inti-solのブログ

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2008.10.19
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カテゴリ: 環境問題
地球温暖化問題を巡る論点

地球温暖化を巡る論争の論点はいくつかあります。
大雑把にまとめると
1地球は本当に温暖化しているのか
2温暖化しているとしたら、その原因は二酸化炭素(あるいは人間の活動全般)にあるのか
3地球温暖化は自然にとって、あるいは人間にとって重大な問題か
という3点に集約できるでしょうか。

前回取り上げた「『地球温暖化論』に騙されるな!」(丸山茂徳著・講談社)は、1の地球は本当に温暖化しているのかについては、「地球の平均気温が高くなっているのは事実」(4ページ)として、一応は認めています(ただし、前回触れたように、「中世の温暖期」は今よりもっと暖かかったとも思っている模様ですが)。その上で、しかし温暖化の原因は二酸化炭素ではない、と主張しているので、その部分に関しては論理的に矛盾はありません。
しかし、その前に図書館で借りて読んだ「地球温暖化は本当か? 宇宙から眺めたちょっと先の地球予測」(矢沢潔著・技術評論社)は、1の地球が温暖化しているという事実認識を否定し、かつ2の温暖化の原因が二酸化酸素という説も否定しています。あれも否定しようこれも否定しようと欲張った結果、相互矛盾に陥ってしまったとしか思えません。もし、「地球は温暖化していない」というのであれば、「温暖化の原因は二酸化炭素か」という論点は成り立つはずがないのです。

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さて、では最初の論点から、地球は温暖化しているのでしょうか。

この点に関しては、前提条件があります。温暖化問題は、長期的な問題ではないということです。この場合の長期的というのは、何万年も先という意味です。

今問題になっている地球温暖化とは、過去50年くらい、将来数十年から100年という時間における気候変動についての話です。例えば、1年2年の単位で「今年は猛暑だったから温暖化だ」とか「冷夏じゃないか、温暖化なんてウソだ」という話ではない、ということです。そういった、1年単位の変動を平均して、数十年単位で見ていくと、気温が上昇している(これからも上昇する)という話です。
逆に、何千年何万年という単位の長期的な話でもありません。現在の地球は第四紀完新世と呼ばれる地質年代に属しています。第四紀は約200万年前に始まり、その間4回から6回の氷期と、その間の間氷期が繰り返してきました。現在は、最後の氷期(ウルム氷期)が約1万年前に終わったあとの「後氷期」と呼ばれる時期です。名前は「後氷期」ですが、おそらく将来はまた氷期になる可能性は高い。後から見れば、現在は次の氷河時代との間の間氷期ということに、おそらくなるでしょう。

なんだ、地球はやがて寒冷化するのか、なら温暖化なんてウソでは?と思うかも知れませんが、両者は時間的尺度が違います。氷期と間氷期の移り変わりは、何万年という単位の時間を要します。しかし、地球温暖化は数十年から百年という単位の時間の問題なのです。地球温暖化の方が次の氷期より遙かに早くやってくる。もちろん、そのまま放置しておいても、やがては氷期の到来によって温暖化は終わりを告げるでしょう。地球温暖化による気温上昇よりも、氷期間氷期の気温変動の方が大きいですから。しかし、そうなるまでの間、1万年以上も高温の時代が続くことになりかねないことに問題があるわけです。

さて、前述のように、地球温暖化懐疑論者の間でも「温暖化はしている」と認めている意見と温暖化の事実自体を認めない意見があるようです。
温暖化の事実自体を疑問視する説の根拠は、以下のようなものがあります。

1 気温の統計が取られているのは過去百数十年程度に過ぎず、場所は都市部に多い、だから温暖化は都市部特有のヒートアイランドなど局地的現象で、地球全体が温暖化しているわけではない。
2 昔の温度計は不正確なもので、誤差があるから統計に信頼性がない
3 温度計もない昔の温度はどうやって調べるのか、データの取り方が恣意的ではないか
4 17~8世紀は「近世の小氷期」と呼ばれる寒冷期で、それと比べて現在の気温が暖かいのは当たり前、「中世の温暖期」は現在よりもっと暖かかったに違いない。

他にもあるかも知れませんが、だいたいこんなところでしょう。

1についてですが、確かに古くから気象統計の取られている場所は、比較的北半球の都市部が多く、そういった都市部はヒートアイランド現象という局地的な高温下現象の影響を受けやすいという側面はありますが、都市部以外の測定データ、海洋上の測定データがないわけではなく、地球全体の平均気温を求める場合には、局地的なヒートアイランド現象などの影響に左右されないよう補正が行われています。何も東京やニューヨークのような大都市の温度だけを集めて「温暖化」と騒いでいるわけではないのです。
全球大気観測網
気象庁も、長期的な気象変動を追跡する際には、都市化の影響の少ない地点のデータを使っています。現象そのデータによると
http://www.mri-jma.go.jp/Dep/cl/cl4/ondanka/text/2-3.html
日本の気温は、確実に上昇しています。

