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2023/12/05/火曜日/家にいる日は曇天でも好〈DATA〉著者 ウィリアム・シェイクスピア訳者 石井美樹子発行所 河田書房新社2021年5月20日 初版印刷2021年5月30日 初版発行〈私的読書メーター〉〈同じ翻訳テキスト再読。あらら読むたび新た。2年前の私は今の私ではないことの証明か。先日の初冬が本日は小夏。今どきの天候のように落ち着かぬマクベスが心情。ヒースに現れた三人の魔女にたぶらかされ夫人に油を注がれ、忠臣マクベスは王を殺害し、側近に罪を被せた上で彼らも討つ。さもさも忠君義憤の二枚舌。悪業がばれれば王殺し、の恐怖に彼の剣は次々と血塗られる。死人に口なし。死者の思いはマクベスの独白に、彼の幻視に、大地の空気に織り込まれマクベスという人間を震わせる。或いは、過去から未来から三人の魔女の姿を結ばせる。〉問題の fair is foul, foul is fair. 石井訳では 晴れは曇り、曇りは晴れこういう訳は初めて。きれいはきたない、が慣れ染めている。スコットランドやアイルランドの変わりやすい天候は、短日滞在の私も経験している。一日の中に晴れも曇天も雨も夏も冬もあるような日には「fair is foul, foul is fair. 」とも確かに言いたくなるだろう。それに連動するマクベス登壇の最初の台詞を「こんなに天気が悪いのに戦いに勝ち、こんなに良い日は初めてだ。」と訳している。これはどうか。救いようもなく人殺しに堕していく主人公マクベスの第一声とするには物足りない。これから先のマクベスの運命が織り込まれたものになるにはどうすべきなのか。魔術によって、「バーナムの森がダンシネンの城にやって来るまで」、また「女から生まれた」者によってはマクベスは滅ぼせない。本書訳では女から ではなく女の股から、と表現される。マクベスを討ち取るマクダフの産まれた経緯からするとその方が整合性も高く、すっきりする。この言い回しについては、後書きにシェイクスピア時代のイギリス国教会埋葬式の『共通祈禱書』から次の引用がある。「女から生まれた者が生きるのはつかのま、人生は悲惨に満ちている。…花のように伐られ、やがて影のように消える」OED Oxford English Dictionary を駆使し、幅広くキリスト教研究も重ねている訳者の努力に敬意。訳者が『マクベス』の主題は二律背反の二枚舌、と見る歴史背景に、議事堂爆破計画未遂事件があったという。これぞ王殺しとテロを目論む事件だった。カソリック神父ガーネットの『二枚舌の論考』は、英国で締め付けのきつくなったカソリック信者が生き延びる方便として書かれ、二枚舌論が巷間、論議の的となり、社会現象となったという。事件の真相は、カソリックの根絶やしを図った英国王の最側近である国務長官のでっち上げ、というのががまことしやかだ。盧溝橋事件であるか。事実、この事件を機に英国のカソリック教徒への差別と迫害の歴史が始まる。とどのつまり誰が益したか。歴史はそこからよく見えて来る。宗教と政治の権力闘争の17世紀初頭英国、大航海時代の富が偏在しはじめたその時代。大資本家時代の幕開けに。11世紀のスコットランドを舞台に、魔術的二律背反の枠組みの中に、二枚舌のマクベスなる臆病な残忍な偽の王をいっとき現出させ、結果、人間の留まるところを知らない欲望を裁断する。マクダフのいう自由はどこまで有効なのか。そんな問いも含み幕が降りる。バーナムの森は動いた。女の股から生まれなかった漢がいた。この二律背反はどうか。動く森バーナム。トールキン『指輪物語』のエントはこれが源泉か。お釈迦さまは母である王妃が花園で咲く花に手を伸ばした時、その脇から生まれ出て歩いたのだった。聖王の統べる古い秩序世界が、サカシマに破壊された。それは二枚舌を繰るニセの王だった。二律背反に符合した新たな勢力はこれを討伐した。穏やかな眠りが再びもたらされた。しかし、fair is foul, foul is fair. と見据えた魔女らは杳としてその行方が知れぬ。ヒースに忽然と姿を現すか、我らの時代に。
2023.12.05
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2023/12/04/月曜日/快晴白州手打ち蕎麦 くぼ田白州町 台ヶ原天もり十割蕎麦 1950円二八+小天丼 1750円ということでやっぱり外食の時にはツイお蕎麦。平日のお昼ちょっと前なのに並び待ち。外に並んでいても、中に記入ボードがあるのです。二八と比べるとやはり十割蕎麦が断然お蕎麦そのものの魅力を放つ。ここのツユはバランスが取れている。天ぷらは衣がやや重い。この蕎麦屋には別の訳もあって寄り道している。愛犬が亡くなる一ヶ月前の昨年8月に、お店の入り口でレオを暑さしのぎさせていただいた。大人しく待てるようならどうぞ、とのことだった。レオはとても大人しかった。未だ知り得なかったけれど、その頃から悪性のリンパ腫に犯され始めていたのだ。この蕎麦屋の、この場所に、一年四ヶ月前、確かにレオはここにいた。ケージの中で静かに私たちの食事が終えるのを待っていた。新蕎麦は甘くて少し喉につかえる、のだ。
2023.12.04
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2023/12/03/日曜日/山は寒いが好天満月庵北杜市武川町蕎麦と炊き込みご飯 ¥1000半年ぶりくらいかな、須玉から甲州街道を少し戻った辺り、右手にある満月庵本日のお蕎麦は、この武川町で、お店のご主人←かわいい元気な女性←が育てた常陸秋蕎麦の実を用いた二八。初めての試みなのだとか。しかも本日が初日。初の初の新蕎麦!小さな畠につき2、3日で使い終わる分量らしい。同時に収穫の山ワサビ=ホースラディッシュも添えられて。凄い巡り合わせでお蕎麦が頂けた。感謝、感謝。常陸秋蕎麦らしい淡い緑色先ず山ワサビと一緒に口に運べば蕎麦の強い甘さにびっくり。水分多めに含んだ蕎麦は瑞々しく、身体内部からの清流を感じるよう。ご主人さま、あとはツユの出汁をもう一踏ん張り。いやいや、この蕎麦は塩が良いかも。炊き込みご飯がまた、実家で食べるような慈愛溢れるお味。ごちそうさまでした!↓同行のレオぽんも他にお客さんがいないとあって三味線演奏してくれる。窓の向こうには富士山が遠く臨めるのだった。
2023.12.03
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2023/12/01/金曜日/好天手打蕎麦 ふじや新宿区十割蕎麦 ¥980月に少なくても一度は訪れる、わたし的蕎麦のスタンダード店。わさびの量がたっぷりあるのも嬉しい。しばらくわさびだけで頂き、ツユを使う。なので、割と多めにツユが残る。こちらの蕎麦湯、ちょっと粘度が強い。もう少し緩く、熱くしてくれるといいな。
2023.12.01
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2023/11/29/水曜日/温かい初冬10月28から11月18日の3週間の間に、どうしたものか濱田庄司、河井寛次郎、柳宗悦の旧居を連続して訪ねた。日本民藝館以外はそこが第一の目的ではなく、付随しての見学だったが案外それら御三人の住まいが、心に沁み込むこと大だった。かつてそこに在り、その空気を動かし、影を刻んだ姿をぼんやり空想すると、気配はいよいよ濃密になる。その気配の色合いにも御三人の個性は立つ。▼濱田庄司旧居素晴らしい茅葺きの、堂々とした農家。心の故郷ともいえるような益子の風景と住まい。濱田庄司の、昨日は居たけど今日は留守、明日はどこなと出かけてます、の意の揮毫らしき一枚実は庵の奥深く、ひたすら土をこね土の声を聞いている気配濃厚だ。ここは土地の風景が格別素晴らしい。景色が魂を潤す。▼河井寛次郎旧居↑思索のためか、二畳の離れ田舎の好々爺、元先生の住まいのような風情がある。重さと軽さが同居している。ちょいと足を伸ばせば祇園、先斗町の町中に一つの宇宙がまろくある、という印象。禅問答のようなインスピレーションの書が多々。好きなのが、手霊足魂 の四字柳は紋様のための紋様を嫌ったそうだが、河井寛次郎は手を彫り、手を描いて紋様に昇華している。↑手の紋様。他にも関節毎に球に近いような作品もある。右は五世井上八千代氏の手。あ、河井寛次郎の手だ、と驚く。器の初源、掌。▼柳宗悦旧居↑日本民藝館玄関扉ガラス面に映る旧居2階豪農の長屋門は、栃木日光街道沿いにあったという。徳川家代々が目にもしたろう。同じ栃木でも濱田庄司の参考館辺りとは異なり、風格とか威厳が限りなく権力というものに近づいているような。そのあまりの重厚感は、瓦に用いられている大谷石が発する。しかしながら玄関土間にも大谷石が敷かれていて、頭の上と足の下が同素材というケレン味内部空間もその長屋門に同調するように重い。黒光りの木材は、長年囲炉裏で炙られた色であったとしても私には重か感じられる。ほっと息が漏れるのは民藝館玄関扉の白木の肌合い。その軽さと長年手に触られ練れた明るみ。畳面や障子、和紙、竹。できる限り素が、私には好ましい。柳宗悦旧居の、日本民藝館西館からの帰途、小さなギャラリーでレードルを求める。↑竹俣勇壱作/素材ステンレス型あり/仕上げコタタキ工業製品+手工芸 シン民藝?大皿の汁ものの取り分けに重宝している。
2023.11.29
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2023/11/25/土曜日/いきなり昨日の半分の気温11月2週目頃から取り組み始めたキットのヨークフォレストグリーンと命名されたメインカラーの糸が途中でぷっつり切れる災難に遭いながらもキャリーオン。襟周りで糸つぎしているので肌への触りがきになるけれど、襟は後で折り返す指定なので、まぁ何とかクリアするでしょう。21日火曜日 ここまで編み進み、大丈夫かフォレストグリーン。ああ、やっぱり。事故のようにぷっつりと。同じ位置で2回。糸が切れている。何か原因があると思われるB級糸かと思う。さすがに問題であろう。ここまで編むと愛着が湧いて、返品をする気にはなれないけれど事実をお伝えしよう、発行主体の株式会社ほぼ日さんにも価値ある情報と考えます。あー、アンゴラの毛が着ているものを色まぶししながら昨夜もがんばりましたー。ヨーク部分あと少し。↓先日京都街角のギャラリーで見たニット。お、ギャップ糸多色遣いの参考品となります。
2023.11.25
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2023/11/24/金曜日/インディアンサマー市比賣神社の真名井の水が、確かに携行ボトルに入っている先週金曜日。↑稲荷神社も同祀されている。お稲荷さんは秦氏の祖先を祀るとか。京都は古来秦氏の所領地朝は京都にいたのが夢幻の如く、午後は水道橋のお教室で、ニットを編んでいるのだった。本日のお題は、最新刊毛糸だまに案内されている、小さなレース編みのようなピースと、クロシェで星を編む、というもの。↓左は私の編んだもの短めに仕上げた。こんな小さなトライアルでも先生のようにクリアで目が揃うようには編めない。繰り返し編むのみ、である。ああ。お星さまも編み間違えて、小さなドワーフに変え。本日習ったモチーフをどんなふうに活かせるかな、わくわく(^^)
2023.11.24
