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さて今日は株式投資本オールタイムベスト142位 わが子と考えるオンリーワン投資法(ジョン・モールディン著、パンローリング、2006年) の第3弾です。 今日も、本書中でベストの出来である第1章 霧の中の道標 から。正直に言って、この章を読むためだけでも本を買う価値があると思います。著者が気軽に山登りに出かけ、危うく遭難しかけた話と投資の教訓を結び付けた印象的な小話です。 白日の下で金儲けはできない 株価に織り込まれれる材料は毎日変わり、その企業の価値も常に変化している。 そういえばしばらく前に 9404日本テレビHD が、日本の宝「スタジオジブリ」を子会社化するというニュースがありました。この時に、「ジブリのIP(知的財産権)価値と今後生み出されるシナジーを考えれば、日テレは爆上げして当然だ。!」という意見と、「ジブリ子会社化による日テレへの実際の利益貢献は僅かだ。上がるのはおかしい。」という意見が対立して株価は激しく動きました。 でもこれこそが「マーケットの本質」なのです。「激しい意見の対立があるところにこそ、利益が潜んでいる。」 ものなんですね。 霧のなかの投資 霧のなかの投資とは逆張り投資のことではない。それはほかの人よりも一歩先を見ることである。 霧のなかの投資とは、ほかの人が見えないものを見ることである。多くの人が霧に包まれればパニック状態になるかもしれないが、霧のなかの投資家はそうしたときでも平静さを保ち、想像力を駆使して将来を見据え、遠くのおぼろげなものが現実になったかのように投資するのである。割安な値段で投資したおぼろげなものが次第に現実になれば、あなたは大儲けできる。もはやあなたは霧のなかにいるのではなく、そのときにはすべてが白日の下にさらされる。 いやあ、いい表現ですね。投資の本質を突いていると思います。「他の人と同じものを見て、異なる角度から違う事を考える。」のが大切なんですね。(続く)
Apr 24, 2024
さて今日は株式投資本オールタイムベスト142位 わが子と考えるオンリーワン投資法(ジョン・モールディン著、パンローリング、2006年) の第2弾です。 今日は、本書中でベストの出来である第1章 霧の中の道標 から。正直に言って、この章を読むためだけでも本を買う価値があると思います。著者が気軽に山登りに出かけ、危うく遭難しかけた話と投資の教訓を結び付けた印象的な小話です。 霧のなかの投資 投資は本当に難しい。それは心労が絶えず、心は不安定になり、屈辱的な思いも数え切れず、本当に激変する悪天候にさらされたようなものである。 「投資はメンタルゲームだ。」と言うのは良く言われることですが、20年以上やってきて私も本当にそう思います。投資手法が自分自身の性格と能力にジャストフィットしていること、そしてそれによって常にメンタルが明鏡止水の如く安定していれば、ほとんどの投資家は長期で見ればベンチマークとなるインデックスに勝てると思います。 ただ、気まぐれで時に意地悪で邪悪でもあるマーケットはそれを安易には許さないトリッキーさに満ちた所です。だから私たちはそういう戦場で戦うための武器を手に入れなくてはなりません。具体的には「相場心理学」を学ぶことが必須です。 ジャック・D・シュワッガーによる「マーケットの魔術師シリーズ全作」、マーク・ダグラスの「ゾーン」や「ゾーン最終章」、世界ナンバーワントレーディングコーチだった精神科医アリ・キエフの「トレーダーの心理学」や「リスクの心理学」、同じく精神科医で伝説のトレーダー ラリー・ウィリアムズ の息子でもあるジェイソン・ウィリアムズの「トレーダーのメンタルエッジ」、これまた精神分析医であるアレキサンダー・エルダーの「ザ・トレーディング」や「利食いと損切りのテクニック」、マーケットの魔術師の1人であるトム・バッソの「禅トレード」、同じくマーケットウィザードの1人であるマーク・ミネルヴィニの「勝者になるための思考法」、プロフェッショナルポーカープレイヤー&作家であるイアン・テイラー&マシュー・ヒルガーによる「賭けの考え方」、メンタルゲームのトップクラスコーチであるジャレット・テンドラー&ポーカープレイヤーのバリー・カーターによる神本「ザメンタルゲーム」、「ザメンタルゲーム2」、テンドラー単著の「トレーダーのための感情理論」あたりは投資家なら読んでいて当然の必読本ですし、そういう最低限の努力をせずに「自分はメンタルが弱いので勝てない。」などと言うのは、ただ単に準備不足で戦う用意が出来ていないだけです。 今日はここで改めて投資家が学ぶべき「相場心理学」の名著を具体的に復習しておきましょう。中級以上の投資家になることを目指すのであれば、このくらいは最低でも読破する必要があると思います。↓ すいません、のっけから興奮しすぎてしまいました。それだけこの第1章には心を揺さぶるインパクトがあったという事ですね。(続く)
Apr 18, 2024
さて今日は本当に久方ぶり、多分2カ月ぶりくらいにはなる株式投資本オールタイムベストシリーズの新作です。第142位は、 わが子と考えるオンリーワン投資法(ジョン・モールディン編、パンローリング、2006年) です。 訳者まえがき 本書は国際レベルで活躍するプロたちが、「自分の子供たちにぜひとも伝えておきたい大切な投資の知恵」をひとつだけに絞ってまとめたものである。しかし、ここで語られる彼らのオンリーワンの投資術は実に多岐にわたっている。 序文 「ひとつだけ、そうあなたが子供たちに伝えたい大切な投資の知恵をひとつだけ語ってください」。私は彼らにそう言って各章の執筆をお願いした。 ひとつの知恵とはいってもそこには特に決まった形式もないので、各章の長さやテーマは執筆者の自由裁量に任せた。各章は平均的な一般投資家でも十分に理解できる内容となっている。 そう、このモールディン編によるゴキゲンな一冊は、世界トップレベルの投資家10人が「我が子にどうしても伝えたい」投資の秘訣がズラッと並んでいるものです。 正直に言うと内容には結構出来不出来の差が大きくて「平凡でイマイチだな。道徳の教科書かよ。」と感じる章もあるのですが、共通しているのは10人全員の「熱量が高くて文章がアツい。」ことです。「我が子への一子相伝の最期のダイイングメッセージ」的なホットさに溢れていて、そこがこの本の魅力なんですね。そして同時に、「我が子に伝える」というコンセプトの1冊なので、どの章も文章が平易で読みやすいのも特徴です。 読み終えた時に最初に感じたのは、現代最高峰のバリュー投資家、ジョエル・グリーンブラット が「自分の子供達に自力でお金を稼ぐ方法を教えたい。」という目的で書いた本として知られる名著 株デビューする前に知っておきべき「魔法の公式」 (ジョエル・グリーンブラット著、パンローリング、2006年) にどこか似た小粋な一冊だな、ということでした。 そしてすぐに本棚から引っ張り出してきて2冊を並べて観察してみると、私は面白いことに気付きました。それは、グリーンブラット本がウィザードブックスシリーズのvol.105で、今回のモールディン本がvol.106と連番だったことです。なんだか表紙のテイストも似ています。というか、両方に登場しているおじさん、髪型が違うだけの同一人物の様な気すらします。(笑) もしかすると、当時のパンローリング社に「分かりやすい、初心者向きの本を紹介しよう。」という機運があったのかな?とちょっと思いました。私も数冊書いているので良く分かるのですが、投資本と言うのは気を抜くとどんどん複雑怪奇でお化け屋敷みたいな内容になりがちで、「本質をシンプルかつ的確に表現する」事には値千金の価値があります。 その意味で、このモールディン本は素晴らしい1冊と思います。特に、第1章、2章、6章、7章が出来が良いです。それでは次回からはこの本のベストオブベストのところだけをサクッと見て参りましょう。(続く)
Apr 14, 2024
さて今日は株式投資本オールタイムベスト141位逆張り投資家サム・ゼル (サム・ゼル著、パンローリング社、2018年) の最終回第4弾です。 講演では、毎回必ず「あなたはたくさんのことを成し遂げてきましたが、今日ではチャンスが明らかに減っています。私ができることはありますか」などと聞いてくる学生がいる。チャンスはいつでもあるというのが私の答えだ。。。必ずある。 私は毎日毎日市場で「チャンスのかけら」を探し求めて場末の野良猫の様に彷徨いながら ぶらぶら歩いている わけですが、1年間を通してみると「必ず何度かの大きなチャンス」を見つけることができます。良くあるのは、1. 2~5年の中長期視点で見ると会社の成長力やファンダメンタルズに全く問題が無いのにも関わらず、たまたま直近の四半期決算が悪かったために、ド近眼で目の前の未来しかみていない 「ビン底メガネ野郎」 揃いのマーケットで叩き売られて非常に割安になっている銘柄を見つけた。(≒バリュー投資)2. 1とは逆に、発表された決算内容が極めて良かったのにも関わらず、株価の反応が限定的でありマーケットが明らかに過小評価した銘柄を見つけた。(≒モメンタム投資)3. S級・超A級投資家のブログやツイッターで言及された個別銘柄や、四季報の大株主検索で出てきて興味を惹かれた所を深堀りして調べて、「おっ、これはイケる。」と確信できる銘柄を発見した。(≒パクリュー投資)4. 個別企業精査の深堀、また疑問があった際の各企業IRへの質問などの日々のルーティーン作業を繰り返していると、年に数回は「おっ、これは絶対にいける。」という極上の新鮮な情報や考え方に辿り着くことがある。「北斗百裂拳」で偶然に純金が手に入ることがある。(≒ホワイトエッジ投資。→非合法のインサイダー情報、いわゆる 「ブラックエッジ」 とは異なり、合法の範囲内だが非常に鮮度の高い情報による投資。) あたりです。 そして今まで市場で23年間戦ってきた上で、ビッグチャンスを見つけられなかった年は1度もない です。つまり、ゼルの言う通り、 チャンスは必ずある んですね。 さてこれでこの本の紹介は終わりです。読み物としても楽しいですし、とても勇気の湧く本でもあります。未読の方は是非。(終わり)
Feb 10, 2024
さて今日は株式投資本オールタイムベスト141位逆張り投資家サム・ゼル (サム・ゼル著、パンローリング社、2018年) の第3弾です。 私は無鉄砲な人間ではないが、平均以上のリターンを上げ続けるためには、人生でも投資でもリスクをとることが唯一の方法だと思っている。 私が取引を検討するときは、まずリスク計算から入る。。。もしすべてがうまくいかなかったときにはどのような結果になるのか、そのときは何をすればよいのか、そのコストに耐えられるか、生き残ることができるのかーといったことである。 私が優待バリュー投資を専門にして戦い続けているのも、それが何よりも「負けにくい」やり方だから です。 そして仮に負けた場合でも、「優待エアバッグ」が作動してダメージを大きく軽減してくれるから なんですね。 株式投資では華々しく勝つことも大切ですが、それ以上に大きく負けないことの方が遥かに重要 です。そしてそこに力点を置いて戦ってきたからこそ、私は地獄の日本株市場でこの23年間を元気に生き抜くことができたんですね。(続く)
Feb 3, 2024
さて今日は株式投資本オールタイムベスト141位逆張り投資家サム・ゼル (サム・ゼル著、パンローリング社、2018年) の第2弾です。 ビジネスの基本は単純さ。。。大事なことはリスク。。。 必ずとったリスクに見合う報酬があること、自分の限界を超えるリスクをとらないことと、失うことができないものをリスクにさらさないこと。 とにかく単純に徹することだ。4段階のシナリオは、1段階のシナリオよりも失敗する可能性が3回分高いのである。 私も株式投資に際しては、極力単純に取り組むようにしています。具体的には業務内容がシンプルで分かりやすく、かつ一石二鳥で 小型株効果 を見込める、時価総額の小さい小型株・超小型株に限りなく特化して戦うようにしています。 大きなタイミングを生むのはタイミングと実行力だ。 私は、世界中の出来事や経済ニュースや会話など、どこでもチャンスの種を見つけることができる。 私も「これは大チャンスだ。」と感じた時には、集中して徹底的に調べ、「よしいける。」となった時には、短期間に大量の資金を投入して勝負に出ます。同じチャンスにはほぼ同時に複数の投資家が気付くものですし、行動の早さがそのパフォーマンスを決定づけることがよくあるからです。(続く)
Jan 21, 2024
さて今日は株式投資本オールタイムベストです。第141位は、 逆張り投資家サム・ゼル (サム・ゼル著、パンローリング社、2018年) です。 本書は、1968年に自らが設立した投資会社のエクイティ・グループ・インベストメント会長で、ニューヨーク証券取引所の上場会社5社の会長でもあった、起業家かつ投資家のサム・ゼルの自伝です。ゼルは逆張り思考の強い人間であり、同じく逆張り好きの私にとっては、非常に共感できる、そして同時に勇気付けられる素敵な一冊です。 サム・ゼル氏は残念ながら昨年2023年に81歳で亡くなられました。この書評を彼に捧げたいと思います。(上記データはBloomberg2023年5月19日配信の記事より引用) 今日はまず長尾慎太郎氏による監修者まえがきを見ておきましょう。 これは単に不動産投資で財を得た人物の成功譚ではなく、リスクと言うものをどのように扱うべきか、そしてそのためには人や組織にどういった「文化」が必要なのかということに関する啓蒙書なのである。 著者にとっては、リスクを取らないことはせっかく自分に与えられたチャンスを無駄にし、さらには潜在的により大きなリスクをとっていることにほかならないのである。 ゼルはユダヤ人であり、彼の両親は第2次世界大戦時に日本人外交官であった杉原千畝の発行したビザによって命を救われたスギハラサバイバーであった。ポーランドで穀物商をしていたゼルの父親はナチスの危険性をいち早く見抜き、事前に周到な準備をしたうえでギリギリのタイミングで家族と共にポーランドを脱出した。。。父親の冷静な判断と果敢な行動がゼルの一家を救ったのだ。 一方で、常識や先入観にとらわれてリスクをとらなかった多数派の人々は生き残ることができなかった。文字通りリスクの扱い方1つが生死を分けたのである。 私たちが戦う株式市場では、世間の一般常識や先入観に捕らわれた大衆・多数派は長い目で見るとほぼ負けます。市場で勝ち残るには「計算されたリスク」を取り、逆張り思考を持って臨むことが極めて大切です。 そしてこのゼルの自伝からは、多くの貴重な示唆を得ることができます。ゼルのリスクに対する考え方は極めてユニークですが同時に学ぶべきところが沢山あります。それでは次回からはこの本のベストオブベストの部分だけをコンパクトに見ていくことと致しましょう。(続く)
Jan 17, 2024
さて大変なご好評を戴いている 「株式投資本オールタイムベストシリーズ」 ですが、今日はその ベスト140 をまとめておきます。 さて私が投資家としての生を受けて20年以上が経ちました。今日紹介するのは、今までに数千時間以上をかけて読み倒してきた数百冊の投資本の中のまさに至高の「ベスト・オブ・ベスト」です。 今この日記を書いている机から14秒以内に手が届くところに全てがある、投資家として「全幅の信頼を寄せている」本たちです。私は資産を失っても、家を失っても、投資家として何度でもやり直せるという絶対の自信があります。でもその時にもしも、この子達が自らの傍にいなかったらそれはもう全然ダメです。つまり この記事は、私の投資家としての頭の中の全て ものの見方・考え方の全て ということです。 そして同時にこの記事は、私の投資家としての 「ある意味での集大成」 とも言える内容でもあります。このベスト140には私がどのような投資家であり、何を大切にしているのか、そしてどういうことを考えて毎日を戦っているのか、の全てが表出していると思っています。 全部読めば実力UP間違いなし、まさに「永久保存版」 絶対の自信を持って皆様に贈る渾身の日記となります。 前置きが長くなりました。 それでは早速始めましょう。 1~100位 101~105位 105~110位 111~115位 116~120位 121~125位 126~130位 131~135位 なお未読の方は「持てる筆力の全てを尽くした」完全燃焼の上記のベスト135を先に御覧下さい。。。136位 スノーボール(アリス・シュローダー著、日本経済新聞社、2009年) 「世界一の投資家」として知られるウォーレン・バフェットの「本人公認」の自伝です。バフェット本人が筆者を決定し、300時間以上ものインタビューに応じてすべてを語り、また家族・友人など250人以上の関係者への取材を認め、5年の月日をかけて書き上げられた大作ですね。1.総論2. 格好悪い方の話3. 褒める時は名指しし、批判するときは分野の不特定多数を批判する4. 人生デビュー時点から既に用心深い5. 数字が好き6. バリュー投資家の片りん7. シスターの指紋8. ディープバリュー投資家からクオリティ投資家へ9. テレビネットワークは本当にオワコンなのか?10. スノーボール137位 投資の科学 (マイケル・J・モーブッシン著、日経BP社、2007年) 著者のモーブッシンはファイナンス学会の俊英で、「ウォール街で最も影響力のある人物」の1人としても有名です。彼の豊富な知識と海よりも深い洞察力が余すところなく発揮された本著は、「控えめに言って超名著」太鼓判認定です。 この本は、数ページの短いエッセーが連作で繋がるように構成されており、非常に読みやすいのが特徴です。全部で30章から成っており、全く捨てページの無い驚異の密度となっています。1. 総論2. 株式市場は複雑系3. 優れた気質は常に高いIQに勝る4. 正の期待値を手に入れることが重要5. インデックスに勝つための4つの秘訣6. 上昇の確率は低いが期待値が魅力的7. 古い会社よりも新しい会社に賭けるべき8. DCF法は役に立たない9. モフモフエアバックだらけの優待バリュー株投資手法10. 株式市場は複雑系11. 株式市場ではべき乗法則が成り立っている138位 株式トレード 基本と原則 (マーク・ミネルヴィニ著、パンローリング社、2018年) この本は「マーケットの魔術師」マーク・ミネルヴィニによる2冊目の著作となります。1冊目のミネルヴィニの成長株投資法に較べると、株式投資でやってよいこととやってはいけないことを概念的に示した1冊になっています。1. 総論2. 目標を実現するか、死ぬまでやり続ける3. MVP指標4. ナンピンは間違いを増やす5. 決算プレイの是非6. 大きな成果を上げるための4つのカギ7. ドローダウンを抑えるための4つのカギ139位 ミネルヴィニの勝者になるための思考法(マーク・ミネルヴィニ著、パンローリング、2022年) ミネルヴィニは、名著 「成長株投資法」 や、それを軽く超えると個人的には考えている神本 「成長株投資の神」 などの著作で知られる、世界でも指折りの株式トレーダー&現代最高峰のモメンタム投資家の1人です。彼の著作には外れが無いですが、この本もいい出来です。1. 総論2. 脳は変われる3. RAS(網様体賦活系)を訓練することが大切4. 高いセルフイメージを持つことが大切5. 極度に集中することが大切6. 非現実的になろう140位 サイコロジー・オブ・マネー (モーガン・ハウセル著、ダイヤモンド社、2021年) いくつかの大きな欠点はありますが、それを打ち消す魅力のある素晴らしい1冊ですね。0. 「自分がアクティブ投資で勝てなかったからインデックス投資が最強」という謎理論1. 経済的成功のカギは「ソフトスキル」2. テールイベントの絶大な力3. 「恐怖効果」のパワフルさ4. 合理的>数理的5. 「知らない企業」より「好きな企業」への投資がリターンを生み理由6. 「夜、安心して眠れること」を優先する7. 他人に富を見せびらかさず、誠実に人と接しよう 以上、みきまるの優待バリュー株日誌特別編、株式投資本オールタイムベスト140のまとめでした。
Jan 7, 2024
さて今日は株式投資本オールタイムベスト140位サイコロジー・オブ・マネー (モーガン・ハウセル著、ダイヤモンド社、2021年) の最終回第7弾です。 今日も総まとめとなる第19章 お金の心理 から。 他人に富を見せびらかさず、誠実に人と接しよう どんな高級品を持っていても、あなたが思うほど他人を感動させたりはしない。高級な車や腕時計が欲しいと思っている人が本当に望んでいるのは、尊敬と称賛ではないだろうか。 だが、もしそれらが欲しいのであれば、馬力の大きなスポーツカーや派手なメッキの腕時計よりも、優しさや謙虚さのほうが効果的である。 クーーーーッ、滲みる。 あぁ、これは本当にその通りです。自分も気を付けます。(玉汗) ちなみのこのハウセルの言葉を読んで私は、クリス・キャッチャーの モデナトレード の話を思い出しました。 また同じクリス・キャッチャーの言葉からの引用ですが、 真のトレーダーであれば、単純に大化け株をつかんで「ゾーンにはまった」ときこそが、最も心穏やかになり、最高の満足感を得られる瞬間である はずだ。 つまり、成功するトレーダーになることの本当の意味とは、トレーダーとしての腕を磨くことで至福の喜びを感じること、それに尽きるのだ。 究極の目的はお金ではない ということである。 その裕福さを利用してできるだけシンプルな人生を送ってほしい。 これなんです。「究極の目的はお金ではない」んですね。 さてこれでこの本の紹介は終わりです。トータルで見ると非常に素晴らしい1冊ですね。未読の方は是非。(終わり)
Dec 12, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト140位サイコロジー・オブ・マネー (モーガン・ハウセル著、ダイヤモンド社、2021年) の第6弾です。 今日は総まとめとなる第19章 お金の心理 から。 「夜、安心して眠れること」を優先してお金の管理をすべし お金に関する考え方は人それぞれだ。重要なのは、「この方法で投資をすれば、私は安心して眠れるだろうか?」と自問することだ。それは、お金についてのあらゆる判断における最高の指針になる。 自分は マックス・ギュンター 直系の「リスクを恐れないコテコテアクティブ投資家」なので、大勝負で夜眠れない日があっても「これはワイがちゃんとリスクを取って戦えているという事だ。」と思うようにしています。 ただ最近はもう完全に初老期に入ってしまっていることもあり、少しでも元気で長生きする為に「夜、ギリギリで安眠できる」レベルのリスクを取るように気を付けています。ギュンター先生、ピヨってしまってすいません。(滝汗) 投資家として20年以上が経過してしみじみと思うのですが、「夜、安心して眠れること」は「1丁目1番地」で本当に大切なことなんですね。そこを自らが取れるリスクの限界値として捉えるのは、非常に理に適っていて合理的な考え方と改めて思っています。(続く)
Dec 9, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト140位サイコロジー・オブ・マネー (モーガン・ハウセル著、ダイヤモンド社、2021年) の第5弾です。 今日も、第11章 合理的>数理的 から。いやあ、この章も本当に素晴らしかったです。全投資家必読と思いますね。 「知らない企業」より「好きな企業」への投資がリターンを生む理由。 合理的な思考は、決して数理的な思考よりも劣っているわけではない。たとえば、「投資資産を好きになることが生む優位性」がその一つだ。 投資資産に思い入れを持たないことは、投資家にとって冷静で理性的であることの証明だと見なされ、名誉なことだとも思われている。 しかし、採用している戦略や保有している株式銘柄に思い入れがないと、困難に陥ったときに簡単に手を引きやすくなる。 合理的な投資家は、理詰めで考えれば欠点があるような戦略を好む。そのため、困難な状況でもその戦略を簡単には放り出さない。それが結果的に、長い目で見れば優位に立てるのである。 有望だが興味のない企業に投資をするとき、うまくいっているときはそれでいいかもしれない。しかし必ず潮目が変わるときが来る。そのときに、興味のない企業の株を持ち続けることで大切な資産が減っていけば、二重の辛さを味わうことになる。この辛さから逃げようとして、その企業への投資を止め、他の企業の株に切り替えることになるだろう。 よく知られている「ホームバイアス」も合理的思考の一種だ。人は地球上の他の国や地域の95%以上を無視して、自分が住んでいる国の企業に投資したがるというものだ。これは、計算上は最適な投資方法とは言えないだろう。 だが、投資とは実質的に、見知らぬ人にお金を託すことだと考えれば納得しやすい。同じ国の企業という親しみがあれば、思い切って見知らぬ人を支援する気持ちにもなりやすい。これこそ、合理的な考えだ。 いやあいいですね。 さて私はもう20年以上も自らが編み出した「優待バリュー株投資手法」を使って市場に対峙しているわけですが、この手法には「市場の公平性がうんちゃかんちゃ、、、」と昔も今も多くの批判があります。また「投資のプロ」である機関投資家がこのやり方を使う事は絶対にありません。 彼らはそもそも資金力が大き過ぎるので使う意味がないという事もありますが、それ以前に日本市場独自のものである「優待制度」を嘲笑し蔑んでいて、寧ろ「日本市場の後進性の象徴」として心底毛嫌いしているというのが実情です。 でも自分で作り出したやり方なので当たり前と言えば当たり前なのですが、私にとって「優待バリュー投資」は極めて合理的なやり方であり、実際過去20数年のトータルパフォーマンスでは対TOPIXで圧勝と言う結果となっています。また私に限らずいわゆる「優待族」と呼ばれる投資家たちは「市場で最も長命な種族」であることが経験則として知られてもいます。 「投資している銘柄がピンチに陥ったり全体マーケットが暴落しても、欲しい優待を貰うためにはテコでも動かず鬼ホールドする。」姿勢に、ハウセルの言う所の一定の合理性があるからだろうと考えています。(続く)
Dec 6, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト140位サイコロジー・オブ・マネー (モーガン・ハウセル著、ダイヤモンド社、2021年) の第4弾です。ここが最重要回ですね。 今日は、第11章 合理的>数理的 から。いやあ、この章は最高に素晴らしかったです。私はこれまで数百冊の投資本を読み倒してきましたが、「この視点と指摘は初めて見たな。」と感心しました。 人生は表計算シート上の数字だけでは表現できない。私たちはみな、一人ひとり個性や違いを持つ、複雑で感情的な人間なのだ。 「お金について判断するとき、数学的な計算だけにとらわれてはいけない」という事実は見落とされがちだ。私たちはもっと、たとえ計算上は一番得をする方法ではなくとも、自分が納得のいく「合理的思考」を尊重すべきなのだ。 合理的思考とは、現実的に考えることだ。合理的に考えると、投資を長く続けやすくなる。これは資産形成において極めて重要なことだ。 経済学者でさえ、数学的に正しい投資戦略を取れない 金融学では、計算上で最適な投資戦略を数理的に追及する。だが、人が現実世界で求めているのは、そうではない。人々が求めているのは、夜に安心してぐっすり眠れる、合理的な投資戦略だ。 リスクとリターンのトレードオフの関係を数学的に解明し、ノーベル賞を受賞した経済学者ハリー・マーコウィッツは、自らの資産をどのように運用しているのかと聞かれ、この数式モデルを開発した1950年代の自身のポートフォリオ配分をこう説明した。 私は、自分が株を持っていないときに株式市場が大きく値上がりした場合に感じるであろう後悔と、自分が株を持っているときに株式市場が大きく値下がりしたときに感じるであろう後悔について想像してみた。そこで、将来の後悔を最小限にするという意図でポートフォリオを組むことにした。結果として、債券と株式に半分ずつ投資している。 「将来の後悔を最小限にする」というのは計算できるものではない。そう、マーコウィッツは数理的にではなく、合理的に考えていたのだ。その後も彼は、この投資戦略を変更して分散投資を行うようになったという。 いやあ、この章のハウセルの指摘は素晴らしかった。目から鱗がボロボロと落ちました。 投資家はそれぞれ持っている能力や性格がバラバラなので各個人によって「ベストの投資戦略」はもちろん異なる訳ですが、それ以前に大きな前提として「夜に安心してぐっすり眠れるやり方」でなければならないというのは当たり前の事だし、同時にとても大切なことであると感じました。 我々は投資家である以前に「生身の野生動物」な訳で、毎晩毎晩その生存が脅かされるような眠りの浅い戦略を取ることは「無理オブ無理」ですからね。複利の魔法を使うどころか早死してしまいます。 ちなみに今回の記事を書いていて思い出したのですが、自分はしばらく前に、ゼロから学ぶモメンタム投資(アンドレアス・F・クレノー著、パンローリング、2022年)と言う本を読みました。 これは株式市場でモメンタム戦略を使ってどう勝つか?を、具体的なトレードルールを明示したうえで1999~2014年の15年間で実際にどのような結果になったかを検証した素晴らしい1冊です。ちなみにその結果はモメンタム戦略の年次リターンが12.3%(S&P500トータルリターンは5.2%)と抜群でした。 でも自分がこの本を読んでというか、読みながら感じたのは「株式市場でモメンタム戦略を使って継続的に利益を上げ続けるのは自分には100%不可能。何が無理って心理的な負荷・摩擦・コストが異常に高いやり方なので、とてもじゃないが継続できない。」ということでした。そして逆説的に、「あぁ、やっぱり自分の性格を考えると今使っているバリュー戦略以外にはほかに道はないんだ。」と心底納得することになったのでした。 そして「バイ&ニコニコ中長期ホールド」が大原則のおっとりまったりゆったりバリュー投資家である私からすると、「血の凍るようなホラーワード」がこのクレノー本には溢れていました。代表的なところを見てみましょう。感受性の強いHSP気質のバリュー投資家だったら読んだだけで失神すると思います。 「今回はモメンタム戦略は本当に苦しんだ。。。私たちは市場におよそ10%の遅れをとり、すべてを現金で持っている。これは思いのほかストレスがたまるものだ。」 、、、いや、こんな状況に陥ったら自分だったらストレスが貯まるどころではなく完全に発狂します。FOMO(「fear of missing out」の略語で、直訳すると「取り残されることへの恐れ」)で夜一睡もできなくなるだろうと思います。この1文だけで、「あぁ、自分には純粋なモメンタム戦略は使えない。無理オブ無理。」とはっきりと分かります。 私にとってモメンタム戦略はどれだけ数理的に正しくても合理的ではない という事です。 でもこのクレノーの本を読んで実際にモメンタム戦略を採用し、大きな成果を出せる投資家も世の中にはたくさんいるだろうと思います。凄まじいクオリティの1冊ですからね。結局、それぞれの投資家にとって合理的>数理的な方法は自分自身で見つけ出すしかないんですね。(続く)
Nov 19, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト140位サイコロジー・オブ・マネー (モーガン・ハウセル著、ダイヤモンド社、2021年) の第3弾です。 今日も第6章 テールイベントの絶大な力 から。 全体の1%以下の行動が、投資の成否を決める ナポレオンによる天才的な軍人の定義は、「周りの人間が正気を失っているときに、普通のことができる者」である。これは投資においても同じだ。 たいていの場合、投資において「今日」何をするかはそれほど重要ではない。投資家の長いキャリアのなかで、今日、明日、来週に下す決断は、大きな違いをもたらさない。違いをもたらすのは、周りの人がおかしなことをしているタイミングや、まれにしか訪れない期間ーおそらく全体の1%以下ーに下す決断なのだ。 パイロットの世界には、「この仕事は、膨大な退屈な時間のなかで、ごくまれに訪れる恐ろしい瞬間に対処すること」だという冗談がある。これは投資においても同じだ。投資家として成功するかどうかは、クルーズコントロール状態で悠々と過ごす時間ではなく、恐怖の瞬間にどう対応するかで決まる。 天才的な投資家の定義とは、「周りの人たちが我を忘れているときに、当たり前の行動を取れる人」なのだ。 はい、ここでハウセルが言っているのは、投資におけるいわゆる 「恐怖効果」 の大きさです。 バフェットが世界一の投資家になれたのも、彼が自らの恐怖の感情を自由自在に操ることが出来て、「市場が歪む」瞬間を逃すことが無かったから です。 ただ私を含め、 99.9%の凡人投資家にとっては自らの恐怖の感情を乗り越えて冷静沈着に投資行動をとることは至難の業 です。でも、だからこそ、「恐怖効果」が無くなることはない んですね。(続く)
Nov 15, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト140位サイコロジー・オブ・マネー (モーガン・ハウセル著、ダイヤモンド社、2021年) の第2弾です。 今日は第6章 テールイベントの絶大な力 から。 「優れた美術品商は、膨大な量の美術品を投資対象として購入する」と同社(投資会社のホライゾン・リサーチ)は書いている。「多くの美術品を長期間保有すると、その一部が優れた投資対象であることが判明する。その結果、ごく一部の高リターンな美術品により、コレクション全体が黒字になる。これが成功する美術品商のビジネスの仕組みなのである。 ビジネスや投資など、多くのことがこの仕組みで動いている。つまり、テールの力だ。テールとは、結果の分布図の最後尾の部分を指す言葉である。少数の事象が結果の大部分を占めることがあるファイナンスの世界において、これは莫大な影響力を持っている。 しかし投資家は、「5割の確率で間違っていても、トータルでは大儲けできる」ということを簡単には理解しづらい。私たちは物事の多くが失敗するのが当たり前であることを見逃しているのだ。だから、失敗に過剰に反応してしまう。 この本がベストセラーになった理由が良く分かります。とにかく説明と具体例が分かりやすくて心にスーッと入ってくる、腹に落ちるんですね。続きを見ていきましょう。 ディズニーを成功に導いたのは”400分の1”の作品 ディズニーは1938年までに延べ数百時間の映画を制作したが、ビジネス的には「白雪姫と7人の小人たち」の83分間がすべてだった。 何であれ、莫大な利益を上げたり、特別に有名になったり、巨大な影響力を及ぼしたりするものは、「テールイベント」(数千~数百万分の1の確率で起こる例外的な出来事)の結果だと言える。人々の目は、巨大なもの、儲かっているもの、有名なもの、影響力のあるものに向けられる。つまり、私たちが注目するもののほとんどは、テールイベントの結果なのである。 いやあこの章はいいですね。投資の世界では良く 「テールリスクの恐ろしさ」 は語られますが、ここではそれを逆転させてテールイベント= 正のブラックスワン が持つスーパーパワーを説明してくれています。 私は独自開発した「優待株いけす理論」「魅力的な優待が付いている銘柄はとりあえず1枚買っていけすに放り込み、その中で黄金色に輝いている極上の魚を見つけたらその実力に合う位置まで速やかに買い増しをする。逆に輝きを失った魚は妥当な位置まで迅速に売る。」というシステム。 特に時価総額上位の銘柄は、M1~M6にランク分けして日々しっかりと集中的に見張り、お互いを切磋琢磨して競わせながら「大リーグ選手の養成所」の管理人の様な視点で戦うやり方。 を用い、いわゆる「優待族」としてここ日本市場で戦っているわけですが、自分のやり方はハウセルの言う「テールイベント」を常に探し続ける方法です。 リスク・リワード比 がビックリして腰が抜けるくらいに有利、指標的に安くて同時に成長力があるのに何故かマーケットから無視されている、不人気業界に所属していて誰も見ていないけどよくよく見たら滅茶苦茶によい、そういう銘柄は毎日目をパキパキに見開いて探し続けていると大体毎年2つか3つは見つかります。 私が永遠のB級投資家ながらこの20年間以上を世界最弱の日本株市場で元気に生き抜いてこられたのも、無数の失敗を空高く積み上げてきた一方で、2198アイ・ケイ・ケイHD、3097物語コーポレーション、7605フジ・コーポレーション、最近の事例だと1605INPEX、2726パルグループHDなどの長打を時々打つことが出来たからです。 まさに、「テールイベントの力」でここまで生き残ってきたんですね。(続く)
Nov 9, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベストシリーズです。第140位は、 サイコロジー・オブ・マネー (モーガン・ハウセル著、ダイヤモンド社、2021年) です。 一生お金に困らない「富」のマインドセットを分かりやすく説明した本で、表紙についている帯によると累計200万部&52言語で刊行され、ここ日本でも12万部突破のベストセラーになったとのことです。 日本人のほとんどは大の投資嫌いで、表立って言われる国民の大多数の意見は「世の中金じゃない。」とか「金の話ばかりするな。」なんてのが相変わらず多いですが、実際には「喉の奥から手が出るほどにお金が欲しい。お金のことで困りたくない。」と心の底では思っている人が凄く多いという事ですね。 さてこの本ですが、著者であるモーガン・ハウセル自身は「個別株投資をしたがうまくいかなくて転身した。」というインデックス投資家です。該当箇所を見ておきましょう。 私の「投資」に対する考え方 私は、個別株投資から投資を始めた。 個別株投資家としての力量がどうだったかはわからない。優秀だったのかと尋ねられれば、そうだとは言い切れない。市場に挑んでいた多くの投資家と同じく、私も良い成績は残せなかった。いずれにせよ、私は今では考えを変え、低コストのインデックスファンドだけを保有するようになった。 ほうほう、それはとても残念でしたね。ただこの本にはハウセルの「アクティブ投資でうまくいかなかった。」という個人的な怨念が見え隠れしており、コテコテのアクティブ投資家である私からすると「いや、それは絶対違うやろう。!」という文章がこちょこちょ挟まれていて、それが歯の間に挟まったご飯カスの様に非常に気になりました。 具体例を出すと、「グレアムの投資ルールは、もはや現代には通用しない。(P193 )」「賢明なる投資家は、投資書の歴史に燦然と輝く名著として知られている。しかし、グレアムがこの本で示した公式通りに投資をしてうまくいった人を、私は誰一人として知らない。(P194 )」 などの、 世界中の全バリュー投資家に喧嘩を売っているような表現 です。 お前は一体何を言うてるんや。グレアム本はワイらの聖書やぞ。 グレアム流のディープバリュー投資は「80年以上の時が与える試練」を乗り越えてきました。 グレアム流で成功した投資家は世界中にいくらでもいます。ここ日本にもかぶ1000さんを筆頭に沢山います。 そして極めて知的な人間であるハウセル自身「誰一人として知らない。」などという事は常識的に考えてあり得ないでしょう。そんなレベルでこんなに素晴らしい本が書ける訳がないからです。なので今回の書評ではそういう「悪意を持って書かれている」としか言いようがない様なおかしげな所は意図的にカットしています。 ここ日本でもそうですが、「自分がアクティブ投資に挑戦したけど結果を出せなかった」ことを理由にして、「アクティブ投資では絶対に勝てない。誰も市場に打ち勝つことなど出来ない。だからインデックス投資が最強なんだよ。」と言う「謎理論」を振りかざす方がたまにいらっしゃいます。そしてこのハウセルの本にもそういう臭みが隠しきれずに出ています。 ただそういう「致命的かつ大きな欠点」を差し引いても尚、この本は名著と言っていいと思います。そして私はこの「株式投資本オールタイムベストシリーズ」を減点法ではなく加点法で書いているので、それで今回この本が登場してくることとなりました。 ちょっと興奮して前置きが長くなってしまいましたね。それでは次回からは本の実際に分け入って参りましょう。(続く)
Nov 3, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト139位ミネルヴィニの勝者になるための思考法(マーク・ミネルヴィニ著、パンローリング、2022年) の最終回第6弾です。 今日は、 第6章 情熱と目標達成に優先順位を付ける から。 非現実的になろう 勝者は現実的ではない。彼らは大きな目標を立てる。恐れ知らずの夢想家だ。彼らが心配するのは高すぎる目標達成ではなく、低すぎる目標設定なのだ。 大成功できない最大の理由は、自分にはできるなどとけっして思っていないからだ。そのため、一度も挑戦しないか、困難にぶつかるとすぐに投げ出してしまう。夢がなければ、やる気も出ないし進歩もない。非現実的な想像力を持つことが偉大なことを達成する第一歩だ。 非現実的な目標を設定するだけでほかの99%の人よりも優位に立つことができる。なぜなら、野心的なことを考えたり大きなことに挑戦しようとする人は、ほとんどいないからだ。道のりは長いと分かっているが、そこに達するために必要なことをする意欲があれば、勝者になれるのだ。 いやあ、いいですね。私もこれからも常に良い意味で常識のない、非現実的なドリーマーであり続けようと思います。 段階を踏んで、大きな目標に達する 背伸びをして大きな夢を持ったほうがよい。だが、短期の目標は達成可能なものでなくてはならない。 大きな目標を設定するときには小さな段階に分けて、最終的に達成したいことに勢いがつくようにすべきだ。 そして細かい所にも配慮の行き届いたミネルヴィニ節。私も前述した様に「純金融資産100億円」を大目標に掲げていますが、同時に数年以内に手が届きそうな小目標を別に設定し、実際には毎日そこを目指して戦っています。 さてこれでこの本の紹介は終わりです。「マーケットの魔術師」ミネルヴィニの素敵な言葉がスパークするご機嫌な一冊です。未読の方は是非。(終わり)
Oct 26, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト139位ミネルヴィニの勝者になるための思考法(マーク・ミネルヴィニ著、パンローリング、2022年) の第5弾です。 今日は、第6章 情熱と目標達成に優先順位を付ける から。 何かを極めたければ、当然ながらそれに向かって情熱を傾けるべきだ。 アンバランスな勝者 勝者になる最も良い方法は全力を尽くすことだ。自分の夢を最優先して、原則としてそれだけに集中する。 私は特に優れた成果を上げた人々を研究してきたが、偉大なことを追及しているときに、「調和が取れている」と言える人はほとんどいなかった。 テニスの4大大会で女子シングルスで18勝した伝説的プレーヤーのクリス・エバートは、「これは人の成長に最も良いこととは思わないので、言いたくないのですが、優勝に必要なのは1つのことだけに一心に集中することです。」と語った。 優れた成果を上げている人のほとんどは激しい情熱と人一倍の吸収力を持ち、自分の夢や目標に向かって極度に集中している。夢に向かって着実に前進し続けるためには、ほかのことはすべて後回しにする必要がある。 今の日本では長年続いたゆとり教育の弊害なのか、努力する人を揶揄したり馬鹿にしたりする風潮があります。投資の世界でもそういう傾向があります。ただ「命の次に大切なお金」を賭けた株式市場では生半可な覚悟では生き抜くことは出来ません。「時間を節約して効率的に稼げればよい。」みたいなおうちゃくを言う方もいますが、彼らは高確率で数年で消えていなくなります。何故なら、参加しているプレーヤーのほとんどが「人生の全て」を捧げて戦っている戦場なんですからね。 その意味で、このミネルヴィニの「目標に向かって極度に集中しなくてはならない。」という指摘は非常に真っ当かつ大切なことですね。(続く)
Oct 24, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト139位ミネルヴィニの勝者になるための思考法(マーク・ミネルヴィニ著、パンローリング、2022年) の第4弾です。 今日は、第3章 勝者のセルフイメージを作り上げる から。 才能だけでは不十分 世の中には才能豊かな人がたくさんいる。しかし、才能があるだけでは勝者にはなれない。勝者のセルフイメージがなければ、「才能を生かせない人」で終わるだけだ。そういう人たちには能力があり、生まれつきの才能にさえ恵まれている場合もあるが、セルフイメージが高くないせいで、才能に見合った実力が発揮できないのだ。 つまり、自分のスキルを最高水準まで高めると同時に、セルフイメージも最高水準まで高める必要があるということだ。そうすれば、自分の能力を最大限に発揮できるようになる。 さてツイッターランドに長く住んでいると、明らかに「天賦の才」に恵まれているなあと感じる投資家の方々にたまに出会います。「これは数年で自由億は行くだろうなあ。」と眩しく思う事もたまにあります。 そういう方は当然じっーっと長く観察することになるのですが、ここからが面白くて、私の直感通りそのまま資産を急拡大される方がいる半面、数億円クラスで急失速してしまいそれまでの輝きや才気が嘘のように消え去ってしまう方もいます。そういう方に共通していると感じるのが、「セルフイメージが低い」ことです。 「自分にはもうこのくらいが限界」と深層心理で思っている感じが伝わって来るんですね。なんとなくですが、サラリーマンの平均生涯賃金くらいの資産額に到達したときにそういう「精神的な落とし穴」に嵌る方が多い気がしています。でも冷静に考えれば0から数億円まで行けたという事は、そのまま普通にやり続ければ自由億(10億)、魅惑億(30億)だって目指せるはずなのです。 そして自分は以前から「ちょっと無理目の高いセルフイメージを持つ」事が投資家として大成する上で一番大切と考えています。 ちなみに 1970年代で「世界最高のトレーダー」と称されたマーケットの魔術師、エド・スィコータ は以下の様に言いました。 トレードの成果は、たぶん自らが認識している以上に自分自身の選好を反映している。。。利益を増やす最良の方法の1つは、目標を立て、それを実現させていくこと。つまり意識と潜在意識を金儲けと調和させること。 本当にスィコータの言う通りと思います。なので、私のお家の壁には「目標資産100億円!」と元気良く書いて貼ってあります。(笑)
Oct 18, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト139位ミネルヴィニの勝者になるための思考法(マーク・ミネルヴィニ著、パンローリング、2022年) の好評第3弾です。 今日も、第1章 信じる脳 から。 網様体賦活系に感謝しよう 私たちはどこに注目するかを決めるだけで、望む情報をより多く集められる。この驚くべき事実はRAS(網様体賦活系)のおかげだ。 RASとは、重要な情報だけが通過するように不要な情報を取り除く脳幹の神経束のことだ。(図1.1を参照) ある色の新車を買うと、突然、まったく同じ車がどこにでもあるのに気づくが、これはRASのせいだ。 図1.1 RASは脳幹から放射状に広がる円錐形の神経複合体である。RASの神経線維は入ってくる感覚データを選別して、そのデータが意識に入っていい情報かどうかを判断する。RASは文字どおり意識の「門番」として機能するため、脳の最も重要な活動系の1つである。 達成したいことを通じて、意識を潜在意識の考えに融合させることで、RASを訓練することができる。達成したいことに集中すると、RASがそれに役立つ人々や情報やチャンスを明らかにしてくれる。例えば、本当に15キロ減量したいと思っていて、その目標を達成しようという思いがあれば、その思いに焦点を合わせるほど、達成に役立つ情報に注意が向く。 RASやそれが選ぶイメージには優れた科学的根拠がある。意識的に焦点を移すか絞り込めば、RASを導いてイメージにもっと集中できる。 私はもう何年も前から、 巨大なイオンなどのショッピングセンターの駐車場に到着すると、何故かお店に入る前から緊張で武者震いする という「奇病」に罹りました。こういう奇特な方は世の中には多分あまりいないですね。 ただ自分にとってはそこは「投資家として観察するべき情報の宝島」なので、それで私のRASが一生懸命に働こうとして興奮して、こういうことになってしまったのだと思います。 そしてショッピングセンターに実際に入店すると、私はスナイパーの ゴルゴ13 になったかの様に集中し、まるで マーク・ダグラス の言う「ゾーン」 に入ったような明鏡止水の状態になります。 これからも自らのRASを訓練し続けて、より良い投資家を目指していきたいと思います。(笑)
Oct 14, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト139位ミネルヴィニの勝者になるための思考法(マーク・ミネルヴィニ著、パンローリング、2022年) の第2弾です。 今日は、第1章 信じる脳 から。 勝者や並外れた成果を上げる人たちは平均的な人とは考え方や従う基準が違う。そして、やがて競争で優位に立つ。 はい、これは間違いないです。私の観察でも資産額が突出している投資家の方々と言うのはしばらくお話をすると、「あっ、これは明らかに普通のお方ではない。何かが違うな。」と感じることがほとんどです。何て言うかな、「人の形はしているけど、実は中身は異星人」と言う様な感覚を覚えることが多いです。いや、もちろんいい意味で言ってるんですよ。(汗) 一致か対立か 何かを十分に強く信じていれば、それはやがて自分のアイデンティティーの一部になる。そして、私たちは自分が思っている自己像に反することはめったにしない。 自分の根底にある信念と反するような行為はできない。この葛藤は、「認知的不協和」と呼ばれる心理に根さしている。 自分の信念に逆らえば自滅する。しかし、信念に合った考え方や行動をすれば、自分の力を十分に発揮できるようになる。! 脳が現実を生み出す 人は自分自身の認識を支配している。 勝者のように考えて、勝者が信じていることを信じられるようになれば、勝者のように振る舞い始めて勝ち始める! どうしてだろうか。あなたの脳が勝者の脳内回路を作り出すからだ。 脳は脳自体やその構造、神経回路を変化させることができ、新しい細胞を成長させることすらできる。脳は変われるのだ! あなたは知性を高めて新しいスキルを学び、自分の望む人間になれる。 自分は20年少し前に株式投資の世界に入りました。やって来てみるとそこは自分にとっては「夢の竜宮城」の様な所で、もちろん多くの怖いことや厳しいことにも出会いましたが、それ以上に楽しいことが沢山ありました。毎日脳みそを振り絞って何とか今日まで生き抜いてきました。 そして今になってみると、面白いことに気付きました。例えばテレビのニュースでキャスターが感想を述べた時に、「それは全然ピント外れだろう。」とか、「1ミリも現実に合ってないだろう。」などと感じることが非常に多くなってきたのです。 後、たまに喫茶店などで新聞、特に朝●新聞なんかを読むと、「一体、何を言うてるんや? 紙面丸ごと妄想と嫉妬と怨念の世界に生きとるんか?」と言う強烈な違和感を感じるようにもなりました。でも、自分は高校生の頃には「天声人語」を聖書の様に崇めて毎日熟読し、なんだったらノートに写経までするようなリンゴほっぺをした純朴な少年だったのです。(笑) 投資家は「常に少数派」であり続けることが安全であり、同時に長生きするには必須条件でもあるので、おそらくこの20年間で自分の脳内回路が「株で勝てる」ように最適化され、まるっと大きく作り替えられたのだろうと思います。(続く)
Oct 12, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベストです。第139位は、ミネルヴィニの勝者になるための思考法(マーク・ミネルヴィニ著、パンローリング、2022年) です。 ミネルヴィニは、名著 「成長株投資法」 や、それを軽く超えると個人的には考えている神本 「成長株投資の神」 などの著作で知られる、世界でも指折りの株式トレーダー&現代最高峰のモメンタム投資家の1人です。彼の著作には外れが無いですが、この本もいい出来です。 それでは早速書評の方を参りましょう。 今日はいきなり最高の出来である、 はじめに 勝利を念頭に置いて から。 人が並外れた大成功者や勝者や優勝者になる要因は何だろうか。 ほぼすべての大成功者は、トレーニングの肉体面と同じくらい精神面が重要だと認めている。 肉体には生まれ持った限界があるが、精神には無限の可能性がある。 あなたが達成しようとしていることが何であれ、それには物理的な限界があるかもしれない。だが、実は、私たちは常に心理的な限界のほうが先に達するのだ。能力は自分が置かれている状況ではなく、自分の考え方によってのみ制約されているということをまず知っておこう。適切な考え方ができれば、自分の人生の勝者になり、願ったことを何でも成し遂げることができる。 それは私が保証する。 このミネルヴィニの「私たちは常に心理的な限界のほうが先に達する」と言う指摘は極めて重要です。何故なら、私の長年の観察でも多くの投資家がまさにそうだからです。 「十分な資産規模に達した。これで人生逃げ切れる。」とか、「もうこれ以上は増やせない。」という様な「守りのメンタリティ」に陥った方に急速にパフォーマンスを落とす事例が多いことを、これまで実際にたくさん見てきました。「投資家の心理的限界」と言うものは間違いなく存在するんですね。各自がそれを認識したうえでその「ガラスの天井」を打ち破ることは極めて大切なことですし、そのやり方を学べる本書は素晴らしい1冊です。 それでは次回からはこの本の大トロの所だけをサクッと見ていきましょう。(続く)
Oct 11, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト138位株式トレード 基本と原則 (マーク・ミネルヴィニ著、パンローリング、2018年) の最終回第7弾です。 今日も、第10章 並外れた成果を上げるための8つのカギ から。 ドローダウンを抑えるための4つのカギ あなたは大規模な投資信託のマネジャーとは異なり、市場を動かせるほど巨額のポートフォリオを運用しているわけではない。自分がいかに「ビッグ」だと思っていても、個人投資家の売買では、非常に流動性が低く薄商いの銘柄を動かすことさえできない。これは素晴らしい利点であり、このおかげでリスクとリターンの比率を非常に効果的に管理できるのだ。 第1のカギ - 上昇相場で売り抜ける 第2のカギ - 大きくトレードする前に、小さくトレードをする 相場観や直感に従うのではなく、マーケットの指示に従う。 トレードでは直感に用はない。個人的な感情はめったに事実に優ることはない。 損が増えると、資金面でも感情面でも被害を被る。すると、自信が揺らぐ。しかし、自分の戦略やタイミングが合っているかずれているかをマーケットが「告げる」ときに、その指示に従っていれば、大きく外すことはない。その結果、資金も自信も傷つくことはない。 損はうまくいっていないことを伝えてくれる貴重な情報だ。。。何かがうまくいっていないのに、繰り返し損をする必要があるだろうか。そうしてしまうのならば、実際の相場よりも自分の相場観にこだわっているからだ。 第3のカギ - 常にトレンドに従ってトレードをする トレンドに逆らってトレードを試みても、その判断が正しいことはめったにない。例えば、自分の好む銘柄が売り圧力を受けて下降トレンドが形成されたら、どこかでまた上げると考えて買うのは非常にリスクが高い。 買う時には上昇相場で買うことだ。好みの銘柄が下げたら、苦労して得た資金を投入する前に、再び上げ始めるまで待たなければならない。 私は下げている銘柄は絶対に買わない。私は常に相場方向にトレードをする。 第4のカギ - いったん、かなりの含み益が生じたら、損益ゼロ以下にしない。 トレードでかなりの含み益が生じたら、損益ゼロの水準を守るか、少なくとも損切りの逆指値を引き上げて、リスクを小さくしたほうがいい。 現代最高峰のモメンタム投資家であるミネルヴィニの言葉には、損失管理・リスク管理に関しての金言が特に多いと思います。そして私達バリュー投資家には「マーケットの声に耳を傾けず、泰然とし過ぎている」という大きな欠点があります。我々がミネルヴィニから学べる事はたくさんありますね。 さてこれでこの本の紹介は終わりです。ミネルヴィニの2冊目の著作、またしても名著でしたね。未読の方は是非。(終わり)
Oct 8, 2023
