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昨日は終日曇り空ではありましたが、お昼過ぎには日差しの射す間もあって、冬とは思えぬ温かい一日を過ごすことが出来ました。お昼休みを利用して近くの公園に出かけると、多くの人がウオーキングを楽しんでおられました。今私はウオーキングといいましたが、これは「散歩」のことですよね。皆さんも散歩はなさいますよね。部屋にこもりっきりの人、なさった方がいいですよ。身体ばかりでなく精神にとっても非常によい。ところでこの「散歩」ですが、「散歩」は元々は医学用語であったってご存知でしたか?『歴代天皇のカルテ』(篠田達明著 新潮新書)の聖武天皇の欄に出ておりました。【楽天ブックスならいつでも送料無料】歴代天皇のカルテ [ 篠田達明 ]価格:756円(税込、送料込)聖武天皇といえば、奈良の大仏建立を命じた天皇として有名ですよね。・・・ということは、「散歩」の語源は奈良時代にさかのぼることになるのです。さらに、さらに驚いたのは、あの唐招提寺で有名な鑑真和上のことです。私はてっきり仏教の教えを日本に広めるために、朝廷より請われて大陸より日本に苦難の末に渡来したのだと思っていたのですが、実は病弱であった聖武天皇が虚弱体質を改善しようとして、当時最新の医薬調合の技にすぐれた唐の薬師(医者)でもあった律僧鑑真和上を招いたということなのです。正倉院には、このときの鑑真の薬物が60種保存されているとのことで、聖武天皇が好んで服用されたという、いわば強壮剤が、「五石散」。「五石散」を服用するとしばらくして全身がぽかぽかと温まってくる「散発」がおきる。この「散発」を促すために「五石散」を服用したあとは、必ずそこらじゅうを歩き回らねばならない。それゆえに、これを「散歩」という。・・・・驚愕!!!こんな意味があるとは、知りませんでした。体の火照りを促さんがための散歩なんだと。現代人は、これをウォーキングと称して、やせんがための「散歩」と決めこんでいるのです。・・・この私もなんですが。。。(苦笑!◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年12月16日
今読んでいる本、「新・包丁人侍事件帖(2)料理番 忘れ草」 (小早川 涼 著)御家人の身分でありながら将軍家斉に目通りが許されている江戸城の台所人鮎川惣介は、包丁を持たせれば天下一品の腕を振るうのであったが、剣の腕は鞘から刀を払うのが精々というまるで武士らしからぬ侍。そんな惣介が周りで起こる難事件を次々と解決していくという痛快時代小説。事件解決の決め手は、料理人鮎川惣介の自慢の鼻、臭覚だというのだからおもしろい。【楽天ブックスならいつでも送料無料】料理番 忘れ草 新・包丁人侍事件帖(2) [ 小早川涼 ]価格:691円(税込、送料込)本書には「半夏水」「大奥願掛けの松」「鈴菜恋病」の三作が収録されていますが、それぞれ独立した話になっているものの前後に関係していて、惣介が家斉から預かった英吉利人(えげれすじん)末沢主水や、惣介の幼馴染で大奥添番の片桐隼人、京から来た料理人で家斉の継嗣・家慶の正室の料理番・桜井雪之丞、そして惣介の娘鈴菜などの登場人物が、惣介の人の心情を気遣う優しい魅力的な人間性を引き立てる。大雨の日に父にうそをついてまで外出した愛娘の鈴菜から感じ取ったかすかな松脂の匂い、小屋の戸を開けた瞬間に感じ取れた異人(末沢主水)特有の体臭、片桐隼人の同僚の添番7人から漂う松の樹皮の匂い、紛い物の薬屋に漂う麹と甘い蜜の匂い、そして鰻屋の親父に染み付いた蒲焼の匂い。・・・惣介の謎解きが冴える。惣介の謎解の冴えもさることながら、惣介と登場人物が織りなす人情溢れるストーリー展開に、心の琴線が揺り動かされずにはいられません。◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年12月09日
何もかも忘れて、ぶらり放浪の旅に出てみたいという誘惑に駈られることありませんか?しかし、今の生活や仕事、さらには家族のことを思うと、それらを打ち捨ててまで自由奔放に行動する勇気を持ち合わせていない小心者の私は、ある意味幸せであるに違いないと思ったりもしています。 放浪の旅をしてみたいが、そんな勇気は持ち合わせていない。しかし、それ故に幸せであるだろう人々にお奨めします。この本を読んで放浪してください。篠藤 ゆり著 「旅する胃袋」【送料無料】旅する胃袋 [ 篠藤ゆり ]価格:720円(税込、送料別)標高4000メートルにある寺でバター茶に癒され、香港で禁断の食材を味わい、砂漠で人生最高のトマトエッグスープに出会う。見知らぬ世界各地を旅し、土地土地の珍しい食べ物を口にしてみたい・・・、誰でも思うが、なかなか叶うことがない願望を、この一冊は寝床で温かい布団に包まりながら叶えてくれます。ただし、お腹がへってなかなか寝つかれなくなってしまうのが欠点ではありますが・・・。(笑!◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年12月08日
貴方はこんな漢字読めますか?「これだけは知っておきたい!難漢字ドリル」(土屋書店編集部 編)より【楽天ブックスならいつでも送料無料】これだけは知っておきたい!難読漢字ドリル [ 土屋書店 ]価格:1,069円(税込、送料込)これは副題でしょうか、「解説を読めば教養も身に付く」とも書かれていますが、教養の浅き者にとってはなんとも心騒ぐ魅惑的なただし書きですな。(笑!問題が5題ヒントといっしょに載っています。さて、皆さん読めますかな?【問題】1)玉蜀黍 2)行潦 3)剽軽 4)晩稲 5)葡萄染【ヒント】1)やさい 2)天候に関することば 3)・4)性格 5)色・・・正直に告白します。私が読めたのは4)の一問だけ。それもたぶんこう読むのではないかなという当てずっぽうが7割の回答です。他の4問はまったく手も足も出ませんでした。曲がりなりにも4)が読めたのは、当地は米どころの北陸富山ですから、子どものころから早稲・晩稲という言葉になじんでいたから。これは稲作のことじゃないか、でもヒントには性格とある。なるほどこれは稲作から派生して人の性格を表している言葉だな。そしたらこれはまったく自分のことを指しているじゃないかと気づいたわけです。そちら方面のことはまったく何も知らない"晩稲"でしたね。(苦笑!1)はやさいで最初の一文字が「玉」なら、タマネギか?でもタマネギなら玉葱だろう。・・・はて?同様に5)は最初の2文字は「ぶどう」と読みたくなりますでしょ。そして「染」ですからね。・・・「ぶどうぞめ」ってどんな色だ?ぶどう色なら確かに色は連想できますが、葡萄色に染めた色ってまったく回りくどいではありませんか。3)は素直に読めば「ひょうけい」でしょうが?「ひょうけい」な性格って、どんな性格だ?2)は音読みなら「ギョウリョウ」か「コウリョウ」でしょうけど、そんな天候に関する言葉聞いたことありません。ということは、たぶん訓読みなんだろうな?(実は「潦」の音読みは「リョウ」ではなく「ロウ」と読むことすら知りませんでした)「潦」には「さんずい」が使ってあるから、水に関する言葉だろう。天候に関する言葉だというなら、そしたら「しぐれ」とか「むらさめ」のように雨に関する自然現象を指す和名に違いない。そんな雨って?・・・ワカリマセン!まったく悔しいではありませんか。負け惜しみではありませんが、こんな漢字すらっと読める日本人、いると思います?◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年12月05日
日経連載「迷いの旅籠」(宮部みゆき 著)が毎朝の楽しみです。本日11月29日で連載176回。主人公は江戸は神田にある袋物屋、三島屋の女将の姪おちか。おちかが三島屋の客間「黒白の間」に語り手を招き入れて不思議な話や恐ろしい話を聞き出すというストーリー。第1話は謎の絵師が描いた村の亡者が次々と生き返るという世にも怪奇な話。第2話は、おちかが江戸で人気の仕出し屋・だるま屋がかき入れ時に仕出し屋を休業する理由を聞き出しているうちに語られる、「ひだる神」の話。この「ひだる神」、不気味ではあるものの愛嬌があっておもしろい。本日の挿絵(北村さゆり 画)を見ると、だるま屋の主人房五郎と思しき男が、頭をかきかき愛想のいい笑を浮かべている。その左上に目と目の間が離れた何とも奇妙なそれでいて愛嬌のある顔をしたもの(人物?)が描かれている。足がないのに影があるところを見るとこれが「ひだる神」だな。当地(北陸富山)では、何となく体に力が入らないようなときに、「ひゃ~だる~なった」などとお年寄りが表現することがあります。こういった話し言葉が残っているところをみると、「ひだる神」の存在も身近に感じられようというものです。房五郎がこの「ひだる神」に取り付かれてより、煮売り屋の商売が繁盛し、新しく興した弁当屋の新商品「ひつまぶし弁当」も大ヒット。大通りに表店を出すまでになった。これは、今日に語り継がれる不気味な「ひだる神」からは想像も出来ない「幸福を招く神」(妖怪)ではないか。こんな妖怪なら少々不気味でも取り付かれてみたいような気がしないでもない。(笑!ではなぜ房五郎はかき入れ時に商売をしようとしないのだろう?「ひだる神」が何か関わっているのだろうか?・・・話の続きが待たれます。どうやら私は、まるで宮部みゆきさんと北村さゆりさんの女性コンビが作り出す奇妙怪奇な世界に、取り付かれてしまったようです。・・・これは何神というのだろう?◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年11月29日
今読んでいる本、福原 俊彦著「家斉の料理番 異国の御馳走」。第1作「家斉の料理番」に続く待望の第2作は、将軍の発した気まぐれなひとこと、「西洋の料理を食うてみたいのう」から始まった。ブックカバーに描かれたイラストを見ると、テーブルの上に肉とパン、それにスープの皿が置かれていて、家斉とおぼしき侍がナイフとフォークを両手に持ち、これはまさしく肉を一切れ頬張ったところであろうか。まったくもって不可解きわまるこのイラストは、「異国のご馳走」のストーリーをよく象徴していておもしろい。【楽天ブックスならいつでも送料無料】異国の御馳走 [ 福原俊彦 ]価格:691円(税込、送料込)将軍が食べる毎日の食事を差配する御膳奉行の藤村幸之進は、表向きの役目とは別に将軍の立場では食すことのできない料理を市中で密かに家斉に振る舞う役目を担っていて、家斉お気に入りの臣でもあった。家斉の無茶な願いに応えるために奔走する幸之進は、ロシアから帰ってきた漂流民、大黒屋光太夫に助言を求め近づくことになるが・・・。幸之進は異国の料理にまつわる知識を求めて蘭学者や大黒屋に関わる中で、老中首座水野出羽守忠成(ただあきら)らの企てに気づくことに。はたして幸之進は西洋の料理を家斉の前に饗じ、見事家斉の望みに応えることができるのだろうか?そして水野忠成の企みはどうなる・・・?◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年11月22日
