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【辛坊持論】次世代の意思高齢者が押しつぶした10年ほど前にIMFが、加盟国に「有権者の過半数が50歳以上になる前に、高齢者に不利益を与える制度変更を済ましておかないと、福祉予算で国がつぶれる」という警告を発した。実はこの警告、医療、介護、年金、高齢者の生活保護予算が膨れ上がりつつある日本を横目に発せられたもの。当時すでに日本の有権者の過半数が50歳以上になっていて、それがIMFの警告のきっかけになった。私は当時、「日本の高齢者はもっと賢い!」という趣旨で短文を書いた記憶があるが、今回の大阪都構想をめぐる住民投票の結果を見るとIMFの懸念は現代日本が抱える大問題となってしまったようだ。都構想をめぐる住民投票、結果は0.8%の僅差で反対派の勝利になった。世論調査などを詳細に分析すると、この結果をもたらしたのは、期日前投票における大量の反対票だったことが分かる。投票日当日の読売テレビ出口調査で反対が賛成を上回ったのは70代以上の男女と、50代女性だけ。特に20~40代の働き盛りの男性は、圧倒的多数が賛成票を投じている。これら大阪の次世代を担う人々の意思を、70歳以上の高齢者が押しつぶした。暗たんたる気持ちになるのは、そもそも若年~中堅層の人口は高齢者人口より少なく、今後ますますその傾向が強まることが決まっているから。これら高齢者の約4人に1人は認知症、またはその予備軍とのデータも存在するが、病気を理由に投票権が剥奪されることはない。投票年齢の引き下げと、若年が投票所に足を運ぶ民主主義教育に一刻の猶予もありません。日本の未来のために。(要旨)---先日、「シルバーデモクラシー」論を批判する記事を書いた際も少し触れましたが、辛坊次郎という輩の言い分が、相変わらず滅茶苦茶です。そもそも、この文章を一読して分かるのは、データの分析がおかしいということです。この結果をもたらしたのは、期日前投票における大量の反対票だった~投票日当日の読売テレビ出口調査で反対が賛成を上回ったのは70代以上の男女と、50代女性だけ。特に20~40代の働き盛りの男性は、圧倒的多数が賛成票を投じている。これら大阪の次世代を担う人々の意思を、70歳以上の高齢者が押しつぶした。なんだ?これ??です。当日投票の出口調査で20~40代に賛成が多く、70代に反対が多かったことは事実です。期日前投票が反対多数だったことも、おそらく事実です。しかし、期日前投票が反対多数だったことと、70代の高齢者が「次世代を担う人々の意思」を押しつぶしたという分析にはつながりがありません。無関係なものをつなげて、さも関係がありそうなフリをしているだけです。だって、期日前投票に行ったのは70代ばかりなんですか?どう考えたってそんなはずがないでしょう。というより、むしろ逆です。仕事で投票日に家にいないから期日前という人は、圧倒的に現役世代に多いはずです。だから、期日前投票の投票者は、むしろ当日投票より若い世代が多い可能性が高いんじゃないでしょうか。かくいう私も、最近は期日前投票をおこなうことが多いのですが(4月の統一地方選は、平日8時までに家に帰れず、当日投票しましたけど)、その際に他の投票者に高齢者はあまり見かけなかったように思います。なお、検索したところ、2011年2月におこなわれた愛知県知事・名古屋市長選の世論調査結果がありました。この10ページ目によれば、期日前投票と当日投票の年齢別割合を比較すると、20代30代は期日前投票のほうが圧倒的に高く、40代もやや高い。50代はかわらず、60代は期日前投票のほうがやや低く、70代以上は圧倒的に低い、という結果になっています。ここから導き出される推測は、当日投票では若い世代は賛成多数だったけど、期日前投票した若い世代は反対多数だったのだろう、ということです。全投票の2割が期日前投票で、しかも、その期日投票では相対的に若い世代の割合が高く、かつ反対が圧倒的多数だったとすれば、若い世代だって、全体としては必ずしも賛成が圧倒的ではなかった可能性が考えられます。何しろ、すでに指摘したように、住民投票以前の世論調査では、若い世代も大阪都構想には決して賛成多数ではなかった事実があります。「若年~中堅層の人口は高齢者人口より少なく」というのも、まったくのウソです。大阪市の有権者の構成比を再度掲載します。20代が14.2%、30代16.4%、40代17.5%、50代12.9%、60代14.4%、70代14.2%、80代以上10.0%です。70代以上より20代30代の合計のほうが多い。「中堅層」という言い方なら40代だって含まれるはずですが、70代以上対20~40代となったら、ダブルスコアの差です。ただ、若年層の投票率が低いことは事実で、「投票年齢の引き下げと、若年が投票所に足を運ぶ民主主義教育」という結論部分だけは、私も同意しますけどね。それにしても、自分の思い通りの選挙結果にならなかったからと、高齢者はおろかとでも言いたげな、この八つ当たりぶり。「これら高齢者の約4人に1人は認知症、またはその予備軍とのデータも存在するが、病気を理由に投票権が剥奪されることはない。」だそうですが、だからなんでしょう。選挙権を剥奪しろとでも言うつもりでしょうか。IMFという新自由主義の権化の言い分を金科玉条としているあたりも、どうしようもないなと思います。IMFの言い分が全面的に正しいなら、世界中で反IMF暴動なんか起こるわけがないのに。そもそも、人は必ず年をとるものです。今日の若者は、いつか必ず高齢者になる(20や30で若死にしない限りは、ですけど)。こうやって高齢者叩きをやっている人も、必ず高齢者になります。ちなみに、辛坊次郎自身は1956年の生まれだそうですから、私より10歳以上も年上で、来年60になるようです。ということは、11年後には70ですが、70になったときには、「若者の意思を押しつぶさないため」に自分の政治的発言は控えるのでしょうか。ま、そのときにどんな態度をと知るのか、見ものではあります。
2015.05.25
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橋下大阪市長の仕掛けた大阪都構想の住民投票は、反対多数という結果に終わったわけですが、これに関して「シルバーデモクラシー」だという批判を叫ぶ人がいるようです。何でも、住民投票の際の出口調査では、20代から60代までの各世代では賛成のほうが上回っていたが、70代だけ反対が上回っていたのだそうです。それなのに、全体では反対が多数だった、つまり70代のせいで若者の意見が政治に反映されない、というわけです。そういう意見の代表格が、Bill McCrearyさんの紹介してくれた、辛坊治郎のような輩でしょう。しかし、ちょっと調べると、そのような意見はあらゆる面で間違っていることが分かります。第一に、この出口調査の信頼性という問題です。今回の住民投票の出口調査は複数の報道機関がおこなっていますが、その多くは選挙当日のみの出口調査しかおこなっていないようです。たとえば20・30代は6割賛成 都構想 朝日・ABC出口調査こちらの調査は「今回の住民投票で、朝日新聞社と朝日放送(ABC)は17日、投票を済ませた有権者を対象に出口調査を実施した。」と明示されています。出口調査は「賛成51・7%」…せめぎ合う賛否、最終盤に賛成派追い上げこちらの調査も「産経新聞社※が同日、投票所で投票を終えた有権者に実施した出口調査の結果」と明示されています。(※実際には、産経単独ではなく共同通信、毎日新聞、毎日放送、関西テレビと協力して実施とのこと)しかし、実際の選挙には、期日前投票があります。(国政選挙では、期日前投票の出口調査をおこなう報道機関もある)今回の住民投票では、投票総数約140万票の2割以上の30万票が期日前投票によるものです。そして、今回の住民投票では、期日前投票分は、反対派がかなり優勢と言われています。期日前のデータも加味すれば、どの年代でも賛成が減り、反対が増える調査結果になった可能性が高いのです。事実、産経などの出口調査では賛成多数となっていますが、実際の投票結果は反対多数です。いずれも誤差の範囲程度ではありますけど、差が生じた一因は期日前投票であろうと思われます。第二に、70代の人口は20代30代を圧倒するほど多いわけではありません。大阪市の20歳以上の有権者に占める年代別人口割合は、20代が14.2%、30代16.4%、40代17.5%、50代12.9%、60代14.4%、70代14.2%、80代以上10.0%となっています。(大阪市年齢別推計人口平成26年10月データより計算)70代と20代の人口はほぼ同じ(わずかに20代の方が多い)です。70代以上すべてと20代と30代合計の比較では、20~30代のほうがかなり多くなります。つまり、70代の人口は、20代と30代の意見をかき消せるほど多くはない、ということです。差があるとすれば、投票率です。今回の住民投票の年代別投票率は、データがないので分かりませんが、一般的傾向として若年層ほど投票率が低く、高齢層ほど投票率が高い傾向があります。今回の選挙でも同様の傾向があったと思われるので、有権者数では20代30代のほうが多くても、投票数では70代以上のほうが多かったという可能性は考えられます。選挙において、投票に行った者の意見が通り、棄権したものの意見が通らないのは、これは仕方のないこととしか言いようがありません。ただし、です。第三に、若者の投票率が高ければ、住民投票の結果は逆転したのか、という問題です。おそらく、そんなことはなかったと思われます。若者の投票率が上がれば、むしろもっと賛否の差が開いた可能性が高い。何故か。住民投票の前に、産経新聞が大阪都構想の賛否を問う世論調査をおこなっています。何度か調査がおこなわれた中で、最後の調査は5月11日に公開されています。都構想 20代女性、調査のたび「賛成」低下…男性は「賛否」拮抗本文の引用は省略しますが、男性は賛否拮抗、女性は反対多数となっています。そして、さらに細かい性別年代別の賛否は、以下のグラフのとおりだそうです。男性では、30代から60代までは賛成が上回っている(60代はほぼ拮抗)のに対して、70代だけではなく20代も反対が多数となっています。真ん中の世代は賛成多数、一番若い世代と一番高齢世帯という両端は反対多数、という結果です。それに対して、女性は60代だけが賛成多数で、それ以外の世代はすべて反対多数です。中でも20代がもっとも反対の割合が多く、賛成の割合が少ない。男女合計した年代別データは不明ですが、男女が同数だと仮定して計算すると30代と50代は反対多数、40代と60代は賛成多数となります。要するに、さきの出口調査の結果とは、まったく異なった結果となっているのです。結局、若い世代の中では、大阪都構想に賛成の人は投票率が高く、反対の人は投票率が低かった、ということでしょう。「大阪都なんて馬鹿馬鹿しい」と思っている若い人の多くが、投票には行かなかった、ということです。だとすれば、若者の投票率が上がったらも、反対派の得票がさらに増えるだけ、ということになります。それにしても、「シルバーデモクラシー」を叫ぶ人の中には、「高齢者の投票権を剥奪しろ」なんていう人もいます。およそ、現実的ではない暴論です。かつて、1925年以前の日本は、収めた国税額で選挙権を制限していました。それとおなじことをやれ、というわけです。普通選挙はやめて、制限選挙にしよう、というわけです。辛坊治郎が「生活保護受給者が」みたいなことを叫んだらしいですが、これぞまさに、収入に応じて1票の価値を変える発想に他なりません。世界の民主主義国で、現在そんなトンデモな制度を導入している国がどこかにあるのでしょうか。
2015.05.21
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橋下・大阪市長と桜井・在特会会長が面談 主張は平行線ヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)の対策を検討している大阪市の橋下徹市長は20日、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の桜井誠会長と市役所で意見交換をした。両者は怒号を飛ばして激しく応酬。主張は平行線のまま、30分の予定が10分弱で終わった。橋下氏は7月の記者会見で「ヘイトスピーチはやり過ぎだ。僕が直接対応する」と表明。これを受けて、在特会側が面談を申し入れていた。面談は報道陣に公開で行われ、会場となった市役所の会議室には100人ほどの報道関係者らが詰めかけた。橋下氏は「民族とか国籍をひとくくりにして評価するような発言はやめろ」と批判。そのうえで「参政権を持っていない在日韓国人に言ってもしょうがない。在日の特別永住制度に文句があるなら、それをつくった国会議員に言え」と求めた。これに対し、桜井氏は「あんたの友だちの国会議員に言っている」と返答。ヘイトスピーチを行ったという具体的な事実関係を示すよう求めたうえで、「民主主義のルールに基づいてデモ行進をやっている。言論の自由を否定するのはやめろ」と反論した。3メートルほど離れて座った両者は冒頭からけんか腰だった。橋下氏が「おまえ」と呼びかけると桜井氏が激高。両者が立ち上がって詰め寄り、警備担当者ら10人ほどに取りなされる場面も。最後は橋下氏が「もう終わりにしましょう」と宣言し、議論を打ち切った。---橋下は在特会に対して批判的だと報じられてきました。あのような団体に好意的な態度では、政治家として終わっているとしか言いようがないので、批判的であるというそのこと自体は、まずは最低限評価すべきかも知れません。でも、果たして在特会のどこに批判的なのか、という点には疑問の余地が大有りです。「ヘイトスピーチはやり過ぎだ。」と言っているとか。やりすぎというのは、方向性が間違えているのではなく、方向性は正しいけれど行き過ぎていることを指す表現です。つまり、基本的に間違っているという認識ではない、ということなのでしょう。実際のところ、橋下の言い分と在特会の言い分と、はたしてどれほどの違いがあるのか、大いに疑問です。従軍慰安婦問題にしても、その他の歴史認識問題にしても、韓国に対する見方にしても、両者の言い分にはそれほど大きな違いがあるようには見えません。今回の意見交換にしたって、橋下という著名な政治家(かなりメッキが剥がれてきているとは言え)が相手をして、マスコミの前で意見交換会をすること自体が、在特会の認知度を上げる手助けをする行為としか思えません。両者のやり取りは、産経新聞のサイトに出ています。【橋下市長VS在特会】面談詳報(上)【橋下市長VS在特会】面談詳報(中)【橋下市長VS在特会】面談詳報(下)この中で、「だから民族をひとくくりにして言うな。朝鮮人は出ていけとか、朝鮮人は半島に帰れとか、そういうくだらないことはやめろ」という橋下の言葉は、理屈抜きで正論だと思います。でも、それ以外は驚くほど具体論がない。それを、マスコミは「かみ合わない」と報じていますが、具体論になると意見が一致してしまうから、「対立」を演じるためには具体論には入れなかったのではないか、という気すらしてしまうのです。
2014.10.20
