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携帯のカメラ機能で撮った写真を整理していたら、こんな写真が出て来ました。「石川四高記念館」金沢城公園と兼六園を観光した時、金沢駅からバスに乗って下りた停車駅の前にこのレンガ作りの立派な建物が立っていたのでした。金沢駅前のバス発着場の係員に「『石川よんこう(四高)記念館』へ行くには、何番のバスに乗ればいいか」と聞いてから、しまったと思った。案の定「はあっ? しこう(四高)のことですか?」と眉をひそめられてしまった。高校1年の時クラス担任だった数学の先生が、この石川四高の出身でこう言っておられたことを思い出しました。「私は旧制四高柔道部の出身だ。君たちは知っているか?あの『敦煌』を書いた井上靖も四高(しこう)の柔道部、私らの大先輩だ。言っておくが、四高は(しこう)と言う。(よんこう)などと呼んではいけない」と。「先生、(とんこう)って中国の敦煌のことですか?」と聞いた間抜けな生徒(←私のことです)がいたと思ってください。「バカもの!井上靖の『敦煌』を知らんのか!方程式は解けんでも、『敦煌』だけは読んでおけ」と先生。「それから『北の海』。これは井上が金沢の四高時代のときのことを書いたものだ。柔道部のことが出て来る。すぐに図書館へ行ってこい」と。敦煌改版 [ 井上靖 ]価格:594円(税込、送料無料) (2016/11/4時点)北の海(上巻) [ 井上靖 ]価格:680円(税込、送料無料) (2016/11/4時点)間抜けな生徒は先生の言葉を忠実に守り、数学の時間が終わったらすぐに図書館へ走ったのでした。「敦煌」は私を読書にめぐり合わせてくれた最初の本ということになりましょうか。蛇足ながら付け加えておきますと、方程式の方も先生の言葉に忠実でありましたね。・・・高校三年間ですっきり解けたという経験が少なかったのは、誠に残念なことでありました。(爆笑!◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2016年11月04日
人気時代小説作家・上田秀人ファン必見、「武士の職分 江戸役人物語」。これを読めば読者を虜にするストーリーの主人公がどうやって生まれたか知ることができます。上田自身がこの本でその種を明かしてくれました。武士の職分 江戸役人物語 [ 上田 秀人 ]価格:648円(税込、送料無料) (2016/10/31時点)まずブックカバーのイラストを見ると、4人の人物が描かれています。上田ファンならこの人物がどのような役職なのかすぐわかろうというもの。上に描かれた人物から時計回りに、奥祐筆、表御番医師、目付、小納戸。いづれも上田のシリーズで主人公として登場していますね。奥祐筆組頭・立花併右衛門、表御番医師・矢切良衛、目付・鷹垣隼人正、小納戸月代御髪・深室賢治郎、上田の魅力にどっぷり浸かってしまった私は、主人公の名前までそらんじてしまった。さて、主人公の名前はさておき、これらのヒーローの役職を上田は次のような資料本から探し出したと言っています。「江戸幕府役職集成」「江戸役人役職大辞典」「江戸時代奉行職辞典」「江戸幕府旗本人名辞典」・・・等々。上田によれば、このような役職まであったと紹介されています。しかも、土田孫左衛門家の世襲であったというのですから、俄かにはちょっと信じがたいですね。その役職とは、「公人朝夕人」。まずどう読んだらいいのかからしてわからない。これを「くにんちょうじゃくにん」と正しく読める人はまずいないのではないだろうか。公人朝夕人は将軍が禁裏や日光東照宮に参内した時に付き添い、将軍が不意の尿意を覚えた時、狩衣や袴の脇明から小用の筒を差し込むのが仕事であったというのですから、なんとも驚きです。将軍の家来は旗本と御家人に分かれれているのはご承知の通り。その最大の違い、旗本は将軍に目通りが許されたが、御家人はそれがかなわなかった。そこで私は一つ解決のしがたい疑問にぶつかるのです。代々の公人朝夕人・土田孫左衛門は、旗本であったのだろうか、それとも御家人であったのだろうか?公人朝夕人の禄は、わずか十人扶持(一人扶持は一日玄米五合、十人扶持は年にして十八石)であることからしても、下級武士であったことが想像できます。禄からすればおそらく御家人に違いないだろうと思われます。庭先に侍りながら、将軍が用を済ますまで筒を将軍の一物にあてがう仕事は、どう考えても旗本の矜持にかなうものではなかろうと考えるのが普通でしょう。しかし、代々の土田孫左衛門は、お目通りもお目通り、将軍の一物に間近に接するわけだから、立派な直参旗本だったのではないかと。(笑!もしかしたら、ある日上田の新シリーズ「公人朝夕人秘録 捧げ持つ筒のしずく」が刊行されることがあるかもしれませんぞ。・・・!? あるわけないだろう!上田の名誉のために付け加えておきます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年10月31日
「政争」、「戸惑」と続いた人気時代小説作家・上田秀人の新シリーズ禁裏付雅帳(きんりつきみやびちょう)第3話は、「崩落」と付けられていました。崩落 [ 上田秀人 ]価格:712円(税込、送料無料) (2016/10/21時点)時は11代将軍家斉の治世、時の老中首座松平越中守定信から禁裏付を命じられた旗本500石の若き当主・東城鷹矢(とうじょうたかや)の活躍を描く本シリーズ。鷹矢は洛中の禁裏に赴任するやいなや、幕府と朝廷、松平定信と先の老中首座・田沼意次の引きを受けた京都所司代・戸田因幡守忠寛(とだいなばのかみただとお)の争いの渦の中に巻き込まれる。(第1話「政争」)松平定信の思惑は、朝廷より家斉の実父一橋治済(ひとつばしはるさだ)に大御所の称号を得ること。しかし幕府に今上帝の実父に太上天皇の称号を求めるも拒否されていた朝廷は、なかなか首を縦に振らない。「大御所の勅許を得るために朝廷の弱みを探れ」これが若き禁裏付・鷹矢に与えられた密命であった。しかし、松平定信と反目する京都所司代戸田忠寛による妨害や、定信の狙いを見破った五摂家二条治孝の策略に立ちすくみ戸惑うばかりの鷹矢。(第2話「戸惑」)そして第3話が「崩落」。辞書を繰るまでもなく崩落とは崩れ去ること。いったい何が崩れ去るというのか?若き禁裏付・鷹矢の奮闘が無に帰すとでもいうのだろうか?◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年10月21日
そばが今のように細く切られて食べられるようになったのは、江戸時代の初めごろということをご存知でしたでしょうか?そばの歴史を語る時は、江戸時代のいわゆる「そば切り」から始めなくてはなりません。当時そばはどのようなときどのように食べられたのか?将軍はそばを食べたのだろうか?「そば切り」について調べていけば、江戸時代の人々の食事、生活、娯楽といった当時の人の暮らしぶりに自然と興味が湧いてきます。そんな興味がいつのまにか愛着に変わってしまう本、「一日江戸人」 杉浦日向子著をご紹介します。これを読めば、当時の江戸市民の美人の基準、モテる男の職業、江戸の人々の暮らしや趣味趣向、さらには将軍に代表される殿さまの暮らしぶりや江戸城大奥の仕組みまで手に取るようにわかります。一日江戸人 [ 杉浦日向子 ]価格:529円(税込、送料無料) (2016/10/20時点)この中で杉浦さんは、なんと大食い大会について書いておられたので、思わず読み進めてしまいました。大食い大会は今でもよくありますが、当時の江戸でも結構催されたのだとか。文化14年(1817年)両国柳橋の万八楼で催された記録が残っていてるそうです。それによれば、ナント! 酒一斗九升五合、せんべい二百枚、飯六十八杯。思わず「えっ!?」と声をあげてしまうとんでもない記録なんです。注目のそばは、新吉原の桐屋五左衛門(45歳)というお人が、もりそば六十三杯お食べになってチャンピョンになられたそうですよ。ちょっと変っているのは、八丁堀のいすや清兵衛さん、御年65歳。こちらは甘党の記録です。この方は、饅頭30個、鶯餅80個、松風(あんこの入った和菓子?)30枚お食べになった後に、ナント!たくあん丸ごと5本たいらげたっていうんですから、コメントのしようもありません。まあ、これだけ甘いものを食べれば、塩っ辛いものが欲しくなるというのは理解できますがね。それでも二切れ三切れでしょうよ。(笑!ちなみに酒一斗九升五合を飲んだ方は、芝口の鯉屋利兵衛さん、御年65歳。さすがに酔いつぶれてしまったそうです。目を覚ました時に、水を茶碗に17杯お飲みになられたそうですよ。よく目が覚めたものだと感心しますが、その後の水の飲みっぷりにも驚きですね。出来るものなら私も「一日江戸人」になって、こんな人たちを取り囲み周りではやし立てる見物人の中に混ざり込んでみたいものだと思ったことでした。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年10月20日
知らない町を 歩いてみたいどこか遠くへ 行きたい永 六輔ならずともまだ見ぬ町を歩いてみたいと誰しも思うもの。しかし、まだ見ぬ町には違いないのですが、名前が少々変わっている町ばかり13年間にわたって100カ所も訪れるというもの好きな人がいるって聞いたら、皆さん、驚きませんか?「世界でもっとも阿呆な旅」(安居 良基著 幻冬舎)世界でもっとも阿呆な旅 [ 安居良基 ]価格:1620円(税込、送料無料) (2016/10/6時点)13年かけて100カ所も忍耐のいる旅をしたことにも驚きますが、それよりもっと驚くのが訪れた町の名前。今からその町の名前をお知らせしますから、心を落ち着かせて読んでください。先ずは、海外編より、スケベニンゲン(Scheveningen)エロマンガ (Eromanga)アホ (Ajo)シリフケ (Silifke)シリブリ (Silinri)パンティ(Panti)オナラスカ (Onalaska)マルデアホ (Mar de Ajo)断っておきますが、決してふざけているのでありませんよ。カッコの中にアルファベットで表記したように実在する地名なんです。著者はごく普通のサラリーマンということですが、会社のまとまった休みはすべて珍地名の歴訪に費やしてきたという変わり者。この本、前書きからしておもしろい。「高校の地理の試験に出題された島の名前が分からなくて、『エロマンガ島』と答えた。戻された答案には赤い字で『ふざけるな!』と書いてあったので、地理の先生のところに行き、実在する島であることを地図帳を見せて説明したところ、先生はなぜか感心しておられた・・・」と。しかもこの本はただ単に面白いだけでなく、現地の風物の紹介や人との出会い、写真も満載ですから、旅好きにとってはたまらないノンフィクションの旅行記となっています。・・・かなうものなら、いつか私も行ってみたいものですな、スケベニンゲン!(笑!◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年10月06日
日本人に好きな歴史上の人物をひとりあげよと問えば、5人に3人は信長と答えるとか。私もその中の一人です。信長を語るとき、その終焉の地・本能寺抜きで語ることはできませんね。なぜ本能寺の変は起こったのか?そこで今手にしている本。「本能寺の変 431年目の真実」(明智 憲三郎著 文芸社文庫)【楽天ブックスならいつでも送料無料】本能寺の変431年目の真実 [ 明智憲三郎 ]価格:777円(税込、送料込)・・・明智憲三郎?・・・アケチ?・・・よもや明智光秀の末裔かと思ったのは私だけではありますまい。著者紹介を見れば、なんと秀吉による明智残党狩りの手を逃れた光秀の子・於寉丸(おづるまる)の子孫と書いてあるではありませんか。光秀に於寉丸という子どもがいたということも、正直言って私の知識の外でした。その子孫が日本史最大かつ最も謎に包まれたクーデターを膨大な資料を基に客観的に解き明かそうというのです。私的には、光秀の末裔という主観的見地から解き明かしてもらってもいっこうにかまわないのですけど。(笑!私の先祖は時の権力者によって謀反人に仕立て上げられたと。歴史は時の権力者によって塗り変えられるというのが歴史学者の定説でもありますからね。ん!?・・・時の権力者?・・・待てよ、ならば秀吉じゃないか!なぜ光秀は信長を討ったのか?いや、討たなければならなかったのか?あるいは、討たせられたのか?背後にうごめく何かがあったのに違いない。光秀の末裔・明智憲三郎氏は、本能寺の謎をどのように解き明かしてくれるのでしょうか?◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年10月05日
童話「アリとキリギリス」の話は、誰でも知っていますよね。子供のころこの話を聞かされて、つくづくキリギリスのようにはなりたくないと思ったものでした。大人になったら、アリさんのように一生懸命働くぞと。(笑!その働きアリの中でも、働き者のアリと怠け者のアリがいるということ、ご存知でした?しかもアリの集団(コロニー)にとっては、怠け者の存在が重要なんだそうで、働き者だけの集団は必ず破滅するというのですから、思わず「そんなのアリ!?」と言ってしまいそう。(笑!働かないアリに意義がある [ 長谷川英祐 ]価格:604円(税込、送料無料) (2016/8/15時点)働き者ばかり集めたはずなのに、いつの間にやら怠け者が出てきたり、怠け者ばかり集めても、ちゃんとその中から働き者が出てきて集団(コロニー)が維持されるって、きっとアリは「アリとキリギリス」の話を知っているに違いない。(・・・!?!?しかし、アリに一匹一匹印をつけて、ハイ君は働き者、お前はどう見ても怠け者なんて、まったく息の詰まるような研究をコツコツやる北海道大学の長谷川英祐先生って、働きアリも顔負けの働き者だと思いませんか。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年10月04日
お奨めの一冊、杉浦日向子著 「一日江戸人」。これを読めば、当時の江戸市民の美人の基準、モテる男の職業、江戸の人々の暮らしや趣味趣向、さらには将軍に代表される殿さまの暮らしぶりや江戸城大奥の仕組みまで手に取るようにわかります。一日江戸人 [ 杉浦日向子 ]価格:529円(税込、送料無料) (2016/9/26時点)ついつい岸田今日子のナレーションを思い出してしまう、そう皆さんテレビ時代劇でおなじみのあの大奥。(今、岸田今日子のナレーションに相づちを打った人、歳がばれますぞ・・・笑!)大奥と聞けば、とかく我々は将軍のハーレムのように思ってしまいがちですが、実際は当の将軍も、その将軍にかしずいた上は上臈・お年寄りから、下はお目見えかなわずの下働きまで、それぞれの立場立場で結構大変な暮らしぶりであったことが窺えます。そんな中で、一番びっくりしたこと、えぇ~ホントかよ!?・・・と思っちゃうことを紹介します。大奥には、御台様専用の一代限りのトイレがあったというから、ただただ驚いてしまいますね。御台様といえば将軍の正室、その方のために江戸城大奥には専用のトイレがあった。しかもその人一代限りで、将軍が代わればそのトイレは、用済みで埋めてしまうというのです。しかもご丁寧なことに、汲み取りしなくてもいいように、とてつもなく深い便つぼを掘っておくのだというのですから、どういう思考でそんなクサイこと考えつくのかなと鼻をつまんでしまいます。とにかく抱腹絶倒、上は将軍から下は長屋のおかみさんまで、果ては盗賊・義賊まで、これを読めばまさしく貴方も「一日江戸人」になれること間違いなし。ぜひご一読を。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年09月26日
趣味はと聞かれれば、すまし顔で「落語観賞でしょうかねぇ~・・・」などと答えたいものです。その上人生で必要なことを学ばせてくれるというのなら、なおさらというものでしょう。お奨めの一冊。「人生で必要なことはすべて落語で学んだ」(童門 冬二著 PHP文庫) 【送料無料】人生で必要なことはすべて落語で学んだ価格:620円(税込、送料別)目次を見ていくと、風流に生きたい/底抜けに明るい生き方/貧しいけれど豊かに暮らす/ケチと倹約のちがいは?/挫折したって歩いていける/夢をかなえる法/老後なんて心配するな/コンプレックスをプラスに変える・・・等々。どうです・・・。皆さんも普段このようなことで思い悩まれたことがあるに違いないでしょう。筆者はこのようなことをすべて落語から学んだと言っています。どうぞ"落語人間"におなりください。"落語人間"として生きていくことは、楽しくて幸福なことでもあると。人生を上手に生きるコツは、「笑い」の中にあるということを学ばせてくれる本です。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年09月25日
皆さんは、「まくなぎ」という言葉をご存知だろうか?ちょっと聞いたことありませんよね。線路の「枕木」なら聞いたことありますが。。。(笑!小池 光 著「うたの動物記」に、この「まくなぎ」が取り上げられていました。うたの動物記 [ 小池光 ]価格:2916円(税込、送料無料) (2016/9/24時点)「俳句や短歌には動物、植物がいっぱい出てくる。・・・中には言葉としてさえ全然知らないものがある。・・・『まくなぎ』もそのひとつだ」著作者自身でさえも冒頭にこのように書いておられるくらいですから、私が知らなかったのも当然といえば当然。動物記に取り上げられるくらいですから、「まくなぎ」は立派な動物なのでした。「ヌカカやユスリカなどの小さな蚊、あるいはそれに類するものの総称」なんと蚊であった。「まくなぎ」の「ま」は目のことで、その前をうるさく、ちらちら飛ぶという意であると。私もこの歳にもなると、視線を急に移したりすると目の前を「まくなぎ」がよく飛び交います。・・・って、これ飛蚊症でした。(笑!最後におもしろい俳句が一句紹介されていました。まくなぎを払いて車寅次郎 岸田稚魚「まくなぎ」が何であるか知らなかったら、この俳句さっぱりわかりませんよね。「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又・・・」ではじまる、あの寅さんの仁義をきる仕草が、「まくなぎを払いて」によって手に取るよう伝わって来ます。ちなみに「まくなぎ」は夏の季語ということです。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年09月24日
人気時代小説作家上田秀人の新シリーズ、町奉行内与力奮闘記第3話は副題に「権益の侵」と書かれていました。権益とは辞書を調べるまでもなく権利とそれに伴う利益。それを侵すとあれば話は穏やかではありませんね。権益の侵 [ 上田秀人 ]価格:702円(税込、送料無料) (2016/9/21時点)45歳の若さで大坂町奉行から江戸北町奉行に栄進した曲淵甲斐守影漸(まがりぶちかいのかみかげつぐ)は、江戸町奉行も出世の一階段、行く行くは大目付か留守居までと公言をはばからぬ出世欲をたぎらせる旗本。その甲斐守より北町奉行所内与力を任ぜられた甲斐守の家臣城見亨(しろみとおる)が本書の主人公。もともと南北奉行所には、幕府より町方と呼ばれる与力、同心が配されているが、内与力は奉行の家臣から任ぜられ、もっぱら町方与力、同心と奉行の間の取次調整といった役務を務める。代々世襲が認められているというものの、手柄を立てても立身出世など叶わぬ町方与力同心は、役得による副収入(幕府からの禄よりも大きいので主収入というべきか)で私腹を肥やすことに傾く。したがって彼らにとって奉行がこの既得権に目をつむってくれるかいなかが最大の関心事といえた。そんな町方与力、同心たちと奉行の狭間で、若き内与力城見亨は苦悩する。第2話「他人の懐」で、町方与力が寺社方の富くじの余得に手を突っ込んだことを発端に、曲淵甲斐守と寺社奉行の係争に巻き込まれた亨。怒りに燃える寺社奉行側は、亨に狙いを定めて復讐計画を練る。一方北町奉行所内では、老練な町方与力同心たちが既得権益を守らんと、奉行所改革を志す甲斐守を排除せんと動き出す。進もうにも前門に虎、退こうにも後門に狼。あくまで主の曲淵甲斐守に忠義を貫かんとする若き内与力城見亨は、この危機をどう回避しようというのだろうか?◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年09月21日
人気時代小説作家上田秀人の表御番医師診療禄シリーズ第8話は副題に「乱用」と書かれていました。「乱用」を辞典で調べると、「乱用する」で一定の基準や限度を越えてむやみに使うこととあります。いったい何を乱用するというのか?医者だけに薬の乱用か?いやそうではなかった。表御番医師診療禄8 乱用 [ 上田 秀人 ]価格:691円(税込、送料無料) (2016/9/8時点)5代将軍綱吉の毒殺を未然に防いだ功績で、かねてより念願の最新西洋医術の習得のため長崎留学を許された幕府寄合医師(表御番医師より昇格)矢切良衛。オランダ医師から最新の医術を学べるものと胸躍らせて行った長崎では、オランダ医師は本国に帰還中で新たな医師はいつ来るかさえわからぬという始末。出島のオランダ館に通っては、オランダ語で書かれた医術書を細々と紐解くしかすべのない良衛であった。しかしそれさえも、長崎出島に関わる利権を暴かれたくない長崎奉行や福岡黒田藩、佐賀鍋島藩、さらには途中立ち寄った福岡の薬師問屋などが、良衛の行く先々に立ちはだかる。一方江戸城大奥では、綱吉の寵愛を独り占めにするお伝の方が、オランダ流産科術に目を向け、外道(外科・整形外科)医師である良衛に密命を与える。それを防がんとする勢力が、また良衛をつけ狙う。江戸と長崎で良衛の医術の成果を狙い張り巡らされる策謀の数々。良衛危うし!良衛が次々に襲い来る理不尽な魔の手に襲われていたころ、大奥ではお伝の方が自らの不妊に関する疑念を綱吉に訴える。「神田館では二度も上様のお子を孕みましたものが、どうして大奥に入ってから身ごもりませぬのでしょう」と。何か薬を盛られているのではないかと訴えたのである。「ただちに良衛を呼び戻せ」長崎へ行ってオランダ流産科術を学べというかと思えば、ただちに江戸へ戻り、お伝の方の食事に異常がないか調べよという綱吉の命。もしかしたら上田はこれを「乱用」と表したかったのかもしれない。綱吉の命に木の葉のように踊らせられる良衛。とにも新たな使命をおびて江戸へ帰ることになった良衛にいかなる運命が待ち受けるのだろうか?◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年09月08日
酒飲みと聞けば、10人中9人はへべれけに酔って千鳥足の中年オヤジの姿を思い浮かべるのが普通でしょうが、世の中にはこういう女性もいらっしゃるのですね。今手にしている本。江口まゆみ著「中国で呑んだ!喰った!キゼツした!」中国で、呑んだ!喰った!キゼツした! [ 江口まゆみ ]価格:575円(税込、送料無料) (2016/8/22時点)「呑んだ!」「喰った!」と書けば、「飲んだ」「食った」に比べて尋常ならざるものを飲んだり、食ったりしたという印象を抱きますよね。しかも、そのあとに「気絶した」のではなく「キゼツした!」と続くのですから、この後果たして正気に戻ることが出来たのだろうかという思いを抱いてしまいます。ブックカバーには、堂々と盃を挙げている女性の写真が複数載っていますね。おおっ、水着姿も写っているではないか!( ← イエローカード! この小柄で色白の美人女性こそ、著者の江口まゆみさんなのでしょう。これは「タマゲタ!」未知の酒を求めて少数民族の暮らす中国南部を六十日間かけて横断!そこで女史が口にしたものとは、豚の脳みそ、ヒトデ酒、鹿のペニス酒、カエルの丸焼き、ミミズのお粥・・・。私ならたぶん「呑んだり」、「喰ったり」する前に、「キゼツ!」すること間違いありません。そんなまったくだらしない中高年オジサンを、江口まゆみさんは優しく介抱してくれるものでしょうか?( ← イエローカード!・・・爆笑!◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年08月22日
今手にしている本。人気時代小説作家・浅田次郎氏のエッセイ集、『ま、いっか。』ま、いっか。 [ 浅田次郎 ]価格:534円(税込、送料無料) (2016/8/21時点)日常のさまざまな出来事を題材に、氏ならではの感性が語りかける粋でキレの良い現代考察。1年の内の1/3は旅先で過ごすというまれにみる旅好きの氏であるから、やはり「旅」について書かれたエッセイが、ひと際旅に出たいがままならぬ者の心を引きつけます。「秋の深まるころ、北京から上海まで列車の旅をした」で始まる『夜汽車』。この中で氏は、旅というものは目的地の観光とばかり考えがちな現代人に、「道中こそが旅そのものであったはず」と説いています。「万事においてその経緯を省略し、結果のみを待望するというのは、旅のかたちのみならずわれら現代人の等しい習性となっているのではなかろうか。・・・そう思えば文明の進歩を甘んじて享受しているわれわれは、案外知的退行をしているのではないか・・・」北京から上海へ最高級の二人用コンパートメントの座席に身を沈めて、「文明のもたらした速度が与えたもの、また奪ったものについて、我々は考え直してみる必要ある」茫漠たる大地を走り続ける列車の車窓を見つめながら、こんなことを考える浅田次郎氏に、私は限りない憧れと少しばかりの羨望を禁じえないのです。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年08月21日
童話「アリとキリギリス」の話は、誰でも知っていますよね。子供のころこの話を聞かされて、つくづくキリギリスのようにはなりたくないと思ったものでした。大人になったら、アリさんのように一生懸命働くぞと。(笑!その働きアリの中でも、働き者のアリと怠け者のアリがいるということ、ご存知でした?しかもアリの集団(コロニー)にとっては、怠け者の存在が重要なんだそうで、働き者だけの集団は必ず破滅するというのですから、思わず「そんなのアリ!?」と言ってしまいそう。(笑!働かないアリに意義がある [ 長谷川英祐 ]価格:604円(税込、送料無料) (2016/8/15時点)働き者ばかり集めたはずなのに、いつの間にやら怠け者が出てきたり、怠け者ばかり集めても、ちゃんとその中から働き者が出てきて集団(コロニー)が維持されるって、きっとアリは「アリとキリギリス」の話を知っているに違いない。(・・・!?!?しかし、アリに一匹一匹印をつけて、ハイ君は働き者、お前はどう見ても怠け者なんて、まったく根の詰まるような研究をコツコツやる北海道大学の長谷川英祐先生って、働きアリも顔負けの働き者だと思いませんか。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年08月15日
今手にしている本。人気時代小説作家浅田次郎著「お腹召しませ」。お腹召しませ [ 浅田次郎 ]価格:637円(税込、送料無料) (2016/8/10時点)「のう、又兵衛。ひとつだけ手立てはある」入り婿の仲立ちをしてくれた留守居役に頼み、表ざたになる前に不始末をしでかした入り婿を離縁してしまえば、家に累が及ばぬようにできるのではないか。額をすりながらにじり寄る高津又兵衛の耳元に、留守居役は非情にも囁いた。「よいか。おぬしの家を残す唯一の手立てだぞ。気の利いた遺書を残して腹を切れ。あとはわしが勇太郎(又兵衛の孫)の後見ということで何とかする。それでともかく家は残る・・・」「なるほど。さすがは御留守居役様でござりますのう。そのような手立ては毛ばかりも思いつきませなんだ」何と二十五年連れ添った妻が、顔色一つ変えずに言うではないか。さらに愛娘が後を継がせようという孫に乳を含ませながらダメ出しを言い放つ。「父上は四十五でござりましょう。お祖父様の享年は越しておいでです」何と妻も娘も口を合わせて腹を切れというではないか。表紙のイラストにあるごとく、むき出しの脇差を右手に、左手で腹を探りつ天を仰ぐ侍の姿こそ浅田が描こうとする幕末末期の矛盾に満ちた武士の姿。はたして高津又兵衛は、見事腹を切って果てるというのだろうか?◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年08月10日
今手にしている本、JALの機内誌に連載された人気作家浅田次郎のエッセイ集「つばさよつばさ」に続く第2弾。「アイム・ファイン!」アイム・ファイン! [ 浅田次郎 ]価格:529円(税込、送料無料) (2016/8/7時点)一年のうちおおよそ1/3は旅先にあるという筆者が、行く先々で体験した諸々の出来事を綴る。抱腹絶倒のエッセイ。毎週末は全国どこかの競馬場にいるという浅田次郎氏は、無類の博打好きでもあるらしい。題名になった「アイム・ファイン!」は、ラスベガスのカジノで大ツキの最中に文芸賞受賞の連絡を受けた時、作者が発したことば。ルーレットのテーブルで勝負を賭けた「黒の8」にみごとストレートが嵌ったとき、氏の携帯に掛ってきた編集者からの電話。「おめでとうございます。これからご自宅におうかがいいたします」という編集者に事情を説明する浅田氏。ようやく電話を切ってテーブルに戻ると、「日本人は働き者だな」と隣の客が言ったのに、「そうじゃないよ。アイアム・ジャパニーズ・ノベリスト。実は今、文学賞を貰ったんだ」と答えたところ、テーブルは大笑いの渦となったと。氏は続けてこう書いている。「少々心外であるけれども、最高のジョークと思われるくらい私は小説家には見えぬらしい」と。浅田エッセイの真骨頂は、これに代表されるごとく質の高い自虐的なジョークにあるのではないか。それは長編時代小説の大作「一路」にも「黒書院の六兵衛」、憑神(つきがみ)でも、行間に垣間見ることができて、ゆえに読者は浅田ワールドの虜となってしまうようだ。JALの機上、どこぞの知事のごとくファーストクラスとまではいかなくとも、できるものならビジネスクラスのシートに深くゆったりと体を沈め、機内誌を読んでみたいものですな。ドリンクなんぞをサーブしてくれるキャビンアテンダントに、「アイム・ファイン!」と微笑みかけてみたいものです。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年08月07日
時間があって金にも十分余裕があれば、ゆっくり体と心をを休めたいものだと思ったとしても、別段お叱りを受けるものではないでしょう。ところが実際は日々の生活に追われ汲々とした毎日を過ごしているのは、時間も金もないということを裏付ける以外の何ものでもありません。(涙!毎週末の日経には、各旅行代理店のツアー広告が何社も掲載されていますが、私はいつもその広告を見比べて、やれ高いだの、ホテルのグレードがどうの、食事は何を食わしてくれるだの、行けもしない国内有名温泉地や外国の観光地に立つ自分を夢想したりしていますが、まったくもってわびしい限りです。・・・何もかも忘れて放浪の旅が出来たらどんなにかいいだろう。かといって今の仕事や生活や、もしかしたら家族も投げ捨てて、放浪の旅に出る勇気も無謀さも私は持ち合わせてはいないのですが、これはこれで凡人の幸せというものかも知れないと思ったりしています。そんな思いで、度々本棚より取り出して開く一冊。【送料無料】世界一周ひとりメシ [ イシコ ]価格:630円(税込、送料別)世界33の都市を訪れ、その地で"ひとりメシ"を食おうという「イシコ」(筆者、ペンネームか?)なる人物こそ、誰もが一度は憧れるにちがいない放浪者。私も「イシコ」とともに世界一周一人メシの旅に出ることにしました。今私は、南米ウルグアイの主都モンテビデオからトラブル続きの飛行機便を乗り継ぎ、ロサンゼルス国際空港に着いたばかり、空港内のカウンターバーで早朝からカクテル(ブラッディマリー)を飲んでいます。 ◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年08月02日
人気時代小説作家上田秀人の「御広敷用人大奥記録」、シリーズ10話は「情愛の奸(かん)」という副題がつけられていました。「奸」を辞典で調べると、「邪悪であること、よこしまなこと」とあります。情愛が絡んだ邪悪でよこしまなこととは、果たしていかなることか?早速読み進めることとしましょう。情愛の奸 [ 上田秀人 ]価格:669円(税込、送料無料) (2016/7/28時点)時は8代将軍吉宗の治世。開幕以来100年続いた幕府であったが、歴代将軍の浪費により幕庫が底をついたことを知らされ吉宗は、大胆な改革を打ち出した。歴史上にその名を残す享保の改革が、このストーリーの背景になっている。改革の矛先となった当時の大奥は、天英院(6代家宣正室)と月光院(家宣側室で7代家継生母)が牛耳っていて、さしもの吉宗といえども、大奥を縮小するの一言でことがなるものではなかった。大奥にひっそりと暮らしていた誰からも忘れられていた竹姫(5代綱吉養女)を継室とすることで、天英院と月光院を排除し大奥を掌握しようと考えた吉宗は、竹姫付きの御広敷用人に腹心を抜擢したのであった。その用人こそこのシリーズの主人公、我らがヒーロー水城聡四郎(みずきそうしろう)である。禁裏より「竹姫を継室とすべし」という勅許が下れば、だれも異を唱えることが出来ない。その根回しのために京へ上った聡四郎に吉宗の新たな命が。「京よりの帰路、尾張に立ち寄れ」。今度は尾張を探れというものであった。御三家筆頭尾張家の秘事を探られまいとする尾張家附家老成瀬隼人正。またしても聡四郎一行は新たな刺客に襲われることに。そして大奥では、どうしても大奥に君臨し続けていたい天英院がまたしてもなりふり構わぬ暴挙を企てる。「情愛の奸(かん)」とは天英院のことであろう。果たして聡四郎は、見事「情愛の奸」を退け、吉宗の命を全うすることができるのだろうか?◆酒そば本舗トップページへ◆
2016年07月28日
お奨めの一冊、「怪しい日本語研究室」我々は日本人ですから、当然のことながら意識せずに日本語を使いますが、これを外国人の目から見たら、これほど"怪しい"言葉はないと著者は主張しています。カナダ生まれの日本語研究家イアン・アーシーさんが、我々ネイティブの日本人には気がつきにくい、愛すべき日本語の使い方をおもしろいほど痛快に指摘してくれています。【送料無料】怪しい日本語研究室 [ イアン・ア-シ- ]価格:1,470円(税込、送料込)その筆頭が、わざわざわかりにくい表現を使う役所の文書。・・・と言われても、皆さんは何のことなのかピンと来ますか?それでは具体的に見ていきましょう。この国を動かしていると自認している霞ヶ関の官僚が多用する言葉、それは「整備」と「主体」。「パソコンを買って来る」と言えばすむところを「パソコンの整備」と言うし、道端に木を植えることは「街路樹の整備」、「働き口を増やす」ことを「就業機会の整備」のごとく。さらに「人」などとあまりにも簡単な言葉は、けっして使わないのがお役人だとも。すなわち管理する人を「管理主体」。経営する人なら「経営主体」のごとく。なるほど、ここまで来れば何となくイアンさんのおっしゃっていることがおぼろげに分かってきますね。ではこれを踏まえて、実際の役所の文書に出てくるという次の例文を判読してみてください。イ)非自発的離職求職者ロ)各主体の自主的対応尊重ハ)人的資本の流動性拡大のため、環境整備を行うニ)平均的な勤労者の良質な住宅確保は困難な状況にあるホ)自然ふれあい型の余暇活動への志向が高まってきているう~む、こう書かれてしまうと霞ヶ関のお役人は難しい仕事をしているなと思ってしまいますよね。ところが、イアン流に翻訳すればこんなに簡単。だれにだって何のことなのかすぐ分かる。イ)クビになって仕事にあぶれている人ロ)みんな勝手にやればいいハ)転職しやすくするニ)普通のサラリーマンは家を買えないホ)外で遊びたい人が増えた極めつきが官僚の"整備文"を応用した政治家の国会答弁。「制度を整備した上で措置します」は、「少しあとでやります」または「しばらくやれません」(涙!日本人以上に日本語をよく知る怪しいガイジン、イアン・アーシーさんに「あっ晴れ!」拍手喝采を送ります。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年07月21日
