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2007.10.31
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カテゴリ: Travel
スパッカナポリは「ナポリを真っ二つに割る」という意味。山から見るとクローチェ通り(おそらく)がナポリの街を文字通り2つに切っているように見えるらしい。残念ながら、「スパッと割ったナポリ」を実感できる眺めを見ることはできなかったのだが、「造形美の坩堝」であるスパッカナポリは、もちろん歩いて堪能した。

ジェズ教会

こちらはジェズ・ヌォーヴォ教会。特異なファサードに思わず足が止まる。異様な力強さで視覚に迫ってくる。

スバッカナポリの広場

そのそばにある広場。建物に囲まれた暗い路地から、いきなり明るく日の当たった広場に出るとき、ちょっとした感動を覚える。トキメキとか、解放感といってもいいかもしれない。陣内秀信はそれを「広場との感動的な出会い」と表現している。ナポリに行くなら同氏の「南イタリアへ!」を読むといい。これはとてもわかりやすく、しかも示唆に富んだ南イタリアの街と建築の解説書になっている。美術史家の著作は過去にもいろいろあったが、特に建築史家としての立場から、ここまでイタリアの街の構造と建築物のおもしろさを日本に紹介した人はいなかったのではないか。


南イタリアへ!

たとえば、陣内はナポリの街角の広場に立つグーリア(guglia)についても詳しく解説している。グーリアとは「尖塔」「尖頂」のことで、教会の屋根の上にある。上の写真で広場の真ん中に建っている塔がそれだ。一見「オベリスク(obelisco)」の小さいもののように見えるが、グーリアとオベリスクは起源がまったく違う。オベリスクは古代エジプトで権力者の功績などを記念するために作られた方尖柱(塔)のことだ。グーリアはあくまで、教会建築の屋根の頂上を装飾する尖った構造物。陣内によれば、ナポリでは、その尖塔を宗教的祭礼の行事の際に、祝祭のための象徴物として置いたという。それを広場のモニュメントとして恒常的に設置したのが、スパッカナポリの小広場にしばしば見られるグーリアというわけだ。だからオベリスクのような権力者の権威を示すためのものではなく、熱狂的な大衆の祭りの記憶を広場に留めて日常化させたものと解釈できるという。そして陣内は、「この装飾要素は、都市空間に舞台装置的な効果を生むのに大いに貢献している」と指摘する。

確かに、庶民が片寄せあって暮らす下町の狭い路地から、ふと明るい広場に出たときに、開けた空間の中にグーリアが屹立し、そこに太陽の光が当たり、周囲に日常品を売る店やちょっとしたものを食べさせる店のパラソルが並んでいるのをみると、何か、ある舞台美術の中に入り込んだような気持ちになる。生活する人々の声が聞こえる。働く声、時間をつぶす声、楽しむ声、怒る声もしているかもしれない。こうした活気は「本番の舞台演劇」で響くセリフそのものだ。スパッカナポリの広場に足を踏み入れる瞬間、それは下町の広場という舞台に、あなたも役者の1人として出て行くということなのだ。ナポリの人はみな、こうした「舞台装置的な空間」の中で自分の人生を演じている。

サンタキアーラ

こちらはサンタ・キアーラ教会の中庭。マヨルカ焼きの柱とベンチが整然としつらえてある。この「舞台装置」はよく手入れされた、きわめて静謐な空間の中にある。教会の外の都市的な雑踏とはまったく別世界だ。こうした静寂と喧騒の見事なまでの対比、しかもそれがごくごく隣接して存在していることにナポリの大きな魅力がある。

サンタキアーラ2

細部まで見ると、マヨルカ焼きの絵付けの技量自体はそれほど高いものではない。だが、それがこうして柱となり、背もたれ付きのベンチとなって大規模に計画的に設置されると見事の一言だ。日本のたとえば有田だったら、スポンサーさえいれば、これ以上の美術的な価値のある空間が作れるだろうに。

このベンチはいかにも「座って休みたくなる」ような清潔感がある。だが、ちょっとでも座ろうものなら、あるいは何かを置こうものなら、眼を光らせている係員がやってきて、いちいち注意する。日本だったら看板をそこら中に立てそうだが、ナポリ的美意識ではそうした余計な「舞台装置」は排除すべきものらしい。かわりにナポリ人は、「言葉によるルール伝達」を優先させている。そうした意識はある意味、日本人とは対極にあるかもしれない。





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最終更新日  2007.10.31 17:21:47
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