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昭和の頃、社会に出て仕事に就くことは、
その職に注力すると同時に、
柵(しがらみ)に身を委ねることによって、
組織の中で存在感を与えられていました。
郷にいれば郷に従うことは当たり前とされ、
ルールとは別に柵の長に言われるとおりにし、
忖度することがその後の処遇にも影響し、
自分の意とすることが叶えられるかは、
柵の中での身の置き方や印象で決まりました。
柵が日常の中心となると、
一般的な常識や観念とは別に、
固有のルールやルーティンが生まれ、
一般社会とは一線を画する、
エキセントリックな世界にもなりえます。
柵=縛りという印象があるのは致し方なく、
個人主義やダイバーシティが叫ばれる現代で、
柵は無用の長物とされるようになりました。
余計なことをせず時間どおりに効率よく、
仕事をすることがプロの鑑とされます。
課されたことを対価に見合う程度に施し、
自分のために自主性を発揮するスタンスです。
働き方改革も相俟って人が足りないとしても、
自主的に忖度したり助ける共感は減りました。
しかし、大人数の共同作業で成り立つ職種では、
個人主義だけでは成り立つわけもなく、
マネージャーは結局柵を感じてくれる人から、
助けを乞うことになります。
柵は不要なのではなく必要です。
縛りと感じない相互の信頼関係をつくることで、
立場を利用しない柵を構築すべきです。
長の配下を纏める力量も重要ですが、
今の廃れた人間関係のあり方では、
弱小の企業では良い方向に向かないでしょう。
柵のよくない点は序列を明確にしようとする点で、
問題が生じた時に他者に助けを乞うと言うよりも、
一般的には人を利用したり陥れる関わりが見られ、
柵を抜けた時に欺かれたと気付いたりします。
また生活の中心が柵にある人には、
周りから何を言っても聞く耳を持たなかったり、
妙案を出しても暖簾に腕押しだったりします。
柵を持つことによって排他的になっていないか、
注意が必要でチャンスを潰す原因になります。
人は自分より上と認識した人は加点法で評価し、
下だと認識した人には減点法で評価します。
褒められず愛がなく貶されてばかりの柵は、
抜け出ることを考えなければなりません。
柵の中にいてよくないと思ったならば、
実際に抜けた時はもっと悪い印象が残ります。
また柵の中での他者からの自分の見られ方は、
柵の外の人にも影響を及ぼすことが多いです。
しかし、柵がないと不真面目だったり、
仕事や他者に対して無気力な人も多いです。
高い地位や強い立場の人の柵を持つことで、
長に同化して力を出す人も多いです。
合理的でない社会の仕組みが、
今一気に露呈してきている気がします。
よい柵がなければ、人は身勝手になり、
騙し騙されたという思念が残りやすいです。
よい柵を構築していくことが急務でしょう。
そこでやっと真の信頼関係が生まれます。
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