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2023/11/23/木曜日/早朝の雨〈DATA〉著者 坂田和實 尾久彰三 山口信博発行所 新潮社とんぼの本2008年5月20日 発行〈私的読書メーター〉〈民藝館へ2度訪問の谷間で読む。「とんぼの本」って気楽なガイドブック、の印象だったがいやいや。どうしてどうして、予定調和なき坂田和實氏と尾久彰三氏とのやりとりの迫力に読む私も痛みを感じるほど。古道具坂田は閉店。遂に訪ねることができなかったがその道でつとに高名で彼の元から民藝が軽やかに広がったように感じられる。日本民藝館即ち柳のチョイスを坂田好みチョイスした品々を鼎談するのだが、鈴木大拙の名は出ずともやがてその思想に環流する。ように思う。千宗屋「民藝と茶の湯はある意味同じ問題を孕む仲の悪い兄弟」、包摂平和祈念〉柳宗悦の御伴侶が声楽家であったことが、柳宗悦の欠けたるところを補って余りあるように思った。即ち、ものの美は上々。その一方で音楽が日常に溢れていたこと。演奏されるその時のみに立ち現れ消える一回性の美、だ。しかも人間の声の。柳兼子さんは当時、声楽の神さまとまで称され、ドイツ留学の折のベルリンリサイタルも大好評を得たという、正真正銘の芸術のミューズだ。旧居の図面では、民藝館側に音楽室が大きく取られている。軍歌は強要されてもそれを拒み、柳宗悦と共に半島に渡り、日本の圧政を非難しながら当地の文化を守った。本書に寄って知ったが、空襲の火の手がすぐ先まで迫った時、オロオロする柳宗悦を横に建物に水を撒きかけ防災に奮闘したという。火の手は手前で奇跡的に消えた。後年、自宅と民藝館は米軍の攻撃対象外指定であったことを夫妻は知る。敗戦間も無い国破れた風景。亡失の男が幼い娘と二人で、導かれるようにこの無傷の建物を訪れた。建物に入ると娘は何故か赤とんぼを歌いだす。遅れてそれに合わせ美しい声で唱和する女性の声。それは兼子さんだったろう、という思い出がとてもうつくしい。兼子さんは経済的にも柳を支え、晩年まで一線で活躍した。柳宗悦の見る目は人間においてもかくも。彼女を主体にしたストーリーに出会いたいもの。
2023.11.23
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2023/11/22/水曜日/晩秋日和◼️手打ちそば 大川や★初訪問千代田区せいろ大盛り 1200円+カキ酢 880円お昼は2時半までとあるけれど、2時かラストオーダーらしく、2時前到着のぎりぎりセーフ。せいろの蕎麦は何gかと聞くと110gで大盛り150gとのこと。私の適量130〜140には帯に短し襷に…仕方ない。大盛り発注。「海老が売り切れましたが、牡蠣なら天ぷらできます」、の牡蠣に鋭く反応。今シーズン初めての牡蠣!やはり生で頂きたい。アルコール無しだけど酢牡蠣もお願いする。紅葉下ろしの赤、食用菊の黄色、ワカメの深緑アサツキの緑、器との彩りもよい。先付けの酢牡蠣が終わる頃に蕎麦新蕎麦の甘味、蕎麦のヌメリなども感じる。香りはそこまで来ないような?ツユ、私好みのカツオ強めで旨し。ただ山葵がもうちょっとほしかった、と伝えると「今年の天候で不作の山葵の高騰が」と申し訳なさそうに。ここの山葵はじんわり丁寧に下ろしていることがよく分かる。山葵と蕎麦の甘みの清涼感がたまらぬ。十割かと思いきや、二八とのこと。好い蕎麦屋さん。
2023.11.22
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2023/11/21/火曜日/穏やかな日和〈DATA〉 編者 河井寛次郎記念館発行所 講談社講談社カルチャーブックス1291998年10月5日 第一刷発行〈私的読書メーター〉〈耳目に届いていても実は何一つ知らなかった。そんな事ごとの山に分け入り、丹念に葉裏まで確かめながら何事かを感じ考え糧にして生きていく「暮らしが仕事」になればなぁ!天才寛次郎は、土を捏ねてもロクロ回しも釉薬研究、上手の中国、李朝の写しにも遺憾無く才能を発揮した。当時柳宗悦とは誌上議論がぶつかり不仲だった。京都疎開中の柳宅を訪ねようと後輩濱田庄司に促され、渋々の体で訪ねた先で柳の木喰仏に遭遇する。寛次郎の魂消た反応をみて一瞬の内に彼らは氷解する。晩年民藝のその先へ全く自由になる作品群は岡本太郎のエネルギーの如く〉同じ講談社の自然科学系ブルーバックスに対応するのか、人文系カルチャーブックス。シリーズ発刊の言葉は野間佐和子氏。「新しい時代において、私たちがなすべきことは、「物質文明」の追求ではなくて、「精神文化」の充実を図ることであり、国際化がますます進む現代社会において必要とされるのは、ビジネスのことだけではなく、自国、他国の文化を理解することです。…」経済大国も今は昔。インドや韓国にも抜かれそうな具合で、貧困層は3度のご飯が頂けない一方、世界二位の金持ち者数とか?ただし2021年の円レートらしいけれど。いつの間にか、ほんとに歪な国になったもんだ。「物質文明」はお金がなくちゃ対応不能でしょうが。「精神文化」ならいつでも対応可能。世界のトレンドに即しているなあ、わがニッポンあ、金持ちが世界二位ほどいるんだっけ。私とは縁もゆかりも無いからツイよその国のように思う。貧しいことは恥ずかしいことでは無い。恥ずかしいのは人間の品位を貶める行為だ。私の親はそのように子の成長を促したけれど、今になって周囲を見回すとそれは少数派だったかもしれない。バブル以降の世にあって、隔世の感がある価値観ではあるけれど、それが私の「美の標準」だ。たまにその標準を持ち合わせ生きる人を見つけてはとても嬉しく心が軽くなる。河井寛次郎もそのようなひとの一人と確信する。
2023.11.21
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2023/11/20/月曜日/晴れるらし弾丸京都の最大目的はこれ↓東京の予約は全て空振りですっかり諦めていたところに、京都公演を知る。冗談半分に申し込んだら、三つの内の一つが、なんと当選!行くしかない。芝居の日程だけは縦にも横にも動かせぬ〜翌日午後イチで水道橋に居なくてはならない。そんなこんなで弾丸旅芝居のはねた後のお楽しみ、前回外したおばんざい屋さんはその夜は急なお休み。当日行き当たりのめぼしいところは予約のみ。四条辺りはそんな風なのね、ふらりが楽しみなのに。高瀬川沿いに小さなおばんざい屋さんを見つけ落ち着く。静かなお店でお腹もほっこり。翌朝のお散歩でお水を頂きに円やかな美味しいお水をありがとうございます。緩急ありて車上のひとに。↓帰りの富士京都駅の周囲は何しろ大きなトランク、スーツケース組がごった返す熱気、東京駅では働く人7割目のわっしょい混雑に気も遠く。怒涛の人波に押され、水道橋駅。圧倒的若者群と共に吐き出され、よろよろと月イチのN先生クラスへそれでもの遅刻。レイディマクベスについてしばらく持ちこたえて味わいたい。
2023.11.20
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2023/11/19/日曜日/うららかな晴天↓作業場に続く庭に出る前に鏡が掛けてある。心遣いの。↓故郷有志のみなさんが贈った竣工祝いの球体石は寛次郎所望のカタチ↓素焼き窯の前に、元作業場の所にも小ぶりの椅子お国柄も素材も違うけれど調和している。↑左の室はロクロを引く部屋、右は土コネの間だったか。手前には素焼き窯が設置されている。↓素焼き窯↓この造形そのものが神聖だ。↓地域の工人と共有したという登窯↓後期作品群↓中期作品群↓初期作品群↑左下、最初期作品↓晩年の頃↓暮らしの中に戒をもつことの大切さ。ましょう、の繰り返しが柔らかくかつ鍛錬された意識を伝えます。↓またおこしやす。草花も作品も生き物もそのように私に語りかける。
2023.11.19
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2023/11/18/土曜日/風あるも晴れ金曜日の朝、東京目指す新幹線ひかり米原は曇り、千代田区は土砂降りの様子今回のタンカン京都 のツインピークスの一つ。それは 河井寛次郎記念館佇まいのその静かな表に、よもや急な休館ではなかろうかと恐る恐る重め格子戸を引く。あ、開いた。入れる。やれ嬉しや。↓吹き抜けの、炉のある応接の間には小さな家のような家具のツマ側に火伏せの神棚か?この吊り戸棚をもう少しゆっくり見てくればよかった。ここにも火伏せを祀る?方角は登窯ではなかろうか。屋根付き家具南面と囲炉裏↓囲炉裏の隅の意匠。火、の文字が見える。↓応接の間。三本脚の椅子と不思議なオブジェはストーブだろうか?↓ウスのイス階段家具の手摺り?握り玉↓2階階段ホール。どことなく日本民藝館のような↓卓のテクスチャー↓階段ホールの出窓風↓ホールにつながる、上座敷き。小上がり床になっている。素晴らしい母子像。寛次郎作と思われる。↓お琴が立て掛けてあったと思う。お嬢さんの部屋かしら、青のガラス花瓶蓋付き作品の配列↑手考足思
2023.11.18
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2023/11/17/金曜日/朝は小雨昨日出発の新横浜は良いお天気今回の京都弾丸一泊は、会員にはなったけれど一回しか使ってない大人の休日倶楽部を利用して、と思いきや。これは西方面にはご利益はさっぱり、だった。というか。2割お得で使えると宣伝の、新幹線はひかり、こだま。のぞみには適用されない。これならJR東海ネット早割がお得でした。反省。弾丸から濁点取ってタンカン、くらいの勢いで列車の人となる。まあ、行きも帰りも富士山ロケーションを考慮頂いたのでヨシとする。ここ最近新幹線から拝めなかった富士山がくっきりと。それから。伊吹山。ひょっとして違う?でも私はいつもこれを見るとあー伊吹山って思うのだ。間も無く琵琶湖の南端を過ぎ、トンネル出ると京都なの、である。京都弾丸の目的とは別に、せっかくだから先ず行こうと考えたのが、怪談和尚三木住職の蓮久寺。↓大宮通りの立体歩道橋から南以外を見回す。京都の良さは街中からも山が見えること。山の姿でオリエンテーションが認識しやすい。蓮久寺へは地下鉄五条駅を降りて15分ほど歩く。お寺のある通り入り口にはおや、三喜という名のお好み焼きやさんが。あらー本当にまっかな山門が。高名な花魁の寄贈と聞くけれど、さすがに歳月を経ています。↓なかなかお商売上手お守りが欲しくてやって来ましたが、とてもお忙しいらしく、土日以外はお守りも対応しないとはびっくりです。それでも近しい所にいらっしゃいます、大黒さま大雲住職の夢枕に何度も現れ、今日の盛運を授けたという。福々しいお姿でございます。お仲間も続々とお揃いで↓本堂は既に完成全体は年末までには完成らしい。おみくじを引きました。半吉(~_~;) 確かに。一見さんではお守りも頂けぬ京モードをしみじみ感じましてござります。滞在時間は短し、いそげや先に。角を回ればはや、住之江につきにけぇり〜街を歩けば神社仏閣に当たります。
2023.11.17
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2023/11/16/木曜日/朝は快晴蕎麦の実よしむら京都市中京区本日膳 1600円本日はぐーんと遠くまでやって来た。京都ならうどんでしょ、と言いたいところだけど京都でも旨い蕎麦やに当たりたい。一応評価を気にしてやって来たのが五条烏丸のよしむらさん。あー、お店が見えたあたりから観光客向けなのかなぁ、と引いてしまうがとにかく食べてみるまでは結論は出せない。京都はちょー少ないお馴染みさんとその他観光客で回ってるところだしねえ。お店の前にはここで並び待ちください、みたいな指示があったのだけれど、お昼前はその姿もなくすんなり入れる。メニューから本日膳を選択、お蕎麦を十割にしてもらう。お蕎麦は常陸秋蕎麦とのこと。わざわざ沖縄のお塩も添えてサービス。ありがとう意外なことに京都弁が周囲から聞こえる、ということは在住の方も結構ランチしに来ているのかな?十割蕎麦そのものは美味しく頂きましたが、温かいとろみ蕎麦がダメ。蕎麦そのものの美味しさが生きない感じ、、あと、木葉丼てずっと油揚げとネギかと思っていたが当店では卵とかまぼこでした。お漬物はとても美味しい。一階に降りてお勘定する頃には観光客らしき集団がわっさと混み合っていた。↓ここもチェックしてたのだけど、ここまで到達する前に空腹に(~_~;)
2023.11.16
