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東京劣化 松谷明彦 2015年 2010年頃の講義録を書籍化したものだそうだ。2014年の新書「地方消滅」の焦点を東京に戻した啓蒙書と思ったが、地方は消滅しないとし、むしろ東京圏に覚悟を迫る内容だった。 「地方消滅」では、出生率の低下そのものは原因不明とし、積み重ねてしまった人口動態の事実をもとに、確実にくる高齢者増、出産年齢層の減少、都市継続可能人口構成の破綻の大量発生を訴え、備えた対策を早く打とうとの話だった。 本書では、東京圏は2020年代後半から、高齢者が急増し、人口はさほど減らず、若者の流入は減少し、2025年から一人当たりの総生産額は減少に転じ、都市が貧しくなり、2035年くらいからは都市のインフラも手が回らずに傷みはじめて、東京はスラム化し、2040年には100万床の老人ホームが不足して、路頭に迷いかねないと。 それに備えて、公営低家賃住宅建設、耐用年数200年の建物での使いまわし、構造物はリノベーションに、官庁の支出も価格是正して小さな財政にせよと提言してます。経済成長で賄うのは無理で、もともと日本は、額は大きくても労働生産性は低くて、賃金も低い。今後、労働力自体は不足してしまう。増税で財政再建しようにも社会自体が壊れてしまうと。 日本は、勤労者ひとりで一人以上の老人を養う人口構成になるので、年金では、高齢者の対応はそもそも困難。高齢者の4割は借家住まいで負担が大きいので、公有地に公営住宅を建てて低家賃で住めるようにせねば間に合わないと。オリンピックなどで大きなインフラを造っても維持できなくなると。 過去二度の人口政策が後世代に災禍を及ぼしたそうで、人口をいじると50年から60年後にツケがくるもので60年から70年たたねば米英仏の様な緩やかな人口動態になれないそうです。 欧米のベビーブームは10年から20年で団塊はないそうです。人口をいじったのは、ドイツと日本だけで、ドイツは移民の受け入れとその制限の一回の山だが、日本は、戦後の高度成長を支えた戦前の産めよ増やせよで増やした人口増と、戦後の産児制限での出生数急減によるベビーブーム急収束だそうだ。 高度成長を成し遂げた人口構成が後の世代への災禍につながるとは・・・ 年 制限実数、 実施率、 対出生比率
May 30, 2015
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ゼロ・トゥ・ワン ピーター・ティール 2014年 2012年、母校のスタンフォード大学で起業の講義の受講ノートを本にしたものだそうだ。起業とは、水平的拡張的な成功例をコピーするグローバリゼーションではなくて、垂直的で集中的な進歩で新しい何かを行うテクノロジーだそうだ。だから、起業はゼロから一をつくることで、一からnをつくるのは、グローバリゼーションだそうだ。 起業で成功するとはどういうことなのか、着眼点と留意点をわかりやすく理屈をたてて説明してあり、理解しやすいです。いろいろ、翻訳語やカタカナ語で語られていますが、簡単に言うと「考えぬいて、試して、仕上げて、敵をつくらずに、席捲しろ。全身全霊を仲間と一緒にそこに懸けてみろ」と。 着眼大局、着手小局で進めろ まず、ダントツの商品をつくれ 人まねするな 敵はつくるな 仲間をつくって任せろ 三方よしで売りまくれ 最後に席捲してみせろ 目先の利益は追うな 人参ぶらさげて人を使うな 労使も自社株を持って利害は同じにしろ 度胸がいるぞ 一か八かやってみろ 日本の教えと同じ気がします。最後の一か八かやってみろができるかどうかが問題なのかもしれません。
May 29, 2015
