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やはり焼失していたか…
「誰かが持ち出してくれたかもしれない」――その希望は、読売新聞の「 輪島出身の永井豪さんが義援金2000万円…焼失した原画「自分が生きていれば復活できる」という
記事を見て打ち砕かれた。
輪島の朝市一帯を襲った火災によって永井豪記念館が焼失。
直筆原稿など計11作品109点、フィギュアなど立体物25点も焼失したとみられるとのこと。永井氏自身は
「自分が生きていれば、(描き直すことで)復活させることができると思っている」と非常に前向きに語っている。
本人が一番残念だろうに、永井豪は本当によくできた人だなぁ。
確かに失われた作品を作った本人が存命だというのは非常に幸運なことではあるが、いくら本人とはいえ、
30代に描いたものと70代で描き直したものは、同じではない。
技術的に見ても、同一人物とはいえないぐらい違ってしまっているだろう。作品というのは、それが絵であれ文であれ、「その時」の作者を映すもので、その時描いたものは、その時にしか描けないものなのだ。
それは手塚治虫の「新宝島」復刻版にも見える話だ。
優れた漫画家の直筆原稿は、いまや日本を代表する芸術作品と言っていい、従ってその保存は個人や市町村レベルではなく、国が行うべきだという立場のMizumizuからすれば、今回の永井豪氏の原画焼失は、「こういうことが起こるからこそ」の事例になってしまった。
永井豪氏の「人となり」は、今回の震災についてのコメントにもよくあらわれていると思うが、Mizumizuが氏の、さわやかで、しかも志の高い「人となり」に触れたのは、有名な「ブラック・ジャック創作秘話」を読んだ時だ。
この「手塚先生の凄い一面」を知りたい方は、「ブラック・ジャック創作秘話」を読んでいただくとして、永井豪は「自分にとっての手塚治虫」を、次のようにまとめている。「4歳の時、初めて読んだ『ロストワールド』以来、全部好き」「僕は手塚先生の孫弟子だと思っています」「作風だけじゃなく生涯現役だったその姿勢もまねたいものです」。
かつて一世を風靡した一流漫画家のほとんどが、「手塚作品を読んで漫画家を志した」と言っている。個人的には、永井豪までが、とは思わなかった。
というのは、Mizumizuは永井豪作品をよく知らないのだ。漫画はまったく読んだことがない。アニメで作品やキャラクターを知っているだけで、そもそも絵柄をまったく受け付けられない。これはほとんど「生理的にダメ」の域の話で、永井氏には何の責任もない。あの絵がイイ、あの絵があったればこそ、というファンが多かったからこそ、記念館までできる漫画家になったのだ。
漫画というのは、実はこれがネックだと思っている。どんなにうまい歌手でも
受け付けない
声質だと、聞く気になれない。それに似て、どれほど発行部数をのばしていようが、漫画通が「天才だ、天才だ」と称賛していようが、絵がダメだと読む気になれない。
だが、そういう自分の好みとは別に、「国が原画を保存するに値する漫画家」は、いる。Mizumizuにとって永井豪が、まさにそれなのだ。
追記:その後のニュースで永井豪の原画・フィギュアとも焼失していなかったと報道がありました。
https://article.auone.jp/detail/1/5/9/266_9_r_20240125_1706185991840223
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