海外旅行紀行・戯言日記

< 新しい記事

新着記事一覧(全6518件)

過去の記事 >

2021.08.05

五木寛之の捨てない生活に学ぶ

テーマ：徒然日記(22871)

カテゴリ： Opinion

今日のランチは、八王子市「京王堀之内」駅前にある喫茶店「友愛」に行って、ピラフと珈琲セットを「少なめに！」と注文しました。齢を取るに従って、食が細くなって、一ん前では多すぎるのです！

其処での食事中、週刊誌を読んでいましたら、五木寛之の「生き抜くヒント」と言う記事があって「捨てない生活」と言う記事が掲載され、コロナの外出自粛が強いるデジタル生活と、それに対するささやかな抵抗を記しているのが眼に止りました。

我が家も、家内が亡くなって12年が経過、衣服や装身具類は形見分けで受け取って頂いたのですが、化粧品類は貰われもしないのでそのまま、家電や調理器具も買い替えもせずに使い続けています。
特に、ガスレンジは今風の安全装置も無く、薬缶でお湯を沸かす際にそのままにして、薬缶を2個程駄目にしてしまいましたが、湧くまで其処に居て監視すると言う生活態度に替えて未だに使っています。
使わなくなった対流式のAladdinの石油ストーブはテーブル下に保管、軽油の少し残ったポリタンクは北側ベランダの日陰に保管したままで、場所があれば捨てる必要も無かろうと断捨離とは程遠い生活となっています。

「私が50年来の深夜生活を朝型に切り替えたのは、偶然ではない。私はコロナ到来と共に、世界が夜型から朝型へと転換することを体で予感していたのだ。世界大戦以後、パリも、ロンドンも、常に夜に花開く街であった。不要不急の人々が夜の街にあふれた。それが今はゴーストタウンである。」
「コロナは人々を、とりわけ高齢者を家に封じ込め、スマホやパソコン無しには夜も日も明けないは大仰としても、不便を強いる日常である。若い人ならアマゾンでとなるのだが、こちらは本を手にとって頁をめくってからレジに持っていく旧世代である」

「生きていくつもりなら、時代に適応しなければならない。デジタルの時代にはデジタルな人生観が必要だが、時には反時代的な生き方を選ぶのも、適応の一つの方式なのである。私はそれを『背進』と呼んでいる」

背進の例として、五木さんは所謂〈断捨離〉や〈簡素な生活〉への違和感を挙げる。

「人間の文化とは、何千年の記憶の集積の上に成り立っている。謂わばゴミの山に埋もれて今の時代があるので、モノを捨てた処で、私たちは無一物の姿にもどれるのだろうか？」とし、そもそも所有ということが無意味だと言う。
「過去の記憶もそうだ。私は自分が育った昭和という時代の記憶を忘れたくない。決してガラクタを捨てまいと、ひそかに心に誓っているのである」
五木さんはスマホではなく、「通話機」としてガラケーを持つそうだが、外出時には携帯せず、普段は電源も切っているという昭和の人。辞書は電子版ではなく分厚い活字版で、パソコンも使わず、原稿はコクヨの四百字詰めに万年筆で書く。
「ゴミの山に埋もれて今の時代がある」、文化は不要不急から始まり、ゴミのような記憶の堆積として熟成される、という筆者の思いかも知れない。コロナは人の営みを制約し、社会を窮屈にした。

お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう