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さて今日は、「株式投資本オールタイムベスト」シリーズ24位
テンプルトン卿の流儀(ローレン・C・テンプルトン&スコット・フィリップス著、パンローリング社、2010年)
の第3弾です。
今日も、
第2章 悲観の極みのなかで最初の取引 から。
話を一九三九年に戻すことにしよう。この年、米国経済の健全性があらためて議論の的となり、欧州で勃発した戦争に対する株式市場の認識も大きく揺れ動いていた。情勢認識は過去一二カ月のうちに弱気の見方へと変わり、それを受けて米国や欧州の株式市場は四九%も下落していた。
投資家は米国がまた恐慌に逆戻りし、欧州に誕生した自由社会と現代文明がナチスによって破壊されると見ていた。米国の投資家の見方は軒並み悲観的で、それが株価に重くのしかかっていた。この先状況がもっと悪くなるという見通しに基づいて大きく値下がりしたのだ。
最悪を予想するそうした大勢の見方に対して、ジョン叔父さんは事態を冷静に眺めており、この先の展開に関して異なる結論に到達していた。
ナチスが次々と他国を侵略し、ポーランド侵攻後は欧州が全面戦争に突入する状況を見て、ジョン叔父さんは米国もこの戦争に引きずり込まれると確信していた。そうした前提に立って、米国の製造業が自国の参戦支援に向けたコモディティ(一次産品)や製品の供給を求める大きな圧力を受けることになると予想していた。実際、最も平凡で最も非効率的な企業でさえ来るべき経済活動の活況から利益を上げられると考えていた。
この見解は、コモディティに対する需要を押し上げた米国の南北戦争や第一次世界大戦など、過去の戦争の研究によって生み出されたものだった。
ジョン叔父さんは国中の全企業が戦争支援の要請に応じることによって、この先景気の刺激要因が拡大するという強気の見通しを持っていた。
ある意味で、ジョン叔父さんは将来にまで踏み込んだ視点に立っていたといえる。その時点で支配的な見方を無視して長期的な見通しに照準を合わせたのだ。現在の事態に反応するのではなく将来起きる公算の大きい事態に集中するというこの能力は優れた投資家と並みの投資家を分ける大きな溝となっている。
それまでの研究や、ナチスの直接的な観察、自由を守ろうとする米国の積極性、歴史的前例から見込まれる産業界に対する戦争の好影響などを基に深い確信を抱いた叔父さんはそのとき大胆な行動に出た。資金を借り入れて株を買おうとしたのだ。
私の20年間以上の日本株市場での観察でも、突出した、大成した投資家の方々にはこの「
現在の事態に反応するのではなく、将来起きる公算の大きい事態に集中する」という特殊な能力が備わっていることが多いと感じています。
これは言うほど簡単なことではありません。独自のモノの見方が出来ること、大衆に流されずに自分の考え方を貫き通すことが出来ること、など沢山のハードルがあるからです。
投資で大きな利益を上げるには常に「少数派」でなくてはならないわけですが、実際にはとても難しいことなんですね。(続く)
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