今読んでいる本福 原俊彦 著 「家斉の料理番」【楽天ブックスならいつでも送料無料】家斉の料理番 [ 福原俊彦 ]価格:712円(税込、送料込)ブックカバーのイラストを見ると朱塗りのご膳に置かれた皿から海老の天ぷらとおぼしきものを箸でつまみあげている武士とその傍らに畏まりその様子をじっと見守る武士が描かれています。天ぷらを口に運ぼうとしている武士の羽織には三つ葉青いの紋がありますから、これが家斉ということでしょう。傍らに畏まった武士が本作の主人公御膳奉行の藤村幸之進というこになるのだろうか。天ぷらは揚げたてのアツアツのところをサクサクと食べてこそ上手いというもの。江戸城中奥で食べる将軍の食事は、それこそ幾人にもよる毒見をへて中奥まで運ばれるから、おそらく天ぷらは冷めてしまっているだろうし、衣はべっとりと歯にまとわりついてとてもサクサクというようなわけにはいかない。御膳奉行にかせられた役目は、将軍が食べる食事の献立を決め、出来上がった食事の毒見を努めるということなのだそうですが、幸之進にはもうひとつ別の役目が与えられていた。なんと将軍という立場では食すことのできない市井の料理を家斉に城外で饗する役目を担わされているというのだ。その幸之進はとある日、将軍の食事に毒が入っていることに気づく。いったい誰が・・・。時の幕閣、老中松平伊豆守信明と水野出羽守忠成(ただあきら)の権力争いが背後にうごめいていることに気づく幸之進であったが・・・。◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年11月21日
今読んでいる本 上田 秀人著「禁裏付雅帳1 政争」【楽天ブックスならいつでも送料無料】政争 [ 上田秀人 ]価格:712円(税込、送料込)人気時代小説作家上田秀人の新シリーズ、今回のヒーローは「使番」(後に「禁裏付」に栄進)で旗本500石の若き当主・東城鷹矢(とうじょうたかや)。時は11代将軍に15歳の家斉が就任した直後。将軍が代がわりをすると一年以内に諸国に巡検使が出されるのが当時の幕府の慣例であったという。「東城典膳(てんぜん)、五畿十国巡検使を命じる」「ははっ、謹んでお受けいたしまする」鷹矢は使番の花形といえる巡検使を担うことになったのであったが、いっこうに巡検使出発の命は下らず、後日黒書院に呼び出された鷹矢は老中首座・松平越中守定信直々から、新たに「公儀御領巡検使」を命じられ慌しく京に立つことになった。松平定信は将軍家斉の意を汲み、実父一橋治済(ひとつばしはるさだ)の大御所称号勅許を朝廷に願うが交渉は思うように進まず、ならば公家の不正を探り、朝廷に圧力をかけようと「公儀御領巡検使」を発令したのであった。何も知らない鷹矢は、幕府と朝廷、先の老中首座・田沼意次の引きを受けた京都所司代・戸田因幡守忠寛(とだいなばのかみただとお)の争いの渦の中に巻き込まれることに。戸田因幡守が放った刺客の手から逃れ、江戸へ戻った鷹矢を待ち受けていたものは、思いもかけぬ「禁裏付」の命。黒書院溜まりに定信の押し殺した低い声が響く。「・・・なにより重き役目は、朝廷の中で起こった事件の探索、犯人の捕縛である」若き「禁裏付」東城鷹矢は、複雑に絡み合いもつれ合った政争の渦の中で、はたして困難な任務を成し遂げることが出来るのだろうか?◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年10月29日
東シナ海を巡る領土・領海の問題や歴史認識の問題などで、すっかり冷え切ってしまったお隣の大国・中国と日本。中国なりの理屈を言って日本を非難し、日本は日本なりの理屈を言って抗弁する。しかし、ジョークで日本人と中国人の考え方の違いを知ると、両国のホンネが意外と見えて来ておもしろいと思った。ならば、世界は日本のことをどのように見ているのだろう?「世界の日本人ジョーク集」 (早坂 隆 著)を買い求めました。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】世界の日本人ジョーク集 [ 早坂隆 ]価格:820円(税込、送料込)日々刻々と変化する国際情勢のことを思えば2006年に出版された本著はいささか古い感は拭えませんが、ズバリ確信を突くジョークに、思わず膝を叩くことしばしば。さて世界は日本人をどのように見ているか?秀逸なジョークを3つ紹介したいと思います。問い ユダヤ人の鼻の穴はなぜ大きいのか? 答え 空気はタダだから。問い ではなぜ日本人は鼻の穴が小さいのか? 答え タダだから遠慮している。国際会議において有能な議長とはどういう者か?それはインド人を黙らせ、日本人を喋らせる者だ。各国の政治化が集まって「どうしたら日本を怒らせることが出来るか」について話し合った。中国の政治化が言った。「我が国は潜水艦で日本の領海侵犯した。それでも日本は潜水艦を攻撃してこなかった」韓国の政治家が言った。「我が国は竹島を占領した。それでも日本は攻撃してこない」ロシアの政治家が言った。「我が国はもう長きにわたって北方の島々を占拠している。それでも日本は攻撃してこない」その話を聞いていた北朝鮮の政治化が笑いながら言った。「そんなこと簡単ですよ。我々が核兵器を日本に使いましょう。そうすればさすがに日本は怒るでしょう」するとアメリカの政治家が首を横に振りながら言った。「無駄だね。それもうやったもの」言いえて妙とはまさにこのこと、恐るべしはジョーク。侮れません。◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年10月18日
皆さんは、「まくなぎ」という言葉をご存知だろうか?ちょっと聞いたことありませんよね。線路の「枕木」なら聞いたことありますが・・・。(笑!お奨めの一冊、『うたの動物記』より、本日話題にするのはこの「まくなぎ」。【楽天ブックスならいつでも送料無料】うたの動物記 [ 小池光 ]価格:2,916円(税込、送料込)「俳句や短歌には動物、植物がいっぱい出てくる。・・・中には言葉としてさえ全然知らないものがある。・・・『まくなぎ』もそのひとつだ」筆者の歌人小池光さん自身でさえもこのように書いておられるくらいですから、私が知らなかったのも当然といえば当然。動物記に取り上げられるくらいですから、「まくなぎ」は立派な動物なのでした。「ヌカカやユスリカなどの小さな蚊、あるいはそれに類するものの総称」なんと蚊であった。「まくなぎ」の「ま」は目のことで、その前をうるさく、ちらちら飛ぶという意であると。私もこの歳にもなると、視線を急に移したりすると目の前を「まくなぎ」がよく飛び交います。・・・って、そりゃ~飛蚊症のことだろう!(苦笑!最後におもしろい俳句が一句紹介されていました。まくなぎを払いて車寅次郎 岸田稚魚「まくなぎ」が何であるか知らなかったら、この俳句さっぱりわかりませんよね。「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又・・・」ではじまる、あの寅さんの仁義をきる仕草が、「まくなぎを払いて」によって手に取るよう伝わって来ます。ちなみに「まくなぎ」は夏の季語ということです。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年10月14日
突然ですが、「今日の日本では全国津々浦々に普及し、その数は五五〇万台を超え、年間売上金額は七兆円に上る」というものご存知でしょうか?正解は「自動販売機」「自動販売機の文化史」〈鷲巣力(わしず つとむ)著 集英社〉に載っていました。・・・なるほど、私たちは自動販売機のお世話にならないことはありませんね。『自動販売機の文化史』〈鷲巣力(わしず つとむ)著 集英社〉先ず驚いたのは、日本は世界でも類を見ない自動販売機大国なのだそうです。その第一の理由にあげられるのが治安の良さというのです。品物とお金の詰まった箱を路上に置いておくということなど、他国では考えられないと聞かされれば、かえってこちらの方が驚いてしまいます。次に自動販売機の歴史は、紀元前のアレクサンドリアにさかのぼると言うのですから、これまた驚きです。何を自販したのかというと、水。貨幣を入れると重みで弁が開き、水が得られる仕組みだったとか。それから2000年の時を経て、19世紀のイギリスで、さらに20世紀前半はアメリカで、後半にいたって極東の島国日本で、自動販売機がこのように進化をとげ、我々の生活になくてはならないものになるとは、さすがにクレオパトラでも思いもよらなかったに違いありません。「自動販売機はなぜ日本で発達したのか。自動販売機が人間や社会に与えた影響は何か」を知りたい方は、ぜひ本書をご一読されてはいかがでしょう。◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年10月12日
趣味はと聞かれれば、すまし顔で「落語観賞でしょうかねぇ・・・」と答えたい。その上人生で必要なことを学ばせてくれるのなら、なおさらというものでしょう。そこで、お奨めの一冊。「人生で必要なことはすべて落語で学んだ」(童門 冬二著 PHP文庫) 【送料無料】人生で必要なことはすべて落語で学んだ価格:620円(税込、送料別)目次を見ていくと、風流に生きたい/底抜けに明るい生き方/貧しいけれど豊かに暮らす/ケチと倹約のちがいは?/挫折したって歩いていける/夢をかなえる法/老後なんて心配するな/コンプレックスをプラスに変える・・・など。どうです・・・。皆さんも普段このようなことで思い悩まれたことあるに違いありません。筆者はこのようなことをすべて落語から学んだと言っています。どうぞ"落語人間"におなりください。"落語人間"として生きていくことは、楽しくて幸福なことでもあると。人生を上手に生きるコツは、「笑い」の中にあるということを学ばせてくれる本です。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年10月11日
お奨めの一冊。理にかなった議論を百尽くすより、ウィットに効いた一言で相手を沈黙させることが出来るのがジョーク。日本人からすれば何かと理屈の通らぬことを平気で押し通そうとするお隣の大国・中国。フラストレーションは溜まる一方と感じておられる方多いのではないでしょうか。そんな鬱憤は「<ジョーク対決>中国人VS日本人」(ベスト新書 早坂 隆 著)を読んで溜飲を下げてください。【楽天ブックスならいつでも送料無料】中国人vs日本人 [ 早坂隆 ]価格:740円(税込、送料込)数あるジョークの中から、私が選んだ秀作を3つご紹介します。ある中国人が日本人を殴った。中国人は言った。「私は自分の手を振り回していただけです。私には自らの手を振り回す自由と権利があるはずです。それを他人からとやかく言われる筋合はない」すると日本人が答えた。「しかし、その自由は私の鼻の直前まが範囲のはずなんですよ」学校で先生が生徒に聞いた。「君の母親は誰だ」生徒は答えた。「はい、我が愛する祖国、中国です」「では君の父親は?」「それはよき指導者である中国共産党です」先生は満足げにうなずきながら、さらに聞いた。「それでは、君の将来の夢は?」生徒は答えた。「はい、僕は孤児になりたいです」ブッシュが 胡錦濤に言った。「アメリカでは、ホワイトハウスの前で堂々と私の悪口を言っても逮捕されません」それを聞いた胡錦濤が答えた。「中国でも、天安門広場で貴方の悪口を言っても逮捕されませんよ」2008年に出版されたものなので、最後のは米中の指導者が一代前になっていますが、この先何代までいけば、この種のジョークが囁かれなくなるのでしょう?◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年10月07日
今読んでいる本、上田 秀人著 「町奉行内与力奮闘記1立身の陰」。【楽天ブックスならいつでも送料無料】立身の陰 [ 上田秀人 ]価格:702円(税込、送料込)人気時代小説作家上田秀人の新シリーズのヒーローは、町奉行所の内与力でした。奉行所の与力は幕府の役職のひとつだと思っていましたが、幕府の御家人から選ばれる与力とは別に、奉行が自分の家臣から選任する与力もいたいうこと、この本を読んで初めて知りました。「町奉行内与力奮闘記」のヒーローは、直参旗本・町奉行、曲淵甲斐守(まがりふちかいのかみ)の家臣で曲淵から内与力を命じられた若き侍・城見亨(しろみとおる)の活躍を描く。城見亨は後者の方の与力ということになります。主君の栄達は家臣の誉れと固く信じて疑わない亨は、大阪町奉行から江戸北町奉行に栄進した奉行と共に生き馬の目を抜くという将軍お膝元の江戸へ赴任することに。一方そこに待ち受ける奉行所専属の与力は、「此度のお奉行は、どのようなお方であろう?我ら奉行所の慣習に通じておられる方ならよいが・・・」「大坂で手柄を立てられ、この若さで江戸町奉行に任ぜられた方じゃ、先を望んでおられるであろうの」「お奉行が栄達されようがされまいが、我らには関係のないことぞ」「そうであったの。ではさっさと先に進んでいただくか、それとも・・・」怠惰と保身の固まりのような奉行所の中で、亨はどのように与力を努めるというのであろうか?亨の忠義心ゆえの生真面目さが奉行所に波紋を投げかける・・・。◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年10月04日
今読んでいる本、土橋 章宏 著「幕末まらそん侍」【楽天ブックスならいつでも送料無料】幕末まらそん侍 [ 土橋章宏 ]価格:648円(税込、送料込)マラソンといえば現代では陸上競技の花形競技、知らぬ人はいないでしょう。2000年以上も前のこと、マラトンの丘に攻め寄せたペルシアの大軍をギリシヤ軍が打ち破ったという知らせをアテネに知らせるために伝令が40キロの道を走りぬいたという故事が起源のスポーツ。その故事にならい1896年アテネで開催された第1回オリンピックから正式競技として採用されたそうですが、それより40年も前の開国直前のわが国でマラソンが行われていたとは知りませんでした。ただし、当時はマラソンではなくて「遠足」と呼ばれていた。ナニ、遠足(えんそく)とな?遠足なら楽しいに違いないでしょうが、正しくは遠足(とおあし)。上野国(こうづけのくに)碓氷郡(うすいごおり)安中藩主板倉勝昭が、家臣の心身鍛錬のために安中城より碓氷峠の熊野神社までの七里(約30キロ)の山道を走らせたという記録が残っているということです。本著はそれを基に書かれている。NHK・BS時代劇で今話題になっている「一路」(浅田 次郎 著)でも、この安中藩の「遠足」のことが書かれていましたね。参勤交代の道中藩主が俄かに病を発し、定められた日時まで江戸城に参府できなくなり、遅延の知らせを安中藩士の「遠足」に託した描写がありました。書状を託された3人の「遠足」侍の走る姿は、まるで旋風が街道を通り抜けるかのようであったと。5章に分かれた本作は、その各々が「遠足」を走った安中藩士の中から主人公の侍を作っているのですが、前の章に出てきた侍の名が次の章で出てきたりして、全体として「まらそん侍」のストーリーを構成している。登場する侍たちはいずれも理不尽と思いながら「遠足」を走ることになるのですが、不思議と走り切った後に何かしらツキが落ちたような爽快感に似た思いを抱くのであった。・・・何ゆえか?それは平凡に過ぎてゆく日常にこそ幸せが隠れているということかもしれない。最後まで読んだ読者は、「遠足」を走りきった侍たちと同様な爽快感を味わうことになるのでした。◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年09月20日
『殴り合う貴族たち』(繁田信一著 角川文庫)を書棚から引っ張り出して来て読み返しています。【送料無料】殴り合う貴族たち価格:820円(税込、送料別)いかにも突拍子もない題名と、表紙カバーに描かれたイラスト・・・土俵のような丸く仕切られた上で3人の王朝貴族が殴りあっている・・・思わず吹き出してしまうイラストに誘われて購入しました。優雅なはずの王朝貴族たちは、頻繁に暴行事件を起こす危ない人々でもあったって、信じられますか?筆者の繁田信一氏が、普段私たちが平安時代の貴族から抱くイメージからはとても想像できない彼らの実態を、紫式部も尊敬した小野宮実資の日記を解き明かすことによって知らせてくれています。歴史好き、とりわけ平安王朝時代に興味ある人にお薦めの一冊です。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年09月13日
今読んでいる本、「表御番医師診療禄6 往診」【楽天ブックスならいつでも送料無料】表御番医師診療禄6 往診 [ 上田秀人 ]価格:648円(税込、送料込)時は5代将軍綱吉の治世、4代家綱で嫡流の途絶えた徳川宗家の後継に綱吉を推し、それゆえに綱吉の信任の篤い老中堀田筑前守正俊が、殿中で若年寄稲葉岩見守正休によって惨殺された刃傷事件。その隠された謎を解き明かした表御番医師診矢切良衛の活躍を描く本シリーズも早第6巻。将軍親政を目論む綱吉、それを阻もうとする幕閣、さらには既得権益にしがみつく大奥、そして朝廷の復権を夢見る京の五摂家、もろもろの敵対する思惑が良衛を嵐の波間に浮かぶ小船のごとく踊らせもてあそぶ。前作で大奥で密かに進められていた陰謀を未然に防いだ良衛は、寄合医師に昇格し長崎遊学を許されることに。しかし、このときこそ好機とばかりに良衛の出世と遊学を利用せんとする策謀が、道中に張り巡らされる。はたして良衛は次々に襲い来る魔の手から逃れることが出来るのか?長崎で医術を窮めたいという良衛の本望は叶うのだろうか?◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年09月08日
何もかも忘れて、ぶらり放浪の旅に出てみたいという誘惑に駈られることありませんか?しかし、今の生活や仕事、さらには家族のことを思うと、それらを打ち捨ててまで自由奔放に行動する勇気を持ち合わせていない小心者の私は、ある意味幸せであるに違いないと思ったりもしています。 放浪の旅をしてみたいが、そんな勇気は持ち合わせていない。しかし、それ故に幸せであるだろう人々にお奨めします。この本を読んで放浪してください。篠藤 ゆり著 「旅する胃袋」【送料無料】旅する胃袋 [ 篠藤ゆり ]価格:720円(税込、送料別)標高4000メートルにある寺でバター茶に癒され、香港で禁断の食材を味わい、砂漠で人生最高のトマトエッグスープに出会う。見知らぬ世界各地を旅し、土地土地の珍しい食べ物を口にしてみたい・・・、誰でも思うが、なかなか叶うことがない願望を、この一冊は寝床で温かい布団に包まりながら叶えてくれます。ただし、お腹がへってなかなか寝つかれなくなってしまうのが欠点ではありますが・・・。(笑!◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年08月29日
時は14代将軍徳川家茂の治世、文久年間というから260年もの太平が続いたさしもの江戸時代も末期も末期。あと数年で大政奉還、天下の趨勢が明治の維新に大きく舵を切ったこの時期においてさえも、旧態依然として参勤交代が行われていたというのは、ただただ武門の矜持にこだわり古めかしい体面を守ろうとする硬直した武家社会をこれほど巧みに表すものはないのではないか。一路(上)に続き、主人公の若き参勤道中御供頭・小野寺一路が中山道を江戸へと急いだごとく、私も先を読み進めたのでした。【楽天ブックスならいつでも送料無料】一路(下) [ 浅田次郎 ]価格:691円(税込、送料込)巻末の交代寄合表御礼衆・旗本7千5百石、蒔坂左京大夫(まいさかさきょうだいぶ)の参勤行列が歩んだ中山道の絵図をみると、左京大夫の国許・西美濃田名部郡垂井は江戸日本橋から数えて57番目の宿場町だということが分かります。これを師走の厳寒期に11泊12日かけて江戸へ向けて行軍した。当時の中山道とはいかなる街道であったのだろうか?私が参考にできたのは、それから150年以上も経って平成の御世に観光地となった馬籠、妻籠の旧中山道の街並みのみ。私らは隣りあったこの二つの宿場町を冷房の効いた観光バスで行き来したのでしたが・・・。父の急死のあとをうけて参勤道中御供頭を命じられた小野寺一路。参勤の経験すらない御供頭が頼りにするは、父が唯一残してくれた家宝ともいえる「行軍録」。これが元和の御世の蒔坂家参勤道中の記録というのだから驚く。元和といえば家康が幕府の礎を固めたころに遡るのだから、文久から数えておおよそ250年。平成と文久がおおよそ150年であることを思えば、いかに古いものであったかがわかるというもの。いかにも時代離れした古式にのっとった参勤の行軍にこだわった一路。それが太平の世に慣れきった武士に真の武門の矜持をよみがえらせることになったのだから、読み進める読者は「したり!」と笑みを浮かべずにはいられません。歴史好き、時代小説好きにはたまらぬ一冊と言えましょう。ぜひご一読を・・・。「一路」のストーリーについては、NHK ONLIN に分かりやすく書いてあります。以下に抜粋しておきますので、ご参考ください。江戸屋敷で生まれ育った小野寺一路(19)は、「道中御供頭(おともがしら)」の父が、国元の屋敷の失火で焼死し、急遽、呼び戻される。国は西美濃の蒔坂家。七千五百石の旗本だが、大名格の名家。「御供頭」とは、参勤行列の準備から道中の一切を取り仕切きる役目である。 本来、失火は家禄召し上げの大罪だが、参勤交代の出発が迫っているため、一路は御供頭を命じられる。しかし、一路は父からお役目について全く引き継いでいない。もし何か失敗すれば、お家取り潰しもありうる。一路は、誰一人頼れぬ四面楚歌の中、父が命がけで守った参勤交代を記した先祖伝来の“行軍録”を頼りに、江戸を目指すことを決意する。「参勤行列とは行軍、私にとってこれは戦なのです!」しかし、実は今回の参勤交代には、殿を失脚させ、お家を乗っ取ろうとする謀が仕組まれていた―。◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年08月26日