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講演で「愛人かこって」と橋下氏日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は7日、大阪市内で講演し、御堂筋沿いにマンションを含む高層ビルが建設されるとした上で「愛人の2、3人を住まわせてもらいたい」と述べた。「レジデンス(居住部分)に愛人をかこう経営者も出てくる。(周辺に)愛人専用の宝石店ができる」とも発言。愛人を容認した発言で反発を呼びそうだ。---この発言が報じられて批判が集まると、今度はこんなことを言い出しました。橋下市長、愛人発言「シャレ、冗談の極みだ」橋下徹大阪市長は8日、同市のメインストリート・御堂筋沿いに建設される高級賃貸マンションに「愛人を住まわせて」と経済人らの会合で発言したことについて、「シャレ、冗談の極みで、(報道したメディアは)ばかそのもの。冗談もシャレも分からないんだったら、これから一切、講演会に(報道各社を)呼びません」と語った。---以前の、「風俗活用」発言もそうですが、今の社会で通用しないような価値観に基づく発言をポンポンしてしまうのは何故なんでしょう。批判を浴びたとたんに「シャレ、冗談」と言い出したそうですが、報じたマスコミだって、質の悪い冗談であることくらいは分かっていたでしょうし、読んだ私もそのように認識しています。しかし、それが冗談としてあまりに質が悪すぎて、冗談では済まないレベルだから、記事になったわけです。なんでも「冗談」と言えば免罪できるわけではありません。冗談でも許されないことはある。私自身の肌感覚でいって(肌感覚なので、明確な根拠や厳密性はありませんが)、こういう「冗談」は、アウトです。相手が男性のみならまだしも、特に女性の前ではこんな「冗談」はまずい。橋下の講演会は、聴衆が全員男性だったのでしょうか。おそらくそんなことはないでしょう。女性だって聞いていたはずです。こういう発言が(冗談でも)マズイ、ということを、橋下は肌感覚では理解していないのでしょう。要するに、世のセクハラおやじと同じ感性の持ち主が、男ばかりを前にした床屋政談と同じレベルで放言して、それが問題発言だという認識すらないのだから、話になりません。
2014.04.09
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橋下氏、投票率最低でも「住民投票へ信任得た」大阪市長選で再選された橋下徹氏(44)(日本維新の会共同代表)は24日、市役所で記者会見し、過去最低の投票率(23・59%)となった選挙結果について、「歴代市長より多い37万票をいただいた。大阪都構想の議論を進め、最後は住民投票で是非を決めることへの信任を得た」と強調した。橋下氏は、自身が就任する前の数回の市長選でみると、当選者の得票数は30万票前後だったことから、「堂々と(勝ったと)言える状況ではなく、これで都構想が支持されたとは言わないが、歴代市長並みの信任は得た」と主張した。橋下氏は今週中にも、都構想の制度設計を話し合う法定協議会(大阪府知事、大阪市長、府・市議ら計20人で構成)から都構想反対派の議員を交代させるよう、法定協会長の浅田均府議(大阪維新の会)に申し入れる意向だ。---何と弁解したところで、信任を得たと思う人は少ないでしょう。本人だって、内心は分かっているんじゃないでしょうか。「歴代市長より多い37万票をいただいた。」という理屈は、笑ってしまいました。そういう言い方をするなら、橋下の得票は前回選挙から半減、のみならず現職で落選した平松邦夫(52万票)よりずっと少ないのです。それに、橋下は歴代の大阪市長を批判していたんじゃなかったでしょうか。こういうときだけ、歴代市長並であることを誇って見せたって、説得力はありません。なんといっても、前回選挙から得票半減、過去最低の投票率、白票・無効票が次点者より多い、すべての事実が、橋下の言い分のむなしさを示唆しています。橋下が、というよりも、選挙を行うことそれ自体が信任されなかった、という方がいいかもしれません。それでも大阪都構想を進めるのだというのですが、もう勝手にしろという感じです。しかし、選挙前と状況は何も変わっておらず、いや、それどころか府政野党との対立は強まり、府議の離党も表面化しており、何よりもう橋下に神通力がなくなってきていることが明らかになっているので、選挙前より橋下の立場が弱くなっていることは間違いありません。政治的には進退窮まったようにしか見えません。
2014.03.25
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独り相撲に・不戦敗を…出直し市長選なら各党出直し市長選に臨むことを3日に正式表明する予定の橋下徹大阪市長(日本維新の会共同代表)が、同日中に市議会の木下吉信議長に辞職願を提出する見通しであることがわかった。出直し選については、自民、民主両党がそれぞれ独自候補の擁立を見送る方針であることも判明した。橋下氏が3日に辞職願を提出した場合、公職選挙法に基づき、議長は5日以内に市選挙管理委員会に通知し、翌日から50日以内に市長選が実施される。このため、出直し選は「3月2日告示、16日投開票」、または「3月9日告示、23日投開票」のいずれかの日程が有力となった。市長の任期は通常4年だが、橋下氏が出直し選で再選された場合、任期は当初任期の残り期間となり、来年12月までとなる。橋下氏以外の候補が当選した場合、任期は4年。自民党大阪府連は、出直し選で独自候補の擁立を見送る方針を固めた。橋下氏が3日に辞職を表明すれば、幹部会で候補擁立の見送り方針を確認したうえで近く党本部と相談し、正式決定する見通し。同党の府市議団は都構想に反対しているが、「大義がない選挙につきあう必要はない」と判断した。候補擁立を見送ることで橋下氏の「独り相撲」を強調し、維新サイドを批判する狙いもある。府連幹部は「安倍首相ら官邸は橋下氏らと良好な関係にある。党本部から候補擁立の見送りに異論は出ないだろう」と話している。民主党府連も、3日に独自候補の擁立を見送る方針を決める予定。府連幹部は「予算編成の時期に、市政を停滞させるのは問題だ」としている。出直し選を巡っては、公明、共産両党にも候補を擁立せず「不戦敗」とすることが望ましい、との考えが広まっている。---そういえば、東京でも現在都知事選の真っ最中です。震災直後の2011年4月に石原が4選、しかし突然の辞任により翌12年12月に都知事選。しかし当選した猪瀬直樹がまた5000万円問題で辞任したわけです。結局、3年間で3回目の都知事選。そして一方大阪でも、橋下が2008年に大阪府知事に当選したものの、任期途中で辞任して、2011年12月に大阪市長に転じる。と思ったら、大阪市長の地位も任期いっぱい務めずに辞任して、再度出馬するというのです。何だか、あまりに任期途中でやめる主張ばかりなので、知事や市長の任期って何年だか分からなくなってしまいそうです。もちろん、任期は4年です。選挙は民主主義のコストとは言うものの、何でもかんでも乱発すればよいものでもないでしょう。最初から任期途中の解散が予定されている衆議院(戦後、任期満了の衆院選は1回しかなかった)とは違い、参院選と地方選挙は任期いっぱい務めることが予定されている、はずです。そりゃもちろん、よほどの事情がある場合は仕方がないですよ。首長が現職で亡くなったり著しく健康を害したり、あるいは今回の猪瀬のように重大な違法行為があったような場合などは、そういう「よほどの事情」だと思います。だけど、自分の進める政策が思うように議会に受け入れられなかったから辞任します、というのは、無責任にすぎます。それなら、最初から立候補するな、と思ってしまいます。基本的には、当選した場合にその任期をやりぬく意思のない人は、選挙に出るべきではない、と思います。(これは、解散がある衆議院でも同じと思っています)自分の思いどおりに政策が進まない度に辞任する、よほどのことであればともかく、橋下は府知事のときにもすでに一度それをやって、2年余りでもう一度同じことをやるというのです。いい加減にすべきではないでしょうか。他党が候補を立てず、不戦敗を選択するというのも、悪くない策と思いましたが、その後の報では共産党が態度を変えて、候補擁立を目指すようです。実際には、有力政党が候補を立てなかったとしても、いわゆる泡沫候補が立候補すれば、無投票当選にはならないし、これだけ騒動になれば、泡沫候補が名乗りを挙げる可能性が高い、ということを考えれば、候補擁立を忌避する理由は乏しいのかもしれません。
2014.02.04
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ツイッターで「アホか」、記録改竄、3カ月で退職 大阪市公募区長・校長トラブル後絶たず大阪市の橋下徹市長が、組織の内外から優秀な人材を集めるために導入した大阪市や学校の幹部ポストの公募制度。しかし、皮肉にも外部人材による不祥事やトラブルが後を絶たず、公募制度の信頼を揺るがしかねないと、批判の声も上がっている。民間出身の区長が昨年8月に短文投稿サイト「ツイッター」で、自身に批判的な投稿者に対し「アホか」などと書き込み、橋下市長から口頭注意を受けた。今年3月には民間出身の当時の東住吉区長が重要な会議を欠席したなどとして更迭。その後、年金記録に関係する文書を改竄し、市に提出したとして分限免職処分になった。6月下旬には市立小の民間人校長が「自分のスキルを生かせない」として、わずか就任3カ月で退職。別の市立小の民間人校長は現在、児童の保護者に対するセクハラ行為の疑いで市教委の調査を受けている。橋下市長は8月28日、「内部人材でも不祥事はあり、(公募制度は)見直さない」と強調したが、その直後に明るみに出た男性区長(54)のセクハラ疑惑。市役所出身の区長は「外からきた人は脇が甘いと言わざるを得ない」と批判。民間出身の区長は「公募制度の信頼が揺らいでしまう」と嘆いた。ーーー橋下の肝いりで始まった公募区長と公募校長ですが、不祥事があまりに多いようです。就任3カ月で退職というのは、必ずしも不祥事とは言えませんが、極めて不正常な状態とは言えるでしょう。いずれにしても、橋下の「内部人材でも不祥事はある」というのは、あまりに説得力のない言い分です。確かに内部人材でも不祥事はあるでしょう。しかし、公募校長は全部で143人、公募区長は24人と報じられています。合計167人しかいないところで、セクハラ2件とツイッターでの暴言、年金記録改竄が1件ずつ、3ヶ月で退職が1名、どう考えたって問題の起こる割合が高すぎます。大阪市役所の職員総数は約3万6千人だそうです。単純な計算でいうと、1年半のうちに167人中4人の不祥事というのは、大阪市役所全体で900人が不祥事を起こしたのと同じ割合になります。いくら内部人材にも不祥事があるといっても、こんな割合ではないでしょう。それも、右も左も分からない新社会人ではない、区長に校長という、トップに立つはずの人間ばかりが集まっているのに、です。もちろん、「外部人材だから」問題がある、などということは本来ないはずです。色々な役所で経験者採用を行っていますが、問題のある人ばかりが集まる、なんて話は聞いたことがない。にもかかわらず大阪だけ公募職員に不祥事が頻発したのは、問題のある人ばかりが選ばれたか、あるいはそもそも問題のある人しか応募しなかったか、ということが考えられます。いずれにせよ、結局は選ぶ側に人を見る目がなかった、ということに尽きます。応募した中にロクな人材がいない、という判断であれば、公募を中止する、あるいは公募枠を縮小するという選択肢だってあり得たはずです。あるいは、「公募制を実行する」という政治的都合が、人材の質を選ぶことより優先した、という価値判断の問題かもしれませんが。そういえば、橋下の維新の会そのものが、ろくな政治家がいないように見受けられます。どうやら、橋下には人を見る目がないか、あるいは、橋下の元に集まりたがる人には、もともとろくな人材がいない、ということなのでしょう。それにしても、驚いたのは、セクハラで更迭された公募校長が、研修後に復帰の予定だということ。公募セクハラ校長の復職方針、保護者が猛反発それでも、不祥事は起きた。ある市教委幹部は「教職員から昇任した校長なら間違いなく辞職するケース。強制的に辞めさせる手段がない以上、不本意だが、復職に向けて動くしかない」と打ち明ける。公募校長の募集要項には「任期(3年)付きの市立小中学校長」とあり、特別な雇用契約書は取り交わしていない。採用時は校長として辞令交付しており、事務職などには異動させられないという。別の幹部は「特定の職に限定して採用する公募制度の弊害だ」と話す。ーーー報道によると、このセクハラ校長の発言録は「トンデモない」の一言につきます。高校生に対して性的な質問を連発、というのは、学校教師として、まったく失格でしょう。この校長の前職がどのようなものであったかは知りませんが、たとえばブラック企業の経営者として辣腕をふるっていた人物なら、社内でいくらセクハラを乱発しようが逆らう人もいないでしょうが、そういう人間が教育現場に向いているわけがありません。※まあ、逆も言えて、優秀な校長が民間企業で優秀な社員あるいは優秀な経営者になれるとも限りませんけど。民間企業どころか、退職した校長が、再雇用で役所の住民サービス部門にやってきたりすると、態度がよくないと住民に評判が悪い、なんて事態もありがちなことです。(もちろん、腰の低い校長だって存在しますけど)もちろん、いずれも極端な例を挙げましたが、要は良し悪しの問題ではなく、向き不向きがある、ということです。万人がどんな仕事にも向いている、なんてことは本来あり得ません。いずれにしても、上記のセクハラ校長は、教育現場で許される一線を、明らかに大きく踏み越えてしまっているにも関わらず、校長以外の職に配置転換できないとすれば、それは明らかに制度の不備です。そのような不備な制度を作った人間の責任は、問われるべきでしょう。それにしても、橋下は地下鉄の運転士が煙草を吸っていただけで「懲戒免職」を叫び、さすがに懲戒免職にはならなかったものの停職1年という重い処分が下った前例があります。それなのに何故、この件ではセクハラ校長の懲戒免職を叫ばないのか。いつも、前例も法令も無視して叫んでいるのに、この件だけは及び腰になるのは何故でしょうかね。
2013.09.13