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2023/11/15/水曜日/最高気温14°曇天浅草橋界隈は旨い蕎麦やが分散している。張り切ってさかき にやって来たが、水木休店(T-T)でも 分散の土地の良さ。他にも寄りたいところあり。手打ちそばと海鮮と鴨 和仁 浅草橋店★初訪問ランチセット 十割蕎麦+天丼¥1400↓店名が長い。そうそう、和仁で良くない?蕎麦やを訪ね、歩き回り空腹で、天丼によろめく。入り口に 新蕎麦 の貼り紙の白さが嬉しいねぇお蕎麦を十割に指定しても値段がそのまま1400円。デザートも付いて。お香こ以外の一品も付いて!ありがたい。肝心のお蕎麦も甘味が強く香る。コシが強く咬みごたえ十分。天つゆは濃いめ甘口、海老がぷるる。イカに茄子、さつま芋。ごはん粒はしっかり。蕎麦のつゆはカツオがやや負け?昆布勝ちかな。江戸らしい濃さ。次回は粗挽き蕎麦食べようかな。でもその日によって支度がない時もあるみたい。ご馳走様でした!↓ああ新蕎麦
2023.11.15
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2023/11/14/火曜日/小春日和↓10月末に届いた手編みキット mizudoriお高いので躊躇しつつも、自分へのクリスマスプレゼントなんぞと弁解を重ねて発注した。しばらく7号とか8号で編んでいたので、細い針はもはや懐かしささえ感じるこの頃。アルバイト仕事は決算の山場を越えて、心底ほっと緩む。さあ、新しく取組むときが来たとばかり気分も上向く。ゲージを取らずにダイビングしてしまった首周り。え!メインの緑の糸が途中でぷつりと切れているではないか。仕方ない。糸を継ぎ足して編み、目数を再確認。あーあ、四目多いではないか、解き編み直し。まあ、糸切れ無しで首周りは編みたいしねえ。↓糸切れの地点でまでを残しておく。再度の作り目はレシピ通り、ごく一般的なロングテイルにした。一目ゴム編みのキャストオンは数え間違いが多く、目数の多い時は苦行ではある。ところが糸切れは尚も続く。襟の一目ゴム編みの仕上げまでに3回糸切れが発生。これは返品すべきかと悩む。しかも指定の段数に達していないのに、指定の3センチを超えている!模様のヨーク部分は2号針指定だが、1号針をキープオンした。悩みつつも気持ち緩めで編み進める。金額2万円越え!のキットの場合は、今後はできるだけ対面で買うことにしたい、と思った。どうぞこれ以上、糸ぷっつんがありませんように。昔から思ってたんだけど。イトイシゲサトって何となく胡散臭い。林真理子と同じ体臭がある気がして苦手。あくまでも三國さんに半目は向かないアタシ。手を動かすヒトを最後まで信用する。ので、まあ己が不運をかこつ。のだ。それでも編み物は楽しい!しあわせ。
2023.11.14
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2023/11/13/月曜日/何故なの?急な寒さまだまだどっさりとあります、草木染めギャップ糸こと G Gヤーンこの糸の手触りと色味は、前々より思っていたけどサイチカさんのカケラというリストウォーマーは、実はよく映える。サイチカさんは縄文土器のカケラをイメージしたという。うん、この糸は縄文に反応したのだろう。緩めツイードジャケット、できれば手縫い。みたいな袖口から出してみたいなぁ。↓スタディC一目ゴム編み のよじれ変形の自由律がこの糸の大らかさに似合う。ハタ。と考える。これだけを単体で着用すると、目立ちすぎないか。この糸は目立ちたくないのだ。応用してスヌードか、話題の首だけセーター?みたいなものを遊び編みしてみる。↓適当に山を拵える。うむむむ。あと少しというところで糸が足りずに、やや濃い目を足して裾を編み、閉じた。↓着用してみる。ジャケットの下でいいかも。スタディD↑ツギハギみたいなカウル風オリジナルなので名前をつける。「行きあたりばったり」再現性なし。で、持って無いんです。緩めツイード、手縫い。みたいなふっくらしたジャケット。落ちてないかなぁ、何処かに。落ちているものはどんぐり。↓スタディE↑残り糸でどんぐり編んだ。ravelry にレシピが落ちていた。糸はともかく、この色は、自然の形象=事物=どんぐり、を編むのにはとても相応しい。皿は言問団子屋で昔使われていた団子皿のB級品と思う。三浦乾也ものが欲しかったのだが。右、5号針。左、2号針。スタフにする端糸も増えたので、丁度好い。待ちぼうけのウサギにならないよう、せっせと探求してみるかな?緩めツイードの手縫い風ヂャケッツ、柳や吉田が着てたような。↑『日本民藝館へ行こう』から
2023.11.13
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2023/11/11/土曜日/めっきり晩秋先週連休の好いお天気に誘われて、駒場公園の前田侯爵邸を見学した。文化の日の催しウィークとかで、フリーガイドが設置され参加してみることに。ツアーは小一時間。長いと躊躇したが、それでも早足巡りだった。見るべきものが豊富だ。↓東門の方からアプローチした風景前田侯爵邸は第16代当主、前田利為トシナリその人の時、竣工した。本郷の土地をT大に譲渡した代替地に、侯爵が望んで駒場の土地、当時3万坪だかを入手し、等価交換でお屋敷も構えたらしい。↓玄関ホール侯爵は英国留学や大使付き武官としての赴任の経験で英国式のカントリーハウスへの愛着があり、駒場の風景はそれを思い出させたらしい。 ↓広々とした芝生の裏庭からはお屋敷も小ぶりに見える。因みに、現代当主はこの11月に前田利宜トシタカ氏が19代になったらしい。ガイドツアーならではのタイムリーな話題も。トシタカ氏は京都でコーヒー屋になった云々を聞いて検索すると、なんとまぁ。「京都の朝はイノダから」の、イノダコーヒーの代表になられたのだった。 慶喜公もすなる珈琲を加賀の殿さま末裔も?そういえばツレの従兄弟も東京在住で京都にコーヒー屋を持ったとか。末裔から庶民までなんかいいらしい、京都でそれは。↓バルコニーに設けられた水鉢。家紋?玄関ホールを入ると素晴らしい階段が左側にある。階段下の空間がイングルヌックになっている。当時からイングルヌックの名で呼んだのだろうか。それは英国ではなく北欧のものだから。昔、とある方のアトリエをデザインしたことがある。その方は北欧暮らしが長く、イングルヌックを所望されたのだった。イングルヌックとは何ぞや、調べるにも資料の乏しい時代だった。今は何と便利なことだろう。前田邸の1階は来客に接する、或いはもてなすためのオフィシャルな空間。各部屋やコーナーに相応しい暖炉が設置されてはいるが、実はセントラルヒーティング方式なので、それらはお飾り、というのはいかが。↓こちらは温風吹き出し口?どことなく北欧の住宅で見かけるような。ハマスホイの絵とか。一つの暖炉で隣接する部屋も暖める、例の方式に用いるものに似ている。↓吹き抜けのホールはかなり寒かったようで、このイングルヌックは温熱が留まり愛されたとか。本物の火が見えたらどんなにかよかっただろうに。2階はプライベートと使用人の空間。女中も金沢辺りのしかるべく筋の娘さんらが、行儀作法の学びを兼ねて集められた。かつての江戸屋敷スタイルが踏襲されたのだろう。地階は厨房や機械室3階にはランドリーが。長女の酒井美意子さんら子ども室も当時に近い姿で見られるが、当初の用意は美意子さんだけだった。図らずも子福が得られ、談話室とか図書室など別用途の部屋が順次子ども室に変えられたという。このお屋敷で最も麗しいのが夫人室見た瞬間に好みのレベルを超えて、その優雅さにため息がもれる。当時の家具は殆ど残ってないらしいが、この部屋の壁紙、カーペットは当時を再現した。お屋敷の中で最上の場所に最上の意匠と品質を、建築評議会の最中に侯爵が指示したのかしら。この部屋の主人は侯爵後妻の酒井菊子さま。久邇宮朝融王婚約破棄事件の方故に、侯爵がいかにも丁重にお迎えしたのであろうか。或いは加賀百万石の名にし負わば。酒井美意子さんの思い出には、母はベッドに入るまで靴を脱がないで暮らした、とあるそうな。うむ。庶民とはチガウ。菊子さま、侯爵より長身であらせられる。それにヒールともなると、いかにも女主人。寄木の床と絨毯に段差のない工夫。これなど、当初からオーダーメード以外の選択肢は無いという発想↓夫人室は衣裳部屋や談話室も伴ったという、侯爵も及ばない待遇。その談話室で妻子は多く過ごし、朝の食事も摂った。↓夫人室からダイレクトにつながった主寝室。珍しく家具がかなり残っている。寝台は英国だかフランスだかで作らせた。枕元に懐刀を置くためのニッチが設けられている。うむ。庶民とチガウ。↓こちらは侯爵の書斎だったか、親しい人を招く部屋だったか。夫人室隣接。簡素ながらも風格のあるデザイン。執事は近い部屋に控える。うむ。庶民とはチガウ。一切の和モード無し、純然たる洋館は、しかし日本式住宅、和館と長い廊下で繋がっている。渡り廊下の建築も洋から和へ、違和感なく繋げるため仕上げで変化させる工夫が洋館窓から覗ける。↓大広間のクリスタルカットされた窓ガラスは、広い庭からの陽光を虹色に部屋に落とす。建築にあたり評議会が持たれ、当時の最高水準のチームが内外の美と機能を入念に研究し、打合せを重ね、竹中工務店によって建造された。設計は学士会館やライト後の帝国ホテル設計の高橋貞太郎前田家が建て、資本家が買い、進駐軍に接収され、やがて目黒区の公共財産になった。建物は時代時代の権力や財力へ振れながら、今現在はコモンへと移った。百年に満たない歳月でさえ、生者必滅会者常離だ。↓分かり辛いが、大理石甲板に閉じ込められ、スライスされたアンモナイトが上中に。屋敷で繰り広げられた晩餐会や夜会に現れては消える登場者を見ていたのは、このアンモナイトかも↓日本家屋の玄関アプローチ。昭和初めの職人たちはこちら側の普請では、何となし呼吸がしやすく手業した、ような印象をもつ。和館内部も次回はガイドツアーで見学したい。↓駒場公園入り口も重厚感がある。ここも加賀藩藩主、前田侯爵の敷地だった。文学館までは寄れなかったが、そこは当時、温室と厩舎があったそうな。まさにカントリーハウスかマナハウスだ。当主は46歳で、太平洋戦争時に南洋に向かう飛行機の事故で亡くなった。これを戦死とするか事故死とするかで残された遺族の立場が大きく異なる。事故死を主張したのは東條英機だった。陸軍大学校首席卒の前田利為と東條英機は同期とはいえ、東條は4年も遅れて卒業した挙句、何の成行か陸軍大将のまま総理大臣になった。東條は嫉妬深い性格で、人事権を得るや対象人物を隔離、危険な任務に当たらせたという。家柄も知性も品位も敵わない利為にも勝手に恨みを募らせた。男どもの嫉妬恐るべし。政治家を希望していたという前田利為が東條と入れ替わっていたならば、日本は異なる敗戦と戦後だったろう。悪貨良貨を駆逐する悪いものが悪いものを呼んでやがて国破れ。今この時どこかで生じているバオバブの弊害を、目を凝らして摘み取らねばならない。星の王子さまのように。
2023.11.11
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2023/11/10/金曜日/いきなり最高気温17°草木染めギャップ糸。長たらしいので、G Gヤーン。と呼ぶ。この魅力をなんとか引き出せないかと9月以来の夜なべ継続中→電車で爆睡。↑スタディA媒染に工夫すれば様々な色が出せるのだろうが、それらを用いない私の経験では、草花は淡い黄色に染まる。同じ鍋で同じ時間煮詰めても色合いが微妙に異なるのは面白い。しかし、この G Gヤーン様は、何度トライしてもフェルト化が難しい羊毛だ。フェルトにするには確かランビエがよいと記憶する。ランビエは割とボソボソとした手触りで、この糸も近いように感じたのだけど。フェルト化が難しいので、袋物はダメかしらん。とりあえず、今度は同じボーダーでも、ぐるっと輪編みしてみる。↓スタディB、である。裏側は段増しをしてこんな感じ。糸のよりがすごく異なるために、自然とドレープみたいなうねりが。ヨークの編みはじめ部分は糸が細い。うーん、色はソフトだけど個性的なガンコちゃん水通し、平干し。ややうねりが落ち着いたかも。水マジックであります。↓スタディBスタディBは丸洗いや石鹸熱湯茹でをしていない。 G Gヤーンは何になりたいのか。どうなるのが自分に相応しいと思っているのか。模索は続くが。そろそろ細い糸でしんみり編みたくなっちゃったなぁ。↓秋バラも初夏のバラとは違う。どこかひっそりしている
2023.11.10