日頃イライラが高じると、努めて平静を装ってはいるのですが、ついつい短気の地肌が出てしまいます。「バカやろう!」禁句が飛び出してしまうのです。何とも後味の悪さと気まずさに、わが身の狭量を恥じることになるのが常ですが、覆水盆に返らずの例えをあえて引くまでもありません。そこでこんな本を買い求めました。ストレスの捌け口にしてみようと思いましてね。。。全国アホ・バカ分布考 [ 松本修 ]価格:853円(税込、送料無料) (2016/7/20時点)関東では、「バカ」。関西では「アホ」。当然のことながら、所違えばことばが違う。では、「アホ」と「バカ」の境界線は何処にあるのか?皆さんも知りたいと思いませんか?東京と大阪の中間の名古屋あたりになるのでは?私は学生時代名古屋に4年住んでおりましたので、必死に思い出そうとしているのですが、どう言ったかな?バカとも言うし、アホとも言ったような。・・・「タワケ!」とも言いませんでした?「タワケたこと申すでにゃ~わ!」「申す」となぜか謙譲語を使ったりするのですよね。特にご年配の方などは。東京なら、「バカなこと言うもんじゃない!」大阪なら「あんさん、アホかいな!?」だいたいこんな感じでしょうか?ちなみに、当地北陸富山では、「何ダラなこと言うとるが!?」・・・・ほんとうに『ダラなこと』言っております。しかし、ご紹介した本は、大変マジメで、この国の言語について、地域の風土・文化にまで、深く掘り下げて書かれております。お奨めの一冊、ぜひご一読を。◆酒そば本舗トップページへ◆
2016年07月20日
李白、杜甫、白楽天と言えば中国唐代の三大詩人。今さら言うに及びません。読者の皆さんは、この三大詩人がいずれ劣らぬ大酒飲みであったということをご存知でしたでしょうか。確か高校の漢文の時間に、先生が授業もそっちのけで話してくれたことをいまだによく覚えています。当の漢文の先生もきっと酒好きだったのに違いないと、先生のことが懐かしく思い出されます。内容については、歴史と文学としての解釈に関係することなので、正確に読者にご案内しなければと思い、図書館へ行って調べ直してまいりました。どう読んで、どう解釈したらいいのか分からない漢字ばかり並べられた文をうんうん唸って読むつらさったら、二日酔いの朝なんて、つらさのうちに入りませんよ。(笑!そこで、「中国古典詩聚花 美酒と宴遊」(山之内正彦、成瀬哲生共著)に、三人の飲みっぷりについて詳しく書いてありましたので、しっかり勉強してまいりました。しかし、エライ先生がいらっしゃるものですね。三人の残した酒の歌から、飲みっぷりまで分かっちゃうなんて・・・。自ら酔吟先生と称した白楽天は、酒をこよなく愛した。比較的少量の酒で陶然と酔うことができたといいます。私の場合は、当然と酔ってしまいますがね・・・!?(笑!酔うことに心の平安を求めたのが白楽天。理性派といえましょう。杜甫はどちらかと言えば、分かりやすく言うところのヤケ酒派。飲めば飲むほど心の平安は向こうに追いやられてしまう。ヤケ酒を飲んでもなお酔いきれない。酔っぱらってもあくまでこの世の人であろうとしたのが、杜甫の飲み方。苦悩派とでも言うのでしょうか。これはこれで、また凡人にはまねのできない飲み方ですよね。李白は、杜甫がその飲みっぷりを仙人だと言ったぐらいですから、飲めば飲むほど世俗を忘れ、酔郷をさまようことができたというではありませんか。超越派というのでしょうね。・・・うらやましい。(笑!李白の飲みっぷりを仙人のようだと杜甫が詠んだ詩「飲中八仙歌」より、李白の部分を抜粋してお届けします。 李 白 一 斗 詩 百 篇 長 安 市 上 酒 家 眠 天 子 呼 来 不 上 船 自 称 臣 是 酒 中 仙酒を一斗飲む間に詩を百篇作っちゃうというのもスゴイですけど、天子の招きがあっても、「酒中の仙人に何の御用でしょうか、もう少し酔っぱらっていたいのです。またにしてください」って、カッコ良すぎますよね~!◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村
2016年07月16日
日本では、そばは「そば」または「蕎麦」と書けば、それが何であるか分からぬ人はいないでしょう。これが、そばの原産地である中国ともなると、ご案内のとおりかの国は漢字の国ですから、土地土地によりいろいろな文字の表し方があるのだそうです。それがまた、土地土地のそばの品種ともからみ合って複雑ったらありゃしない。蕎、蕎麦、烏麦、花蕎、伏蕎、華麦、落麦、省麦・・・・・そばはタデ科の植物であり麦とは違うのに、「麦」と表記しているところが面白いですね。また、内陸部のチベットやヒマラヤでは古くから苦蕎麦(今、日本でも話題になっている韃靼〈ダッタン〉そば)が栽培されており、このそばと区別するために普通のそばを「甜蕎(てんきょう)」「甜蕎麦(てんきょうばく)」とよんで区別しているのは、興味をひかれます。「甜」は甘いという意味なのですね。日本で広く栽培されているそばが、甘蕎麦と呼ばれる所以です。突然ですが、話はフランスに飛びます。日本テレビ系列の人気長寿番組「世界マル見え特捜部」のファンの方多くいらっしゃることと思います。所さんのおとぼけにビートたけしのズッコケが視聴者を楽しませます。楠田 枝里子さんがMCメンバーの一人だった頃ですから、ずいぶん前に放映されたものになりますが、フランス人シェフがスタジオに来てクレープを焼いていたことがありました。このクレープの生地にそば粉が入っていると楠田さんが言っていたので、ちょっと驚きました。フランスのある地方の伝統料理だといっていましたから、きっと昔からあるのでしょう。ということは、フランスでもそばが栽培されているのだろうか?・・・と思ったのです。早速調べてみました。「蕎麦考」(永友 大著)より引用いたします。やはりフランスでもそばは栽培されているのです。「 Bre Sarrasin 」日本語読みで「ブレ サラザン」と発音するのでしょうか?「ブレ」は最終的には「ブレッド」に行き着きたくなりますね。そうすると「 Bre 」は小麦を意味することになるのでしょう。「Sarrasin」は「サラセン」でしょう。しからば、サラセンの小麦ということになりますね。原産国中国からヨーロッパへそばを伝えたのは、サラセンの商人だったのでしょうか。同じヨーロッパでもドイツ語では、「Buchweizen」、「Buch」はドイツ語で「Buche」のことで、ブナの実のことを指すのだそうです。さすれば、ブナ小麦ということでしょう。では英語ではどうかというと、これが「Buck Wheat」。後半の「w」で始まる言葉はドイツ語でも英語でもいづれも小麦を意味しますね。そばの原産地である中国でもやはり「麦」と表現していることを思えば、洋の東西を問わず、人間の思いつきや発想は同じなのかなと感心させられます。これは、世界の主食は何といっても小麦で、小麦は粉にして食されるものですから、同様にそばもやはり挽いて粉にして食べるということから、○○麦と表現するようになったのだと思いますが、読者はいかにお考えになりますか。日本では、そばは大陸より伝播してこの方、粒のまま煮てお粥のようにして食べていたそうで、粉に挽いても蕎麦掻き(そばがき)のように団子状にして、やはり煮るようにして食した。今のそばのように細く切って食べるようになったのは、江戸時代になってからというのですから、ちょっと驚きです。文字こそ中国から伝わったそのまま「蕎麦」と表しますが、長年にわたり粒のまま食していたというのは、これは何といっても日本は瑞穂の国、お米は粉になどせず粒のまま食べますからね、米の影響が大きいのでしょう。粒食と粉食の文化の違いは、こんなところにも影響しているのですね。そばっておもしろい!!◆酒そば本舗トップページへ◆
2016年07月11日
皆さんは、忌み言葉ということをご存知でしょうか。私も、井沢元彦さんの逆説の日本史を読んではじめて知ったことですが、日本人は無意識のうちにこの忌み言葉の文化にどっぷりはまっているというのです。分かりやすい例をあげれば、歴代の天皇のことを当時の人はどのように呼んだのか?その答えは、声に発するのさえ恐れ多くて○○天皇などとは決して呼ばなかったと言うのです。呼ぶことさえ忌み嫌うべきことであったのです。後に書物などで○○天皇と著してあるのは、必ずその天皇が崩御してからのことであったと井沢さんは言っておられます。・・・ナルホド、NHK大河ドラマなどを見ると、ごくごくお側の者だけが「お上」と袖で口をふさぐように発し、それに対して、「みは~であるぞ」などと自分のことを「み」と言わせているのは、時代考証に合致したものなのかなと思います。また憤死など非業の死を余儀なくされた人物の祟りを非常に恐れたゆえに、社(やしろ)を造り神と崇め、その人物の霊を鎮めようとしたと。菅原道真を祀る北野天満宮しかり、古くは出雲大社の巨大な社殿しかり。靖国問題をヒステリックなほどに騒ぎ立てる中国と韓国の指導者は、2000年もの昔から培ってきた来た日本人固有の祟りを恐れ、汚れを忌み嫌う文化を正しく理解しているとは思えません。さて前書きが長くなりました。「蕎麦考」(永友 大 著)よりそばと忌み言葉に関連することをご紹介しましょう。かって宮中では「そば」も忌み言葉であったと言ったら、読者の皆さんはさぞかし驚かれることでしょう。その理由は、そばの実の形にあります。そばの実はエジプトのピラミッドを目一杯に小さくした形、そう三角錐の形状をしているのです。その三稜をもった三角(みかど)が帝(みかど)に通じるために、「今宵の夕餉はそば粥なぞを・・・」などと女官が言おうものなら一大事で、神社仏閣に帝の安泰を願って祈祷をしなくてはならない・・ってなことにきっとなるんでしょう。では、どう呼んだか?幸いそばの葉の形が葵の葉に似ていることから、「そば」を「あおい」と呼んだというのですから、う~んと唸ったきり、言葉を失います。ひょっとすると、葵の紋(徳川幕府)を食べちゃうと言う隠れた意味もあるのかなと思ったりもするのです。さて、果たして本当に "お上" は、「みは葵粥を所望じゃ・・・」などとおっしゃたのでしょうか?一方、今のようにそばを細く切って食べるようになったのは、江戸時代の初めといいますから、江戸は将軍の街、町人は誰にはばかることなく気軽に「おぉ~ぅ!そば食っていきなっ!!」「ありがとうよっ!ごちになっていくぜぃ~!!」なんて言ったんでしょうね。下々の身の上といたしましては、江戸の庶民に軍配を上げたくなるのは、仕方のないところでありましょうか。 ◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年07月10日