さて相場の方は暴落していますが、そういう事には関係なく今日は株式投資本オールタイムベスト138位株式トレード 基本と原則 (マーク・ミネルヴィニ著、パンローリング、2018年) の第6弾です。 今日は、第10章 並外れた成果を上げるための8つのカギ から。 大きな成果を上げるための4つのカギ 第1のカギ - タイミングを計る 率直に言えば、人生でもトレードでもタイミングがすべて。 第2のカギ - 分散しない あなたが何を聞き、何を読んでいようと、個人投資家が幅広く分散する必要はない。 適切なときに最高の銘柄に集中投資する必要がある。 第3のカギ - 銘柄の入れ替えはタブーではない 重要なことは、売りシグナルが点灯したら手仕舞うことだ。あるいは、ほかの銘柄のほうが魅力があると思ったら、魅力に欠ける銘柄からそちらに乗り換えることだ。トレーダーは持ち株と結婚しているのではなく、「デート」をしているだけだ。 資金は常に最も良いパフォーマンスが得られそうなところに移して、リスクにさらしている資金は問題がある状況からほかに移すべきだ。 エッジがあるのなら、銘柄の入れ替えは良いことだ。 第4のカギ - リスクとリターンの比率を常に維持する 損失に対しては短期的な手法を用いて、一方、利益に対してはある程度、長期の手法を用いるべきだ。それは損切りは早く、利は伸ばすということを意味する。 このミネルヴィニの指摘には全面的には賛同しかねるところもありますが、「並外れた利益」を目指すためには非常に重要な考え方であるとも感じます。ただ熱意と力量が乏しい投資家が真似するのはちょっと危険かもしれないですね。(汗)
Oct 3, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト138位株式トレード 基本と原則 (マーク・ミネルヴィニ著、パンローリング、2018年) の第5弾です。 今日も、 第5章 間違いではなく、資金を複利で増やす から。 決算発表日まで保有し続けるべきか 一般的に、私はある程度の含み益がないかぎり、重要な発表日まで大きなポジションを取り続けることは絶対にない。ある銘柄に10%の含み益があれば、通常はほとんどの決算発表日まで保有しても正当化できる。 しかし、含み益がないか、もっと悪いことに含み損の状態ならば、通常はその銘柄を売るか、ポジションサイズを減らして、10~15%のギャップを空けて下げる可能性に備える。その会社についてどれほど詳しくても、決算発表日まで保有を続けるのは常に賭けだ。 重要な発表日には、ポジションサイズを調整して、絶対に大きなリスクをとらないようにしよう。 ここでミネルヴィニは、いわゆる「決算プレイ」の危険性を指摘しています。これは重要なポイントで、リスクとリターンの観点から見て、大きな資金を入れている主力株において「決算をまたぐ」ことが「マイナスの期待値」になっている場合と言うのは確かにあります。 ただその一方で、3~5年の時間軸でやや遠めの未来を眺めながら、「ゆったり・のんびり・まったり」戦っている「中期投資家」の私にとっては、「決算前だからと言ってポジションをガチャガチャ動かしたくなんかない。元々そんな短期の目線で戦ってはいない。」こともあり、非常に悩ましい問題です。 そして現在の自分がどうしているかというと、元々業績の進捗が悪くて懸念を持っている主力株で「明らかにリスク・リワード比が不利」と考えた時に決算前にポジションの一部を外す場合はありますが、それはあくまで例外的でほとんどは「そのまま持ちっぱ」です。 ただその分、主力株に関しては常に極力「大きな含み益」が乗っている状態を保つようにしています。要は、出来る限り「うまく行っている」銘柄群でPF上位を構成するように心掛けている、ということですね。(続く)
Sep 23, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト138位株式トレード 基本と原則 (マーク・ミネルヴィニ著、パンローリング、2018年) の第4弾です。 今日は、 第5章 間違いではなく、資金を複利で増やす から。 ナンピン買い、、、これこそまさにトレード口座の資金を吹き飛ばして、投資家を破産に追い込む方法なのだ。なぜか。これは資金を増やしているのではなく、間違いを増やしているからだ。 ポール・チューダー・ジョーンズ はおそらく、すべてのマネーマネジャーのなかで最も優れた1人だ。私は彼をとても尊敬している。ずっと以前に、彼のトレード用デスクの上方に彼の写真が飾られているのを見つけた。それには、「負け組は負けトレードをナンピンする」と書き添えてあった。 この言葉はとても印象深い知恵を含んでいる。負け組だけが含み損になっている銘柄を買い増す、ということだ。 このブログでも繰り返し述べていますが、私は、 ナンピン買いは「最悪の投資手法」 であると考えています。その理由は 「ハイリスク・ローリターン」で危険極まりないやり方だから です。 もちろん自分も心情的に、「あ、この銘柄ナンピンして買い単価下げたいな。」と感じることはたまにあります。ただ私は過去の多くの苦い経験から今では決してナンピンはしません。それはまさにミネルヴィニの言う通りで、「ナンピンは間違いを増やす」からですね。(続く)
Sep 20, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト138位株式トレード 基本と原則 (マーク・ミネルヴィニ著、パンローリング、2018年) の好評第3弾です。 今日は第1章 常にトレードプランに従う から。 MVP指標 非常に大きく上げ続ける銘柄には、ほかとは異なる次のような特徴がある。 M モメンタム 15日のうち12日で上げる V 出来高 その15日間に出来高が25%以上増える P 株価 その15日間に20%以上の上昇 MVP指標。これは覚えやすいし、モメンタム投資の重要指標が揃っていて有用ですね。♬ デビット・ライアン(マーケットの魔術師(青本) に登場するマーケットウィザード)は言った。「私はすぐに含み益を得たい。買ってすぐに含み益が得られなければ、私はすぐに手仕舞いたいと思う」と。ある銘柄が薄商いで上にブレイクしたあと、翌日以降に大商いで下げ続けたら、それは本当に危険な兆候だ。 ダン・ザンガ―(成長株投資の神 で登場)はこれを最もうまく言い表した。「勝つ馬はゲートに戻らない。」、、、これらの言葉には、モメンタム投資家の考え方が実に良く表れています。「勝つ場合にも負ける場合にも結果がすぐに分かりやすく出る」のがモメンタム投資の特徴なんですね。(続く)
Sep 18, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト138位株式トレード 基本と原則 (マーク・ミネルヴィニ著、パンローリング社、2018年) の第2弾です。 今日は、序章 トップトレーダーのように考えてトレードするための第一歩 から。 どの世界でも大成功をする人はみんな同じ姿勢で取り組む。つまり、目標を実現するか死ぬまでやり続けるという姿勢だ。彼らにやめるという選択肢はない。 このミネルヴィニの言葉は心に刺さりました。私も公言はしていませんが、「投資家としての必達目標」があり、そこに辿り着くまでは絶対に投資を辞めない覚悟です。死んでも、何があっても、どんな手段を使っても目標を達成する、そう自分に誓っています。 もしかすると自分の生物学的な寿命限界の方が先に訪れることになるかもしれませんが、その場合には「自分の葬式の日の朝」まで死力を尽くして頑張れたらそれで良しとしたいと思います。「DIE WITH ZERO」なんかクソ食らえ という事ですね。 そして、目標を達成するために、そして少しでも「昨日よりも良い投資家」になるために、このブログを継続しています。 ちなみに今回のミネルヴィニの名言、 目標を実現するか、死ぬまでやり続ける とほぼ同じことを、世界ナンバーワンのトレーディングコーチと称された精神科医で、私が心の底から尊敬している アリ・キエフ博士 (肖像画 みきまる制作) も言っていました。以前の書評を貼って置くので、合わせてご覧頂くとより楽しんで頂けるものと思います。↓ やめることに意味はない。(続く)
Sep 17, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベストシリーズです。第138位は、株式トレード 基本と原則 (マーク・ミネルヴィニ著、パンローリング社、2018年) です。 マーク・ミネルヴィニは皆様ご存知の通り、 マーケットの魔術師 株式編 に登場しているマーケットウイザードであり、同時に現代最高峰のモメンタム投資家です。 この本は彼による2冊目の著作となります。1冊目のミネルヴィニの成長株投資法に較べると、株式投資でやってよいこととやってはいけないことを概念的に示した1冊になっています。監修者である長尾慎太郎氏は、 初心者向けの相場書として好評を博している「システムトレード 基本と原則ートレーディングで勝者と敗者を分けるもの」(パンローリング)の中級者向けバージョンと言って良い。 と述べていますが、「確かにそんな感じの本だな。」という気がします。 ちなみに上記のブレント・ペンフォールドによる快作に関しては、既に以前に当シリーズの33位で紹介済みです。これは本当に素晴らしい1冊なので、未読の方は是非この機会にミネルヴィニ本と合わせて御覧下さい。ついでに書評も貼っておきますね。↓33位 システムトレード基本と原則 トレーディングで勝者と敗者を分けるもの(ブレント・ペンフォールド著、パンローリング社)、、、よろしいでしょうか? それではウォーミングアップが済んだところで、初回となる今回は本書の理解をより深めるために、これまでで当シリーズで紹介したミネルヴィニ本の過去書評を見ておきましょう。 ミネルヴィニの成長株投資法 (マーク・ミネルヴィニ著、パンローリング社、2014年) 過去のモメンタム投資家達の長所と短所を高い位置から俯瞰し、それを現代流にフィット&昇華させた、当代ナンバーワンのモメンタム投資家、ミネルヴィニの魅力がたっぷり詰まった極上の一冊です。1. 総論2. 機関投資家より個人投資家の方が有利 超お勧め3. 第2ステージ(上昇局面)で株を買え お勧め4. 持ち株は通常4~6銘柄にすべき 成長株投資の神 (マーク・ミネルヴィニ著、パンローリング社、2016年) この本の真の魅力は、 「実力溢れる、世界最高峰の4人のモメンタム投資家が読者からのどうしても聞きたいガチンコの質問にそれぞれの独自の観点から答え倒してくれている。」 点にあります。 投資でどの銘柄を買うべきか、いつ買うべきか、そして最も大切なことですがいつ売るべきか、その答えが眩いばかりに詰まっている「知の宝箱」 なんですね。 1. 総論2. モメンタム投資の4賢人3. ミネルヴィニの25 お勧め4. 勝ち株に乗り続けることが大切 超お勧め5. 皆、相場から欲しいものを手に入れる6. 小口の一般投資家は機関投資家よりも有利 お勧め7. まとめ さてそれでは、次回からは当シリーズでは3冊目となるミネルヴィニ本の紹介をいよいよ始めましょう。(続く)
Sep 16, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト137位 投資の科学 (マイケル・J・モーブッシン著、日経BP社、2007年) の最終回第11弾です。 今日は、第29章 べき乗の威力 から。 一般の人々はいわゆる「80対20の法則」を通してべき乗法則に親しんでいる。 ところで、投資家がべき乗法則に注意を払う必要があるのはなぜだろうか? 第一に、べき乗法則に基づく分布が存在することがわかれば、リスクについての認識を新たにすることができるからである。ファイナンス理論の大半ーリスクモデルを含めてーは、株価変動が正規分布または対数正規分布に基づくことを前提としている。べき乗法則に基づく分布は、理論上の予測をはるかに超える大きさの価格変動が、ごくたまにではあるが周期的に発生することを示唆している。こうしたファットテール現象は、ポートフォリオを構築し、活用するうえで重要なのである。 第二に、べき乗法則の存在は、自己組織化するシステムの根底に何らかの秩序が存在することを意味するからである。 最後は、標準的な経済理論では、べき乗法則(が当てはまるような現象)を簡単に説明することが出来ないからである。 べき乗法則は、数多くの社会的・生物学的・物理的システムを面白いほど正確に表現できる。べき乗法則が成り立つ分野は、たいてい投資家が興味を持っている分野である。 べき乗法則を正しく理解できれば、賢い投資家は一味違う洞察力を得ることが可能になり、そのことは、優れた投資方法を見つけるうえで役立つだろう。 べき乗法則が成り立っている株式市場では、常に「想定外で」、「予測不可能な」ことが、「あり得ない頻度の高さ」で起こり続けます。 この様な性質を持つマーケットにおいては、「自分が正しいことを証明しよう」と言う様な傲慢で不遜な態度は「驚くほど高くつく」ことがあります。そして場合によっては「投資家としての死」に繋がることさえあります。 全知全能の神であるマーケットは決して間違えることはありませんが、彼がどこへどのように向かっていくのかは誰にも分からないのです。だからこそ、私達投資家は、市場に敬意を払い同時に謙虚であり続けなければならないんですね。 さてこれでこの本の紹介は終わりです。投資家としての「大切だけど、あまり知られていない事」をたくさん教えてくれる素晴らしい1冊ですね。未読の方は是非。(終わり)
Sep 13, 2023
現在全国の書店で好評発売中の日経マネー2023年10月号。 さて毎回見どころ日経マネーですが、私の連載「株式投資のレジェンドに学ぶ必勝テク」が13回目を迎えました。前回の12回までで「バリュー投資家編」は終わりで、今回からは新たに「モメンタム投資家編」がスタートします。 登場するレジェンドたちは下記のラインナップとなります。本当はリチャード・ワイコフも紹介したかったのですが、スケジュールの都合でそれは叶いませんでした。 さて初回となる今回は、皆様ご存じ「世紀の相場師」と呼ばれたジェシー・リバモアの前編です。 リバモア直筆の「リバモアの株式投資術」は傑作中の傑作です。そして私の現在の投資手法の根幹を成す、「バリュー→モメンタム戦略」は、正にこの本にヒントを得て生まれました。 それ以外でもリバモアから学んだことはたくさんたくさんあります。私が本当に尊敬している投資家の1人ですね。 日経マネー、今月号も攻めていて非常に面白いと思います。皆様も是非、本屋さんでご覧下さい。