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愛国論 百田尚樹、田原総一郎 2014年 平穏な生活を望んでいる者にとって関わりたくない問題が明快に議論されていると多少気が休まるものだが、気掛かりな現実は、議論では解消されず、逃げようがない。 尚更、各種事実を整理した"角度をつけない"情報や合理的推論を知ることができるようになって欲しいと思う。それが、報道や言論のそもそもの役割だが。 陰謀論は、猜疑や盲信を煽り、対立を泡立てるものなので割り引いて接する必要がある。報道も割り引いて接する必要があるのが現実で、飛躍や都合の悪い事実の捨象がない洩れのない報道・論説・編集が欲しくてたまらない。残念だが、旧弊メディアではなかなか見当たらない。後日、嘘がばれる誤・偽の報道事件が後をたたない。商業メディアの体質は変わりそうにないので、いろいろな本に求めるしかないのが現状と思う。この本の二人の組み合わせはとてもわかりやすい整理で面白い。 報道の品質の点検、評価をネットで公開スコアにできないものだろうか。第三者のスコアなど、米国の格付け会社がサブプライムの金融詐欺に加担した格付けをしたように、信頼できるはずもないか。やはり、報道の質も市場での淘汰作用でよくするしかないのかもしれない。 質の悪いメディアは、買わないこと見聞きしないことしかないようだ。
May 27, 2015
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辞書になった男 佐々木健一 2014年 ケンボー先生と山田先生 国語辞典の語釈や用例の中にこれほどの人生模様が秘められていたとは驚きました。半世紀近くに及ぶ実話は求道的で誠実で崇高で、また、雄々しく野心的でもありました。 早速、手元の新明解第四版をあらためて確認してみました。 国語 それぞれの国家を支えている国民の使用する言葉を、自分たちのものとして意識した時の称 辞書 言葉を、一般の人が知っている引きやすい順序に並べて、その発音・意義・用法などを書いた本 となっています。意義と用法を教えてくれる本を目指して造られ、自分たちのものであると思える言葉が選ばれているのですね。意味ではなく、意義とその使い方を伝えようとされていたわけですね。 二人の男の相克と尊崇の生きざまが辞書の記述から解き明かされます。「事故」「時点」「実に」の著者の解説には思わず唸ってしまい、手元の辞書をくくらないではいられませんでした。面白く感動的な検証でした。 「生きざま」の注釈が遠藤周作への反論であるとは。「んとす」に編者の読者へのメッセージまで残されているとは。驚きました。故人と出会った気になるかのようです。 永年、新明解を使っていましたが、辞書の教えがあったことを初めて知りました。
May 25, 2015
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ゴルバチョフが語る冷戦終結の真実と21世紀の危機 山内聡彦 NHK取材班 2015年 30年前に核の削減を目指した米ソが交渉を始め、5年にわたる米ソ首脳の会談、相互訪問の後に40年にわたった冷戦が終結された。そこには、勝者はおらず、権勢を求めなかった政治家と米ソの相互理解があったと言う。 冷戦終結の1989年、東ドイツは市民の越境を容認し、西ドイツのコール首相はドイツ統一の交渉を進めたが、英国サッチャーは反対、仏ミッテランは国境固定の条件付き賛成、米はNATO加入を条件に賛成であったそうだ。ソ連のゴルバチョフは、ドイツ人が決めることとするも、NATO加入には反対との状況であったそうだ。 コールは、ゴルバチョフとゴルバチョフの故郷の山荘で話し合い、1990年10月にドイツの再統一が成就したそうだ。西ドイツは、ソ連の食糧危機に15億マルク、東欧からのソ連兵の帰還時兵舎建設に30億マルク、50億マルクの借款など22項目の契約と協定をソ連とかわしたそうだ。 ゴルバチョフは、軍事費が国を弱める現実と硬直した国家と経済の改革に着手し、原因となる東西冷戦を克服し、新しい欧州とソビエト連邦を造ろうとしたが、保守派の巻き返しと、急進派の台頭で辞任に追い込まれてしまう。後を担う急進派のエリツィンは、1990年代、アメリカ一辺倒で市場経済改革を進め、超インフレ、通貨危機、格差拡大、経済疲弊の果てに1999年泣いて失敗を詫びながら退陣する。 この間、アメリカから多くの支援者がロシアに入り助言していたが、それはロシアの利益を考えたものではなく、ロシアを弱体化するものであったと言う。