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2020年8月刊レジーナ文庫著者:秋風からこさんお城で働くメイドのアレットは、ある晩、媚薬を飲まされ、我を忘れた憧れの王太子リオネルと、一夜を共にしてしまう!! 彼とはそれきりの関係だと思っていたのに、アレットの妊娠が判明! 一方リオネルは、あの夜の相手をずっと探していたらしく、アレットの妊娠を知ると大喜び!! アレットは身分差に悩みながらも、リオネルのそばで出産することを決意。すると平凡で地味な暮らしから一転、お妃様のような生活が始まってしまいーー!? 文庫だけの書き下ろし番外編も収録! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 アレット=王宮で働くメイドだが、リオネルの子を身籠ったことで妃として迎 えられた。 リオネル=王太子。5人もの側妃を持ちながら不妊で悩んでいた。リュシエンヌ=リオネルの側妃の一人。王宮で働くメイドのアレットは夜会の後、掃除を終えて部屋に戻る途中で苦しそうにしている王太子・リオネルと遭遇。密かに憧れていた人の一大事に思わず声を掛けた彼女は切羽詰まった彼に客室に連れ込まれ、純潔を奪われてしまった。優秀で人格者なリオネルは国民からの支持も高くこの国の将来も安泰と言われる人物だった。少々様子がおかしかったとはいえ、そんな彼がまさか自分にこんなことするなんて。暫し茫然とした後、横で寝ているリオネルが起きないうちに彼女は部屋を飛び出し逃げ帰ったのだった。一方、リオネルは目を覚まして昨夜のことを思い出し自己嫌悪に陥っていた。夜会の日、側妃の一人であるリュシエンヌの父・カノヴァス侯爵にいつまでも世継ぎが産まれないのは足繁く妃たちの元に通わないからだとチクリと言われ気分を害し、友人の静止も聞かず飲み過ぎてしまい、注意を怠ってしまったのだ。まさかリュシエンヌが淹れてくれたお茶に媚薬が仕込まれているとは夢にも思わず飲み干し、身体に異変を感じた時には彼女がしなだれかかっていた。だが、リュシエンヌの香水のキツさに吐き気がして何とか逃げ出したはいいものの、高ぶりは抑えきれず、心配して声を掛けてくれたメイドにあんな酷いことを。いくら薬のせいとは言え、自分のしたことは犯罪だ。何とか謝罪をして償いをしなければと考え、気心の知れた友人であり側近のエルネストにメイドの捜索を頼んだ。黒髪で黒瞳、小柄で華奢な少女という特徴の該当者は相当数いる。彼にも仕事があるため少々時間がかかり、漸く数人にまで候補者が絞り込めたのはそれから1ヶ月以上経ってからのこと。果たしてこの中にいてくれれば良いが、と資料を読み始めたリオネルの元に王族の主治医を務めるドミニクから至急診察室まで来て欲しいと連絡が。エルネストと赴くと、そこには探し続けていたメイドが横たわっていて、ドミニクの話では彼女は妊娠しており、胎児からリオネルの魔力を感じるとのことだった。この国は魔法を使える者が多く、王族は特に力が強い。だが、魔力の高さ故に男女共に子供が出来にくい体質で、リオネルも例に漏れず5人もの側妃を持ちながら8年も子に恵まれなかった。いくら優秀でも世継ぎが出来ない事でリオネルは悩み、側妃たちとも最近は疎遠になっているほど。なのに、たった一夜でこのメイドが彼の子を身籠った。アレットは妊娠していると告げられショックを受けていたものの、あの夜のことを彼から真摯に謝罪された上に媚薬を飲まされた故だったと事情を聴き、リオネルを許した。迷惑にならない様、実家に戻って子供と暮らすと話す彼女をその場にいる全員が必死に止めた。アレットのお腹の中にいる子は待ち望んだ世継ぎであること、そしてその子は強い魔力を放ち魔力を持たないアレットの身体に不本意ながら悪さをしている状態らしい。仕事中にアレットが倒れたのもそのせいで、胎児の影響を受けないよう毎日魔力供給を受ける必要があるとのこと。子の父親であるリオネルの魔力が一番適しているのもあり、君の為にも殿下の側で暮らしなさいと説明された。まさか生死に関わる事態だったとは夢にも思っていなかったアレットは少々迷ったものの、リオネルの世話になることに。早々に彼の部屋の隣に居を移し、世話係として専用の侍女まで付けてくれた。扱いとしては妃の一人ということで、安静を言い渡されていた身には上げ膳据え膳の生活はありがたい。リオネルも足繁く彼女の様子を見に訪れていた。その隙間を塗って彼がしていたのは両親への報告と側妃たちとの離縁にむけての準備。両親、特に母はアレットを歓迎し孫が出来たことを大層喜び、義母として彼女に寄り添い何かと世話を焼いていた。父もアレットを正妃に迎えることを了承してくれたので、あとはどう傷つけずに側妃たちとその実家に話すかだ。公爵家の娘である二人の令嬢は割とあっさり身を引いてくれたのだが、残る三人には渋られた。慰謝料や再婚について便宜を図るなど好条件を提示し何とか納得してもらい、後はアレットに正式に結婚を申し込むだけ。だが、密偵によりアレットの存在を知ったリュシエンヌが他の元側妃たち二人を唆して騒動を起こし・・・。大筋的にはシンデレラストーリーなんですが、なんせヒーローには側妃とはいえ妻が5人もいるので悶着が起こります。そもそもリュシエンヌたちにしてみれば8年も連れ添ったのにポッと出の新参者に夫を奪われた挙句、子供まで出来たと聞けばそりゃ面白くないよね。唆された側妃たちもリオネルが好きだったからという事情も後に判り、アレットの願いもありリュシエンヌ含め減刑されるのでした。王族殺害未遂と言う結構悪質な事件だったため処刑もやむなしだったのに、国外追放や修道院行きで済んだのは相当温めの判決だけど、アレットもお腹の子も助かったからこそできた慈悲よね。つくづくリオネルも罪な男よ。本気で好きな子が出来たから彼女一筋に愛したいんだ。だから側妃はもう要らないんだよね(意訳)いや、夫からこんなこと言われてたら普通怒るよ。だから、やらかしたことはともかく暴走してしまったリュシエンヌたち三人の気持ちも判らないでもない。好条件の方に乗って離縁に応じた公爵二家の令嬢たちは単に切り替えが早いんでしょう。その後、無事にアレットは正妃として迎えられ、数か月後に早産ながら王子・マティアスを出産。仲睦まじい夫婦の様子が描かれて本編は幕。文庫版の書き下しの短編は、本編ラストから5年後の話で、第二子の妊娠発覚のエピソードでした。評価:★★★★☆お話自体は非常にシンプルな内容です。
2024.04.30
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5月20日 小学館単行本 もう興味がないと離婚された令嬢の意外と楽しい新生活 和泉杏花さん5月23日 プティルブックス 毒の寵姫は後宮で花ひらく 沖田弥子さん6月7日頃 マーマレード文庫 意地悪な姉の身代わりで政略結婚したら、 甘々に独占されて愛の証を授かりました ひなの琴莉さん6月27日頃 スターツ出版文庫 鬼の軍人と稀血の花嫁 二 夏みのるさん 麗しき花の旦那様 一ノ瀬亜子さん7月9日頃 ベリーズ文庫 極甘婚シリーズ タイトル未定 田崎くるみさん タイトル未定 高田ちさきさん 欲しいのは、君だけ エリート外交官は偽りの妻を離さない(仮) 佐倉伊織さん7月10日頃 カドカワBOOKS 異世界で姉に名前を奪われました 1 琴子さんやっぱり夏は購入作が多そうな予感(^_^;)6月もアルファポリス含めラノベ系次第とは思いますが、まだ出ていない7月期のマーマレードやビーズログ、ビーンズのラインナップが怖いです。
2024.04.29
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2024年4月刊ビーズログ文庫著者:吉高花さん『神託の乙女』として王太子妃候補に選ばれた伯爵令嬢のエスニア。前世で多忙だった記憶を持つ彼女は「今世こそぐうたら生きる」ため落選を決意するーが、王太子・サイラスは前世の夫と瓜二つで!?落選したいのに“ツーカーの仲”の彼には通用せず逆効果…「今も君を愛している」前世では愛していなかったはずなのに、今世では溺愛されてます!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 エスニア=「神託の乙女」として王太子妃候補に選ばれた伯爵令嬢。 サイラス=王国の女性の憧れの存在である王太子。伯爵家の長女ながら、継母に疎まれ使用人以下の扱いを受けていたエスニアは前世の記憶を持っていた。そんな彼女が王太子妃候補である「神託の乙女」の一人に選ばれた。実の娘・イモジェンではなく、目障りな先妻の子が選ばれるなんて、と継母は激怒し迎えに来た使者を相手に大騒ぎだった。だが、この国で産まれた者にとって「神託の水盤」の言うことは絶対だ。しつこく難癖を付ける継母を尻目に、エスニアは王宮に招かれたのだった。王宮には既にほかの候補者たちが到着しており、皆「神託の乙女」に選ばれるだけあって美しく性格も教養も申し分ない人達ばかり。地味なドレスに身を包むエスニアにも優しく声をかけてくれた。明らかに場違いな自分は候補に選ばれただけで万々歳。例え妃には選ばれずとも残った候補たちは水盤に選ばれるだけで優良物件であり、結婚相手に困らないからだ。正直、何かと大変そうな王妃より、裕福な貴族に嫁いで悠々自適にのんびり過ごしたい。だが、「神託の乙女」たちに挨拶に現れた王太子の顔を見てエスニアは唖然。なんと前世で自分の夫だった青年と瓜二つではないか。心なしか声も似ているような。前世で魔術師だったエスニアは師匠の薦めで同じ魔術師の男と結婚。10年程連れ添ったが前世のエスニアは原因不明の病で早逝。顔は良いがただの魔術オタクの夫とは友人のような関係だったが、彼なりに愛してくれていたらしい。臨終のときを迎える彼女の手を握り「生まれ変わっても結婚しよう」と告げ涙を流していた。その際、自分は何と答えたっけ。なんか嫌な予感がしたものの、規則なので王太子サイラスは候補者全員に分け隔てなく話しかけ接している。そもそも、いくらそっくりでも夫の生まれ変わりとは限らないのだ。令嬢たちは付き合いを重ねると本当に良い人ばかりで、ライバルなのにも関わらず諍いなどとは無縁だった。だから誰が選ばれても恨みっこ無し。そんな雰囲気のまま平穏な日々は続いた。しかし、それから暫く経つと、サイラスからエスニアに二人にしか判らないようなコンタクトを仕掛けられたことで嫌な予感は的中。彼は前世の夫の生まれ変わりでその記憶を持っていると確信した。サイラスがエスニアを特別視していることも他の候補者たちもすぐにピンときたようで、王太子妃は彼女に決まったに違いないと喜んでいた。つい先日前まで使用人以下扱いされた挙句こき使われ、前世でも魔術師として忙しなく生きていた彼女にとって、出来れば緩くぐうたら暮らしたいと言うのは切実な願いだ。未来の王妃なんてどう考えても忙しそうだし、気も休まらないのではと思うと絶対に嫌。でも、サイラスはあの言葉を覚えているようで、なんとしてもエスニアと添い遂げるつもりらしく、どんどん外堀を埋めて来る。そんな最中、他の候補者たちはそれぞれ公にはされていないものの、お相手が決まっていき妃はエスニアでほぼ確な状態になって行った。だがここまで来るにあたりサイラスから切実な思いを聞かされた彼女は段々絆されてしまい、まぁ王妃になるのも良いかと受け入れる覚悟を固めていた。しかし、エスニアが未来の王妃になるなど許せないと彼女の継母が異母妹と王宮に乗り込んで来て・・・。転生ものです。自分の死の間際、生まれ変わっても結婚しようと約束したし今も愛してると前世の夫であった王太子・サイラスに溺愛されるエスニア。色々大変そうな上、王族になるなんて歴史書に名前まで記載されてしまうじゃないか。後に自分が王妃時代は碌な功績も無いと書かれそうなのも苦痛だし、そこまで愛してくれるのは嬉しいけれどのんびり生きたいんだよ。そう思っていたけれど彼の必死な求愛にいつしか絆され、今や親友となった令嬢達からの後押しもあって漸く妃になる決意をするものの、そうは問屋が卸さないと継母たちが襲来。エスニアを引き摺り下ろし、イモジェンを妃にと見苦しい抵抗をするものの、先ず異母妹は神託の水盤に選ばれていないので資格が無い。なのに、エスニアがいなくなればと継母は彼女の殺害を試み、置物で殴打されて気を失ったエスニアは絨毯に包まれ遺棄されかけた所を目を覚まし、脱出に成功。サイラスの魔力で居場所を特定されたエスニアは無事救出されるのでした。今作での悪役ポジは当然ながらこの継母なのですが、終盤まで出番が無かったのでフェードアウトしたのかと思ってました。結局、とんでもないことをやらかして相応の罪に問われて投獄の憂き目に合います。まぁあれだけのことしたのに処刑にされなかっただけ感謝しないと。この継母たちの傍若無人ぶりが作中一番読んでてキツかったかも。後に正式にエスニアが王太子妃になることが発表され、後に二人は魔法復興の祖として活躍するらしいことを示唆され幕。作中、継母たちのやらかし以前にもエスニアとサイラスの前世でのこと、神託の乙女たちとの親交やお相手が決まるまでの経緯なども描かれているのですが、長くなるので大筋だけ記載してます。候補者たちはみんな本当に良い子達で仲も良く、末永く親友として付き合っていくみたいなので女同士の友情も良いなと思いました。そしてサイラスの執念にも脱帽。評価:★★★★★
2024.04.28
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2024年4月刊ベリーズ文庫著者:蓮美ちまさん副社長秘書として働く凛。ある日、同僚である元恋人にひどい裏切りを受けた上、理不尽に罵倒されていた。そこに偶然居合せた副社長・亮介が助けの手を差し伸べてくれて…。申し訳なく思っていると、「俺の妻にならないか」と契約結婚を提案され…!? 冷徹なはずの彼は、なぜか凛の前では甘い一面を見せ始める。滲み出る独占欲に翻弄されっぱなしの凛。ただの契約妻なのに溺愛は加速するばかりで…! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 立花凛=副社長秘書。真面目過ぎる性格を疎まれ恋人にフラれた。 海堂亮介=大手化粧品メーカーの御曹司で副社長。 原口孝允=凛の上司で元カレ。 近藤芹那=凛の後輩秘書。原口を横取りした。大手化粧品メーカーの秘書室で働く凛は、1年程交際していた彼氏・原口にフラれたばかり。原因は凛がヤラせてくれないからだそうだ。お互い初めての彼氏彼女だったから、ゆっくり焦らず行こうと言っていたのに、あっさり後輩に乗り換え、妊娠させてしまったと言うのだから呆れる。後輩・近藤芹那は貿易会社の重役のお嬢様だそうで、所謂コネ入社だ。勤務態度も褒められたものでなく、碌に仕事もしないので元々秘書室では嫌われ者だった。そんな芹那が堂々と原口との結婚と妊娠を発表したので、凛と仲の良い先輩は激怒していた。一層、自分への風当たりがきつくなったことから芹那は何を思ったのか、フラれた女はさっさと退社しろと迫って来たので、凛もキレた。流石に腹に据えかねて言い返せば、専務にコネがあるからいつでもあなたなんてクビに出来ると勝ち誇る芹那。そんな彼女の言葉を遮るように凛に助け舟を出して来たのは副社長の海堂亮介であった。彼は凛との交際を宣言。芹那にも専務に彼女をクビにする権限はない事を告げた。どうやら亮介も原口と芹那との物言いには思う所があったのだろう。あんな嘘までついて庇ってくれたのもそのせいだと凛は彼に礼を言った。しかし、あれは嘘ではなく本気で結婚したいと思っていると亮介から告げられて唖然。聞けば、彼の父である社長も凛の仕事ぶりと性格を褒め、息子の嫁にしたいと常々言っていたのだとか。そして彼の方も吝かではないとのこと。それはさておき、芹那の様子ではこれからも凛をクビに追い込もうと躍起になるはずだから、好き勝手させないためにも後ろ盾がいた方が良い。亮介の方も親はともかく仕事関係からの縁談がひっきりなしに来るので、断るのも一苦労。お互いメリットがあるので一先ず契約結婚でも良いから真剣に考えて欲しいと頼まれた。父が事故死して以来、子供4人を女手一つで育ててくれた母の助けになれば、と給料のほとんどを家に入れている凛にとって、給料の良いこの会社を辞職するのは避けたい。それに、コスメに憧れがあったからこの会社に入社したのだ。家族への支援含め自分と結婚してくれるなら悪いようにはしないと言われ、正直凛の心は揺れた。逆に自分のような地味な女でいいのかとも思う。しかし、案の定、翌日から芹那による嫌がらせは続き、それを注意しなければならないはずの直属の上司である原口は見てみないふり。先輩たちの助けで事なきを得ているが、余計な仕事を増やされて残業続きとなり毎日へとへとだった。それから暫く経った頃、一向に仕事をしない芹那が同僚達の批判を買って責められ、売り言葉に買い言葉で妊娠が嘘だったこと、凛から原口を横取りしてやりたかったことなどを口走って周囲はドン引き。開き直った芹那は今度は亮介に擦り寄り助けを求めたが、きっぱりと拒否られ自主退職することになった。この騒動の直前に凛は涼介の提案を受け入れ結婚を承諾。入籍もしていたので、それも芹那には気に入らなかったのかもしれない。芹那がいなくなると今度は何を思ったのか人妻になったと言うのに原口が凛に復縁を求めるように。もう結婚してるし有り得ないからと断り続けているが、尋常でない様子の原口に恐怖を覚えていた。それから少し経ったある日、亮介が手掛ける新ブランドコスメのお披露目間近になってそっくりな商品がライバル社から発売されることになり・・・。この元カレは一体何がしたいのか。禄でもないバカ女に騙されてヒロインをフっておきながら、副社長と結婚した途端に綺麗になった彼女に復縁を迫るとか。今更遅いっての。あと、当然ながら情報漏洩したのはこの元カレです。秘書室にある凛のPCを遠隔操作して資料をコピーし、ライバル社に送って報酬を貰いつつ彼女に罪をかぶせると言うなんとも卑劣な奴でした。凛のことをヤラせてくれないとか可愛げないとか罵ってたけど、こういう時にヤバイ本性が現れる男とは別れて正解。元カレがこんな調子なので、逆に亮介の株が上がる上がる。そりゃ、凛もすぐに靡いちゃうよなぁ。そもそも元カレのこと本当に好きだったのかも疑問だったし。当初は利害関係の一致からの契約婚のはずが、後に本人から撤回され改めてプロポーズされるのでした。そして新ブランドのコスメも大ヒット。数か月後に控えた式と披露宴について話し合う二人の様子が描かれて終わっています。書き下ろしの短編はとある事情で某「情〇大陸」的な番組の出演が決まった亮介のお話。評価:★★★★☆
2024.04.27