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2023/11/09/木曜日/秋らしくも立冬〈DATA〉 著者 里文出版編平成二十三年二月二日 発行〈私的読書メーター〉〈「民芸の100年展」以来、モノ、特に家屋や里山を歩き見る事が俄然増した。鄙びた里山歩きの参考になるかしらと手にした本書。6組の対談集なのだが、どなたがコーディネートしたのか登壇者の振れ幅が凄い。志村ふくみ×近藤高弘、岡村美穂子×千宗屋の対談からは柳宗悦と鈴木大拙、民藝がまるで今ここにある生々しさと迫力がある。柳から破門された志村の、対談の末に現れることば。原点への創発というか、常に初に生まれ変わり続けることで自分自身であり続ける様、人間存在の極意を見る思い。大拙の秘書を長く務めた岡村さんがまた素晴らしい。〉▲濱田琢司×久野恵一 ー本来「民藝」というのはスピリットだと思うんですが、その部分が伝わらなくて、表面的なスタイルだけが伝わっているのではないでしょうか。久野恵一さん 私の好きな民藝小鹿田焼 飴釉打刷毛目大皿濱田琢司さん 私の好きな民藝河井寛次郎記念館 臼のテーブル▲尾久彰三×豊島愛子・鄭玲姫小谷伊太郎さんはご存知ですか?素敵なかたで、艶福家で、自前で遊んだかたですからモテたんです。尾久彰三さん 私の好きな民藝革製水注 イギリス 18世紀豊島愛子さん 私の好きな民藝鉄製の燭台▲志村ふくみ×近藤高弘ひょっとしたら、柳先生が民藝を発見されたときから、民藝は民藝じゃなくなってしまってるのかもしれない。「糸である、繭である、植物である」.こういうところに視点をもっていかなければ、できあがったものを見せても、着られもしない高い着物、そんなもの見せて何になろうかというところに、内藤礼さんの展覧会で気づかされたんです。志村ふくみさん 私の好きな民藝飛天(梵鐘) 慶州泰徳寺近藤高弘 私の好きな民藝鋳鐘窯 河井寛次郎記念館▲千宗屋×岡村美穂子ふだんの柳先生は身体から感じられるものは、一言でいうならば、「孤ボウ庵の井戸茶碗」ですね。お点前をしたりするのは「和敬清寂」の「寂」を自由に動かすためのお稽古である、という「寂」の解釈がいいなあと思います。「生死」も相対の次元を指す言葉ですから、「生きながら死人となりてなり果てて、思いのままにする技ぞよし」という至道無難禅師の偈があります。 つまり自由になるということは、一度生きながら死ぬことにある。いっぺん死んで生きるというのが、利休さんにもあったのではないでしょうか。美しさの基準がどこにあるのかを知る必要があります。柳先生は、民藝は「自由」と「安らぎ」の作であって「無心」である「無有好守醜」の境地から生み出されているからです、とおっしゃった。人もものも救われないと「用の美」ではないわけです。ー柳が禅宗から浄土真宗に行ったのは、転機になる何か決定的なことがあったんでしょうか。禅も真宗も何も釈尊の教えですのでもとより相違はないのです。柳先生は恐らく『大無量寿経』に書かれている四十八願のうち、第四番目の願文にいたく感動されたのだと思います。「無有好醜」の願ともいいます。…何れの願文も相対の次元を超えることを約束されることにあるのです。上下、左右、高低、遠近、善悪、好醜などなど。その次元を超えることを仏教では物事がまだ分かれていない「大本」「本来」を確認することにあるのです。分かれるということは分かれていない「本」がある。柳先生はきっと、美とか醜とかが未だ分かれない大本を指して、計らいのない無作為の世界に民藝を見ることができたのだと思います。人間から手仕事を奪うと必ず心の病に悩まされます。健康であることは「手と頭と心のバランス」だとバーナード・リーチ先生はよくおっしゃっていました。それはまさに民藝の本質でもありますし、宗教もまた同じでしょう。千宗屋さん 私の好きな民藝絵唐津秋草文壺岡村美穂子さん 私の好きな民藝柳宗悦「無有好醜」▲星野若菜/五十嵐恵美×田中敦子やっぱりつくっている人も楽しくないとダメなんじゃないでしょうか。工程に関わる全部の人、買う人も、使う人も、つくる人も、私たちもみんなが幸せでないといけない。幸せな気持ちから生まれる心地よさはものに現れると思います。星野若菜/五十嵐恵美 私の好きな民藝足立茂久商店のわっぱセイロ田中敦子さん 私の好きな民藝豊岡杞柳の飯行李▲馬場浩史×テリー・エリス/北村恵子今回は「民藝に未来はあるか」というのがテーマだけど、むしろ未来が民藝的な世界観を必要としてるんじゃないか、と思っているのです。馬場浩史さん 私の好きな民藝藁作りの神馬テリー・エリス/北村恵子さん 私の好きな民藝ゆしびん 上江洲茂雄
2023.11.09
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2023/11/08/水曜日/立冬小田急東北沢駅から徒歩13分くらい。民藝館入り口の建具が素晴らしい。民藝館の全ての中で、私にとってはこれが一番と言えるかもしれない。面の取り方が丸く柔らかで、訪問者を招き入れる気持ちが伝わる。↓当日の展示11/23まで中は撮影禁止、一箇所だけ撮影可能な場所があったが、そもそも柳宗悦の尽力で建てられた館。写真など撮って、余計な知識など蓄えて何するものぞ、ということか。直観の力で見よしかし若い見学者は何と館内で動画を撮っているではないか。びっくり。禁止されてるみたいよ、とは伝えてみた。見学者の多さにも驚く。こんな辛気臭い?所に大勢、若い方や海外の方も集まって来るって、何が起きているのか。井戸茶碗と椅子、アイヌのタバコ入れ、キセル立て、刺繍、古い椅子などが目を引く。↓撮影許可のあったもの。これでは何とも。↓柳宗悦の旧宅、長屋門は栃木からの移築。西館これが柳宗悦の嗜好する住宅建築モデルだとしたら、重い。風格があるがちょっと厳つい。日本民藝館はこの意匠に合わせ、柳宗悦がデザインしたもの。西館の方の見学は第2と第3の水、土曜柳宗悦が没するまでここで暮らしたという。内部空間はどうか。次はこちらも訪ねたい。しかし次の展示の入れ替えの際には長期間閉館するらしく、ぶらり派の私もさすがに自分に注意を促したい。↓パンフレットとショップで買ったもの柳宗悦の書いたものと柳宗悦について書かれた最新研究の新書。鶴見俊輔が著したものとで悩んだが、中見真理氏の小文を先日読んでとても共感したので。民藝バックナンバーは吉田璋也の名を認めて帰途、先に気になったパン屋さんにてバゲット他も買う。
2023.11.08
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2023/11/07/火曜日/最後の夏日かな❶ 路庵世田谷区せいろ合鴨丼セット 1200円このお店はお昼3時まで開いているのが有難い。駒場公園から怒涛の歩きで2時半に入店。え、それでも先客2名待ち。前回訪問はお昼時。酷暑の中1時間ばかり並んだのだった。下北沢が最寄りの駅で、また来ようと思える蕎麦屋さん。蕎麦は玄蕎麦、十割オネギは九条か?これが残念。今日は空腹過ぎて小丼を付ける。満腹、お漬物も美味しい。
2023.11.07
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2023/11/06/月曜日/朝のうち雨↓新幹線移動中に読み終える〈DATA〉 NHK美の壺制作班2009年5月30日 第1刷発行〈私的読書メーター〉〈偶に見るこの番組、これは見逃していた。書物で読めるのは幸い。本書でも指摘があるけれど、柳宗悦が果たした「用の美」の着眼は、それまでの美への考えを反転させ、新たな気づきを日本人の感受性に与えた点で千利休に匹敵すると思う。豪華絢爛ではない侘び寂びに、ときの権力に抵抗する千利休。日韓併合の、国も民もこぞって雪崩れた時代に朝鮮の素朴な、無心の工人の手業に驚嘆し、当地に関心を寄せ芸術の尊敬の念を醸した柳。そんな背景が短い文章にしっかり記述されている。ブレイクから入り木喰上人、他力へ至る柳の柔らかい微笑が好い。〉益子の一日訪問の移動には新幹線に3回乗る。その間、どうせ風景は楽しめないから、軽く薄い本を探していたら、丁度こんな本に遭遇はあ、東北大震災前に放送、上梓されていたんだ。番組の構成に沿った編集壱のツボ てらいが無いから美しい弍のツボ 自然の意志を感じよ参のツボ 使い込むほど美しい浅川兄弟が挨拶がわりに持参した李朝の小壷冊子白樺に、後期印象派の作品論文などを20歳そこそこで載せていた柳宗悦。私の記憶では、彫刻をする浅川兄が、柳宗悦がロダン作品を有しており、それを見せて貰うために訪ねたのだった。ところが、李朝の工芸品を愛する浅川兄弟の手土産に柳は打たれる。その刹那、民藝運動が始まった。それまで生活雑器であったものが一変する。見るものをして「これは美しい」と承認させるパラダイムシフトがおきたのだ。柳が美しいというまで、それはただの古臭いやぼったい下手物に過ぎなかった。それまでの詫びや寂びの中に美を研ぎ澄ました日本的感性に、更に民衆の中にその創造者を発見した、という点で柳は偉大な思想家とも思う。達人のことば、という本書の結びに日本民藝館学芸部長、杉山喬司氏の一文がある。そこに引用された『柳宗悦 時代と思想』(中見真理著 東京大学出版会) に心惹かれた。「柳宗悦の生涯を貫く問題意識の核心に、『複合の美』の思想があることを指摘している。そしてこの思想は強者の力によって世界が一色になることに抗い、大小の草花が共生する自然界のような『複合の美』の世界を、非軍事的方法によって作り上げていくこと」を希求するもので、これは近代日本人が持ち得た内発的で良質な平和論の一つであると高く評価している。と記される。巨大なプラットフォーマー、或いは超監視国家によって知らず自分の思考も感受性も一色に染められかねない現代である。私もまた『複合の美』の端で、糸を染めたり編んだりしながら、よく知る顔の他者に身に付けてもらえるような努力を重ねたい。いや、全然見知らない人のためにもいつかおくりものとして届けたい。
2023.11.06
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2023/11/05/日曜日/ほぼ晴れ前夜は高崎の娘夫婦宅でお泊まり。本日は、その夫婦がそれぞれの両親を積善館にご招待くださる!とのこと。ありがたやー10/28 四万温泉は紅葉が始まっていた。↑紅荘で鰻重ランチお蕎麦を所望したのだけれど、12時で既にお蕎麦売り切れ、もう一軒の蕎麦屋には数人が並び待ち。なのに何故か6名が待たずに、いつも人気らしい紅荘に入れた奇跡を皆で喜ぶ。四万川を眺めながら、満腹の面々はチェックインタイムまで、小さな温泉街を散策。↑この店主の会話が面白過ぎた。あとで食べようと戻ってくるともう店じまい。↑少し塩味が混ざるお味。ミネラル豊富な印象↑四万川に降りてみる↑↑積善館上にある温泉宿たむら。ここにも温泉を飲むスポットあり。↓たむら の歴史古い地味な温泉地ではあるけれど、歴史は古い。3時には少し早いけれど伺うと受け入れてもらえる。混む前に取り急ぎ温泉へ。宿は山に沿って三層の造り。一番上が一番新しく温泉設備も整う。ここに露天風呂あり。二層目には家族風呂。他に岩風呂があったようだけれど今は使われてない?お次は目当ての大正風呂。ここは温泉目当ての日帰り客も利用できる。↑風呂場左の小さなにじり口は温泉蒸気を利用した蒸し風呂サウナ。しゃがんで入る。1.2mも無いような低さと暗さ、湿度と生暖かさに母胎回帰願望ある向きは癒される。閉所恐怖症の人にはホラーか。この時間に入れたので温泉独占!夕飯を頂き、夜のライトアップを楽しむ。宿を背中にすれば叢雲に月。みるみるぽっかり丸明かりの、月と宿の饗宴床に就く前に再び湯に浸かる。私の部屋から三層上の露天風呂へは複雑な迷路を辿る。これが面白い。↓千と千尋のモデルと言われる温泉宿本家らしく。↓宿の中は改装を重ねている様子。あちこちに休憩室やコーナーも配置されている。泉質が柔らかく透明、匂いは少し感じることもあったけれど、ほぼ無臭。湯上がり、肌しっとりを実感する。女性に抜群の人気を誇るというのもよく分かる。目覚めの一浸かり、極楽はあ〜婿殿、娘よありがとう。夫は次は草津だーとのたまう。
2023.11.05