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以前の記事で取り上げた「はだしのゲン」をめぐる問題ですが、本家の松江市では閲覧制限をやめたそうで、まずは順当な判断(そもそも閲覧禁止にしたこと自体が異常な判断ではありますが)と言えます。ところが、それじゃ収まらない、収まりたくない連中も少なからずいるようです。維新・橋下氏、「はだしのゲン」で朝毎を批判 「教委の独立性否定」日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)は27日、松江市教育委員会による漫画「はだしのゲン」の閲覧制限撤回に関連し、社説で「撤回」を求めた朝日新聞と毎日新聞を名指しし、「メディアが騒いで教委の決定を覆した。教委の独立性を完全に脅かした。独立性はいらないと言ったに等しい」と批判した。市役所で記者団に語った。教委側に対しても「だらしない。独立性を自ら放棄したようなもの。判断に自信があるなら、朝日新聞や毎日新聞に言われようが、『教育的判断だ』といえばいい」と苦言を呈した。教委の独立性に関する自らの見解については「完全独立性はよくない。民意をある程度反映させなければならない」と述べた。ーーー例によって例のごとく維新の会の橋下がしゃしゃり出てきたようですが、言っていることが、かなりあさっての方向を向いてしまっているようです。「教育委員会の独立」というのは、行政組織として、自治体の首長から独立している、という意味であって、外部から批判を受けない(批判を許さない)という意味ではない。そんなことは当たり前の話であって、いちいち説明する必要もないくらいでしょう。教育委員会の決定は無謬ではないし、不可侵でもない。誤った決定をすることだってあるだろうし、誤った決定に対して、内部からはともかく、外部から非難したり苦情をいうのは、それこそ言論の自由というものです。だいたい、教育委員会を批判することが「教育委員会の独立を否定」だと言うなら、橋下の「だらしない」という批判自体もまた、独立の否定でしょう。しかも、そう言っている同じ口で「完全独立はよくない、民意をある程度反映させなければ」って、まるっきり矛盾したことを言い出しており、もはや支離滅裂です。あえて翻訳するなら「朝日や毎日は憎いから、どんな理由をつけてでも批判してやるぞ」という意味にしか受け取れません。ところで、この問題に関して、例によって産経新聞は「はだしのゲン」攻撃にまっしぐらのようです。以前の記事のコメント欄で紹介したのは、【阿比留瑠比の極言御免】「はだしのゲン」はどんな本かですが、さらに8月24日の「産経抄」でも取り上げられています。要するに、「自虐史観」の左翼マンガだから学校から追放してしまえ、と、単純化すればそういうことです。それにしても同時代にジャンプでヒットした永井豪の「ハレンチ学園」は、ついぞ小学校の図書館に置かれなかったが、誰も言論抑圧とは言わなかった。ふだんは漫画を下に見ているのに、ゲンだけを特別扱いにする教師や新聞には、何か別の意図があると疑ってかかった方がいい。この言い分は笑った。「ハレンチ学園」は小学校の図書室に置かれなかったが、言論弾圧ではない(だから「はだしのゲン追放も言論弾圧ではない)というのです。「最初からない」状態と「あったものを取り上げる」状態は、同じではありません。どんな図書館でも、蔵書の選択はある程度任意であり、蔵書数を無限にできない以上は選ばれない本がある、これは当然のことであり、それを「言論弾圧」とは言いません。しかし、いったん蔵書としたもの、これまで誰もが自由に読めたものを閲覧禁止にするというのは、それとは意味合いが全く違います。その差も区別できないようでは、言論機関の名に値しないのではないかと私は思います。もっとも、今回の問題は単純な言論の自由だけの問題ではなく、子どもの教育上の妥当性という問題でもありますが。(以前の記事に書いたように、その面でも、歴史的事実を臭いものに蓋で隠すことが教育上妥当とは思えませんが)「普段漫画を下に見ているのに」というのも、何を根拠にそんなことを書いているのか、全く謎です。私が子どもの頃には、マンガを害悪視する風潮は確かにありましたが、現在は、そのような風潮を感じることは、少なくとも私はありません。朝日新聞は取っていないけど、毎日新聞の紙面から、「マンガを見下している」と感じたことはない。これは、むしろこのコラムの筆者の深層心理(自分自身がマンガを見下しているから、他の大人、他のマスコミもそうだと思い込んでいる)だとしたら、何となく腑に落ちるのですが。
2013.08.27
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橋下大阪市長、市立大学長選認めず 「選ぶのは市長」大阪市長から任命される同市立大学長が従来、大学の教職員による選挙結果に基づき選ばれていることについて、橋下徹大阪市長は9日、「ふざけたこと。そんなのは許さん。学長を選ぶのは市長であり、選考会議だ」と述べ、今秋にも想定される選挙を認めない考えを示した。市役所で記者団に語った。同大の定款では、学長は大学の選考会議からの申し出に基づき、市長が任命する。ただ、学長候補者は従来、大学の教職員による2回の投票を経て選び、その結果をもとに選考会議が候補者を市長に伝えていた。現在1期目の西沢良記学長は来年3月末で4年間の任期を終える。橋下氏は「(学長は)選考会議で選ぶが、選考会議に僕の意見を反映させる。それが民主主義だ。何の責任もない教職員にトップを選ぶ権限を与えたらどうなるのか。研究内容に政治がああだこうだと言うのは大学の自治の問題になるが、人事をやるのは当たり前の話だ」とも述べた。ーーー橋下が、またもすごいことを言っています。要約すれば、選挙に勝った自分がお好みの学長を送り込む、それが民主主義だ、という話になります。で、その理屈を進めて行けば、じゃあ国立大の学長は首相が全部決めるのが民主主義だ、ということになります。大学の自治というものを、真っ向から否定する理屈です。ところが、当人は「研究内容に政治がああだこうだと言うのは大学の自治の問題になるが、人事をやるのは当たり前の話だ」などと言っているそうで。ムチャクチャな言い分です。研究内容の自由が自治の重要な要素であることは当然として、人事を自分たちで決めることもまた自治の重要な要素でしょう。そもそも、大阪市というのも地方「自治体」の一つであるわけですが、「政策は自由ですが市長は政府が決めます」なんてことになったら、それはもはや自治体とは呼べない。そんなことは、ちょっと考えればわかること。いっそのこと、「大学の自治なんていらない」という理屈であれば、(賛成はしないけれど)まだしも論理的には整合性がある。しかし、「それが民主主義だ」というのは、言い換えれば「選挙に勝ったんだから何やってもいいだろう」ということです。ついこの間の参院選では、どうも維新の会は惨敗したような気がしないでもないのですが、大阪限定では依然として高い支持を得ているのは確かでしょう。それも、橋下の市長当選時ほどかどうかは分かりませんけど。でも、この理屈は、突き詰めて行けば「教授選考だって市長にやらせろ」とか「職員採用だって市長に選ばせろ」という話につながりかねません。そういう政治体系を、「猟官政治」というわけで。ラテンアメリカなんかに例が数多くあります。例えば、当選した途端に、自分の妹の夫(有名な日本企業の現地法人に長く勤務し、外交官の経験など皆無)を駐日大使にしたのが、フジモリ大統領。メキシコくらいの大国でも、大統領が変わると、突然大統領の親族やら同郷の幼馴染やらが、突然次々と国の省庁の局長に任命されたりして、更に、大統領の任期が終われば、彼らの地位も確実に失われるので、任期の終わりに近づくと、みんな職務はそっちのけで、ある者は次の仕事へのリクルート活動、ある者はせっせと蓄財、なんてことが、大統領が変わる度に繰り返されると言われます。橋下は、日本をそういう政治風土の国にしたい、ということなんでしょうかね。※もっとも、東京や大阪市などの大都市では公務員の採用は公正な試験で行われているけれど、田舎の方の小さな自治体では、果たしてどんな採用試験が行われているのか、いささか心許ないきがしないでもありません。首長の鶴の一声で職員採用が決まる、なんて自治体は、ないと信じたいですが、果たして・・・・・・。
2013.08.10
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職員調査「全面敗北」、橋下市長「命令に従う」大阪市の第三者調査チームが職員3万人余りを対象に行った労働組合・政治活動のアンケートは25日、大阪府労働委員会(府労委)が「不当労働行為にあたる」と認定し、橋下徹市長の「全面敗北」となった。「命令に従う。労働組合に対する不当介入ということであれば、大変申し訳なく思っています」。大阪市の橋下市長は25日午前、市役所で記者団を前に、組合への謝罪を述べ、府労委の命令を受け入れる意向を明らかにした。アンケートは、府労委の命令書で、「就任以来、市長が組合との対決姿勢を明確にしている状況も考えると、組合員に動揺を与え、組合加入していない者にも加入をためらわせかねないもの」「組合の自治に対する介入であると言わざるを得ない」と厳しく批判された。橋下市長は、報道陣から命令書の内容について聞かれると、神妙な表情を浮かべ、「僕が市長に就任して、市役所の労組をただすべきところはたださないといけないとして行動したが、ルール違反のところがあったと認定されれば、受け止めないといけない。組合に謝罪しないといけない」と語った。不服申し立てについては「基本的にはしません」と述べた。ただ、今後の組合に対する対応については、「組合の活動をただすべきところはただす」とだけ話した。---「労組が正義面」橋下市長一転、不服申し立てへ大阪市が職員を対象に実施した労働組合・政治活動の実態を調べるアンケートについて、大阪府労働委員会(府労委)が不当労働行為と認定し、調査を繰り返さないことを誓約する文書を職員労組に手渡すよう市に求めた命令を巡り、橋下徹市長は25日夜、「職員労組が(府労委の命令で)鬼の首を取ったように、『橋下市長、とことん謝れ、襟を正せ』というのは違う」と職員労組を批判し、命令に不服として、中央労働委員会への再審査申し立てか、命令取り消しの行政訴訟を起こすかを選ぶ意向を明らかにした。命令が出た同日午前、橋下市長は「大変、申し訳なく思っている」と命令を受け入れる考えを示していた。態度を一転させた理由について橋下市長は、命令直後に職員労組が開いた記者会見に触れ、「職員厚遇問題などを棚に上げている。世間の常識からずれている。正義面されたら、市民代表として『違うだろ』と言わなければならない」と語った。職員労組・市労働組合連合会弁護団事務局長の北本修二弁護士は「朝に謝罪すると言ったのに半日で態度を変えるなんて、無責任だ。行政トップがやることではない」と話した。---朝、「命令に従う。労働組合に対する不当介入ということであれば、大変申し訳なく思っています」と言った同じ人間が、夕方になったら「職員労組が(府労委の命令で)鬼の首を取ったように、『橋下市長、とことん謝れ、襟を正せ』というのは違う」と言い出して、命令に従わないと言いはじめたんだから、これこそまさしく朝令暮改というものです。組合の主張に対する賛否は別にして、間違った部分は間違っていたと、一度は言ったのに、組合の態度が気に入らないから謝罪は撤回とは、あまりに幼稚な行動といわざるを得ません。この件については組合側の主張が正しいと認められた以上、勝ったと主張するのは、当然のことでしょう。それが「鬼の首でも取ったように」と見えるかどうかなんてことは、副次的な問題です。職員に対する思想調査(それも、回答しないと処罰する、という威嚇付きで)なんてものは、どこにもっていったって不当労働行為であることは歴然としています。はっきりいえば、橋下側もやましいところがあるからこそ、組合が労働委員会に救済申し立てをしたら、回収したアンケートの開封や集計を凍結したわけでしょう。まあ、中労委への不服申し立てでも行政訴訟でも、やりたいならやればいいけど、負けたら責任を取れよといいたいですね。「世間の常識からずれている」ともいったそうですが、こんな調査を行うこと自体が世間の常識からずれているんじゃないでしょうか。私の知る限り、よほど問題のあるブラック企業でもない限り、こんなトンデモな調査なんかやりませんよ。
2013.03.26
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橋下市長が中止要請の桜宮高入試、継続軸に調整大阪市立桜宮(さくらのみや)高校の体罰問題に絡み、市教委が、橋下徹市長から要請されている同高体育系2科(体育科、スポーツ健康科学科)の今春入試での募集中止について、「この時期の募集中止は極めて困難」として、入試継続を軸に調整していることがわかった。ただ、橋下市長の中止意向は強く、21日に開く臨時教育委員会議には市長の意向に沿った代替案も用意したうえで、最終決定する。市教委は、橋下市長から体育系2科の募集中止を求められた15日以降、公立高入試を合同実施している大阪府教委と協議してきた。府教委では、松井一郎知事の要請に基づき、体育科志望の受験生の受け皿として、体育科を持つ府立高2校の定員増を検討したが、日程的にも、教職員や教室などの確保が間に合わず、実現は難しいと判断した。---橋下市長はもともと体罰肯定派で、今回の問題発覚後になっても体罰肯定論をいい続けてきたのに、突如として体罰否定論に転じたそうです。過去の体罰肯定論に関しては誤りを認めて、「スポーツ指導で手を上げることは、あり得ると思っていた」「考えを改めて猛反省している」と言っているとか。自分自身の非は認めず、他者を批判することが何かと多い人物ですが、この問題に関しては自分自身にも非があったことを認めているのは、正しい態度と言えるでしょう。ただ、急転直下突然態度を一変させたことについては、どうも額面どおりには受け取りにくいのです。カメレオンのごとく、世論の動向次第で主張を変えてきた人ですから、今回も、世論が体罰に批判的であることを嗅ぎ取って(特に遺族の前で体罰肯定論をぶつのはイメージが非常に悪いであろうことを計算して)主張を変えたのでしょうが、何となく、この一件もまた教員叩き、公教育叩きに利用できる、というような打算もあったのではないかっていうのは、考えすぎでしょうか。いずれにしても体罰は大問題ですが、問題の高校の体育科募集中止という「対策」が妥当とは、私には思えません。このような「対策」は、私の感覚でいうと、高校野球で不祥事のあった学校に出場辞退に似た雰囲気を感じてしまうのです。指導者や教員、野球部員(甚だしい場合は野球部と無関係の在校生でも)による暴力その他の非行事件によって、甲子園への出場を辞退させられる(実質的には出場権剥奪)例が時々あります。誰か一人が問題を起こしたら、連帯責任で学校全体、野球部全体に制裁を与えるわけです。どうも、こういうやり方には違和感を感じざるを得ないのですが、それでも甲子園の出場辞退レベルの話なら、学校がなくなってしまうわけではありません。たとえ不祥事があっても、その学校を志望する(野球部を目指す)生徒が大勢いるのも現実です。問題は、この教員が引き起こした体罰事件にある以上、行うべきは、この教員にどのような制裁を与え、この学校(学科)の体質をどのように変えて体罰を一掃するか、ということだと思うのです。しかし、連帯責任で募集停止というのは、体罰事件に対する制裁を、この学校を志望している子どもたちに負わせるのに等しい行為です。桜宮高問題巡る橋下市長の発言が過熱大阪市立桜宮高校で体罰を受けた男子生徒(17)が自殺した問題を巡り、今春の入試で同高体育系2科の募集中止を求める橋下徹大阪市長が発言をエスカレートさせている。同高教員の総入れ替えや廃校の可能性まで言及。在校生や受験生の思いをなおざりにした対応に批判が上がる。「炎の源は教員であり、生徒の意識であり、保護者の意識だと思う。この炎を消すために、まずは教員を入れ替え、生徒、保護者の意識を改めていく」18日に開かれた市議会文教経済委員協議会で、橋下市長は、体罰問題を火事に例え、意識改革のために教員の総入れ替えを訴えた。(以下略)---なんだかねえ、「炎の源は教員であり」これは歴然たる事実であり、まったく異論ないのですが、「~生徒の意識であり、保護者の意識だと思う。」・・・・・・なんでそうなるの??教員の起こした不祥事で、どうして生徒(あるいは保護者)の意識が問われるのか、筋違いも甚だしいように私には思えます。「意識改革」なんて言っているけど、「体罰はいけない」という意識改革よりも、「橋下市長には絶対服従」って意識改革が優先されているんじゃあるまいか、という気がしてなりません。まあ、それにしても私も小中学生の頃(今から30年以上前)教員に殴られたことは何回かありましたけれど、殴られることで自分の何かが良くなった、なんてことはまったくなかったと思いますね。幸いなことに、ほんの数えるほどの回数しか殴られたことがないので、大きな悪影響もなかったですけど。もし、連日のように何十発も殴られていたとすれば、子どもの人格形成には、相当の悪影響が生じるとしか思えません。体罰で成績が上がるって話もありますが、それはどうでしょうか。「畳と兵隊は叩けば叩くほど強くなる」なんて言って新兵に対する陰惨ないじめが常態化した軍隊が、かつてどこかの国にありましたが、まるでそれを髣髴とさせる話です。あるいは、サーカスで猛獣を鞭で威嚇して芸を仕込むような。いずれにしても、それは「人間に対する」教育法とはいえません。それに、内務班で陰惨ないじめで「鍛え」られていた日本軍は、そのような陰惨ないじめのない(少なくとも日本軍よりは少ない)米軍に完敗したわけです。そもそも、教育的判断に基づいて行われる体罰が、いったいどれだけあるんでしょうか。教育的判断など関係なく、その時々の感情に任せてただ殴っているだけという例のほうがずっと多そうな気がします。
2013.01.20
