うたのおけいこ 短歌の領分

うたのおけいこ 短歌の領分

2024.02.03
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カテゴリ: 百人一首
小倉百人一首  六十

小式部内侍(こしきぶのないし)

大江山 おほえやま
        まだふみもみず天の橋立


金葉和歌集 550

(両親が赴任している丹後の国へと)
大江山を通って行く生野の道は遠いので
母の文も見ておらず
まだ踏んでみたこともない天の橋立です。


天才的な歌人だった和泉式部(五十六番作者)の一人娘で、本人も幼少の頃から一頭地を抜く歌才を発揮したが、案の定というべきか、口さがない人々がささやく「母親による代作疑惑」も絶えなかった。
ある公の歌会の席でそのことをからかった藤原定頼に、待ってましたとばかりに作者が当意即妙に応えてみせたという秀歌。
この場合、定頼が意地悪だという解釈もあろうが、たぶんそうした世評を重々承知の上で(今のお笑い芸人の手法でいう)「いじった・振った・つっこんだ」類いではないかと思う。当時の貴族社会には、そんな洒脱な雰囲気があったように想像する。言ってみれば「大喜利和歌」か。

大江山 おほえやま :丹波国(現・京都府北部)桑田郡の山。有名な丹後の大江山とは別。

いく野:丹波国天田郡(現・京都府福知山市)生野。「行く野」と掛けている。

(まだ)ふみもみず:(天の橋立の地を)「踏んでみたこともない」と、(下向している母からの)「文(ふみ、手紙・和歌)も見ていない」を掛けている。また、「踏む」は「橋」の縁語。





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最終更新日  2024.02.03 01:25:48
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