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2023/11/04/土曜日/昨日のように晴れ↓婿殿用サイズで編むと、ベストでも糸が足りない、草木染めの手紡ぎ糸が5kgはある。微妙に異なるけれど同じ草木仲間。媒染で引き出される色々はペンタトニック。そこに不協和音はない。それで。同じ太さの糸を混ぜて試作してみる。↑ボーダー、ドルマン、七部袖のイメージのプルオーバーは、女性M寸法もしも娘がこれを気に入れば、クリスマスプレゼントにしようかな。旦那さんのベストと微妙なハーモニーペアになるだろう、不協無しの♬↓編み終わり、水通し、石鹸ゴシゴシで縮毛させて平干し。しかし、この羊毛の特性か、或いは染色の湯通しゆえか、殆ど縮毛せず。↓編み地はこんなに元気である。10日余り放置して、本日↑石鹸粉を入れた大鍋で、5分ばかりセーターを茹でる。↓軽め脱水して、再び平干し。前後計測してない!が、印象としては2.3%ほどは縮んだかな?↓それでもフェルト化は殆ど起きていない。このまま5日くらい平干しさせてみよう。洗濯機で丸洗いできるよ!何なら乾燥までOKなセーターだよーと伝えれば娘、感涙かも?↓庭のデッキの鉢で水を飲む山鳩の番のように仲良しでね
2023.11.04
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2023/11/03/金曜日/文化の日、晴れ美術館を出ると、あの雷雨は夢だったろうか、な秋晴れだ。坂の途中の新しい家もスマートだなぁ日常使いの器にも真剣に向かう環境があれば、自ずと住まいも身につけるものも佇まいも底上げされるんだろう。それが文化の底力。↓釜にも暖炉にも応分に薪は必要↓道の左右は陶器屋さんが並ぶ。電信柱が無いのがよい。↓来週の陶器市を待つ姿↓ちょっといい感じのお店で、焼き物買うか迷い、タオルを買う?アテクシ。↓お店かとおもたれば、一般住宅↓陶古というギャラリー、ショップ。建物が素晴らしい。お安いものもあります。↓交差点渡り、振り替えって気づく。なんだなんだ⁈どうやら藍染めの高名な工房らしい。↓茶まんじゅう他買う。↓これ、実は長屋門。おされなカフェとかお店が。↓民芸店ましこここでは濱田窯の焼き物も扱う。あれこれ、じっくり眺めているとお茶が出てきた!↑うつくしい茶の心。結局、今晩お世話になる娘夫婦のお土産にスリップ皿を一つ求める。↓おお。駅に向かう道すがら、アンティークショップを見つけてワクワク覗いてみると、ほぼブティックだった。古い家屋が残っている山里の町はいい。夕焼けに送られて益子の満月に照らされて真岡鉄道の車両に乗って高崎に向かう。すなわち小山から大宮、大宮から高崎へ新幹線乗り継ぎという旅路。↑濱田庄司参考館にあったスタンプ。昨日在庵今日不在明日他行まるで私のごとし。
2023.11.03
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2023/11/02/木曜日/日中は暑くなるらし旅は道連れカゴ。旧濱田庄司邸を背景に、茅の輪くぐりのような。↓藁屋根の厚さ!きれいなケラバ。こんな美しい葺き方を初めて見た。↓お邪魔します。無料である。いつから土間に大谷石?うつくしい色とテクスチャーが年月を経た無垢板と清潔な障子紙に映える。建築関係の外国からの見学者だろうか、ため息混じりに眺め入っていた。濱田庄司は英国でも作陶をし、生活した。彼の芸術果実はとても日本的だが、普遍性の土台は頑丈だ。屋内は平家で、天井は二階家くらいの高さ。↓ステージはロクロを回す作業コーナーが3箇所ばかり。掘り炬燵形式でここに腰掛け作業する。外の光が手元を照らす塩梅になっている。作業コーナー上はロフトのような中二階。作業する場所は天井を低くし、土をこねることに没頭できる配慮が感じられる。無垢板の床が飴色に光を反射する。すぐ側に囲炉裏の火とヤカンの湯↓上画像の大甕。益子の海外交流事業で来日した韓国の作家が益子の登り窯で焼いた作品。見事にこの屋内に調和している。素朴で質実剛健な民家に、華奢で優美な欄間半衿の刺繍を見るようなあわいの繊細さ↓日本の伝統家屋の意匠は屋根にあり。↓参考館ショップで買ったポストカード濱田庄司の掌陶器市1週間前の益子は人も少なく、このタイミングで来てよかった。いつの間にやら晴れ上がる。↑108回を重ねたとはすごい。↓回廊ギャラリーを渡り、芹沢銈介展を見に行く静岡の芹沢銈介美術館にはぜひ行きたいとかねがね思いながら果たせていないのだけれどまさかの益子で 旅する染色家芹沢銈介展が。↑開館30周年記念 益子日帰り がデザインされた表紙↓この建物は今ひとつ感心しない。旅をよくした、民藝運動の芹沢銈介は訪ねた各地の風景、特に手仕事の工房のスケッチを数多く残し、中には手作りの絵本に仕立てたものもある。展示されていたましこひかへりは展覧会の主題。↑芭蕉布に芭蕉の型染め沖縄紅型や、釉薬の流れた甕の図案の着物、暖簾などグラン・パレでの展覧会出品作など展示フランスでの展示会は、あのバルテュスが芹沢作品を愛し、骨折りして開催にこぎつけたという。バルテュスは20世紀最後の巨匠と言われた画家。パリのレアールでの大回顧展を随分昔に見た。晩年スイスの山里で、スイスの古い民家シャーレに着物姿の節子夫人と隠遁暮らししたことに何となく作品との乖離を覚えたものだった。しかしその違和感が芹沢銈介展開催への、彼の奔走の事実を知り氷解したかも。↑このおおらかさと繊細な色調が好い。左は戦前に益子を訪れ、芹沢銈介がスケッチした濱田庄司の工房。右は先ほど訪れた際の画像。おや。同じアングルやなかとですか。軸組はさすがに変わらず、屋根葺材と外壁の仕上げが変わりました。絵の方に住みたくなりまする。↓焼き物展示会場入り口正面に島岡達三作品。↓今回気になった作家、加守田章二加守田章二(1933-1983)は大阪で生まれ、京都で陶芸を学び、益子で独立。遠野で生涯を終える。北上の人、である。受賞後毎に、その作風をがらりと変えた。入場券を買うと、喫茶百円引き券を頂き、見学後カフェにて休憩。ずらりと並んだ中から好みのカップを選べ、とのこと。お、陶芸美術館を謳うだけのことはあります。私のチョイスは岩下宗晶さんの、少し島岡ブルーぽいカップ。先が楽しみな作陶家さん。紅葉の始まり出した丘を下り、陶芸屋さんを冷やかしにそぞろ歩き開始。
2023.11.02
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2023/11/01/水曜日/蚊に刺される参考館を出ると雨は止んでいた。この界隈はいかにも里山の風景立派なお屋敷を構えた家が散見される。↓濱田庄司氏と縁のあるお宅のようだけど?↓その家の前に藁狩場と藁納屋?こんな風景を見ながら浮世をやり過ごせるのは羨ましい。大いに読書し、身体を遣い働く。夜は静かに考える。そんな暮らしが浮かぶ。道々発見の 仁平古家具店アケビのつるかしらん、平カゴを求める。そのカゴを片手にぶらぶらとお昼の蕎麦屋さんへ、更にとよだ民芸店へ戻る。↓あちゃー臨時休業↓益子で重要な陶工四大思えば夏に訪れた、韮崎の大村博士コレクションで島岡達三の作品に触れて、益子に行きたい気持ちになったのだった。道祖土 と書いて さやど と読む。この交差点奥に濱田庄司の工房、現在の参考館はある。地名を聞いて彼は好ましく思ったのではないだろうか。宇都宮からここまでのバス停が示す地名は、物語が聞こえるような響きと文字で印象深かった。地名が薬効をもたらすようなエッセイか紀行文か、梨木香歩で読んだように記憶する。やがて細い道に分け入り、坂を上ると旧濱田庄司邸と益子陶芸美術館のある丘に辿り着く。長屋門風の入り口。2階は敷地高低差を活かしたギャラリー兼回廊↓後日我が家に収まった平カゴ
2023.11.01
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2023/10/31/火曜日/秋深まる週末の土曜早朝、益子へ一度は訪れたいと思いながら、同じ関東でも我が家からのアクセスが悪く先送りにしていたが、ついに私鉄→湘南新宿ライン→新幹線→バス大宮から宇都宮移動は一駅、椅子を温める間も無く宇都宮駅に到着。↑初めて降りた宇都宮駅↓バスの案内がとても分かりやすい事前に練った旅程は待ち時間をできるだけ短くしている。しかしそのプランは女子トイレ長蛇の列を考慮していない。でもわずかでも新幹線に乗れるのでOK。豪華な個室が用意されております。を乗り継ぎようよう 濱田庄司記念館に辿り着く立派な長屋門に駆け込むより早い雨脚おまけに雷さまが轟く手荒い歓迎振りではないか。長屋門左がオフィスとショップ右が一つ目のギャラリー↓今回展示ベスト3、スペインの耳付き壺濱田庄司さんが「負けた」と思ったという手仕事が世界各地で収集されて、ここ益子に北欧、メキシコ、英国、モンゴル、朝鮮、イラン、ペルシア、日本↓左から濱田庄司、柳宗悦、河井寛次郎↓中心上から時計回り 濱田庄司、バーナード・リーチ、黒田辰秋、富本憲吉、河井寛次郎作品▼第二のギャラリーへ↓濱田庄司を紹介するビデオから美しい2号館の内装空間。建物は東北大震災で被災したが多くの寄付金が集まり、2年後には修復、公開がなされた。作品がいくつか割れてしまう被害もあった。今回の展示中のベスト3↓リーチの鹿のプレート↓好きな作家、ルーシー・リー作品が一つ↓上、3号館から2号館を見る 下2号館出入り口▼3号館 沖縄、角形酒注 ベスト31.2.3号館に一つずつとてもいいなぁ、と思う焼きものがあった。既に濱田庄司氏の目のフィルターに掛けられたものなので、どれをとっても素晴らしい。贅沢な選択ではある。▼工房ここで土がカタチになった。もちろん濱田庄司氏もここでロクロを回した。▼上ん台↑頗る立派な百姓家。豪農屋敷と呼ぶべきか。濱田庄司は早い時期から古民家も収集していた。焼き物のみでなく、家具や住まい、風景風物、衣装、染め物、おそらく食事に至るまで、みな民藝の風景の中にあり、それは小津安二郎の映画空間にも流れているように感じる。▼濱田庄司館こちらには喫茶室もあった。お茶を注文しなくても、椅子に座りぼんやりできるのがありがたい。これだけの財産。個人のものに留めれば散逸の難は免れなかった。公開して公共の財産にしていただけたことが有難い。豪農屋敷、上ん台から敷地を下りていくともう一つの長屋門。左右にはやはり小さなギャラリーがあり、濱田庄司氏の生涯とその作品が控えめに紹介されている。↓氏の初期の作品雨の中、入場者は私一人だった。濱田庄司の求めた世界に浸る濃厚な時間だった。
2023.10.31
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2023/10/30/月曜日/晴れ時々曇り❻ ましこの蕎麦 路庵10/28 益子町益子十割蕎麦ととろろご飯セット1220円お蕎麦はコシが強く、甘みも感じる十割蕎麦、地粉を用いる。ツユも美味しく量が多い。お漬物とご飯の美味しさにびっくり。益子には、いくつか蕎麦屋がある。歩き旅の私に便利なのが、このお店だった。
2023.10.30
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2023/10/28/土曜日/天気は不安定10月初めの週に八ヶ岳に出かけた折、小淵沢で人気の酒屋に立ち寄る。ここは山梨県になるため、長野県産を圧倒する甲州産ワインのライナップに山梨愛が伝わる。日本ワインコンクールは今年で19年目、国産葡萄のワイン品質向上を目指し、甲府市で開催されているらしい。長野マンズワインのソラリスが欧州産赤でも白でも、受賞を果たしていたが、お高過ぎて気楽には飲めない。私が気になっていたのは、シャトー酒折の2022甲州ドライ。甲州部門とコストパフォーマンスの金賞。1760円。お店の棚には三本。買い占め恥ずかしく二本購入。6月からの販売らしいから、もう店頭にはないかも。単なる辛口ではなく、ほのかな甘味が柔らかい。和食にピッタリ。この値段でこの内容は文句なし。先日飲んだタスマニア白800円一杯とは雲泥の差だ。この価格帯で、このお味、アロマなら世界相手にやっていけるかも。↑実はワサビチーズと頂いた。合う!