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維新の会、条例案提出を撤回 「偏見助長」など批判受け橋下徹大阪市長が率いる大阪維新の会の大阪市議団は7日午後、親の愛情不足が発達障害の要因とし、その「予防」をめざすとした条例案について、市議会への提案方針を撤回した。市議団が示した条例案の原案に対し、専門家や保護者団体から「科学的に誤り」「偏見を助長する」と批判が相次いでいた。条例案は「家庭教育支援条例案」。「親になるための学び」が必要との立場から、家庭教育の支援や伝統的子育ての推進を主張。「発達障害、虐待等の予防・防止」を掲げて、「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因」と明記している。条例案を推進していた維新の辻淳子市議によると、条例案の文案は4月下旬、「親学」を提唱する高橋史朗・明星大教授から資料として提供を受けたという。辻氏らは1日、条例案の原案として提示。市議団の美延映夫幹事長は報道陣に「5月議会への提出を目指す」と表明していた。 ---「親の愛情不足が発達障害の要因」というのは、あまりにむちゃくちゃな理論です。ちょっとでも考えればそんなのおかしいと気がつくはずなのに、こんな発想をそのまま条例案として発表する以前に、誰か「これは違う」とストップをかける人が維新の会内部にいなかったという事実に驚きます。まれに、「自閉症」を引きこもりと混同している人がいます。両者はまったく異なった概念です。自閉症は脳の機能障害であり、その原因は先天的です。発達障害も、自閉症と同様脳の機能障害であろうと言われています。ただ、我々人類はまだ、自分たちの脳の機能についてごくわずかしか知りません。脳のどの部分の機能障害が自閉症につながっているのかはよく分かっていません。この条例案は、どう考えても自閉症(発達障害も)を引きこもりと混同してしまうようなノリで作られているように見えます。あまりにレベルが低い。それにしても、「伝統的子育て」というのが具体的にどういう内容を意味するのかは知りませんが、1人の女性が生涯に5人も6人も子どもを産んでいた時代と、1人かせいぜい2人の現在で、子育てのスタイルが同じにできるはずがありません。もちろん、「伝統的子育て」によって発達障害が減るということはあり得ないでしょう。確かに障害者(児)は増えています。しかし、これは二つの要因があります。一つは、医療の発達によって、昔は生き残ることができなかった重度の障害児が生き残るようになってきたことです。そしてもう一つは、昔は「障害」とは認知されていなかった軽度の発達障害が、社会の発展や教育水準の向上によって障害者と認知されるようになったこと、です。識字率が5割にも届かないような社会だったら、読み書きができない発達障害なんてのは、障害にならないのです。昔話に出てくる「ちょっと頭の回らない人」なんてのは、今の時代に連れてくれば、おそらくは発達障害とか軽度の知的障害ということになるだろうと思われます。従って、医療水準や教育水準を昔に戻すというのでない限り、「伝統的子育て」だろうが「近代的子育て」だろうが障害者の発生はまったく変わりません。しかし、この条例案のネタもとが高橋史朗だというのは、「ああ、やっぱりな」と思います。いかにも極右運動家の考えそうなことです。こんなデタラメな「子育て」論を掲げる人間が、埼玉県の教育委員であり、臨教審の委員を務めていたこともあるのですから恐ろしいことです。
2012.05.07
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橋下市長、新人に厳重注意「君が代を歌うときは気を付けの姿勢で」実質的な新年度のスタートとなった2日、多くの官公庁や企業で入庁式や入社式が行われ、フレッシュな新社会人が新しいスタートに身を引き締めた。大阪市北区の市中央公会堂では同市の新規採用者発令式が行われた。同市では3月に市立学校の教職員などを対象とした国歌起立斉唱条例が成立したが、式では約140人の新人全員が起立し、混乱はなかった。橋下徹市長は「公務員たる者、ルールを守ることを示さないと。皆さんは国民に対して命令する立場に立つ。学生のように甘い人生を送ることはできない」と訓示。退出間際には「君が代を歌うときは、手は横に、気を付け(の姿勢)で」とくぎを刺した。(以下略)----入庁式で君が代斉唱とは、いかにも橋下らしいというか、馬鹿のことをやるなと思いますし、「手は横に、気を付け」とか、余計なお世話だよと思います。しかし、その点については、もはや「予想どおりの行動」であって、とくに記事を書くような目新しい発言でもありません。私がいちばんびっくりしたのは、この発言です。皆さんは国民に対して命令する立場に立つ。・・・・・・公務員は、国民に対して(この場合、実際は大阪市の住民に対して、でしょうが)命令する立場なのでしょうか?どう考えても違うと思うんですけれどね。公務員が国民(住民)に対して命令を下す社会って、恐ろしすぎませんか。まさしく「ハシズム」の世界でしょう。いくら何でも思い上がりが過ぎているのでは。
2012.04.02
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橋下市長、捏造リスト公表「何の問題もない」大阪市交通局の嘱託職員(31)が、昨秋の市長選を巡り、前市長への支援を求める職員労組名義の職員リストを捏造(ねつぞう)していた問題で、橋下徹市長は27日、「客観的な証拠から、内部告発者が捏造した高い蓋然性が認められる」と述べ、この嘱託職員が大阪維新の会(代表・橋下市長)市議団に内部告発したとの見方を示した。市役所で報道陣の取材に答えた。橋下市長は、事実経緯などから嘱託職員と内部告発者が一致している疑いが強いと維新市議団から報告されたことを明らかにし、「維新は内部告発者と職員が同一だと見ている」と語った。維新が捏造されたリストを市議会で公表したことについては、「捜査機関と同じだけの容疑を裏付けてからじゃないと質問もできないなら、役所の追及はできない。維新の指摘で市が調査し、組合のぬれぎぬを晴らした。何の問題もない」と述べ、擁護した。問題の嘱託職員はこの日も同市西区の交通局本庁舎に普段通りに出勤。同局の担当者が前日に引き続き、動機面などについて事情聴取を行っている。-----「何の問題もない」そんなわけないでしょう。橋下自身が「法律家として危ないなと感じていた」と認めていますし、実際に追及を行った杉村幸太郎市議までも「もともと何か加工されてる部分があるというのは感じてはいた。」と言うのです。つまり、捏造と気がつかずに発表したのではなく、内心「捏造じゃないか」と気がつきながらも、裏も取らずに発表という挙に出てしまったわけです。「捜査機関と同じだけの容疑を裏付けてからじゃないと~」などと言っているようですが、話のすり替えもいいところです。何らかの事実を発表するなら、それが事実かどうかを検証すべきというのは、何も捜査機関に限った話ではなく、マスコミだろうが政治家だろうが、どんな立場の人間だろうが、責任ある立場の責任ある行動としては、もっとも重要な条件でしょう。居酒屋の放談じゃないんだから。いや、居酒屋の放談だって、こんなでたらめな話を事実であるかのように話す人間は、そのうち回りから相手にされなくなります。まして、相手の名誉に関わる内容であるなら、なおさらそうなのです。これが問題ないのであれば、かつての民主党の永田議員が偽造メール事件で議員辞職に追い込まれた(後に自殺)のは、いったい何だったんだという話になります。
2012.03.27
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大阪市長選職員リスト、嘱託職員の捏造と断定大阪市交通局は26日、昨年11月の大阪市長選を巡り、平松邦夫・前市長への支援を求めたことを示す同局職員のリストを、30歳代男性の非常勤嘱託職員が捏造(ねつぞう)していたと発表した。リストは「大阪交通労働組合」が組織ぐるみで前市長を選挙応援していたことを示す内部文書として、地域政党「大阪維新の会」(代表・橋下徹大阪市長)所属の大阪市議が公表していた。同局は職員を偽計業務妨害容疑で告発することも検討している。リストには同局職員1867人分の氏名や、前市長の後援会加入を求める紹介カードの配布・回収の状況を確認する欄などがあり、欄外には「(紹介カード提出に)非協力的な組合員は今後不利益となる」と記されていた。同市議が2月、「内部告発者から提供を受けた」と公表。同局などが調査を進めていた。その結果、リストの元データとなったとみられる「職員証発行対象者リスト」へのアクセス記録や、プリンターの操作履歴などから、嘱託職員のIDとパスワードで1月23日に業務用パソコンを使ってリストを作成した痕跡が残っていたことから、嘱託職員による捏造と断定した。嘱託職員は昨年5月から1年間の契約で、鉄道事業本部で庶務担当の補助をしていた。交通局の聞き取り調査に対し、職員は当初、作成を否定。解析結果を示した上で追及すると、あいまいな説明をしているという。---この調査結果の具体的内容は、大阪市交通局のホームページに掲載されています。かなり気合いを入れた調査が行われたことが分かります。昨年7月以降にこの4項目データを「人事基本台帳」から抽出した業務について調査を始めたところ、よく似た業務ファイルが存在することが判明しました。その業務ファイルは、昨年9月末から10月にかけて、交通局職員の「職員証」の様式が変更された際、回収・配布業務のために職員課の担当者が作成した「職員証発行対象者リスト」というファイルです。(中略)この複写ファイルにアクセスした職員を調査したところ、その職員は24名であることが判明し(中略)当該リストに記載されている文字列の中から、「非協力的」、「大阪市労連」、「友人紹介活動」、「執行委員」、「不利益」という文字列に焦点を絞り、調査対象期間を平成24年2月29日まで広げ、全職員の全操作ログ約8億4千万件を検索した結果、1名(以下「当該職員」という)が該当(以下略)---これを読んで、あっと思いました。大阪市交通局の3200台のパソコンすべての操作ログの記録が取られているんですね。どこの役所や会社でも同じなんでしょうか。それにしても、この犯人は何でこんな馬鹿なことをしたのかは分かりませんが、労働組合に敵意があって、陥れようとした、という可能性が高いでしょう。ばれないと思ったんでしょうかね。これにのってこの捏造データを事実として発表してしまった、維新の会の議員はどう責任を取るんでしょうか。かつて、民主党永田議員は捏造メールで議員辞職に追い込まれましたが。そういえば、もう一つ旧聞に属しますが、橋下市長 想定外れた?市職員の子も“私学の割合”変わらず大阪市に住む同市教職員の子供のうち市立以外の小中学校に通う比率は6・4%で、市内の全小中学生の平均6・3%と同水準だったことが28日、市の調査で分かった。「教職員だってみんな子供を私立に通わせている」と主張する橋下徹市長が調査を指示していた。橋下氏は市の教職員家庭が市立以外の進学先を選択する傾向が強いと見込み、導入を目指す学校選択制に批判的な勢力を“攻撃”する材料にしたい意向だったが、想定が外れた格好だ。(以下略)---この件は、以前橋下が「調査する」と表明した時点で記事を書いたことがあります。やることがえげつなさ過ぎるその結果を追跡していませんでしたが、こういうことだったようです。ま、私も相棒の親戚が大阪で学校の先生をやっているけど、子どもはやっぱり公立小→公立中なんです。一人だけの例で全部を判断はできないけれど、「職員の子どもはみんな私立」という話は、ちょっと真偽のほどを疑っていました。そうしたら、やっぱり案の定、でした。私も、いろいろと報道されている内容から「大阪の公務員は(東京と比べて)ちょっと酷すぎるんじゃないか」という印象を抱いていたのですが、どうもその中には捏造や思いこみによる勘違いの内容もかなり混入して様子です。市バスの運転手に年収千何百万円がゴロゴロいるという話や、入墨をした職員が200人とかって話も、そうしてみるとどこまで本当なんだか・・・・・・。
2012.03.26
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君が代斉唱時、教員の口の動きも報告 大阪府立和泉高大阪府立和泉高校(中原徹校長)の卒業式で、君が代斉唱の際、教員が起立したかどうかに加え、実際に歌ったかどうかを管理職が口の動きでチェックして府教委に報告していたことがわかった。府教委は起立斉唱を求める職務命令を全教職員に出しており、メールで報告を受けた橋下徹大阪市長は「これが服務規律を徹底するマネジメント」「ここまで徹底していかなければなりません」と賛辞を送っていた。 橋下氏は、起立斉唱を義務づけた君が代条例を成立させた大阪維新の会代表。取材で入手した中原校長のメールによると、教頭が全教員の口の動きを目視で確認。「3名の口が動いていなかった」と報告を受け、3人を校長室に呼んだ。2人は「斉唱した」と話したが、1人は「起立だけでよいと思った」と話し、歌わなかったことを認めたという。 中原校長は「他校の校長は『斉唱』まで確認していないと思います」「確認していたとしても『起立していればよい』と仲間をかばって報告していないと思います」「ちなみに3人とも組合員」と報告していた。----何というか、滑稽かつ悲しくなる話です。この記事には触れられていませんが、別報道によると、中原徹校長という人は橋下の友人で、橋下が府知事の時代に民間人校長として登用されたそうです。しかも、もともとは弁護士だそうで。橋下の忠実な下部として、教員の口元を監視して回って、「声を出していないから処分しろ」という弁護士。橋下の君が代強制もさることながら、橋下の威光をこういう形で笠に着て、教員のあら探しに励む腰巾着の姿(しかも、それが弁護士だという)に、私は暗澹とした気持ちになります。それが、校長だと言うんですから。このまま行くと、そのうちに教員を一人一人ウソ発見器にかけて、「君が代が嫌いな教員は処分」とかいう話まで(つまり、心の中にまで立ち入る話にまで)なりそうに思えてしまいます。私も、子どもの入学式の際は式の場の雰囲気を壊すのもどうかと思うので、起立はしました。しかしもちろん歌っていません。歌うフリをするのも嫌だから、口はつぐんでいました。不起立とは違って、歌わないからといって式を雰囲気を壊すわけでも何でもありませんから。実際、父母席でちゃんと声を出して歌っている人は、そんなに多くはなかったように記憶しています。むしろ歌うと式の雰囲気を壊しかねないくらい音痴な人だっているでしょう。私は、起立くらいはいくらでも妥協するけど、君が代を歌うくらいなら入学式や卒業式には出ません。まあ、私は父兄であって教員じゃないから、処分も何も関係ありませんけどね。私は、以前勤務していた流通業界の某社でも、入社後の新兵訓練、もとい新入社員研修で、朝晩に君が代斉唱があった(研修としてあったわけではなく、研修会場だった国立青年の家の行事として毎日行われていた)のですが、そのときも歌っていません。人事課の「鬼軍曹」が新人の間を歩き回っていたから、私が歌っていないことに気がついたかも知れませんが、何も言われなかったし、べつに処分もされていません。まあ、私の人生の中で、仕事として(研修を仕事と言うかどうかは分かりませんが)君が代を歌うことを強いられそうになったのは、そのとき(4泊くらいの研修で、毎日あったので4回?)だけです。しかし、考えてみれば、「口の動きをチェックした」という教頭は、どうやってチェックしたのでしょうか。遠方からでは分かるはずがないので、教員一人一人に近寄って口元をのぞき込んで確認したんでしょうね。その姿を想像すると、その行動自体が、卒業式の雰囲気をぶち壊す最大の要因としか思えないのです。
2012.03.14