お奨めの一冊、「江戸川柳で現代を読む」(小林弘忠著 日本放送出版協会)より、川柳二句をご紹介します。【送料無料】江戸川柳で現代を読む [ 小林弘忠 ]価格:714円(税込、送料込)店中の尻で大家は餅をつき店は「たな」と読みます。店中(たなじゅう)とは長屋を間借りしている住人すべてということになります。大家(おおや)とは、もちろん長屋の大家さんのこと。ずいぶん前のことですが、古典落語の一節にこんな場面が出てまいりました。長屋の遊び友達のところにやってきたワル友達が、そこの大家(おおや)にやり込められて退散する時に吐いた捨てゼリフ。「こんな長屋、二度と来てやるもんか!糞どころか屁もひってやんねぇ~!」前半の二度と来ないというのは分かりますが、後半の糞も屁もしないというのが分かりづらいですよね。実はその疑問を解く鍵が冒頭にあげた川柳にあるのです。当時の長屋は、4畳半一間と土間がついているだけ。井戸とトイレは、長屋の店子(たなこ)すべて共同。だから、トイレは街の共同便所の働きもしていた。そして、当時の江戸は世界一の人口都市でありながら、世界一のリサイクル都市でもあった。すべてがリサイクルに回された。古着や傘はもちろん、修理のできない鍋釜、ちり紙、障子の破れ紙、かまどの灰まで、ありとあらゆるものを取っておけば、専門の業者が長屋を巡ってきてはそれらを回収し、いくらかの代金を払ってくれた。当然、長屋の住人の糞尿は、貴重な有機肥料として、高価に売れた。ナントその収入が年間4~5両にもなったというのですから、餅どころか正月支度ができて、まだおつりが出た。冒頭に上げた句は、そんな長屋の住人の大家(おおや)への羨望を詠んだ句だったのです。理解できないでいた落語の一節も、この本を呼んでやっと分かりました。だから、新しい店子(たなこ)が入居すると、大家(おおや)は店賃はもちろんのこと、正月の餅代のことまで思いをめぐらし、密かにほくそえんだのでしょう。肥取りに尻がふえたと大家言いそんな大家(おおや)でも、店子(たなこ)にとっては親同然。いろんな世間の困りごとは、いの一番に大家に相談したそうで、大家も親身になって店子の世話をしたというのです。決して豊かとはいえない毎日であっても、文句の一つも言わず、川柳の中で明るく愚痴って気を紛らす江戸人って、スゴイと思うのです。物質文明にどっぷり浸かり一見恵まれたようにみえる現代人には、とても真似ができません。時を300年余り遡り、江戸の町長屋に舞い戻って、長屋のトイレを借りてみたくなるくらいだと言ったら、読者はばかばかしいと笑われるでしょうか?3月にもこの本より二句、当時の江戸市民の人情の機微がうかがえる川柳をご紹介ししております。合わせてお読みいただければ幸いです。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年07月07日
遠い世界に旅に出ようかそれとも赤い風船に乗って雲の上を歩いてみようか太陽の光で虹を作った お空の風をもらって帰って暗い霧を吹き飛ばしたい と歌い、若者の心を大きく揺すったのは五つの赤い風船、西岡たかし。1970年代のことでした。以来現実の暗い霧を吹き飛ばしてくれるに違いない旅への憧れが、私の心に住み着いたのではなかったか。気が付けば半世紀50年の歳月が流れたことに、今更ながら大きな衝撃を受けずにはいられませんが、旅への憧憬はますます募るばかり。「そぞろ神が乗り移って心を乱し、道祖神の招きにあった」芭蕉のようでもあります。今私が手にする本、「つばさよつばさ」。つばさよつばさ [ 浅田次郎 ]価格:507円(税込、送料無料)冒頭に平然と「私は好むと好まざるとにかかわらず、旅の連続である」と書く作家・浅田次郎こそ、私の憧れである。奇しくも浅田も70年代「遠い世界に」に心を奪われたに違いない若者の一人、私と同じ世代ではないか。「海外が年6回から7回で約60日、国内が約30回で同じく60日程度、かくて私は1年の三分の一を羈旅(きりょ)の空に過ごしていることになる」これで「好むと好まざるとにかかわらず」とはよく言ったものだと強い羨望を禁じえません。(苦笑!ただ「好事魔多し」とはよく言ったもの。著者自らいわく、「むろんすべての旅の目的は執筆ではなく、講演、サイン会、雑誌取材、・・・その他意味不明の招待旅行等々、要するに執筆のために旅をしているのではなく、それ以外の目的で旅をしなければならないから、やむなく旅先で執筆をしている」のだとか。JALの機内誌に連載されているエッセイを単行本にまとめたのがこのエッセイ集「つばさよつばさ」。旅に出て筆を取れば、それがヒットしてまた執筆の依頼が来る。旅に出る、執筆する、ヒットする、また旅に出る。金もなければ時間もない、貧乏暇なしの身の上としては、せめて紙上で講演に出向いたロンドン、高校の同級生と行く箱根、想定外の日本語が飛び交うエジプト。ラスベガスでは手に汗握るギャンブル・・・、私と同世代の著者の抱腹絶倒の旅を満喫したいものです。◆酒そば本舗トップページへ◆
2016年07月04日
犬はワンワン、猫ならニャーニャー、馬ならヒヒーン。身近な動物の鳴き声なら知らぬ人はいませんね。ではタニシはどう鳴くかご存知か?タニシって川に生息する巻貝のタニシです。私らが子どものころは、田んぼにもごろごろいましたね。そのタニシなんですが、タニシが鳴いたって話、未だかって聞いたことはありませんが。「うたの動物記」(小池 光 著)より、俳句や短歌の世界では鳴くはずのない動物が鳴くという話題。【楽天ブックスならいつでも送料無料】うたの動物記 [ 小池光 ]価格:2,916円(税込、送料込)ではタニシはどう鳴くのか?松山中学校教師時代、しきりに子規に句稿を送って批評を乞うていた漱石の句。よく聞けば田螺(タニシ)鳴くなり鍋の中永井荷風はこう詠んでいます。しのび音も泥の中なる田螺哉圧巻は北原白秋かはづの啼くはころころ、田螺(タニシ)の啼くはころろよころころ、ころろ、ころころ萌え来(こ)よ、春の下(した)ん田(だ)なんとタニシは、「ころろ」と鳴くのであった。ちなみに「田螺鳴く」は春の季語。同じく「亀鳴く」も春の季語。「蚯蚓(ミミズ)鳴く」なら秋の季語。鳴かないものが鳴く三大季語なのだそうです。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年06月29日
今読んでいる本、小早川涼 著「新・包丁人侍事件帖3 飛んで火に入る料理番 」。飛んで火に入る料理番 新・包丁人侍事件帖(3) [ 小早川涼 ]価格:648円(税込、送料無料)時は11代将軍家斉の治世。江戸城御広敷御膳所に風変わりな侍が一人禄を食んでいた。将軍家斉の食事を作る台所人・鮎川惣介である。惣介の作る料理をいたく気に入った家斉は、月に一・二度の頻度で惣介を自らの休息所である御小座敷へ召し出すようになった。家禄五十俵高、御目見以下の御家人にすぎない惣介が直接将軍にまみえ直答が許される。それだけでも前代未聞の仕来り破りといえるのに、惣介手作りの季節の料理一椀を毒見を通さず持って上がることが許されている。上役の権威はすりこ木ですられたすり鉢の中の胡麻味噌のごとく丸つぶれ、同輩の台所人の妬み嫉みは煮詰まった出汁のごとく鍋底を焦がす。その家斉の呼び出しも久しく途切れたとある日、惣介召し出しの知らせが御膳所に。いつもなら苦虫まみれの顔で「お召だ」とつぶやくだけの台所組頭が、いつになく台所脇の空き座敷に聡介を連れ込んでこう囁いた。「鮎川もすでに承知と思うが、このところ上様は食が細っておられる」将軍病むの知らせは、天下を揺るがす。それを声にして許されるのは、家斉本人と御典医のみ。組頭は惣介にそれを探れというのだった。そのころ財政難に苦しむ幕府は貨幣の改鋳に乗り出していた。金銀の含有量を減らした貨幣を作り、その差額を幕庫に入れようと計ったのであったが、案に違わず新貨幣の評判はすこぶる悪く、おまけに市中に偽金が出回る始末。そんな折江戸市中では火事が相次いでいた。とりわけ霊願島界隈の火事では町火消同士の悶着が原因で野次馬を巻き込んでの大乱闘が勃発、多数の死傷者が出た。かんざし職人五十松の死も乱闘に巻き込まれた結果とされたのであったが、幼馴染の小間物問屋"くれない屋"の番頭・理左衛門は、付け火を目撃した五十松が町火消の乱闘に紛れて殺されたのではないかと惣介に語る。家斉の食の細り、幕府による貨幣改鋳と偽金の横行、そして火付けと五十松の謎の死。別々の章で書かれた一見関連のないように思えた話が、実は裏でつながっていることが惣介の見事な鼻(聡介はたぐいまれな臭覚の持ち主)により解き明かされていく。はたして惣介が辿り着いた事件の真相とは・・・? ◆酒そば本舗トップページへ◆
2016年06月26日
お奨めの一冊、歌人小池 光著「うたの動物記」より、今日話題にする動物はヤモリ。【楽天ブックスならいつでも送料無料】うたの動物記 [ 小池光 ]価格:2,916円(税込、送料込)突然ですが、皆さんはヤモリとイモリの違がわかりますか?。当然のことながら、ヤモリは爬虫類、イモリは両生類。生物の進化上両生類から進化して爬虫類が現れた。このくらいのことなら大概誰でも知っていますよね。でも、爬虫類と両生類の排尿の代謝の違いまでご存知の方は少ないのじゃないか?私も知りませんでした。代謝により体内に発生したアンモニアを水溶性の尿素として体外に排出するのが両生類。爬虫類は不溶性の尿酸として糞とともに排出すると説明が書いてあったので驚きました。これは俳句や短歌について書かれた本のはず。なのに「科学もの知り本」かと勘違いするほどです。難しい生物学的な分類上のことはさておき、イモリの腹は毒々しいほどに真っ赤、対してヤモリはさらさらと真っ白。子供のころ夜ともなると明かりに誘われやってくる蛾を狙って、窓ガラスによくこのヤモリが現れたものでした。大きいものでも体調10センチほど、ピタリとガラスに貼りつくようにして、近づいてくる蛾をパクリと捕らえる。時にはヒタヒタと足をしのばせ自ら獲物に近づいていく。そんな様子を飽きもせず眺めていたものでした。「家を守るから家守(ヤモリ)という。家を災難から守ってくれているのだから、決して殺してはだめですよ」と、祖母から何度も聞かされたものでした。おおよそヘビ・トカゲに代表される爬虫類ほど、人から気持ち悪がられる動物はいないのではないか。湿ったうろこ状の皮膚、先の割れた細長い舌を口の先からチロチロ出し入れするさまは、決して気色のいいものではありません。ところが同じ爬虫類でも、ヤモリにかぎっては、皮膚もさらさら乾いた感じで、口の両端の上に離れて位置する大きな目玉はくるりとかわいい。蛾を捕食した後に口の端を舌で舐めるようなしぐさを見せたときなど、不二家のペコちゃんのようにさえ見えたりします。最近ではいくらガラス戸の内側で待っていようとも、とんと姿を見せないヤモリはどこへ行ってしまったのだろう。あっ、そうそう、肝心の歌についてご紹介するのを忘れていました。さすがにヤモリは俳句には歌われていないようで、いづれも短歌が詠まれていました。硝子戸に白く守宮(やもり)の腹が見ゆ 生きるしるしの手の皺が見ゆ 〔西村 尚〕まさしく何時間も飽きることなくガラス窓の前にたたずんだ少年の日の私を思い出します。呼吸をするたび大きく息づく白い腹とピタリとガラスに貼りついた大きな指先の皺まではっきりと思い出すことができます。ひったりと手をあて窓に貼りついて守宮(やもり)のごとく君を待つのだ 〔花山 周子〕う~ん、ストーカーか!?(笑!冗談はさておき、どうか愛しい人に己の存在を気づいて欲しいと願う小心な男の気持ちをヤモリの様子に上手く投影していますね。男はみな小心なんです。焦心の末に傷心するのも男というものなんです。「ひったり」という言葉にそれがよく表れているように思いませんか。・・・ヤモリに少年の日の私を懐かしみ、また男の本質に思いを寄せたことでした。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年06月23日