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2023年5月刊LUNA文庫著者:小山内慧夢さん王城の厨房はいつでも戦争だ。料理長のアシスタントとして働いているフィオーナには毎朝スープをある人物のもとへ持っていく役目があった。ある人物とは、ワガママで、しかも女好きという噂もある王弟殿下・レンブラントである。彼のワガママに振り回されて憤るフィオーナだったが、毎朝のことなのにどうしても彼の部屋の雰囲気と、掠れた声に慣れることができずにいた。いつも心がざわついて逃げ出したくなるのだ。そんなある日の朝、彼の目の下に著しいクマがあることに気が付いたフィオーナは、関わり合いになりたくないと思いながらも、つい声を掛けてしまい…… ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 フィオーナ=王宮の厨房に勤める料理人。レンブラント=女好きの遊人という噂のある王子。ヘンドリック=クルレード王国国王。レンブラントの兄。いつか自分の店を持ちたい。夢を叶えるために給料が良い王宮の厨房で働いている料理人のフィオーナ。尊敬する叔父がこの厨房で料理長を務めており、彼女の腕を見込んで声を掛けてもらえたのはラッキーだった。主に叔父のアシスタントとして毎日戦場のように忙しくて慌ただしい日々を過ごしている。だが、そんな忙しない本業の合間に、フィオーナはとあるやんごとなき方からの要望で専用の朝食(スープ)作りと配膳を任されていた。手違いでフィオーナが作った賄いのスープが王弟・レンブラントに提供されてしまい、その味を大層気に入ったとご指名が入ったからだ。料理人故に高貴な方に料理を絶賛してもらえるのは嬉しいが、朝食の準備に追われる同僚達を横目にレンブラント用のスープ作りをしていると申し訳なくなる。おまけに殿下はフィオーナのスープを飲んでから就寝とという昼夜逆転生活をしているので差し出がましいと思いつつ、夜遊びもほどほどになさっては、とつい声を掛けてしまった。あとで不敬だと苦情が来たらどうしよう。そんなある日、方向音痴気味のフィオーナが広い王宮内で迷っていると、奥まった場所でなにやら側近と深刻な会話をしているレンブラントを見かけた。立ち聞きする気は更々なかったものの、漏れ聞こえた会話内容は彼の兄である国王・ヘンドリックのこと。現王は優秀ではあるがそれ故に少々唯我独尊であった。おかげで古参の貴族からは良く思われていないらしい。そこで、ヘンドリックを退位させレンブラントを王位にと声高にいう者も少なくないようで、大ごとにならぬよう彼直々に動いているということだった。側近はおかげで夜遊びと勘違いされてるんですよね、と軽口をたたいていたが、フィオーナはあの日噂を鵜呑みにしてほどほどになどと判ったようなことを言ってしまったことを後悔。政治のことはよく判らないが、ヘンドリックは賢王として国民からの人気も高いし、悪天候が続き作物の収穫量が減った際には減税とし、貴族に緊縮令を出した。貴族からの反発はこの緊縮令のせいのようだが、レンブラントがこれ以上無理をしないよう祈るばかりだった。この一件で彼への印象がガラリと変わり、以降レンブラントに会う度に意識してしまうフィオーナ。不眠だと言う彼の為にハーブティーやアロマオイルを用意し、請われるままオイルマッサージ迄施してしまった。そんなある日、レンブラントから突然キスされてビックリ。遊び人でないのは判っているが、これは一体どういう意図で?きっとお礼のつもりとかかもしれない。そう思い込む彼女の様子に、全く自分の想いが通じていないと項垂れるレンブラント。彼は諸々の面倒事が片付いたら臣籍降下するつもりでいたのだが、条件が結婚ということで難儀していた。そこに好みの味を作る女性が現れ、いざ会ってみると性格も良い。以来、何かとアプローチしていたのに例の噂のせいか全く相手にされなかった。しかし、誤解が解けたのか意識してくれるようになったのは嬉しい。これを機に一気に距離を縮めようと考えていた。だが、ある夜、宿舎に帰宅途中のフィオーナは3人の男たちに脅され、三日後の晩餐会の食事に毒薬を混ぜるよう命じられた。先ず料理人の矜持として食事に毒を盛るなんてとんでもない。応じるつもりはないが、指示を実行しないとフィオーナの身内に手を掛けると言われては。悩んだ彼女は追い詰められた末に高熱で倒れてしまい・・・。王弟と料理人の両片想いカップルの恋は貴族の謀略に巻き込まれて前途多難、的なお話です。フィオーナが熱で倒れたと耳にし、看病にやって来たレンブラントは、熱に浮かされた彼女を上手く誘導し、フィオーナが命じられた兄と自分の暗殺計画を聞き出して手を打ちます。バレてるとも知らずに首謀者である内務大臣・ノリントン公爵は死んだふりをした王と王弟の姿に高笑い。べらべらと計画の全容を語ってくれるというサービスぶりを見せた後、死んでませんけど?と起き上がったヘンドリックに唖然。国王と王弟の暗殺未遂で御用となるのでした。後は芋づる式にノリントンの一派は捕縛されて一件落着。レンブラントは自らの想いを告げ、二人は結ばれます。後に宣言通りにレンブラントは臣籍降下し、フィオーナとも無事結婚に至ったというのが、数年後のエピソードで語られていました。物語的には謀略もありつつも展開自体はシンプルで読み易かったです。フィオーナの作るスープやデザートが美味しそうで読んでてお腹が好きました。レンブラントは胃袋を掴まれ更に彼女の外見がドストライクだったので必死にアピールするもなかなか気づいてもらえず。まぁ噂のせいもいあったんでしょうけど王子様ですからねぇ。臣籍降下したとはいえ、身分違いでどうこう言われてそうだけど、多分暗殺事件での功績が認められたのかな。評価:★★★★☆
2024.04.26
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2023年2月刊ソーニャ文庫著者:白ヶ音雪さん王配である父の不貞によって生まれた第二王女シルフィアは黒髪赤目という容姿のせいで『ばけもの』と蔑まれていた。離宮でひっそりと暮らす彼女にとって、幼い頃から側にいる護衛騎士オルテウスだけが心の拠り所。だが彼と鈴蘭を愛でる穏やかな日々はシルフィアの輿入れが決まったときから狂い始めー。ある日、女王暗殺を父と共謀した咎人としてシルフィアは投獄されてしまう。救出してくれたはずのオルテウスに強引に身体を暴かれ貫かれて…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 シルフィア=王配の不義により生まれた王女。 オルテウス=シルフィアの専属騎士。 ペトロネラ=シルフィアの義母で女王。 マルタン=公爵。シルフィアの父で王配。王国の第二王女・シルフィアはその生まれの経緯から貴賓専用の幽閉施設である牢館で暮らしている。彼女は女王ペトロネラの従弟であり王配マルタン・ラマルディエ公爵が奴隷出身の下女に手を出して産まれた子だ。不幸なことに下女は産褥により出産後すぐに亡くなったことで、下女を気に入っていたペトロネラがシルフィアを不憫に思い自らの養子に迎えた。身分としては第二王女ではあるが、女王の実子である第一王女と第一王子とは明らかに扱いは違い、容姿のことも相俟って王宮にはシルフィアの居場所が無かった。圧倒的に金髪碧眼が多いこの国では、黒髪に赤眼の彼女は悪目立ちしてしまう。亡き実母を溺愛していたという父はシルフィアを不憫に思ってか娘を可愛がり足繁く通って来ており、牢館住まいとは言えどその暮らしに不自由はない。気の知れた侍女と世話係の下男、そして専属騎士のオルテウスと穏やかに過ごしていた。時は流れ、17歳になったシルフィアに縁談が持ち込まれた。お相手は同盟国の公爵。こんな自分を引き取ってくれた義母の望みならと彼女は従ったが、輿入れには侍女しか連れて行けないと聞き、オルテウスと別れることになるのは辛かった。自分が去った後、義弟のユリアス王子が彼を自分の騎士にすると言っていたので後を託したのだが、オルテウスは納得いかないようで暫く不貞腐れていた。しかし輿入れ間近のある夜、館に現れた侵入者によりシルフィアは攫われかけるという事件が起きた。助けに来たオルテウスにより事なきを得るも、その際彼は犯人の持っていた松明で顔に大やけどを負ってしまった。彼に消えない傷を負わせてしまったとシルフィアはショックを受け、罪悪感から泣き暮らしていた。その後、暴漢により第二王女が穢されたいう曲解した噂が結婚相手の耳に届き、結婚は破談。女王肝入りの縁談がパァになった上、不名誉な噂に晒されたシルフィアのためと称し、ペトロネラは彼女を修道院に預けた。オルテウスは火傷のせいで王子の騎士にという話は無くなったものの、功績を認められ近衛に取り立てられたという。質素な修道院での暮らしは1年程続き、再び縁談が持ち込まれ牢館に戻ったシルフィア。今度のお相手は40歳も年の違う実母の故郷の王族。謂れの無い噂とは言え、穢れた王女と烙印を押されていは相手も限られる。後妻ではあるが王族なだけペトロネラの配慮なのだろう。唯々諾々と従ったシルフィアが、輿入れまでの間静かに過ごしていると、騎士達が館にやって来て彼女は拘束されてしまった。罪状は女王暗殺の協力者。幸い、義母は怪我一つ無いそうだが、なんとラマリディエ公爵が刃に毒を塗ったナイフで襲い掛かったらしい。その毒がシルフィアが花壇で育てているスズランから抽出されたものだとかで彼女も容疑者の一人とされたようだった。シルフィアは王宮の牢に入れられたが、翌日にはオルテウスによって釈放された。彼の話ではシルフィアは無関係だと立証されたとのこと。だが、父の殺意は本物で罪は免れず処刑は確定だと聞いて愕然とした。オルテウスは事件の時、ペトロネラの護衛を務めていたそうで、父から救ったのも彼なのだと言う。褒賞としてオルテウスは伯爵位と後継者がおらず長らく領主不在だった辺境の地を貰い受けていた。そして、シルフィアを妻として迎え入れたいと願い出たのだと。曰くつきの王女を自分が監視するという意見をペトロネラは渋々ながら受け入れたという。父の犯した罪や投獄されたショックもあって数日の間寝込んでいたシルフィアは自分が寝ている間に、オルテウスに娶られていたと知り複雑な心境に。男爵家の庶子として産まれ、子供時代は大層苦労したオルテウスは、自分を専属騎士にしてくれたシルフィアを女神のように敬い執着していたのは彼女自身も気付いていた。容姿のせいで化け物扱いされていたシルフィアを愛してくれるのは父とオルテウスだけ。彼の話ではそんな父も娘に愛した人の面影を重ね歪んだ愛情を抱いていたと言う。公爵に嫁ぐ前に攫われかけたのも父の差し金と聞いて驚愕したが、そんな危うい愛情をオルテウスからも感じる。彼からの執着は何故か怖くないし嬉しくも思う。でも自分の為にオルテウスの将来を潰してしまいたくはない。彼との結婚を拒否するシルフィアにオルテウスは強硬手段に出て・・・。お互いに共依存し執着する者同士の恋物語です。発売日に購入してたものの、パラパラ斜め読みしてたらラストの展開に唖然とし、そっ閉じしたと言う経緯がありまして(^_^;) 積読になってたのはそのせいです。とはいえ、今回通しで読んでみてそうなった経緯を見ると色々と納得。王配でありながら、妻の下女に心奪われ手を付けて子供まで産ませてしまったヒロインの父。いずれ娘の純潔まで奪おうとしてたらしいから、こいつが諸悪の根源じゃね?と思ってました。が、そんな変態を凌駕するほどの執着愛の持ち主がヒーロー・オルテウス。彼にとってシルフィアは女神で天使。彼女と過ごすうち、シルフィアが微笑みかけるのは自分だけでいいと思い始め、彼女に下心を持つ従者を殺害。ペットにしていた猫や鳥まで彼は影ながら始末していました。そこまで執着しているのに、シルフィアに縁談なんて来るものだから、娘を他所にやりたくない公爵の策に乗っかって自ら火傷を負って彼女に罪悪感を持たせ、公爵には女王暗殺を唆し続けると言う。こうしてみると愛故といえば聞こえはいいが、オルテウス怖っ。ペトロネラは夫の歪んだ愛とオルテウスの狂気に気付いていたので、シルフィアをどう救おうか模索していました。なぜならあの娘は憧れでもあったサーフィーヤの子だから。口性の無い噂に傷付かない様王宮から遠ざけ、縁談も探して来た。二度目の縁談は再び動くだろう夫を粛清するため。ラスト間際に明かされた女王の想いとか、愛も本当に色々。ほとんど狂気に近いオルテウスを受け入れ、閉じ込められることを自ら望んだシルフィアの決意もどこか狂っているのかも。それは二人の間に息子が産まれてからも変わらずに、って感じで幕。息子がしっかり父親の狂気を受け継いでそうなラストがまた何とも。読んでて気持ちが沈むってことは無いですが、何とも言えない気持ちになること請け合いなお話でした。評価:★★★★★
2024.04.25
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2024年4月刊マーマレード文庫著者:葉嶋ナノハさん家の廃業をきっかけに、父の勧めで幼馴染みの御曹司・響介と結婚することになった笑麻。おぼろげにしか覚えていない彼に再会すると、「夫婦間の愛情に期待するな」と突き放されてしまう…。跡継ぎ目的の結婚と割り切ろうと決める笑麻だが、夫婦生活が始まると、響介は予想外の甘さで迫ってきて!?義務だけの関係なのに、笑麻は彼の帯びる熱に翻弄されー。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 花菱笑麻=父の営む印刷会社の廃業を機に持ち込まれた縁談により、幼馴染の響 介と結婚した。 花菱響介=大手不動産会社の御曹司で笑麻の夫。 向坂=笑麻の先輩社員。響介の妻の座を狙っている。家業である印刷会社で働く笑麻は、ある日父から廃業する事を告げられた。昨今の不況の煽りを受けて経営難ではあったけど、やはり持ちこたえられなかったか。長年勤めてくれていた社員達に申し訳ないと思うばかり。しかも実はかなりの借金があるそうで工場と土地家屋は既に担保に入っており、来月には立ち退かなくてはいけないと聞いてさすがに絶句していると父から恋人はいるのかと尋ねられた。いないと即答すると、笑麻に縁談が来ていると言う。実は今回の件、父は大学時代の友人・花菱氏に相談していたようで、再就職先を見つけるまでは暫く面倒を見てもらえることになっているのだそう。その友人は父に大恩があるからと言うが、花菱さんとやらは相当の金持ちらしい。しかも、笑麻の身の振り方を心配する父に花菱氏は是非息子の嫁にと結婚を持ち掛けて来たのだとか。徐に響介君を覚えているかと問われ、確か前の家のお隣さんの子だったはずと答えるとあんなに仲良かったのにと呆れられたものの、なんとお相手がその人だと言われてビックリ。しかも、つい聞き流していたけれど花菱ってあの大手不動産会社の?今の響介の写真を渡され見てみたが、随分なイケメンだ。自分などが嫁に行かずとも相手に不自由して無さそうなのに。なんでも、仕事一筋で女っ気がない息子を心配しての縁談なのだとか。正直言えば、幼馴染とはいえあまり記憶に無い人なので少々気が引けるけど、父の面倒を見てもらうからには恩を返さなければ。実は彼は私の初恋の人だったの、と嘘を吐き縁談に応じたのだった。顔合わせ当日、花菱家の面々と再会した笑麻。しかし、実際に会ってもぼんやりとした印象しか思い出せない。響介の両親は大企業の社長とその夫人とは思えないくらい明るく気さくな人達で、笑麻を救世主だとばかりに歓迎してくれた。とはいえ、当の本人は始終無表情。定番の二人の時間を設けられたものの話が進まない。一応は彼の方もこの結婚自体に異議はないよう。だが、俺に夫婦間の愛情を期待するなと釘を刺されてしまった。響介にしてみれば契約結婚みたいなものと捉えているのかもしれない。ずばりと言われて少し傷ついたものの、自分の方も恩返しで決めたようなものと割り切りることにした。しかし、結婚するからには親達に孫を見せてあげたいのでそういう行為は拒否しないで欲しいとだけ告げ、彼からも承諾を取ることに成功。その後、暫く経って二人は入籍。響介との生活が始まった。この頃から何となくだが、子供の頃の彼のことを徐々に思い出して来た。当時の彼は早生まれのせいか同級生の中でも小さかったけど優しく頭のいい子で、一つ下の笑麻ともよく遊んでくれていたっけ。愛情を望むなとか言ってた割にはよく笑う上に料理も美味いと褒め完食。惜しむらくは彼が出張やらであまり子作りに励めないことくらいか。そんなある日、響介に外に働きに出たいと言ってみた。暇だからではなく、今まで家業の手伝いしかしていないので世間を知りたいのと自分でも稼ぎたいからだと告げると、ならばうちで働けばいいと花菱不動産の入社を薦められた。常々働き方改革をしているホワイト企業だそうで、途中入社でもやって行けるのではと。そう聞いて早速入社試験を受け無事社員となった笑麻。先輩たちも皆優しいし、雰囲気の良い職場に俄然やる気が出た。響介も直帰で早く帰れる日は家事を率先して行ってくれるのでありがたいばかり。先輩たちには名字から彼の妻だとすぐにバレてしまったが、家での様子を聞かれるくらいで優しくてよく笑うと話すと職場でのギャップに驚いていた。確かに、職場でたまに垣間見れる彼は無駄口は叩かないし仏頂面だった。立場上仕方ないのかもしれないけれど、少しは愛想よくすればいいのに。それから二ヶ月ほど経って、響介からの歩み寄りもあってデートに出掛けたり誕生日も祝って貰ったりと二人の関係も変化し始めた頃、営業部に配属された彼女に対して先輩社員の向坂が嫌味を連発。終いには難癖をつけるようになり・・・。お互いが初恋の人同士の夫婦が互いの気持ちに気付き仲を深めていくというお話です。笑麻の方は当初記憶がおぼろげでつい父に建前で初恋の人だと話してたものの、後にそれが事実だったと気付きます。そして響介の方は子供の頃、いじめっ子に食って掛かり撃退してくれた笑麻をずっと想っていました。が年齢を重ね大人になると金目当ての女たちに痛い目に合わされすっかり女嫌いに。そんな時にこの結婚の話が出て、今まで音沙汰なかった彼女がOKしたと聞いて幻滅。それであの顔合わせでの態度になったと響介目線のモノローグで語られます。でもいざ夫婦となると明るくポジティブシンキングな笑麻は子供の頃と何ら変わっておらず、仕事でキリキリしてた彼の心も癒し、本来の自分を思い起こさせてくれたと再び彼女に惚れて行くのでした。そして、彼女の方も当時の片りんを見せ始めた響介に惹かれ始め、彼を狙う向坂とも戦う決意をします。ポジティブなだけでなく天然な笑麻の性格に向坂も苦戦している様が可笑しく、結果やり過ぎて響介と上司に気付かれて地方に左遷という羽目に。ホント、天然は決して馬鹿じゃなくて予想も付かない言動するから太刀打ちできないんですよね。おっとりしてるから余計に。邪魔者も消え、笑麻からのアドバイスで職場での態度も少し改め始めた響介。彼の評判も変わって来た頃、笑麻の妊娠が発覚。父も再び印刷業ができることが決まり、万事が上手くいって大団円で幕。恋のライバルも出てきましたが、もう結婚してる男にしつこく付き纏う行為がなぁ。しかもその妻に嫌がらせまでするとか。コンプラ違反で上司に大目玉を食らい左遷されたのは相応の罰かと。クビにされなかったのは商社の社長令嬢だかららしいけど、こういうコネ入社の人の勘違い行動は物語ではテンプレですね。評価:★★★★★天然ゆえかヒロインの考え方が面白くて前向きなのが良いです。
2024.04.24
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5月上旬 エタニティ文庫 財界貴公子と身代わりシンデレラ 栢野すばるさん5月17日 ティアラ文庫 愛のない契約結婚は、世界一甘い罠でした 真波トウカさん5月31日 ビーンズ文庫 呪われた仮面伯爵に嫁いだ薄幸令嬢の掴んだ幸せ 花宵さん 生贄悪女の白い結婚~目覚めたら8年後 かつては護衛だった公爵様の溺愛に慣れません~ 一分咲さん6月5日頃 フロースコミックス 今世は当主になります 3 悪役のエンディングは死のみ 66月14日 ビーズログ文庫 あの日助けた幼い兄妹が怒涛の勢いで恩返ししてきます 新高さん やけくそで密入国した聖女は王弟殿下の愛に溺れそうです 越智屋ノマさん6月25日 ロイヤルキス文庫more 婚約破棄された没落令嬢 第二皇太子に下げ渡されましたが蕩けるほど溺愛されています すずね凛さん6月27日 フェアリーキスピュア 錬金術師さまがなぜかわたしの婚約者だと名乗ってくるのですが!? 葉月クロルさん6月期が割と豊作なので楽しみ。ロイヤルキス文庫のすずね凛は以前電子版で読んだお話。にしても第二皇太子って(^_^;)普通に皇太子の弟なら第二皇子でいいよなぁと、初見時に思った記憶が。
2024.04.23