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大阪維新の会:公約に疑問の声 政府や与野党「改憲必要」「性急」■「船中八策」の骨子▽統治機構・道州制の実現・地方交付税廃止と地方共有税創設▽行財政改革・国会議員定数・歳費、政党交付金の削減▽公務員制度・大阪府職員基本条例案の法制化▽教育・教育委員会廃止を選択できる制度の導入▽社会保障制度・年金を積み立て、掛け捨て制の併用に▽経済・税制・環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉に参加・法人税、所得税率引き下げ、資産課税強化・脱原発依存、発送電分離▽外交・防衛・日米豪の関係強化、沖縄の基地負担軽減と抑止力の維持▽憲法改正・首相公選制導入・参院廃止、首長と国会議員の兼務を容認・改正に必要な衆参両院の賛同を3分の2から2分の1に-----この中で、私が支持できるのは国会議員の歳費、政党交付金の削減(削減ではなく廃止!)と脱原発依存、発送電分離の2点のみ。それ以外はほとんどが絶対反対の内容ばかりです。そして、賛否以前の問題として、実現性の疑わしい主張が数多くを占めます。多くの指摘があるように、道州制とか首相公選とか、参院廃止など、憲法を改正しなければ実現しない政策がたくさんあります。そんなものは、易々とは実現しない、遠大なる暴論です。私自身の賛否はともかく、政党として遠大なる理想を掲げるのは必要なことでしょう。でも、それだけではダメでしょうね。今山積している問題にどう対応するのか、という点についても政策を提示しなければね。それにしても、「首長と国会議員の兼務を容認」というのは、笑ってしまいます。大阪市長兼務で国会議員をやりたいんですね。きっと、本当は松井一郎なんて人に府知事をやらせるのではなく、自分が府知事と市長を兼任したかったんだろうなと想像してしまいます。でも、どう考えたって、市長も国会議員も(府知事も言うまでもなく)本来激務であるはずです。そりゃまあ、週何時間しか執務していない、どこぞの都知事みたいな人なら兼職も可能でしょう。しかし、そういう「手抜き」を前提に兼務を容認するのはどうなのでしょうか。
2012.02.15
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橋下市長、音楽団解散を示唆…財源は習い事券に大阪市の橋下徹市長は19日、市役所で報道陣に対し、交響吹奏楽団「大阪市音楽団」の存廃について、「一から考える。存続の結論ありきでは考えない」と述べ、解散を検討することを明らかにした。同楽団は1923年に創設され、園児や児童向けの鑑賞会、中学高校での吹奏楽の指導などを行っている。市は運営費の約9割に当たる約4億3000万円(2010年度)を負担している。橋下市長は同日の市議会決算特別委員会で「(行政が)音楽団を抱える必要はない」と述べ、助成を打ち切る意向を表明。代わりに、浮いた財源などを原資に、子どもが学習塾代や習い事などに使えるクーポン券の支給制度を新設する考えを示した。----当ブログの常連であるたかさんの影響で、最近は吹奏楽も結構いいなあと思っているのですが、少し前までは吹奏楽のことなんて、私は何も知りませんでした。が、吹奏楽の知識皆無だった私でも、「大阪市音楽団」の名は知っていた。何しろ日本でたった3つしかない※、プロの吹奏楽団です。(3つしかない、ということは最近知りましたけど)大阪市音楽団は、その中でも唯一の公立吹奏楽団で、設立は1923年。前身である旧陸軍第4師団軍楽隊から通算すると、124年という歴史があります。吹奏楽の世界では、「東の佼成、西の市音」と呼ばれ、東京佼成ウィンドオーケストラと並んで日本で最高峰(おそらく世界でも最高峰)と言われているそうです。※もっとも、自衛隊音楽隊と警察・消防音楽隊(専任の音楽隊)をプロの吹奏楽団と見なすなら、数はもっと増えます。なお、大阪は「大阪市音楽団があるから」という理由で、数年前に消防音楽隊を廃止しています。橋下は「(行政が)音楽団を抱える必要はない」と言い放ったそうです。大阪市が赤字でお金がないから、というならまだしも、浮いた財源を他の新しい支出に転用するというのだから、赤字解消のためではないようです。要するに自分が興味のない文化事業に公費を投入するのが嫌いだ、ということなのでしょう。橋下が音楽に興味がない、ということだけはよく分かりますが、何とも貧困な文化政策と思わざるを得ません。
2012.01.20
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大阪市、職員の子の私学割合調査 学校選択制で橋下市長大阪市の橋下徹市長は11日、市立小中学校で導入を目指す学校選択制に関連し、市職員や教員の子供のうち何割が私立小中学校に通っているか調査する考えを明らかにした。市議会の一般質問で答弁した。学校選択制は子供の通学先について保護者の希望を反映させる制度で、市教育委員会は地域コミュニティーの人的つながりが希薄になるとして導入に慎重姿勢。これに対し市長は職員、教員の一定割合が私立を進学先として選んでいる実態を明らかにし、導入への反論にくぎを刺す狙いがありそうだ。---東京では、公立小中学校の学校選択制はある程度導入されている自治体が増えているので、その限りでは学校選択制を一切導入しないというわけにも行かないのではないか、とは私も思います。それはそれとして、学校選択制の是非と、教員や職員が子どもをどこの学校に通わせているかは全然別の問題です。学校選択制があろうがなかろうが、私立小中学校に通う子どもは必ず一定数存在します。まったく無関係の問題をこじつけて、ある種の個人情報暴きに走るのはどういう神経かなと思います。ちなみに、わたしの(相棒の)親戚の一人が関西の某所で公立高校の教員をしていますが、子どもは公立の小学校に通っています。中学はどうするのかは、まだ聞いていませんけど。ただ、市役所職員はともかくとして、公立学校の教員が自分の子どもを、同じ自治体の公立学校に入れたくない心情は何となく分かります。子どもの評判、親の評判が、否応なくお互いの耳に入ってくるでしょうからね。同じ学校で子どもが生徒、親が教師なんてことは、いくら何でも人事上避けるんだろうと思いますが、学校が違っても近隣だったらどうしたって分かってしまいますからね。
2012.01.12
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本日は、以前の日記で紹介した「さよなら原発集会」に行ってきました。9月に比べるとだいぶ小規模でした。参加者数は、主催者発表で5500人と言っていましたが、私の見るところ、会場内(日比谷野外音楽堂、立席含めて定員3000人)はほぼ満席でしたが、会場外に溢れ出ている参加者はせいぜい数百人くらいなので、実参加者は三千数百人というところではないかと思います。いずれにしても、6万人を集めた9月の集会よりはかなり小規模でした。(あのときの6万人は、主催者発表より実数の方が多かった印象です)実は、私の周囲にも誰も参加する人がいなくて、1人で参加しました。デモ行進自体も、待ち時間はほとんどありませんでした。さて、話は変わりますが・・・・・・---批判職員突き止め「反省の弁」…橋下氏「一件落着!」「僕の民意と違う」-。大阪ダブル選の選挙結果について、テレビインタビューで感想を述べた市職員を問題視していた大阪市の次期市長、橋下徹氏は、市総務局に事実確認を指示。当該の市職員を特定し、部局を通じ「反省の弁」を述べさせていたこと明らかにした。この職員は、投開票日翌日の11月28日、市役所に出勤した際にマスコミのインタビューに応じ「僕の考えている民意とは違う」とコメントしていた。このほか、別の番組で橋下氏が代表を務める大阪維新の会について「向こうの考えている二重行政は分からない」と発言した職員についても、同様の措置を取ったという。総務局長から「職員は真摯(しんし)に受け止め反省している」との報告を受けたという橋下氏。「この2人の職員との問題は一件落着した」と溜飲(りゅういん)を下げた様子。一方で「行政上の主張や反対論はしっかり言ってほしい」とも語った。-----これは市役所前で出勤途中の職員にマスコミがマイクを突きつけてしゃべらせたコメントでしょう。出勤途中ということは、まだ勤務時間外のはずです。勤務時間外に私的に発言した内容について、(法に反するような内容なら話は別ですが)市長が「犯人捜し」をやって、つるし上げて反省文を書かせる、とはどういうことかと思います。もちろん、「僕の民意と違う」という発言内容が正しいかどうかは別にして、ですよ。橋下が選挙で当選した以上、業務上彼には職員に対して指示を下す権限があるし、職員はそれに従う義務があります。しかし、勤務時間外の言動まで統制する、どのような権限が橋下にあるのでしょう。業務上の権限によって、職員の勤務時間外の発言まで監視し威嚇するのは、公私混同であり、行政の私物化であると言われても仕方がないでしょう。まあ、一言でいえば度量が狭いとしか思えないのです。橋下は、自分に多数の支持があるから、何をやってもよいと思っているのかも知れません。かつての懲戒請求煽動事件のように。まあ、今のところは民意を味方に付けて「我が世の春」を謳歌していますが、先々はどうでしょうか。
2011.12.10
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<大阪ダブル選>「橋下維新」が制覇 都構想推進へ大阪府知事・大阪市長のダブル選は27日投開票され、市長選は大阪維新の会代表で前知事、橋下徹氏(42)が、現職の平松邦夫氏(63)=民主府連支援、自民府連支持=を破り、初当選した。知事選は大阪維新の会幹事長、松井一郎氏(47)が、前同府池田市長、倉田薫氏(63)=同=と弁護士、梅田章二氏(61)=共産推薦=ら6人を破って初当選した。「大阪都構想」を掲げる維新が両選挙を制したことで、府市は15年4月の都制移行に向けた制度設計に入る。実現には法改正が必要なため、維新は国政進出も視野に既成政党への攻勢を強める。◇既成政党との対決制すダブル選は40年ぶりで、大阪都構想の是非が最大の争点となった。橋下氏の政治手法や教育への政治関与を打ち出した教育基本条例案なども問われた。投票率は市長選が60.92%(前回43.61%)、知事選が午後7時現在41.26%(同確定48.95%)だった。維新公認の橋下、松井両氏に対し、民主、自民は平松、倉田両氏を支援。共産は市長選で公認・推薦候補の擁立を見送り、自主的に平松氏の支援に回った。自主投票の公明を除く既成政党と維新が対決する構図になった。橋下氏と松井氏はそろって大阪市内で記者会見。橋下氏は「広域行政は知事が決定権を持ち、市長は知事の決定に従いたい」と語った。戦後の大阪市長では最年少となる。知事から政令市長になるのは全国初。大阪都構想は、府と大阪、堺両市を解体して「都」と「特別自治区」に再編する構想で、人口約267万人の大阪市の場合、8か9の区に分割される。選挙戦で、橋下氏は「今のままの大阪ではじり貧。明治から続くさびついた統治機構を平成の世にふさわしい形に変えよう」と訴えた。また、既成政党が平松氏を支援したことを「大政翼賛会的だ」と批判し、維新支持層だけでなく、無党派層の支持も集めた。平松氏は「大阪市から権限と財源をむしり取り、地図上から消そうとしている」と、都構想に真っ向から反対し、橋下氏の政治手法を「独裁」と批判。反維新勢力の結集を図ったが、民主、自民の支持層を固め切れなかった。橋下氏は08年1月の知事選で初当選。10年1月に都構想を提唱し、同4月に大阪維新の会を結成。今年4月の統一地方選では、維新が府議会で過半数、市議会では第1党になった。しかし、平松氏や市議会多数を占める既成政党が都構想に反発。橋下氏は「民意を問う」として、10月末に知事を辞職し、ダブル選に持ち込んだ。一方、松井氏は会見で「大阪が一体化して、二重行政を根本から変えていく」と語った。選挙結果を受けて、府議会で過半数を占める維新は、教育基本条例案と職員基本条例案の成立に向けて動き出す。松井氏は03年に自民党公認で府議選に初当選。10年4月に橋下氏とともに維新を結成し、後に自民党を離党した。選挙戦では、橋下氏と二人三脚で「大阪を今のままでいいのか、変えていきたいのか決めてほしい」と、都構想の必要性を訴えた。倉田氏は府内の首長の支援を受け、「卒維新」を掲げたが、民主、自民の支持層を含め支持が広がらなかった。梅田氏は共産系労組などを中心に支持拡大を図ったが、及ばなかった。----私としては非常に残念な結果です。でもそれだけ支持者が多かったということですから、仕方がありません。少し前の記事に紹介しましたが、どうも週刊誌の的を外した橋下バッシングが、むしろ逆効果になってしまったんじゃないかという気がしてなりません。これまでずっと橋下批判をこのブログに書いてきた私でも、「親が暴力団関係者、被差別部落出身」などという批判の仕方には、さすがに鼻白みました。あんな批判の仕方をしたら、批判する側が差別主義者になってしまいます。まあ、私は東京の人間なので、大阪の選挙には選挙権もありませんけど、我が相棒は大阪出身なので、無関係でもありません。それに、橋下的な政治的動きはやがて全国に波及するかも知れません。そうそう、我らが東京都知事(涙)石原慎太郎も橋下の応援演説に行っているんですね。暴言を吐けば吐くほど人気が上がっていくけど、よく考えると知事としての実績がさほどない、という点で石原も橋下もよく似ています。あのような人物が人気を集めるのは、それだけ社会全体に閉塞感が強いということなのでしょう。しかし、だからといってあのような人物に政治の舵取りを任せるというのは、私にはどうも賛同できかねるのです。でも、選挙に勝ってしまったんだから仕方がない。橋下の主張の中で唯一私が評価できるのは、反原発姿勢です。それについては本気で取り組んでほしいものです。そうでなければ、しょせん選挙目当てのポーズに過ぎなかったのかということになりますから。せめてこの点だけでも「ああ、本気の主張だったんだな」と思えるようなことをやってほしいものです、大して期待はしていないですけど。
2011.11.27
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平松・橋下氏一騎打ち 大阪秋の陣、火ぶた 市長選告示大阪市長選が13日に告示され、民主党府連が支援、自民党府連が支持する無所属現職の平松邦夫氏(63)と、大阪維新の会公認で前大阪府知事の橋下徹氏(42)の2人が立候補を届け出た。維新の会が掲げる大阪都構想の是非や橋下氏の政治手法などを争点に既成政党と地域政党が激突する構図で、10日告示の大阪府知事選とともに27日に投開票される。再選を目指す平松氏は第一声で、「ひとつの関西に向かって、市民の皆さんと一緒に歩みを進めたい」と訴えた。大阪都構想を掲げる橋下氏を「大阪をバラバラにしようという人がいる」と厳しく批判。民主や自民の「相乗り」支援を得たことについては、「独裁に対抗するため、本当に強い人に立ち向かう力をみなさんから頂きたい」と説明した。橋下氏は第一声で、大阪府市を再編する都構想について「大阪を世界に冠たる大都市にし、人、モノ、金を集めるのが目標だ」と意義を強調。民主、自民両党が支え、共産党も自主的支援する平松氏を「彼らが守りたいのは大阪市役所の組織そのものだ」と批判。「皆さんの一票で日本の政治が変わる」と訴えた。-----当ブログは、橋下が大阪府知事に当選した頃から現在に至るまで、ずっと批判し続けています。私は東京の住人なので(相棒は大阪出身ですが)、選挙権はもちろんありませんけど、当選はして欲しくない。ただ、それはそれとして、週刊文春・週刊新潮を中心として、にわかに橋下バッシングの報道が盛り上がってきたようです。橋下のような人物に対する批判報道が増えてきたことは喜ばしいのですが、その中身が何だかねえと思ってしまうのです。正直言って、車内吊り広告の見出しを見ただけでげんなりして、中身は読んでいないのですが、橋下の父親が暴力団関係者であった、橋下が同和地区の出身である、ということがバッシングの材料になっているようです。だから何?と私は思ってしまうんですよね。橋下自身が暴力団関係者だったら、それは政治家として絶対に許されないことです。だけど、親ですよ。子は、親を選ぶことは出来ません。暴力団関係者の子に生まれてくることには、何の非もありません。同和地区出身者というのもそうです。(橋下は、自ら議会答弁で自分は同和地区の出身と表明しているようですね)橋下は橋下で、ツィッターなどで「バカ文春、バカ新潮」と反撃しているそうです。例によって言葉が口汚いけれど、反撃したくなる気持ちが分からないでもないです。こんな、本人に何の非もないところをバッシングするんじゃなくて、本人の主張や政策を批判しろよと思ってしまうのです。何だか、こういう批判の仕方は、色々な意味で後味が悪い。だからといって、橋下の政策を擁護する気なんか毛頭ないですけどね。