ロシアの米への不信は増大し、米は冷戦終結を勝利と考えるようになっていったそうだ。 石油・ガス資源でロシアは持ち直し、プーチンは米のテロとの闘いを支持したが、イラク進攻には反対するも米に無視され、ロシアは強いロシア復活を決意することになったそうだ。 ゴルバチョフは、NATOの東欧拡大は、ドイツ再統一時の信義違反と言う。プーチンのクリミアの対応を支持してるそうだ。ゴルバチョフは、25年前の米ロの交渉・相互理解の努力を今こそ払うべき時と言う。 ゴルバチョフの母と妻は、ウクライナ人だそうだ。 第一次大戦で戦勝国がドイツに完膚なき賠償を課して敗者を追い詰め、第二次大戦の伏線をつくってしまったと言われ、敗者を追い詰めてはならないのが勝者の摂理であったはずが、1990年代、米欧は強欲に東欧を侵食したようだ。 ドイツ統一で東ドイツの文化系教師はクビになり、外務官僚2000人中8名しか残らなかったと長谷川慶太郎は書いていたような気がする。 自国利益を至上とする輩に敗れた恩讐は果てないようだ。
May 22, 2015
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撤退するアメリカと「無秩序」の世紀 ブレット・スティーブンス 2015年 そして世界の警察はいなくなったAmerica in retreatThe new isolationism and coming global disorder 「悪の帝国」が世界に手ぐすね引いていて、自由と民主主義を脅かしているから、アメリカは、オバマのように孤立主義になって自国の問題に集中しようとしていてはだめで、軍拡して世界の警察として軍事力で取り締まれと著者は言います。 ロシア、イラン、中国は、アメリカの目指す自由と民主主義に敵対する権威主義国であって、軍事力で対抗しないとそれらの周辺国は抑圧されてしまうと。アメリカは世界に軍事力を展開して敵対勢力を取り締まってきたが、それができるのはアメリカしかないと。北朝鮮、シリア、ベネズエラや、アサンジ、スノーデンのような破壊的活動を防止する軍事・取り締まり活動を強化すべきだと。 オバマは、米国民の厭戦感の強まり、党派に関係なく広がる海外での軍事行動にたいする嫌悪の拡がりに敏感に反応して、アメリカの戦略を迎合させ、撤退していると。リバランスとか軸を移すとか言葉巧みに言うが、撤退しているだけだと。このままでは、世界に無秩序が拡がると。 同盟国は、アメリカにただ乗りで軍事支出を増やすべきだが、アメリカだけが若々しく活力を維持できる創造的な国で、新興国も息切れ、欧州も停滞、日本も老齢国になっていきあてにならない。アメリカが世界を取り締まらないと自由と民主主義は攻撃されると言ってます。 著者は、保守派の論客でアメリカで注目されてるとのふれこみですが、以前に読んだチャールズ・ファーガソン、タイラー・コーエン、ジョージ・パッカーの本がとても示唆に富んでいたことが、この本を読んでみてよくわかりました。 ソ連を「悪の帝国」と呼んだレーガンがゴルバチョフを支えて軍縮と冷戦終結を成し遂げた20世紀末のアメリカの世界観と、著者の世界観には大きな落差があるようです。 自分の正義を振りかざす困った人は多くない方が平和です。
May 20, 2015
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国境の人びと 山田吉彦 2014年 再考・島国日本の肖像 日本の経済水域や領海の起点となる離島が99あって、そこには海上保安官は一人もおらず、油断していると外国からの収奪にさらされてしまうのが現実らしい。 島は人が暮らすことで日本の国土として配慮され、安全保障の防人にもなってきたらしい。島民の生活事実が安全保障の基礎だと本書は言う。 なぜ、島がこれほどまでに限界集落化、廃村化してきたのか。ご都合主義の行政、お人良しな国策、生活優先にならざるをえない庶民、軍事への嫌悪など、島々の地政的、産業的な事情も違っていろいろなようだ。 一方、周辺国は勢力拡大に邁進していて、じわじわと既成事実が積みかさねられているようだ。もう、待ったなしだそうだ。こうなるまで宝をいかせていない現実話に気が滅入る。 海の資源活用と領土保全の両面から離島の集落の形成・維持を図る必要があるそうだ。ここでの「地方消滅」は、国土・領海の消失につながる問題となっているようだ。公共工事、自衛隊、自給自活を組み合わせた島の活用が、国土の保全となるようだ。 国土の保全のために島での活動を確保する必要があるらしい。島は打ち捨てられてはならないようだ。