お奨めの一冊。「人生で必要なことはすべて落語で学んだ」(童門 冬二著 PHP文庫) 【送料無料】人生で必要なことはすべて落語で学んだ価格:620円(税込、送料別)目次を見ていくと、風流に生きたい/底抜けに明るい生き方/貧しいけれど豊かに暮らす/ケチと倹約のちがいは?/挫折したって歩いていける/夢をかなえる法/老後なんて心配するな/コンプレックスをプラスに変える・・・など。どうです・・・。皆さんも普段このようなことで思い悩まれたことあるに違いありません。筆者はこのようなことをすべて落語から学んだと言っています。どうぞ"落語人間"におなりください。"落語人間"として生きていくことは、楽しくて幸福なことでもあると。人生を上手に生きるコツは、「笑い」の中にあるということを学ばせてくれる本です。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年06月22日
今読んでいる本、上田秀人著「百万石の留守居役(七) 貸借」貸借 百万石の留守居役(七) [ 上田秀人 ]価格:712円(税込、送料無料)百万石とは言わずと知れた加賀前田藩百万石のこと。留守居役とは読んで字のごとく、藩主不在の折に藩邸を守るというのが本来の意味。しかし幕藩体制が確立された江戸時代においては、幕府から示される様々な通達のいち早い入手とその意図を探ること。とりわけ幕府からの手伝い普請等の無理な要請が自藩に下りぬよう、画策するのが最大の務めであったといいます。さらに大名家同士の婚礼等の根回しも留守居役が差配したといいますから、今日の会社組織でいえば、総務部庶務担当というべきか。主人公加賀藩江戸詰留守居役・瀬能数馬は、新入庶務課員といったところ。留守居役の仕来りも伝手の作り方も知らない。副題には「貸借」とありますが、どうやら留守居役の務めの上での機微を暗示しているようです。「貸しは作っても借りは作るな」。若き百万石の留守居役・瀬能数馬は、この言葉の意味は理解しているようではあるのだが・・・。徳川の親藩・会津で国家老相手に渡り合い、大きな貸しをつくることができた数馬であったが、5代藩主前田綱紀の命により、参勤交代の伴を命じられる。綱紀の意図するところは何なのか?道中の各藩の留守居役との折衝に頭を悩ます数馬。その間にも加賀をとりまく状況は一段と混迷を増す。支藩越中富山藩の動向、幕閣堀田備中守正俊の思惑が、若き留守居役をさらに追い詰める。数馬危うし。若き百万石の留守居役瀬能数馬は、この危機を見事切り抜けることが出来るのだろうか?◆酒そば本舗トップページへ◆
2016年06月20日
突然ですが、「今日の日本では全国津々浦々に普及し、その数は550万台を超え、年間売上金額は七兆円に上る」というものご存知でしょうか?正解は「自動販売機」「自動販売機の文化史」〈鷲巣力(わしず つとむ)著 集英社〉に載っていました。・・・なるほど、私たちは自動販売機のお世話にならないことはありませんね。『自動販売機の文化史』〈鷲巣力(わしず つとむ)著 集英社〉自動販売機の文化史 [ 鷲巣力 ]価格:777円(税込、送料無料)先ず驚いたのは、日本は世界でも類を見ない自動販売機大国なのだとか。その第一の理由にあげられるのが治安の良さというのです。品物とお金の詰まった箱を路上に置いておくということなど、他国では考えられないと聞かされれば、かえってこちらの方が驚いてしまいます。次に自動販売機の歴史は、紀元前のアレクサンドリアにさかのぼると言うのですから、これまた驚きです。何を自販したのかというと、水。硬貨を入れると重みで弁が開き、水が得られる仕組みだったとか。紀元前のアレクサンドリアといえば、絶世の美女クレオパトラがすぐに浮かんで来ますが、当時のアレキサンドリアでは金貨にクレオパトラの胸像が刻まれていたそうですから、その金貨1枚でどれだけの水が出てくる仕組みになっていたのでしょうか?それから2000年の時を経て、19世紀のイギリスで、さらに20世紀前半はアメリカで、後半にいたって極東の島国日本で、自動販売機がこのように進化をとげ、我々の生活になくてはならないものになるとは、いかに当時の強国ローマの皇帝カエサルやアントニウスを翻弄したというクレオパトラでも思いもよらなかったに違いありません。「自動販売機はなぜ日本で発達したのか。自動販売機が人間や社会に与えた影響は何か」を知りたい方は、ぜひ本書をご一読されてはいかがでしょう。◆酒そば本舗トップページへ◆
2016年06月18日
今読んでいる本、浅田次郎著「憑神(つきがみ)」。憑神 [ 浅田次郎 ]価格:594円(税込、送料無料)かの剣豪宮本武蔵は、「神仏は崇めるもの、頼るものではない」と言ったそうですが、逆に考えれば宮本武蔵ほどの人をしても神仏を頼もうとしてしまう、人の心の弱さをこれほど浮き彫りにした言葉はありません。時は幕末。14代家茂が出陣先の大阪城で病を発し世を去って間もなくという混乱の時期。七十俵五人扶持の御徒組の次男坊に生まれた別所彦四郎は、その文武に秀でた才能を買われて、実家とは比べようもない三百俵高の小十人組組頭の家に入り婿したものの、男子を儲けた途端に家を追い出されてしまう。夜泣きそば一杯の小遣いもままならぬ厄介次男の身に戻ってしまった彦四郎は、ある夜草深い河原に朽ち果てた小さなお社を見つけてしまう。やがて立身出世し、ただただ親子三人の暮らしがしたいと願う彦四郎は、いささか不気味な祠ではあったが、「何とぞよろしゅう」と図らずも願を掛けてしまった。するとどうしたことだろう、霊験あらたかにも神様が現れたではないか。「重ねてお願いいたす。小十人組組頭の任官を掌るのは若年寄、そこまでとは申さぬが旗本を監察する御目付役まで、何とぞ一日も早う」という彦四郎。大店の主の風情で現れたその憑神は、彦四郎に何とこう言ったのだ。「手前は世を欺いてこんなたいそうななりをしているが、取り憑いて喜ばれるほどのものじゃござんせん。手前は、貧乏神でございますよ」と。貧乏神に取り憑かれてしまった彦四郎、しかも彦四郎が願を掛けた祠は三巡(みめぐり)神社というではないか。貧乏神ばかりか疫病神、死神が巡ってくるというのだ。はたして彦四郎は、三巡(みめぐり)の神とどのように渡り合おうというのか?そしてとことん運に見放されたように見えた彦四郎が、最後に示した武士の矜持とは?◆酒そば本舗トップページへ◆
2016年06月04日
今読んでいる本、「日雇い浪人生活録 一 金の価値」人気時代小説作家上田秀人の新シリーズ、主人公は日雇いの仕事で日々の糊口をしのぐ親の代からの浪人・諌山左馬之助と、その雇い主で江戸屈指の両替屋・分銅屋仁左衛門でした。金の価値 [ 上田秀人 ]価格:691円(税込、送料無料)「・・・なによりも天候で穫れ高が変わり、売却価格が上下する米は、あてにできぬ。・・・一年ごとに収支が変化し、継続した施策を計画できない体制。これが今の幕府だ。幕府は米依存から脱却せねばならぬ」時は9代家重の治世、大御所吉宗が世を去る直前。吉宗が家重とその側近の若きお側御用取次・田沼意次にのみ言い残した遺言が、諌山左馬之助と分銅屋仁左衛門の運命を翻弄することになる。夜逃げした貸し方の店の片付けの日雇いの仕事を与えられた左馬之助は空店から不審な帳面を見つけ、仁左衛門に手渡したのであったが、以降ふたりの周りは騒がしくなる。その不審な帳面とは?吉宗の遺言を忠実に実行しようとする田沼意次が放った策とは?まったくうだつの上がらぬ日雇い浪人諌山左馬之助に、次々と難事が降りかかる。左馬之助と仁左衛門は、吉宗の遺言にどう関わり合おうというのか?◆酒そば本舗トップページへ◆
2016年05月26日
歌人小池光氏の著した「うたの動物記」より、夏の俳句を一句ご紹介します。こんな動物まで歌に詠んでしまう民族は日本人の他にいないのではないかと思えてきます。【楽天ブックスならいつでも送料無料】うたの動物記 [ 小池光 ]価格:2,916円(税込、送料込)本日取り上げる動物は、「蛭(ヒル)」。体を尺取虫のようにくねくね折り曲げて移動し、動物に吸い付いて血を吸うあのヒルである。私らが子供のころは、農作業は今のように機械化されていなく、何事も文字通り手作業が主でした。農家の方は、つらい農作業もさることながら、水田に生息するヒルにも大変悩まされたことでした。それも農薬の普及により、今ではヒルを見ることもめったになくなりましたね。血を吸われるのは蚊でさえもごめんこうむりたいのに、ぬめりのある体をくねくね折り曲げるように動き回り、蚊の何十倍もの口で吸い付くのですから、けっして気持ちのいい動物とはいえませんよね。ところがこの嫌われものヒルは、有史以来人間と関わりが深かったというのですから驚きです。「古事記の国生み神話では、女性であるイザナミノミコトが先に愛を告白してしまったがために『蛭子』が生まれ、これを葦船に入れて流してしまう。物語のはじまりから、忌み嫌われてきた」と書かれているところをみれば、ヒルは神代の昔から生息していて、恐れ多くもご神体に吸い付くこともあったのだろう。小池先生が本著で紹介している歌から、我妹子(わぎもこ)が蛭の血を拭く蕗葉(ふきは)かな 松浦青々もはやヒルの不気味さは微塵も感じさせませんね。我妹子の白いふくらはぎ、赤い鮮血、フキの葉の青、妖艶な美女のなまめかしさを演出するヒルです。日本人の感性の豊かさが感じ取れる味わい深い一句と言えましょう。ちなみにヒルは夏の季語であるということです。先の句は丁度今時分の時節に詠まれたものなのでしょう。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年05月13日
今読んでいる本、 上田 秀人著「禁裏付雅帳2 戸惑」。人気時代小説作家上田秀人の新シリーズ「禁裏付雅帳」、第1話「政争」に続く第2話の副題は「戸惑」でした。戸惑 [ 上田秀人 ]価格:702円(税込、送料無料)時は11代将軍に15歳の家斉が就任した直後。先々代家重、先代家治の2代に渡って幕政を欲しいままにした老中田沼意次は退けられ、新たに権力を掌握したのは老中松平越中守定信。定信の思惑から登用された500石の旗本東城鷹矢(とうじょうたかや)は「使番」から「禁裏付」に栄進し、京に赴任することに。松平定信の思惑とは、朝廷より家斉の実父一橋治済(ひとつばしはるさだ)に大御所の称号を得ること。しかし幕府に今上帝の実父に太上天皇の称号を求めるも拒否されていた朝廷は、なかなか首を縦に振らない。「大御所の勅許を得るために朝廷の弱みを探れ」これが松平定信から若き「禁裏付」鷹矢に与えられた密命であった。時の京都所司代戸田因幡守忠寛(ただとう)は、先の老中首座田沼意次の引きで出世を重ね、行く行くは老中の地位が約束されていたが松平定信の出現でその望みは絶たれた。己の地位を守らんとする戸田忠寛は、松平定信を失脚させようと定信の意を受けた鷹矢の命まで狙おうとする。一方朝廷においても定信の狙いを見破った五摂家二条治孝は、逆に鷹矢を取り込み、朝廷の意のままに操ろうと画策する。朝幕の狭間で立ちすくみ戸惑う鷹矢。鷹矢にさらに襲い掛かる巧妙な罠、そして刺客。鷹矢危うし!鷹矢ははたして「禁裏付」の任を果たすことができるのだろうか・・・?◆酒そば本舗トップページへ◆
2016年04月28日