2011.11.14
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橋下知事辞職に反発、ヤジ飛び交う大阪府議会大阪府の橋下徹知事(42)は21日夜、府議会の議案採決後、浅田均議長に辞職願を提出する。来年2月5日の任期満了を待たず、今月31日付で退任し、11月27日投開票の大阪市長選にくら替え出馬する構えだ。辞職に伴う知事選は市長選とのダブル選になる見通しだ。ただ、「任期途中の退任は無責任だ」と批判する自民党府議らが議案に対する知事質疑を改めて求めるなどしたため、議事進行が遅れ、21日午後9時現在でも採決に至らず、辞職表明が22日未明にずれ込む可能性もある。府議会はこの日、9月定例議会に提案された一般会計補正予算案などの採決日。午後1時に開会したが、議場は辞職に反発する府議らのヤジが飛び交い、休憩を挟んで本会議や委員会が断続的に重ねられた。----自民党は大嫌いですが、「任期途中の退任は無責任だ」というのはそのとおりです。知事になってみたら、市長の方が権限が強くて思い通りにならないから市長に乗り換えますって、市長と知事の権限がどうなっているかということすら調べることもせずに知事に立候補したんですか、と言いたい。人気さえあればなんでもできる、何をやってもよいと思っているんじゃなかろうか、と。以前の記事にコメントをいただいたヒラトくんさんが、ご自身のブログに同趣旨のことを書いておられますが、私も、松井という維新の会の政治家が市長選に立候補すれば良いだけじゃないかと思うのです。任期途中の知事の座を投げ出してそれを松井に譲り、自分自身は市長選に立候補というのは、どう考えても順番がねじ曲がっている。でも、その理由は何となく想像が出来ます。何故かというと、橋下の「同志」だったはずの人たちの中から少なからず離反者が出ているからです。例の悪名高い条例案に対しては、橋下の肝いりで選ばれた教育委員が真っ先に猛反発しているし、橋下の全面支援を受けて堺市長に当選した竹山修身は、当選後は大阪都構想に反対して橋下と敵対しています。松井に市長を任せた途端に裏切られるのが怖いんじゃないかな、という気がします。だいたい、維新の会と言っても、議員のほとんどは元自民党の政治家が橋下人気に乗って鞍替えしただけですから、落ち目になればたちどころに「沈没船から逃げ出す」ことは目に見えていますし。ところで、大阪府知事選については、もう一つニュースがありました。民主、郷原信郎氏に大阪府知事選出馬を打診11月27日に大阪市長選とのダブル選が想定される大阪府知事選で、民主党府連代表の平野博文国対委員長が、弁護士の郷原信郎氏(56)に出馬を打診したことがわかった。郷原氏は読売新聞の取材に「大阪には全く縁がなく、本当に求められているのかどうか検討したい」と述べた。民主は近く最終判断する構えで、統一候補擁立を模索する自民、公明両党との調整も進めるとみられる。郷原氏によると、平野氏から16日に電話で「知事選候補を探しているが、その気はないか」と打診を受けた。18日には都内で会談し、再び出馬を要請されたが、郷原氏は回答を保留したという。郷原氏は21日、読売新聞の取材に「弁護士事務所を経営しており、一般的には考えられない話だが、考えずに断るのも失礼なので周囲と相談する」と話した。郷原氏は元東京地検特捜部検事。九州電力の「やらせメール」問題では第三者委員会の委員長を務めた。民主は、自公と連携して複数の中から知事選の統一候補を絞り込む方針で、自民はこれまでに弁護士で同党参院議員の丸山和也氏(65)に打診している。知事選には、弁護士の梅田章二氏(61)が共産党推薦で出馬を表明。橋下徹知事率いる大阪維新の会も幹事長で府議の松井一郎氏(47)の擁立方針を固めている。-----九州電力が何故この人に第三者委員会を任せたのかは謎ですが、結果として大正解だったと思います。九州電力にとっては、悪夢だったかも知れませんが。民主党は言い人材に目を付けたなと思います。ただ、一般受けするかどうかは分からないですけど。私は東京の人間なので(相棒は大阪出身ですが)、大阪府知事選にも市長選にも選挙権はありませんが、もしも選挙権があったら、郷原氏に投票するかも知れません。
2011.10.21
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橋下氏の維新の会、大阪市職員の選別作業始める大阪都構想に協力しそうなら幹部に、敵対するなら左遷――。地域政党・大阪維新の会を率いる橋下徹・大阪府知事の「選別発言」に基づき、維新大阪市議団が、市長選(11月27日投開票)直後に市役所内に発足させる「府市統合再編推進本部」(仮称)の職員の人選を進めている。市長選へのくら替え出馬をもくろむ橋下知事の市長就任を前提に、速やかに都構想実現に動く職員集団の構築が狙いだが、平松邦夫市長を支える現体制の市幹部の間には、激しい反発が渦巻く。維新市議団の坂井良和団長によると、推進本部は約50人の市職員で構成。都構想のほか、市営地下鉄民営化など、市長選で掲げる維新の公約を推進する事務スタッフとし、12月中にも人事を発令する予定だ。今月中に、橋下知事らと体制について協議を行うという。人選の基準について坂井団長は、「都構想をすぐに理解し、実行に移せる柔軟な思考の持ち主」と説明。「誰が適任かは長年の議員活動で分かる」とし、面接などは行わないという。一方、平松市長を支える幹部職員については「政治行動をする人間がおり、新体制では重要ポストから排除する」と明言。「政治行動」について、別の維新幹部は、都構想への実質的反論を市のホームページや広報紙に掲載していることなどと指摘、「公務員の中立性を侵している」と説明する。また、自民から維新に移った市議は「自民時代に比べ職員からの資料や情報提供が激減した」といい、野党扱いの対応を挙げる。これに対し、市側は橋下知事の発言や維新の選別作業に、不快感を隠さない。ある市幹部は「公務員は首長の政策を実現するための存在。平松市長が都構想に反対する以上、敵対的と映ろうが、市長選前からとやかく言われる筋合いはない」と反論。別の幹部も「知事は公務員のことを分かってない。頭ごなしに命令しても面従腹背の職員が増えるだけだ」と話した。------まだ立候補もしないうちから、当選したら粛清してやるぞと脅しを書けているわけですから、すごい話です。だいたい、自らは大阪府教育基本条例案で教育行政への政治介入を公然と主張しているのに、自分に敵対するものが政治的行動を行うことはけしからんという、ダブルスタンダードもいいところです。それに、また、自民から維新に移った市議は「自民時代に比べ職員からの資料や情報提供が激減した」といい、野党扱いの対応を挙げる。野党「扱い」がけしからんとは、何とも次元の低い動機です。というか、野党「扱い」も何も、実際大阪維新の会は大阪市では野党なんだから、当たり前でしょう。それとも、大阪府で与党になれば、自動的に大阪市でも与党になるとでも思っているのでしょうか。自民党などという政党にいて、いつも与党でいることに慣れていると、野党に移っても与党扱いされるのが当然だという感覚になるんでしょうか。尊大ですねえ。そもそも、橋下は大阪市長選への出馬が既定事実のようになっていますが、府知事の任期はまだ終わっていません。流れに乗って府知事に当選してみたけど、府知事じゃあ思うように「改革」が出来なかったから、やっぱり市長選に、というのは、何かものすごく短絡的な行動としか思えません。知事の職責はどうなってしまうんでしょうか。そんなものは、自分の政治的野心のためならボロ雑巾のように捨て去る、ということでしょうか。橋下がそんなことを言い出したのは、大阪市が政令指定都市だから市の持つ権限が強く、自分の思い通りに動かすことができないからです。だけど、そんなことは橋下が府知事に立候補したときに分かっていたはずのことです。何も知らずに立候補したのだとしたら、ずいぶん不勉強な話です。しかも、知事の後がまについて何も根回しすることなく、自分自身の市長選への転出だけを決めてしまうから、知事選の候補者を巡って右往左往しています。実に場当たり的で無計画です。
2011.10.03
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橋下知事「国歌斉唱で起立しない教員は免職」大阪府の橋下徹知事は17日、入学式や卒業式の国歌斉唱時に起立しない府立学校や公立小中学校の教員を免職する処分基準を定めた条例を9月の定例府議会に提案する考えを示した。府によると、同様の条例は全国でも例がないという。知事は報道陣に、「府教育委員会が国歌は立って歌うと決めている以上、公務員に個人の自由はない。従わない教員は大阪府にはいらない」と指摘し、「繰り返し違反すれば、免職になるというルールを作り、9月議会をめどに成立を目指したい」と述べた。学校での国歌斉唱では、府議会会派「大阪維新の会」が府立学校や公立小中学校の教員に起立を義務付ける条例案を19日開会の5月議会に提出する予定。大阪府教委によると、政令市の大阪、堺両市を除く府内の公立小中学校教員の処分権は府教委にある。ただ、府教委はこれまで、起立しなかった教員に対しては、懲戒処分で最も軽い戒告にとどめていた。府立高校関係者は「大阪だけ厳しい処分基準を設けるのはおかしい。処分権の乱用だ」と反発している。-----------いや、どこぞの国の「偉大なる領主様」のやっていることと、いったい何が違うのだろうかと私は思ってしまいます。独裁者が、自分の気に入らない思想信条を弾圧しているだけのことです。東京の狂った知事と大阪の狂った知事、まったくいい勝負だ。東京でも、卒業式の式次第から日の丸の位置から何から何まで、都教育委員会からがんじがらめの通達がでています。学校の卒業式はいったい誰のためのもの?生徒のためではなく知事や右翼政治家の自己満足のためのものですか?だいたい、懲戒請求騒動に見られるように(※)、既存のルールを無視することで人気を得てきた橋下が、自分の決めたルールだけは守れというのは、おこがましいにもほどがあるのです。※Wikipediaによると、橋下は大阪弁護士会から業務停止2ヶ月の懲戒処分を受けたとき「弁護士会の品位の基準と僕の基準は違う」と言い放ったそうです。その伝で言えば府教委のルールと教員個人のルールが違っても、いっこうにかまわないはずです。ただ、そう書きつつも、私は自分のこの入学式では、一応起立したんですよ。父母の立場ですから、起立しなくても処分されるわけじゃありませんけど、子どもの入学式で場の雰囲気を乱すのもあまり本意ではないので。もちろん、口が裂けても歌いませんけどね。
2011.05.19
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http://www.asahi.com/politics/update/1223/OSK201012230089.htmlカジノ誘致、利益か弊害か 熱上げる橋下知事に慎重論も大阪府の橋下徹知事は22日夜から23日未明にかけ、訪問先のマカオでカジノを核とするリゾート施設を視察した。知事はこれまでも「カジノは(自治体が)稼ぐエンジン」と経済効果を強調しており、大阪に誘致しようと熱を上げる。だが、カジノを合法化する法案が成立する見通しは薄いうえ、「ギャンブル」の弊害を心配する周辺首長からの慎重論も根強い。テーブルゲーム220台、スロット380台を備えるカジノ場。午前0時を過ぎても多くの人がバカラなどを楽しむ様子や、従業員でごった返す食堂を見て歩いた後、橋下知事は興奮気味に語った。「日本再生の切り札じゃないか。カジノ、これしかない。停滞する日本経済に明らかに効果が見込める観光施設を否定するのは間違いだ」マカオは11年前にポルトガルから中国に返還され、外交などを除き自治を認められた特別行政区。現在30を超えるカジノがあり、歳入の7割をカジノからの税収が占めるという世界最大級のカジノ都市だ。橋下知事は、米ラスベガスに本社を置く会社が4年前に開き、7500人が働くリゾート施設を視察。カジノの経験がないという知事は、従業員らに「子どもと一緒に来た人はどうするのか」と質問を浴びせた。富裕層を狙ったスイートのみ600室のホテルやレストランも見学し、施設の責任者に「(カジノを合法化する)法律ができたら、ぜひ大阪へ」とPRした。視察後、報道陣に「ここは大人が楽しめる一級のリゾート。これ以上の経済対策はない」と強調。「7500人の雇用に感動した。(税収を)福祉、医療、教育の財源確保に使い、地域経済の活性化につながると打ち出せば、国民の圧倒的多数には納得してもらえる」と、持論のカジノの「効用」を繰り返した。 「小さい頃からギャンブルを積み重ね、全国民を勝負師に」という発言が批判されたこともあるが、この日も知事はカジノで一般客が5千円程度から遊べると聞き、「ゲームセンターへ行ってもみんなそれくらい使っている。反対する人は観念的に、いい子ちゃんになって言っているとしか思えない」と語った。(以下略)----------------賭け事の全てがいけない、とは言いませんが、カジノが「日本再生の切り札」とは、あまりに貧相な経済政策と言わざるを得ません。マカオというのは人口約50万人という小さな地域です。そのような小さな地域では、相対的にカジノの経済効果は大きいでしょうが、1億3千万人の日本が経済の浮沈をカジノに任せられるはずがない。むしろ、経済効果よりも社会的なデメリットの方がよほど大きいだろうと私は思います。単純に言って、午前0時を過ぎても多くの人がカジノに入り浸っている状況というのは、どうなんでしょう。あまり好ましい情景であるとは、わたしには思えないのですが。あえて言えば、賭博なんてものは虚業の最たるものです。いや、虚業が存在してはならないとは言いませんよ、人間社会は、ただ清く美しいものだけで成り立っているわけではありませんから。だけど、虚業は虚業です。それに経済の浮沈を賭けるなんと、本末転倒も甚だしいと私は思います。「歳入の7割をカジノに依存」なんて国になったら、日本はおしまいでしょう。(もちろん、いくら橋下でもそこまでは考えていないでしょうが)それに、日本にはすでに競輪・競馬・競艇・パチンコ・宝くじ・サッカーくじという合法的賭博が存在します。その上に更にカジノが加わって、そんなに皮算用のとおりの「ドル箱」になるかどうかも、非常に怪しい。サッカーくじだって、最近になって急激に売り上げを伸ばしているようですが、一時はまったく人気がなく大赤字でした。カジノだって、そうなる可能性は大いにあります。カジノは世界の120ヶ国以上で合法化されているそうです。だから日本でも、というのがカジノ賛成派の言い分ですが、それは逆に言うとそれだけ競争相手があるということです。カジノを作れば即観光の目玉になる、なんて、そんな単純な話では済みません。そもそも、現実問題として、近い将来に日本でカジノが合法化される可能性はないでしょう。民主党政権下でも、自民党が政権に返り咲いたとしても、カジノを合法化がすんなり実現するとは考えにくい。当面実現する可能性のない夢物語について政治家が持論を持つことは各人の自由ですが、具体的行動としては、もっと喫緊の問題がいろいろあるでしょう。「大阪都」だのカジノ合法化だの、どうも地に足の着いていない政策が多すぎるように感じます。