May 19, 2015
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沖縄返還と通貨パニック 川平成雄 2015年 「国境の人びと」山田吉彦によると、奄美大島の島々は、奄美群島政府時代に日本復帰運動を全島民あげてとりくみ、血判状まで用意して迫り、1953年クリスマスに日本に復帰したそうだ。 一方、沖縄の返還は、1972年5月までかかり、その間、米軍による支配の中で不条理な生活を強いられ、現在も軍事拠点との共存生活が続いている。本書では、返還3年前の米兵による主婦轢殺無罪放免事件、続いて起きた米兵による交通事故を発端に発生したコザ騒動について沖縄庶民の憤りの状況を克明に整理している。 その翌年の終戦記念日にニクソンは変動相場制への切り替えを宣言し、沖縄は日本復帰に向けて県民の資産が大きく毀損される危機にさらされてしまうことになったそうだ。 庶民の生活と沖縄経済に打撃を及ぼすドル切り下げ、円切り上げ、投機勢力の侵入、これらに対応するために沖縄の行政の志士達がどのように対応したか、日本の閣僚、省庁がどのように支援し、また、傍観したのかが活写されている。 身を挺して奮闘した指導層が沖縄におられたたことに深く感動した。また、それに応えた閣僚がいたこともすくわれる思いがした。一方、自己・自組織の論理を横暴に奮った中央官僚がいたことも怒りとともに記されている。 米軍支配の中で、秘密裏に沖縄の人々の資産毀損を防いだ信念の強さ、深さがどれほどの思いからきているものなのか、沖縄で生活してきた人にしか推し量ることはできないのかもしれない。著者の憤りが満ちた本であった。
May 17, 2015
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帳簿の世界史 ジェイコブ・ソール 2015年The ReckoningFinancial Accountability and the Rise and Fall of Nations 複式簿記の開発、教育・伝播、活用、監査、悪用、粉飾と続く正負のサイクルが、各国、各時代の歴史上、何回も繰り返されてきたことがよく分った。簿記と会計は、財政の規範になったり、詐欺の温床になったりと、為政者や貴族や資本家など時代時代の権力者と市民との相克の歴史を繰り返してきたようだ。 行きついた先として、高度に発達したはずの現代においても史上最大の腐敗が起き、こうした腐敗は、今にはじまったことではなく、社会から負託された者が登場すると必ず起きる歴史的事実のようだ。人も企業も富を手にし始めると、社会からの負託に応えなくなり、公共的義務を果たさず、自らの利益のために策を弄するようになるのが西洋文明の本性のようだ。簿記と会計の歴史は、こうした富の専横とその是正との闘いの記録でもあるらしい。 本書で披露される歴史的経済事件の数々は、現代の金融事件を見ているかのようで、強欲な本質と略奪的金融の手口は変わらないかのようだ。しかしながら、21世紀は、ついに最後の箍をはずしてしまった社会で、史上最大の略奪と破綻が起きるまでになってしまったということのようだ。 負託された者としての責任を果たさない者が社会の中枢を占めた時、経済は略奪の後に破綻するようだ。著者は、現代の事業体は大きすぎて不透明で、もはや監査不能であると言う。そして金融システムが不透明なのは、そのようにできているからであって、経済の破綻が組み込まれてしまっているのであると言う。 必ず「清算の日」が来るので、それに備えて、高い意識と意志を取り戻せと結んでいる。