古来より「天は二物を与えず」といいますが、医者にして文筆家(作家)という器用な方が多くいらっしゃいますね。古くは斉藤茂吉、この方は精神科医にして歌人でした。先ごろ亡くなられた渡辺純一は、医学博士にして直木賞作家。「失楽園」を知らぬ人はいないでしょう。漫画・アニメ界の巨匠手塚治虫も医学博士でありながら、メスではなくペンの方を取った。もっとも手塚はインターンのときを除いて一度も患者を診たことはなかったといいますから、医者とは言えないかも知れない。血を見るのをひじょうに怖がったといいます。現代にもどって売れっ子時代小説作家上田秀人は、現役の歯科開業医。出すシリーズことごとくヒットするのですから、人の口の中を覗きながらも、次に出版する作品のストーリーを考えているに違いないと思ったりしています。(笑!もう一人私の好きな作家、篠田達明も現役の整形外科医。この方の「カルテ」本は歴史上の有名人物を医者ならではの視点から考察したものだけに説得力があります。その「カルテ」本の一冊、「歴代天皇のカルテ」より、第45代聖武帝の記述。帝が唐より招いた高僧鑑真和上の意外な秘密に興味が駆られました。【送料無料】歴代天皇のカルテ価格:735円(税込、送料別)何年か前に正倉院から納められたという仏具の箱が東大寺の地下から発見され、中から奈良時代の中高年男性の歯が出てきたというニュースが報じられたことと関連があります。この歯は当時50歳後半で亡くなった聖武天皇のものではないかと。子どものころ乳歯がぐらぐらになって抜けると、上の歯なら下へ、下の歯なら上へ窓から放り投げると丈夫な歯が生えてくると言われ、疑いもせずそうしていたものでした。このような風習は当地だけのものか、或いは他の地域にも残っているのか知りませんが、それが奈良時代にまで遡ることが出来るのかどうかは、私の知るところではありません。聖武天皇といえば、熱く仏教に帰依し、当時流行した疫病に苦しむ民のために大仏殿を建立したことで有名ですね。また唐より名僧鑑真和上を招へいし仏教を広めようとしたと歴史の時間に習いましたが、鑑真和上には授業では習わぬ隠れた一面があったようです。篠田達明著「歴代天皇のカルテ」によれば、鑑真和上は名僧に違いなかったが、当時の唐でも指折りの薬師(現代で言うところの医者、調剤師)でもあったとあります。なるほどそういうことであれば、生まれつき病弱であった聖武帝は、鑑真の僧としての仏教の力にすがると同等以上に、薬師としての力にその権力と富を行使したのではないかという思いを強くします。その聖武帝のものと思われる歯が、東大寺の地下に埋められた鎮壇具の中から出てきたというのですから、歴史好きにとっては"ロマン"がかきたてられます。ひょっとしてこの歯は、鑑真和上の手によって聖武帝の口から抜かれたものかも知れませんね。そのとき和上はどのような治療・投薬を天皇に施したのでしょう。あるいはどのような経を読んだのでしょう。私は、聖武天皇も古今東西の絶対的権力者がたびたび陥ったという不老不死の薬を鑑真和上に求めたのではないかの思いを強くします。果たして鑑真和上は聖武帝の求めにどのように応えたのであろうか?静かに経を読んだだけだったのだろうかと・・・。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年08月25日
お奨めの一冊、「江戸川柳で現代を読む」 (小林弘忠著 日本放送出版協会)より、傑作の江戸川柳を三首ご紹介したいと思います。【送料無料】江戸川柳で現代を読む [ 小林弘忠 ]価格:714円(税込、送料込)困った時はお互いさま、困っている人を見ると手助けしないではいられなかった江戸庶民も、医者に対しては、意外やキビシイ感情を抱いていたということを窺い知ることができます。「極藪医者(ごくやぶいしゃ)竹の匙(さじ)で盛り」「にわか医者まず縁者から盛り殺し」「殺しても見ねばわからぬ匙(さじ)加げん」当時の庶民にとって一番はなもちのならぬのが、偉そうに差し迎えの籠に乗り、大店(おおだな)や旗本屋敷に出入りする町医者。こんな医者のことを庶民は絶対にお医者さまとは呼ばなかった。ただの一言、『藪!』それもそうですよね、当時医者に診てもらうと、薬代も含めてあっという間に一両がなくなってしまったそうです。年間の米の消費量が一人約一石(金額にして一両)だそうですから、診てもらいたくても庶民は誰も医者にかかれなかった。さて時は江戸時代から現代へ戻ります。私の学生時代のこと、友達に大藪(おおやぶ)という名前の学生がいた。ある講座の教授が授業開始の前に、名簿を見ながら出席を取っていて、「○○君、○○君、大藪(おおやぶ)君・・・!」「オオヤブ!?・・・大藪君、君は工学部を目指して賢明だったね。これが医学部であったら、改名せにゃならん・・・」私は、心の中ですかさず、そしてひそかに言ったのでした。「教授!教壇に立たれるのも結構ですが、高座に立たれても立派に通用しますよ!」もう40年前のことにもなろうかという古~い、古い「藪」にまつわる話でした。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年08月23日
今読んでいる本、浅田 次郎著「一路」(上)NHKのBS時代劇でこの「一路」をかいま見て少なからず興味を持ちました。早速購入しようと行った本屋では、「一路」(上)(下)の横にディスプレーされていた別の本もいっしょに買うことに。よし、ならば「一路」に取りかかる前の露払いにと、「超高速!参勤交代」を「超高速」(一晩)で読破。本命に取りかかったのでした。【楽天ブックスならいつでも送料無料】一路(上) [ 浅田次郎 ]価格:691円(税込、送料込)日本人なら江戸時代に大名に課せられていた参勤交代を知らぬものはいないでしょうが、いかに武門の矜持を保つためであるにしても、ただただ堅苦しいばかりでこれほどばかばかしい行事は、歴史上類をみないのではないかという気になりますね。父の不慮の死により先祖代々のお役目・参勤道中御供頭(おともかしら)を命ぜられたものの、お役目について何も知らぬ小野寺一路、このとき齢は若干の19歳。手にした家伝の「行軍禄」を頼りに道中を差配することになる。しかし、この「行軍禄」が長い太平の年月の間に倦んでしまった家中の武士たちの性根を驚かすことになろうとは・・・。若き参勤道中御供頭・小野寺一路に、江戸城黒書院に座り続けた書院番士(浅田次郎著「黒書院の六兵衛」)の背中がダブります。果たして一路は、忘れ去られた武門の矜持を見事示すことができるのだろうか?◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年08月20日
「超高速!参勤交代」(土橋章宏 著)を超高速で読みました。参勤交代に「超高速」はどう考えても不似合い。しかも江戸時代には使われることもなかったびっくりマーク「!」がついているのですから、超びっくりするではありませんか。【楽天ブックスならいつでも送料無料】【夏の文庫キャンペーン2015】超高速!参勤交代 [ 土橋章...価格:810円(税込、送料込)実は本屋へ今話題の「一路 (上)・(下)」(浅田次郎 著)を買い求めに行って、その隣に本著がディスプレーされていたので、「おや?」と手に取ったのでした。ブックカバー全面に描かれている挿絵が、まさしく超高速で先を急ぐ必要最低限の大名行列を面白おかしく表現していますね。馬にまたがった武士が参勤交代の主・陸奥国湯長谷(ゆながや)藩1万5千石藩主、内藤政醇(まさあつ)。馬の尻にそろばんをはじきながらついて来ているのが、湯長谷藩城代家老・相馬兼続。街道脇の松の木にのぼり行く先を見定めようとしているのが、戸隠流の雇われ忍者・雲隠段臓(くもがくれだんぞう)。鋏箱を担ぐ者、毛槍を持つ者・・・、総勢8名と一匹の行列(?)。そもそも参勤交代では、大名は駕篭に乗っていくものではないか?何ゆえ政醇は馬にまたがっているのか?東北の弱小藩に降りかかった覚え無き嫌疑。国へ戻ったばかりの政醇に江戸へ出仕して嫌疑を晴らせとの命。しかも5日以内に参内せよとは、あまりにも非情。さては幕閣は端から湯長谷藩を取り潰そうという魂胆か?金がない、人手がない、そして何より時間がない。果たして東北の弱小藩は、人も要り、金もかかる、そして何より時間のかかる行列をしたてて、5日以内に江戸へ行くことが出来るのだろうか?◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年08月19日
「ってやんでぇ~、こちっとらぁ~江戸っ子だい。そんなまどろっこしいこたぁ~、我慢ならねぇ~!」わが国の首都東京は、その昔江戸と言ったのは知らぬ人はいませんね。その江戸で親子三代生まれ育ったものを江戸っ子と呼ぶことはよくご存知でしょう。粋でいなせで情にもろく、細かい事にはこだわらない。意地っ張りで喧嘩早いかと思えば、普段駄洒落ばかり言って愉快がっている。・・・う~む、なかなか憎めない性格ですな。(笑!さて江戸っ子の気質は分かったとして、それではどうして「江戸っ子」と言うようになったか、ご存知でしたか?江戸っ子の由来について、時代小説の巨匠柴田練三郎が「江戸八百八町物語」で解き明かしています。【中古】 江戸八百八町物語 / 柴田 錬三郎 [文庫]【あす楽対応】価格:251円(税5%込、送料別)家康から秀忠の御世となり次第に平穏無事な時代に移って来ると、旗本大久保彦左衛門のような功名槍一筋に生きた戦場武者は、幕府にとってすでに無用の長物。彦左衛門の不幸は、戦雲あわただしい時勢から、吹く風が枝も鳴らさぬ太平の時勢にまで生き延びたことであったと、筆者は書いています。齢70歳を迎えても家督を譲るべき息子を持たぬ彦左衛門は、隠居願いも出すわけにもいかず、古稀を迎えたからには毎日登城するのも大儀であろう故、気ままにせよと下命されても、毎日出仕し続けたそうです。しかし、さすがに70なかばを超えると登城もままならず、日長一日屋敷で暮らす日々であったと。そんな彦左衛門の退屈しのぎに町人を屋敷に引き入れ、彦左衛門が町人たちに昔の武勇話を聞かせたのが、そもそも「江戸っ子」の由来につながったというのです。彦左衛門が町人たちに語った太閤秀吉の九州征伐の話。秀吉の弟大和大納言秀長を大将とする豊臣勢9万余を迎え撃った、薩摩島津の将兵はわずかに2万余。死を覚悟した薩摩の将兵の腕には、皆「今月今日討死、何の何某」と入墨がしてあったと彦左衛門が町人に聞かせたところ、町人たちが打ち揃って彦左衛門にこう願い出たというのです。自分たちは駿河から御旗本衆について江戸に出てきたもの。この城下に子々孫々まで住みつく覚悟である。自分たちが他国者たちと違っている徳川譜代の町人だという誇りを持ちたいので、その名前をつけてくれ。そうすればそれを腕に彫って証としたいと。しばし瞑目した彦左衛門が、「江戸っ子、というのはどうだ」と言うと、町人たちは歓声を上げたと。以来、町人の間に腕に「江戸っ子何某」と刺青して得意になる風潮が、彦左衛門の屋敷があった神田駿河台一円にひろがったのだと。旗本の中の旗本、時代劇でも今日にその名を残すあの大久保彦左衛門が、「江戸っ子」の名づけ親だったという話でした。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年08月05日
今読んでいる本、北川 哲史 著 「江戸城案内仕る(将軍の朋友)」 江戸城に240人もいたといわれる坊主衆。家臣の介添えなくしては着替えすら出来なかったという大名が、江戸城で何かと頼りにしたのがお坊主衆と呼ばれた同朋衆。その坊主衆を束ねる同朋頭・藤田輝阿弥(ふじたきあや)の活躍を描く「江戸城案内仕る」シリーズ第2弾。【楽天ブックスならいつでも送料無料】江戸城案内仕る(上様と大老) [ 北川哲史 ]価格:680円(税込、送料込)第1弾「将軍の朋友」では,4代将軍家綱の後継問題が舞台でした。京の宮家より将軍を招き己の権力の維持を図ろうとした大老・酒井忠清と、一度は決定した宮将軍の案を土壇場で覆し、綱吉を将軍に就かせた老中・堀田正俊の争いに巻き込まれた輝阿弥の活躍が描かれていました。今回は綱吉の将軍就任により、酒井忠清は失脚。幕閣の中でただ一人綱吉を将軍に推した堀田正俊が権力を掌握し大老の座に就いたのだったが・・・。将軍親政にこだわる綱吉と従来どおり幕閣による政治体制を維持しようとする堀田正俊との間には微妙なズレが・・・。この後歴史書によれば、時の大老(堀田正俊)が将軍御座所近くの部屋で、若年寄(稲葉正休)により刺し殺されるという大事件の発生を伝えていますが、筆者はこの刃傷事件と同朋頭・藤田輝阿弥を巧みにフィクションで結び付けている。歴史書によれば、堀田正俊を刺し殺した稲葉正休は、居合わせた他の老中により滅多切りに遭い死んだことになっています。そもそも江戸城においては、脇差の濃口を切っただけでもその身は切腹、お家は断絶というのが定法。稲葉正休を取り押さえればいいものを、どうしてを定法を犯してまでその場で殺さなければならなかったのか?本著はこの疑問にも輝阿弥を使って答えてくれています。「江戸城案内仕る」・・・、輝阿弥は誰を江戸城のどこへ案内したのだろうか?◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年08月03日
今読んでいる本、 北川 哲史 著 「江戸城案内仕る(将軍の朋友)」時代劇の中で江戸城の畳廊下の端を小走りに行き来する坊主頭の登場人物を目にすることがあります。当時の江戸城には、これらの坊主衆と呼ばれる同朋衆が240人もいたと本著には書かれています。頭を丸めていることからも同朋衆は武士(旗本)ではないことが分かります。ところがきわめて低い身分にもかかわらず江戸城に出仕し、お目見え(将軍に謁見できる)もかなったというのがこの坊主衆。本著はこの江戸城の御坊主衆を束ねる同朋頭、藤田輝阿弥(ふじたきあや)の活躍を描く痛快時代小説。【楽天ブックスならいつでも送料無料】江戸城案内仕る(将軍の朋友) [ 北川哲史 ]価格:680円(税込、送料込)当時江戸城に出入りできるのは直参旗本と大名の当主のみ。たとえ御三家といえどもその家臣ともなると、江戸城には入れなかった。身の回りのことすべて家臣の介添えなくしては何もできなかった大名のために、江戸城内でなにかと世話をしたのがこの坊主衆。天下の中枢であった広大な江戸城内を自由に行き来できたのがこの坊主衆であり、多くの大名は坊主衆の手を借りなければ厠へも行けず、茶の一杯も飲めなかったといいます。藤田輝阿弥は同朋頭という職務上、自然と情報が集まることから政治の舞台裏にも通じ、その威光は時として幕閣以上と大名からも恐れられた。筆者は輝阿弥をそのような境遇の主人公に仕立て上げています。時は4代家綱治世。幼くして将軍についた家綱は、長じても政務のすべてを幕閣に任せ、とりわけ大老酒井忠清の権力は下馬将軍と言われるほど絶大なものがあったといわれていたころ。輝阿弥の耳に、驚くべき報せが入る。次期将軍候補、甲府宰相・徳川綱重の多額の拝借金問題・・・。甲府藩で何が起こっているのか。将軍後継問題と幕閣の間の権力争いも絡んだ天下の危機に、同朋頭・藤田輝阿弥はどう動こうというのか。殿中奥深くにあるという菊の間のさらに奥、開かずの間と呼ばれる「閻魔の間」とは?「江戸城案内仕る」・・・、輝阿弥はどこへ案内するというのだろう?◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年07月29日
お奨めの一冊、「病が語る日本史」(酒井シズ著 講談社)本棚から何度も手に取っては読み返しています。【送料無料】病が語る日本史 [ 酒井シヅ ]価格:1,103円(税込、送料込)著者の酒井氏の経歴をみると、三重県立大学医学部卒業、東京大学大学院終了とあります。医学部のご出身なのだから医師免許をお持ちなのだろうと想像しますが、専攻が「医史学」ということですから、大学院に進まれてからは「医史学」に興味を持たれて、医者でありながら歴史学者の道を歩まれたのでしょう。現在日本医史学会の理事長を務められていると紹介されています。今も昔もこの世に生まれてきた人が避けて通れぬ道は、老・病・死。誰しも避けて通りたいと願いながら、宿命に従うしかなかった・・・。その時代時代を生きた人は「病」をどのように捉え、どう対処してきたのか?著者の酒井氏もそこに強い興味を持たれたのに相違ありません。まさに「病が語る日本史」、「医者の目から見た日本史」。歴史好きにはたまらない一冊と言えましょう。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年07月28日
皆さんは、「まくなぎ」という言葉をご存知だろうか?ちょっと聞いたことありませんよね。線路の「枕木」なら聞いたことありますが・・・。(笑!お奨めの一冊、『うたの動物記』より、本日話題にするのはこの「まくなぎ」。【楽天ブックスならいつでも送料無料】うたの動物記 [ 小池光 ]価格:2,916円(税込、送料込)「俳句や短歌には動物、植物がいっぱい出てくる。・・・中には言葉としてさえ全然知らないものがある。・・・『まくなぎ』もそのひとつだ」筆者の歌人小池光さん自身でさえも冒頭にこのように書いておられるくらいですから、私が知らなかったのも当然といえば当然。動物記に取り上げられるくらいですから、「まくなぎ」は立派な動物なのでした。「ヌカカやユスリカなどの小さな蚊、あるいはそれに類するものの総称」なんと蚊であった。「まくなぎ」の「ま」は目のことで、その前をうるさく、ちらちら飛ぶという意であると。私もこの歳にもなると、視線を急に移したりすると目の前を「まくなぎ」がよく飛び交います。・・・って、これ飛蚊症でした。(苦笑!最後におもしろい俳句が一句紹介されていました。まくなぎを払いて車寅次郎 岸田稚魚「まくなぎ」が何であるか知らなかったら、この俳句さっぱりわかりませんよね。「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又・・・」ではじまる、あの寅さんの仁義をきる仕草が、「まくなぎを払いて」によって手に取るよう伝わって来ます。ちなみに「まくなぎ」は夏の季語ということです。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年07月19日
書棚にしまってある本を引っ張り出してきてまた読み直してみるというのは、どうでしょう、そうそうあるものではありませんよね。しかし、この本はこれで何度読み直しただろう。篠田 達明 好きな作家の一人です。今読み直している本「偉人たちのカルテ」(篠田 達明著 朝日文庫)【送料無料】偉人たちのカルテ [ 篠田達明 ]価格:609円(税込、送料込)現役の整形外科医でもある著者が、現代医学の視点から歴史上の偉人の最後について考察した「偉人たちのカルテ」。まずブックカバーに描かれたイラストがとてもユニーク。篠田先生とおぼしき医者が、甲冑姿のまま下着を大きくまくった武田信玄とおぼしき戦国武将の腹に聴診器を当てている。はたして診たてはいかがであったのだろうか?黒澤映画の名作「影武者」では、武田信玄が野田城を力攻めしたとき、城内から聞こえる笛の音を聞こうと城壁に近づいたところを狙いすまして発射された鉄砲玉により落命したように描かれていました。しかし、名医篠田先生の診たてによれは、食道がんか胃の噴門部にできたがんの公算が大であるということです。また、当時がんが原因で死亡する人が少なかったのは、いわゆるがん年齢と言われる40代後半から50代まで生きれた人がまれであるからとも書かれてるのは、なるほどと納得できますね。何しろ人間50年の時代ですからね、ましてや戦国武将は、病より戦場で死ぬことを第一に考えていたはずですから、自分の体の健康管理には無頓着であったのかもしれません。信玄にしてもしかり。もしもう少し健康管理に気をくばっていたら、がんの発症は免れなかったとしてもあと2年、3年は長く生存できたかもしれない。そうすれば3年喪を隠すというような遺言も残さずに済んだであろうし、徳川、織田を蹴散らして京に軍勢を進めることが 出来たかもしれない。病気が変えた日本の歴史という観点で書かれたこの本、家康の臨終はどうであったか、謙信は、秀吉は・・・、興味がつきません。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年07月18日
お奨めの一冊「江戸川柳で現代を読む」 (小林弘忠著 日本放送出版協会)【送料無料】江戸川柳で現代を読む [ 小林弘忠 ]価格:714円(税込、送料込)傑作ぞろいの川柳の中から、私が選んだこれぞ江戸川柳というもの二首をご紹介します。夕立に取り込んでやる隣の子出ぬ乳も泣く子の口へ箸やすめにわか雨に長屋の隣の家の洗濯物と子供を家に入れてやる御かみさん、 ・・・エライ!母親が用事で留守にしている間、ひもじいと言って泣く隣の乳飲み子に、もうすでに出なくなって久しい自分の乳首を含ませる長屋の御かみさん、 ・・・カァ~、やるねっ!人情溢れる当時の江戸市民の生活ぶりがじ~んと伝わってきて、涙ものだ!川柳に涙をこぼす馬鹿もおり ( ← 私のことです・・・笑!)書名にあるごとく現代の世相と比較すると、はたして当時と今とどちらが住みよい世の中なのだろうかと思ってしまいます。現代なら、さしずめ・・・・・(以下の二首は私が作りました)マンションの上から落とす隣の子我が子にも飲ませてなるか乳垂れる人の痛みに敏感である、そんなやさしさって、やはり大切だと思った次第です。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年07月13日
今読んでいる本、「御広敷用人大奥記録8 柳眉の角」【楽天ブックスならいつでも送料無料】柳眉の角 [ 上田秀人 ]価格:669円(税込、送料込)人気時代小説作家・上田秀人の「御広敷用人大奥記録」シリーズ、本作八話にして主人公御広敷用人水城聡四郎(みずきそうしろう)が立ち向かう真の敵の姿が見えて来ます。時は8代将軍吉宗の治世。3代家光以降肥大化し表の政にまで介入する大奥潰しを目論んだ吉宗が、その先手として送り込んだのが直々の引き立てにより大奥を差配する御広敷用人に抜擢した元勘定吟味役水城聡四郎。6代家宣の御台所天英院と7代家継の生母月光院がその支配を巡って争う大奥にあって、吉宗が目をつけたのが5代綱吉が京都の公家より幼女として大奥に入れ、その後忘れ去られていた竹姫。吉宗は竹姫を継室とすることによって、天英院と月光院の力を削ぎ、金食い虫と化した大奥を改革しようとしたのだったが。苦境に陥った五摂家筆頭近衛家を実家に持つ天英院が、兄の近衛基煕に宛てた手紙とは。副題にある「柳眉」を辞書で調べると、柳の葉のように細く美しい眉とあるごとく、美人の眉を形容したもの。「柳眉を逆立てる」というような使い方をしますが、これは怒りのあまりおおよそ顔立ちから想像もつかないような行動を取ることをいいますね。まさしく天英院は柳のような眉の下に角を隠していたと、筆者は表現したかったのかも知れません。江戸城大奥を舞台にした醜き権力争いは、京都五摂家と朝廷にまで飛び火し、吉宗の足元をまで危うくすることに。「水城、京へ行け。躬の内意を朝廷に届けてこい」吉宗の使いとして再び京へ行くことになった聡四郎。道中待ち受ける数々の刺客。京に待ち受ける近衛基煕の陰謀。・・・聡四郎危うし!果たして聡四郎は吉宗の意を汲み、使命を成し遂げることができるのだろうか?◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年07月12日
そば通(ソバツゥー)・・・なんて心地よい響きでしょう。私もいつかは、そのように呼ばれてみたいと思うのです。かなわぬ思いに、そんな憧れにも似た「そば通の本」(サライ編集部 編 小学館文庫)を手にしました。【楽天ブックスならいつでも送料無料】そば通の本 [ 村瀬忠太郎 ]価格:493円(税込、送料込)そうか、そば通と呼ばれるには、文学にも精通しなければならなかったのか!第7章 文学に登場する蕎麦より、俳句にもそばが数多く読まれておりました。たくさんあげてあった中でも、私にも誰だか分かる人が読んだ俳句を抜粋します。蕎麦はまた花でもてなす山路かな 芭蕉落つる日のくくりて染まる蕎麦の茎 蕪村我里はつきと仏とおれと蕎麦 一茶さらに時代が新しくなって、山越えて三島に近しそばの花 子規帰り見れば蕎麦また白き稲みのる 漱石・・・う~む、何となくそば通になったような、ならないような?◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年07月05日
人気時代小説作家、上田秀人の新シリーズ「百万石の留守居役」も本編で早くも5作目。百万石とは言わずと知れた加賀前田藩。留守居役とは江戸時代幕藩体制が整った後に、各藩が幕府の動向や他藩の思惑といった情報をいち早く知るために用意した役人のこと。【楽天ブックスならいつでも送料無料】密約 百万石の留守居役(五) [ 上田秀人 ]価格:712円(税込、送料込)時は4代家綱が継嗣を残さず死に、後継に家綱の弟館林宰相綱吉が選ばれ江戸城に入ったばかり(まだ朝廷から将軍の指名を受けていない)。幕閣も、家綱を支え絶対的権力を欲しいままにしていた大老酒井雅楽頭(うたのかみ)忠清から、綱吉を後継に押した堀田備中守正俊に移ろうとしていたころ。鎌倉時代の先例にならい、継嗣のなかった家綱の後継に宮家から名ばかりの宮将軍を擁立し、権力の維持をはかろうと画策した酒井忠清。御用部屋(老中一同)の意見も酒井忠清の案で決したその夜のうちに、死の淵にある家綱の枕元に綱吉を連れて訪れ、後継に綱吉を指名させたのが堀田正俊。綱吉をそのまま強引に西の丸(将軍後継者の住まい場所)に入れてしまった。この二人の幕閣の権力争いに巻き込まれたのが、外様第一の雄藩加賀百万石。酒井忠清に替わり権力を握った老中堀田正俊は、加賀前田家の抱える本多家(加賀藩筆頭家老)に狙いをつけた。名君の誉れ高い加賀藩5代藩主前田綱紀によってに引き立てられた我らがヒーロー若き留守居役瀬能数馬(せのうかずま)は、百万石を取り潰しの危機から救うことが出来るのか?数馬が図った起死回生の妙手とは?◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年06月25日
時間があって金にも十分余裕があれば、ゆっくり体と心をを休めたいものだと思ったとしても、別段お叱りを受けるものではないでしょう。ところが実際は日々の生活に追われ汲々とした毎日を過ごしているのは、時間も金もないということなんでしょう。(涙!毎週末の日経には、各旅行代理店のツアー広告が何社も掲載されていますが、私はいつもその広告を見比べて、やれ高いだの、ホテルのグレードがどうの、食事は何を食わしてくれるだの、行けもしない国内有名温泉地や外国の観光地に立つ自分を夢想したりしていますが、これって侘し過ぎますかね。何もかも忘れて旅行が出来たらどんなにかいいだろうと思うことしばしばです。かといって今の仕事や生活や、もしかしたら家族も投げ捨てて、放浪の旅に出る勇気も無謀さも私は持ち合わせてはいないのですが、これはこれで凡人の幸せというものかも知れないと思ったりしています。そんな思いで、度々本棚より取り出して開く一冊。【送料無料】世界一周ひとりメシ [ イシコ ]価格:630円(税込、送料別)世界33の都市を訪れ、その地で"ひとりメシ"を食おうという「イシコ」(筆者、ペンネームか?)なる人物こそ、誰もが一度は憧れるにちがいない放浪者。私も「イシコ」とともに世界一周一人メシの旅に出ることにしました。今私は、南米ウルグアイの主都モンテビデオからトラブル続きの飛行機便を乗り継ぎ、ロサンゼルス国際空港に着いたばかり、空港内のカウンターバーで早朝からカクテル(ブラッディマリー)を飲んでいます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年06月20日
今読んでいる本。小早川 涼 著 「料理番に夏疾風 新・包丁人侍事件帖」【楽天ブックスならいつでも送料無料】料理番に夏疾風 [ 小早川涼 ]価格:604円(税込、送料込)身分制度が確立していた江戸時代において、同じ士分でも旗本と御家人では天と地の開きがあったことは言うに及びません。その決定的な違いをはっきりと表しているのが、将軍に拝謁出来るか出来ないか。将軍の同じ家来でありながら、旗本は将軍に拝謁が許されるが、御家人はそれが叶わない。もっとも将軍に拝謁が許されるといっても、はるか下座で平蜘蛛のように這いつくばるだけで頭を上げることも叶わない旗本がほとんどであったことを思えば、御家人とどれだけ違うのかと思えても来ますが、旗本の矜持の誇り高きは、まさにこの「お目通り」が叶うことにあったと断言しても言いすぎではないようです。ところが本著「将軍の料理番」シリーズでは、御家人に過ぎない御広敷料理番鮎川惣介が、とんでもない御家人という設定になっている。将軍の普段の御座所である中奥御小座敷に直接上がり、将軍と間近に接し直答が許されるというのですから、ただただ平蜘蛛のように這いつくばるだけの「お目通り」が叶う旗本の矜持も、たちまちの内に色あせてしまうほどの御家人と言えます。さてその将軍とは11代家斉。惣介の呈する料理が家斉に気に入られたのがきっかけで、一ヶ月か二ヶ月に一度家斉の好むちょっとした料理や甘味を作り、それを惣介が自ら御小座敷に献上して、一時将軍の話し相手を命じられることになった。それだけに周囲の妬み、僻みは尋常のもではなく、日ごろ御広敷料理所では気まずい毎日を送っている料理番鮎川惣介が主人公という物語。「包丁人侍事件帖」と題にあるがごとく、江戸城とその回りで起こる不可解な事件をこのうだつの上がらぬ料理人が謎解きするというストーリー。時代小説と推理小説を一度に楽しめます。ところで歴史ファン、時代小説ファンなら文政6年(1823年)江戸城西の丸で起きた旗本松平外記による刃傷事件をご存知でしょう。私はついこの間「血の日本史」(安部龍太郎著)で、そのことを知りました。今回惣介が解決するのは、この松平外記による刃傷事件に関わる難事件。将軍の知遇を受けているにもかかわらず、特権意識など露ほどにも抱くことなく、日々凡庸に暮らすことの幸せを知っている惣介。出っ張った腹と団子鼻のたぬき顔、まったくカッコ良さとは縁遠い我らが惣介は、この難事件をどのように解き明かすのでしょうか?◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年05月30日
今読んでいる本、「密室大坂城」(安部 龍太郎著 角川文庫)【楽天ブックスならいつでも送料無料】密室大坂城 [ 安部龍太郎 ]価格:648円(税込、送料込)日本人なら大阪(坂)城がどのような城か知らぬものはいないでしょう。大阪城の歴史を調べると、築城が1583年、その主秀吉が世を去ったのが1598年、大阪夏の陣が1614年、冬の陣が翌年1615年とありますから、前半の15年は栄華を極め、後半の15年は文字どおり坂を転げ落ちるように凋落した城ということになります。「密室大坂城」は、後半の15年を舞台に書かれていることは言うまでないこと。天下人秀吉が残した城には今やかっての面影はなく、秀頼と淀君の葛藤の渦巻く城となっていた。迫り来る幕府軍を前に、母は子は・・・。そして秀頼出生の秘密は・・・。◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年05月24日
突然ですが、皆さんは「蛭(ヒル)」という動物をご存知か?体をくねくねさせて移動し、動物に吸い付いて血を吸うあのヒルである。今日はこの「蛭(ヒル)」の話題。歌人・小池 光著 「うたの動物記」より、【楽天ブックスならいつでも送料無料】うたの動物記 [ 小池光 ]価格:2,916円(税込、送料込) 私らが子供のころは、農作業は今のように機械化されていなく、何事も文字通り手作業が主でした。農家の方は、つらい農作業もさることながら、水田に生息するヒルにも大変悩まされたことでした。それも農薬の普及により、今ではヒルを見ることもめったになくなりましたね。血を吸われるのは蚊でさえもごめんこうむりたいのに、ぬめりのある体をくねくね折り曲げるように動き回り、蚊の何十倍もの口で吸い付くのですから、けっして気持ちのいい動物とはいえない。「古事記の国生み神話では、女性であるイザナミノミコトが先に愛を告白してしまったがために『蛭子』が生まれ、これを葦船に入れて流してしまう。物語のはじまりから、忌み嫌われてきた」と書かれているところをみれば、ヒルは神代の昔から生息していて、恐れ多くもご神体に吸い付くこともあったのだろう。ところがそのヒルは昔から数多く歌に詠まれているというのですから、ちょっと驚きです。日本人の感性の豊かさを物語るとも言えましょうか。小池先生が本の中で紹介している歌から我妹子(わぎもこ)が蛭の血を拭く蕗葉(ふきは)かな 松浦青々もはやヒルの不気味さは微塵も感じさせませんね。我妹子の白いふくらはぎ、赤い鮮血、フキの葉の青、妖艶な女性のなまめかしさを際立たせるヒルです。ちなみにヒルは夏の季語であるということです。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年05月07日
人気時代小説作家上田 秀人の「お髷番承り候」シリーズは10作めにしていよいよ最終章を迎えます。「お髷番承り候(10) 君臣の想」【楽天ブックスならいつでも送料無料】君臣の想 [ 上田秀人 ]価格:712円(税込、送料込)副題には「君臣の想」とあります。「君」とは4代将軍家綱のこと。「臣」とは言わずもがな、本シリーズの主人公小納戸(こなんど)月代御髪(さかやきおぐし)・深室賢治郎のことを指すのは明白。将軍の信頼厚き賢治郎にますます嫉妬する異母兄松平主馬は、あらゆる手段を講じて賢治郎失墜の手を緩めようとしない。その魔手は許婚の深室家の一人娘三弥にも及ぶ。・・・賢治郎危うし。果たして賢治郎は三弥を守り、家綱の思いに応えることができるのだろうか?◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年05月03日