2010.12.23
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101021-00000121-jij-pol育休めぐり2知事がバトル=大阪「世間知らず」―広島「大きなお世話」全国で相次いでいる自治体の首長の育児休暇取得をめぐり、大阪府の橋下徹知事が21日、「反対。世間が育休を取れる環境をつくってから、公務員が取るのが筋」と批判したのに対し、第3子誕生後の取得を表明した広島県の湯崎英彦知事が、「大きなお世話だ」と反論した。橋下知事は「よく『知事が先頭に立って機運の醸成を』と(言うが)、それはあまりにも世間を知らなさすぎる。世間は育休を取れるような環境じゃない」などと指摘した。一方、湯崎知事は、「見解の相違ではないか。まさにわれわれ(広島県)もいろいろな方法で育休を取りやすい環境づくりを政策的にやっている。わたしの(育休取得)は、その一環」と述べ、批判は当たらないとの認識を示した。------------------前にもこのブログで書いたことがあったように思いますが、私の相棒は、うちの子が生後1ヶ月のときに10日間以上入院してしまったことがあります。母親が入院したからと言って、子どももセットで入院することはできないので、生後1ヶ月、片手でも楽々抱っこできる小猿が一匹、もとい赤ん坊が一人、私の手元に残されたのでした。幸いなことに、その前年に私の両親が仕事をリタイアしていたので、日中は両親に預かってもらい、夜間は父子家庭で、相棒の入院中は何とかしのぎました。まだ軽かったから、片手で抱っこしながら1時間も2時間も子守歌を歌っていました。その頃、子どもがどんなに泣き叫んでいても、私がこの歌を歌えば必ず泣きやむという「魔法の歌」がこの曲でした。(生後半年ほどで「神通力」は消えてしまいましたけど)・・・・・・・、本題に戻りまして、この間私は断続的に休みは取りましたけれど、完全に全期間休みを取らないで済んだのは、両親がごく近所に住んでいて、かつもう仕事をリタイアしていたおかげです。もし両親が近くに住んでいない、あるいは仕事をしていたとすると、私がこの間ずっと休みを取る以外に、手はなかったでしょう。何しろ、生後一ヶ月では、預かってくれるところなどどこにもありませんから。橋下知事が「世間は育休を取れるような環境じゃない」などと言っていますが、そんなことが言っていられるのは母親が元気で育児ができるからです。今は出産で命を落とす母親なんて滅多にいるものではありませんけれど、今だって、出産に危険が伴うことに変わりはありません。もし母親に何かあったときには、「世間は育休を取れるような環境じゃない」などと言っている暇はないのです。嫌も応もなく、父親が面倒を見るしかない。「世間は育休を取れるような環境じゃない」なら、取れるような環境にしていくのが知事たるものの役割の一つであり、トップが自ら率先して育休を取ることもまた、環境整備のための有効な方策の一つです。橋下の言い分からは、環境整備のための前向きな姿勢が何一つ感じられません。
2010.10.22
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http://www.asahi.com/edu/news/OSK200811250003.html橋下知事、討論会でまた教員批判 「教育には競争必要」大阪府の橋下徹知事や府教育委員らが直接、府民と意見を交わす府民討論会が24日、大阪市内で開かれた。テーマは「大阪の教育を考える 教育日本一をめざして」。参加者からは競争を強いることに疑問の意見も出されたが、全国学力調査の成績向上をめざす橋下知事は、子どもが将来の夢を実現するためには競争に耐える力をつけることが必要と持論を訴えた。討論会には約1700人が参加。抽選で選ばれた府民から「競争をあおるほど学ぶ意欲が育たない」「教育は競争や比較とは違う」との意見が出た。橋下知事は「社会に出たら全部競争。競争を否定して、競争の荒波に子どもたちを放り投げて後は知らん顔する。一部の教員の無責任な態度だ」「できる子には競争してもらう。だけどできない子は絶対に救います」と理解を求めた。これに対し、元大阪市立中学校教諭の小河(おごう)勝・府教育委員は「荒れている子は、人との競争でなく、自分がわからないことに苦しんでいる。だから学力が必要だ」と指摘。「教育は競争のためにあるんじゃない」と知事に忠告する場面もあった。10月に開かれた1回目の討論会は激しいヤジが続き会場が騒然とした。2回目の今回は参加者にヤジや横断幕の持ち込みが禁止され、入場時に手荷物検査があるなど物々しい雰囲気で始まったが、大きな混乱はなかった。--------------------------------またまた橋下知事が教員批判だそうです。多分小泉元首相以来だと思うのですが、政権を握るものが率先して公務員叩きをやることがブームになっています。何しろ、その手で小泉は郵政解散で大勝しましたから、以来自民党は(民主党も一部は)公務員叩き(自治労叩き、日教組叩き)は票になると思っているのでしょう。しかし、では公務員(少なくとも国家公務員)を雇っているのは誰なんでしょう。もちろん、建前としては「国民」ですが、実質的には政府が雇っているのに等しいわけです。その政府のトップにいるのは首相です。首相が自ら公務員叩きを行うというのは、つまり社長が自ら社員叩きをしているのに等しい状態です。もちろん、内部的には社員を非難罵倒する社長などいくらでもいるでしょう。しかし外部に対して、「うちの社員はこんなに駄目なヤツらなんだ」と非難罵倒の宣伝をして回り、それを自らの人気取りの策にする社長がいるでしょうか。そして、そんな会社があったとして、そこで熱意を持って働きたいという社員はいるでしょうか。公務員が国民に非難罵倒されるのは、まあ意味仕方がないです。建前上は国民は「雇い主」ですが、実質的には客のようなものですから、客にクレームを付けられるのはどんな仕事でも宿命です。しかし、政権を握るものが、まるで「客」の一員か評論家のように公務員を非難攻撃するのはどうなのでしょう。政権を握る者の役割は、公務員を使って仕事をする(仕事をさせる)ことであって、「客」を煽動して公務員を非難することではないはずです。同じことが、頻繁に教員批判・職員批判を繰り返す橋下知事にも言えます。そんなに職員が悪いなら、「雇用主」としてのあなたにもそのことの責任があるはずで、第三者のように顔をして職員非難をしている場合ではないはずです。ところで、「社会に出たら全部競争。競争を否定して、競争の荒波に子どもたちを放り投げて後は知らん顔する。一部の教員の無責任な態度だ」これはまた、例によってすごい意見です。確かに、社会に出たら(出なくても)競争はあります。競争のない人生は、おそらくないでしょう。その限りにおいては橋下知事の言い分は必ずしも間違ってはいないと思いますが、「全部競争」というのは何かがおかしい。社会に出たら競争はありますが、しかし全部が競争でもありません。逆に、学校教育にも競争はあります。「一部の教員」とやらは、中学・高校の中間テストや期末テスト、あるいは高校大学の入試を否定しているんでしょうか?まさか違うだろうと思います。ただ、「これ以上競争を煽り、拡大するべきではない」と言っているに過ぎないのではないでしょうか。その程度の範囲で言えば、社会に出たからと言って全てが競争ではないし、競争であるべきでもありません。そして、競争が本当に人の優劣を決められるわけでもない。競争が人の優劣を決めるなら、公務員試験を勝ち抜いた大阪府職員や教員、あるいは国家公務員などは「優秀な人材」であるはずで、橋下が非難攻撃する余地などあるはずがない。しかし、現実にはそうではないから橋下は公務員批判を行うわけで、競争の「信頼性」など、その程度のものということでしょう。
2008.11.25
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橋下大阪府知事が、相変わらずの暴言を繰り返しています。19日の日曜日にはhttp://mainichi.jp/kansai/news/20081020k0000m040123000c.html橋下知事:「朝日は人の悪口ばかり」 陸自の祝辞で批判大阪府の橋下徹知事は19日、兵庫県伊丹市の陸上自衛隊伊丹駐屯地であった記念行事に参加し、祝辞の中で「人の悪口ばかり言う朝日新聞のような大人が増えれば、日本は駄目になる」と述べた。その後視察した同府島本町のウイスキー蒸留所で、報道陣に対し、朝日新聞3日付朝刊の社説「弁護士資格を返上しては」への批判だったと説明。「一線を越えたからかい半分の批判であり、たいへんな怒りを感じている」と不快感を示した。--------------------------更に止まらず20日にはhttp://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_toru_hashimoto2__20081021_8/story/20081021hochi004/橋下知事、2日続けてブチ切れ!朝日新聞に「廃業しろ」「事実誤認やりゃ全員首切れ」(前略)朝日新聞大阪本社広報部では同日「(知事の)責任を厳しく指摘したもの。記念行事での当社に関する発言については理解いたしかねる」などと説明。橋下知事は20日「理解いたしかねるって、偉っそうに」と憤然。「素直に『ちょっと言い過ぎた』くらい言えばいいのに」と語った。さらに橋下知事は、光市母子殺害事件弁護団への懲戒請求を求めた自身の発言を「至らぬ発言」とした上で「人間誤ることもある。朝日は今まで事実誤認したことないのか。そんな完ぺきな人間ばっかりなんですかね、朝日は」と問いかけた。「朝日が弁護士資格返上しろって言うなら、これから事実誤認とかやりゃすぐ廃業しろと。全員首切れと。もっと言うなら戦争責任だってある。いますぐ廃業しろって」と、時空をも超えて猛批判を展開した。前日、発言の場所に自衛隊の式典を選んだ理由を聞かれると「一番敬意を表さなきゃいけない人たち(自衛隊員)に対して、反対に、一番愚かな対象として朝日新聞は最適だったのかなと」とまで言い切った。約9分間、朝日批判を繰り広げた橋下知事。「朝日新聞は権力に悪口を言っていればいい、と思っていることがよく分かった」。また「朝日みたいな新聞社は早くなくなってもらった方が世の中のため」とも断言し、定刻を2分過ぎてもしゃべり続けようとしたところを関係者に止められて会見は終了。怒りの収まらない府知事のバトルは、まだ続きそうだ。-------------------------とりあえず、内容云々以前の問題として、橋下がどれほど頭にきたのか知らないけれど、式典の祝辞で言うような内容ではないでしょう。それにしても、「人の悪口ばかり言う朝日新聞のような大人が増えれば、日本は駄目になる」という台詞の「朝日新聞」を「橋下徹」に入れ替えた方がよほど正確。光裁判の弁護団を非難し、自分の部下である大阪府の職員を非難し、教育委員会を非難し、前知事の任命した教育委員を非難し、府下の自治体の市長を非難し、農地の売却を拒否する保育園長や園児の家族らを非難し、まさしく「批判ばかり」を繰り返してきた人間が、他人に対して「人の悪口ばかり言う」などと、今更どの口から言えるのかと驚いてしまいます。そういえば、以前には、橋下の所得申告漏れを報じた産経新聞を「オナ○ー新聞」※と罵倒してことがありました。ま、別の意味では産経新聞は確かに「○ナニー新聞」だと私も思いますよ。しかし自分の申告漏れを批判的に報じたことが許せないからオナニ○新聞、というのでは、せっかくの卓見も色褪せるというものです。どう考えても、橋下の政治的主張にもっとも近いのは産経新聞です。それすら、批判されれば「オ○ニー新聞」呼ばわりというのでは、人間としての幅の狭さを自ら証明しているようなものです。要するに、他人を非難攻撃することは平気だが、自分が非難攻撃されることは許せないということでしょう。※一部伏せ字にしたのは、伏せ字にしないとブログ主自身でも「公序良俗に反する記述」として弾かれてしまうのです。そもそも、問題の発端は、橋下が光市裁判の被告側弁護団に対してテレビで懲戒請求を煽動したことです。朝日新聞が橋下に「弁護士資格返上したら」と言っても、朝日新聞が実際に弁護士資格を剥奪できるわけではありません。しかし懲戒請求は、言論の自由の範疇としての批判とは異なります。懲戒請求が認められれば実際に弁護士の資格を剥奪や一定期間業務停止されます。そうでなくとも、どんなに理のない馬鹿げた懲戒請求であっても、それに対して答弁書の作成などの事務的な手続きをとらなければなりません。それが8000件(21人に対してなので、1人平均400件弱)も集まれば、それに対応する労力も並大抵のものではありません。つまり、それだけ実際の不利益を与えているわけです。自分の弁護士資格を「返上しては」と書く新聞が許せないのなら、そもそも他人の弁護士資格を奪い取ろうとするような煽動をしなければいいのです。そんなことがなければ、朝日新聞が「弁護士資格を返上しては」などと書くこと自体があり得なかったのですから。法律や法曹界の制度に疎い素人ならともかく、まともな知識と能力がある弁護士なら、光事件の弁護団が懲戒の対象になどなり得ないことは、当然に分かっているはずです。橋下が、そのことを知っていながら悪意から懲戒の煽動をしたのか、それとも知らなかったので(つまり弁護士として無能が故に)懲戒の煽動をしたのかは知りませんが、いずれにしても弁護士という職への適格性に強い疑いを抱きます。そもそも、政治家が、自分に対する批判を行う新聞に対して「なくなった方が世の中のため」などと発言することの重大性を認識していないんでしょうね。政治家をマスコミが批判しなくなったらマスコミの自殺だし、マスコミが政治家を批判できなくなったら、言論の自由は重大な危機に瀕します。朝日新聞もだらしないのは、それに対するコメントが「当社に関する批判は理解しかねます」というのです。「権力者に批判を浴びるのはジャーナリズムとして健全な証拠」くらい言ってやれ。こういうところで悪い意味で「大人の態度」を取ろうとするところが今の朝日新聞の駄目なところと私は思います。
2008.10.21