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2024年3月刊密猫F文庫著者:ちろりんさん伯爵令嬢アガサは突然、憧れの美形騎士ローガンにプロポーズをされる。聞けば彼は竜の呪いにより魔力が暴走してしまう状態で魔力吸引体質のアガサに性交渉で力を吸い取ってもらうしかないらしい。「君を大切にし、夫としての務めをまっとうする」彼を救う為の契約結婚のはずが彼はアガサを愛すると誓い甘い接触を繰り返し、戸惑いつつも蕩けるような日々を過ごす。そんなある日、魔獣討伐途中の彼の魔力が暴走してしまいー!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 アガサ=家計を助けるために魔法省で働く伯爵令嬢。 ローガン=公爵家嫡男。国王・ヨゼフの従兄弟で王国騎士団長を務める。 ヨゼフ=ブリングシェアー王国国王。バートランド=王国魔導士団長。ローガンとヨゼフの友人。 ダスティン=魔法警邏隊の局長。当主が投資に失敗した挙句、多額の借金を背負ってしまったシューリス伯爵家。屋敷の売却で何とか完済したものの、借金を作った本人は責任も取らずに心労による療養のためと称して領地に籠ってしまった。大好きだった父の情けない対応には当時14歳だったアガサは心底幻滅したものだ。王都に残った母と弟のため、支援を見込んでアガサは結婚を急いだが、伯爵家の没落ぶりは社交界に知れ渡っており、馬鹿にされるばかり。中には愛人としてなら面倒見てやると言ってくる下品な輩もいて、断った際に起きたトラブルもあって、暫くは結婚は諦めることにした。その後、何とか職探しをして数年前から勤め始めたのがこの魔法省だ。アガサの仕事は所謂苦情受付のようなもので、民たちからの相談を内容によってランク付けし、騎士団や魔法警邏隊に仕事を振り分けている。ある日、国王・ヨゼフが魔法省を訪れ、アガサにある頼みごとをしてきた。彼女に王の従兄弟で騎士団長のローガンと結婚して欲しいと言うのだ。その場には当のローガンもいて、彼はアガサの前に跪くといきなりのプロポーズ。さすがに騎士団にはしょっちゅう依頼で世話になっているから彼のことも見知っているけれど、求婚されるほどの付き合いではない。一体どういうこと????ヨゼフの説明によれば、数日前魔法省から依頼された暴れる竜の討伐に向かったローガンは、死にかけの竜に噛まれ呪いに掛けられてしまったのだそうだ。以来、彼の身体に竜の魔力が宿り、定期的に発散しないとローガンは魔力の影響で暴走した挙句死に至ると言う。自分が回したあの依頼でまさかそんなことになっていようとは。思わず心を痛めたが、そこから何で結婚なんてことに?同席していた魔導士団長バートランドによれば、ローガンを救うには彼の魔力を吸収できる者が必要でそれがアガサなのだと。この国には魔法を使える者が少なくないが、アガサにはとんとその才能は無い。しかし、昨日行われた視察にてバートランドが職員全員に握手をして、潜在能力の有無を探った結果、アガサがその該当者だと判明。魔法というよりは体質なので本人が気づかなかったのも仕方ない。だが、ローガンのためには喉から手が出る程欲しい能力だった。魔力を吸収するなんて稀有な体質だとヨゼフたちに褒め祖やされたものの、その方法は手を握ったり、キスなど密な接触が必須条件。そして一番効率が良いのは性交渉なんだと真顔で言われ、結婚を迫られた意味も理解した。そりゃ、伯爵家の娘に治療と称して性交渉をせがむとなれば大問題だ。でも、公爵家の嫡男であるローガンはこんな没落令嬢と結婚なんて本当に良いのだろうかと心配にもなったが、今回の場合は国王の肝入りの縁談と言っても差し支えないものだと聞いて安心した。当のローガンも結婚するからにはあなたを大事にするし、愛情も育んで行きたいとはいうけれど、周りには事情は伏せるとは言えこれは言うなれば契約結婚みたいなものだろう。魔力を吸収し切ってしまえば役目は終わり。その時は潔く離婚にも応じなければ。余り深入りしない様心に留め、アガサはこの結婚を承諾したのだった。しかし、ローガンは翌日からアガサと親睦を深めるためと称し、魔法省に足繁く通い始めた。おかげで彼に憧れていた女性達からは妬まれたが、2ヶ月後の結婚を機に魔法省を退職するのでそれまでの我慢だ。何より、横柄な態度でアガサを見下す警邏隊局長・ダスティンとも顔を合わせずに済む。実はこのダスティンこそ、アガサを愛人にしてやると宣った侯爵子息だった。今日もウザイ絡み方をされたので、結婚して退職すると言ってやったら絶句してたっけ。それから数日が経ち、予想よりも早くに魔力暴走が起こりかけ、その場は何とかキスで収まったものの、念のためと結婚が早まり、早々に公爵邸に移り住むことになってしまった。シューリス家にはローガンが支援を約束してくれたので、アガサが働かずとも家族は暮らしていける。娘の結婚ということで領地から父もやって来たが、これからは公爵家から財務管理の者をつけるので馬鹿な投資はさせないとローガンから釘を刺されていた。支援と言い、伯爵家の管理など、報酬代わりと彼は言うけれど感謝してもしきれない。無事、式を終え初夜の役目も果たした所、やはり性交渉が一番吸収できているようで、ローガンも調子が良さそうだった。以降、感謝の現れなのかプレイボーイのヨゼフとバートランドからの入れ知恵か、毎日贈り物を寄越して来るのには参った。お菓子や花束はまぁ嬉しい。でもさすがに屋敷が買えそうなほどのネックレスは貰えないと固辞。父に釘を刺してくれた時は格好良かったのに、こうも自分のために湯水のように金を使う彼を見ると悲しくなり、つい厳しく叱ってしまった。おかげで数日間はギクシャクしたけれど、彼からの謝罪で仲直りし、お手製だと言うアミュレットを貰った時は素直に喜んだ。竜の魔力も大分吸えたと思うが、遠征により2週間ほど離れた時はやはり発散できずに暴走しかけるというトラブルも。その際、アガサには結界も攻撃魔法の類も吸収できることが判り、バートランド発案のローガンの解呪作戦が決行されることになった。それは、アガサが一度に限界までローガンの魔力を吸収し切ってしまうというもので・・・。竜や呪い、魔法などファンタジー色の強いお話でした。ローガンは自分を救ってくれる体質の没落令嬢・アガサに感謝しつつ、彼女を知るごとに惹かれていきます。一方、アガサはこの結婚は国王から命じられた任務みたいなものと思っていて、問題が解決すればお役御免と思い、深入りはしない様にしていました。しかし、ローガンの溺愛ぶりに戸惑いつつも結局は絆されてラブラブ夫婦に。そんな中、またしてもダスティンにうざ絡みされてローガンが激怒。こいつホントに性格がねじ曲がってる上にドクズでした。最後にもやらかして相応の罰を受けていたので彼女への無礼のことも有耶無耶にされなくて良かった。ローガンを救う作戦は成功し、アガサは魔力吸収の力を失うという結果となります。が、彼の体内にあった魔力も無くなったのでもう必要のないものでした。後に竜の真実や、新たに生まれた卵を巡って悶着もありつつ、大団円で本編は〆前述の通り、かなりファンタジー色が濃いですが、余計な恋のライバルとか現れないだけモヤモヤ度は少な目。お話も面白いのでサクサクと読めるのは良いですね。(イラっと来るのはダスティンのとこだけ)評価:★★★★★
2024.04.22
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2024年4月刊ベリーズ文庫著者:葉月りゅうさん天乃は脳外科医・夏生に片思い中だが、独身主義な彼との関係は8年も進展なし。そんなある日、病気が発覚して余命宣告される。少しでも夏生のそばにいたいと思った天乃は、縁談攻撃に困っていた彼に病気を隠し、期間限定の偽装婚約を持ちかけて…。実は一途な恋情を秘めていた夏生は溢れるほど溺愛を注ぎ込む。ずっと一緒にはいられないと天乃は姿を消すがーー「未来は俺が作ってやる」深すぎる純愛に包まれて…! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 清華天乃=健康食品会社に勤める会社員。 ある日病気発覚の上余命宣告をされた。 芹澤夏生=凄腕の脳外科医で天乃の想い人。 東雲=夏生が勤める白藍病院長の娘。健康食品会社で営業アシスタントをしている天乃は、ある日駅のホームで躓き転びかけた所、その場に居合わせた老医師の強い勧めもあり彼の病院で検査を受けた結果、脳腫瘍と診断された。知らせを受けて飛んできた家族も病状を聞いて茫然としており、念のためと老医師に言われ設備の整った大きい病院で診てもらったが結果は同じで、脳腫瘍のグレード3か4であろうと。このままではもって3年、早ければ1年半の命。病理検査をしていないので良性の腫瘍の可能性も無くはないそうだが、位置が悪くここでは手術は出来ないとも言われてしまった。天乃にしてみれば確かに最近頻繁に生じていた手のこわばりに頭痛、腕が上がらない程の肩の痛み、何もない所で躓くなどの自覚症状があったものの、まさか脳腫瘍だなんて。娘が余命宣告されたことで家族は天乃の親友・秋奈の兄である脳外科医の夏生ならきっと、と彼が勤める白藍病院への転院を薦めたが、天乃は頑として譲らず、夏生にも秋奈ともう一人の親友・慎太にも余計なことは言うなと口止めし、本来ならすぐ入院しなければならない所をある願いをかなえるため1ヶ月の猶予をもぎ取った。その日、営業先でもある白藍病院に出向いた天乃は、院長の娘だと言う東雲から猛烈なアプローチをされて困り果てている夏生の姿を見て、思わず助け舟を出してしまった。東雲を引かせるための言葉はマウントと思われたようだが、二人は特別な関係と受け取ったのか一応その場は引いてくれた。なんか言動がかなり天然な印象の東雲だが、夏生の方もあのめげないアタックぶりには辟易していたらしい。天乃を見ると婚約者のフリをしてくれないかと頼んで来た。実は東雲以外にもかなりの人数からその手のお誘いが来ているようで、脳外科医として多忙な彼は余計なことに気を取られたくないのだとか。これはなんという好機。1ヶ月の間にやりたかったことが叶えられるではないか。天乃は初めて会った8年前からずっと夏生に想いを寄せていて、彼と最後の思い出作りをしたかったから。偽装とはいえ、以来、周囲に不審に思われない様、デートにも行ったし、パーティーの同伴もした。しかし、東雲はまだ夏生を諦めきれないようで、二人の関係を疑っていた。ずばりと切り込んで来られた時には焦ったけれど、偶然にもその時急に文章の理解度が落ちた上に喋れなくなるという症状に襲われた天乃は碌に受け答えが出来ず、一層不審に思われてしまったみたいで万事休す。幸いにも数分で症状は治まったものの、ここ最近急に病状が進行したように思う。脳外科で有名な白藍に入院し、夏生に手術して貰うのが一番なのは判っている。でも、記憶を失くして喋れもせず寝たきりになった自分の姿を見られたくなかった。入院もあるので期間限定と決めていた偽装婚約者の役割が終わる日、夏生から好きだと告白された天乃。両想いだったのは嬉しいが、受け入れる訳には行かずに別れを告げた。職場の上司には病名を明かし、休職という形で取引先にも挨拶を済ませると、秋奈達にも打ち明けた際、夏生には言わないで欲しいと頼んだ。最後に白藍病院の担当者にも挨拶に行くと東雲に呼び止められ、偽装婚約だったことがバレて責められた。でも好きな気持ちは負けないと自らの想いを語った天乃の姿に東雲は漸く腑に落ちたようだった。しかし直後に天乃は昏倒。そのまま白藍に入院となったせいでカルテから夏生に脳腫瘍であることを知られてしまい・・・。余命ものです。タイトルにかりそめ花嫁とありますが、内容的にはかりそめ婚約者ではないかと。それはさておき、脳腫瘍の症状が徐々に表れるシーンがとにかく怖くて、好きな人には綺麗なままの自分を覚えていて欲しいという乙女心なんて捨てて、早く彼に手術してもらいなよ、とモヤモヤ。結局、倒れて搬送されたのが白藍病院だったのと、腫瘍が難しい位置なので、執刀できるのは夏生だけ。嘘もバレたし、東雲から発破もかけられたこともあって、覚悟を決め、夏生に委ねる天乃。腫瘍が言語野領域にあるため、手術中に本人を起こして確認を取りつつ摘出して行くと言う空恐ろしい手術を無事乗り越え、全摘に成功。病理検査の結果、腫瘍は良性、しかも髄膜種だったと判明して再発の危険性はほぼ無し、定期健診は必要になるものの今後の生活に支障はないと判断されたのでした。いやー、ホント良かった。やっぱりあの症状を読んでるとね。最初に天乃の症状に気付いたあの老医師が診てくれてなかったら、知らずに病状が進んでたと思うと感謝しかないですね。実はあの老医師は脳外科の権威で夏生の父と言うのが明かされてビックリ。後に夏生から再び告白され、二人は結婚して本編は終わっています。書き下ろしの番外編は本編ラストから5年後のお話。3歳になる一人息子が早くも将来有望感を発揮していました。評価:★★★★★追記最近予約投稿してるんですが、プレビューでチェックしてる割に誤字脱字が多くて_| ̄|○今回なんて評価を★5で打ったはずなのに、見返したら3つしか出てなくて慌てて直しました。すみません、気を付けます。
2024.04.21
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2024年2月刊富士見L文庫著者:坂合奏さん大国ドルマンの第一王女ジョジュは王位継承争いに敗れ、継母殺しを企てた悪女と汚名を着せられてしまう。さらに国を追放され、辺境の小国ロニーノへ嫁ぐことに。失意のジョジュを迎えたのは冷酷無慈悲と噂のエミリオン王だった。「愛を求めるな」と言ったエミリオンだが、敵ばかりの祖国とは違いジョジュを公正に扱ってくれた。ジョジュは生来の聡明さを取り戻し、若き王に反発する者の陰謀が渦巻く王宮で味方を増やしていく。凛とした姿は頑ななエミリオンを変え、二人は次第に心を通わせるが、元王妃候補の令嬢が現れーー。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 ジョジュ=大国・ドルマンの第一王女。 異母弟妹の策略にはまり国外追放された。 エミリオン=辺境の小国・ロニーノの国王。 ヴィオラ=エミリオンの元婚約者の公爵令嬢。大国・ドルマンの世継ぎの姫ジョジュは、皇妃暗殺未遂と覚えのない使い込みの罪を着せられ王籍を剥奪された。幼い頃から王位を継ぐべく努力していた彼女は、異母弟妹の策略によって王女ですらなくなり、地下に幽閉された後、父王から辺境の小国ロニーノの国王・エミリオンの妃になるよう命じられた。国交間の親睦の為の政略結婚と言えば聞こえは良いが、要は体の良い国外追放である。ドルマンから幾日もかけて辿り着いたのは雪深い寒冷の地。護衛や世話係達はジョジュの世話を嫌がり、あまつさえ本人に聞こえても構わないとばかりに大声で悪口を言っていた。あの事件後、皆に愛されていたジョジュの評判は落ち、顔も見たくないと言うのが本音だろうが、迎えに来ていたロニーノの騎士達はドルマン人の態度に眉をひそめていた。職務放棄した従者のせいで持ち込んだ荷物は置き引きの被害に遭っており、せめてこれだけはと持ってきた家族の肖像画を紛失してしまったことに消沈。しかも、城で待っていたエミリオンはジョジュに興味も無いよう。軽く挨拶を済ませると忙しいのかさっさと立ち去ってしまい、ジョジュも唖然とした。その夜、歓迎の晩餐会に参加したジョジュは、初っ端から故郷での事件の真偽を問われピンチに。エミリオンが不快を示したおかげで事なきを得たが、やはり自分の悪評はこの地にも広まっていたのかとうんざり。謂れのない罪とは言え、身の潔白を示す術が無いのだから平静を装うしかない。そして、この国でも派閥争いがあるらしい。ジョジュの輿入れを厭んでいるのはエミリオンの治世を良しとしない旧体制派だそうだが、ここは中立に徹するべきだろう。どうやらあの置き引きも旧体制派による嫌がらせだったようで、持ち去っただけでなく荷物を丸ごと王宮の裏庭で燃やされていたのを見た時は流石に腹が立ったが。少々悶着はあったものの、エミリオンの弟・ガルスニエルとその幼馴染である公爵令嬢アルムとも仲良くなり、嫁いできた以上自分に出来ることをと、ジョジュも努力を重ねている姿を見て、エミリオンを始め、徐々に彼女の味方も増えて行った。ある日、エミリオンと視察に出掛けたジョジュは、彼からこの婚姻の経緯を聞かされた。エミリオンは現在この国の経済発展のために鉄道事業に着手しているのだが、その援助をしたいとドルマン側から申し入れて来たのだとか。その条件がエミリオンとジョジュとの結婚。それが娘を救う唯一の方法だからと、父が言っていたと聞き、親心を知ったジョジュ。端から父は娘を疑っていなかったのだ。うれし涙を溢す彼女にエミリオンは君をはめて追い出した弟のお手並みをここから見ていてやるがいいと言っていた。優秀な姉を蹴落として王になったとて、国民の目はごまかせないのだからと。この一件から徐々に距離感を縮めて来た二人。この国で半年以上過ごさないと式を挙げたとて王妃として戴冠できない。その式典の準備も着々と進んで来た。質素を好むジョジュに侍女たちには嘆かれたので、数日後にある舞踏会では多少は装うことにした。当日、赤いドレスで登場したジョジュは、自分と全く同じドレスに身を包んだ女性の姿に驚愕。侍女から彼女はジョジュの前にエミリオンの婚約者だったというバルジャン公爵令嬢・ヴィオラだと教えられた。そんな彼女からジョジュはあからさまな敵意を向けられ・・・。ここに来てライバル登場。ヴィオラはジョジュの悪評を耳にしたことで余計にこの結婚が気に入らない。彼女の父が中立なのも相俟って余計に敵に回してはいけないので扱いに困るエミリオン達。でも、このヴィオラさん、今は悔しい気持ちが先んじてただけで根は悪い子ではなく、とある事件に巻き込まれジョジュと凍死しかけた際、二人で協力して危機を脱したことから蟠りも解けるのでした。しかし、この事件がヴィオレ暗殺を目論んだジョジュの仕業と言う旧体制派の罠にかかり、ジョジュは裁判にかけられ、という展開で、なんか今作のヒロイン不運過ぎる。まぁ、この時点ではジョジュには味方が大勢いたのと、ヴィオラの証言により不起訴となり、エミリオンの調査によって旧体制派の不正も暴かれ、粛清されます。ラストの戴冠式ではジョジュを罠に嵌めたあの異母弟が式典に参加し、予想通りに小物感を見せつけ周囲の失笑を買っていました。マジであんなのが国王になって本当に大丈夫なんだろうか。それはそうと、この国に嫁いで、ジョジュの人となりを認めてくれる人は増えたけど、故郷での悪評は覆せなかったので、そこだけはスッキリしなかったのが惜しい気も。評価:★★★★☆
2024.04.20
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2024年3月刊スターツ出版文庫著者:琴織ゆきさん東西南北・あやかし後宮へ4人の少女が贄妃として求められー。かつて激しい天災に見舞われ滅亡しかけた鴻国の人々は幽世に住まう妖王に救いを求めた。妖王は願いを受け止め、冥世を作り上げた。冥世では東西南北に配置した四つの宝玉に生贄を捧げることで安寧が保たれる。そして、宝玉に選ばれた生贄は皇帝の番として贄妃となりー。後宮入りした贄妃を待っていたのは果たして…?これは、鬼・宵嵐、虎・紫空、蛇・炯明、龍・憂岑の贄妃として後宮入りした少女たちが、愛を知り、幸せになるまでの4つのシンデレラ物語。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用4つの国を治める東西南北あやかしの帝とその后に選ばれた4人のヒロインの連作短編集です。ので、いつものような中盤までのネタバレは無しで。1作目の東は白、2作目は黄、3作目は紫、4作目に桃。宝玉によって選出された后たちは、各々色々な事情を抱えていて困難にぶち当たりつつ、帝を支え自らも人として成長していきます。ヒロイン達の共通点としては皆、肉親との縁に薄い事かな。個人的に好きなのは3作目のエピソードで、ラストは読んでてちょっと泣けた。4作目の最後でヒーローヒロイン大集合の上、どれだけ互いのことが好きか惚気てる様が微笑ましかったです。表紙イラストの二人は1作目の白水連組。額の宝玉印がちゃんと水連を模してたのを、カバーを外して初めて気が付きました。評価:★★★★☆
2024.04.19
