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街路樹の葉がめったに赤くならないこの街でも、
黄色に色づいた葉が、枯れて茶色に変わりつつあります。
今年は降り続く秋雨がなかったせいか、
この街の冬の訪れが遅いように、感じられます。
私が育った町ではきっと、カラスウリと柿が、淋しげな去りゆく秋に
最後の最後まで彩(いろどり)を添えようとしているかもしれません。
お元気でいらっしゃいましたか。
あなたからのお手紙、拝見いたしました。
それでわかったのですが・・・
このお手紙の前にも、
もう一通あなたからいただいていたのですね。
こんなに長い期間、まったく気がつかずにいた私を
どうぞ、どうぞお許しくださいませ。
あなたのお手紙は、希望という明日の輝きに溢れていました。
過去も、未来も考える余裕もなく、
一瞬、一瞬に対応するのも
泣いたり、笑ったり、怒ったり、オロオロして過ごしている、
頼りない私を、力づけようとしてくださったのですね。
そしてもう一通のお手紙は、
他の人にはなんともない、大したこともない道程を、
不器用に、不注意に、よろよろ危なっかしく、歩いている私を、
後ろから背中を押し、前から腕を差し伸べ、
なんとか私を前進させようという、温かい思いでいっぱいでした。
我侭で、ぶっきらぼうで、無頓着なわたし。
土砂降りの暴風雨であっても、雨など気のせいなんだから、と
傘も持たずに出かけていくようなわたしを、
あなたは百もご承知で、遠くから優しくみまもってくださったのですね。
わたしは時々、どうしょうもなく ふるさと が恋しくなります。
ふるさと に抱かれたくて、抱かれたくて、
身もこゝろも ふるさとに向かって熱い血潮が波打つのです。
そしてあとから、あとから頬を伝う涙を、どうすることもできないのです。
今年ももう、残りひと月半となりました。
気がつくと、ひとつの季節が過ぎ去っていて、
新しい次の季節の足音が、すぐ近くまで来ています。
この一年、自分は一体何をして、どのように過ごしていたのか?
っと思わないこともないのですが、
敢えてそうしないことにします。
あなたに感謝いたしております。
あなたの言葉はわたしに、明日と希望を感じさせてくれました。
これから益々寒くなります。
どうぞどうぞ、お身体ご自愛くださいませ。
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