ワルディーの京都案内

< 新しい記事

新着記事一覧(全6820件)

過去の記事 >

2016/06/10

【京都のニュース】京都とゆかり深い、長宗我部盛親の注目高まる　１７代当主に聞く

テーマ：国内旅行どこに行く？(51682)

カテゴリ：京都のニュース

2016年

　ＮＨＫ大河ドラマ「真田丸」の最後の決戦地として「大坂の陣」が注目される中、大坂方の武将として奮戦した 長宗我部盛親 の注目度が、出身地の高知だけではなく、京都でもにわかに高まっている。６月１１日（旧暦５月１５日）は 六条河原 で盛親が斬首された日だ。牢人（ろうにん）時代を過ごし、墓が残る京都とはゆかりが深い。入洛した長宗我部家１７代当主の長宗我部友親さん（７４）に盛親と京都への思いを聞いた。

■大坂の陣、家再興かける

　－長宗我部氏と京都とのつながりは。

長宗我部氏 は 秦河勝 の末裔（まつえい）です。 保元の乱 で子孫が 崇徳上皇 方について敗れ、土佐に逃れました。長岡郡曽我部郷に隠れ住み、長宗我部を名乗るようになりました。もともと長宗我部氏は京都とはゆかりが深かったのです。私は元親の末弟・親房の系譜で１７代目です。私が２０代で大阪勤務だった頃、長宗我部と縁を感じて京都市内から通っていました。

　－盛親は関ケ原での敗戦後、 相国寺 門前に住まった。京都でどう過ごしたと考えるか。

　関ケ原の際は、家臣団に統一がとれていなかったのでしょう。東軍にくみする気だったが、関所があり、体制が定まらないままに西軍についてしまった。一貫していなかったのは家を残す点では問題だったのかもしれません。敗戦後は、井伊直政を通じて交渉し、家名存続を訴えましたが、家内の混乱もあり、土佐の代わりとなる土地でも存続できなくなり、取りつぶされました。

　盛親は京都では罪人扱いではなく、それほど拘束されていなかったようです。盛親は短気の印象がありますが、書状からはとても家臣思いでもう一度呼び戻したいという気持ちが読み取れます。京都で盛親は復活にかけていた。だから大坂の陣で最後の夢をかけたのでしょう。

　－大坂の陣での活躍をどうみるか。

　「大坂城では盛親を慕う土佐の旧臣が多く、最も兵を集めました。夏の陣の八尾・若江の戦いでは藤堂高虎隊に勝ちましたが、皮肉な結果となりました。藤堂隊には昔の土佐の家臣が多く雇われていた。勝ちはしたものの盛親にとっては後味が悪い戦いでした。落城後も盛親は、京街道に潜んで最後まで家康の命を狙うことをあきらめませんでした。

　盛親は六条河原で斬首されました。生前に親交のあった 蓮光上人 が近くの 蓮光寺 （下京区）に葬っています。首だけではあわれと思いましたが、蓮光上人が遺体も一緒に葬った記録があり、ほっとしました。昨年は４００周年の法要に参列し、京都に来たら寄っています。京都は盛親にとって思い出があり、大切な場所だったのでしょうね。

　－大河ドラマでは俳優の阿南健治さんが盛親を演じる。

　今までは真田幸村や後藤又兵衛の脇役的存在でしたが、新しい盛親像を作ってもらいたいですね。再興を願いながら家臣を思う人間的な部分を表現してほしい。八尾の戦いは戦国の業のような戦い。長宗我部家の内面の苦しみを描いてくれればと期待しています。

　＜ちょうそがべ・ともちか＞　高知市出身。早稲田大卒。共同通信社で経済部長、常務監事などを経て２００４年に退任。四国統一を成し遂げた長宗我部元親の末弟・親房の系列で１７代目。著書に「長宗我部」、「長宗我部　復活篇」など。

（写真右）長宗我部盛親と京都について語る長宗我部友親さん（京都市中京区・京都新聞社）＝撮影・辰己直史。長宗我部盛親の肖像画（蓮光寺蔵）