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2023年7月刊チュールキス著者:悠月彩香さん誰にも言えない黒歴史がある地味OLの杏菜。ある時、イケメン御曹司・花山院梓が部長補佐としてやってくる。社内が彼の噂でもちきりとなるなか、地味子の自分には関係ないと思っていたが「懐かしいな、見違えたよ」実は彼は杏菜の黒歴史である地下アイドル時代を知る「幼なじみの梓くん」で!? 杏菜は、偶然の再会に喜び昔のような距離感で迫ってくる梓から逃げ回るが、とある事情をきっかけに梓の家に同居することに!? 昔の面影を残しつつも大人の男性に成長した梓にドキドキする杏菜。「もう待つの無理。今がいい」何も考えさせないような熱い想いに貫かれてーー。一途な御曹司と元地下アイドルOLの幼なじみラブ!! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 八神杏菜=元地下アイドルで、職場では当時のとこを黒歴史として隠している。 花山院梓=杏菜の幼馴染で勤め先の御曹司。野崎沙由良=杏菜の地下アイドル時代のユニットメンバーの一人。インテリアコンサルティング会社で契約社員として働く杏菜は、その日、子供時代にお隣に住んでいた梓と再会した。当時と名字が違うから全く気付かず、向こうから声を掛けられた時は驚いた。後に本人から聞いた話によれば、父子家庭で育った梓は引っ越し後にすぐ父を亡くし、母方の伯父に引き取られたのだそうだ。その伯父がこの会社の社長らしい。あの頃から杏菜にべったりだった梓は、再会してからというもの彼女に付き纏ってきたが、杏菜は悉く跳ね除けた。何故なら、梓は穴に掘って埋めたい程の黒歴史である杏菜の地下アイドル時代を知っているから。そもそも梓はあの頃のことを黒歴史と言う認識はないだろうから余計にいつ言い出さないかと冷や冷やものだ。だが、何だかんだと悪意の無い押しの強さに負けつつもある。そんなある日、昔のトラウマから突然背後から梓に腕を掴まれ驚いた拍子に彼女は転倒。足首を捻挫してしまった。気安い関係とは言え予想以上の反応と質の悪い行為だったと彼は謝罪し、治療費含め全額負担すると申し出た。しかし、自分も派手に驚いたせいだからと辞退し、せめてと自宅まで送ってもらったのだが木造50年以上の上、治安も良くなさそうなアパートに彼は眉をひそめていた。やっぱり、怪我が治るまで俺の部屋にと煩い彼を追い返し、眠りに就くと明け方けたたましい非常ベルの音で飛び起きた。どうやら上階で火事が発生したらしく、カバンとスマホを持って飛び出すと、古いアパートはものの数十分と絶たぬうちに全焼。パジャマにサンダルと言う着の身着のまま姿で杏菜は途方に暮れた。が、カバンに無理矢理梓から押し付けられた連絡先のメモがあるのを思い出し、あれだけ邪険にしておいて自分勝手と思いつつ彼に助けを求めたのだった。早朝4時だと言うのに梓はすっ飛んできて、部屋も余ってるからと火災保険等が降りて次の部屋が見つかるまでの間、彼のマンションで世話になることになった杏菜。そのセレブリティな部屋に慄いたが、両親は定年後九州に越してしまっているのと、足がこんななので手続きなど一人では心許なかったのは確か。自分にも責任があるからと言う彼の言葉に、ここは素直に甘えることにした。だが、火事で死にかけたことがストレスとなり、杏菜は不眠に悩まされるように。いつもならギターを弾きつつ歌を歌えば心も落ち着いたのに。地下アイドル時代も、ただ歌が好きなだけで続けていたようなものだった。歌唱力の高さを認められ人気も鰻登りになったのは嬉しかったが、それがまさか同じユニットのセンターのゆららに妬まれることとなり悶着の末にユニットも解散。暫く杏菜はソロ活動をしていたけれど、ある事件をきっかけにアイドルを辞めたという経緯から蓋をしたい過去になっている。大学を出て就職して暫くすると歌だけは歌いたくなり、不定期だかYouTubeに顔を出さずに歌ってみた動画を投稿するように。部屋が全焼してしまったからギターも焼けてしまっただろうし、いつかは買い直せたらいいなと思う。梓との生活は割と順調で気兼ねなく過ごしている。部屋探しも並行しており、今の会社の給料ならとマンションに絞って漸く条件に合う所を見つけた。梓はルームシェア感覚でこのまま一緒に暮らそうと言うけれど、流石に固辞して翌月には引っ越すことが出来た。しかし、一人で住み始めたらまたもやストレスに悩まされ眠れない上に怖くてたまらず早々にギブアップ。結局、梓の部屋に逆戻りすることになり、彼からはその際プロポーズまでされてしまった。何故か、梓といると発作に悩むことも無くなるのはそういうことなのかと思い、結婚はともかく交際についてはOKした杏菜。晴れて同棲となって過剰な愛に暑苦しくも幸せな日々を送っていたのだが、新プロジェクトの手伝いを任された杏菜の補佐として配属されて来た新入社員が、自分を敵視していたゆららで・・・。野崎という名で現れたゆららは、しっかり杏菜のことを覚えていて、しかも御曹司である梓に目を付け猛アピールを始めます。梓は杏菜一筋のため、ゆららはすぐフラれるも彼が自分が好きなのは杏菜だと宣言してしまったので、アイドイル時代の時のようにゆららは杏菜を妬み、小細工をしては彼女を困らせていました。それでも別れる気配の無い二人に最終手段に打って出たゆららは、杏菜が地下アイドルを断念せざるを得なかったと同じ事件を起こすべく、質の悪い知人に頼んで彼女を浚わせます。いかがわしい映像を撮られそうになった杏菜を救ったのは、彼女のスマホにドン引きされながらもGPSを仕込んでいた梓で、ゆららは婦女暴行未遂及び監禁の教唆の罪に問われ、知人共々逮捕されるのでした。このクソ女、前述の通り、アイドル時代の杏菜を襲わせて引退に追い込んでもいたので、本当に悪質。でも当時の杏菜を助けたのも実は梓だったと言うのも彼の口から語られてて、初耳だった彼女はビックリ。彼の支えもあって示談には応じないとし、ゆららは懲役刑を食らいます。この罰は読んでてスッキリしました。親のコネ入社で仕事も碌にしない所を見るにアイドル時代もそんな感じだったのは伺い知れるしなぁ。努力もせずに人気を奪われたと杏菜を妬むのはお門違いでしょ。そして、杏菜は梓に歌ってみた動画のことを知られ、彼の後押しで本格的に活動を開始。登録者も視聴者数も増えて人気の歌い手となって本編は終わり。梓のプロポーズも受け入れてたので、不運の連続で少々気の毒になったヒロインですが、最後は怒涛のハッピーエンドで良かったです。評価:★★★★☆
2024.04.18
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2024年3月刊レジーナ文庫著者:マチバリさん伯爵令嬢ロロナが事故死したという知らせが舞い込んだのは、彼女が王太子に婚約破棄を告げられた翌日のことだった。妹を虐げたなどといわれなき罪で糾弾されながら、その咎めをあっさり受け入れたロロナ。その死を知ったロロナの妹は喜んだ。「これで王太子は自分のもの」と。王太子は笑った。「もっと早く死んでくれればよかったのに」と。しかし、彼らは知らなかった。ロロナの死がもたらすものは、幸運だけではないということを…… ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 ロロナ=リュース伯爵家の長女。 アステル=隣国・ステラ帝国の皇子。 ルミナ=ロロナの異母妹。ベルビュート=王太子。ロロナの婚約者。学院の祝祭の日、婚約者である王太子に公衆の面前で婚約破棄されてしまった伯爵令嬢・ロロナ。しかも王太子はロロナの異母妹・ルミナと浮気をしていたらしい。解消に至った大義名分として商売をしている事や妹を虐げていた等の罪状が挙げられたが、ルミナを虐めていたと言うのは事実無根だけれど商売についてはやむに已まれずでも本当のことなので弁明のしようが無い。内心でため息を引きつつ了承したと答えれば今度は可愛げが無いと罵られた。とはいえ、王太子はこんなやり方で本当に大丈夫だと思ったのだろうか。ロロナと婚約破棄したらルミナを妃にと考えているようだが、不貞行為とみなされ貴族院に許可されない可能性が高い。そして、この婚約自体、いくら王太子とは言えどもそう簡単に覆せない約束事なのに。20年近く前、戦時下にあったこの国は一人の戦上手の伯爵によって勝利を収めることが出来た。その伯爵こそロロナの父・リュースであり、彼は英雄として祭り上げられ多額の報奨金を受け取り、当時3歳であった娘は王太子の婚約者に決まった。つまり、この婚約自体、リュース家への褒賞の一つ。それを勝手に取り上げる形になったと言うのにどう落とし前を付ける気なのか。一般的にも、どうあっても婚約破棄したいのなら話し合いを重ね、双方合意の元でなければならず、常識知らずの二人の行為には頭痛がした。ロロナは大きなため息を吐き、やってられないとばかりにその場を去ったのだった。だが、その翌日、ロロナの事故死が報じられ、周囲は騒然。馬車が横転し、美しかった彼女の顔は打ち付けられたのか無残なありさまだったらしい。知らせを聞いたリュース伯爵は、かまってちゃんな性格から娘の死に嘆き悲しむ父親を演じ、その妻であるロロナにとっての継母は邪魔な先妻の娘が死んだとほくそ笑んでいた。ルミナも昔は憧れていたが厳しい性格の姉を疎んでいたので、これで何の憂いも無く王太子妃になれると思っていた。しかし、その直後、ある問題で彼らは追い詰められることに。まず初めに、ベルビュートが勝手な婚約解消について国王夫妻にキツイお叱りを受け、貴族院と教会からリュース家に対して違約金と見舞金の支払いをするよう命じられ、その額に青くなっていた。叱責を受けた際、自分に割り当てられた個人資産から払うと豪語しただけに両親には頼れない。一方、貴族院は結婚自体が無くなった事で、王家が渡していたロロナの輿入れの為の支度金の返済を伯爵家に要求。宝石狂いの伯爵夫人は継子の支度金を使い込み一銭も残っておらず、なんとか王太子に出してもらえないかと考えていた。伯爵は伯爵で別邸に集めた剣士崩れを養う費用が家計を圧迫し、散々管財人のシェザムからも程々にして欲しいと訴えられていた。彼らは知らなかったのだ、今まで伯爵家が回って来たのはロロナが影で商売をし、その収益で不足分を補填していたことを。ベルビュートは伯爵家の現状に唖然とし、ルミナとの結婚は貴族院と教会によって反対された。金に困った伯爵夫妻は別邸と宝石を手放したくないからとルミナを成金の男爵に売る気だから助けて欲しいと縋られても手立てがない。つまらない劣等感で浮気に走り、ロロナを手放したツケによりベルビュートは追い詰められて行った。ルミナはベルビュートに会うと馬車を走らせ、不幸にも姉と同じく事故に遭い美しい顔に消えない傷が残って絶望。醜い言い合いを繰り返す両親に嫌気がさしてきた頃、思い出すのは姉のことだった。その頃、ベルビュートはヤケ酒によりメイドに乱暴を働いたとして王籍を剥奪の上、辺境の地に飛ばされることとなり、伯爵夫妻はそれぞれご禁制品をを購入したという罪で投獄の憂き目に。結果、伯爵家はお取り潰しとなり、残されたルミナはロロナが熱心な福祉活動をしていたこともあって、教会が引き取り行く行くは修道女になるだろうと噂されていた。一人の令嬢の死からたった五日の間に目まぐるしく境遇が変わってしまった彼女の周囲の者たち。影から初恋の人を見守っていた隣国・ステラ帝国の皇子アステルもまた、彼女の死に嘆き後悔していた。そんな頃、屋敷をクビになったシェザムと知り合ったアステルは、彼が受け取ったと言うとある養護院のシスターから送られて来た手紙を読んで驚愕。ロロナお嬢様が高熱で倒れ、お預かりしています。という迎えを要請するもので・・・。聡明で心優しいヒロインを顧みなかったり疎んでいた者たちは、当初は彼女の死を喜んでいました。しかし、それも束の間、彼らは不運に見舞われます。まぁ、不運というより、普段の行いのツケと言うべきか。みんな悪人とかではないんですよ、どこにでもいる心弱い者たちなだけ。ベルビュートも最初はロロナに惹かれていたものの、彼女の優秀さに非凡な自分と比較されているようで苦痛だったと浮気をした理由をモノローグで語っていました。でも彼も伯爵夫妻にしても、影ではロロナに支えられていたことに気付けなかった。ロロナの商売のパートナーだったゼリオと、異母妹のルミナはギリギリで気付けたおかげで、手痛いしっぺ返しを受けつつもどん底までは落ちなかった。ロロナが無事というのは、先ず、遺体の顔の損壊が激しく着ていたドレスだけで判断されてたっていうシチュエーションからして、フラグはあったというか。この辺りの真相は作品の肝の一つでもあるので、実際に呼んでもらった方が良いかも。最後はちゃんと報われてハッピーエンドです。文庫版の書き下ろしの短編はその後のルミナのお話。改心した成果か、妹も救われて良かったなぁ。周りの破滅っぶりが痛快でしたが、助かった者たちとの線引きが見事。評価:★★★★★
2024.04.17
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昨日(4月15日)までに購入した本です。フロースコミックス4月刊休載が長かったせいか、コミックになるまでが長かった~。そうそう最初は今内容だったとしみじみ。ベリーズ文庫4月刊3点。佐倉伊織さんの本は昨日感想記事上がってます。マーマレード文庫4月刊。他にもちょっと気になるタイトルがあったんですが、一先ず予定に入れてたこの本だけGETヴァニラ文庫4月刊好きなジャンルなので読むのが楽しみ。ビーズログ文庫4月刊こちらも転生もの。既刊本や電子書籍含めながら上記の新刊の感想記事もUPして行く予定です。
2024.04.16
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2024年4月刊ベリーズ文庫著者:佐倉伊織さんドクターヘリの運航管理士として働く真白。そこへ、2年前に真白から別れを告げた元婚約者・篤人がパイロットとして着任する。ある悩みを抱えている真白は、彼の幸せのために身を引いたのだったが…。真白が今も独り身と知った篤人は、甘く強引に距離を縮めてきて!? 「泣かせないよ、俺が」--空白の時間を感じさせない篤人の深い愛に戸惑いつつも、真白の心は彼でいっぱいに満たされていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 遠野真白=ドクターヘリチーム所属の運航管理士。小日向篤人=ドクターヘリチームのパイロット。真白の元婚約者。 綾瀬海里=篤人の友人のフライトドクター。 田崎京香=美容師。海里の妻で真白とも親しくなる。兼ねてよりの夢だったヘリコプターのパイロットとなった真白は、持病の悪化から夢を断念せざるを得なくなった。今はパイロットを引退し、医療センターのドクターヘリチームの運航管理士をしている。だが、そこでかつての婚約者・小日向篤人と再会。結婚直前に、他に好きな人が出来たと最悪な嘘までついて別れた彼は、最後まで婚約解消を渋っていたけれど、真白の意を汲んで最終的には応じてくれた。現在、篤人とは職場では事務的な会話しか交わしていないものの、彼が未だに自分に未練があることはその態度で察せられる。そして、復縁したいと思っていることも。そんなある日、篤人に無理矢理新居の物件探しに付き合わされた真白。不動産屋でおススメされたマンションは奇しくも自分と同じ所ではないか。真白の様子から、この部屋を即決した篤人は早々に引っ越してきて、お人好しな性格の彼女に付け込んでは手料理をせがんで来る。元々、彼は料理がからっきしなのは承知していたので、大事なドクターヘリのパイロットの健康維持に協力するのは吝かではない。篤人の親友の海里の愛妻弁当と真白が作った弁当の自慢大会をしているのは居た堪れないが、こうしていると当時に戻ったような気がする。篤人からの猛アプローチも激化して来ているものの、自分は応える訳にはいかない。つい、気が立って篤人に悪態をついてしまった真白は落ち込むも、彼は以降も態度を変えない。篤人が嫌いになったからではなく、何か悩みがあることにも勘付かれているようだ。その日、朝から体調不良だった真白は眩暈を起こして昏倒しかけ、半休を取った彼女を翌日海里が診てくれた。篤人に頼まれたと言う海里にさすがに医師に隠し通せないかと悟った真白は自身の持病のことを話した。甲状腺疾患によりパイロットを続けられなくなったこと、卵巣機能の低下により妊娠できない体であることを打ち明け・・・。ドクターヘリシリーズの2作目です。前作の主役CPである海里と京香も登場し、重要な役割を担っていました。ので、1作目を読んでからの方が楽しめます。今作のヒロイン・真白は自己免疫疾患で甲状腺に異常が起こり眩暈などの症状からヘリのパイロットの仕事も断念。更に卵巣機能の低下でずっと生理が止まって妊娠の確率は5%もないと医師から告げられ、悩んだ挙句篤人との結婚を諦めました。篤人は大の子供好きで、二人は欲しいんだと未来予想図を語る彼に子供を産めないとはとてもじゃないけど言えず、悩んだ末に別れを切り出したのです。とはいえ、彼の方も当時の真白が何か抱えていることに勘付いていて、一度離れることで彼女が楽になれるならと応じたという。海里のアドバイスと京香の励ましにより、篤人と向き合うことに決めた真白は持病と不妊であることを打ち明けたのでした。篤人はそんな辛いことで悩んでたんだなと理解してくれ、子供は好きだし欲しいとは思っているが、先ずは何より真白と共に生きたいのだと告げ、二人は復縁。職場にも入籍することを報告し、海里に紹介状を書いてもらって不妊治療の最先端技術を持つ、野上総合病院の婦人科で不妊治療を受け始めた真白。野上の婦人科の女医さんもこの作家さんのベリーズ作品ではサブレギュラー化していますね。時は流れ、辛い治療も真白の身体の負担を考え3年と決めて挑んだ結果、ギリギリで妊娠に成功し喜ぶ二人の様子が描かれて本編は〆。おまけの番外編は、それから約2年後のお話で、1歳になった長男との一コマでした。運航管理士という職業、この作品で初めて知りましたが、天候によっては飛ぶ飛ばないなどの判断を下したり、今作のようなドクターヘリの場合は事前に受け入れられる病院のPUもするという、かなり大変な役割。元々パイロットだったんだし、地頭が良いんでしょうね。評価:★★★★★前述の通り、2作続けて読むのがお薦め。
2024.04.15
