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この本は名著として知られる、同じ作者による バフェットの法則
の姉妹編として書かれた物です。前作はバフェットの銘柄選択法を分かりやすく解説して世界的なベストセラーとなり現在も改訂版が出続けていますが、この続編はバフェットが集中投資によって成功したことに注目して、 フォーカス投資の必要性とその優位性の解説に的を絞った極めて実践的な1冊 となっています。
何故か前作に較べて著しく評価の低い本なのですが、私自身にとっては現在の投資手法を作り上げる過程において極めて大きな影響を受けた最高の本です。というのは 最初にフォーカス投資の必要性をはっきりと認識したのがこの本を読んだときだった からです。またいわゆるバフェット本を少なくとも10冊以上は読んだ2015年現在の視点から新たに捉え直しても、やはりこの本がバフェット本の中ではベストの1冊であるとも考えています。
ちなみにもう少しこの本を概観すると、前半は神レベルで素晴らしいのですが、後半が引用が多くてクオリティが下がってちょっとダレます。なのでトータルでのこの本の評価が今一歩なのは分からなくはないのですが、それにしても フォーカス投資の優位性と必要性を解き明かした前半部分が実に素晴らしく、そこを評価してトップ20入り としました。これからもこの 株式投資本オールタイムベストシリーズは「加点法」 で書いていきます。つまり 一部に大きな欠点があってもそれをはるかに上回る魅力があれば上位に選出 して行く予定です。
今日はまず バフェット流のフォーカス投資のポイント から見て行きましょう。
高い確率で過去の好成績が将来も持続すると信じる少数(10~15銘柄)の傑出した企業を選別 する。
そしてその中でも 最も高い勝率のものに最大の賭け を行う。
事態が悪化しない限りその ポートフォリオを極力長期で持ち続ける。
私はPF上位15銘柄で時価総額全体の最低50%以上とすること、また特にPF最上位銘柄にはドンと大きく張る事を自らの大切な投資ルールとしているのですが、実は全てが直接的にこの本から学んだことです。
そしてこのフォーカス投資の考え方の中で最大の肝となるのは、
高い確率に大きく賭ける
ということです。具体的には、
ケリーの公式 2P-1=x
勝つ確率(P)の2倍マイナス1は賭けるべき掛け金の比率(x)に等しい という ケリーの公式 にしたがって戦う のが大切です。勝率が70%ならば0.7×2ー1=0.4で掛け金の40%を賭ける、もしも勝率100%ならば1.0×2-1=1.0で掛け金の100%を賭けるということです。
もちろん実際のポートフォリオの運用においてそのままケリーの公式を単純に当てはめることは出来ませんが、間違いなくバフェットはこのケリーの公式を用いて運用しています。例えば1989年から1997年の間、コカ・コーラがバフェットのポートフォリオ全体に占めるポジションは何と34.8~43.0%だったわけですが、これはバフェットがコカ・コーラでの勝率を限りなく100%に近いものと考えていた、そしてケリーの公式から割り出される正しい掛け金の約半分を投入した、ということでしょう。
そして私自身もその銘柄に対して100%に近い確信がある時には、ケリーの公式を半分にして最大でPF全体の50%近くの金額を突っ込んでこれまで勝負をして来ました。最近はもう少しマイルドな布陣で戦うことが多いですが、それでも当然 自分自身が考える勝負銘柄への確信度に応じて常にその比率は柔軟かつ迅速に調節する ようにしています。
ちなみにバフェットは、 効率的市場仮説については、「この理論の主唱者たちは、理論に合致しない証拠には関心がないように見える。」と実に控えめな表現を持って否定 しています。ま、いずれにせよ、バフェット自身の過去の戦績がその理論が明白に間違っていることを何よりも雄弁に語っていますね。
(続く)
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