日々草

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2007.01.13
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テーマ: 今が旬の話(408)
カテゴリ: 本の紹介

 ウェブのなかで生きる子供たちはどのよう成長するのか。

 2006.05.19の私の日記、カテゴリー本の紹介で、私は 梅田望夫 著「ウエブ進化論」について、ネットに住む若い人々がどんな世界を築きつつあるのかについて、驚き、感銘して、興奮して、「ウエブ進化論」の革新性とその《思想》を紹介した。
 今度はその同じ著者が若い作家: 平野啓一郎 と対談する形式で「ウエブ人間論」という本を出版した。
    ウェブ人間論  梅田望夫・平野啓一郎  (新潮新書)

 今回のこの本は、ネットが進化することで、社会はどのように変化し、人間はどのように変容していくのかということが、テーマの中心になっている。
日本におけるインターネット元年は1995年と言われている。それから10年、それ以前の生活が想像できないほど、質的に変化した暮らしを私達は、今、している。
とりわけ、中学生以下の、子供たちは、生まれたときから、或いは幼児期から、インターネットのある大人の生活の中で成長してきた。彼らにとっては、ウェブの世界は空気のようなものである。
さらに、昨年あたりから、携帯電話の進化は著しく、子供たちは携帯を通して、日常的にインターネットと結びつき、まさにネットのなかで生活している。
子どもたちの生活は、以前とは質的に異なるレベルでネットのなかで生活している。
益々深くネットにもぐりこんでいる。
毎日このような中学生とおしゃべりしたり、勉強している婆さんとしては、「この子供たちはどのような大人に成長していくのか」ということにとても興味があり、予測の立てることのできない不気味さを感じている。
子供たちは、言い面も悪い面もすべてをこき混ぜて、無批判にどっぷりとネット世界に浸かっている。
「これでいいのか」とい思いが強いが、何しろこれは人類が始めて遭遇している状況であり、おいそれと結論は出ないし、下手に発言するものなら「よい子」や「わけのわからぬ批評家諸氏」から罵詈雑言を浴びる羽目になるのである。

そんな日常生活のなかで、この「ウエブ人間論」は、私に色々な示唆を与えてくれた。

特に、若い作家、平野啓一郎の現代をとらえる視点、その中で生きる人間は、どう変容しつつあるかに関する深い思索に感銘した。
若い人の中に、このように根源的なところから深く社会を人間を見ようとしている人がいるということに力強い未来を感じた。

 昨年5月に「ウェブ進化論」について書いた時には、ウェブ2.0の世界に突入したネットの世界に何が起きているのか、読みつつもイマイチすっきりと理解できなかったが、今回の「ウェブ人間論」では、作家の平野啓一郎が、私のような未熟者にも分かるような質問を梅田望夫に投げかけて、対話を進めていることにより、より深めて具体的に理解することが出来た。梅田望夫氏が言われている「ネットに住む」と言う意味も少し具体的に理解できた。

 ネットの「進化」によって、人類未踏の新しい「知」を創造できる、現に創造しつつある。その世界に住む新しい人間像が生まれつつある。
技術の革新、革命性が社会の仕組みや経済の仕組みそのものを変革していくことへの無垢な信仰や、社会に変動を与えることへの快感や熱狂が、アメリカのIT産業を推進しているアメリカの「エリート」集団であることはよく分かった。アメリカの豊かさがまさに生み出すことの出来た「恐るべき子供たち」が、グーグルの集団であることが今回の本でよくわかった。

この集団が創造している「知」が、革命的ともいえる影響を社会に与えていることも事実である。この集団の組織のありかたが、未来の社会を暗示しているかもしれない。
100年後の働き方は、こんな風かもしれない。

しかし、この科学技術が、それを使う人間に何をもたらし、今後の歴史をどう作り変えていくかは、ほとんど未知数といっていい。
そして、人間をどう変えて行くか、どんな社会を作り出す力になるかは、今、実験中であるといっていい。
この優れたテクノロジーを使いこなし、人間の暮らしを人間的に豊かなものものにしていく世界観が出現することなしに、このテクノロジーの革新性は真に社会を変革へとする事にはならないのではないか。
ただ、技術の革新を追及することで、社会に変動を与えるというのは、技術者集団の幻想ではないか、とい思いを私は強く今回は抱いた。
梅田氏の言われる「玉石混淆のネット世界」は、自然淘汰により良い秩序を作り出す。個人がウェブを生き抜く「リテラシー」を身につけていけば、良い秩序をネット自身が生み出す力があるといのは、幻想ではないか。
現実の社会そのものを、意思的な人間の「知」で変革するすることなくして、ウェブの真の意味での進化などありえない気がしてきたのである。

庶民の子供たちの育ち方や日常をみるにつけ、深く憂慮するのである。
彼らは、受身的にしかネットの中に住んでいないし、今後もそうであろう。
この大衆は、社会の一大勢力であり、日常を動かす大きな力である。しかも未来の社会の住人たちである。

いずれにしても、この「ウェブ人間論」は、現代進行中の技術革新が、社会の深部にまで及んでおり、その中で生活している人間の在り方に、深刻な影響を与えていることを、私達の前に示してくれる。大きな時代の代わり目に、私達は、どう生きるべきか、どんな子育てをすべきか、深く考えさせてくれる本である。






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最終更新日  2007.01.13 16:17:53
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