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2021年6月刊ロイヤルキス著者:橘かおるさん王女ルイーズの初恋は亡き叔母の夫で二十一歳上のウィレム王太子。幼い頃、まるで夢から出てきた理想の王子様に初恋と失恋を同時に体験した。この淡い恋心を大切にし日々を過ごしてきたが、ある日突然ウィレムとの縁談話が持ち上がる。政略結婚でも嬉しいと思う反面、彼は今でも叔母を想い続けているとの噂が。胸が締め付けられ不安になる中「私たちは夫婦なのだから」ウィレムの誠実な言葉と甘い快楽がルイーズを包み込んでいく。だが安心したのも束の間、叔母の死の真相や王家の陰謀が二人に降りかかってきてーー。大人なスパダリ国王様×純粋無垢なお姫様の年の差ロマンティックラブ! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 ルイーズ=初恋の人の元に後妻として嫁いだ王女。 ウィレム=アランメリア王国国王。ルイーズを後妻として迎え入れる。 エレン=故人。ルイーズの叔母でウィレムの妃だった。 デボラ=エレンの元侍女。ハミルトン=ウィレムの弟で公爵。叔母であるエレンの結婚式でリングガールを務めた王女ルイーズは、エレンの夫となるアランメリア王国国王ウィレムに恋をした。とはいえ、当時の彼女は6歳で、ウィレムは27歳。21歳の歳の差はあまりのも大きい。しかも彼は叔母と結婚してしまったので、ほんの短い間に失恋と相成ったのだが、あれから8年経ってもふいにあの日のことを思い出す。それから少し経ったある日、エレンの訃報が届いてベリアード王宮は騒然。少し前から叔母は体調を崩し離宮で静養していたそうなのだが、先日容体が悪化。回復することなくそのまま亡くなったとのこと。慕っていた叔母の死にルイーズはショックを受け、アランメリアで執り行われた葬儀にも出席した。8年ぶりに会ったウィレムは歳を重ねたせいで一層色気が増していたが、かなり憔悴しているようだ。叔母との間には子は出来なかったものの、随分仲睦まじい夫婦だったと聞くのでその心痛はいかばかりか。だが、エレンの喪が明けルイーズが15歳になったある日、彼女にウィレムとの縁談話が持ち上がったのでルイーズは複雑な心境に。高々1年で後妻を迎えろなんて無神経すぎる。本音としては初恋の人に嫁げるのは嬉しいけれど、ウィレムの気持ちを思うと手放しには喜べない。それに、案の定彼の方から丁重な断りの手紙が来たのでガッカリしつつもホッともしていた。しかし、どうしたことかあれからあちこちでウィレムに遭遇している。母が腰を痛め療養について来れば、彼も休暇に来たのだと1週間ほど行動を共にしたし、少しして父の即位20年の祝賀にも彼自ら直々に来訪したりと。そんな折、再びウィレムとルイーズとの婚姻話が持ち上がり、どうやら今度ばかりは決定らしい。何かと争いが絶えない隣国・デュセーリア国の王女が嫁ぐという噂もあったが、あちらに力を付けられては困ると、焦ったベリアード側がゴリ押したと聞く。だがアランメリアの方もウィレムに子がいないので周囲がせっついたのとエレンが亡くなって4年も経っていることもあり、彼も悩んだ末にどうせならルイーズを娶りたいと言うことで同意に至ったようだ。この時、ルイーズは18歳、ウィレムは39歳になっていた。二人の結婚はアランメリア王国の民たちにも歓迎され、始まった夫婦生活は穏やかに過ぎて行った。後妻の座を狙っていたというボーバン伯爵令嬢に恨まれ、聞こえよがしな陰口を叩かれたり嫌な思いもしたが、一々気に掛けない様努めた。陰口が耳に入ったらしい侯爵夫人からもただの僻みだから相手にしないに限るとアドバイスも受けたけれど、ああいう害ある言葉は地味に傷付く。ウィレムとの仲も上手く行っているとは思う。若い嫁なので世継ぎを望まれているのは判るが、嫁いで8年も授からなかった叔母はプレッシャーも一入だったに違いない。そんな頃、ウィレムの元にある医師からの報告が届き、エレンの死因がヒ素中毒によるものだったと判り彼は愕然。療養中にエレンが住んでいたプチロワイヤル宮の壁紙に使われていた塗料にアセト亜ヒ酸銅が含まれていたようだが、あくまで微量なのでそのままなら人畜無害のものだった。しかし、その近くでカビが発生するとそれが化学反応を起こしヒ素毒となる。いくらなんでも王妃が住む宮でカビが生えるような掃除はしていないはずだし、専門家が見ればすぐバレる。何者かが故意にエレンの寝室にカビを持ち込んで毒素を発生させ、後に証拠隠滅を図ったのではとウィレムは思い立ち、早急にプチロワイヤル宮の封鎖を命じた。取り壊すのが一番良いのだが、エレンお気に入りの宮だったことは周知のことなので世論を慮り、表向きは霊廟にすると発表。一旦封鎖して壁紙と塗料の撤去をすることになったのだが、この霊廟発言が思いもよらぬ波紋を呼び・・・。ウィレムの前妻が謀略により亡くなった事が判明し、ルイーズを守るためにもと即行動に移したは良いが、いくら大好きな叔母とはいえ前妻の霊廟を作るとかルイーズの気分も良くない。そんなに叔母が愛した宮なら一度でいいから入ってみたいと頼むも、まだ毒素があるかもなのでそんなところに行かせられないと拒否してしまったウィレム。おかげで夫婦仲にも亀裂が。この件に関しては普通にルイーズに打ち明けても良かったんじゃないかと思います。そもそもエレンとウィレムの結婚に反対する者たちがいるとか、ルイーズだってショックを受けるだろうけど一国の王女なんだから理解できるはず。世論もあるから取り壊しも出来ないんだけど、工事が済むまで待ってて、と言えば済む話だったんですよねぇ。ルイーズは所詮叔母の身代わりと思い込んでるし、その頃から今度は彼女が狙われ怪我することが増え、いよいよ追い詰められたウィレムは心配のあまりルイーズを罪を犯した王族を監禁するために作られた塔に閉じ込めると言う暴挙に。実のところ、ウィレムはこの若い奥さんにベタ惚れだったのです。エレンとは飽く迄政略結婚で結ばれた同志みたいな関係での結婚生活だったというのが彼のモノローグで語られてました。ルイーズのことは15歳になった彼女を見てあまりの美しさに一目惚れ、でも歳の差を気にして一旦縁談を辞退したものの、療養先まで追いかけ式典にも参加するくらいには諦めがつかなかった。その後、ルイーズに縁談が次々舞い込んでいるのを知り、彼女ももう18歳。なんとか行けるかと婚姻に承諾したのでした。さすがに21歳差となると年上側も色々葛藤するんですね。事件の首謀者については特に捻りもなく。息子に王位をと焦っていたハミルトンとデュセーリアの間諜だった侍女のデボラによるものと判明。解決に伴い、自分の本心と諸々の事情を話したことで二人は仲直り。ルイーズが懐妊したのかも?な所で終わっています。元は今はもう無いレーベルで発売された文庫本をロイヤルキスで電子書籍化したお話だそうです。2015年というから本当に王道も王道の貴族TLって感じの内容でした。イラストのCielさんの絵も2021年にしては、だったので巻末の注意書きを読んで納得。評価:★★★★☆
2024.04.14
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追加で今月発売分も少しあります。4月下旬 レジーナ文庫 婚約破棄された不遇令嬢ですが、イケオジ辺境伯と幸せになります! 天田れおぽんさん 悪役令嬢に転生したので、すべて無視することにしたのですが・・・? りーさんさん5月2日 小学館文庫キャラブン! 陰陽師と桜姫 あすみねねさん6月7日 マーマレード文庫 お見合いを断ったら、溺甘な陸上自衛官から熱烈求愛が始まりました(仮) 木登さん 年下御曹司の契約違反な溺愛 ~離婚前提なのにS系旦那様に毎夜甘く囁かれてます~(仮) 伊月ジュイさん6月10日頃 ベリーズ文庫 タイトル未定 吉澤紗矢さん タイトル未定 にしのムラサキさん 婚約破棄された芋虫令嬢は女嫌いの完璧王子に拾われる ~溺愛されるなんて聞いてませんけど~ やきいもほくほくさん7月10日 蜜夢文庫 夏の終わりに夕凪に 吐息は熱を・・・(仮) 2 西篠六花さん蜜夢文庫の西篠さん、また延期になったのかなと思いきや、2巻という文字にビックリ。続きものだったんですね。7月期もぽつぽつとタイトルが出始めましたが、マーマレードとベリーズのラインナップが怖い。
2024.04.13
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2023年9月刊マカロン文庫著者:花木きなさん親が決めた男性とお見合いをすることになったウブな令嬢の優歌。お相手であるエリート御曹司の滉大と、初顔合わせのその日からいきなり同居開始! 緊張する優歌に対し、優しく紳士な振る舞いの滉大だけれど、内心は優歌への溢れ出る愛情を隠すのに必死で…。実はふたりは過去に一度出会っていて、滉大はずっと優歌を想っていたのだ。そんなことも知らない優歌だけれど、毎晩甘く愛され、ついに子どもを授かってーー!? 想いもしなかった滉大の果てしなく深い愛に、優歌の心は甘く絆され…。【極秘の切愛シリーズ】第三弾! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 八神優歌=箱入りで世間知らずなのがコンプレックスな社長令嬢。 八神滉大=優歌の夫。製薬会社の副社長で後継者。 日野西=優歌の同級生。社長令嬢の優歌は自他共に認める箱入り娘。今までの人生、小遣い稼ぎ程度のアルバイトしか経験したことが無く、これも社会勉強のためにと優歌が希望し、渋る両親を何とか説き伏せて勝ち取ったものだ。だが、26歳にもなって碌な就業経験が無いことを内心では恥じていた。そんなある日、父の会社と今度業務提携するらしい八神製薬の御曹司との縁談が持ち込まれ、お見合いすることになったのだが、驚いたことにもう結婚は決定事項のようだ。要はお見合いとは名ばかりの顔合わせということか。しかし、見合いの席に現れたのは本来のお相手である長男・柊斗ではなく、次男の滉大だった。当日に相手が変更なんてあまり聞いたことが無い。しかし、滉大は兄の柊斗には結婚間近の恋人がいることが判り、急遽自分が優歌のお相手に選ばれたと説明し謝罪。両親にしてみれば八神家の者なら問題なしと思っているようであっさり変更を受け入れていて驚いたものの、柊斗のちょっと近付きにくい雰囲気に比べ、滉大は人当たりの良さそうな優し気な印象だ。それにどこかで会ったことがあるような。彼とは話も弾み、滉大の希望もあって二人は早々に入籍。式と披露宴についてはお互い落ち着いたらということになり、彼の暮らすマンションでの同居が始まった。ほぼ初対面で入籍したにしては、優歌も彼も穏やかな性格なのと音楽という共通の趣味のおかげで割とすんなりと打ち解けた。それに、ほんの数日前までは厳しい門限に両親の過干渉により窮屈な生活を強いられていた優歌にとって滉大との暮らしは初めて味わう自由であった。生活に不自由はないけれど、短時間でもいいから何か仕事をしてみたい。でも、同じマンションに住んでいる彼の従兄の律樹とその妻・椎花の娘を見ていると子供が欲しい気持ちもある。滉大と相談して早めに妊活に入るとそれから暫くして優歌の妊娠が発覚。彼に報告しようとした矢先、偶然滉大が見知らぬ女性と親し気にしている姿を見て浮気を疑うも、意を決して尋ねたら、先日入籍した柊斗の妻・梓だと知って気が抜けた。元々彼らとは幼馴染の間柄だというから、なるほどそれであの距離感だったのかと納得し、滉大に子供が出来たと報告すると彼は大喜び。日が経つとつわりに悩まされたが、滉大の甲斐甲斐しいフォローにより何とか乗り切った。その間、エスカレーター式の学校の同級生・日野西と再会。結婚したと報告したのに、どうせ政略結婚なんだろうとやたらとモーションを掛けられて正直参った。妊娠したと告げると漸く諦めたようだったが、日野西があることない事滉大に吹き込んでくれたおかげで、弁解するのも一苦労。それにしても、滉大は初対面から私に好意MAXだったように思う。まあ、興味なさ気にされるより百万倍は良いけれど、普通ピンチヒッターのように決まった結婚とその相手をこうまで溺愛するものだろうか。今更ながらに疑問に思った優歌であったが、それもそのはず、滉大にとって彼女は将来について悩む自分に発破をかけてくれた恩人で・・・。優歌と滉大は15年ほど前に出会っていて、その頃の彼は柊斗が医師の道に進むことになって自分に後継者のお鉢が回って来てしまいそのプレッシャーに押しつぶされそうになっていました。しかも優秀な従弟とも比べられていたのでプチ家出を決行した滉大は優歌と出会います。思わず小学生に愚痴ってしまって内心恥じていたら、優歌の答えは厳しいもの。でも誰かに言ってほしかった言葉でもあり、滉大が立ち直る切欠となった出来事でした。残念ながらその後彼女とは会えず、初恋の子として胸に刻んでいた所、何と兄の見合い相手が優歌だと判り、自分と変わってくれと頼んだというのがこの結婚のあらまし。優歌の方もこの話を覚えていて道理でどこかで見た顔だと判り、彼の態度の理由も判ってスッキリ。やがて安定期に入り、予定していた式と披露宴も大丈夫だろうと思っていた矢先、連続で前置胎盤の症状が出て入院となって式は延期。計画出産となってしまうも、後に長男・拓海も産まれて本編は終わり。書き下しの番外編はラストから1年後、久しぶりの夫婦水入らずのデート話でした。政略結婚とはいえ、過去の出会いと繋がりラブラブ夫婦になった二人に降りかかるトラブルが主な内容だった印象です。シリーズ3作目で完結エピなこともあって前2作の主役たちも全員登場。みんな仲良くやってます。兼ねてより働きたいと言う漠然とした希望を持っていた優歌は、律樹の妻・椎花の薦めで趣味で作っていたアクセサリーの委託販売を始め、自分に合った仕事を見つけたと大喜び。センスも良いので商品は大人気だそう。手先の器用な人って羨ましい。料理上手だし気立ても良い。ホント、初恋を諦めなくて良かったね滉大さん。あと、同級生の日野西のウザさぶりに読んでてイラッ。評価:★★★★☆べリーズ文庫ほどのページ数ならならもっと色々起こってそうなお話。
2024.04.12
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2023年7月刊ベリーズ文庫著者:夏雪なつめさん彼氏に浮気されて家もお金も失ったOLの紬。実家に帰ると借金取りがいて脅される始末。そこに、父に恩があるという老舗呉服店の御曹司・秋人が現れて…。借金を肩代わりしてくれた彼と契約結婚することに! 威圧的な印象の秋人を嫌悪していたのに、なぜか甘さを増していく彼の溺愛に翻弄される日々。「いいだろ、夫婦なんだから」--痺れるほどの熱情を刻み込まれると、もう陥落寸前で…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 滝沢紬=父の借金の肩代わりをしてくれた秋人と契約結婚をした。 貴島秋人=老舗呉服店副社長。 花香藍=秋人の友人の茶道家。貴島小乃羽=秋人の義姉。小さな電子機器メーカーで働く紬は、最近とことんツイていない。同棲していた年下の恋人に浮気をされた挙句、家具家電一切と預金通帳とハンコを持ち逃げされ、部屋はすっからかん。財布に入れていた3万円が全財産となってしまった。しかも、あのクズ男は紬のカードで散財していたらしく、その支払いで給料が吹っ飛んだ。当然カードは現在利用停止にしているが、これではお人好し過ぎて借金を背負ってばかりいる父を責められない。先輩からもあんなヒモ男とは別れた方が良いと言われてたのに。とはいえ、浮気はともかく、こんな泥棒紛いのことまでしでかすとは思わないではないか。ため息を吐きつつ、いつものように出社すると、入り口に人だかりが。ドアに貼られた紙の文章を読んで紬は茫然。なんと会社が倒産してしまっていたのだった。踏んだり蹴ったりとはこのことか。一時的に困窮しようとも正社員だから何とかなると思っていたのでもう笑うしかない。失業保険は出そうだが心もとないのでアパートを引き払い父を頼ることにした。申し訳ないけど次の職を見つけるまで実家に住まわせてもらおう。一応、留守電に近々帰る旨を知らせ、数日後実家に戻ると、父の営む呉服店の入り口には閉店しますの文字。焦って家屋の方に行くと父の姿はなく、事情を綴った手紙ととある人物の名刺が置いてあった。どうやら父はそのお人好しぶりに付け込まれ連帯保証人になっていたようだ。そして、借金した当の本人はドロン。父に返済義務が出来てしまい、その金額なんと3千万。返すあてが無いからか父は雲隠れしたようで、間の悪いことに丁度手紙を読んで真っ青になっていた所に借金取りが来てしまった。見るからにカタギじゃない男たちは払えないなら紬を風俗で働かせると恐ろしいことを言ってるし、一人パニくっていた彼女は突然現れた一人の青年に助けられた。彼は貴島秋人と名乗り、紬の父に頼まれてやって来たと告げた。そういえば、彼の名刺が手紙の横に置いてあったっけ。秋人は闇金業者に3千万は自分が払うと言い、弁護士から連絡をさせるからと彼らを追い払ってくれた。彼のおかげで一先ず助かったようだが、家に上げた秋人から借金を肩代わりした代わりに俺の妻になってくれと言われて仰天。聞けば、秋人の祖父は紬の父に大恩があり親しい友人同士でもあったのだとか。その縁で彼の母とも懇意にしていたそうで今回の借金の件も恥を忍んで秋人の母に相談したらしい。どんな条件でも飲むと土下座したした父が承諾したのはお互いの子ども同士の結婚。顛末を聞いて、いくら切羽詰まってたからって娘を借金のカタにするなんて、と紬は憤慨したが、約束を反故にした場合耳を揃えて金を返して欲しいと言われ、条件を飲むしかなかった。それにしたって、父の店とは比べ物にならない程の老舗呉服店の後継者の妻が自分のような女で彼の方こそ良いのだろうか。しかし、秋人の方もこの結婚に関して多少のメリットはあるらしい。契約婚だと思ってもらえばいいと押し切られ、渋々婚姻届けにサインした紬は、その日のうちに秋人の住む屋敷に連れて来られ同居することに。最初の頃は秋人の俺様な性格に腹を立ててばかりだったが、一緒に暮らすうちに口は悪くても優しい人だというのは判って来た。結局絆されてしまう自分は単純だなと思いつつ、大嫌いだった着物の着付けや生地の勉強も始めた紬。昔、夫と娘を捨てて男と逃げた母は着物の似合う美人だった。だから、呉服屋の娘ながら着物に良い印象が無い。それでも母が結婚式で着たという赤い色打掛は処分できずに大事に持っている。かなりの値打ち物と聞いているが、元カレには価値が判らなかったようで持ち出されずに済んだのは不幸中の幸いであった。母への複雑な心境も秋人にはバレバレで、図星を刺された際は言い合いに発展したけれど、以来彼との距離も近付いて来たと思う。秋人の友人で茶道家の藍とはチャラチャラしてるが、話上手で慣れない日々の癒しとなり、秋人がヤキモチを妬いていたと聞いた時には心底驚いた。暫く経って、藍との会話をきっかけにそういえば秋人の実家に挨拶していないと今更ながら気付いた紬は彼に尋ねるとその必要はないときっぱりと告げられ、紹介する価値も無い存在なのかと胸を痛めた。だが、後に秋人から彼の祖父が病で倒れてからお家騒動が起こり、秋人の両親が経営方針で揉めに揉めて離婚。姑と秋人が貴島呉服店を引き継ぎ、舅と彼の兄・瑛士がそのライバル社を立てたことで今も絶賛対立中だと言う。そりゃ、不仲な家族に合わせるのを躊躇うよねと藍からも言われて、祖父が亡くなってからは更に激化しているらしい。お互い、祖父のためという名分なので双方一歩も引かずな状況下、あちらがスパイとして店に潜り込ませていた男の暴走により、紬が襲われそうになったことで秋人が激怒。流石にやり過ぎだと向こうも認めたようで謝罪のつもりか、祖父の七回忌に舅の屋敷を出禁になっていた秋人が招かれた。紬も同伴し、漸く彼の家族と会うことができたのだが、案の定空気は最悪。瑛士の妻の小乃羽がムードメーカーなおかげで多少は救われたものの、瑛士から自分の妻は弟の初恋の人で未だに想いを寄せているんだと聞かされ・・・。薄幸というよりは不運続きって感じのヒロインですが、結局は色々な積み重ねで生涯の人と出会ったって感じのお話です。ヒーロー・秋人の家は上記の理由で絶賛大喧嘩の真っ最中。義兄もわざわざそんな告げ口せんでも。性格悪すぎる。余りにも気になって、後に秋人本人に紬が率直に聞いた所、初恋なのは確かだけど小学生の頃のことで今は幼馴染であり義姉という感情しかないときっぱりと否定。モヤモヤも晴れてた上に、彼から今好きなのは紬だと告白され両想いに。とはいえ、まだまだ問題は山積み。この結婚の本当の理由やあの色打掛に纏わる秘話などが明かされ、それが秋人の両親たちをも巻き込んで良い方向へと進んでいきます。まぁ、この直前に行き違いがあって破局の危機も有ったりするんですが、かなりの終盤なので解決も早かった。紬の母も実は駆け落ちとかではなく嫁姑問題が拗れて出て行っただけだという(^_^;)なんで親戚連中も不確かな噂話を子供の前でするのか。でも、秋人の采配により二人の結婚式で母子の再会が叶って本当に良かった。例の3千万は起業して社長になっていた紬の母が返済したというオチも。実のところ、序盤を読んでた時にあの元カレが再び現れてまた何かしでかすのかと思ってましたw評価:★★★★☆
2024.04.11