May 11, 2015
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江戸しぐさの正体 原田実 2014年 教育をむしばむ偽りの伝統 密集した都市に住む人間同志にとって、互いに配慮する立居振る舞いは、密着した活動が強いられる環境であればあるほど快適に過ごすために必要な行動と思う。幼児以外は、皆よくわかっているはず。 ところが、我が身ありきで人を押し退けるように振る舞っても、咎められずに過ごせれば、傍若無人なしぐさをしても後ろめたさを感じるよりも、むしろ、他人に不快感を与えて快感を得るような者が増えてくる。東西を問わず、密集生活の現実であろう。 これに対して道理を教育して互いに配慮した立居振る舞い・行儀を身に着けて、快適な都市生活と精神状態をつくろうと考えることは自然なよい話と思う。 しかしながら、なかったものをあったかのように捏造して歴史を騙ってだまして道理を教ようとすることは、例え、人々の振る舞いが相互に慈しみあったものになったとしても、罪が残る。大方の人に都合のよい結果がでたとしても騙した罪は残る。本書は、この短絡さ、現代の人々を騙した上、更には書物にして後世の人も騙すことになる行為を糾弾している。 本書で断罪されているような行為で良いことも歪んでゆき、信ずる人を失っていくようだ。他にもこうした事例はありそうな気がしてきた。ますます広く本を読む必要がある時代のようだ。
May 11, 2015
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常磐線中心主義 責任編集 五十嵐泰正・開沼博 2015年 ジョウバンセントリズム 東北・北海道との大量物流動脈としての半世紀を超える実績、生鮮農産物の大量供給地として重責、首都圏・京浜工業地帯へのエネルギー供給地として石炭、石油、原子力の産業史、それにより課せられた難題、エネルギー転換と廃炉の長い道のり。こうしたことがこの地域の宿命として作用してこの地域を理解することを難しくしてきたことがよくわかりました。 常磐線が語られてこなかった理由について、編者は、現実的で派手さがなくその未来のなさではと言います。そして、それこそが再評価すべき点で、淡々と一次産品、工業製品、電力を首都圏に届ける日本に欠かせない価値として見直すことが重要と言います。日本の近代化をけん引してきた重要性、首都圏をひいては日本を支えている現実を価値として語っています。 多様な分野からとらえていてとても興味深い内容です。大都市問題、農業問題、産業誘致問題、巨大流通支配と地域産業起し、風評対策、地域文化など多岐に亘っていますが、常磐の長い歴史背景と立地特性から現実がわかり易く説明されています。・地元と一体となった首都圏巨大ターミナル駅の再興の重要性、上野駅の取り組みの先進性、目的地文化の創出・福祉と再開発が同居する簡易宿泊街の現実・協働してホットスポット対策に取り組んだ市民と市・日本で二位三位を占める農業県、量での勝負となる農業、外国人研修生に頼る農業・東北一の出荷額を誇るまでに成功した工業団地、産業転換・水産加工業のコモディティーブランドとしての誇り・東京の流行、消費とは違ったサブカルチャー、産業史の残した文化・原発事故で失われた郷土の歴史 などなど興味は尽きません。まさに日本社会の縮図となっている路線で、読んでみて初めて多くを知りました。常磐の被災する前の歴史は、被災後の歴史を考える前提にすべしとの編者の主題に自省せざるを得ません。 ある悲劇を起源に編まれた物語はわかり易いが、しばしば、力を持つ側に有利な方向に偏った世界をつくる前提をつくる、との指摘にはハットさせられます。そこに生きる人の克己が悲劇に矮小化され、外の人にとっての癒しとなるエキゾチシズムに使われるならとても残念だと言う観察にも深く考えさせられました。 この本がつくられた動機がとてもよくわかりました。
May 4, 2015
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