海外旅行紀行・戯言日記

海外旅行紀行・戯言日記

2003.03.23
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カテゴリ: Books
アメリカのイラク攻撃も、本日時点では圧倒的なハイテクと物量攻撃で峠が見え、フセイン政権の崩壊も間近い。

そこで昨年11月28日の日記をもう一度読み直して見て、岩波新書要約を再度引用することにしました。
不幸にして著者の言う「三度目の正直」で、国連合意の無いままイラク攻撃が実施されてしまいました。
他の常任理事国もアメリカの圧倒的な軍事力に楯突くことが出来ず、実質的にイラクを見放すことになりましたので、フセインの殺害又は自殺で戦争が終結することになります。

解放後のイラクがアメリカの意図する「民主イラク」に生まれるか否かが問題です。
民族・宗教の対立のモザイク状態にあるイラクを、対立の少ないデモクラシー国家に転換するのは容易ではありません。
「第二次世界大戦後の日本・ドイツでは、独裁者を倒して議会と民主主義を根付かせた」と言うのがブッシュ大統領の筋書きの様ですが、サクセスストーリは展開が難しいと言うのが定説ですし、社会背景が大分異なるのです。



岩波新書796 2002年8月発行

フセイン体制が終わりかと思ったことが過去二回あった。湾岸戦争と大統領娘婿が亡命した時がそれだが、二度とも生き延びた。
2001年9月の同時多発テロ事件で、深手を負ったアメリカが、ビン・ラーデンから次にはサダム・フセインに向いて行くだろうことは、容易に想像がついた。
果たしてこれが「三度目の正直」となるのか、「二度あることは三度ある」ことになるのか現時点では分からない。
だが、フセインの創り上げたものが「イスラム」と言う我々にとって「他者」の世界に独特なものでは決して無くて、冷戦構造や独裁国家や国によるこの管理と言った、我々の慣れ親しんだ「西欧文化のなれの果て」から出現したものだ。「フセイン的なるもの」の持つ危険は、「彼等」の問題でなく、常に「我々の社会」に内包された問題として考えて行くべきでは無いだろうか?

中東はアメリカの国際外交にとって最重要地域で、米国石油メジャーの権益が確保されている最大の産油国サウジアラビアを守ることが至上命題であった。イラン革命以前では、イスラエルとシャー時代のイランと言う強力な「代理人」の存在に安心し、米ソ二極構造の中で解釈し処理出来たのである。
イラクについては、アメリカは1970年代迄「親ソ」と敵陣営に追いやって来たにも拘わらず、「反米イラン」封じ込めの為に、イラクを「親米」の枠組に取り込み、その枠内に取り込み対処し軍事大国化させてしまった。
軍人では無いサダム・フセインは、親族支配・政敵の放逐によって独裁体制を確立後、こうした「二極対立」を日常生活のあまねく場所に密告制度と共に蔓延させ、社会の対立を操作することで、絶対的な支配を継続させて来たと言えよう。この「二極対立構図」が如何に易々と世界に浸透するかは「9.11事件」以後、即座に「文明の衝突」と言う単純な図式に基づく世界認識が蔓延してきたことを見ても良く分かる。アメリカはカウボーイ型の「正義か悪か」の選択を突きつけるが、フセインのやってきたことも又同じ「二極対立」構図をそのまま鏡に映したものに過ぎない。
又、フセイン政権に自力で抗する能力を持たない微少な反体制派達は、フセインとアメリカと言う「二つの力」が対立し合う二極構造を利用することでしか、自らの目的を実現することは出来ないと考え方も、「イラク対アメリカ」の対立図式の中で、呼び覚まされているとも言えよう。
しかし、問題は、こうした意識構造から如何に抜け出すかと言うことで、フセイン個人の存在にあるのでは無い、寧ろ大きな「恐怖を生む二極対立」でしか自己表現していく方法から抜け出し、フセイン自身を生み出した「フセイン的なるもの」を如何に乗り越えることこそが、将来の最大の課題だろう。


熱くなって一国主義に陥ったアメリカを国際協調路線に引き戻し、国連の枠組みの中でアラブ世界の意向を最大限に取り入れて国際社会の納得出来る戦後復興が構築されるのを祈って止みません。
アメリカは軍事力では圧倒的ですが、経済的には1960年代の6%の人口が世界の60%生産を行っている優位性は既に持っておらず、他の先進諸国との協調が不可欠となっていることを冷静に見つめて欲しいと思っています。





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Last updated  2005.07.12 15:06:32
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maki5417 @ Re:ユネスコの世界遺産に登録されているシャルトル大聖堂(06/05) 電車で十分日帰り可能ですが、残念でした…
カーク船長4761 @ Re[1]:6月オスロ・フィヨルドで白夜体験(06/01) オジン0523さんへ 26年前に修正致します!
オジン0523 @ Re:6月オスロ・フィヨルドで白夜体験(06/01) 私も2011年7月に男二人で北欧の旅を楽しみ…
カーク船長4761 @ Re[1]:クレジットカード情報の漏洩(05/30) maki5417さんへ 不甲斐無いのですが、末尾…
七詩 @ Re:クレジットカード情報の漏洩(05/30) 毎日のようにそういうメールが来ます。と…

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