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2023年4月刊LUNA文庫著者:白柳いちかさん母を病で失ったバレ伯爵家の長女、エミリエンヌは伯爵家で孤立していた。冷たい家族に余所余所しい使用人、そして遠い異国の地にいる婚約者。いっそ修道院へ入ろうかと考えていたところに、婚約者であるベルナールの帰国を知る。近いうちに会いに行くとのメッセージを受けとったエミリエンヌ。だが、彼に一目惚れした異母妹から婚約者の座を譲るよう迫られ、もう期待したくないと父に判断を委ねてしまう。一方、バレ家でエミリエンヌを孤立させようとする義母に怪しまれないよう、義務的な婚約者を演じていたベルナールは、ようやく妻として迎え入れられると楽しみにしていた。しかし、そんな中もたらされたのは婚約の破談とエミリエンヌが修道院へ入るとの噂で……? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 エミリエンヌ=伯爵家の長女。継母に嫌われ蔑ろにされていた。 ベルナール=侯爵家の跡取りでエミリエンヌの婚約者。 ソランジュ=エミリエンヌの異母妹。 ナタリー=エミリエンヌの継母。 バレ伯爵=エミリエンヌの父。王宮で事務次官を務めるバレ伯爵の長女・エミリエンヌは、屋敷で孤立していた。継母が彼女を疎み、徹底的に家族と関わらせなかったせいだ。エミリエンヌの実母は彼女が4歳の時に病死し、父は妻によく似た娘を大叔母に預け遠ざけた。だが、女性は爵位を継げない事がネックとなり親族たちに押し切られ渋々再婚。それが今の伯爵夫人・ナタリーである。夫人は後に娘のソランジュと待望の男児・オーバンを産んだ。元々、跡継ぎを設けるのが目的の再婚、息子が産まれると父は仕事に没頭。屋敷にはほとんど帰ってこなかった。その頃になってエミリエンヌも大叔母の屋敷から戻されたものの、優しかった古参の使用人達は皆解雇されており、見知らぬ者ばかり。継母は実の子であるソランジュとオーバンだけを可愛がってエミリエンヌは無視されていた。それでもさすがに世間体を考えてか社交界デビューはさせてもらえたが、介添人は不要とナタリーに一喝されて以来舞踏会などの社交活動の参加も出来ず、おかげでドレスも普段着だけで充分だろうと予算も大幅に削減されている。幸い、彼女には幼い頃に婚約を交わした侯爵家の嫡男・ベルナールがいるので、あくせく舞踏会に出てお相手を探す必要はないのだが、実のところ、夫人が実の子だけを可愛がり、先妻の子を蔑ろにしているというのは社交界に知れ渡っていた。なので、唯一継母に許されている孤児院への奉仕活動で顔を合わせる同じ支援者の貴婦人たちからの探りが凄くてエミリエンヌも内心で苦笑い。彼女達は亡き母とも親しかったらしく、きっと心配してくれているからだろう。そんな会話の中、外交官を務めるジェラン侯爵一家が先日帰国したと耳にし、長らく会えていないベルナールを思い出した。でも婚約者とは言え彼は、年に一度義務的に手紙と贈り物を届けて来る程度で、実はもう私に興味が無いのかもしれない。だが、その日帰宅すると彼から手紙が。近日中に挨拶に来ると言う。早速返事を書こうとしているとソランジュがやって来て、ベルナールに一目惚れしたから婚約者を変わってほしいととんでもないことを言いだした。継母が甘やかすので随分な我儘娘に育った異母妹にため息が出たが、さすがに家同士で決めたことを自分の一存では決められないと却下した。それでもしつこく食い下がってくるので、父が許可するなら良いとまだ煩い妹を追い出した。まぁ、いくら家族に興味の無い父でも許可はしないだろう。でも、万が一の可能性もある。ついさっきもし許してくれたら?という底意地悪そうな妹の笑みに、その時は修道院にでも行くからと返答してしまったのはやり過ぎだったか。一方、バレ伯爵家に潜り込ませていた使用人からの報告で、エミリエンヌの異母妹の我儘とその詳細を聞いたベルナールは激怒していた。ナタリーが後妻になってからというもの伯爵家はめちゃくちゃだったが、ここまで愚かとは。この件についてはソランジュの独断とはいえ、どう甘やかせばあんな考えに至るのか。父に付いて家族で隣国で暮らしていたベルナールは愛しい婚約者にせっせと手紙やプレゼントを贈っていた。大叔母の家に預けられていた時は返事も早々に貰っていたけれど、彼女が伯爵家に戻ってからは待てど暮らせど返事が来ない。まさかと思って諜報活動に長けた者を使用人としてバレ家に潜伏させたら、エミリエンヌと親しくしていた友人からの手紙や招待状の類は全て彼女の目に触れる前に処分されていた。当然、ベルナールの手紙も。ショックだったが彼女はもっと憔悴していただろう。届かない手紙に心変わりを疑ったかもしれない。そこで、誕生日などの大事な日には侯爵家から使者を立て直接手渡すようにした。任期が終り、漸く帰国できたと思えばバカ女のせいで婚約解消されそうな勢いではないか。その日、王家主催の舞踏会に参加を許されたエミリエンヌはベルナールと再会。彼女の為の馬車さえ用意されておらず、一人ぽつんと迎えを待つ彼女の姿にベルナールは作戦を決行。自分の馬車で送るからとエミリエンヌを半ば無理矢理乗せ、眠りを誘う香で彼女を眠らせると屋敷の離れに閉じ込め・・・。その頃、伯爵家ではエミリエンヌが帰ってこないと大騒ぎ。知らせが行って久しぶりに帰宅した伯爵は執事からの報告で、ナタリーによる娘への仕打ちに唖然。そもそも、目的地に送り届けたら馬車は一度屋敷に帰らせ、頃合いを見て迎えにやっていたと言うから誘拐などの危険性を考えれば有り得ない。まして保護者替わりの介添人も不要として舞踏会にもほとんど参加させなかったと聞いて大激怒。止めにソランジュの我儘の件といい、何もかも自分が娘を一人きりにさせてしまったせいだと伯爵は自分を責めます。まぁ、実際その通りなんですけど(^_^;)でも元々優秀な人なので決断も早かった。ナタリーを糾弾し本人もそれを認めるとこれまでの振る舞いの罰として田舎の領地での謹慎を命じます。離縁はしないけど今後は伯爵家と家族には関わらせないと宣言。ソランジュの希望も勿論却下。それ以前にベルナールがエミリエンヌに惚れてるのに向こうが承知するはずないわけで。次女の我儘放題な性格も矯正が必要と後継のオーバン共々、王族の教育係も務めあげた大叔母の元に預けるなど、何だやればできるじゃんお父さんって感じ。監禁状態のエミリエンヌの方はガッツリとベルナールの想いを教え込まされたのと彼の母から聞いた母の遺志を聞いて我慢するのを辞めるのでした。その後、再会した父からの謝罪も受けて、後に二人は結婚。舅と同じく外交官となったベルナールと共に隣国で暮らしている様子が描かれて終わっています。継母に虐げられていたヒロインですが、世間体を気にしてか使用人扱いしてたとかではありませんでした。が、じわじわ孤独に追い込むってのは正直性格悪いなぁと。とはいえ、これは継母を愛さなかったお父さんのせいでもあって娘への扱いを知った父は猛省したものの、何か20年近く放っておかれた側としては今更って感じだし複雑よね。婚約者も状況判ってたならっもう少し何かできたような気も。評価:★★★★☆
2024.04.10
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2024年3月刊角川文庫著者:沙川りささん生まれつきある痣のせいで家族から虐げられてきた商家の娘、リディア。18歳の誕生日を迎えた夜、家族に殺されかけたところを突然現れた美しき銀髪の貴人に救い出される。連れていかれたのは国生みの聖獣が住むとされる屋敷。彼ーエルヴィンドは聖獣本人であり、リディアは“聖獣の花嫁”なのだという。信じられないリディアだが、彼に大事にされる日々が始まり…?生きる理由を求める少女×訳アリ聖獣の異類婚姻ロマンス譚! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 リディア=実母と姉に虐げられている少女。エルヴィンド=この国を守る聖獣。長らく花嫁を探している。 ノア=エルヴィンドに仕える少年。 イサベレ=リディアの母。 ヨセフィン=リディアの2歳年上の姉。生まれた時から母に嫌われ、長らく虐げられているリディア。今日も母に難癖を付けられた挙句、姉に足を掛けられて階段から転げ落ちた。生傷が絶えない彼女は自衛のために自室でひっそり薬草を育てている。どうして自分がこれほどまでに疎まれるのか、理由は知らない。ただ、母と姉には家族扱いされていないのは確かだった。お前は醜い、決して家族以外の者に顔を見せてはいけないと厳しく言いくるめられ、出入り業者から荷物を受け取る際は袋を被って応対している。鏡を見ることも禁じられているため、彼女は自身の顔も見たことが無い。そんなある日、ヨセフィンが兼ねてより交際していた軍人・ベンノに嫁ぐことが決まったとのことで、母もベンノが暮らすアーレンバリに引っ越すという。その際、リディアは連れて行かないので嫁入りの日になったらここを出て行けと告げた。突然、自由を与えられた彼女は戸惑ったが、新しい職を見つければ何とか一人でも生きて行けるだろう。そう思っていたのも束の間、いよいよヨセフィンの嫁入りの前日、母たちが醜い厄介者と蔑むリディアを殺す算段をしている会話を聞いてしまった。母たちはタダ働きでも文句を言わない召使が必要だっただけ。ベンノは商売もしているから羽振りが良く使用人も大勢いる。必要無くなった厄介者は始末して行くに限る。家族扱いされていないとはいえ、どうしてここまで嫌われるのか、嘆き悲しむ彼女に話を聞かれたことに気付かれ、鬼の形相の母に追い詰められたリディアの背中が熱を帯びた。そして、背後に何者かの気配を感じると、彼女は目も眩む光に包まれ意識を失ったのだった。目覚めるとそこは姉の部屋のように豪華な一室のベッドの上。傍には白銀の髪をした美しい青年が。彼はエルヴィンドと名乗るとリディアは自らの花嫁だと告げた。彼のことはリディアですらも知っている。神殿近くに住まう貴人であり、この地を守る聖獣ファフニールだと。本来は獅子に似た獣の姿なのだが、人間の姿で暮らしているのは花嫁を探しているから。故に、ここに住む女性は誰しも自分が花嫁かもしれないと一度は夢に見るのが定説だ。リディアには関係ない伝説だと思っていたが、まさか自分がその花嫁だったとは。俄かには信じられなかったが、この屋敷に来てからというもの、妖精と呼ばれる存在が見える。エルヴィンドに話すと精霊に縁ある者の特徴らしい。要は花嫁だからこその力というわけか。長らく粗食だった上、母たちからの虐待で痩せ細っていたリディアには先ず休養と栄養を取ることを優先させられ、体調が整えば式を挙げると説明を受けた。神殿には念願の花嫁が見つかったと既に報告済みだそうで、神官だけでなく民たちも喜びに沸いていた。エルヴィンドに仕えるノアが以前、リディアが助けた少年だと判り、実はそれが花嫁だと判るきっかけだったと後に聞いて驚いた。改めて彼から礼を言われ、エルヴィンドからの命もあり手厚いもてなしを受けた彼女は暫くすると起き上がれるようになり、顔色も良くなってきていた。しかし、その頃から彼女は奇妙な夢により精神を浸食されて行く。精神汚染により、聖獣の花嫁とは生贄になることと毎夜囁かれ続け、疑心暗鬼に陥るリディア。そもそも本当に自分は聖獣の花嫁なのだろうか。エルヴィンドが間違えるはずも無く、本来、花嫁には証となる痣が体のどこかに現れる。自身ですら見たことが無いとなれば後は背中か。するとやはり彼女の背には証たる花の痣があった。どうも、この痣も母親に嫌われる理由の一つだったようで、容姿についてはその美しさに嫉妬されていたらしい。エルヴィンドは内心怒りに燃えたが取り敢えず、証の痣のおかげで漸くリディアも信じてくれた。だが、ここにきて反聖獣派の活動が活発化。ある闇の存在がエルヴィンドを消滅させるべくリディアを狙い・・・。色々設定盛り盛りのファンタジー小説のため結構端折ってます。本筋としては不遇ヒロインが建国の逸話に登場する聖獣の花嫁だと判り幸せを掴むというもの。なので、ストーリーそのものは至ってシンプル。特異な存在でもあるので、当然ヒロインには稀有な力があること、そして彼女にはお役目もあるらしい。このお役目に関しては現段階では不明であり、黒幕もまだ消滅し切れてないってことでシリーズものなのかもです。エルヴィンドに敵対していたのは彼と対になる者・ユルドで、昔エルヴィンドと意見が対立したことから袂を分かっていました。当然、反聖獣派を煽っていたのもこの人。ギリギリまで追詰められたせいで開花したリディアの力によって一旦はユルドも退けられ、花嫁としての自覚を持った彼女。反聖獣派の筆頭だったベンノに嫁いだことで家も財産も失くした姉と母が自分を頼って来てもきっぱりと縁を切るのでした。もうホント、序盤のイサベレたちの態度がとにかく酷いので思い切って切り捨ててくれてスッとした。背中の痣だけが原因でなく、イサベレがリディアを嫌ったのは別れた亭主にそっくりで、だからこそ自分とヨセフィンより美しかったからっていうしょうもない理由だったってのがね。これからの貧乏暮らしで何の非も無い娘を長年虐げていたことを反省するのが良いでしょう。評価:★★★★☆
2024.04.09
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2024年2月刊蜜猫文庫著者:クレインさん子爵令嬢コレットは弟を救う為、戦時中に縁があった公爵フェリクスの家に援助を求めにくいが、出征している彼の妻だと勘違いされ成り行きで妻を演じることに。帰ってきたフェリクスは一部記憶がなく彼女を妻として受け入れてしまう。「俺はきみに恋に落ちたんだろうな」真実を言えぬまま甘い初夜を迎え引き返せない所まで来てしまった。そんなある日、記憶を取り戻す為、二人の出会いであるコレットの家に向かう事になり!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 コレット=勘違いから戦争で不在中の当主の妻として公爵家に迎え入れられた子 爵令嬢。フェリクス=バシュラール公爵家当主。ベルトラン=第三王子。 ロドルフ=フェリクスの父で前当主。3年にも及ぶ、隣国・フォルタン王国との戦争が終り、公爵邸に戻って来た当主のフェリクス。主の帰還に喜びに沸く屋敷の者たち。母が亡くなって以来不仲だった父もこの時ばかりは息子の無事を喜んでいるようだった。だが、父の横には見知らぬ女性が。執事からの紹介によると彼女は自分の妻だという。母譲りの美貌ながら病的な青白い肌に黒髪のせいで、まるで吸血鬼のようだと令嬢達から怖がられているフェリクスはとにかくモテなかった。おかげで出征前も婚約者がいなかったので余計に妻と言うワードにピンと来ない。いや、待てよ、もしやあの時か。実は彼は戦場で怪我を負った際、一時期記憶障害も起こしていた。2年ほど前のことだが、彼女が屋敷に来たのも2年前と聞くので時期もピッタリ。当時のことは靄がかかったかのように思い出せないが、その時に出会って恋をし、求婚していたとしたら辻褄は合う。見れば彼女は母の形見でもある家宝のレッドダイヤモンドの指輪までしている。失くしたと思っていたのに、彼女に贈っていたのだな。そんな事情もあって、フェリクスはあっさり自分が不在中に屋敷にいた女性を妻として受け入れたのだった。一方、当の本人であるコレットは嘘がバレやしないかと生きた心地がしなかった。この2年、前当主・ロドルフには随分良くしてもらったし、使用人たちも皆、奥様と呼んで慕ってくれた。でも、フェリクスが帰ってきたら嘘もバレてしまう。断罪の時を待っていたのだが、彼は特に疑問にも思わずコレットを受け入れたのでビックリ。しかも、当然とばかりに押し倒して来たので肝が冷えた。そりゃ夫婦なんだしと思い直し、フェリクスを受け入れたものの、本当はあの時から彼が好きだったので嬉しくもあった。このまま黙っていればフェリクスの妻でいられる。それにしても、どうしてこんなにあっさり信じたのか、疑問に思っていると彼から記憶障害を起こしていた時のことで覚えていないのだと申し訳なさそうに言われて合点がいった。相手の記憶が無いのを良いことに、狡いと思いながらも彼の妻を演じ続けることにしたコレットは、彼から結婚に至った経緯を尋ねられて巧妙に嘘と真実を交えながら二人の出会いを語った。国境近くの豊かな領地を持つアングラード子爵の長女として産まれたコレットは優しい両親と弟に囲まれ幸せに暮らしていた。実りの良いこの地は税収も良く、父は商会も営んでいたので羽振りも良かったが、そんな平和が崩れ去ったのは3年前、コレットが17歳の時だった。隣国フォルタン王国が国境から攻め入り子爵領にも侵攻。父は家族を別荘まで逃がし、少しでも時間稼ぎになればと駐留していた騎士団と共に戦ったが多勢に無勢、父は戦死しその遺体は長い事晒されていたという。王都から第三王子率いる軍が到着するとフォルタン軍は撤退して行ったが、お嬢様育ちの母と病弱な弟を抱えてコレットは途方に暮れていた。屋敷は司令部にするとして接収され、コレットは領内の女たちと怪我人達の治療と看護に奔走。フェリクスとの出会いもその時で、運び込まれた彼は腹に大きな傷を負い更に落馬して頭を打っていた。部隊の隊長だという彼はコレットに感謝し、曲がったことが大嫌いな彼の一声で治療所の治安もかなり良くなった。女たちはまるで吸血鬼のようで怖いと彼の看護を嫌がっていたが、コレットは清拭したフェリクスの美しい顔に一目惚れ。進んで彼の看護をしていた。そのせいか二人の仲は深まり、軽口も言い合うように。そんな最中、動けるようになったフェリクスに出動命令が出て、この地を去り際、礼代わりにと渡されたのがあの指輪だった。戦死して遺品泥棒にあったら死んでも死にきれない。家宝の指輪なので預かってほしい。失くしたくないからと強引に押し切られる形で受け取ったものなので、実際は求婚などされていない。それから暫く経って、軍の移動により子爵領に平和は訪れた。だが、激戦地だったため、かつての豊な地は焼野原。屋敷は王子たちが引き上げた後、使用人たちによって金目の物を持ち逃げされていた。多少持っていた金品は戦時中のインフレによりすぐに底をつき、コレットたちは困窮。間の悪いことに弟のオーブリーが体調を崩して寝たきりになってしまい彼女は決断を迫られた。フェリクスには悪いけど戦時のどさくさで失くしたことにして売ってしまおうかと何度も考え、しげしげと眺めていると指輪にバシュラールという刻印が。バシュラールと言えばこの国唯一の公爵家。指輪を届ければ多少の謝礼金が貰えるかもしれない。王都に行けさえすれば後は身売りでも何でもして稼げば家族を養える。丁度、物資を届けに来ていた荷馬車の馭者に頼み込み、何とか公爵領に辿り着いたコレットが指輪を届けると、ロドルフは彼女を息子の嫁と勘違い。あれよあれよという間に公爵夫人にされてしまった。ロドルフはフェリクスの嫁ならばと、コレットからの訴えを聞き入れすぐさま子爵領に人をやり支援。オーブリーに腕利きの医師を寄越した上に完治すると屋敷に母共々迎え入れ面倒を見てくれた。今は母も弟も領地が心配だからと帰ってしまったけれど、コレットはせめてもの恩返しにと家政を手伝い、足の悪いロドルフの世話をした。おかげですっかり彼女は気に入られ、今に至る。コレットの思惑といくつかの真実を伏せた話を聞いてフェリクスは感動していた。記憶を失くしていた頃の自分を褒めてやりたい。よくぞ、こんな出来た嫁を見つけたものだと。すっかりコレットを気に入ったフェリクスは彼女を溺愛。まだ神殿と王に許可を貰っていないので正式な夫婦ではないから早く式を挙げたいとロドルフをせっついていた。好きな人と結婚できるのは嬉しい。でも、詐欺紛いのことをしている自覚のあるコレットは罪悪感に苛まれていた。フェリクスが子爵領の現状をベルトランに直訴し、早急に復興支援してもらえるよう手配してくれたので、もう少しすれば以前のように美しい地に戻るだろう。しかし、敗戦国となったフォルタン王国の一部の者が報復のチャンスを狙っているとの一報が。その工作員がどうやら領民が戻りつつある子爵領・メルシエに潜伏しているらしく・・・。国境近くに領地を構えていたせいで戦争に巻き込まれてしまったアングラード子爵家。コレットは戦争で父を失い、母と弟を支えて必死に生きていました。軍が引き上げ、元々豊な地なのですぐにやり直せるかと思いきや、待っていたのは辛い現実。世間知らずのお嬢様が領主代理なら不正もバレないだろうと物資や支援金も横取りされて領地にはほとんど支援が来ない。弟が病に罹り食うや食わずな生活を強いられていたコレットは追い詰められ、フェリクスから預かった指輪で金を得ようと公爵家へ。謝礼金を得られれば御の字かと思っていたら公爵夫人の扱いを受け、芋づる式に領地も徐々にだが復興できて家族も救える結果に。でも、いつバレるかと冷や冷や。フェリクスが帰還して断罪されるのを覚悟していたら、記憶の無い彼に歓迎された上に自慢の妻だと周囲に自慢までされて居た堪れない。式の準備も着々と進んだある日、彼がコレットの家族に挨拶したいとメルシエを訪れた際、例の工作員に彼女が攫われピンチに。この騒動は割と早く解決するんですが、これを機にコレットは真実を彼に打ち明けます。怒り狂うかに思われた彼は実は少し前に記憶を取り戻しており、求婚などしていない事も思い出していました。でも、実は彼も看護してくれたコレットに一目惚れし妻に迎えたいと考えていて、だからあの指輪を渡したのだと白状。求婚しなかったのは断られるのが怖かったから、尤もな理由を付けて押し付けたのだという。正直、勇気を出してプロポーズしておけばコレットが罪悪感に苛まれることは無かったのではと思いますが、上手くいって何より。一々、周囲には込入った事情を話す必要は無しと二人の無の中でだけに秘めて、後にフェリクス達は予定通りに式を挙げハッピーエンドで終わっています。ラストに記載されてた顔はフェリクス似で性格はコレット似という、二人の娘の逸話が気になる。評価:★★★★★かなりの良作だったと思います。
