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2015/8/19 日本経済新聞
塚原哲さんという人のお話。
大手企業ではDC(確定拠出年金)も
定着のフェーズに入ってきた。
DCは本来、勤労者に有利な制度だが、
条件が整わなければ不利にもなり得る両刃の剣。
特に影響が大きいのは、
その企業で採用される投資信託のラインアップ
(元本確保型商品を除く)だ。
金融機関の窓口で販売している投信と
中身は同じでも、
別パッケージでDC専用の投信が用意されている。
これらは運用管理費用(コスト)[注1]が
2分の1から3分の1程度まで下げられており、
DC専用のインデックス投信を中心に
ラインアップを作ると、
コストを平均0.2%程度に抑えることも可能だ。
しかし、信託銀行、コーポレート銀行、証券会社、
保険会社といった運営管理機関には
「コストの高いアクティブ投信を採用してほしい」
という本音
があり、
一般的な勤労者も
「インデックス投信より
アクティブ投信の方が収益面で勝る」
という思い込みが強い。
結果として、
アクティブ型を中心とするラインアップを採用
する企業が後を絶たないが、
残念ながら この時点でDC導入は失敗している。
なぜなら、DCで採用されているアクティブ型は
運用成績が振るわないことが多いからだ。
■インデックスに負けるアクティブ
複数の投信の中から1つを選択するのは
決して難しくはない。
過去の成績を見れば、将来的にどのような
値動きをするか、
その特性をある程度は予測できるからだ。
もちろん、
リターンは時期によりプラスにもマイナスにもなる。
だが、ブレの相対位置の変化は小さいので、
高精度で将来を予想できるのだ。
図1は投信を過去の成績から
ブレ(リスク)とリターンで並べたもの。
値動きのブレが小さく、リターンの大きい方が
手取りは増えるので、
グラフでは左上にいくほど良い投信と評価できる。
ここで、図の中の日本株式の投信を2つ比較してみたい。
(1)「年金インデックスファンド日本株式(TOPIX連動型)」
と (2)「フィデリティ・日本成長株・ファンド」
だが、
両者を比べると (1)の方が運用成績は高く、
コストは0.18252%と非常に安価だ。
一方、 (2)のフィデリティ・日本成長株・ファンドは
アクティブ投信で、コストは1.6524%と(1)の9倍以上。
それが足かせとなってリターンは(1)に届かず、
ブレも大きいことがわかる。
すなわち、 (1)より(2)の方が手取りは少ない
のだ。
(2)はフィデリティという有名ブランド、
他企業でも多く採用されているアクティブ投信、
運用期間も長いという3つの理由で 採用した企業が多い。
実際、 全国のほとんどの地方銀行でも採用されている。
企業のラインアップ選定過程で、
運営管理機関の営業が功を奏したからだが、
コストの高さが足かせとなり運用成績が
長く振るわずにいた。
同様に、筆者が講演してきた企業で採用されている
他のアクティブ投信も、そのほとんどが
インデックス投信に負けているのが実態だ。
■値動きの異なる投信を組み合わせる
収益率のブレは投信に固有のものだが、
複数の投信を組み合わせることによって抑えられる。
同じリターンならブレが小さい方が手取りは増えるが、
そのためにはなるべく値動きの異なる
複数の投信を組み合わせるのがポイントで、
その場合は異なるカテゴリーの投信を選ぶことが
必要になってくる。
表1では便宜的にA~F群とZ群(バランス型)の
計7つのカテゴリーに分けたが、
同じカテゴリーの投信は実際にも似たような
値動きをするので、
1つの群からは1つだけ選んでおけば十分だ。
理屈の上では、企業は
ラインアップとしてA~F群からそれぞれ1つずつ、
合計6つの投信を用意すればいいことが分かる。
自分で組み合わせるのが面倒だという勤労者も
いるので、バランス型投信を3種類
(株式の割合の低いものから順に
債券重視型、標準型、株式重視型など)
追加したとしても、9つあれば十分だ。
しかしながら、
A群だけで6つも採用している企業もある。
企業側が運営管理機関の営業トークに従って
採用されたラインアップで、
インデックス型1つ、アクティブ型が5つという内訳だ。
■コスト高の投信に誘導する売り手
勤労者が
A群からインデックス投信を選ぶ確率は6分の1、
アクティブ投信を選ぶ確率は6分の5になる。
これは
コストの低いインデックス型を選ばせないために、
運営管理機関がアクティブ型を5つも追加した
という意図が見て取れる提案だ。
これではブレの抑制効果は期待できず、勤労者は
ただ 高いコストを支払い続けることになりかねない。
運営管理機関だけが常に利する構造で、
勤労者は どう運用するかの前段で
間接的に 運営管理機関に負けてしまっている
のだ。
多くの企業に採用されてきた
(2)のフィデリティ・日本成長株・ファンドも、
インデックス投信に 負けてきた実態が
知られるところとなってきた。
そこで運営管理機関には 代替投信を採用
する
動きが見られ、
「分散投資コア戦略ファンドS(愛称: コアラップS
)」
というアクティブ投信がにわかに脚光を浴びている。
日本や先進国の株式・債券に加え、新興国の
株式・債券やREIT、コモディティ、ヘッジファンドなどに
投資するファンド・オブ・ファンズ
(複数の投信を組み合わせた投信)だ。
表1では Z群に分類される投信だが、
コストが高く(1.2960%)、
インデックス投信と比較されにくいので好都合なのだ。
そもそも設定されたのが2013年3月と、
運用実績が短過ぎて他の投信と同じ条件で
比較・評価できるはずはないのだが、
運営管理機関の実施する投資教育の説明資料では、
ブレが小さくリターンが大きい場所に
故意に位置付けられる“一押し商品”だ。
■投資教育とは名ばかり
筆者は講演先の事業所で参加者の多くが
コアラップSを買っている実態を目の当たりにしているが、
果たしてパンフレット通りの成績が出なかったら
買い手の自己責任と言い切れるのだろうか。
行政の目が行き届かないこともあるが、
投資教育とは名ばかりの「営業」がはびこるのも、
売り手に中立性を求めることが難しいという
DCの世界の構造的な欠陥があるからだ。
※アクティブ投信がインデックス投信に
負けていることは、周知の事実。
博打をするときに最も注目するべきは、
当然・・ 運用コスト(手数料)。
0.18%
の商品があるのに、
7倍以上の・・1.29%
なんて
バカ高い商品を平気で選ぶ
気持ちが分からない。
顧問会員の1人が・・
「DCはどこの銀行を
選んだらいいんでしょうか?」
なんて、のん気なことを言っていたが、
DCは、銀行選びではない。
だまされないように・・。
彼らは・・あなたに、
「投資教育」をしているのではない、
先生のふりをして・・堂々と、
「営業行為」をしているだけだ。
自分の頭で考えよう。

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