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イブを唆した蛇の心境がわかるような気がするのだ.
2008.07.05
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妖精でいつづけることにいったい何の意味があろうか.疑わないこと,絶対の信頼の上での悪戯それは物心のつく頃には既に私の内には無かった.たとえば私も妖精の一人だったことがあるとしてではなぜ私もまた人間の一人になったのか.信じられなかったからだ.親も社会も私自身も.彼らは(私は)正しいのか.あの状況で,この状況で.全ての価値が揺れ動いて,正しさの規範,最も確かなものを捜した.私は疑った.疑っていた.物心というのは疑念のことだった.恐怖であり,嫌悪であり,悲哀であり,愛着だった.それらは憎悪の土壌になった.そして憎悪を見つめ続けて,その渦の中心に私は愛情を見つけた.愛情と名付けようと私に望ませたものがそこに在った.私は妖精を嫌っている.ほぼ憎んでいるし哀れんでいる.なぜなら彼らは何も持っていない.思考の無い満ち足りた楽園に私の愛は存在しなかった.この世には全ての苦しみが在るからこそ全ての歓びがある.妖精は何も持っていない.だから我々の優越感を刺激する.厚意の鎧を纏い,しかし同時に願わせる.見るに堪えない,損失だ,直ぐさま人間になれ.私は妖精を憐れんでいる.見たくないし居た堪れない.彼らは何も持っていない.ただ痛々しさだけがそこに在る.
2008.07.04
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自分の足で立たねば自分の意志でなければ生きていくことなどできないのだ.
2008.07.03
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あと数分もせずに,もう目も開かずに何の言葉も話せずに死ぬ者への残酷さ.あれは恨みだったのか無関心だったのか訊いてみたくともおそらく当人は6年前の己の感情なぞ忘れてしまっているだろう.野蛮なことの一つも無くなった社会にあっても誰にも咎められず人がどれほど残酷なことをできるのか.しかし日常からして,人の尊厳というものは尊厳の存在も知らない者によって踏みにじられ続けているのだ.人の皮をかぶった化け物.それさえも理解し合えぬのが人間だと彼らも人間なのだという現実が何より最も残酷なのかもしれない.
2008.07.02
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小学校や中学校の私の心が穏やかだった頃,私は自分を還暦を過ぎた老婆だと思っていた.そして実際に体が老いてからのことを想っていた.他と違うからといって遠ざけられるでもなかった私は周囲と異なることを何かで説明づけようとしたのか.私が老婆の夢を話すと友人たちはいかにもあなたらしいと笑ってくれた.あまりにも違うものとして受け入れられていた.今になって思う.人の無意識はその十年後の思考すら上回る冷静さを持っている.私の無意識は思考と実感の危険性を知っていたが思考する私は無知なまま血塗れの扉を次々と開けていった.死と孤独を知って初めて,私は世界を見た気がした.将来の夢は隠居して山奥でひとり暮らすこと,と大勢の友人の中で口にしていた幼い私の中にもやはり世界は在ったのだろうか.たしかに老婆の私は存在して,それが幼い私を守ろうとしていた.幼児から生まれた老婆は今でもいるのだろうか.私が世界を見た瞬間に老婆の居場所を知った瞬間に全て消えたように思う.
2008.07.01
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