人気時代小説作家上田秀人の傑作「奥祐筆秘帳」が全12巻をもって終結して丸3年が経とうとしています。上田ファンなら楽天ブックスの検索で「奥祐筆外伝」という文字を見つければ、直ぐに反応してあたり前というものでしょう。いかなる外伝かと手にすれば、「前夜」と副題にある。前夜 奥右筆外伝 [ 上田秀人 ]価格:691円(税込、送料無料)「奥祐筆秘帳」に登場した人物を一人ずつ一話1章にして4章に纏め上げたのが、この「外伝」。まずは主人公の奥祐筆組頭・橘併右衛門(たちばなへいえもん)と立花家の隣家貧乏旗本柊家の厄介次男坊・柊衛悟(ひいらぎえいご)は欠かせませんね。次に衛悟の宿敵甲賀忍・冥府防人(めいふさきもり)と名乗るかっての甲賀組与力・望月小弥太。最後は御膳と呼ばれる黒幕、11代将軍家斉の実父・一橋民部卿治済(はるなり)。奥祐筆組頭まで上り詰めたゆえに幕府の機密を知ってしまった併右衛門は命を狙われることに。併右衛門を守ることになった隣家の次男坊衛悟と併右衛門の一人娘瑞希(みずき)の馴れ初めもそれぞれの章で紹介されている。甲賀組与力の家に生まれた望月小弥太が、妹絹とともに組を追われ抹殺されようとするまでにいたった訳とは?そして息子(家斉)を将軍に就かせてまで将軍の地位を諦め切れぬ8代将軍吉宗の孫にあたる一橋民部卿治済が画策した驚きの野望とは?この外伝一冊を読めば、「奥祐筆秘帳」全12巻すべてのストーリーが分るという優れもの。しかし時代小説ファンといわずも全12巻をすべて読破していただき、スリルとサスペンスに溢れた「奥祐筆秘帳」を味わっていただきたいものです。そのための予備知識を習得するために格好の一冊と言えましょう。◆酒そば本舗トップページへ◆
2016年04月17日
「ってやんでぇ~、こちっとらぁ~江戸っ子だい。そんなまどろっこしいこたぁ~、我慢ならねぇ~!」わが国の首都東京は、その昔江戸と呼ばれたのは知らぬ人はいませんね。その江戸で親子三代生まれ育ったものを江戸っ子と呼ぶことはよくご存知でしょう。粋でいなせで情にもろく、細かい事にはこだわらない。意地っ張りで喧嘩早いかと思えば、普段駄洒落ばかり言って愉快がっている。・・・う~む、なかなか憎めない性格ですな。(笑!さて江戸っ子の気質は分かったとして、それではどうして「江戸っ子」と言うようになったか、ご存知でしたか?江戸っ子の由来について、時代小説の巨匠柴田練三郎が「江戸八百八町物語」で解き明かしています。【中古】 江戸八百八町物語 / 柴田 錬三郎 [文庫]【あす楽対応】価格:251円(税5%込、送料別)家康から秀忠の御世となり次第に平穏無事な時代に移って来ると、旗本大久保彦左衛門のような功名槍一筋に生きた戦場武者は、幕府にとってすでに無用の長物。彦左衛門の不幸は、戦雲あわただしい時勢から、吹く風が枝も鳴らさぬ太平の時勢にまで生き延びたことであったと、筆者は書いています。齢70歳を迎えても家督を譲るべき息子を持たぬ彦左衛門は、隠居願いも出すわけにもいかず、古稀を迎えたからには毎日登城するのも大儀であろう故、気ままにせよと下命されても、毎日出仕し続けたそうです。しかし、さすがに70なかばを超えると登城もままならず、日長一日屋敷で暮らす日々であったと。そんな彦左衛門の退屈しのぎに町人を屋敷に引き入れ、彦左衛門が町人たちに昔の武勇話を聞かせたのが、そもそも「江戸っ子」の由来につながったというのです。彦左衛門が町人たちに語った太閤秀吉の九州征伐の話。秀吉の弟大和大納言秀長を大将とする豊臣勢9万余を迎え撃った、薩摩島津の将兵はわずかに2万余。死を覚悟した薩摩の将兵の腕には、皆「今月今日討死、何の何某」と入墨がしてあったと彦左衛門が町人に聞かせたところ、町人たちが打ち揃って彦左衛門にこう願い出たというのです。自分たちは駿河から御旗本衆について江戸に出てきたもの。この城下に子々孫々まで住みつく覚悟である。自分たちが他国者たちと違っている徳川譜代の町人だという誇りを持ちたいので、その名前をつけてくれ。そうすればそれを腕に彫って証としたいと。しばし瞑目した彦左衛門が、「江戸っ子、というのはどうだ」と言うと、町人たちは歓声を上げたと。以来、町人の間に腕に「江戸っ子何某」と刺青して得意になる風潮が、彦左衛門の屋敷があった神田駿河台一円にひろがったのだと。旗本の中の旗本、時代劇でも今日にその名を残すあの大久保彦左衛門が、「江戸っ子」の名づけ親だったという話でした。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年04月12日
春到来。日が一日一日と長くなっていき、花木のつぼみが膨らみ、温かい優しい日差しに目を細めるのは、何とも心地良いものです。暖かな陽気に誘われ4月からウオーキングを再開することにしました。今私はウオーキングといいましたが、日本語にすれば「散歩」のことですよね。皆さんも散歩はなさいますでしょ。部屋にこもりっきりの人、なさった方がいいですよ。身体ばかりでなく精神にとっても非常によい。ところでこの「散歩」ですが、「散歩」は元々は医学用語であったってご存知でしたか?『歴代天皇のカルテ』(篠田達明著 新潮新書)の聖武天皇の欄に出ておりました。【楽天ブックスならいつでも送料無料】歴代天皇のカルテ [ 篠田達明 ]価格:756円(税込、送料込)聖武天皇といえば、奈良の大仏建立を命じた天皇として有名ですよね。・・・ということは、「散歩」の語源は奈良時代にさかのぼることになるのです。さらに驚いたのは、あの唐招提寺で有名な鑑真和上のことです。私はてっきり仏教の教えを日本に広めるために、朝廷より請われて大陸より日本に苦難の末に渡来したのだと思っていたのですが、実は病弱であった聖武天皇が虚弱体質を改善しようとして、当時最新の医薬調合の技にすぐれた唐の薬師(医者)でもあった律僧鑑真和上を招いたということなのです。正倉院には、このときの鑑真の薬物が60種保存されているとのことです。聖武天皇が好んで服用されたのは、「五石散」という薬。今日でいう強壮剤にあたる薬のようです。この「五石散」は服用するとしばらくして全身がぽかぽかと温まってくる「散発」が起きる。この「散発」を促すために「五石散」を服用したあとは、必ずそこらじゅうを歩き回らねばならない。それゆえに、これを「散歩」という。・・・・驚愕!!!こんな意味があるとは、知りませんでした。体の火照りを促さんがための散歩なんだと。現代人は、これをウォーキングと称して、やせんがための「散歩」と決めこんでいるのです。・・・この私もなんですが。(苦笑!◆酒そば本舗トップページへ◆
2016年04月05日
お奨めの一冊「江戸川柳で現代を読む」 (小林弘忠著 日本放送出版協会)【送料無料】江戸川柳で現代を読む [ 小林弘忠 ]価格:714円(税込、送料込)傑作ぞろいの川柳の中から、私が選んだこれぞ江戸川柳というもの二首をご紹介します。夕立に取り込んでやる隣の子出ぬ乳も泣く子の口へ箸やすめにわか雨に長屋の隣の家の洗濯物と子供を家に入れてやる御かみさん、 ・・・エライ!母親が用事で留守にしている間、ひもじいと言って泣く隣の乳飲み子に、もうすでに出なくなって久しい自分の乳首を含ませる長屋の御かみさん、 ・・・カァ~、やるねっ!人情溢れる当時の江戸市民の生活ぶりがじ~んと伝わってきて、涙ものだ!川柳に涙をこぼす馬鹿もおり ( ← 私のことです・・・笑!)書名にあるごとく現代の世相と比較すると、はたして当時と今とどちらが住みよい世の中なのだろうかと思ってしまいます。現代なら、さしずめ・・・・・(以下の二首は私が作りました)マンションの上から落とす隣の子我が子にも飲ませてなるか乳垂れる人の痛みに敏感である、そんなやさしさって、やはり大切だと思った次第です。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村
2016年03月30日
今読んでいる本、上田 秀人 著 「町奉行内与力奮闘記2 他人の懐」他人の懐 [ 上田秀人 ]価格:702円(税込、送料込)大坂町奉行から江戸北町奉行へ栄進した曲淵甲斐守(まがりふちかいのかみ)に伴って江戸詰めとなった主人公・城見亨(しろみとおる)は、江戸でも内与力を任ぜられることになった。そもそも内与力とは何ぞやといえば、町奉行の与力には、幕府の御家人から任ぜられる与力とは別に、奉行が自分の家臣より任ずる与力があって、主人公・城見亨は後者の方の与力。いわば主が奉行の間だけの与力。その間幕府からも扶持が支給されるが、主が奉行職を辞めれば元に戻るというもの。町奉行が変われば奉行と共に去ってしまうあくまで奉行の家臣である内与力と違って、町方の与力・同心は末代まで奉行所の役人。生涯栄達は望めない。城見亨は、前任の奉行の内与力であった男より、「内与力は常に奉行のそばにあって、奉行への面会の取次、書付の下調べ、茶やたばこの用意まで、町奉行の雑用一切が内与力の仕事」と教えられる。「・・・要はなにもしなくていいと」。愕然とする亨。町方の役人には町方の流儀(保身と怠惰)があって、奉行から禄を食む内与力なんぞに奉行所の中をかき乱されたくないと。そんな折、事件が勃発する。寺社奉行管轄の「富くじ」で千両を当てた男が殺される。市中で起こった事件は町方に探索の権があるものの、配下の町方が「富くじ」の余得を奪おうと手出しをした為に寺社奉行が反発することに。寺社奉行管轄の「富くじ」が原因で起きた事件であるから、寺社方がこの一件を探索するゆえ、町方は手を引けと。裏に深い利権が絡む暗闘があることに亨は気づくのであったが・・・。前門の虎が町方より上席とされる寺社奉行ならば、余得に目のない保身と怠惰を旗印とする町方与力・同心が後門の狼。この狭間にあって若き内与力城見亨はどう動く?はたして亨は、北町奉行曲淵甲斐守の期待に応えることができるのだろうか?◆酒そば本舗トップページへ◆
2016年03月25日
貴方はこんな漢字読めますか?「これだけは知っておきたい!難漢字ドリル」(土屋書店編集部 編)より【楽天ブックスならいつでも送料無料】これだけは知っておきたい!難読漢字ドリル [ 土屋書店 ]価格:1,069円(税込、送料込)これは副題でしょうか、「解説を読めば教養も身に付く」とも書かれていますが、教養の浅き者にとってはなんとも心騒ぐ魅惑的なただし書きですな。(笑!問題が5題ヒントといっしょに載っています。さて、皆さん読めますかな?【問題】1)玉蜀黍 2)行潦 3)剽軽 4)晩稲 5)葡萄染【ヒント】1)やさい 2)天候に関することば 3)・4)性格 5)色・・・正直に告白します。私が読めたのは4)の一問だけ。それもたぶんこう読むのではないかなという当てずっぽうが7割の回答です。他の4問はまったく手も足も出ませんでした。曲がりなりにも4)が読めたのは、当地は米どころの北陸富山ですから、子どものころから早稲・晩稲という言葉になじんでいたから。これは稲作のことじゃないか、でもヒントには性格とある。なるほどこれは稲作から派生して人の性格を表している言葉だな。そしたらこれはまったく自分のことを指しているじゃないかと気づいたわけです。そちら方面のことはまったく何も知らない"晩稲"でしたね。(苦笑!1)はやさいで最初の一文字が「玉」なら、タマネギか?でもタマネギなら玉葱だろう。・・・はて?同様に5)は最初の2文字は「ぶどう」と読みたくなりますでしょ。そして「染」ですからね。・・・「ぶどうぞめ」ってどんな色だ?ぶどう色なら確かに色は連想できますが、葡萄色に染めた色ってまったく回りくどいではありませんか。3)は素直に読めば「ひょうけい」でしょうが?「ひょうけい」な性格って、どんな性格だ?2)は音読みなら「ギョウリョウ」か「コウリョウ」でしょうけど、そんな天候に関する言葉聞いたことありません。ということは、たぶん訓読みなんだろうな?(実は「潦」の音読みは「リョウ」ではなく「ロウ」と読むことすら知りませんでした)「潦」には「さんずい」が使ってあるから、水に関する言葉だろう。天候に関する言葉だというなら、そしたら「しぐれ」とか「むらさめ」のように雨に関する自然現象を指す和名に違いない。そんな雨って?・・・ワカリマセン!まったく悔しいではありませんか。負け惜しみではありませんが、こんな漢字すらっと読める日本人、いると思います?正解はこのブログの最下部に載せておきます。貴方は難問答えることができますか?◆酒そば本舗トップページへ◆
2016年03月17日