私は今、書棚の奥からひっぱり出してきて紙面も赤茶けてしまった一冊の本を手にしています。「そば通の本」(サライ編集部 編 小学館文庫)楽天ブックスではすでに売り切れの商品となってしまい新規購入は出来ないようです。中古本市場でならなんとか購入できるようですね。【中古】 そば通の本 小学館文庫/サライ編集部(編者) 【中古】afb価格:108円(税込、送料別)それにしても「そ・ば・つぅー」って、なんていい響きだろう。昭和5年に浅草やぶ忠店主、村瀬忠太郎氏が語り下したものを手直し出版されたものだと注釈にありますから、これはそば好きにとってはいわばバイブルのようなものと言っても言い過ぎとはいえない。そばの産地から製法、さまざまな食べ方、そしてそばの雑話まで、これを読めば文字どおり「そば通」になれる。ただし知識としてと書き加えなければならないのは、残念ではありますが。(苦笑!後段に作家森村誠一氏の手になるエッセイ「蕎麦口験学」が載せてありますが、これだけでも一読に値する。いわく「蕎麦は孤独な食べ物である。蕎麦は一人で食するに適する食物である。蕎麦屋は接待や宴会にむいていない。蕎麦をつまみにゆっくり酒を飲む人も独酌が多い。・・・大体蕎麦は料理とはいわない。蕎麦屋で宴会を開いた有名な例は、赤穂浪士ぐらいなものである。それも後年、講釈師が作った架空の話である・・・」と。なるほどそういうものか。・・・う~む、森村誠一氏こそ「そば通」と言わずばなりませんな。この一冊を手にし、貴方もぜひ「蕎麦談義」に膝を交えてはいかがか?◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年04月29日
あなたの趣味はと問われれば、差し障りのないところで読書と答えています。なかにはさらにどんなジャンルのものを読んでいますかとたたみ掛けて来る人がいて、まったく困ったものです。(笑!そんなときには、歴史もの、時代小説などと相手の顔色を窺いながら答えることになるのですが・・・。最近縁があって歴史学者であり作家の加来耕三(かくこうぞう)氏の講演を聴く機会がありました。日頃どちらかといえば歴史好きであると自認する私でありますが、歴史の魅力がどこにあるのか、自分でもよく分かっていなかった。それをはっきりとさせてくれたのが、加来さんの「歴史に学ぶ」という講演。余談になりますが、「加来(かく)」という姓名はそうそうあるお名前ではありませんよね。私は歴史もののなかでも信長、秀吉、家康に代表される戦国時代後期から江戸時代初期のものを多く読みますが、大正末期から昭和初期の時代、いわゆる先の大戦を扱ったもの、特に旧海軍関係のものにも食指を伸ばします。大戦の趨勢を決したといわれるミッドウェー海戦に出撃した日本の第2航空艦隊の旗艦飛龍の艦長が加来止男(かくとめお)という方であったはずです。第2航空艦隊司令長官山口多聞少将と加来止男艦長のコンビといえば、歴史好きには忘れることのできない名前ですね。もしかしたら加来耕三さんは加来止男さんのお血筋ではなかろうかと想像していますが、息子さんにしてはお若いしお孫さんにしては歳がいき過ぎているようにお見受けしますから、定かではありません。さてその加来さんいわく、歴史好きに歴史上好きな人物をあげよと問えば、日本人なら先ずダントツに織田信長。次に女性に特に人気のある坂本竜馬、第三にはなぜか中国に飛んで時代もずっと遡り諸葛孔明と続くのだとか。この三人に共通するのが、人生のある時期において突如大人物へと変身したタイプのいわゆる英雄であると。そういう人物に我々は弱いということらしいのです。どうですか、皆さん。この説に信長ほどぴったりの人物はいませんよね。・・・私の歴史好きがどの辺からきているのかが、よく分かりました。さらに加来さんの説は続きます。さすが歴史学者と感心しました。こうした英雄像は同時代の一面的な資料や後世の講談・小説などによって作り上げられたもので、歴史学的な実像とは隔たりがある。ある時一挙に英雄へと飛躍するというようなことは歴史学的にはありえないこと。この三人が三人とも英雄になるのに必要なプロセスを踏んで初めて後に英雄呼ばれるにいたった。NHKの大河ドラマを観てロマンや夢を感じたり、歴史が分かったと思い込んでいるようではダメだと。・・・う~む、小説を読んだり、歴史ドラマを観たりして、ロマンや夢を感じたりって、私そのものじゃないか。。。もう少し、しっかりと歴史を勉強したいと思った次第です。そこで今読んでいる本。「本能寺の変 431年目の真実」(明智 憲三郎著 文芸社文庫)【楽天ブックスならいつでも送料無料】本能寺の変431年目の真実 [ 明智憲三郎 ]価格:777円(税込、送料込)・・・明智憲三郎?・・・アケチ?・・・よもや明智光秀の末裔かと思ったのは私だけではありますまい。著者紹介を見れば、なんと秀吉による明智残党狩りの手を逃れた光秀の子・於寉丸(おづるまる)の子孫と書いてあるではありませんか。光秀に於寉丸という子どもがいたということも、正直言って私の知識の外でした。その子孫が日本史最大かつ最も謎に包まれたクーデターを膨大な資料を基に客観的に解き明かそうというのです。私的には、光秀の末裔という主観的見地から解き明かしてもらってもいっこうにかまわないのですけど。(笑!私の先祖は時の権力者によって謀反人に仕立て上げられたと。歴史は時の権力者によって塗り変えられるというのが歴史学者の定説でもありますからね。ん!?・・・時の権力者?・・・待てよ、ならば秀吉じゃないか!なぜ光秀は信長を討ったのか?いや、討たなければならなかったのか?あるいは、討たせられたのか?背後にうごめく何かがあったのに違いない。光秀の末裔・明智憲三郎氏は、本能寺の謎をどのように解き明かしてくれるのでしょうか?◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年04月28日
信長ファンとしては最終章のページはなかなか開き辛いものがある。しかし、本能寺抜きにしては信長は語れないときつく言い聞かせ、意を決して一気に読み通しました。【楽天ブックスならいつでも送料無料】信長燃ゆ(下巻) [ 安部龍太郎 ]価格:853円(税込、送料込)どうしてあのように猜疑心のかたまりのよな信長が、わずか200人あまりの手勢で本能寺に宿泊したのか?かねてからの疑問でした。すでに畿内は掌握し、宿敵武田を滅ぼし遠からず天下を掌中にすることは確実との油断か?最後のドミノは慎重が上にも慎重に置かなければならないはずなのに。ひとつは本能寺。どうしてそんな守りの薄い脆弱な寺に宿泊しなければならなかったのか?本能寺というからには、だれも本能寺が寺であることに疑問を持たないでしょう。ところが信長は本能寺の本殿に泊まっていたのではなく、隣接する敷地内に京都在住のときの政務に使う今でいう官舎のような建物を造り、この中の宿舎に寝泊りしていたというのです。現代の首相官邸と公邸を一緒くたにしたような建物といえば分かり易いかもしれませんね。(安倍首相は公邸には泊まらず、私邸から官邸へ通勤されているようですけど。・・・笑!)そうであるなら当然その建物には、万が一のために信長を逃がすための仕組みが作られていただろうと想像されます。だから、信長の遺骸が見つからなかったのだと。さて、本能寺にはどのような仕掛けがあったのだろうか?次に本能寺に宿泊したことは納得できたとして、どうして光秀がその日信長がわずかな手勢で本能寺に宿泊していることを知りえたのか?知りえたとしても、なぜ信長を討たなければならなかったのか?「光秀○○説」などと本能寺の謎にせまる諸説数多ある中で、本著はあくまで時代小説。本能寺の謎に迫るだけでなく、信長と前の関白近衛前久、信長と光秀、光秀と前久、そして前久と秀吉。さらには信長と時の東宮婦人・勧修寺晴子(かんしゅうじはれこ)、多彩な登場人物の人間関係を史実にそって見事に描いた大作といえましょう。ぜひご一読を。◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年04月27日
今読んでいる本安部 龍太郎著「信長燃ゆ(上巻)」【楽天ブックスならいつでも送料無料】信長燃ゆ(上巻) [ 安部龍太郎 ]価格:766円(税込、送料込)以前同じく安部龍太郎の手になる「蒼き信長」では、青年期から壮年期までの信長が描かれているので、信長ファンとしてはある意味安心して読み進めることが出来ると言いました。しかし信長を語ろうとすれば、どうしても本能寺抜きでは語ることができない。「蒼き信長」といっしょに購入した「信長燃ゆ」は、手つかずのまま書棚にしまってあったのでしたが、ついに意を決して表紙を開くことにしました。するとどうでしょう、冒頭の一文は「洛中を震撼させた本能寺の変が起こったのは、もう三十五年前のことである」で始まっているではありませんか。「信長燃ゆ」は、信長の小姓として側近くに使えた京の公家(近衛家の門流)出身の清麻(きよまろ)が、信長の最後の真実を書き残そうという視点から描かれている。清麻は宮中に残された資料を調べていくうちに、前の関白近衛前久(このえさきひさ)による陰謀にいきあたるのであったが・・・。信長と近衛前久、信長と光秀、光秀と前久、そして前久と秀吉。さらには信長と時の東宮婦人・勧修寺晴子(かんしゅうじはれこ)。多彩な登場人物の人間関係を史実にそって描きながら、「本能寺」の謎に迫る大作。信長ファンとしては、身を切られるようであっても、これはどうしても最後まで読みとおさなければならないというものでしょう。◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年04月23日
人気時代小説作家上田秀人の妾屋昼兵衛女帳面シリーズは本作で最終章となります。なるほど、江戸時代に商家の下働きや工事場の人足などの働き口を斡旋する「口入屋」という商売があったことは知っていましたが、はたして妾という職種(?)に特化したいわゆる「専門店」があったのかどうか?シリーズの1~7巻を通してそういう疑問は拭えなかったのですが・・・。ところがひとたび上田の筆に掛かれば、「妾屋」という得体の知れない生業の主が、己の商売に自信と誇りを持ち正義と硬骨感溢れる主人公に早変りしてしまう。【楽天ブックスならいつでも送料無料】閨之陰謀 [ 上田秀人 ]価格:702円(税込、送料込)最終章の副題に書かれた「閨之陰謀」という言葉がどうしても気に掛かります。いったいいかなる陰謀が昼兵衛に襲い掛かるというのか?昼兵衛危うし、果たして昼兵衛は襲い来る魔の手から逃れることができるのだろうか?そして今や昼兵衛のそばにいなくてはならぬ人物となった仙台伊達藩浪人大月新左衛門と、新左衛門がひそかに心を寄せるかって昼兵衛が仙台伊達藩主に側室として斡旋した八重の運命は?主題になっている「妾屋昼兵衛女帳面」の「女帳面」の意味が解き明かされます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年04月03日
