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Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2008.08.09
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カテゴリ: 教育・子育て

 人というのは、その育った環境と、そこでの経験に影響されるところが、
 本当に大きいということである。
 それは、学者といえども、まったく同じである。

 このことを、最初に感じたのは、志水宏吉教授の 『学力を育てる』 を読んだとき。
 志水氏の、西宮市で育ち、公立の小・中学校で学んだという体験がなければ、
 苅谷教授との研究をさらに前進させた、前著の成果に至ることはなかっただろう。
 今回、内藤氏の研究にも、同じようなことを感じた。

著者の誕生から十代までにした経験は、かなり特異なものと言えるだろう。
自身の出身高を、ここまで書かなければならないのも辛いが、
それ以上に、自分を生み育ててくれた両親のことを、ここまで書かなければならないのは、
「辛い」を通り越して、今いうところの「痛い」である。

このように「痛い」体験の上に成り立っているのが「いじめ学」であるが、
本著の第1章「いじめ議論はデタラメばかり」に示された
「いじめにまつわる、いくつもの誤解」の例は、分かりやすい。
(まえがきでは、広田照幸氏の 『日本人のしつけは衰退したか』 を推薦している)

また、第6章以降に示された「いじめ発生のメカニズム」や
「いじめ蔓延のメカニズム」は、納得できる部分が大変に多い。

さて、本著を読んで、私が、特に印象に残ったのは、次の部分。

  彼らにとって好ましいのは、この「ノリ」を盛り上げることです。
  だから彼らの社会では、それが「ノレる」ものである限り何をしてもかまいません。
  それこそ人が死ぬかもしれないことだろうが、
  「ノレる」限りは何の問題もなく許されるのです。(p.171)


なぜなら、

  逆に、みんなの「ノリ」から浮いた言動は、
  集団内部にあっては、何よりも嫌われ、憎まれる「不道徳」な行為です。
  そして彼らが基本的なヒューマニズムとか個人の尊厳のようなものを憎悪するのも、
  これらが彼らの「ノリ」に背くものであるからに他なりません。
  彼らの価値基準はとてもシンプルなものです。
  いじめは、その時その状況にいるみんなが、
  気持ちよく「ノレる」限りにおいてはガンガンやるべき「良い」ことです。
  そして、その「ノリ」にうまく気持ちと体を同調させるのも、
  そのシチュエーションでは歓迎される「良い」ことです。(p.172)

もう、怖すぎる……。
でも、こういう感覚があるように思えるは、残念ながら事実。
しかし、これは、今、学校という場において、こどもたちの間でだけで発生しているわけではなく、
色んな時代に、色んな場所で、大人たちの間でも見られたことは、著者の述べているとおり。

  多大なリスクを背負い込んでまでいじめが起こることがほとんどないのとは対照的に、
  リスクの少ない環境であれば、いじめはやむことなく、
  どこまでもエスカレートします。(p.176)

だから、リスクを背負い込む状況を作れば、いじめは減るというのが著者の主張。

  学校改革を含む自由な社会の構想は、
  お互いの違いを許容するというところから始まります。
  「許容する」というのは、「攻撃しない」という一点においてであり、
  嫌なことを飲み込んで、無理に「仲良くする」ことではありません。
  むしろ仲良くしなくてよいからこそ、相手の存在を許せるのです。(p.213)

これも、私としては、同意したいところ。
ただ、p.221から示された、著者による「日本社会、希望の未来像」には、
ちょっと、ついていくことが出来なかった。
それは、そんな受入体制をどうやって作るのかといった、現実的な部分だけじゃなく……。





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Last updated  2008.08.09 17:13:14 コメントを書く
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