2024.04.08
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2023年9月刊マカロン文庫著者:一ノ瀬千景さん准看護師の千咲は、小さな病院で働きながら幼い娘を育てるシングルマザー。周囲の優しさに助けられ慎ましくも幸せな日々を過ごしていた。ある日、娘の父親である医師・直純と再会し…!? 直純は、初恋もまだだった千咲に愛を教えてくれた相手。エリート一族の彼とは身分が違いすぎると身を引いた矢先、妊娠が発覚し、愛の結晶である娘を大切に育てていた。直純は、やっと見つけた千咲をもう二度と離さないとばかりに、溺愛包囲してーー!? 「俺が一生、君を甘やかすから」エリートドクターの珠玉の愛に包まれる【極上ドクターシリーズ】第三弾! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 向島千咲=個人クリニックで働きながら娘を育てるシングルマザー。御子柴直純=総合病院勤務の脳神経内科医。 向島菫=千咲と直純の娘。 向島柊=千咲の6歳下の弟。個人クリニックで働く准看護師の千咲は女手一つで娘を育てるシングルマザー。院長とその妻である看護師の留美は一人では何かと大変だろうと色々融通してくれて有難い限り。今日も早くお迎えに行ってあげなさいと促され、礼を言いつつ退出すると病院を訪ねて来たらしい青年の姿が目に入った。近付くにつれ見えて来たその男性は、あの日別れた直純ではないか。彼も千咲に気付いたようで、呼び止められかけた時、丁度出て来た院長が彼に声をかけ院内へ招き入れていた。そうか、ドイツから帰って来てたんだな。娘の菫と自宅に戻った千咲は2年前の出来事を思い出していた。当時も今のクリニックで働いていた千咲の楽しみは銀座にあるカフェバー・フライムーンでティータイムを過ごすこと。寡黙だが背が高くカッコイイマスターのジンが提供するメニューはどれも美味で常連客も多い。直純もその中の一人だった。千咲は清潔感がありハンサムな容姿の彼に一目惚れ。その姿を見れるだけで良いと足繁く通っていたものだ。だが、そんなある日、友人の付き合いで参加した合コンで心無い言葉を浴びせられ落ち込んでいた時、気晴らしに来たフライムーンで直純とバッタリ。様子のおかしい千咲をマスターと二人で心配してくれて、ただ変身したい気分なんだと話すと何と直純からデートに誘われ、酒も入っていたのでお互い盛り上がって一夜を共にしてしまったのだった。翌朝目覚めると千咲は猛省。彼の優しさに付け込んでなんてことを。一人グルグルしていた彼女に、留学で来週からドイツに行くので2年ほど帰れないけど俺と、と話す彼の言葉を遮って良い思い出をありがとうと告げるとホテルから逃げるように立ち去った。しかし、それから1ヶ月ほど経った頃、千咲の妊娠が発覚。父親は当然直純なのだが、今はきっとドイツだろうし連絡も取り様が無い。それに産まないという選択肢は無かったので、ギリギリの時期まで働いた。弟の柊や留美たちの協力を得て後に千咲は長女・菫を出産。手狭ではあるが、クリニック近くのマンションで親子二人で暮らしている。翌日、案の定直純が待ち伏せていて、子供連れだった千咲は万事休す。取り敢えず話をしたいと請われ、渋々部屋に招き入れると、菫はあっという間に彼に懐いて血の繋がりを痛感した。直純の方も年齢とその容姿に思う所があったらしく、しっかり彼の娘だとバレてしまった。嘘を吐いてもしょうがない。素直に認めると正式に結婚を前提にした交際を申し込まれた。実は彼の方も、千咲に一目惚れしており告白のチャンスを伺っていたという。あの日は据え膳食わぬは、とばかりに関係を持ってしまったが、留学から帰って来るまで待っていて欲しいと言いかけたのを遮られた上にこれっきりという態度を取られたので、フラれたと思い込んでいたらしい。お互い両想いだったのに、なんとも間抜けな話ではあるけれど、改めて直純の名字や職業を聞いて千咲は驚愕。大病院勤務の脳神経内科医、しかも御子柴家の人だとは。明かな格差婚。千咲の身内は現在、弟の柊のみ。両親を早くに亡くし、母方の祖母との生活は経済面でも楽では無かった。そのことで高校時代、初めての彼氏の両親に交際を反対されたのは今もトラウマになっている。御子柴総合病院の院長が伯父と言っていたが、彼の実家もきっと相当な資産家だろう。菫にも父親がいた方がいいのは理解しているが、多分結婚は反対される。彼の求婚に頷けない千咲を急かすでもなく、直純の方はそれでも諦めないと彼女の部屋に通ってくる。千咲としても今も大好きな彼がここまでしてくれて嬉しくないはずも無く、数か月後、漸く覚悟が決まって求婚に承諾。最大の難関である彼の両親に会うことになったのだが、案の定、直純の母がこの結婚を猛反対して・・・。苦労人のヒロインがトラウマを乗り越えつつ、想い人と結ばれるというお話です。そして、シークレットベビーもの。直純の母には財産目当てだろうと罵られるも、この時点では彼を諦めるなんてできず、認めてもらえるよう直純も説得を続けていました。このお母さんにもとある事情があってのことなので、事情が分かると気持ちも判らないでもない。おまけに根は優しい人なので、夫からの後押しもあって思い直し、最終的に結婚を許してくれます。その後、すぐに二人は入籍。周囲の人達に祝福されて終わっています。このジャンルでは最近では珍しくシンプルな王道展開でした。なんか登場人物が皆優しくてほっこりする。いやな奴と言えば合コンで千咲に悪態ついたチャラ男くらい?姑さんは結局良い人だったし。千咲もその身の上から嫌な思いも苦労も沢山したんだろうなと思うものの、直純とのことはちょっと卑屈に捉えすぎだったんじゃないかな。シスコンの柊からもそりゃ姉ちゃんが悪いと窘めてたほどなので。とは言え、自覚してからはちゃんと自分の気持ちも言えたのでそこは何より。一応シリーズものですが、他2作を読まずとも問題はありません。かく言う私も一作目が未読でした(^_^;)(よくやる)二作目の方は少し前に感想記事上げてます。評価:★★★★☆
2024.04.07
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2017年8月刊ムーンドロップス著者:兎山もなかさんまっすぐ過ぎる性格が災いして、会社で冷遇される黒江奈ノ花。黙々と仕事に励む彼女の心の支えは、ときどき非常階段で言葉を交わす隣の部の部長・和久の存在だった。しかしある晩、オフィスで和久のジャケットを抱きしめているところを本人に見られてしまう。泣きながら眠りについた彼女が目覚めると、なぜか裸の和久が自分の上にいて……。大好きな部長は次期国王。自分はその婚約者? 城で働く人々は会社で見る顔ばかり! 夢の世界に迷い込んだOLが、現実を変えるために奮闘するラブファンタジー。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 黒江奈ノ花=総合商社のアパレル部門で働くOL 部署内で冷遇され続けて悩んでいた。 和久蓮司=営業部部長。奈ノ花を気にかけていた。 石田佳乃=奈ノ花と同期の友人。 三澤=奈ノ花の先輩社員で嫌がらせを繰り返している。黒江奈ノ花は入社6年目の会社員。入社2年目にアパレル部門の営業に配属され、すぐに大口の取引先との契約をものにして来た彼女だったが、ポッと出の新人に先を越されたと同僚である女性陣からは妬みの対象に。無視されるだけならばまだ良い。巧妙な手口で足を引っ張られ続けミスを連発する羽目になった奈ノ花は自身が開拓して来た大口顧客の担当まで外されてしまった。今では営業部に所属はしているものの雑事を押し付けられる日々。悔しい気持ちもあるが、つい我慢して口を噤んでしまう自分の性格も相手を増長させるだけだったと思う。最初から理不尽なことに毅然と対応していればきっと随分違ったのではないか。そんな奈ノ花を気にかけてくれるのは営業部長の和久と同期の友人・佳乃のみ。佳乃とは部署が違うこともあってあまり会えていないが、和久とは非常階段で毎度遭遇している。部下に気を遣わせたくないからと喫煙スペースではなく、こんなふきっ晒しの非常階段で煙草を吸っている彼に奈ノ花は想いを寄せていた。当然、彼女がここに来るのは昼休憩にいる場所が無いからだ。和久と何気ない会話を交わすだけで仕事も頑張れる。今日は何と寒いだろうとコートまで貸してくれた。だが、そんな癒しをチャージしても、席に戻れば明日提出の資料が削除されていたことでパァ。ここ最近はまた無視のローテーションになっていたからと油断していた。虐めグループの筆頭である三澤のしてやったり、な表情に怒りよりも呆れが先に立ち、ため息を吐いて作業に取り掛かる。残業すれば何とかなるだろう。さすがに今日は久々の大きな嫌がらせで疲れた。今朝は痴漢にも遭遇したし、悪いことは続くもので。漸く資料が出来たのは22時近く。最悪な一日の唯一の癒しであったコートに顔を埋めて思わず「好き」と呟いたら、丁度帰って来たらしい和久本人に見られてしまった。何か言いかける彼に慌てて挨拶して飛び出して来てしまったが、明日は相当気まずい気分を味わいそうで嫌がらせにもめげずに出社していた奈ノ花も休みたくなった。帰宅し、早々に寝て何もかも忘れよう。そう自分に言い聞かせて眠りについた。しかし、ふと気づくと目の前には裸で自分に圧し掛かる和久の姿が。恋愛経験ゼロの奈ノ花にも判るこのシチュエーションはどう見ても行為に突入する寸前のソレだ。でも、和久の言葉遣いや態度が普段と随分違う上に何だか偉そう。しかも「グレンと呼べ」と強要してくる。王位継承がどうのこうのと口走ってもいたし、もしかしなくてもこれって夢よね?夢だから彼の婚約者なんて都合の良いポジションなんだ。とはいえ、いくら夢でもここで致すのは抵抗がある。必死に抵抗して何とか逃れたがグレンは不満たらたら。本人とのギャップが凄くて戸惑うけれど、後に呼ばれて入って来た侍女たちを見てさらに唖然。佳乃に三澤、受付の留美。一体これってどういうこと。翌朝奈ノ花が出社すると、和久は何か言いたげな表情。昨夜の夢には続きがあって、後輩の佐々井が衛兵として現れ、なんといきなり襲われるというとんでも展開。グレンが颯爽と現れ事なきを得たものの、その佐々井とエレベーターで遭遇。何とも居た堪れない気分を味わっていたら、なんと佐々井に告白されてビックリ。当然、好きな人がいるのでお断り一択ではあるのだがこんな偶然ってあるのだろうか。そしてその夜、再び夢の世界に落ちた奈ノ花。またもやグレンに迫られた上、ついに最後の一線を越えてしまった時は飛び起きた。夢には自分の願望が現れると言うけれど、こんな淫夢が自分の願望なんて。悩みつつも、眠る度にこの夢を見続けた奈ノ花は、夢の出来事と現実がリンクしていることに気付き・・・。kindleでおススメされた作品です。履歴でもう嗜好がモロバレってのもアレですが(^_^;)内容はタイトル通り。同僚達からの妬みにより冷遇され続けていた奈ノ花。ぶっちゃけ、仕事に支障をきたすような嫌がらせをするような輩たちは告発しても良いと思うんですけど、つい口を噤んで耐え忍んでしまう。実はこの態度も良くなくて、泣きもしないので相手側もエスカレートしてしまうと言う悪循環になっていました。そして、想い人に自分の気持ちを知られ居た堪れない気持ちになった直後、彼女が見るようになったのは不思議な夢。登場人物は皆知っている人達なのに、夢の中の自分は次期国王・グレンに見初められた女として平民の出ながら城で厚遇されている。立場が逆転しているものの、夢世界では現実と似たような問題を抱えていて、冷静な立場になると全体も見えて来て解決策も思い付くというもの。グレンとの仲も良好で、現実でも地道に出していた企画案を却下し続けていた上司に見てもらえるようになったり事態は好転。自信を取り戻しかけた頃、煮詰めていた仕事の資料が全消えしててまさかまた三澤が?と思いきや、犯人は意外な人物で、っていう展開です。まぁ、意外というか消去法で行くと他にいないよねってのと、友だちと思ってた人が実は自分を見下しさらには妬んでたっていう典型的な動機でした。ここは敢えて捻らずって印象です。夢については和久の方も共有していたという衝撃の事実が判明して、彼とは両想いだと判り、交際に発展。三澤も以前から嫌がらせをしてたのが上にバレて処分され、企画案を不正アクセスにより削除した犯人も悪質と判断され相応の処分をされたのでスッキリ。とは言え、4年も我慢してたのを思うともっと重い罰でも良かった気が。おまけの番外編は後日談で、和久目線の二人の初めての夜エピソードでした。評価:★★★★☆ヒロインの冷遇っぷりが読んでてキツイです。
2024.04.06
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2024年3月刊夢中文庫プランセ著者:宇奈月香さん「今度こそ誰にも渡さない」ーー婚約者に浮気され一方的に婚約破棄を言い渡されただけでなく、彼らの悪巧みで悪女に仕立て上げられた子爵令嬢エレーヌ。以来、周囲から白い目で見られる中、エレーヌは完璧と名高いサルヴェール公爵が育てたという特別なバラの苗を手に入れるため、バラの品評会に訪れた。しかし、そこでも元婚約者と遭遇し、いわれのない誹りを受けてしまう。公爵のバラも手に入りそうになく、諦めて帰ろうとしたそのときーー「八年八ヶ月と二十三日前に助けていただいたあなたの一番の愛玩なめくじもどきのダンズです。エレーヌ、私と結婚しましょう」大勢の前で、突然かの公爵に跪かれ、おかしな求婚をされたのですが!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 エレーヌ=婚約破棄された翌日に皇弟のルカから求婚された子爵令嬢。 ルカ=公爵位を持つ皇弟。フェリックス=エレーヌの元婚約者。 レイラ=豪商の娘でエレーヌの従妹。婚約者の母から厳しい淑女教育を受け、今では立派な淑女に成長したエレーヌ。だが、そんな彼女を婚約者・フェリックスは何の面白みも無い女と卑下し、剰えエレーヌの従妹のレイラと浮気。そのレイラが妊娠したから婚約破棄すると宣言。この婚約自体、フェリックスの祖父の悲願でもあったため、孫が勝手に取りやめたら前伯爵はさぞ嘆いている事だろう。無駄かと思いつつ指摘してみたものの、故人の意向より今生きている者の意思だろうと尤もらしいことを言ってくる。彼の横には勝ち誇った笑みを浮かべる従妹。現状、フェリックスから性悪だの嫉妬深いだのエレーヌが悪し様に罵られているのは、どうやらある事ない事レイラから吹き込まれたらしい。それにしても婚約破棄するにしたって、帝国で一番人気のパティスリーでする会話ではない。聞き耳を立てる令嬢方の多い事。おかげでエレーヌの悪評は数日のうちには社交界に出回ることだろう。どうでも良くなって婚約破棄について承諾すると、今度は本当に可愛気が無い女だと悪態をつかれる始末。盛り上がっている本人達を他所に、この婚約破棄に関しては両家に波紋を呼んだ。エレーヌの家族は激怒し、レイラの実家が営むアドラー商会へ抗議の末、援助も打ち切ると勧告。フェリックスのバーム伯爵家へは抗議と慰謝料を請求することになった。どちらも不服として子爵家に怒鳴り込んで来たが、常識を考えれば当然の措置である。この騒動によりエレーヌは暫くは公の場には出ない方が賢明と、屋敷に引き籠るつもりだったのだが、天才肌故に友人が出来ず表に出たがらなくなっていた弟・ミケルからの頼みで、バラの品評会に出掛けることに。ミケルによれば、皇弟・サルベール公爵が品種改良した三色のバラが展示されるらしく、その苗を購入して来て欲しいという。いや、そんなバラは高位貴族でないと分けてもらえないんじゃ、とも思ったけれど、可愛い弟の頼み。研究に使いたいらしいから頼むだけ頼んでみよう。意気込んで出かけたのはいいものの、会場でデート中のフェリックスたちとバッタリ。一人で参加したエレーヌを馬鹿にし難癖を付けて来る。いい加減腹が立って来た頃、会場の警備に参加していた兄・ジュストが現れると彼らは逃げて行った。近衛騎士団副団長を務める兄に、ルカ・サルベール公爵とコンタクトを取りたいと頼み、例のバラを見に行くと美しさもさることながら見事な品種改良ぶりに生物オタクであるエレーヌは歓喜。褒めちぎっていると公爵が現れ恐縮する彼女に彼は膝をつき、なんといきなりのプロポーズ。その口上によると公爵はエレーヌに大恩があるらしい。いや、でも私たち初対面ですよね?しかし、8年8ヶ月と23日前ぶりの再会とはまた随分具体的な。それに彼はなめくじもどきのダンズと名乗っていた。騒然とする場内を他所に、その日は早々に退散したが、あの求婚は嘘ではなく3日後になると屋敷にはあのバラの苗と共に正式な求婚状、エレーヌ宛に公爵邸への招待状が届けられた。婚約破棄されたばかりなのもあり、両親はいくら皇族からでもこの結婚話に渋っていたが、エレーヌの方はダンズと名乗った彼が気になって仕方ない。招待に応じ、公爵邸に赴くと出迎えてくれたルカに徐にあなたがダンズってどういうことかと尋ねた。ダンズとは正にルカが言っていた8年8ヶ月ほど前にエレーヌが保護して暫く子爵邸で世話していた不思議な生物だった。どの図鑑にも載っておらず全身黒くて紫の一つ目、腕のような触手がありナメクジのように移動する不可思議な生き物。強烈な悪臭を放つ口には参ったが、エレーヌはダンズと名付け可愛がっていた。だが、暫くするとダンズは異国の島に住む珍獣であり、輸送途中で逃げ出したと飼い主が引き取りに来て本来の居場所へと戻って行った。ルカの話す状況はさも当事者のようで、彼女の記憶とも合致する。でも、彼の珍しい紫色の瞳は確かにダンズと同じもの。間違いない、ルカは本当にダンズなのだ。だが、彼は何故あんな姿だったんだろう。ルカの話によれば呪いに掛けられたのだという。帝位継承争いで兄の一派が魔術師を雇いルカに呪いをかけた。当時8歳だった彼はあのなめくじもどきとなり、離宮に引き籠っていたものの、数年経っても戻る気配は無く誰もががその不気味な姿と放つ異臭を嫌い世話をしたがらなくなった。自暴自棄になったルカは馬車に張り付いて家出を決行するも、落ちた沼付近に遊びに来ていたエレーヌに拾われたのだった。その後、子爵が妙な生き物を娘が飼っているとの話を聞きつけ、王家が探りを入れルカと判明。侍従長が飼い主と偽り彼を連れ帰ったのだそうだ。しかし、すっかりエレーヌに惚れこんでいたルカは彼女に会いたくて堪らず泣き暮らしていた。するとある朝目覚めると本来の彼の姿に戻っていたのだと。何故呪いが突然解けたのかは不明だけれど、これでエレーヌと恋ができる。婚約者がいたので悩んでいたら、運良くあちらから破棄してくれたので、チャンスを逃してなるものかとプロポーズしたらしい。身分差がどうこう言われるなら爵位を返上するとまで言われたのには驚いたが、あの可愛いダンズがルカだったってだけで好感度は爆上がりだった。両親にも彼を信じているから結婚したいと伝えると渋々ながら許可を得て、晴れて二人は婚約。ルカは彼女の為にと貯めていた金を湯水のように使い貢いで来るには困ったけれど、生物観察が好きなエレーヌの為にあの沼へと連れて行き、泥んこになるまで遊んだりもした。そんなある日、ルカと皇家主催の競馬大会に出掛けたエレーヌはまたもやフェリックスと遭遇。二人きりで話したいと請われ、嫌々ながら応じると、レイラと伯爵夫人の折り合いが悪い事。レイラにやる気が無いことなど愚痴を捲し立てると、エレーヌと復縁したいと言い出して・・・。呪いに掛けられた第二皇子が自分を助けた令嬢に恩義と恋心を抱くのは至極当然。彼女が婚約破棄されたのは気の毒だけどこれで自分にもチャンスが。当初、エレーヌは身分差で彼との結婚を悩んでいましたが、ルカがダンズと知ってからはその想いを受け入れる決心をします。その矢先、あの最低男の復縁要請ですよ。どの面下げて。おまけにエレーヌのお相手が皇族だって判って言ってるのか。それ以前に色々承知の上でレイラと婚約したくせに愚痴るとかさぁ。そこを指摘されるとまたもや逆切れ。暴力を振るわれそうになった彼女を救ったのは勿論ルカ。この時の伯爵家は婚約破棄の時の慰謝料始め、伯爵の女遊びと借金のせいで火の車。エレーヌとよりを戻し、慰謝料免除を目論んでいたようですが思惑通りに行くはずがない。大体、エレーヌと結婚してもレイラは愛人として囲うとかアホなこと言ってる時点でね。予想通りに破滅の道を辿っていく伯爵家の様子にルカはほくそ笑んでいました。勿論、レイラの方も援助打ち切りで四苦八苦。大分駆け足でしたが見事にザマァされててスッキリ。実はルーヴィエ子爵家の面々は代々多岐にわたる分野の天才を輩出しており、帝国を支えていました。ジュストは剣術、ミケルは知能が高く謀略に長け、エレーヌは生物学の天才。フェリックスの祖父も建前を付けて子爵家の者と縁を結びたかったのはこうした事情もあったようですが、ホント、逃した魚は大きいね。エレーヌが結婚後に出すらしい生物学の本は凄いものになりそう。評価:★★★★★