2については、確かに温度計には誤差があります。しかし、5度も10度も誤差があるわけではありません。
それに、1ヶ所や2ヶ所で短期間の測定データを比較するならともかく、世界何百ヶ所で何十年、あるいは百年以上もの長期に渡って計測されたデータの全体的な傾向を知るためには、誤差の存在は問題ではありません。昔の温度計が常に高いほうへ、あるいは常に低い方に誤差を生じるのであれば話は別ですが、高い方にも低い方にも誤差が生じるなら、大量に集積されたデータの平均を求める際には+の誤差と-の誤差が相殺されて、そんなに実態とかけ離れた数値にはなりません。

3については、温度計のない時代の気温についても、様々なデータをつなぎ合わせることで、かなり客観的なデータを集めることが可能です。
例えば、前回の日記に書いた、南極やグリーンランドの氷床コアのボーリング調査では、氷に封じ込められた気泡の組成を解析することによって過去の気温変化をかなり克明に再現することが出来ます。ただし、アメリカ大陸では暖冬だが日本では厳寒の冬、なんてこともあるので、世界全体の気候変動まで南極とグリーンランドの氷床コアのボーリングだけで分かる、とは限りません。(ある程度の傾向は類推可能でしょうが)
しかし、他にも様々な手段によって過去の温度変化を調べることが出来ます。例えば、氷河のある山岳地帯では、いつの時代に氷河の末端がどこまで来ていたかが分かれば、気温の変動をつかむことができます。北半球中緯度以北では、標高が100m上がるごとに平均気温は0.6度下がります。
ということは、仮に現在ある山の中腹3000m地点に氷河の末端があり、300年前には氷河が海抜2700m地点にあったとすれば、当時の気温は現在より0.6×3=1.8度程度低かったと推測できます。人間の記した記録がなかったとしても、氷河が後退したあとにはモレーン(堆石)が残りますから、過去に氷河がどこまで進出していたかを推定することは可能です。
氷河のない山の場合は植物の花粉分析も有効です。植物もまた、気候ごとに繁茂する種類が変わるからです。
人間の記録が残っている時代なら、前述のとおり何々山の氷河はどのあたりまで来ているとか、初雪・初氷・初霜がいつだったとか、桜がいつ咲いたとか、そういった自然現象に関する記録が残っていれば、これも重要な指標になるのです。

4について中世の温暖期については、前回の日記にも書きました。確かに、それに続く近世の小氷期より暖かかったことは間違いありませんが、現在より暖かかったとまでは断定できません。
中世の温暖期の暖かさを強調する話として、マラリアが取り上げられることがあります。有名人では、平清盛の死因がマラリアとされています。マラリアは熱帯起源の病気ですが、中世には日本でもマラリアが流行していた、それだけ当時はは暖かかったのだというわけです。
当時マラリアが流行していたことも、平清盛の死因がマラリアらしいことも事実ですが、実はマラリアは過去日本でずっと流行し続けていたのです。大正年間には北海道でもマラリアが流行していました。北海道どころか、更に北のサハリンやシベリアにすら、マラリアは流行していたのです。
つまり、マラリアの起源は確かに熱帯にありますが、流行はかなり寒冷地まで及んでいるのです。それが撲滅されたのは、寒冷化のせいではなく衛生状況の改善のおかげです。現在の日本にマラリアはありませんが、マラリア原虫を媒介するハマダラカは住んでいるのです。ハマダラカはいても、マラリア原虫が撲滅されているのでマラリアは発生しませんが。
中世の温暖期も近世の小氷期も、それが存在したことは事実です。しかしその気温の変動はこの30年の急激な温暖化を上回るような規模ではなかったことも確かなのです。

目を開いて新聞記事を見てみましょう。

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北極海の氷、9月前半に過去最小体積…急減傾向が明確に

米国立雪氷データセンターは2日、北極海を覆う氷が今年、観測史上2番目に小さい面積まで減少したと発表した。
9月前半の平均面積は467万平方キロ・メートルで、過去最小だった昨年同時期より39万平方キロ・メートルだけ大きかったが、研究者らは「薄い氷が多く、体積では最小になった」と推測。「氷が急速に減少している傾向が明確になった」としている。
海水面は氷より日光を吸収しやすいため水温の上昇を招いて、氷の減少はますます加速すると懸念されている。実際、今年は昨年より気温が低めだったのに、8月は過去に例のない速さで海氷が消滅した。面積が最小にならなかったのは、風の効果で氷が薄く広がりやすかったためとみられている。
(2008年10月3日10時46分 読売新聞)

北極の氷に、ヒートアイランド現象もなにもありません。ヒマラヤでも、グリーンランドでも、パタゴニアでも、氷河は急激に後退しています。地球が急激に温暖化しつつあるから北極の氷や各地の氷河が急減しているのは明らかです。





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最終更新日  2008.10.19 22:16:09
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