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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2009.04.14
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カテゴリ: 経済・ビジネス

 それどころか、多くの人は、かなり専門的で、難しいと感じるのでは?
 「エコノミストが読み解く日米の深層」という副題の方が、
 この本の実体を、より適切に正確に表現している。

 マクドナルド的ビジネス・モデル、即ち、アメリカ的ビッグ・ビジネスは、
 大きな興行収入を目標に掲げ、市場の最大公約数的な需要・好みを対象とする。
 ところが、これを繰り返すと、パターンのマンネリ化・標準化に陥ってしまう。
 マクドナルドのビジネスは成功したものの、米国に食文化の貧困をもたらした。

それに対し、日本のラーメン屋ビジネスは、最大公約数の需要(好み)よりも、

一軒ずつのビジネス規模(売り上げ)としては小さいが、
多様でユニーク、意外性や驚きのあるものが目白押しで、飽きることがない。

日本の場合、このような「ラーメン屋的供給構造」に適した
漫画、アニメ、ゲームソフト等の必要資本が小さい分野での、職人たちの健闘が光る。
昔から、日本という国は、異質な文化を大胆に取り込み、
そこから、意外性と面白さを創出することに長けていたのだ。

以上が、本著のタイトルにもなっている、
第1章「マックに頼るアメリカ人VS.ラーメンを極める日本人」の概略で、
経済的視点と文化的視点の双方から、日米を比較しているのが、何とも面白い。
私は、こういう切り口で日米を眺めた本には、これまであまり出会った記憶がない。

そして、第2章以降も、「希望を語る大統領VS.危機を語る総理大臣」

「ビルゲイツVS.黄金持ち父さん」、「一神教VS.アニミズム」と続いていき、
第1章同様の切り口で、日米の深層・実像をあぶり出そうとしている。

   ***

さて、私が本著の中で特に興味を持ったのは、
メディア、マスコミについて述べられた次の2箇所。


  世間の雰囲気を悲観的な方向に傾斜させているのだろうか?
  むしろ、メディアの側が
  日本人読者の強く反応しそうな用語を選んでいる結果に過ぎないのだろう。
  日米を問わず、一般にメディアは良いニュースよりも悪いニュースに紙面を割き、
  センセーショナルに報道する傾向がある。
  これはメディアの変更というよりも、良いニュースよりも悪いニュースに
  より敏感に反応する傾向が人間(読者、視聴者)にある結果だろう。(p.41)

それにしても、新聞を見てもテレビのニュースを見ても、
もちろん、インターネットのニュースを見ても、ネガティブな情報で溢れかえっており、
「この世の中、良いこと・嬉しいこと・楽しいことよりも、
悪いこと・悲しいこと・辛いことの方が、本当にこんなに多いのか?」と首を捻ってしまう。

  無謬信仰が御上の論理に過ぎないのであれば、様々な失敗、失策の結果、
  とっくに信仰は瓦解していただろう。
  ところが、政府や大企業の過ちを批判するマスコミや一般国民にも
  「御上(公共の責任を担うような大企業も含む)は本来無謬であるべきだ」という信仰があり、
  無謬信仰を根強いものにしている。
  日本のマスコミは、この信仰を僅かでも裏切る過ちを犯した権力・権威には
  容赦のないバッシングを浴びせることを自らの使命と考えているようだ。(中略)
  「安全」とは本来確率的に考えられるべき概念であり、
  絶対の安全ということはあり得ない。安全の精度を上げるには経済的なコストもかかる。
  要するに、コストとのバランスで
  どの程度の安全確率なら良しとするかの議論が必要なのである。
  にもかかわらず、完全100%の安全実現を前提として、
  そうでなければ「安心が崩壊する」と言いつのるのは、メディアの責任なのか、
  それとも国民的な不安神経症の産物なのか。(p.61)

現在の日本は、どんな分野においても、他者への期待度・依存度・要求度が、
これまでに見られなかったほど、異様に高い状態にあると言えるのではなかろうか。
これは、やはり国として、国民として、自立していない、大人になりきれていない、
いや、逆に、幼児化が進んでしまっているということなのだろうか。  





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Last updated  2009.04.14 23:30:46 コメントを書く


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