2023.10.28
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2023/10/27/金曜日/天気上々〈DATA〉 晃洋書房著者 谷釜 尋徳 タニガマ ヒロノリ2023年2月10日 初版第一刷発行〈私的読書メーター〉〈なるほど分類384。章ごと参考文献がいかにも学究の第一次資料。といっても堅苦しい研究書とは違い、版画なども織り交ぜながら旅歩きへの憧れを駆り立てる本に仕上がっている。本書が参考にした女性の旅日記(記述者が男性のケースも含む)、年代的には1669年から明治すぐそこ、の1863年まで22巻も!健脚、健啖、物見高さで古の日本女性なれど、すぐ近の共感が湧く。関所越えの緊張、河渡りのヒヤヒヤ、古刹名刹、伊勢参りと言いつつの宿の年若主人の美貌を褒める一筆も。名物、ご馳走、買い物、芝居通いとまぁ我らに似たる人事欠かず。〉うむ。著者の名前が凄い。これは本名であるか?尋徳。漢方医か何か、そんなお家柄よのような。しかしご本人は、『江戸のスポーツ歴史事典』も出されている研究者だ。事典を作るのは大変な難行と想像する。本書はその折の、こぼれ話を拾い集めた気安さ。とはいっても、江戸時代に何故、おなごが日本地理の半分近くを何ヶ月も掛けて踏破できたか。その背景がきちんと論理立てて示される。参勤交代のための街道、宿場町、交通などのインフラが整えられたこと。貨幣経済が全国津々浦々に行き渡り、金貨銀貨を銭貨に両替したり、為替の仕組みもあり、大金を持ち歩く必要がなかった。また、名所図会なる観光ガイドブックがお土産、グルメのご当地情報を詳細に伝えてくれた。何よりも庶民が豊かで文字書きそろばんが行き渡り、旅の計画、予算の計上など旅人として自立できていたこと、などなど。凄いな、江戸時代。あ、書名の江戸は、地域区分ではなく時代区分。タイトルだけを眺めると江戸に住む女子が大山詣とか牛に曳かれて善通寺、とかを想像したけれど。もちろん江戸の商人妻、中村いと←こんな人と一緒に旅したい!←の例などもあるけれど、大半が江戸以外から。藩士藩主の妻なんぞもいるけれど、名主、地主、商人、農民妻もいて、大盤振る舞いも節約もそれぞれに工夫を凝らし楽しむ様子が伺える。しかし出たちは同じように、足袋に草鞋、脚半に道行、杖に菅笠ファッションである。この菅笠を、明治初めに日本奥地探検したイザベラ・バードが激賞していたとか。さて、着物。足さばきが困難と思われるのに、平均で一日30〜40Kmを歩くのだ。2日に一度は草鞋を買い換え、これが土地の農民の現金稼ぎにもなったろう。しかも履き潰した草鞋は捨て場が茶屋近くに置いてあり、集められた草鞋は解いて再利用できるものは再び草鞋になる。もうね、ここまで来ると涙もの天晴れ日本の民衆。質素で簡素でつましく、エコロジーな姿よ永遠なれ
2023.10.27
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2023/10/25/水曜日/日中はインディアンサマー〈DATA〉 早川書房著者 バーナード・コーンウェル訳者 泉川紘雄1990年3月20日 初版印刷1990年3月20日 初版発行〈私的読書メーター〉〈懐かしいような馬鹿馬鹿しさと真理の端っこを掴ませる手応えの海洋冒険小説。セーリング好きには応えられないだろうヨット操縦心得満載。フォークランド紛争で負傷したニックは障害を抱えながらも『テンペスト』の魔女名シコラクスをもつ愛艇で海洋に出る夢を諦めない。生来のおぼっちゃまパーソナリティ故の行きがかり、嵐の大西洋でヨットwildtrackをワイルドトラックする羽目に。「世の中を動かしているのは正直さでも正義でも愛でもない」と諭す父のような成功者の側ではなく、艇を動かす風の吹く海で生きる選択の清々しさよ。〉ハリー・アボット警部補は、いい漢なんだなぁ。「仕事ってなんだったんだい、ハリー」彼は質問を無視した。「サンドイッチをすこし持ってきた。それに新聞は置いてくよ。嘘ばっかし書いてあるが、漫画くらいは楽しめるだろう」新聞の記事はといえば(←1982年のフォークランド紛争から1.2年ほど後の設定?因みにこの本が日本で出版された1990年、英国とアルゼンチンの国交は再会されたが、本年3月ニューデリーでの20カ国サミットでは再び島の領有権の交渉がテーブルに載ったという)「北アイルランドではひとりの男が膝頭を撃ち抜かれ、イラクとイランは砂漠でおたがいに痛めつけ、ロシア人はアフガニスタンで農民を痛めつけ、炭鉱夫はだれかれ見境なく痛めつけている。エイズと呼ばれる病気が、清教徒が千年かかってできなかったことを達成しようとしている。イギリスはまだクリケット一色」という時代のリアルな新聞報道の最後のゴシップ記事では物語の核が進行している。すなわちニックの愛する女性アンジェラの結婚ニックは関わる新聞記者からも闇商売に精出す造船業主人からも大バカ呼ばわりされているある意味愛すべきやっかい者。フォークランド紛争最中、作戦ミスで敵陣突撃したとき、自分が何と叫んだか、思い出せない。嵐の中、素人に操縦を任せ、恋敵の命を救おうと隣接させた艇に障害のある身体で乗り込もうとする刹那、自身の口から同じ言葉が飛び出したことに打たれる。「気違いやろう!気違いやろうだ!」前者はつまるところ、紛争=戦争時の軍人として、女王陛下の国土を守るという軍事目的が後者では、恋敵の命を救うよう懇願する愛する女性のためのブルトン騎士精神が発露され?たごく私的な目的が海を相手の船乗りで神の存在を否定するものはない、と無神論者のアンジェラと会話するヨット内のシーンがある。極限で、そのアンジェラが祈るのだ。自然の猛威の中で人間存在のあまりに無力だと知る、そんな経験を海で山で人はもつ。丘では間も無く運転手のいないタクシーが走るそうだが人間よ、思い上がってはいけない。一身の力と知恵と心を尽くし生きてみたことがあるだろうか?そんなふうに、この冒険ミステリーは問いかけもするのだ。やはりニックはビクトリア女王の愛称をもつ黒猫と今日も海に出ていく。その名の勲章は刑務所で暮らす父に託して。警部補はまともな男だった。日本にもまともな元警部補がいる。それは希望といえるものだ。
2023.10.25
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2023/10/24/火曜日/よく晴れた朝本日は特に課題無し。前回の冊子掲載ベスト編みの続きや、疑問に答えるような時間。こんな時には、都合で参加できなかった課題の疑問も聞けるし、自ら用意した英語仕様の編み方などの疑問にも応じて頂ける。私は東北旅行のためにパスした8月の課題を持ち込んだ。↓編み方仕様書を見て自力で編んだものしかし、どうしても先生のサンプルのような立体感が出ない。クロシェ編みのとき、たまに見る↓右下の、この複雑な紋様を編むと左上のようになる。英語では3FPdc 何のことやら、である。Three front post double crochets の略語、とのことだ。この、ポストとは脚の意。手前の脚に長編みを3回編みます、てこと。立体的に編むコツは、3FPdcs の時にきゅっと引き締めて編むこと、だった。すでにアブリルさんで求めた黒糸は消化済み。ハマナカのエコアンダリアで、レシピ目数どおり編んでみるとスマホが入らない( ;∀;)もう2度編み直している。うらみがましく、解くのは後回ししてもう一つの端から新たに編み始める。編み進めばそのウチ解く。今朝方まで編んで手の甲が痛む。しくしく。↓先生近著こんなクロシェで悩んでいる私をよそに、新しく教室に加わった方のブリオッシュ編みケープが美しすぎる!糸は日本の個人ダイアーの方とヨーロッパのブランドとのこと。うーむ素晴らしいセンスと技私も少しでも近づきたい!
2023.10.24
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2023/10/23/月曜日/日差しは強いこれから霜月にかけてが一番好きな季節。梨、栗、柿、みかん里山の実りと紅葉も好ましく何とも穏やかな気持ちになる。地元の団体主催の短日ツアーに参加して意外な風景に心奪われる。↑駅そばを流れる、これは暴れ川とか。流れが急なだけに水が澄んでいる。カルガモ家族?↓遠い日の面影の馬頭観音古刹、星宿山蓮華蔵院王禅寺の寺領に自生していたという、日本で初めての甘柿。今も境内にはその原木が見られる。寺は新田義貞の鎌倉ぜめの際に火事にあい消失したが、禅寺丸柿の木は残った。14世紀には僧によって近隣農家にその苗が配られたという。その子孫の柿の古木の四本が、この界隈にある。Kさんのお宅で400年以上大切にされ、実をつけている禅寺丸柿先日、韓国で樹齢五百年の柿の大木が豊作だ、という記事を読んだ。それは甘いか渋いか?東光院の柿の木も訪ね、山道に逸れるとコスモス畑道の右に左に栗やあけび鶴川駅とは目と鼻の先にこんな自然が残る。更に訪ねたのが観光農園やまかげ↑秋の色に染まる柿の名は、伊豆。ここにもKさんのお宅と変わらない禅寺丸柿の古木があり、残り少ない実をざっぱさみという柿もぎ用の竹ばさみで取らせていただいた。↓私がもぎ取った禅寺丸柿、意外と大きく、コロンと丸く中の色は茶色とオレンジ混ざり。昔日の甘みほんのり。ここでは養蜂もやっていて、巣箱を目の前に見ながら蜜を買い。一瓶二千円。駅に戻る道沿いには田んぼの実り古代米らしき田もあり歩けば楽しい武蔵野かな。当地はぎりぎり武蔵野、武州
2023.10.23
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2023/10/22/日曜日/寒露も末の日小田急鶴川駅からちょっと歩いたところには素敵な営農団地がある。白州正子の武相荘とは逆の南側。そこになかなかの古刹あり岡上山東光院宝積寺開基は東にありがちな伝説の、行基の奈良時代ともいうけれど、1358年に亮長という僧が再興したことが史実として風土記にあるらしい。長く京都醍醐寺三宝院の末寺だったが、江戸後期に新義真言宗に転属した。現在は単立寺院で檀家もあまりない様子。付属の墓地は近隣の現 岡上神社、元諏訪神社↓に隣接し、長い歴史を考えれば規模はとても小さい。何によってか、庭は手が入れられうつくしく、たいへん趣きのある古刹だ。かつては町田市なとに九ヵ寺の末寺を持ち、江戸の初めに幕府から朱印地15石を与えられたという。川崎市の寺の石高一位は王禅寺の30石、川崎区の稲毛神社、中原区の泉沢寺の20石に次ぐ、という。一石は一人の人間が一年で消費する米の量と見積もられるとか。15石は15人を養うと思えば、さまでなことはないのかもしれない。もっとも三度三度お米のご飯を食べられるのは恵まれた地位にある者だろう。麦、ヒエ、アワなど雑穀を混ぜる割合は下々に行けば行くほど増していくはずだ。15石はそれほどの財産とは言えないが、御朱印という幕府のお墨付きが威光をもたらした、かしら。ここに前立ち仏として安置されている兜跋毘沙門天兜跋トバツの語源について決定的なものは無いようだ。案内では、トパン=チベットが転訛した、とあったが、現在は卒塔婆ストゥーパとの説が優勢らしい。中国は玄宗皇帝の時代、五国の軍に包囲された危機に、毘沙門天の加護を不空に祈らせたところ、毘沙門天が現れ難を逃れた伝説から、王城鎮護の武神として中国で信仰された。それから数百年後、平安京羅城門に、唐に見倣い、本邦初の兜跋毘沙門天が安置され、各地へ伝播した。因みにその像は東寺宝物館収蔵、国宝。ところで、羅城門は京の南の中央に置かれた。身分の高い者は南面する、のでお寺の本堂もたいてい南を向いている。このお寺は東光院の名が示すように、本堂は東面している。一説では東面する鎌倉街道の筋がいくつかある中でも、この筋が重要な道であったことから、そのような配置になったのだという本堂は滅多に上がらせてはいただけないらしいけれど、地域観光課のご威光か、小分けにされたグループで拝観叶った。毘沙門天を支える地天女の顔までは判然としない。大地より湧出した大地母神が支える、という構成が興味深い。間近で見られたのは、板碑中世仏教で供養塔として用いられた石碑。市内最大の大きさで、1267年(文永四年)3月15日の日付が刻まれている。このような立派な板碑が全国津々浦々の雛にも奉納された。当時の我々ご先祖は信仰が篤かったか、世がそこまで乱れていたのか。因みに1267年は、漢民族の国が衰退し、蒙古人の王国、元が地上最大の規模で大陸を支配しはじめた。元で官吏に登用されたのはイスラム教徒やネストリウス派の中東や漢人だったそうな。間も無く日本にもその余波が押し寄せる。風雲急なり。その頃にこの板碑が。
2023.10.22
