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手塚治虫

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2024.01.26
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カテゴリ: 手塚治虫


​​少女漫画の神様が萩尾望都なら、里中満智子は漫画界に君臨する女帝とも言える存在だ。漫画を描くだけではない、漫画家の社会的地位を高める、権利を守るといった社会的な活動でもリーダーシップを発揮している。漫画の文化的価値について、彼女ほど理路整然と語れる才媛はいない。

高校生のときにすでにプロデビューし、すぐに売れっ子になるという稀有な才能の持ち主だった故に、「大学」という学歴はないが、これだけアタマのいい人にそんなものは必要ない。実際、大卒ではないが、大学の教授職も務めるというマルチぶりだ。

この傑出した才能が、漫画家という職業を選ぶきっかけになったのは、やはり手塚治虫。里中満智子の凄いところは、自分がどのように手塚治虫の影響を受けたか、手塚治虫の何か凄いのかを、筋道立てて語れるところだ。

機会があるごとに手塚治虫の偉大さを語る彼女は、藤子不二雄(A&F)と並んで、もっともすぐれた「手塚治虫の教え」の伝道師だ。なかでも、非常にまとまっていて素晴らしいのが以下の手塚るみ子氏との対談。

https://www.asahi.co.jp/50th/satonaka.html

​手塚「里中さんは私の父、手塚治虫のことでいろいろお世話になっています。先日2月9日、父の十七回忌にもご出席頂きました。今日は里中さんから父、手塚治虫のことをお聞かせ頂こうと思います」里中「人生の恩師というと、やっぱり手塚先生が最大の存在です。私は運良く漫画家になりましたが、漫画家になっていなくても私の少女時代にとって一番大きな影響を与えてくれた存在として一生思い続けたと思います」手塚「一番最初にマンガと出会ったのは?」里中「昭和29年、小学校に上がったら毎月一冊少女雑誌を買ってくれることになっていて、選びに行ったんです。それで選んだのがちょうど創刊されたばかりの“なかよし”でした。それは巻頭に手塚先生の作品が載っていて、その絵が気に入ったからです。それがマンガとの最初の出会いです。でその作品が気に入って、貸本屋に行って手塚先生の作品を捜しました。そうしたらありとあらゆる本、というと大げさですが...に掲載されていました。それらをちらほら見ていてすべて気に入ってしまいました。ですから少女雑誌、少年雑誌に関わらず読みました。その中で一番気に入ったのが“鉄腕アトム”でした」​

手塚「いつぐらいから漫画家になろうと思ったのですか?」里中「小学6年~中学1年の時でした。それも手塚先生がきっかけです。小学4~5年の時に“子供には良い本を与える”という名目で、子供にマンガを読ませないという運動があったんです。悪い本の代表が“鉄腕アトム”でした。その理由が第1にマンガである。第2にロボットが感情を持つなどということはあり得ない。子供の科学の認識を誤る、ということでした。でも科学は想像が大事なのにと思いました。それがなければ飛行機やヘリコプターも世に無かったと思います。

また大人達が与える本の中にはくだらない物が多かったんです。私にとって“鉄腕アトム”は心の肥やしでした。
漫画家になろうと思ったのは世の中がマンガを滅ぼすと思ったからです。それを止めるにはマンガの味方が一人でも多い方がいいと子供心に思い、漫画家になると宣言しました」

​手塚「里中さんは16歳でデビューされていますが、実際に憧れの職業に就いてどうでしたか?」里中「自分の作品が初めて印刷された時に、お金があったら町中の本を買い占めたいと思ったぐらい、私はなんてヘタなんだろうと思いました。アマチュアの時はいくらでもやり直しが出来るのですが、プロになってしまうと自分の作品に責任が生じてしまいます。ですからプロになってからが苦しかったですね。でも好きなことだと苦労を苦労とは思えないんですね。それで18歳の時に出版社のパーティーで手塚治虫先生のお姿を垣間見ました」手塚「その時に初めの出会いだったのですね」里中「出会いではなくて一方的に見ただけです(笑)」手塚「初めて言葉を交わして覚えていらっしゃることはありますか?」里中「思ったよりも少し高い声をしていらっしゃるなという感じだけで、返事が出来るようになったのはそれから2年位してからです(笑)」​


里中「一番私が思い出に残っているのは、3時間ほど先生と二人っきりで過ごせたことです。それは大阪でのサイン会に行く時の新幹線の中でです。先生はいろいろなお話をしてくださる方で、その時は先生が新婚の時のお話ですとか...」手塚「そんなプライベートな話を...」里中「その他にもいろいろなお話をされていて、その内に“僕が本当に描きたい物は真のエロティシズムなんだ”と仰ったんです。でそれまで疑問に思っていた手塚作品の底に流れる微妙なエロティシズムの謎が解けました。それで“いつ頃描いてくださるんですか?”と聞いたら“そのうちね”と仰ったのでずっと楽しみにしていたんです」

里中「先生がありとあらゆるテーマでマンガを描いていたので、後に続く作家はどんなテーマ、ジャンルで描いても良いんだと、当たり前のように思っています。良くアメリカの人に“なぜ50年ぐらいの間にマンガ文化が進んだんだ?”と聞かれます。それで説明しているのが面倒なので“我が国には手塚治虫がいたからだ”と答えています」

​今では、想像もできない話だが、「教育熱心な親」が漫画を燃やす…なんてことが本当に起こった時代があるのだ。里中氏のように、漫画が世間から糾弾され、憎まれていた時代のあることを知っている漫画家の証言は貴重だ。

どんなテーマで漫画を描いてもいいという「自由」の根底にあるのが手塚治虫だというのも、慧眼としか言えない。皆が当たり前のこととして享受している権利は、実は手塚治虫のような先達が世間の矢面に立ち、それでも描くことをやめなかったからこそ得られたもの。こうした視点をキチンと指摘できる存在のあることは、手塚治虫という個人にとっても、漫画界全体にとっても、日本の文化にとっても、とてつもなく大きい。






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最終更新日  2024.01.26 18:15:07


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