2024.04.05
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月イチ恒例のモチベ記事です。いつもありがとうございます<(_ _)>今月もランク変動が。1位最近またアクセス数が増えました。不遇ヒロインのシンデレラストーリーです。2位こちらも根強いでね。3位大好きな作家さんの一人、ちろりんさんの短編小説。4位シリーズ(?)一作目。すずね凛さんのシークレットベビーもの。5位アクセス数がとんでもない伸びでした。レクランのコミック連載が今佳境なんでしょうかね。6位やはり皆さんアニメ2期のラストの続きが気になるのか。ストック的に3期は流石にやらないだろうなと思ってるので、完結巻はドラマCD付きの特装版でも出して欲しい所。7位順位自体は落ちたものの、未だにこの位置なのは凄いと思います。8位シリーズ1巻目。綺麗に終わっているので未読の方はこの巻だけでも是非。9位転生ものは人気ですね。10位シリーズ一作目。コミカライズ版が2巻目のエピソードに入っているので、落ち着いてきました。でもやっぱりこの巻が一番面白いです。11位シリーズ4作目。主役二人のルーツに纏わる内容のせいか、気になる方が多いんですかね。12位4位の続編で20年くらい後のお話です。13位どちらも面白いので是非。14位割とシリアス目のお話です。15位ここに来て急激なアクセス数の伸びに驚きました。どこかのコミックサイトで新たに公開され始めたんでしょうか。100ページ弱のお話なのでサラリと読める内容です。16位シリーズ2作目。何故か1作目の記事より人気でした。17位不遇ヒロインもの。悪役の継母たちの身の程知らずぶりがいっそ清々しいです。18位シリーズ3作目。あのラストは結構衝撃でした(^_^;)19位コミカライズ版が公開中です。結局この巻で完結で、続編は出ない感じ?20位この2作共に根強いです。聖女の方はアニメ2期で作画にも気合が入っていたホーク領での討伐エピソードが収録されています。前回までランクインしていたタイトルも実はアクセス数自体は伸びているんですが、今回は一歩届かず。毎度のことですがやはりコミカライズ化されているお話は人気がありますね。
2024.04.04
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2021年2月刊ベリーズ文庫著者:砂川雨路さん弁護士の修二と婚約中だった陽鞠は、ある理由から結婚目前に別れを決意。しかしその時、陽鞠は修二の子どもを身ごもっていて…。ひとりで出産した娘を育てて2年が経った頃、修二から急に「会いたい」と連絡がきて戸惑いが隠せない。意を決して会ってみると、熱い視線で組み敷かれたうえに、復縁を迫られて…!?空白の時間を埋めるように一途な溺愛を注がれて、陽鞠の心は乱されていき…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 平坂陽鞠=フラワーショップで働くシングルマザー。 和谷修二=陽鞠の元婚約者の弁護士。平坂まりあ=陽鞠と修二の娘。 矢沢麗奈=修二が勤める法律事務所の事務員。 佐富=陽鞠の店で働くアルバイト店員。大学のサークル活動が縁で知り合った修二と陽鞠は、3年の交際を経て婚約まで漕ぎ着けた。だが、入籍間近のある日、二人は破局。お互い意地っ張りだったのもあるが、妊娠をきっかけに仕事を辞めることになった陽鞠が体調不良とストレスもあって始終機嫌が悪く言い合いになることもしばしばだった。修二も弁護士になったばかりで仕事を覚えるのに一苦労していた時期、心に余裕も無くなってついに彼の方から暫く距離を置こうと切り出されてしまったのだ。このままでは心無い言葉で傷つけ合うだけ。陽鞠が実家に帰って数か月後、長女・まりあが産まれた。修二に知らせると以降毎月きっちり養育費を振り込んで来て、再三に渡り認知をしたいと言って来ている。あの別れから3年経った頃、修二から娘に会いたいとの連絡が入り、陽鞠は迷っていた。使わずに貯めているが、養育費を貰っている手前彼にもまりあに会う権利がある。両親からも流石に会わせてあげないのは可哀そうだと説得されて、漸く決心した陽鞠は次の休日を指定して会うことに。写真は定期的に送っていたけれど、やはり実際に目にすると違うのかまりあを見た修二は涙を流して喜んでいた。そんな彼を見て今まで娘を会わせなかったことを反省した陽鞠。まりあも血の繋がり故かすぐに修二に懐き、あの日から父に会いたがっていた。タイミングよく修二からも定期的に会わせてほしいと頼まれて承諾すると、足繁く通って来ては着実に娘との絆を深めていっている。そんな最中、両親が長年の夢だったというヨーロッパ旅行に行くことになり、保育園のお迎えを頼めなくなってしまった。期間は約一ヶ月。卒業シーズンで花屋は繁忙期というのに間の悪いことに上司が悪阻で寝込んでしまい人員不足でてんやわんや。頭を悩ませていると両親が連絡したらしく、修二がお迎えしてくれるという。有難いけれど、イヤイヤ期に突入したまりあはかなり手強い。案の定扱いに苦労しているようだが、娘可愛さの前には些末事のようだ。帰宅すると修二がいるのは変な気分だけれど、実際かなり助かっている。今回で如何に両親に頼り切りだったのかを痛感した。フルタイム勤務でのワンオペ育児は厳しい。そのせいか修二からやり直さないかと打診され、気持ちが揺れた。自分の厄介な性格は知っているので、また喧嘩三昧になりそうなのが怖い。まりあのためにも再構築した方が良いのは判っているが、修二の献身は単に子供の親権が欲しいだけなのではとの店のバイト・佐富からの言葉が頭に引っかかっていてどうしても素直になれない。なのに、実際に彼の口からまりあのためにも結婚しようと言われた陽鞠は、プロポーズを断っただけでなく二度と来るなと激怒し・・・。両想いCPの復縁話です。キャリアウーマンだった陽鞠が妊娠発覚により出世を諦めざるを得なくなり、ストレスから恋人・修二に当たってしまい大げんかの末破局。別れた経緯から自分の性格の厄介さが身に染みて、修二からの求婚にも素直に応じることが出来ずって感じでまぁ読んでてじれったいこと。修二の切り出し方も、おいおい、娘をだしにするから誤解されるんやで、と。若手敏腕弁護士なんだからもっとうまく立ち回りなさいよ(^_^;)不器用な両親を他所に、娘のまりあは何故父と暮らせないのか判らず不満に思っているようで、そんな様子を見ていると陽鞠も意地張ってる場合じゃないなと思い直すように。その間、修二に好意を寄せている矢沢から、その気がないなら彼を解放してくれと頼まれ、どういうことだと彼と言い合いになったり元鞘に戻るまで長い長い。矢沢の件はただの独り相撲ですぐ解決するものの、陽鞠に想いを寄せる佐富がまた不安を煽るようなこと言うんですよ。上手く行ってほしくない横恋慕連中もウザイし、勤め先のパート店員とか人の恋路に口出し過ぎwwwしかもそれを真に受ける陽鞠の面倒臭さよ(苦笑)こんな調子で色々起こるものの、子は鎹、そして嫌いで別れたわけではないのとキャリアとか無関係な生活になったのも功を奏したのか陽鞠も素直になって結婚を承諾。エピローグではそれから2年後、第二子にも恵まれた和谷家の様子が描かれて終わっています。書き下ろしの番外編は、入籍して半年絶った頃の二人のデート話でした。評価:★★★★★
2024.04.03
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2024年3月刊スターツ出版文庫著者:クレハさん意識を失ったミトが目を覚ますとそこは天界ーー龍神の世界だった。駆けつけた波琉曰く、堕ち神に襲われ、死んでしまったミトは、波琉との永遠の愛を誓った“花の契り”によって再び肉体を得ることができたという。しかし、堕ち神はある復讐を果たすため、依然としてミトの魂を狙い、襲い迫る。龍神の王でさえ、本来真っ向から立ち向かうことは難しい堕ち神。しかし、波琉は「ミトは僕の伴侶だ。決して誰にも渡さない」と全力でミトを守り…。ミトもまた、波琉との幸せな未来を歩むため共に立ち向かうーー。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 星奈ミト=龍神・紫紺の王の伴侶。堕ち神に襲われ肉体を失う。 波瑠=天界を統べる四人の王の一人・紫紺の王。 桂香=龍神・漆黒の王。九楼の元主。 九楼=堕ち神。過去の因縁で金赤の王を恨んでいる。 千代子=金赤の王・煌理の伴侶。隙を突かれ、堕ち神に襲われ昏倒したミトは意識が無いまま、天界にある波瑠の水宮に飛ばされていた。波瑠の補佐役・瑞希に介抱され、知らせを受けて彼も飛んできたが、ミトは幾日も目を覚まさなかった。それからまた暫く経って漸く意識を取り戻した彼女は、波瑠から自分が既に死人だと聞いて愕然。堕ち神・九楼からの攻撃は一撃でミトの命を奪ったのだ。でも、長らく意識が無かったとはいえ、五体満足でぴんぴんしている。理由を尋ねると先日ミトに請われて掛けた花印の誓いの力が働いて魂は無事に済み、天帝が急ごしらえで身体を作ってくれたかららしい。しかし、元の肉体は死亡しており既に火葬されているという。救急搬送されて死亡確認されているのだから仕方ないのだが、まさかそんなことになっているとは。両親は突然のことに嘆き悲しみ、お世話係の千歳は責任を感じて引き籠っていると聞いて胸が痛い。一応、新しい体に魂が馴染めば下界に帰れると聞いて安心したものの、天帝が用意してくれたこの体は本来天寿を全うした伴侶が天界で龍神と暮らすためのもの。当然不老なので、下界に住み続けるならば寂しい思いをするだろうと。それでも、両親の側にいたいというミトの決心に波瑠も付き合うことになったが、問題は堕ち神の存在だ。彼の恨みの対象は金赤の王・煌理なので、狙うとすればその伴侶の千代子のはず。だが、波瑠が言うには堕ち神の狙いは想い人・キヨの復活ではないかと。伴侶の中でも神力が高いミトを復活のために被る代償に使うつもりかもしれないと聞いて、ゾッとした。下界に戻るのは良いが、不老であってもミトは不死ではない。また襲われればひとたまりもないだろう。堕ち神との決着のために策を講じると聞き、九楼の元主である漆黒の王・桂香も手を貸してくれることになった。女性体の桂香とは馬が合い話も弾み、やっと体に魂が馴染んで下界に帰還したミト。両親も神薙の蒼真にも随分心配させてしまった。千歳にも謝罪し、迎撃準備に忙しい波瑠の代わりに桂香が護衛に付いてくれて力強い限り。そして満月の日、ミトを囮とした作戦が決行され・・・。シリーズ4作目で堕ち神との決着編でした。人間としての肉体を失ってしまったミトは代わりに天帝がくれた老いない身体になってしまったわけですが、それは存外辛いことだよと波瑠に諭されても、あのまま天界で過ごすより、両親が生きている間は側にいたいと思う気持ちも判る。まだ15,6なんだし、家族仲も良いんですもんね。九楼の方は、よくよく思えば気の毒なんですけど、間違いを犯したのはキヨだし、あなたは何故諫めるでも止めるでもなく黙って見てたの?とミトにど正論かまされて、大分戦意喪失してましたwいや、ホントもうその通りで。いくら心底惚れてる女でも罪を犯したなら叱るのも愛よね。図星だったのか、見事に隙を作ってくれたので二度と破れない封印を施すことに成功。正に天然に勝る者無し。あと、終始シリアス展開だったけど、シロ、クロ、チコの動物トリオが癒しでした。書き下ろしの番外編もこの子達目線のお話。名前だけで登場しなかった白銀の王と天帝は、さすがに次巻にはお目見えかな?批判ってわけではないんですが、今回物凄く薄くてビックリ(^_^;)評価:★★★★☆
2024.04.02
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2024年3月刊マーマレード文庫著者:一ノ瀬千景さん兄の会社が経営の危機に陥った理子の前に、昔ある事情で別れた御曹司・深雪が現れる。彼の提案は、会社の提携と引き換えに自分と結婚することで…!昔と違い強引な深雪に戸惑いつつも、熱情を隠さない彼に激しく求められる理子。「君は未来永劫、俺のものだよ」-やがて深雪の子どもを授かった彼女は、加速する十年ごしの独占愛にからめとられてー。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 山根理子=兄の会社を助けるために元カレとのビジネス婚に応じた。 天沢深雪=理子の元カレで巨大グループの御曹司。 山根喜一=理子の兄。ITベンチャー会社の若手社長。兄が起ち上げたITベンチャー会社で働く理子は、この度動画配信サービスを手掛けるに当たり、いきなり提携先が手を引いて来たと聞いて頭を悩ませていた。今さら言われてもこちらは最後の詰めに入る所でかなりの額を投じているため、止めたら巨額の赤字を抱えることになる。急いで、あちこちに提携してもらえないかと連絡していると大手総合エンターテインメント企業・リルージュがぜひ話を聞きたいとコンタクトを取って来た。渡りに船とはこのことと社員達は沸いているが、リルージュの親企業が天沢グループでさえなければ貴一も理子も手放しで喜んだであろう。いや、きっとこれは偶然。彼はアメリカにいるはず。そう思い込んで兄と共に担当者に会いに行った理子は一番顔を合わせたくない男・天沢深雪と再会したのだった。有名映画監督と舞台女優の間に生まれた理子は、母のファンだという天沢夫人の好意により家庭教師を引き受けてくれた深雪と知り合った。ハンサムで頭の良い彼は学校でも人気者で、理子は随分妬まれた。それでもすぐに彼に心惹かれていた手前、理子の方から交際を申し込み1年程交際していた仲だ。中学卒業までの期間だったからかキスすらしていない清い関係で、深雪のアメリカ留学を機に別れた。本当なら別れたくなかったし、たかだか4年程度待っているつもりだったけれど、深雪の父の女性秘書から身の程知らずだの悪し様に言われた挙句、この交際を天沢家は認めていないと告げられて、別れた方が彼の為だと思い身を引いたというのが真実だ。別れを告げた際、深雪は随分ショックだったようだし、きっと今もいい印象を持たれていないだろう。これは提携も無しかも。と思いきや、リルージュ側は大層乗り気で、援助は惜しまないという。当然、貴一も上手くいくとは思わず驚いていたが、深雪はビジネスに私情は持ち込まないというスタンスを貫いていたため、杞憂だと判ってホッとした。だが、喜びも束の間、話を詰めたいとリルージュに呼び出された理子は、深雪からビジネス婚を申し込まれた。断れば提携は無しだと。これは復讐だと語る彼はやはりあの別れ話に納得してなかったらしく、恨まれていたらしい。当時の彼は理子に真剣に惚れていたということにもなるが、私だって好きで別れたわけじゃ。とはいえ、リルージュの提携が無くなれば兄の会社は倒産だ、信じて付いて来てくれた社員達も職を失うことになる。それに理子は深雪に未練もあった。何故ならあれ以来10年も経つのに、彼以外の男性に全くときめかないのだから。ビジネス婚と言いつつ、表向きは再会して思いが再燃したと周囲には話し、深雪の希望で早々に彼の住むレジデンスで同居し始めた二人。深雪は理子を溺愛し、多忙なくせに時間を捻出してあちこち出掛けて随分嬉しそう。まさか復讐というからにはその気にさせておいて後でこっぴどく捨てる気とか?そう身構えてしまったものの、彼の態度は芝居には見えない。はっきりさせたくて、深雪の本心を尋ねると彼の方こそずっと忘れられなかったと言い、あんな別れ方をしても理子が好きだと告げた。しかも帰国したらプロポーズするつもりだったと。え、でもご両親に交際を反対されてたんでしょ?と重ねて聞けば、何のこと、と怪訝そうな顔をされ、当時女性秘書に深雪と別れろと詰め寄られたこと、それが深雪の両親の意向だと聞いて嫌な女を演じて別れを切り出したことをバラすと、深雪もその秘書に思い当たったそうだ。縁故採用されてからというもの天沢一族の独身男性にすり寄り、父からも弁えろと秘書の方こそ叱責されていたらしい。当然深雪にもモーションを掛けて来たので理子がいるからと断ったからその腹いせだったのだろうと。後に秘書は自主退職したそうだがこんなつまらないことで離れ離れになっていたのかと思うとやりきれない。誤解も解けて再び一からやり直すことを決めたのだった。いよいよ、天沢の両親との顔合わせの日。数日前から体調を崩していた璃子は、深雪に心配される程顔色も悪かった。少しだけ言葉を交わしただけで、どうにも我慢できなくなり理子は倒れて緊急搬送されてしまった。間の悪いことに、この後すぐに深雪は海外出張が入っており、貴一に世話を頼んで出かけて行った。検査の結果、理子の妊娠が発覚。悪阻のせいと判ってからは早く彼に告げたくて帰国を指折り数えて待っていた。しかし、ネットニュースに深雪と梨園のお嬢様との結婚が報じられていて・・・。お互い初恋同士の復縁話です。誤解もあってこの結婚も前途多難だと思いきや、後に二人の仲を妬んだ者による策略で別れる羽目になったと判り、以降は幸せな日々を送っていました。そんな中、いきなり現れた梨園のお嬢様がライバルとして登場。まぁこれはお嬢様が直前に別のお相手から婚約破棄されたことで、その人以上の婚約者を仕立てようと深雪をターゲットにしたという、これまた迷惑話。それなら協力して欲しいとか一言あってもよさそうなのに、理子に彼と別れろと脅して来たり、色々ぶっ飛んだ人でした。歩道橋で言い合いになって転げ落ちそうになった理子を身を挺して助けようとしたのは見直したけど、そこはそれタイミングよく現れたのは深雪で理子もお腹の子も無事でした。こちらの騒動も真相が判り、お嬢様には厳重注意で手を打ったものの、彼女はあの時居合わせた貴一に惚れてしまったようで、それからというもの付き纏われているという、あの兄にもロマンスは芽生えるのかって感じの小話も。それから数か月後、安定期に入った頃に深雪と理子は結婚して本編は完。おまけの後日談は第一子・千華が一歳になり沖縄へ家族旅行に行くエピソードでした。封入SSペーパーは、10年前の深雪と理子のデート話。ヒーローとヒロインの誤解が割と早く解けてラブラブだったおかげでモヤモヤ度はかなり少な目だったのは良いですね。評価:★★★★☆
2024.04.01
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