Aug 28, 2023
さて大変なご好評を戴いている 「株式投資本オールタイムベストシリーズ」 ですが、今日はその ベスト135 をまとめておきます。 さて私が投資家としての生を受けて20年以上が経ちました。今日紹介するのは、今までに数千時間以上をかけて読み倒してきた数百冊の投資本の中のまさに至高の「ベスト・オブ・ベスト」です。 今この日記を書いている机から13.5秒以内に手が届くところに全てがある、投資家として「全幅の信頼を寄せている」本たちです。私は資産を失っても、家を失っても、投資家として何度でもやり直せるという絶対の自信があります。でもその時にもしも、この子達が自らの傍にいなかったらそれはもう全然ダメです。つまり この記事は、私の投資家としての頭の中の全て ものの見方・考え方の全て ということです。 そして同時にこの記事は、私の投資家としての 「ある意味での集大成」 とも言える内容でもあります。このベスト135には私がどのような投資家であり、何を大切にしているのか、そしてどういうことを考えて毎日を戦っているのか、の全てが表出していると思っています。 全部読めば実力UP間違いなし、まさに「永久保存版」 絶対の自信を持って皆様に贈る渾身の日記となります。 前置きが長くなりました。 それでは早速始めましょう。 1~100位 101~105位 105~110位 111~115位 116~120位 121~125位 126~130位 なお未読の方は「持てる筆力の全てを尽くした」完全燃焼の上記のベスト130を先に御覧下さい。。。131位 ヘッジファンド (セバスチャン・マラビー著、楽工社、2012年) この本は、アルフレッド・ウィンスロー・ジョーンズが世界初のヘッジファンドを「発明」して以来のその歴史と興亡を解説した壮大な力作です。著者のマラビーがこの本の完成のために使った取材や執筆などの時間はとてつもなく膨大な物であっただろうと思います。本当に素晴らしい1冊です。 ある意味では、「マーケットの魔術師 外伝」と言っても過言ではないくらいの、新鮮で高彩度な知的興奮に満ちた傑作です。1.総論2. ランダムウォークなんてクソ食らえ3. モメンタム/トレンドフォロー投資手法の有効性の発見4. 投資は「いい加減」でちょうどいい。5. ジュリアン・ロバートソンと小型株効果6. 急所を付け7. LTCMは、すでにやっていた8. 偉大な投資家はどこかいかれたところがある132位 投資の公理(ポール・マーシャル著、パンローリング、2022年) 永遠の名著である マックス・ギュンターの「マネーの公理」 と、バリュー投資の巨人であるエドガー・ヴァヘンハイム三世が書いた傑作「ハーバード流 ケースメソッドで学ぶバリュー投資」 を「足して3で割った感じ」の1冊です。 著者は株式市場を極めて高い視点から俯瞰しており、とてもシンプルですが味わい深い1冊になっています。またこの本は全部で160ページしかないので、あっという間に読めるのも大きな利点と思います。1. 総論2. 市場は極めて複雑な非線形システム3. 市場は正規分布しない4. ファーマの「理想の世界」は存在しない5. 市場は行儀が良くない6. インデックスファンドの隆盛が市場をより非効率にしている7. 投資家はストーリーに反応する8. ポートフォリオを集中させれば集中させるほど、リターンは大きくなる133位 金融市場はカジノ(ニコラス・ダーバス著、パンローリング、2019年) 本書はダーバスのモメンタム投資家としての素朴ながら鋭い観察眼が光るなかなかの好著となっています。 またテクニカルとファンダメンタルを融合させて戦うやり方である、今では良く使われている「テクノファンダメンタリスト」という造語も、おそらくダーバスがその生みの親だろうと思います。彼はとにかく「言葉のセンス」に優れているんですね。1. 総論2. 上げているうちは、私はけっして持ち株を売らない3. 生まれついてのモメンタム投資家134位「株で200万ドル儲けたボックス理論」の原理原則(原題:You Can Still Make It In The Market、ニコラス・ダーバス著、パンローリング、2019年) 著者のダーバスは1920年生まれで1977年に亡くなっています。そしてこの本は1977年の出版なので、彼の最終作&遺作という事になります。 彼の第1作&永遠の名著として褒め称えられている1960年作の 「私は株で200万ドル儲けた」 ではまだ粗削りだった「ボックス理論」がより洗練された形で分かりやすく言語化されており、「ダーバス理論の集大成」とも言える珠玉の1冊です。 1. 総論2. ダーカード3. VPA(Volume Price Analysis : 出来高価格分析)4. 新しい株を見つけなければならない5. バリュー投資家とモメンタム投資家の違い6. モメンタム投資のスーパーパワー7. 機関投資家よりも個人投資家のほうが儲けることができる135位 反脆弱性(ナシーム・ニコラス・タレブ著、2017年、ダイヤモンド社) 著者のタレブは、文筆家・トレーダー・大学教授および研究者という「3つの首」を持っている、例えていうならばギリシア神話に出てくる「ヒュドラー」か、鬼滅の刃の「上弦の鬼」である「半天狗」に似た現代の怪物・急進的な哲学者です。 タレブ自身がトレーダーという事もあって彼の書籍には我々投資家にとっても名著と言える本が多いですが、この「反脆弱性」も凄まじい1冊です。個人的には、この本がタレブのベストですね。1. 総論2. 「反脆さ(はんもろさ)」という言葉の発明3. 頑健なだけじゃダメ4. 「間違いを愛する」状況に身を置くべき5. 投資家はヒュドラーにならなくちゃならない6. 致命的ではない程度の深刻なトラブルに自ら足を突っ込む事が大切7. FIRE後の投資家の成績は、なぜ悪くなるのか?8. 居眠りお誘いバスツアー9. 検討使10. レバナス投資法11. 反脆さを実現する、バーベル戦略12. 凸ないじくり回し(ティンカリング)13. 「正しさ」に拘るのは危険なこと 以上、みきまるの優待バリュー株日誌特別編、株式投資本オールタイムベスト135のまとめでした。
Aug 27, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト137位投資の科学 (マイケル・J・モーブッシン著、日経BP社、2007年) のクライマックス第10弾です。 今日は、第27章 掃除人の夢 から。 複雑系としての株式市場 株式市場は、複雑系のすべての特長を備えている。投資家はさまざまな投資手法を用い、さまざまな時間枠の中で(多様な意思決定ツール)、他の投資家を相手に取引する(集積)。また、値動きの分布はファットテールをもち(非線形)、投資家は他人の行動を真似る(フィードバックグループ)。 株式市場を複雑系ととらえれば、投資家は2つの罠を避けることが出来る。1つは、すべての結果に対して個別の原因を探そうとすることである。。。重要なのは、原因と結果という関係が存在しなかったことではなく、すべての原因に対して相応の結果が存在するわけではないということだ。 もう1つの罠は、マーケットそのものを理解しようとせずに、個別の情報に拘ってしまうことである。 マーケットが複雑系だというのは、ツイッターランドの株式クラスタの方々達の言動を見れば即座に理解できます。超短期(数日)・短期(数週間~数か月)・ごくたまに中期以上(数か月~数年)の時間軸で戦う投資家達が入り乱れ、「昨日には正しく見えた誰かの力強い言葉」に恭しく従い、時には口汚く罵りながら、永遠の乱打戦を繰り広げています。 投資家や経営者は、マーケットを理解しようと思うのならば、それが複雑系なのだと認識すべきである。マーケットの動きは、さまざまな知識と資産とモチベーションをもつ数多くのエージェント(投資家)の相互作用を反映したものである。したがって、個々の投資家の意見を必要以上に重視することは、資産形成に悪影響を与えかねない。 そう、マーケットと言うのは、原因と結果が必ずしも一致しない、未来を正確に読み通すことは誰にも決して出来ない、混沌とし、矛盾し、恐怖や強欲などの感情に強く支配された複雑な所なんですね。そしてだからこそ、私達投資家は我々を生み育てる「母なるマーケット」に対して、常に健全な畏怖と敬意を持って向かわなくてはならないのです。(続く)
Aug 10, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト137位投資の科学 (マイケル・J・モーブッシン著、日経BP社、2007年) の第9弾です。 今日は 第25章 確率と経験 から。 現実の世界は、平均値や代表値によってではなく「異常値」によって支配されている。- 普通ではなく例外によって、ありきたりな下落ではなく大暴落によって、中産階級ではなく大富豪によって。われわれは「平均的」な考えから自分自身を開放する必要がある。 フィリップ・アンダーソン(ノーベル賞物理学賞受賞者) 、、、なんすか、この血の凍るような名言は。私は初めて聞いたのですが、まさに私たちが日々戦う株式市場の真実ですね。。。 物理学者のフィリップ・アンダーソンが指摘しているように、世界を支配するのはたいてい、分布の端っこ(テール)に位置する例外的な出来事なのである。 正規分布は、ランダムウォーク、資本資産価格モデル(CAPM)、バリュー・アット・リスク(VaR)、ブラック=ショールズ・モデルをはじめとするファイナンス理論の基礎である。 過去の研究は、価格変動が正規分布しないことを示している。 正規分布よりも、両端に分布するデータが多い(ファットテール)。これは、大規模な変動が予想以上に頻繁に生じることを意味する。 なかでもファットテールについては強調しておきたい。実際のマーケットでは、正規分布が示す確率よりもかなり頻繁に極端な価値の変動が起きるため、ポートフォリオー特にレバレッジを効かせたポートフォリオーのパフォーマンスは重大な影響を受ける。 リスクを評価する標準的なモデルであるCAPMは、リスクと報酬を線形の関係式で表している。対照的に、株式市場のように自己組織化臨界のシステムでは、両者の関係は自ずから非線形になる。 ヘッジファンドの世界における悲劇のほとんどは、ファットテール現象の直接的な帰結である。投資家は、このような例外的な事象を考慮にいれてポートフォリオを構築する必要がある。 いやあ素晴らしいです。株式市場では値動きは正規分布しない、平均値ではなく常に異常値に支配されている、つまり、理論的には滅多に起こらないはずの大災害・凄惨な暴落が、実際にはカジュアルに頻繁に起こる、ということです。わかりやすく言うと、「理論的には100年に1回のはずの大暴落がなぜか毎年発生する、クレイジー極まる世界」ということですね。 そのため、私達投資家は タレブの言う反脆い 、「ピンチの時に安全装置が働くポートフォリオ」を作成しなくてはならないのです。そして、それが私にとっては モフモフエアバッグだらけの優待バリュー株アナグマ投資法 なんですね。 (続く)
Jul 29, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト137位投資の科学 (マイケル・J・モーブッシン著、日経BP社、2007年) の第8弾です。 今日は 第17章 ポートフォリオとショウジョウバエ から。 バリュエーションにまつわるもう1つの罠は、割引キャッシュフロー(DCF)モデルによる最終価値の算出において現れる。 実際には、競争優位の持続期間が短期化しているため、そうした前提は現実的ではなくなってきている。 はい、DCF法に基づいた理論株価の算定は、未だに「厳かで、科学的で、正しいもの」として良くマネー雑誌に載っていますが、これは参考資料としてチラッと見るのは全然構わないとは思うのですが、実際の日々の戦場ではほとんど役に立ちません。 私達が戦っているマーケットと言うのはDCF法で計算できるような理論的で単純明快な所では全くなく、ベル型カーブが通用しない、非線形の魑魅魍魎としたドロドロに複雑なところだからですね。 ちなみに私の20年以上の投資家経験の中で、「急成長しているキラキラグロース株がこの先もずっとそのまま永続的に伸びていくという前提でDCF法で理論株価を算定し一発狙いで全力勝負する。何だったら信用買いで屋上屋まで建てる。」というやり方で勝負し、キラキラだったはずの銘柄の「謎の失速」ですべてを失ってそのまま行方不明になってしまったと言う方を非常に多く見てきました。 なので、個人的には「DCF法はマーケットの実態にそぐわなくて役に立たないばかりか、妄信するとむしろ大災害に繋がる場合があって危険」と考えています。(続く)
Jul 21, 2023
さて今日は凄く久しぶりになってしまいましたが、株式投資本オールタイムベスト137位 投資の科学 (マイケル・J・モーブッシン著、日経BP社、2007年) の第7弾です。 今日は少し飛んで、第16章 成長のS字カーブ から。 普通の投資家はイノベーションを考慮すること、つまり、マーケットがイノベーションをどのように織り込んでいくのかを評価することができない。逆に言えば、ここに投資のチャンスがある。 ある産業において技術革新が起きた後の売上と利益は、S字のカーブを描くことが実証されている。成長はまずゆっくりと進み、加速され、最後は平坦となる。(図表16.1)このグラフは、期待がどのように変わっていくのかを理解するのに役立つ。 A点では、投資家は産業の成長と利益をあまり期待しない。過去の低成長の過程をそのまま将来に引き伸ばして考える。将来の利益に対する期待が低すぎるのである。 やがて産業が急成長を遂げてB点を過ぎると、直近の急成長が将来もずっと続くと仮定してしまう。今度は期待が高すぎるのである。 最後に、成長がC点に達すると、投資家の期待はようやく妥当な線に落ち着き、株価も現実的な水準に調整されていく。 A点で株を買ってB点で株を売却することが、投資家にとっての目標である。 いやあ、いいグラフですね。 移り変わりの激しい世界では、古い会社よりも新しい会社に賭けるべきである。どの新しい会社が超過リターンを生むのかはわからないけれども、少なくとも古い会社が超過リターンを生むことはないと考えられるからだ。 これはとても重要な指摘です。私も、同じレベルの企業を2つ見つけたら、より規模の小さい方、より社歴の新しい方 を優先します。その方がパフォーマンスが良いと考えているからです。 新規参入企業のほうが古参の伝統的な企業よりも、高いトータルリターンを株主にもたらす。 ↑ これまた覚えておきたい、良いグラフですね。 企業が高度に組織化され戦略の管理が徹底されるようになると、イノベーションを実現して成長することができなくなる。 これはどうして投資の世界に「小型株効果」 が存在するのか?の答えの一つである気がしますね。(続く)
Jul 15, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト137位 投資の科学 (マイケル・J・モーブッシン著、日経BP社、2007年) の第6弾です。 今日は第3章 ベーブ・ルース効果 から。 重要なのは正解の頻度ではなく正解の大きさである。 そのため、優れたパフォーマンスをもたらすポートフォリオを構築しようと思うならば、ポートフォリオに含まれる個々の投資対象の期待値を分析する必要がある。 興味深いことに、さまざまな分野ー競馬、カジノ、そして投資の世界ーの第一人者はみな、このことの重要性を強調している。これを「ベーブ・ルース効果」と呼ぶ。。。なぜなら、ベーブ・ルースは多くのアウトをとられたにも関わらず、野球界における最も偉大な打者の1人と評価されているからである。 重要なのは、値上がりした銘柄の割合ではなく、ポートフォリオ全体の価値が上がったか下がったかである。 重要なのは勝つ頻度ではなく、勝つ頻度にペイオフの大きさを掛けたものだということである。 確率が絡むあらゆる分野で同じアプローチが通用する。 われわれは上昇の確率は低いが期待値が魅力的であるという状況から逃避しがちであり、こうした損失回避の傾向が、株式投資家の勝機を倍増させるのである。 この「われわれは上昇の確率は低いが期待値が魅力的であるという状況から逃避しがちであり、こうした損失回避の傾向が、株式投資家の勝機を倍増させるのである。」という指摘は素晴らしいですね。 モニッシュ・パブライの超名著 ダンドー に「低リスクで不確実性が高いビジネスに投資する」という印象的な言葉があったのですが、私は何故かそれを思い出しました。 ちなみに私が「抗争に明け暮れ、日本株市場で一番やんちゃ」とも称されるパチスロ大手でフィリピンの巨大カジノ・リゾート『オカダ マニラ』に社運を賭けている 6425ユニバーサルエンターテインメント をポートフォリオ上位で保有しているのも、「ユニバちゃんは当然打率は低いだろうが、もしもバットの真芯に当たれば特大の場外ホームランになる可能性がある。」と考えているからです。(滝汗) 確率が絡む分野で長期的に成功する方法には、いくつかの共通した特徴がある。 集中ープロのギャンブラーはいくつものゲームをプレーしない。。。優れた投資家はみな、自分の得意分野を大切にしている。 → はい、私もほとんどの場合、自らが専門とし、絶対の自信を持っている「優待バリュー株投資」の範疇からはみ出すことはありません。非優待株の、もしもの時の投資家保護のエアバッグが開かないブリザード吹き荒れる氷の世界では、私の様な「ぬくぬく&まったり&おっとり優待族」は決して長生きは出来ない事を知っているからです。 機会の限定ー 自分が有利な状況にあると思う時でも、あまり頻繁に取引するべきではない。 → 手数料と税金が投資家のパフォーマンスを蝕む主原因なので、私も極力取引回数を減らすように常に心掛けています。 (続く)
Jun 11, 2023
現在全国の書店で好評発売中の日経マネー2023年7月号。 さて毎回見どころ日経マネーですが、私の連載「株式投資のレジェンドに学ぶ必勝テク」が佳境の10回目を迎えました。 今回は、皆様ご存じ、現在世界一の投資家であるウォーレン・バフェットの後編です。バフェットの投資法の秘密に今月号も肉薄しています。 「バフェット本人公認の自伝」である スノーボール は傑作です。 後、今月号の特集の「えりすぐり 絶好調株66」にもちょっとだけ登場しています。DUKE。さんと一緒に巻頭の「モメンタム投資の威力」について解説するところで御呼ばれしました。 日経マネー、今月号も攻めていて非常に面白いと思います。皆様も是非、本屋さんでご覧下さい。
Jun 2, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト137位投資の科学 (マイケル・J・モーブッシン著、日経BP社) の第5弾です。 今日は第2章 投資と投資ビジネス から。 過去10年間では、アクティブファンドの4分の3以上の利回りがベンチマークの利回りを下回った。 (ただ)長期間にわたって、ベンチマークよりも高い利回りを達成するアクティブファンドもある。そのようなアクティブファンドがなぜ成功しているかという理由を導き出すために、、、データをまとめた。 ポートフォリオの回転率(銘柄入れ替え率)-低い。 ポートフォリオの集中 特定銘柄への集中度合いがインデックスよりも高い。 投資スタイル 大多数は、バリュー投資のアプローチ。 地理的な立地条件 最上級の成果を上げたファンドの運用会社は、シカゴ、ソルトレイクシティ、メンフィス、オマハ、ボルチモアのような都市を拠点にしている。 バリュー投資家としての視点で銘柄を選定し、良い銘柄に資金を集中して中長期でそれを保有するのが、インデックスを上回る良いやり方である、というのは体感的にも理に適っていますね。 ただ良いアクティブファンドの運用会社が田舎に多いというのは、なかなか面白い指摘だなと思いました。でも言われてみると、ここ日本でも田舎に住んでいるS級・超A級の個人投資家って結構たくさんいる気がします。 都会の方がオフ会も圧倒的に多いですし投資には絶対的に有利な気がするのですが、「情報過多で逆にマイナスに働く」のでしょうか? いったいどうしてでしょうね。? (続く)
May 30, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト137位 投資の科学 (マイケル・J・モーブッシン著、日経BP社、2007年) の第4弾です。 今日は 第1章 カジノの胴元になろう から。 投資やスポーツチームのマネジメント、競馬の賭けのような先の読めない分野で長期にわたって最善のパフォーマンスを記録してきた人たちみな、結果よりも過程を重視する。 これは本当に大切なことなのですが、ここ日本市場では「結果しか見ない。」投資家が異常に多いのが現実ですね。 (以下は競馬の話を比喩として)馬の人気など問題ではなく、馬が勝つチャンスとオッズの間にどれだけ魅力的な乖離が存在しているかが重要なのである。 確率とペイオフを吟味し、オッズに示されているコンセンサスが本当に正しいのかを注意深く検討する。。。投資はカジノや競馬とは異なる特徴を持つが、基本的な考え方は同じだ。すなわち、正の期待値を手に入れることが重要なのである。 私も主力株に関しては、「正の期待値があるかどうか?」を第一にそして多角度から考えます。また多くの個人投資家にその時点で人気のある銘柄は、期待値が負、マイナスに転落していることも多いので、極力避けるようにもしています。 ルービンの4原則 ロバート・ルービン元財務長官は、ペンシルバニア大学の卒業式の祝辞で、意思決定における4つの原則を提示した。これらの原則は、特に金融関係者には役に立つと思われる。1. 唯一確かなのは、確実なものはないということである。→ はい、その通り。市場の未来は決して誰にも分かりません。マーケットにはそれを予測するストラテジストやアナリストと言う、不幸で不思議な仕事をする人々がたくさんいますが、彼らの多くは無理な業務内容が祟って、常に苦虫を嚙み潰したような、顔面非対称の不機嫌な表情を浮かべています。2. 意思決定においては確率についてよく考えるべきである。→ マーケットに「確実」が存在しない以上、頼れるものは「確率」しかないということですね。3. 不確実性があるにも関わらず、われわれは行動しなければならない。→ 人生は全て冒険です。いつまでもスタートラインで準備運動をしていてもお金持ちになる日は来ないのですね。4. 意思決定を評価するには、結果だけではなく、その過程も考慮すべきである。→ この4が私を含め、多くの市場参加者に致命的に欠けているものですね。(汗) 投資の世界では、インセンティブや評価システムのために、あまりにも結果が重視され過ぎて、過程がなおざりにされている。 結果だけに基づいて判断してしまうと、正しい意思決定を行う上で必要なリスクを取りにくくなる。 いやあ、モーブッシンの名著、第1章から凄いですね。♬
May 23, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト137位 投資の科学 (マイケル・J・モーブッシン著、日経BP社、2007年) の第3弾です。 今日は珠玉の出来栄えである はじめに から。 投資の哲学は、意思決定を左右する。薄っぺらな哲学に基づく長期投資は、当然、悪い結果をもたらす。たとえ投資の哲学が優れていても、規律や忍耐を伴わなければ意味をなさない。投資の哲学とは、ダイエットと同じで、長い目で見て意味のある方法を、信念を曲げずに実践し続けた時に初めて効果が表れる。 投資の哲学とは、純粋な知性に基づくものではなく、むしろ人間の気質を織り込んだものである。実際、優れた気質は常に高いIQに勝る。 優れた投資の哲学には、本書でも述べるように、共通するいくつかの原則がある。 まず、、、目先の結果に一喜一憂するのではなく、意思決定の過程に焦点を合わせるほうがよい。 第二の原則は、長期的な視点で判断することである。 もう1つの原則は、確率的なアプロ―チを身につけることである。 ふー、のっけから素晴らしい。モーブッシンには間違いなく「投資の深遠な真実」が見えていますね。それでは次回からは、いよいよ本文へと参りましょう。(続く)
May 19, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト137位投資の科学 (マイケル・J・モーブッシン著、日経BP社、2007年) の第2弾です。 今日はまずはいきなり最高の出来である、まえがき から。 チャールズ・マンガー(世界一の投資家であるウォーレン・バフェットの腹心の片腕で、自身も超凄腕のバリュー投資家)の長きにわたる成功は、知識のコンシリエント(相互飛躍的)なアプローチに対する類まれな信念によりもたらされたものである。 私も「知識は複利で働き、学び続けることによってその効用は飛躍的に高まる。」と考えていて、そのためにこの株式投資本オールタイムベストシリーズを長年続けています。そして実際、このシリーズを書き始めてから、自分は投資家として明らかに成長したと実感しています。 問題解決の成否を左右するのはIQではない。マンガーによれば、チャールズ・ダーウィンが成し遂げた世界観の大転換という偉業は、彼の才能よりも彼の研究方法に因るところが大きいという。一方で、秀才たちが残した数多くの失敗例は、柔軟性の欠如や心理学への軽視が判断を誤らせるという事実を示している。→ 失われた30年の続く、世界最弱市場&デッドマーケットとして知られるここ日本株市場では、過去に財務やファイナンスの専門家を含む多くの凄腕投資家が、その類まれなる力量を持ってしても生き残ることが出来ず、窒息して息絶えてきました。特にリーマンショック時には、「まさか、貴方まで死ぬのか!」という驚きを隠せない、凄惨な生き地獄が展開されたことを今でも恐怖と共に昨日の事の様に思い出します。 株式市場で生き抜くにはIQの高さや知識の豊富さだけでは全く足りない、ということなんですね。 私が最も影響を受けたのは、株式市場を複雑系として取り扱ったモデルである。 複雑系の概念は、市場をより直観的に理解する道具であり、実証データともよく調和する。→ そう、株式市場と言うのは原因と結果が必ずしも一致しない、不可思議で矛盾に満ちた、混沌とした世界なんですね。そしてこのタフ過ぎる世界で生き抜き続けるのに、このモーブッシンの名著は、なくてはならない必須書籍なのです。 (続く)
May 18, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベストです。第137位は、投資の科学 (マイケル・J・モーブッシン著、日経BP社、2007年)です。 日経BP社の投資本は経験上「確率的にいい本が多い、打率が高い」印象がありますが、この投資の科学も最高の1冊です。ちなみに日経BP社には、特に「投資理論」に関して良い本が多い印象があります。 ちなみに下の写真は私の本棚の「投資理論関連本の1軍」の一部なのですが、 日経BPマークが付いた本がたくさんあるのが、お分かり頂けると思います。ちなみにこの本棚には1つ「間違い」が隠れていますので、皆様も良かったら探してみてくださいね。♬ さて著者のモーブッシンはファイナンス学会の俊英で、「ウォール街で最も影響力のある人物」の1人としても有名です。彼の豊富な知識と海よりも深い洞察力が余すところなく発揮された本著は、「控えめに言って超名著」太鼓判認定です。 この本は、数ページの短いエッセーが連作で繋がるように構成されており、非常に読みやすいのが特徴です。全部で30章から成っており、全く捨てページの無い驚異の密度となっています。 それでは次回からは、この本のベストオブベストの大トロのところを一緒に見ていくことと致しましょう。(続く)
May 16, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト136位、スノーボール(アリス・シュローダー著、日本経済新聞社、2009年) の最終回第10弾です。 今日は、最終章となる第62章 預り証 から。 以下はバフェットの言葉。 「私は雪の玉(スノーボール)をずいぶん若いときから固めた。一〇年近く遅く固めはじめたら、いまごろ山の斜面のずいぶん下にいただろう。だから、私は学生たちに、ゲームの先を行くように勧める。」 私は株式投資の世界に出会うのが遅くて20代後半の投資家デビューとなってしまいました。この世界では「たくさんの失敗をして、過ちのバリエーションを知ること」がとても大切なわけですが、若い頃と年老いてからでは吸収力と回復力が違いますし、自分の実体験からも「一日でも早く投資の世界に入った方がいい」としみじみと思っています。 「ちょうどいいぐあいの雪があれば、雪の玉(スノーボール)はかならず大きくなる。私の場合がそうだった。お金を複利で増やすことだけをいっているのではないよ。この世のことを理解し、どういう友人たちを増やすかという面でもそうだった。時間をかけて選ばなければならないし、雪がよくくっついてくれるには、それなりの人間にならなければならない。自分が湿った雪そのものになる必要がある。雪の玉は山を登ってひきかえすことはできないから、転がりながら雪をくっつけていったほうがいい。人生とはそういうものだ。」 自分はスノーボールって、山の斜面を登りながらうんしょうんしょと下から押して大きくしていくイメージでした。 でも違ったんですね。バフェットのスノーボールは自然に無理なく転がりながら雪をくっつけていく。だからこそこんなにも大きくなったんですね。 大投資家が持つビジョンの壮大さに改めて触れ、雷に打たれる思いでした。。。 さてこれでこの本の紹介は終わりです。「世界一の投資家、ウォーレン・バフェット」の人生を味わうことはあらゆる投資家にとって大きな意味があると思います。1400ページの超大作ですが、未読の方は是非。(終わり)
Apr 24, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト136位、スノーボール(アリス・シュローダー著、日本経済新聞社、2009年) の第9弾です。 今日は、第50章 宝くじ から。1991年のビル・ゲイツ(マイクロソフトの共同設立者)とバフェットとの出会いの場面です。 バフェットとゲイツがはじめて会ったのは、独立記念日の休日だった。 みんながこの出会いをじっと眺めていた。ゲイツは興味のないことにはすぐにいらだちを示すので有名だった。バフェットはもう退屈だからといって本を読みにいきはしないが、やはり逃れたい会話からはすぐに抜け出す傾向がある。 、、、たちまちふたりは話に熱中していた。 (バフェットの言葉)「私たちは話し、話し、話しつづけて、まわりの人間にはまったく目を向けなかった。ひとつも理解できないだろうと思いながら、ゲイツのビジネスについて山ほど質問した。ゲイツは偉大な教師で、私話を切りあげることができなかった。」 一日が終わりに近づいた。。。バフェットとゲイツは話を続けていた。 私は以前から「バフェットとゲイツはなんでこんなに仲が良いんだろう?」とぼんやりと疑問を持っていたのですが、この章を読んで理由が分かりました。「単純に、最初からウマが合った」んですね。 次は、凄腕投資家が集う、「バフェット・グループ」の会話の場面です。 バフェットは一同に好きな株を挙げるよう促した。 コダックは? ビル・リューアン(著名バリュー投資家)がきいた。意見をきこうと、ビル・ゲイツのほうをふりかえった。 「コダックはトースト(おしゃか)だ」と、ゲイツがいった。 バフェット・グループの面々は、インターネットとデジタル技術のためにフィルムを使うカメラがいずれトーストになることを知らなかった。一九九一年当時は、当のコダックですら、自分がトーストだとは知らなかった。 「ビルはたぶん、テレビネットワークもぜんぶだめになるとかんがえているんだろ」CBSネットワーク株を所有するロウズ・コーポレーションのローレンス・ティッシュはいう。 「いや、そんな単純なことじゃないよ」ゲイツはいう。「テレビネットワークが番組を制作して流すのは銀塩カメラとはまったく違うし、それを根本から変えるようなものは出ないだろう。人々が多様なものに向かうために視聴率は落ちるだろうが、テレビネットワークはコンテンツを所有していて再利用できる。われわれがテレビをインターネットで見られるようにしたので、テレビネットワークはちょっとした難題に直面している。しかし、写真とはわけが違う。写真の場合は、デジタルだとフィルムがなくても済むから、そういう製造技術が重要でなくなる。」 みんながゲイツの話を聞きたがった。 半日とたたないうちに、ゲイツとメリンダはバフェットグループの事実上のメンバーになっていた。 いやあ、この1991年のビル・ゲイツの慧眼ぶりは凄いですね。その後に実際に訪れた未来をドンピシャで予言しています。 ちなみに私は最近不人気の絶頂にあるテレビ局、特に民放キー局上位4社を買い集めて、 優待メディア株バルクプロジェクト と言う計画を実行中なのですが、この理論的根拠の1つになっているのが、上記のゲイツの「テレビネットワークはコンテンツを所有していて再利用できる。」と言う言葉です。 このようにバフェット本と言うのは、手元にあるととにかく役に立つんですね。(続く)
Apr 20, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト136位、スノーボール(アリス・シュローダー著、日本経済新聞社、2009年) の第8弾です。 今日は、第26章 黄金の干草の山 から。 偉大な会社の探究にいそしんでいたマンガーは、バフェットがベン・グレアムに心酔していることが理解できなかった。「ウォーレンはベン・グレアムのことを説明するのが、それはもう上手だった。」と後年マンガーは書いている。 マンガーが思うに、グレアムの欠点は、未来が「好機に富んでいるのではなく危険に満ちている」と考えるところだった。 マンガーは腰をかがめてシケモクを拾って最後のひと吸いをする単純作業に潜むグレアムの暗い悲観論から、バフェットを引き離そうとした。 一九六二年には、バフェットは宝探しのような考え方を捨てていた。 この章では、盟友チャーリー・マンガーの影響によってバフェットがそれまでのグレアム流のディープバリュー投資家から、成長力があったり収益力が高かったりと言うような資質を持つ銘柄を好むクオリティ投資家へと変貌していく過程が示されています。 そしてこの変化こそが、バフェットを「世界一の投資家」に押し上げる原動力となったんですね。(続く)
Apr 7, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト136位、スノーボール(アリス・シュローダー著、日本経済新聞社、2009年) の第7弾です。 今日も第7章 休戦記念日 から。 ところがある晩、ウォーレンは激しい腹の痛みのために、「世界年鑑」や王冠のことが考えられなくなった。医者が往診に来て帰っていったが、気になったため再度往診に来て、ウォーレンを入院させた。ウォーレンは夜中に虫垂炎の手術を受けた。 あやうく手遅れになるところだった。ウォーレンは重体でカトリック系の病院に数週間入院していた。だが、看護師のシスターたちに世話をされるうちに、病院は心安らぐ別天地だと思うようになった。快復しはじめると、別の楽しみが訪れた。 ウォーレンのことをよく理解しているイーディス叔母さんが、おもちゃの指紋採集セットをくれた。ウォーレンはそれの使い道を心得ていた。シスターひとりひとりに、自分の病室に寄ってもらい、指にインクをつけて指紋を採った。 家に帰ると、ちゃんと整理してとっておいた。どうせ遊びだろうと家族は思っていた。シスターの指紋なんか、だれが必要とするのか? だが、シスターのだれかがいずれ犯罪を犯すかもしれないというのが、ウォーレンの理屈だった。 その場合、ほかならぬウォーレン・バフェットだけが、下手人の身許を突き止める手がかりを握っている。 いやあ、この部分非常に印象的でした。 凄腕投資家は全員サイコパス と言うのは良く言われることですが、「世界一の投資家」であるバフェットにもその資質がたっぷりと備わっていたんだなあと思いましたし、「世界トップの人なんだから、そりゃ当然そうだよな。」と逆に凄く安心しました。(笑)
Mar 30, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト136位、スノーボール(アリス・シュローダー著、日本経済新聞社、2009年) の第6弾です。 今日は第7章 休戦記念日 から。 一九三六年にローズヒル校の一年生になると、ウォーレンはすぐに学校が好きになった。。。学校のおかげでまったく新しい世界がひらけたし、すぐにボブ・ラッセルとステュ・エリクソンという友だちができた。ウォーレンははボブ・ラッセルのことを”ラス”と呼び、いっしょに通学した。 ウォーレンとラスは、ラッセル家のポーチに何時間も座って、ミリタリー・アベニューを通る車を眺めていた。ふたりはノートに車のナンバープレートの文字と数字を書きとめ、行がびっしりと埋まっていった。 ウォーレンもラスも、ほんとうの理由は明かさなかった。ラッセル家の前の通りは、ダグラス郡銀行がある袋小路から出る唯一のルートだった。銀行が強盗に襲われたとき、警察はナンバープレートの情報をもとに強盗を捕まえられる、とウォーレンとラスは考えていた。その際、警察が事件を解決するのに必要な情報は、自分たちだけが知っているのだ。 数字を集め、勘定し、記憶するのにまつわるすべてのことが、ウォーレンは好きだった。早くも切手やコインを熱心に収集していた。 6歳になったバフェットの数字好きに拍車がかかっている事と、幼少にして既に高い知性の片りんを垣間見せていることが印象的でした。 ウォーレンは母親を避けて家から離れた場所にいることが多かった。近所をあちこち訪ねて、よその家の親と仲良くなり、政治についての話に耳を傾けた。うろついているあいだに、壜(びん)の王冠を集め始めた。町中のガソリンスタンドへ行って、アイスボックスの下のくぼみから王冠を拾った。客が炭酸飲料の栓を抜くと、そこに落ちるようになっていた。バフェット家の地かで、王冠の山がしだいに大きくなった。ペプシ、ルートビア、コカ・コーラ、ジンジャーエール。 王冠集めに、ウォーレンは取り憑かれていた。無料(ただ)の情報が手つかずで転がっているーだれもそれを取ろうとしない! すごいと思った。夕食のあと、居間に敷きつめた古新聞の上に王冠をならべて、分類し、数えた。王冠を勘定すると、どの飲み物がいちばん人気があるのかがわかった。それに、分類して数えると気が休まった。王冠でそれをやらないときには、収集しているコインや切手でおなじことをやった。 この記述を読むと、バフェットは幼少の頃からすでにバリュー投資家的な資質を明らかに示しているなあと思います。それと同時に、「向いている投資法」は人それぞれなんだな、ということも改めて実感します。どう考えても、バフェットにモメンタム投資は向いていないでしょうしね。(続く)
Mar 25, 2023
すいません、昨日は「10倍株」特集に興奮してしまい大切な告知の方を忘れてしまっておりました。(滝汗) さてそんな見どころ満載の今月号の日経マネーですが、私の連載「株式投資のレジェンドに学ぶ必勝テク」が佳境の8回目を迎えました。 今回は、「成長株投資の父」として知られ、世界一の投資家ウォーレン・バフェットの「師匠の1人」でもあるフィリップ・フィッシャーの後編です。 後、今月号の付録の「投資のお悩み解消法」にも回答者の1人としてほんのちょっとだけ登場しています。 投資初心者が悩むことって大体パターンがあるのですが、歴戦の手練れの猛者(但し自分は当てはまるかどうかは分かりません)たちがとても真摯に誠実に回答してくれています。正直「投資を始めた20年前にこれを読めていたら投資家人生違っただろうな。」と思うレベルです。(滝汗) 是非、本屋さんでご覧下さい。
Mar 22, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト136位、スノーボール(アリス・シュローダー著、日本経済新聞社、2009年) の第5弾です。 今日も第6章 バスタブ障害物競走 から。 ウォーレンはどこにいても数のことばかり考えていた。教会にいるときもそうだった。。。讃美歌集に載っている作曲者の生年と没年から寿命を計算して時間をつぶした。信心深い人たちは信仰によってなにか得をするべきだという思いがあった。讃美歌の作曲者は平均よりも寿命が長いはずだと思った。 平均よりも長く生きることは、自分にとって重要な目標のように思えた。しかし、敬虔なら長生きできるとは限らないようだった。神の恵みがことさら感じられないので、信仰に疑いを持ちはじめた。 しかし、バスタブ障害物競走と、讃美歌の作曲者について集めた情報で、ウォーレンは貴重なことを教わった。確率を計算することを学んだのだ。 この章からは、バフェットが幼少の頃から「数字」に取りつかれていて異常に執着していた様子が伺えます。彼に限らず、大投資家にはこの「数字好き」な資質を持つ方が明らかに多いと思います。 結局彼らは投資を「資金量と言う数字を増やすゲーム」と捉えていて、それを純粋に100%心の底から楽しんでいます。「こんなに増えたらもう使いきれない。ダイウィズゼロを目指しているのでもういらない。」等とは決して言いません。(笑)そしてだからこそ大成出来た、という事なのだろうと思いますね。(続く)
Mar 17, 2023
さて今日は株式投資本オールタイムベスト136位、スノーボール(アリス・シュローダー著、日本経済新聞社、2009年) の第4弾です。 今日は第6章 バスタブ障害物競走 から。 大暴落から一〇ヶ月後の一九三〇年八月三〇日、ハワードとリーラの第二子、長男のウォーレン・エドワード・バフェットが生まれた。五週間の早産だった。 ウォーレンはそのころから用心深い子供で、歩き出した時も膝を曲げて地面からあまり離れないようにしていた。 バフェットが「生まれてすぐから用心深かった」という話は実に面白いですね。 投資家は「複利のマジックを享受して大きなスノーボール⛄を作り上げる」ためには何よりも致命傷を負わずに長生きしなくてはならない訳なので、これはつまり彼は「生まれながらに投資家に向いていた。」という事なんだろうと思います。(笑)
Mar 13, 2023
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