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2023/10/21/土曜日/穏やかな秋の日10/20 松翁 千代田区ざる 千円もうね。補填行動に走りました。旨い十割蕎麦が食べたい。まだ新蕎麦は扱いがなかったけれど、蕎麦の甘さに今更ながら驚き感謝しつつ頂く。今日は正午というのに何故か先客が去ると私一人。そこへご近所らしきお馴染みさんがやって来る。おかみさんとの会話のやり取りに引き込まれる。三越の京都フェアで鍵善の例の葛切り食べるのに1時間半並んだそうだ。「あれって味ないから。黒蜜の味だけなのよ…あ、マグロ山掛けと天ぷら蕎麦、2色もり。蜜柑の蕎麦?食べたことないから頼むわ」先日亡くなった谷村新司と同年齢、とかのご婦人の羨ましくなるような健啖家ぶりであります。私といえば松翁さんのざるは、目には少しと見えつつの、通常大盛りなみ200gに満腹なのですが。「娘がニシン蕎麦食べたいって言うんだけど、アレ美味しいのかしらん。」おかみさん、特別小さい声で笑いながら「おいしくない。でもウチは昆布は京都から仕入れててね、そこがニシンも扱ってるわね」松葉のニシン蕎麦や、一昨年前に評判とか聞いて並び待ちした、彼の地の蕎麦屋の味が蘇る妾め。他に客もなく、思わず「京都の蕎麦はまずいですよね〜。美味しいのはコシのないふやふやの京うどん、かな」なんぞと会話に加わるお行儀の悪さでございました。ひゃあ。昆布をわざわざ京都から仕入れてるんだなぁ。松翁さんでは江戸風、関西風とおつゆが選べます。
2023.10.21
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2023/10/20/金曜日/秋日和10/15 手打蕎麦 渡邉新宿区そば三昧 1300円タスマニア白 800円2年くらい前には新宿で蕎麦といえばここで食べることが多かった。↓夕方入るのは初めて。他にお客もなく、蕎麦打ちしていたりで店内画像を撮ってみた。蕎麦屋の昼と夜では雰囲気が随分違うものだなぁ。やっぱり給餌は若いバイトではなく、元気で気の利く中高年の女性が気持ちがよい。実はここでは天ぷら蕎麦しか食べたことがなく、それを美味しいと思っていた。初めて頼んだそば三昧アルバイト娘に尋ねたら、量は一人前と同じじゃないかとぉもう、と応える。そんな思い込みではなく確かな量を知りたいので、ハイハイ、お店の方に聞いて来てね、と言うと素直に従い、なんと悪びれずに2人前弱とのことだ。これから用事があるのに平らげられるかしらん。それはともかく、もう一つ確認し忘れたことに後から気づいた。そば三昧は三色そばではなかった。トッピングの意、だった。えーこんなものが乗っかってるとすすり辛い。おまけにワサビがあまりに足りない。蕎麦そのものもイキの良さがない。新蕎麦じゃないんだな。この白も、カクカクして悦び薄い。先だっての蕎麦の仇打ち、とはいかなんだ。
2023.10.20
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2023/10/19/木曜日/日中は汗ばむお天気生活クラブの提携消費財の中でも抜群に人気のトマトケチャップ。メーカーのコーミ(オリジナルは香味だそうです)から営業の方を招いての講座に参加した。出戻り生活クラブ会員の私、過去にこのような講座に参加したことはない。ただただコーミのケチャップファンなので、思わず手をあげた。講座は①ケチャップはどのように製造されているか。②コーミさんサプライソースでお料理しよう。の、理論と実践名古屋市に本社を置くコーミは、設立1950年、資本金1億円という立派な企業だった。トマトケチャップ交流会資料なるものを手元に、生産ラインビデオを見ながら学ぶ。これが意外と面白く、ひととおり見終わると妙にトマトケチャップ愛が高まった。トマトの歴史、トマトの品種、トマト農家の苦労、栽培法の違い、生活クラブとの出会いと生活クラブからの要望トマトピューレとトマトペーストの違いと一般的なトマトケチャップとコーミケチャップの原料の違い、などなど。生活クラブには、消費財10原則というものが確立されているらしく、その中でもコーミに出された3つの要望は、❶合成添加物不使用❷国産加工用トマト使用❸リユースのため、ビン容器の使用がある。副原料の醸造酢も遺伝子組み換え配慮で、とうもろこしからサトウキビへ1997年には変更。↑表示を見ると、コーミのケチャップのシンプルさがよく理解できる。国産の材料で、真面目にシンプルに作っているから当たり前に美味しいんだな。食べることがある種罪悪感が伴うような時代に、憂い少なく食べられるのは精神的にもよろしい。といっても、日本の農業が衰退する中、加工用トマト栽培はきつい労働である。1975年には加工用トマト自給率71%もあったトマトが、2018年にはなんと3.1%に激減。高齢化の進んだ農家さんは、苗を植えることはできても中腰で手でもぐ作業まではできないと言われ、コーミ社員が援農に出かけることもあるとか。この美味しいトマトケチャップをずっと食べられるようにしたい。国産遺産指定したい。さて、楽しい実践料理はほぼ75ふんで4品ケチャップをスクランブルエッグに落とし込む、大胆な2分クッキング。トマトベースを使う鶏肉のカチャトーラ はキャベツ、マッシュルーム、パプリカ、ミニトマトなど野菜も豊富な炒め煮。野菜から水分がよく出るので、パスタと絡めてもよいかも。トマトパスタソースを用いたベーコンとしめじのパスタ。普段出来合いのパスタソースを使わず、トマトベースをアレンジしているけど、でもこれはこれで美味しい。今まで生パスタを買ってだけれど、生活クラブの乾麺はもちもちで美味しいことを発見。牡蠣味調味料を用いたお手軽バーニャカウダソース私的には超簡単で、びっくり美味しかった。2人分なら、ニンニク3片←ペーストになっているものを使えば簡単。調味料と牛乳大さじ1.オリーブオイル大さじ3。小鍋にニンニク、調味料、牛乳を入れて温まるとオリーブオイルを少しずつ流し入れ一煮立ちすればOK。アンチョビ代りのオイスターソースはまろやかマスカット入りケチャップを今回発注♪
2023.10.19
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2023/10/18/水曜日/晴れ2、3ヶ月放置していたcassis by Midori さんのベストを、10月に入るとようよう毛糸に触れる心地して編み上げた。↓水通し後の自然乾燥待ち糸が不足なのは承知の介だった。しかし、ここまで手が緩むとは!お腹周りがバルーン。これは婿殿へのクリスマスプレゼントのつもりで編んだのだけど、どないしょー。部屋着にしてね!お腹周りはこれに追随しないでねのカードでも添えるかなあ(=´∀`)人(´∀`=)下手編みですみません。でも糸は草木染め←これだけが救い左は初めてトライの試作。知合いがきゅっと緻密に編んで美しかったので、頑張ってきゅうきゅうと編んでいたことを忘失。この糸はヨリが甘いところとキツいところ不揃いなので、やはり私らしく緩く編む方が相応しい、のだった。三枚目編むの?自分!まじ?でも編まないと、婿殿と私のペアルックになりまする〜_:(´ཀ`」 ∠):↓ベストを編むにも糸が足りないので、いっそボーダーをアトランダムに、ドルマンスリーブで試し編みしてみる
2023.10.18
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2023/10/17/火曜日/日差しに力あり新清そば店 ★初訪問笛吹市10/10/火曜日甲州街道から微妙に逸れた並行の細い道、なので迷いつつ辿り着く。Google評価に期待して行ったが、店内入ると後悔先に立たず。扉を開けて戻ることは難しい。評価が高いのは、地元のお馴染みの方の贔屓が強いのかしら。お酒のアテが旨いとか、人気のカシワなんば、とかきっと美味しいのだろう。しかし。お店が、特に厨房があまりに清潔度低い。私にとっては蕎麦はもっとも清潔な食べ物なので、それを提供する場所は清潔で簡素であってほしい。神田にさほど清潔とは言えない蕎麦屋があるけれど、例外的に気にならないのは何故か。その店内で働く人がイキイキしているためか、と思う。その気が雑多な店を爽やかに魔法掛けいやいや、このお店もお内儀と思われる方のやわらかい給仕は何の不足も無いのだけど。蕎麦粉に空気と水を混ぜて伸ばし、さっと茹でて冷たい水でシャッキリ冷やす。ワサビと濃いめツユで頂き、長居は無用のお勘定。こんなふうでいたい。という、蕎麦に頑固な自分がいるため甚だ申し訳ないのですが、旨いそば屋はほぼ清潔、が実感。ミニ天丼セットのせいろ蕎麦というよりはうどんに近い。当地はほうとうが旨いのであって、蕎麦文化はやはりお隣の長野に軍配が上がる。教訓。暖簾をくぐっても引き返す勇気をもとう。例え腹ペコでも。
2023.10.17
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2023/10/15/日曜日/振り続ける雨〈DATA〉 河出書房新社著者 ジョゼ・サラマーゴ訳者 雨沢泰2023年7月20日 初版印刷2023年7月20日 初版発行〈私的読書メーター〉〈独特な文体故に始めは手こずる。しかし一人の存在が像を結ぶと、不思議なことに登場人物らの声色が聞こえ始めリアルな存在に変わるのだ。『白の闇』パンデミックから四年後の首都。市民は圧倒的な白票を政権に投じる。統治の正当性を失う危機に政権は市民の犠牲などはへとも思わぬ残虐な牙を剥く。その口から漏れるのが民主主義への暴挙とは。既視感を覚える。警察権力やマスコミはなるほどこう使うのかと得心させる内務大臣と首相の私利私欲権力闘争に背筋が寒くなる。その中で一人の警視が小さな物語を思い出す。遠吠えをしろ、と犬が、涙の犬が。〉実は所々笑える。政権闘争喜劇とか探偵物ぱくりとか、サラマーゴの掌で大いに遊ぶ、だけでなく興味深く、読書後も何度も繰り返し考えさせられる。こんな本は『八月の光』以来か。もっともフォークナーはあまり笑えなかったけれど。ポルトガルの光、ともいえる作家。全作品が翻訳されているわけではないし、元々寡作だ。秋の夜長、読書の楽しみが続く。世界の何処かにはこんな優れた作家が数えきれないくらいいるだろう。今年のノーベル文学賞は北欧の作家が受賞した。彼のコメントで、地中海の海ではだめだ北の海でないと、みたいなインタビューが印象に残る。ポルトガルは殆ど地中海には面さず大西洋に開いている。その長い海岸線にナザレという名の小さな漁師町がある。その地の海の家みたいなバルで大西洋を眺めながらイワシの塩焼きを食べたとき、白ワインくらいは呑んだらうか、私のことだから。最果て、の文字を白い雲で青い空に描きながらその町の、海で夫を失った寡婦は頭から爪先まで黒一色の衣装に生涯身を包む。少なくとも私が二十代にそこを訪れた時には。ところが、殆ど民族衣装と言ってよいそのデザインは若い娘も全く同じフォルムなのだった。膝が隠れる程度の短めギャザースカートには寡婦のものとは異なり派手な色と刺繍がみっちりと施されていた。イベリア半島がゲルニカのきな臭くささを放った時代、サラマーゴもナザレのような村で塩焼きイワシを食べたかもしれない。権力者たちのテーブルとはまるで違うその味を。きっとあの警視も。小説には乾いたビスケット程度の食の場面は出てくるが、私は一方的に大西洋のイワシを食べて成長したこの男をイメージする。なんとなれば、この男が、『白い闇』で唯一目が見えていた眼科医の妻に招かれランチのテーブルを夫妻と囲んだ前後、彼は昔読んだ本の中の小さな言葉を思い出した、のだから。キリスト者にとって食卓を共にするとは、家族になる、ということ。イエスは魚を漁るように弟子を集め、もっとも愛されたヨハネも漁師だった。そのランチは最後の昼餐かもしれない、にしても。物語後半、枯れた泉を流し続ける乙女の像の前で、二人の人間が全き精神となり、その精神が触れ合う美しい場面。サラマーゴは詩人。社会主義者で無宗教とのことだけれども塩焼きのイワシ以上に、よく摂取し栄養としたのは、キリスト教の本質的な純なところではないだろうか。さて。市民に民主主義を教えるべく謀議を尽くす閣僚会議の最中に、先ず司法大臣が辞任を求め席を去る。曰く白票の投票はもう一つの病と同じくらい破壊的な盲目の表れなのだ。あるいは見える目(=正気)の、、、白票の投票は、それを行使した側からすれば、見える目の表れとして評価できるかもしれない、、実際、いまほど司法大臣らしい、あるいは正義(ジャスティス)の大臣らしいときはなかったと思いますよ。そして文化大臣も退席した、のだ。政治が権力者に従う時、司法と文化はその社会から消えることを意味する、ように著者は見ている。そして司法大臣を首相が兼任し、公共事業大臣に文化大臣を兼任させる。すごい皮肉とパンチが効いている。ここ日本でも法は首相の内閣府が握り、どのようにも成形可能な粘土法だ。文化なんぞ公共事業紐付き程度の所業に貶められているではないか。13人?いる閣僚の中で正気を保ったのが二人。七つの新聞社の内、政府発表の垂れ流しをしない社は二つ。首都市民の87パーセントが白票。政権の見えるところ、閣僚の13分の2程度は正気。正気故にその席を離れる。敗北。報道が未だ生きているなら、7分の2が正気。検閲を知恵でかわしても、バレたら記事掲載紙は没収の上、罰金。敗北。無記名投票なので個人名は見えない。しかし市民の多数が正気である。勝利。瞬く間にキオスクから消えた新聞の、警視による政府の内実スクープ生地はどんどんコピーされ、街角で手から手へ、ビルの屋上からばらまかれる。87パーセントの市民は真実を目にする。政権には見えない正気が8割を超えたら、確実に世の中は変わるだろう。一方、真実を伝えるジャーナリズムが日本では壊滅状態という認識をみなが持っているかさえ怪しい。