコロのこと。
これは、思った通りの目が出ないのは当然ではありますが、
でも、意外と、白河法皇はすごろくが弱かったのかも知れません。

そして、山法師とは、比叡山の僧兵のこと。
当時、延暦寺は自分に不利な裁定があったりすると、
神輿を担いで都になだれ込んできて、強訴を繰り返していました。
さすがの白河法皇も、この延暦寺に対しては、打つ手もなく、ほとほと手を焼いていたようです。


あの白河法皇が、どうしても思うようにならないと愚痴をこぼすぐらいだったということで、
やがて、これが「天下三不如意」と呼ばれ、広く知られるようになっていったということです。




私などからすると、
三不如意どころか、何をするにも不如意なことばかり・・・。

そうは言っても、白河法皇のような権力者になりたいとも、
それがうらやましいとも、全く思いませんけどね。

白河法皇のような生き方が、本当に幸せだったのかということも、よくわかりません。


それでも、そこから垣間見える法皇の姿というのは、
絶大な権力者にも、人間的な側面があったのだということが感じられ、
三不如意を通して見る白河法皇には、少し親しみが湧いてくるようにも思えます。





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最終更新日  2012年01月22日 07時11分39秒
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Re:白河法皇の三不如意(01/22)  
白河法皇にはいろいろな逸話が残っています。
現在の大河ドラマでは「怪物」扱いですね。
人間としての弱さを持った方のように思いましたがいかが (2012年01月22日 10時14分54秒)

Re:白河法皇の三不如意(01/22)  
picchuko  さん
gundayuuさん、こんにちは!
今年の大河、私にしては珍しく2回とも見ました。^^
たぶん、これからも見続けるかな。
gundayuuさんの崇徳上皇のお話を教えてもらったので、それがすんごく楽しみで!
それに、子供の頃は源氏贔屓だった私ですが、年を重ねるごと平家の方に興味が増して来て、、、
平清盛はまさに今の私のヒットです。(笑)

大河の伊東四朗さんのおかげで、白河法皇はすごく印象に残ったし(笑)
だから、今日の記事も大変興味深く読ませてもらいました。^^
良いか悪いかは別として、きっと彼は彼なりに必死で時代を生き抜いたのでしょうね。 (2012年01月22日 10時37分32秒)

Re[1]:白河法皇の三不如意(01/22)  
ゆうあいママtosaさん
こんにちわ~

白河法皇は、不遜で傲慢な人というイメージがあったのですが、単純にそうでもないと思えるようになってきました。

確かに圧倒的な権力者で、何事も意のままにというところはあると思いますが、
摂関家から権力を取り戻そうとして、北面の武士など引き立てたりしていますし、
女性や子供には、意外とやさしかった面もあったようにも思います。

白河法皇が怪物というのは、多少デフォルメされているようにも思いますが・・・。
(2012年01月22日 14時36分11秒)

Re[1]:白河法皇の三不如意(01/22)  
picchukoさん
こんにちわ~

>今年の大河、私にしては珍しく2回とも見ました。^^
>gundayuuさんの崇徳上皇のお話を教えてもらったので、それがすんごく楽しみで!

そうですね。
今年の大河は、意外と面白いのではと、私も期待しています。
崇徳上皇の話が、どのように描かれるのかも気になりますしね。


>子供の頃は源氏贔屓だった私ですが、年を重ねるごと平家の方に興味が増して来て、、、
>平清盛はまさに今の私のヒットです。(笑)
>大河の伊東四朗さんのおかげで、白河法皇はすごく印象に残ったし(笑)

伊東四朗の白河法皇、すごく良かったですね。
本当は、どんな人だったのかは、別としても、イメージ通りだったように思います。
早くも亡くなっちゃたので、もう出てこないのが残念に思うくらいです。

>今日の記事も大変興味深く読ませてもらいました。^^
>良いか悪いかは別として、きっと彼は彼なりに必死で時代を生き抜いたのでしょうね。

意のままにならないものがあったということが、
歴史に残っているというのも、すごいことだと思います。
そこまでの権力を、もし自分が持っていたらどうするだろうと考えてみても、見当がつかないほどです。
それでも、武家の世を生み出した、その遠因を作ったとも云えるのでしょうし、
それだけの強い影響力を持った人だったのでしょうね。
(2012年01月22日 14時41分43秒)

いつの時代にも・・  
権力を握った者たちは、、
その権力を手放すまいと必死で対策を考えます。

権力を持たないもの
権力に興味のないものからすれば、、

なんと哀れで滑稽かと思いますが本人にすれば必死なのだと思います。

その必死さに翻弄されて不幸になっていく人々にとっては溜まったもんじゃないと思うけれど、、
そうした波から逃れられないのも人の世の運命(さが)なのかもしれません。

NHKの大河ドラマは観ていませんが
予告でちらっと伊東四郎さんの怪演ぶりをみました。


ただの女好きではない、、
何か奥深いものを秘めた人物像を作り上げています。
中々の好演のようですね。

権力に執着するのも人間として弱いからなのかもしれませんね。

(2012年01月22日 22時31分00秒)

Re:いつの時代にも・・(01/22)  
gundayuu さん
ハッピーフューチャリストさん
こんばんわ~

>権力を握った者たちは、、
その権力を手放すまいと必死で対策を考えます。
>権力を持たないもの、権力に興味のないものからすれば、、
>なんと哀れで滑稽かと思いますが本人にすれば必死なのだと思います。
>その必死さに翻弄されて不幸になっていく人々にとっては溜まったもんじゃないと思うけれど、、
>そうした波から逃れられないのも人の世の運命(さが)なのかもしれません。
>権力に執着するのも人間として弱いからなのかもしれませんね。

そう、その通りだと思いますね。
でも、権力者になることが、人として幸せかどうかということよりも、いかに、自分の描く人生像・目標とするものを達成できたかということが、その基準になるのではないかと、
ハッピーフューチャリストさんから頂いたコメントから、そんなことを考えました。

権力を志向する人は、それを成し遂げれば、それが苦難であっても充足感があるのでしょうし、
例えば、人のために尽くすことを志向している人にとっては、それが人から見て、そんな大変なというようなことであっっても、当人にとって、そうでないのかも知れない、
そんな気もしてきます。

いつも気付きを頂いていますね。有難うございます。
(2012年01月23日 21時36分44秒)

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