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http://www.asahi.com/national/update/1016/OSK200810160061.html大阪府は16日、第2京阪道路の用地として、門真市の北巣本保育園の771.17平方メートルに行政代執行をかけ、強制収用した。月末の芋掘り交流会に向け、園児たちが育ててきたサツマイモや落花生が引き抜かれ、整地された。午前7時半、大阪府用地室の職員ら100人が農地を囲うフェンスを撤去し、代執行を宣言。8時から、農作物を引き抜き、ご神木のエノキの下にある地蔵尊などを撤去した。畑には早朝から、保育園理事の松本剛一さん(49)ら約30人の地域住民、園児の保護者らが集まり、「収穫までのあと2週間をなぜ待てないのですか」と抗議した。「サツマイモ畑には子どもの思いがどれだけ詰まっていると思っているのですか」と、叫ぶ保育士らが畑にうつぶせになり、府職員が数人がかりで排除する場面もあった。松本さんが出している執行停止の申し立てについて、大阪高裁が30日に決定を出す予定。司法判断を待たなかった理由について、府は「10年3月末に予定されている第2京阪の全線供用開始に間に合わなくなるため」としている。第2京阪道路は、京都市伏見区と門真市を結ぶ28.3キロの自動車専用道路で、国道1号の渋滞を緩和させる役割が期待されている。浪速国道事務所によると、事業用地は保育所の畑を除き、まだ7件、約3千平方メートルが未買収だ。大阪府の橋下徹知事は16日朝、報道陣の取材に答え、「府は4月から任意交渉を誠実に続け、慎重な対応をしてきた。(高裁の決定まで)今後2週間遅らせると、通行料で6億~7億円の損が出てくる。公の利益のためということで、園の所有者には申し訳ないがこのまま代執行をさせて頂く」と説明。イモの収穫については「なぜ2週間早く(収穫を)して頂けなかったのか。執行前に、菜園を使った別のイベントをやることもできたのでは」と話した。---------------------------------保育園の理事側に問題がなかったかどうかが判然としませんが、少なくとも芋は人間の都合にあわせて2週間早く生育してくれたりはしないでしょう。それから、「今後2週間遅らせると、通行料で6億~7億円の損が出てくる」との言葉ですが、上記記事によると、まだ7件、約3千平方メートルが未買収というので、この保育園の農地一件を収用したら着工できるわけではないようです。それとも、これから2週間以内に残りの未買収用地も一気に全部強制収用するつもりでしょうか。二審の決定が出る前に強制収用というのもすごい話です。当の橋下自身は、懲戒請求煽動事件の裁判で、一審で負けても「3審制なので高裁の判断も伺いたい。」と言って控訴したわけですが、この保育園に対しては、二審(大阪高裁)への不服申し立てを無視するんでしょうか。結局、反対派への見せしめとしてやっているとしか思えないのです。確かに、公共的な施設の建設のために、土地所有者の合意がどうしても取り付けられない場合、最後の最後の手段として強制収用というのは仕方のない部分もあるのかも知れません。仮にそうだとしても、それは最後の最後の手段、「伝家の宝刀」です。伝家の宝刀はそんなに安易に、めったやたらと振り回すものではありません。そんなことをするのは、統治者として無能です。中山前国交相の暴言(成田ゴネ得発言)もそうですが、成田空港建設の際、機動隊を並べて強制収用という強硬策の乱発が、結果的に反対派の態度硬化と過激派の参入を招き、対立と紛争が長期化する原因になった過去の経験に学ぼうとしないのは何故なんでしょうか。伝家の宝刀を安易に振り回して解決するようなやり方は、長い目で見れば、結局は高い対価を支払うことになると思います。
2008.10.17
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http://mainichi.jp/select/today/news/20081002k0000e040010000c.html橋下知事:「光母子弁護団懲戒」TV発言で賠償命令 山口県光市の母子殺害事件(99年)を巡り、橋下徹弁護士(現・大阪府知事)のテレビ番組での発言で懲戒請求が殺到し業務に支障が出たなどとして、被告の元少年の弁護士4人(広島弁護士会)が計1200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2日、広島地裁であった。橋本良成裁判長は「発言と懲戒請求との間に因果関係があることは明らか」として橋下氏に原告1人当たり200万円、計800万円の支払いを命じた。橋下氏は控訴する方針。 視聴者の行為を促した発言が違法と認定されたことで、今後の番組制作や出演者のコメントに影響を与える可能性もある。 判決によると、橋下氏は昨年5月放送の情報バラエティー番組「たかじんのそこまで言って委員会」(読売テレビ)で光市事件の弁護団を批判。事件の動機が「失った母への恋しさからくる母胎回帰によるもの」などとした弁護活動に対して、「許せないって思うんだったら一斉に弁護士会に懲戒請求をかけてもらいたい」などと発言し、4人に計2500件以上の懲戒請求が届いた。-----------------------------当然の判決です。光市の母子殺害事件の犯人の犯行は許し難いと私は思います。しかし、凶悪事件の犯人が許せないというのと、その犯人の弁護士が許せないというのはイコールではありません。たとえ被告人が100%クロだと確信していても、本人が「無実だ」と主張する限り、弁護人が勝手に「罪を認めます」などと言うことは許されません。被告の言い分がいかに辻褄が合わなくてデタラメだったとしても、その言い分を法廷で主張する権利は妨げられないのです。ただし、その結果は本人自身に返ってきます。つまり、明らかに辻褄が合わなくてデタラメな言い分を主張をすれば、「反省の色なし」とみなされて、より重い刑罰という結果を招きます。弁護士が、そのリスクを被告人に説明してもなお主張を変えないならそれまでです。つまり、弁護士にとって被告人の代弁をする(いかに荒唐無稽な内容であろうとも)ことは、立場上課せられた責務といってもいい。それを許せないというのは、たとえて言えば、ドラマに出てくる悪役を演じる俳優が許せない、というのと同じようなものでしょう。刑事事件の弁護人というのは、ものすごく割に合わないものだそうです。国選弁護人の報酬なんて、話にならないほど安い。だからみんな刑事弁護なんてやりたがらない。しかも、こういった重大犯罪の場合、弁護人を引き受けたというだけで非難が殺到するのが昨今の風潮です。弁護人を引き受けるだけで顧問弁護士を切られたりするそうです。尚更、弁護の引き受け手はいません。しかし、刑事事件の裁判は弁護士抜きには始めることはできません。被告に弁護士が付かなかったら、裁判は始められないのです。それとも、憲法も刑事訴訟法も変えて、凶悪犯罪の被告には弁護人など不要、ということにでもしましょうか。そう言い出しかねないようなネット世論が、2ちゃんねるやヤフーニュースのコメント欄には見受けられます。「ネット世論」のノリと感情と勢いで凶悪犯罪の刑を決めるようなものです。それは、法治国家・近代国家であることをやめる、というのと同じです。自分が無実の罪で捕まったときに、弁護士が誰も助けてくれない、あるいは弁護士が自分のいうことを聞いてくれず、「無実だ」と言っているのに勝手に「罪を認めます」と「弁護」してしまう事態を想像してみると良いでしょう。しかも、これはすでに全くの絵空事ではないのです。弁護士が誠実な弁護を行わずに有罪になり、後で冤罪が発覚した刑事事件は現に存在します。今回の事件では、2審までの弁護士は国選弁護人だったようですが、最高裁が弁論を開くと決めた時点で、悪い言い方をすれば「逃げ出して」しまったのです。(最高裁は、2審の判決をそのまま変更しない場合は弁論を開きません。弁論を開くというのは、2審の判決を変更することを意味します。この場合で言えば、弁論を開く=2審の無期懲役を見直す=死刑ということです)あとを受けた今回の弁護団は、従って国選弁護人ではありません。この犯人に財産なんかあるはずがありませんから、報酬なんて全くないことは明らかです。そういう中で新たに弁護人を引き受けるというのは、それ自体並大抵のことではありません。弁護団の作戦がベストだったかと言えば、かならずしもそうとは言えなかったかも知れません。批判の余地はあるでしょう。だから、弁護団の活動に対して批判がしたいというのであれば、批判すること自体は自由です。ただし、批判と制裁は違います。懲戒処分というのは、弁護士に対して最悪資格剥奪、あるいは期限付きの刺客停止処分を課すものです。つまり、弁護士という職から永久に、あるいは一定期間追放するということです。弁護団の主張が気に入らないから批判するのは言論の自由ですが、弁護団の主張が気に入らないからという理由で資格剥奪させる権利など、誰にもありません。橋下は仮にも弁護士でですから、その程度のことは当然知っていなくてはなりません。そして、弁護団の弁護活動が懲戒の対象にならないことも、当然知っていなければなりません。そのような「弁護士」を肩書きにした人物が、テレビ放送で、「懲戒請求しろ」などと煽ることは非常に悪質です。しかも、懲戒の理由がないのに懲戒請求を行うことは損害賠償の対象になるのです。結果として光裁判の弁護団は懲戒請求を行った人たちに対しては損害賠償請求を行いませんでしたが、もし行っていれば、橋下の口車に乗って懲戒請求に走った人たちは、軒並み賠償金を取られる羽目に陥ったはずです。そのリスクを説明せずに、何も知らない視聴者に懲戒請求を煽り、本人自身は懲戒請求をしていなかったというオチまで付いています。あまりに無責任です。ところで、ヤフーニュースなど見ていると、「私は橋下氏に呼びかけられる前に懲戒請求した」などとコメントしている人物がいますが、明白にウソです。なぜなら、放送前には懲戒請求は1件もなかったからです。橋下氏に呼びかけられる前に懲戒請求した人物が1人もいないことは、確認されています。(番組を直接見ていないで懲戒請求した人はいたかも知れませんが、それだってまったく独自の発案という可能性は低いでしょう)それにしても、今回の裁判でも、結局橋下本人は一度も出廷しなかったそうです。もちろん、民事裁判で被告が出廷する義務はないのですが、自分自身が弁護士であるにもかかわらず、裁判で訴えられても全て代理人(他の弁護士)に任せっぱなしというのは、みっとも良い話とは思えません。本人に弁護士としての能力が低いから、他人に任せるしかないのではと邪推したくなってしまいます。それから、原告の弁護士のうちの1人は、提訴後になって弁護団の他のメンバーと対立して、弁護人を解任され、橋下に対する損害賠償請求も、いったんは取り下げようとした。ところが、民事裁判ではいったん提訴したものを取り下げるには被告の同意がいる。しかし、橋下は提訴取り下げに同意しなかったそうです。その結果、提訴を取り下げようとしていた弁護士も橋下に勝訴。同意しておけば、1人分の賠償金(200万)は取られなくて済んだだろうに。まあ、橋下府知事にとって、200万くらいははした金なのかもしれないけれど。とはいえ、私も幼い子どもの親。この事件(本件の殺人事件の方)の犯人は許せないという思いは変わりません。判決は妥当とは言え、いろいろな意味で後味が良くない出来事であったことは間違いありません。
2008.10.02
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http://mainichi.jp/life/edu/news/20080908k0000m010062000c.htmlより大阪府の橋下徹知事は7日、全国学力テストの市町村別結果の公表を巡り、「公表するかどうかで補助に差をつけなければならない」と発言した。(中略)地元FM局の公開生放送でも、学力テストの結果公表の必要性を聴衆に力説。「くそ教育委員会のメンバーが発表しないと言う。府教委に任せていては立ち行かない」と、教育委員会に「くそ」を付けて持論を訴える場面もあった。橋下知事はまた、携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」の教育現場での活用を検討していることも明らかにしたうえで、この事業についても、テスト結果を公表するかどうかで差をつけることを示唆。(以下略)---------------------そりゃ確かに、私も内心「くそ教育委員会」と思うことがない、とは言いません(多分、その方向性は橋下とは180度逆のベクトルだろうけれど)。だけど、自治体トップ、つまり行政の最高責任者が自らの指揮下にある組織について、公式の場で言う言葉ではないでしょう。知事は、その「くそ教育委員会」を「くそ」でなくす責務を負っている立場のはずで、本当に教育委員会(府教委)が「くそ」だと思うなら、むしろ知事はそのことを大阪府民に対してお詫びしなければいけない立場です。第三者面で批判している場合ではないでしょう。それができないということは、行政のトップとして当事者能力がないということを自ら認めているようなものです。それから、ニンテンドーDSを教育現場で活用って、そんなの必要ないと思うんですけれど。それこそ、そんなものに予算付けてくれなくて結構って、私なら思ってしまいますけどね。
2008.09.07
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080906-00000028-maip-soci橋下大阪知事 廃止方針の児童文学館の仕事ぶりを隠し撮り9月6日22時1分配信 毎日新聞橋下大阪知事 廃止方針の児童文学館の仕事ぶりを隠し撮り大阪府立国際児童文学館=佐々木泰造撮影大阪府の橋下徹知事は6日、廃止方針を打ち出している府立国際児童文学館(吹田市)の普段の館内の様子を調べるため、職員に内緒で2日間にわたってビデオ撮影していたことを明らかにした。橋下知事は「なんの努力の形跡もうかがわれない」と映像を見た感想を述べた。「隠し撮り」について「民間だったら当たり前のリサーチ」と話したが、その手法は議論を呼びそうだ。橋下知事の指示を受けた私設秘書が8月、撮影した。橋下知事は「(新たな来館者を増やすための)取り組みは一切感じられなかった」と文学館を酷評。子供たちが漫画ばかり読んでいたとして、「実際は漫画図書館」と不満を表した。映像は府議会などでの公表を検討する。-----------------------「隠し撮り」について「民間だったら当たり前のリサーチ」と話したそうですが、本当にそう思っているの???私自身の経験ではそんなことをする会社にお目にかかったことはないですけど(インターネットのアクセスログは別にして)。まあ、中にはそういう会社もあるでしょうが、そこまで経営者が社員を頭から信頼していない会社に勤めたいとは思わないし、たとえ社員の隠し撮りをやる経営者でも、社外に向かって「うちの社員はこんなに怠けているんだ」などと公表したりはしないでしょう。そこまで職員を信頼しない、できないで、人の上に立って仕事なんてできるのかなと思ってしまいます。少なくとも、こんなやり方で職員のやる気が引き出される、なんてことは、絶対にないと思います。みーやさんのコメントを受けて追記私も記事の中身を見落としていた部分があって、職員だけを隠し撮りしていたと思っていたのですが、「子供たちが漫画ばかり読んでいたとして、『実際は漫画図書館』と不満を表した」ということは、職員ばかりではなく利用者も隠し撮りしていた、ということです。もちろん、職員に対する隠し撮りも重大問題ですが、一般利用者も隠し撮りというのはそれ以上に重大な問題でしょう。
2008.09.06
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読売新聞の報道より----------------------------橋下知事「学力テスト、市町村別の点数公表を」大阪府の橋下徹知事は30日、同府貝塚市で開かれた教育シンポジウムで、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果について、「市町村別の点数も公表すべきだ」と述べ、府内全市町村の「学力順位」を公表するよう近く府教委に求める考えを明らかにした。Click here to find out more!参加者にも「どんどん(成績の)情報公開請求を」と呼びかけた。学力テストの都道府県別成績で、府は2年連続で全国平均を下回っており、橋下知事は「大阪の公教育は崩壊している。府教委は最悪だ。教育委員はみんなお飾り」と批判。「結果が示されないから市町村教委は甘えている」との認識を示した。(2008年8月31日06時40分 読売新聞)----------------------------相変わらずの橋下節が続いているようですけれど、教育委員会は建前上は独立行政委員会とは言え、実質的には教育委員も教育長も首長が選任するんだから、まるで他人事のように「最悪」とか「お飾り」とか言っている場合じゃないだろうに。
2008.08.31
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