[Stockholm syndrome]...be no-w-here

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2020.12.27
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カテゴリ: 宝塚
ずん、誕生日おめでとおぉぉおおうッ!!
☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆


「スパシーバ、同志よ!!」 (とは言ってない…笑)



全編通して出て来る割には、彼の言動からは主たる目的がほとんど感じられない。
皇太后マリアの報奨金話に乗って、ディミトリとアーニャを盛り立てて一緒にパリまでは行くが、アーニャが本物のアナスタシアかどうかを気にする素振りも見せなければ、報奨金に固執している様子も無い。
ただ、その時々で自分のやるべき事を全力でやるだけ。
そして、役目が終わると、驚く程あっさりと舞台から退場してしまう。

しかし、この【アナスタシア】の物語は、ヴラド無くしては成立しない。
上流階級でありながら貧しい平民のディミトリと行動を共にし、記憶喪失のアーニャに貴族の素養を身につけさせ、皇太后マリアに取り入ってくれる知人がいて、それでいて脇役扱い…(笑)。
物語を展開させる上で埋めなければならない穴を全て完璧に補ってくれる、最高に都合の良いキャラクター。
それがヴラドなのだ。

それにしても、あまりに都合も段取りも良過ぎる。
そして、ある瞬間、ふと思った。

「あれ…、これって実は全部ヴラドなんじゃないか?」

例えば、第2幕でヴラドとリリーが再会する場面。
リリーは「かつてヴラドがダイヤを盗んだ」と言っているが、その詳細は明らかにされていない。
では、もしこのダイヤが、アーニャの下着に縫い付けられていたものと同じだとしたら…。
アナスタシアを王宮から助け出し、ボリシェヴィキの追跡が及ばない遠く離れた街まで運んだ(運ばせた)のは、実はヴラド・ポポフ…、と推察する事もできてしまうのだ。
(そもそも、落ちぶれ貴族である彼は、何故ボリシェヴィキに追われていたのか…?)

そうなると、ヴラドにとって、アーニャとの出会い(=予期せぬアナスタシアとの再会)、そして彼女を皇太后マリアに会わせるという計画は、ディミトリとは全く別の意味を持つ事になる。
確かに、ユスポフ宮殿の場面で、アーニャを追い返そうとしたディミトリを宥(なだ)め、彼女に食事を与え、話を聞こうと促すのは全てヴラドだ。
(この時だけは珍しくヴラドが主導権を握り、ディミトリに指図している)
パリへ向かう列車が止められた場面でも、誰よりも危険を感じ、状況を確認しに行くのは彼だ。

僕は、先の感想でヴラドの事を「木を見て森を見ずの一点集中型」と評したが、実は彼こそ初めから全てを理解していた人物なのではないかという気がして来た。
だからこそ、その時々で自分がすべき事に集中できたのではないか。

このように、彼だけが最後まで「アーニャが本物のアナスタシアかどうか?」という疑問を口にしなかったのも、気にしていなかったからではなく、寧ろ最初から彼女がアナスタシアであると確信した上で行動していたから、と考えれば辻褄が合う。
「この計画が成功したら、二度とアーニャに会えなくなるけど良いのか…?」という台詞も、真実を知っているからこそのディミトリへの気遣いだとすれば、色合いが変わる。

そして、第2幕『第12場 ホテルの控え室』で、ヴラドが去り際に言う台詞。

「ありがとうございました」

最初の観劇の時も2回目も、この言葉の響きが何となく不思議だった。
「ごめんなさい」でも「さようなら」でもない、「ありがとう」。
ヴラドが本当に金銭目当てで女性達を騙しているだけの男だとしたら、この状況でこの言葉は不釣り合いな気がするのだ。
(報奨金の話も、結局彼は一度も口にしないまま立ち去っている)

しかし、これが皇太后マリアがアーニャを受け入れてくれた事に対する素直な謝辞だと考えれば、すんなりと納得が行く。
かなり早い段階で、ヴラドの中にアーニャがアナスタシアだという確信はあったにせよ、本人が記憶を取り戻さない限り、それを証明できるものは何も無い。
自分のような男が何を言っても信じてはもらえないだろうし、逆に疑いを深めるだけだ。
最後は、やはり皇太后の判断に委ねるしかない。

彼らの中で唯一、真実を知る人間だからこそ出た言葉が、「ありがとう」だったのではないか。
(アーニャと皇太后の面会中、居たたまれずウォッカを飲みに走った気持ちもよく分かる…笑)



そんなヴラドの気苦労を知ってか知らずか、リリーだけは彼を庇う発言をしている。
彼女だけは彼の本心を見抜き、その上で受け止め、愛してくれる女性なのだ。
実は、この「見抜いてくれる」というリリーの聡明さが、ヴラドにある種の安心感と信頼感を与えている。

これに関しては、皇太后マリアも「素顔の自分でいられるのは、貴女の前でだけです」と言っており、リリーとはそうした彼らの胸の内を言わずとも察する事ができる女性なのだろう。
そして、それを受け止められる度量の持ち主でもある。

確かに、再会した時もリリーは「何か企んでるでしょ?」と、ヴラドの下心を見抜いてはいる。
しかし、それと同時に、リリーなら「わざわざパリまで会いに来る程だから、それ相応の理由があるに違いない」という所まで頭を働かせてくれるはずだ、という信頼感がヴラドの側にもある。
(実際、彼女もアーニャと直接会った瞬間に、ヴラドの真意を理解した)
そういう女性でなければ、彼は駄目なのだ。

恐らくだが、ヴラドは自分を含めた貴族という身分を恥じていた、或いはそれに馴染めなかった人のように思う。
自分の事を「偽者」だの「ただの男」と言ったり、リリーがせっかく記者団に「ポポフ伯爵」と紹介してくれたのを茶化したりするのは、貴族として見られたくないという心理の現れだろう。

少なくとも、ネヴァクラブの連中のように、上流階級を鼻に掛けるような男ではない。
そうでなければ、いくら助けてもらったとは言え、階級社会の常識から考えて、身分も違えば年齢的にも随分と若いディミトリに対して、あんなに対等な接し方はしない(させない)だろう。
(実際、ネヴァクラブを訪れたグレブは、セルゲイに冷たくあしらわれている)
そうした社交界の鼻持ちならない連中と接する中で、彼が身に付けた処世術が、あの軽薄なキャラクターだったのではないだろうか。

しかし、リリーの前では、そんな自分の軽口も、彼女への真実の愛も全て丸裸にされる。
彼女が虚実を見抜いてくれるから、自分はいつも安心してお調子者のヴラドでいられる。
ただの男でいられる。
だからこそ、ヴラドにとってリリーは理想の女性なのだ。



と、ここまで長々としたり顔で語って来たが、きっと間違ってるんだろうな…(笑)。
ただ、そう解釈できない訳ではないので、可能性の一つとして語ってみた。

のぅ、稲葉太地先生よ。
ワシの可愛いずんのために、宝塚版だけそういう格好良い裏設定にしてくれんかのぅ?
ずんは、ワシの朝日ソーラーじゃけん!!
(何故か、菅原文太になっちゃった…笑)





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Last updated  2021.08.06 21:44:30


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