そんな感懐を持ちながら進む読書ではある。警視の物語部下に何故警視になれたかを話す場面しかるべき場所に友人がいたり、ちょっとした便宜をはかったりするだけで、人の望みは達成されるものなんだ。おおお。露木氏、栗生氏の処世術に他ならぬ。人間性とか適正とか仕事が出来るできないは問われない、官僚機構はそんな建て付けでございます。人間的なあまりに人間的な。警視は言う。きみは医者の妻が有罪だと断定的に言っていたがいまは無実だと聖なる福音書に誓いそうじゃないか。福音書には誓うかもしれませんが、内務大臣の前では絶対に誓いません。わかるよ、きみには家族もいれば、キャリアもある、人生がね。そうです、警視、お好みならそこに勇気の欠如を加えてもかまいません。あゝ我ら凡夫の生きる道、極まる。勇気が足りない、のよ。警視が思い出した小さな言葉私たちは生まれる。そしてその瞬間、まるで自分の人生の契約に署名したかのようだ。しかし、いつか自分にたずねるときが来るかもしれない。いったい誰がわたしのために署名したのかと。この問い。誰が署名したのか。全き人間となった警視は、迷い逡巡しながら良心を生きる決意をする。無実の人間を罪人に仕立てよと言う上司、内務大臣の命令に警視は背く。契約に署名したのは自分自身だという答えを、その行為によって導き出す。ここにサラマーゴの人間への希望を見る。例え命を失うことになっても、自らの署名、その名を汚さない意志。夥しい凡夫の中から、このような人生を掴み取る人が必ず出てくる、という希望たった一人、パンデミックから免れた女性がいたように。彼女が見た極限の人間、獣以下の姿に、流す涙を舐めてくれた犬が傍にいた、ように。ところが。サラマーゴはスパイスの一捻りを忘れない。エピローグのような物語最後で一転、無知蒙昧な臆病者小市民としての我々は描写される。そのとき、目の見えない男がたずねた。何か音がしたかい。銃声が三発したよ、ともう一人が答えた。でも、犬の遠吠えもしたよな。鳴きやんだ、たぶんそれが三発目だったのさ。よかったよ、おれは犬どもの遠吠えが大嫌いなんだ。遠吠えが止むとき、遠吠えを嫌うとき、目の見えない事実に気づかないとき私たちはすっかり隷属している
2023.10.15
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2023/10/14/土曜日/衣替えによいお天気中央民芸ショールームの、このコーナーが好き。フランス、シャルトルの民泊で泊まった宿のダイニングが正にこんな感じで、すごく落ち着いた。家具はフランスっぽくもっと軽めカジュアルなんだけど、庭の三方モルタル壁が高さと緑の組み合わせ、似てる。シャルトルはこれの倍くらいの横広がりで、高低差があり、お花が高く低く咲いていたように思う。閉ざされた小さな庭、には想像がひろがる。↑そして下段の真ん中のお店で木のボタンを買う。ボタンは使うし、使うは役立ち、月夜の浜辺で落としたりする、にも良いし。そして細い道の先に蔵を改装したショップとアトリエが。2階展示のお洋服がステキ。京都のブランドらしいけれど。糸かけワークスこの飴、すごく美味しい。美味しいといえば、市内にはお蕎麦屋さんがあちこちにあり、羨ましい。以前は二八の蕎麦が多いように感じたけど、最近は十割蕎麦を供する貼り紙も。どのお店も連休の中日で並び待ち。10月半ば以降は、市内に新蕎麦が出始める。↓木曽のフェア会場ではドライエノキを買う。このまま食べても美味しい。博物館では日本アルプスのハガキ。友人に届ける。再び会場に戻り、お蕎麦を食べて帰り道、高速に乗ると雨がポツポツ。↓松本市水道局のボトルとその水道水。ただし、山の家の水がもっと美味しい。
2023.10.14
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2023/10/13/金曜日/美しい気候の日松本市立博物館が、そば祭りの開催に合わせて10/7新たに新しい場所でオープンした翌日の10/8記念のデモンストレーションでは、たまたま木遣りが披露されていた。市内は人がいっぱいで欧米系高年者集団多し。私たちはコーヒーを求め、珈琲まるも へ。民芸運動の生きる歴史のような喫茶店。サービスが洗練されている。名曲喫茶風なクラシックの大きな作品は流さなくてもよいかも。店舗奥のランプシェードが素敵。菩薩頭部の焼き物はマルモご主人の手によるとか。手の人、であるのがよい。松本の民藝運動といえば池田弥三郎氏。氏が行きつけで、柳宗悦も来訪し佇まいを褒めた、と紹介あり。ブレンドコーヒー、美味しいです。長居できそうなゆったり感がある。隣接というか、主体というか まるも旅館。泊まりたいとずっと願っているが果たせない。人の少ない頃に2、3泊して市内のバーや温泉に足を運びたい。
2023.10.13
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2023/10/11/水曜日/暑すぎます10/8 ワサビ娘がめんこい!思わず試食のワサビチーズ購入。安曇野はワサビの名産地、蕎麦も美味しい、水がよい。↑馬肉と鹿肉のバーガーはバカバーガーではなく、ウマシカバーガーです!食指が動くもこれ行っちゃうとお蕎麦が……北海道の新そばの食後、そば祭り会場を一旦後にして、市内を少し散策。更にお蕎麦を頂くための腹ごなし?なのである。お次は、一度ゆっくり訪ねたい福井の蕎麦へ知らなかったけれど、福井は在来蕎麦の賑わうところだとか。本日提供は、左の大野産。↓蕎麦への意気込みを感じるテント内貼り紙越前蕎麦は、大根おろし、汁かけで食べるのがスタンダード、の様子。二八だと思われる。もっと量がほしい!うん、美味しい。コシが強い。うん、美味しいお蕎麦をありがとうございます。
2023.10.11
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2023/10/10/火曜日/朝から晴れる10/8、曇天ながら秋の雲は高く、八ヶ岳の稜線がよく見える。夏は雲があれば山上は隠れてしまう。この連休、そば祭りが5年ぶりに開催されるとあって、松本城公園まで出かけてみた。お城北側駐車場のアクセスまでとても混む。幸運にも駐車できたが、30分早めのつもりが開場の10時過ぎに着く。↑赤い欄干右上端にモヤモヤ白いのがテント。松本滞在中はお天気なんとかもつ。テントの蕎麦店は、北海道が2店、兵庫県出石町、会津、福井が各1、ご当地長野が2店の、7店。思ったより少ない店舗にすでに長蛇の列。でも、まあ蕎麦故に回転は早い。新蕎麦の幟が出ているのは北海道店空知上砂川を頂く。100gそこそこで600円はちと高い。因みにもりはどのブースも600円蕎麦は新蕎麦、素晴らしく甘味が強い。二八と思われるが十で食べたいなあ。ツユなしで、ワサビだけでもよいかも↓これは隣のブース、兵庫山間の出石蕎麦。6.7年前に雲海の竹田城見学と共に訪ねたことがある。
2023.10.10
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2023/10/09/月曜日/霧雨丸藤葡萄酒工業株式会社国産100%メルロー90%塩尻市契約農家カヴェルネ・ソーヴィニョン7%勝沼プティヴェルド3%勝沼樽熟成12ヶ月香りがとてもよいメルロー主体なので、穏やか、かつカベルネのコクというか渋みというかタンニンが微かに2500円くらい。我が家普段飲みにはちと高い。この値段ならチリ産で美味しいものが買えるだけに悩ましい。豚カリカリ焼きをミスレタスにセロリとくるんで、トースト、カマンベールチーズ、ぶどうと。プティヴェルド赤ワインのスパイシーな味付けにブレンドされることが多いとか。黒ワインとも言われるほどに酸味とタンニンが多いフルボディタイプ。好きかも。今度はこれが多いブレンドで探してみよう。
2023.10.09
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2023/10/07/土曜日/天気は上々、道は混む〈DATA〉 集英社著者 五野井郁夫 池田香代子2023年3月29日 第1刷発行〈私的読書メーター〉〈安倍銃撃事件のわずか17日後にネット番組で対談されたものをベースに、被告人のツィッター1364件を読み解きながら失われた30年の日本社会を考察する本書。五野井郁夫という同世代政治学者と、被告人の母親世代に近いドイツ文学者池田香代子氏の対談中のサブカルやネット用語は逐次解説もあり、理解しやすい構えだ。新自由主義の果てに見えるロスジェネの心象風景。いつどこで〈無敵〉な存在がバーストするかもしれない切迫を五野井氏は語る。誰一人こぼさず包摂する社会を目指したい。折しも教会に解散命令は出たが有効性を見極めなくては。〉Twitter上に山上被告は言葉を残していた。本書第三部には、山上徹也がsilent hill 333 のアカウント名で、2019年10月13日から2022年6月30日までのツイート全1364件が網羅されている。これらは事件後間も無く削除されたそうで、それを予測したネット民が保管していたというのだから、ネットの人びとの情報処理能力恐るべし。事件を報道するのが仕事の新聞社はもはや「新聞」の名を看板から下ろした方がよいかもしれない事態新聞で当初から統一教会との関係を指摘した所は一社も無かった、という忖度の事実。ネットで盛り上がりながら紙面には出て来ないいくつかの最近の事案も合わせ考えれば、一体いつになれば報道が報道として機能するのか懐疑をもつ。昭和世代の家庭からさえ固定電話も新聞も消え去る日は近いのではないだろうか。我が家ではすでにTVも殆ど見ない。さて。そもそも事件が起きなければ、安倍晋三氏はじめ多くの自民党議員らの選挙応援にがっちり組み込まれ政策に反映される、韓国の摩訶不思議な宗教団体との関係も遅ればせながら紙面に顕になることはなかったろう。保守政治の虚実、極まれり山上被告とほぼ同世代の五野井氏は自分が山上被告でないのはたまたまだという強い思いを何度も述べている。また、ロスジェネを産む構造が変わらない限り、第二第三の山上は生まれると警鐘を鳴らす。ロスジェネと命名された多くの同世代人がそのような感情を共有していることは想像に難くない。自分こそヤマガミだ、という。そのことは、人は決して絶対孤独の一人ではないとも示している。日本の失われた30年。 ロスジェネ世代が満足な職に就けず、その事実は本来公的、社会的な構造の帰結であったのに、本人の努力不足に置き換えられ、個々の問題にすり替えられた。 その認識は殆ど正しいと思う。竹中平蔵であり小泉元総理であり、2004年のイラク人質事件バッシングであり、安いもの安いものへとひた走る私たちの30年だ。ついでに言うなら、日本の、まともな宗教に関わる団体や人びとは何故山上母のような人を慰め包摂し得なかったのだろうか。社会福祉の後退を目にして、宗教関係者がこの事件の前で無関係無関心ならば、あまねく日本に宗教は無いと言える。そしてエセ宗教はいよいよはびこり、プレデターは哀しい人を食い物に太る。山上被告のツイートから「世間を支配するのが虚の中で、安部政権の虚実から実だけを取ったらこうなったのだろう」と当時の菅首相をを非難し、「人間なんてこんなものだと最近ヒシヒシと感じる。世界を支配するのはデタラメ、表層しか見ない無関心とそれに基づいた感情、最後まで生き残るのは搾取上手と恥知らず」と、続ける。搾取上手と恥知らずが生き残る、というのはフランクルの『夜と霧』の記述が、私にはぼんやり浮かんで来る。ところで、山上被告が言及した文学作品2点、『カラマーゾフの兄弟』とル=グウィン『ゲド戦記』は、私にはピタピタな本である。虚の中で、安部政権の虚実から実だけ この文言の真意がうまく掴めない。 それは安部政権への評価の、山上と私の差異でもあるかもしれないけれど。 先日たまたま目にした、近松門左衛門の芸術論「虚実皮膜論」きょじつひにくろん虚と実の間の薄い隙間に芸術が存在する、は二項対立とは異なる感受性の成熟を覚える。人はその人生、その虚実を生きる限り、あわいの芸を求めずにはいられない。 映画や文学、音楽好きな山上被告がその皮膜で生きられれば、受験生エリートの勝ち組人生という狭量な価値観からは少なくとも自由だったろうに。 しかし政治的人間は、虚と実を串刺しにした。失われた30年それでも生きてきたではないか。シニカルに陥ることなく、より良い選択を重ねて少しでも住みやすい世の中にしていく。そう願い、そう行動する。私は。
2023.10.07
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2023/10/06/金曜日/良きかな秋晴先週末に身頃をとじて、エジング始末をする。最終的にはスチームでエジングを整える。そして本日、この編み物から手が離れる。横が広く縦に短い、どことなくお魚ウロコ模様の軽くて温かいベストが仕上がる。ワンピースに重ねようかな。残りもの毛糸が生かされて嬉しい。反省は、なんと衿ぐりの目数の闇間違い。エジングで何とかリカバリー∑(゚Д゚)の禁じ手お休みした八月課題は、アブリルさんの竹由来の糸のコサシュ
2023.10.06
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