人気時代小説作家上田秀人の「表御番医師診療禄」シリーズ、本作が早くも第7話。副題には「研鑽」とあります。表御番医師診療禄7 研鑽 [ 上田秀人 ]価格:691円(税込、送料込)ちなみに第1話から第6話までの副題をみると、「切開」、「縫合」、「解毒」、「悪血」、「摘出」、「往診」となっている。なるほど、主人公が外道(外科術)の医者であるだけに、医学に関係する言葉が並んでいますね。表御番医師から御広敷番医師へ、そして寄合医師へと出世した主人公・矢切良衛(やぎりりょうえい)。医者にとって「研鑽」とあれば、これは新しい医学知識と技術の習得ということになる。将軍綱吉の思惑もあって、幕府より長崎への蘭学修行が許された良衛は、かねてより思い描いていたあこがれの地・長崎に到着したのであったが、そこで良衛を待ち受けていたものは・・・。長崎・出島のオランダ屋敷に赴いた良衛に対面したのは、ヘンドリック・ファン・ブイテンヘムというオランダ商館長であった。「この御仁は商館長であろう」「出島の阿蘭陀(オランダ)人医師は現在離任中でございまして、新しい方はまだお就きではございませぬ」なんと長崎には良衛が求めるオランダ人医師はいなかったのだ。さらに良衛は思い当たる節がない怪しい連中につきまとわれついに命を狙われる。一方江戸城大奥では、綱吉の寵愛する側室お伝の方と正室鷹司信子との継嗣をめぐる確執が火花を散らす。「京より公方どのが手をつけたくなるような女を江戸へ呼べ」「そして、かならず、その女に子を孕ませなければならぬ。伝が出したという医者をこちらに引き入れよ」良衛の医術遊学の成果を待ち望む者たちが、暗闇の世界から次々と魔の手を差し向ける。良衛、危うし。はたして良衛は使命を果たすことが出来るのか?そして念願の最新医術の習得はどうなる?◆酒そば本舗トップページへ◆
2016年03月01日
今読んでいる本『殴り合う貴族たち』(繁田信一著 角川文庫)【送料無料】殴り合う貴族たち価格:820円(税込、送料別)いかにも突拍子もない題名と、表紙カバーに描かれたイラスト・・・土俵のような丸く仕切られた上で3人の王朝貴族が殴りあっている・・・思わず吹き出してしまうイラストに誘われて購入しました。優雅なはずの王朝貴族たちは、頻繁に暴行事件を起こす危ない人々でもあったって、信じられますか?筆者の繁田信一氏が、普段私たちが平安時代の貴族から抱くイメージからはとても想像できない彼らの実態を、紫式部も尊敬した小野宮実資の日記を解き明かすことによって知らせてくれています。歴史好き、とりわけ平安王朝時代に興味ある人におススメの一冊です。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2016年02月13日
日経連載「迷いの旅籠」(宮部みゆき 著)は、本日で連載開始から数えて243回。ストーリーが第3話に入ってますます面白くなってきました。主人公は江戸は神田にある袋物屋、三島屋の女将の姪おちか。おちかが三島屋の客間「黒白の間」に語り手を招き入れて不思議な話や恐ろしい話を聞き出すというストーリー。第1話は謎の絵師が描いた村の亡者が次々と生き返るという世にも怪奇な話。第2話は、おちかが江戸で人気の仕出し屋・だるま屋がかき入れ時に仕出し屋を休業する理由を主人から聞き出しているうちに語られる、「ひだる神」の話。そして第3話。とある山陰の小藩の江戸家老村井清左衛門が語る清左衛門若かりしころの世にも不思議な奇談。清左衛門の妹をもてあそんだ上士の侍に立会いを挑みこれを討ち果たした後切腹しようとした清左衛門に下った主命は、藩内で何かしら罪を犯した罪人の流刑地ともいえる山深い洞ヶ森村の山番士としての勤め。3年無事に勤め上げれば、家の再興を許し身分も士分に戻すという達しであった。洞ヶ森村とはどのような村であるのだろうか?前任の山番士二人のうち一人は行方知れず、もう一人は正気を失って城下へ逃げ戻ってきてこう訴えたという。「・・・洞ヶ森には鬼がおります」しかし、村人は誰一人として口を硬く閉ざして、洞ヶ森の秘密を語ろうとしない。洞ヶ森村で一冬を越すと、清左衛門はようやく親しく口を聞けるようになった幼い兄弟富市と千治から、鬼について聞き出そうとするのであったが。「村井様、あんまり詮索なさると、この山を下りれなくなりますで」洞ヶ森の村長(むらおさ)欣吉は、ぼうっと虚ろな目をして魂が抜けたようなような声を発したと。欣吉は清左衛門を脅したのではなく、衷心から助言したのだと清左衛門はおちかに語るのであった。はたして洞ヶ森にはいかなる鬼がいるというのだろうか?日経連載「迷いの旅籠」から目が離せません。◆酒そば本舗トップページへ◆
2016年02月06日
「一同に内々頼みがある。なに、さほど難しい話やない」信長は家康、秀吉、光秀の三人を前にしてさわやかに微笑んだ。微笑まれた三人は信長がさわやかに笑うときは間違いなく信長本人だけがさわやかなときであることをよく知っていた・・・。思わずクスッと笑ってしまうこのような書き出しで始まるこのストーリー、この4人についてこのような書き方をしてある本は未だかって見たためしがありません。今読んでいる本、鈴木 輝一郎著 「長篠の四人 信長の難題」長篠の四人 [ 鈴木輝一郎 ]価格:1,728円(税込、送料込)「織田の味方を一人も損せずに武田に勝て」その場に流れる気まずい沈黙・・・。「おまかせくりゃーせー!」と秀吉。「まあ、なんとかなるでしょう」と光秀。「できるな?家康殿」の信長の問いに、家康は「おことわりいたす」と唇だけが動いて声が出ていなかったと。金ヶ崎の四人、姉川の四人に続く、戦国四人シリーズ第三弾は、武田信玄亡き後、織田と武田の命運を決したといわれる長篠の合戦が舞台でした。日本人ならこの戦いを知らぬ人はいませんね。鉄砲の威力を組織的に活用し、戦国最強といわれた武田の騎馬軍団を打ちのめした織田・徳川連合軍。その戦評定の後の4人(史実によれば光秀はこの戦に参陣していないが、勿論これはフィクションだから)による密談の様子を鈴木輝一郎はこのようにコミカルに描いています。信長の無茶振りに悶絶する家康、秀吉、光秀。日本の戦国史に燦然と名を残す4人の武将、意外やもしかしたらこの本に描かれたような笑いと悲哀に満ちた侍だったのかもしれない。急ぎ先を読み進めるとしましょう。◆酒そば本舗トップページへ◆
2016年01月16日
今読んでいる本 「御広敷用人大奥記録9 典雅の闇」。典雅の闇 [ 上田秀人 ]価格:669円(税込、送料込)「御広敷用人大奥記録」も本作で早くも第9話。今回我らがヒーロー・水城聡四郎が活躍する舞台は、江戸から京へ移る。時は8代将軍吉宗の治世、先代(7代家継)の生母月光院と先々代(6代家宣)の正室天英院の権力争いに明け暮れる大奥の力を削ごうと、吉宗は5代綱吉が京の清閑寺家より呼び寄せ綱吉の幼女として大奥に残っていた竹姫を利用しようと思い立った。竹姫を継室とすれば、月光院と天英院に象徴される金食い虫と化した者たちを大奥から一掃できると。御広敷用人・水城聡四郎は吉宗の命で京へ向かうことになったが・・・。そこで聡四郎たちを待っていたのは聡四郎を私怨からつきまとう伊賀者藤川義右衛門が放つ刺客たちであった。そしてその義右衛門を取り込んだ京の闇を支配する謎の頭目とは。聡四郎危うし。次々と襲い来る刺客の刃から、聡四郎は逃れることができるのだろうか?◆酒そば本舗トップページへ◆
2016年01月14日
お奨めの一冊、「うたの動物記」(小池 光 著)より、【楽天ブックスならいつでも送料無料】うたの動物記 [ 小池光 ]価格:2,916円(税込、送料込)今日話題にする動物は、コガネムシ。コガネムシを知らない人はまずいないでしょう。体の表面が硬い皮膚で覆われた甲虫の一種ですよね。そんな細かな種別のことより、こんな歌い出しの童謡で広く知られています。こがねむしぃ~は、かねもちだ~♪かねぐらたぁ~てた、くらたてた~♪七五調のテンポのいいリズムで覚えやすかった歌詞は、今でも忘れることがありません。誰もが一度は口ずさんだことのある童謡「黄金むし」。この歌の作詞者が、野口雨情だとは知りませんでした。子供ごころにも金持ちになれれば蔵を建てて、金をたくさんしまっておけるのだなと思ったものでした。でも飴屋で水飴を買ってきて、子供に舐めさせてくれるくらいなら、大した金持ちじゃないじゃないかと、後半の「子供に水飴なめさせた」のところが不満でしたね。(笑!小池先生も「黄金虫だから金持ちというのはわかるし、金蔵建てるのもわかる。でもその金持ちが飴屋で水飴買うというところがなんとも謎だ」と記しておられます。「それにしても水飴をなめる黄金虫の子供とはかわいらしい。どんな顔してなめるのやら。水飴あまいかい、うん、とってもあまいよ・・・」小池先生は、黄金虫の歌から父子の情を連想されたのでしたが、私は金持ちの商家の旦那が近所の子供に水飴を買い与えている風景を思い描いていた。しかも、水飴くらいしか舐めさせてくれないのか、もう少しましなもの配ったらどうなんだという下心みえみえ。(笑!あぁ~、歌人にならなくてよかったというか、なれるはずもない己の貧相な感性に失望することしきり・・・。黄金むしは金持ちだ金蔵建てた蔵建てた飴屋で水飴買ってきた黄金むしは金持ちだ金蔵建てた蔵建てた子供に水飴なめさせた野口雨情作詞、中山晋平作曲の童謡「黄金むし」でした。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**
2015年12月30日
心待ちにしていた人気時代小説作家上田秀人の「百万石の留守居役」シリーズの第6弾、「使者」が発売されました。早速楽天ブックスで購入。今回は若き百万石の江戸留守居役・瀬能数馬(せのうかずま)に、いかなる使命が課せられるのだろう?【楽天ブックスならいつでも送料無料】使者 百万石の留守居役(六) [ 上田秀人 ]価格:712円(税込、送料込)時は5代将軍綱吉の治世。継嗣に恵まれなかった4代家綱の後継に綱吉を推したただ一人の老中堀田正俊が、権力を掌握したことにより外様各藩の注目は堀田正俊の動静に集まることに。加賀藩にとって厄介なのは、藩の秘事を漏らし逃走した老獪な元留守居役・小沢兵衛が堀田正俊に身を寄せ、あろうことか留守居役になっていること。一方早くに正室を亡くしていた加賀藩主4代前田綱紀に継室の話が持ち上がる。綱紀の正室は2代秀忠の血筋をくむ名門会津保科家から迎えていたこともあって、数馬は使者として会津に向かうことに。待ち受けるは老獪な会津藩筆頭家老・西郷頼母(さいごうたのも)。若き留守居役・数馬は、見事使命を果たし加賀藩の面目を保つことが出来るのだろうか?そして、難題に奔走する数馬に小沢兵衛が振り向けた仇敵が襲いかかる。・・・数馬危うし。◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年12月20日
今読んでいる本。上田 秀人 著「夢幻の天守閣」【楽天ブックスならいつでも送料無料】夢幻の天守閣 [ 上田秀人 ]価格:691円(税込、送料込)3代将軍家光の治世の明暦年間に大火で焼失してより二度と再建されることがなかった江戸城天守閣。その天主台跡に隠されている江戸幕府の根幹を揺るがすほどの秘密とは何か?前作「幻影の天守閣」で、将軍継承問題を巡る権力争いに巻き込まれ、命を狙われた家綱の子を孕む側室・満流を守った天守番・工藤小賢太は、大留守居・北野薩摩守の計らいで、その満流を娶り子供たちと穏やかな生活送っていたのであったが、兄・家綱の後を継承した5代綱吉にしても継嗣に恵まれぬ境遇が続き、あの時と同じような後継を巡る争いの火種がくすぶることになった。「なに、先代のお血筋が存命していると。死んだというのではなかったのか」「姫君にあらせられますが、お一人。それと御側室も」綱吉の寵臣・柳沢出羽守による執拗な探索が、小賢太と満流の穏やかな生活を脅かすことに。またしても小賢太は将軍継嗣を巡る争いに一人立ち向かわなければならない。はたして工藤小賢太は、執拗な刺客の剣から満流と子供たちを守ることが出来るのだろうか?◆酒そば本舗トップページへ◆
2015年12月18日
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