突然ですが、「孑孑」という漢字をご存知だろうか?子供の「子」の字の最後の画を跳ねて書いたものを二文字続けたことばになります。「ぼうふら」と読むのだそうです。蚊の幼虫のことです。「ぼうふら」、同じ字を重ねてどうして前後違う読みをするのかと思ったら、もともとは後の方の「孑」の最後の跳ねは、左側が突き出ていないのが「ふら」と読ませる本来の字なのだそうです。私のPCでは変換できませんでした。まるでハングル文字のようです。辞書をひくと、「けつけつ」と読ませて「孑孑たり」という形容動詞でつぎのような意味が書いてありました。1 一人ぬきんでたさま。2 孤立するさま。3 小さいさま。こせこせしているさま。そうすれば、「ぼうふら」は3の意味からきているのだなということがわかりますが、1と2の抜きん出た孤高の存在と言うのは、ある意味魅力的です。もう5~6年前になるでしょうか、毎週日曜日の日経の最終面文化欄に連載されていた「うたの動物記」に、この「孑孑」が取り上げられていました。【楽天ブックスならいつでも送料無料】うたの動物記 [ 小池光 ]価格:2,916円(税込、送料込)驚きましたね。意外やボウフラは俳句によく読まれているそうで、夏の季語にまでなっているというのです。書かれていた3句をご紹介したいと思います。いづれも有名な俳人の手になるものです。孑孑の蚊になる頃や何学士 子規けふの日も棒ふり虫よ翌(あす)も又 一茶我思ふままに孑孑うき沈み 虚子私が感じるところ、時代は違えども日本の生んだ優れた俳人3人が3人とも、「孑孑たり」の1.2の意味を意識しているのではないか?名は体を表すといいますが、子供の頃にそれほどまでに抜きん出ているのなら、蚊に変わったときはどれほどのものになっているのかと皮肉ったのが子規。一茶は、2のほうに力点を置いたのではないか?孤高の我とボウフラを重ねて笑ってみせた。我とは虚子でもありボウフラでもあるのか?浮き沈みするボウフラに自分自身を重ね合わせ、己の存在を問うたのが虚子。そこで私も一首、恥を忍んで・・・。我もまた孑孑(けつけつ)たらん 人生の往路歩みて久しける身を◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年03月23日
今読んでいる本、安部 龍太郎 著「血の日本史」。【楽天ブックスならいつでも送料無料】血の日本史 [ 安部龍太郎 ]価格:853円(税込、送料込)思えばわが国においても、近代までは権力を握らんとする者とそれに対峙する者とが、血で血を洗う対立を繰り返して来た歴史と言えましょう。卑弥呼の時代よりこの方、昭和の動乱期まで、反乱、暗殺、裏切り、虐殺、謀略が繰り返されてきたことを改めて教えてくれるのが本著といえます。「大和朝廷に異議あり」から「俺たちの維新」まで、大和時代から明治維新までに及ぶ千三百年にわたるわが国の「血の歴史」が、独立した46の短編によって描かれている。今私はようやく「鬼界ガ島」を読み終えたところ。西暦で言えば1180年前後、「平家にあらずんば人にあらず」とまで言わしめた平清盛がまさに権力を掌握しようとしていたころ。話はあまりにも有名な「鬼界ガ島」に流された僧俊寛を題材にしている。同じ陰謀に関わり鬼界ガ島に流された藤原成経と平康頼が翌年赦免され京に戻ることを許されたのに、何ゆえ俊寛のみが島に残されたのか。その謎を筆者は平家打倒の陰謀を主導した後白河法皇に仕えた一人の女御を登場させることによって、解き明かそうとしている。後白河院による平家打倒の陰謀(鹿ケ谷の陰謀)の裏には、ひときわ院の寵愛の深かった女御佳子(けいし)が関わっていたと。さあ私は、これから鎌倉、室町、戦国、江戸、明治と「血の日本史」を遡ろうと思っています。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年03月15日
今読んでいる本、上田 秀人著 「表御番医師診療禄5 摘出」人気時代小説作家上田 秀人の新シリーズ「表御番医師診療禄」は本著の「摘出」で第5話。【楽天ブックスならいつでも送料無料】摘出 [ 上田秀人 ]価格:648円(税込、送料込)江戸城が巨大な役所とするならば、その役所に設置された今日でいうところの診療所にあたるのが表御番医師溜り。そこに勤務する医師矢切良衛(やぎりりょうえい)が本著の主人公で、江戸城内にて俄かに体調を崩した者を診るのが本来の仕事。専門は外道というのですから、今日では外科・整形外科ということになるのでしょうか。ちなみに内科は本道と呼ばれたことからみても、本道からみて一段下にみられていたことが文字どおり「外道」という言葉からもうかがい知れます。時は5代将軍綱吉の治世、綱吉が家綱の跡を継いだばかりというのにその綱吉の後継を巡り、さまざまな思惑が渦巻く江戸城大奥。将軍の大奥での警護を任じられているはずの御広敷伊賀者が大奥内で負傷したことが、そもそもこのストーリーの発端。いったい大奥では何が謀られているのか?綱吉の命によりそれを探るべく表御番医師から大奥を所管する御広敷医師へと職を移した良衛は、将軍の側室である伝の方と接触することに。その矢先、良衛にいくつもの魔の手が忍び寄るのだが・・・。はたして良衛は、外道医の本領を発揮して大奥に巣くう病巣を見事「摘出」することができるのだろうか。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年03月08日
日本人に5人に3人は信長が好きという話題を取り上げました。無類の信長好きを自認する私ですから、「蒼き信長 上」を読み終えるやいなや手にしています。安部龍太郎著 「蒼き信長 下」 【楽天ブックスならいつでも送料無料】蒼き信長(下巻) [ 安部龍太郎 ]価格:637円(税込、送料込)題名になっている「蒼き信長」の「蒼い」の意味は、どうも単純に考えて「青い」と考えてといいのかなと思います。すなわち「蒼き信長」上下巻は、青年期から壮年期までの信長を描いている。上巻では信長誕生のとき父信秀が目の下3尺の黒鯛を吊り上げたという話から始まり、下巻になってすぐ藤吉郎という名前が出てきて、終わり頃には光秀という名前も揃って、信長、家康、秀吉、光秀というこの時代のビック4がすべて出揃います。具体的には美濃の斉藤龍興を攻め滅ぼし、父信秀の悲願であった尾張・美濃を支配下に置くまで、信長30代半ば頃までで筆が置かれているので、ある意味信長ファンとしては安心して読み進めることが出来る。(笑!光秀が出てきて、室町幕府や朝廷との軋轢、比叡山の焼き討ち、伊勢長島一向宗門徒虐殺あたりになると、もう本能寺が頭にちらつき出しておちおちページをめくれなくなる。秀吉の中国征伐あたりになると、何とかしてこれ以上話が進まないようにと祈りだす始末。(笑!稀代の名将織田信長の青年期を史実にそって忠実に描く「蒼き信長」。そして私と同じような信長ファンには特にお奨め、最後まで安心して読めること請け合います。ぜひ「蒼き信長 」上下巻ご一読を。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年03月04日
日本人に歴史上の人物で好きな者を一人あげよと問えば、5人のうち3人は信長と答えるとか。私もためらうことなく信長と答える者のひとりです。今読んでいる本。安部龍太郎著 「蒼き信長 上」【楽天ブックスならいつでも送料無料】蒼き信長(上巻) [ 安部龍太郎 ]価格:637円(税込、送料込)この上巻では信長誕生から父信秀の病死、次男信勝を跡目にと画策する実母土田御前との確執を中心に、信長幼年期から青年期の尾張、美濃、西三河の当時の動乱の様子が史実にそってこと細かく描かれています。父信秀の寵愛を一身に受け、武芸に秀でた青年と成長した信長が、なぜに後々まで語り継がれている"おおうつけ"と呼ばれるような奇抜な行動をとるようになったのか。松平竹千代(後の家康)との出合いや信長の手足となって活躍した池田恒興、滝川一益、服部小平太、佐々成政、前田利家らがどのような経緯で配下として組み入れたのか。読者は、知られざる信長の青年期を描いた圧巻にいつの間にか引き込まれます。上巻には秀吉はおろか藤吉郎という名さえ出てきません。信長といえば秀吉、下巻が楽しみです。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年02月25日
書棚にしまってある本を引っ張り出してきてまた読み直してみるというのは、どうでしょう、そうそうあるものではありませんよね。しかし、この本はこれで何度読み直しただろう。篠田 達明 好きな作家の一人です。今読み直している本「偉人たちのカルテ」(篠田 達明著 朝日文庫)【送料無料】偉人たちのカルテ [ 篠田達明 ]価格:609円(税込、送料込)現役の整形外科医でもある著者が、現代医学の視点から歴史上の偉人の最後について考察した「偉人たちのカルテ」。まずブックカバーに描かれたイラストがとてもユニーク。篠田先生とおぼしき医者が、甲冑姿のまま下着を大きくまくった武田信玄とおぼしき戦国武将の腹に聴診器を当てている。はたして診たてはいかがであったのだろうか?黒澤映画の名作「影武者」では、武田信玄が野田城を力攻めしたとき、城内から聞こえる笛の音を聞こうと城壁に近づいたところを狙いすまして発射された鉄砲玉により落命したように描かれていました。しかし、名医篠田先生の診たてによれは、食道がんか胃の噴門部にできたがんの公算が大であるということです。また、当時がんが原因で死亡する人が少なかったのは、いわゆるがん年齢と言われる40代後半から50代まで生きれた人がまれであるからとも書かれてるのは、なるほどと納得できますね。何しろ人間50年の時代ですからね、ましてや戦国武将は、病より戦場で死ぬことを第一に考えていたはずですから、自分の体の健康管理には無頓着であったのかもしれません。信玄にしてもしかり。もしもう少し健康管理に気をくばっていたら、がんの発症は免れなかったとしてもあと2年、3年は長く生存できたかもしれない。そうすれば3年喪を隠すというような遺言も残さずに済んだであろうし、徳川、織田を蹴散らして京に軍勢を進めることが 出来たかもしれない。病気が変えた日本の歴史という観点で書かれたこの本、家康の臨終はどうであったか、謙信は、秀吉は・・・、興味がつきません。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年02月20日
そば通(ソバツゥー)・・・なんていい響きでしょう。私もいつかは、そのように呼ばれてみたいと思うのです。かなわぬ思いに、そんな憧れにも似た「そば通の本」 (サライ編集部 編 小学館文庫)を手にしました。そば通の本(小学館文庫)-【電子書籍】価格:486円そうか、そば通と呼ばれるには、文学にも精通しなければならなかったのか!俳句にもそばが読まれておりました。たくさんあげてあった中でも、私にも誰だか分かる人が読んだ俳句を抜粋します。蕎麦はまた花でもてなす山路かな 芭蕉落つる日のくくりて染まる蕎麦の茎 蕪村我里はつきと仏とおれと蕎麦 一茶さらに時代が新しくなって、山越えて三島に近しそばの花 子規帰り見れば蕎麦また白き稲みのる 漱石・・・う~む、何となくそば通になったような、ならないような??◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年02月15日
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