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Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2023.07.01
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カテゴリ: 社会・政治・時事
『サル化する世界』 で本著の存在を知り、読んでみました。
 著者は、文芸評論家の 加藤典弘さん

 本著は、ポイントポイントで「小見出し」としての要約文が掲げられ、
 そこから丁寧に説明がなされていく構成となっています。
 そして、この要約文を追っていくと、憲法9条誕生とマッカーサーとの関りが、
 想像以上に大きなものだったと気付かされるのです。

   ***


  当初、他の国はそれを認めませんでした(p.042)

  以後、日本占領の権限をめぐる、
  アメリカとその他の連合国の対立が深まっていきました(p.061)

日本の占領に当たっては、スタートからアメリカ優位の状況であったものの、
その特権的地位を、他国がいつまでも簡単に許してくれるはずもなく、
イギリス、ソ連、中華民国、オーストラリア等、
連合国間で、激しい綱引きが行われていくことになります。

そんな中、マッカーサーは連合国最高司令官として、
占領の最前線で、他の連合国だけでなく、アメリカ大統領府や国務省を相手に、
自分の思惑を実現すべく、憲法改正へと突き進んでいくのです。

  マッカーサーは戦争中から、


  加えて有力な大統領候補であるマッカーサーと、アメリカ本国の対立も激化します
  これら二つの対立の中で起こったのが、
  「密室での憲法草案の作成」という異常事態でした(p.065)

  1945年12月末から、突如、憲法改正がGHQの最重要課題に浮上します
  理由は同月27日に、翌年2月末に極東委員会の活動がスタートしたあとは、

  正式に決まったからでした(p.097)

敵国であった日本に自ら乗り込み、占領統治を行うことになったマッカーサーは、
日本にとって天皇がどのような存在であるかを、自らの肌で強く感じ取り、
統治に際し、それを利用しない手はないと考え始めます。

  昭和天皇の戦争責任は免れ得ないが、彼が戦争に反対していたことも事実である
  しかもその免罪の功利的価値は絶大だと、
  マッカーサーの軍事秘書フェラーズは考えていました(p.081)

  昭和天皇はマッカーサーの占領統治にとって、絶対に必要な存在でした
  しかし、その免罪のためには、
  きわめて高いハードルを超えなければなりませんでした(p.071)

  側近たちによる免罪工作は、「昭和天皇独白録」や「イギリス国王宛の新書」
  の作成など、さまざまな形で続いていきました(p.088)

そして、天皇免罪を確かなものとするための手段として「戦争放棄」を思いつき、
それを憲法に反映していくことになるのです。

  憲法9条という「戦争放棄条項」も、昭和天皇の免罪を
  各国(連合国諸国)に認めさせるためにつくられたものでした(p.075)

  「人間宣言」の成功を受けて、天皇免罪のための決定打として新たに構想されたのが、
  天皇から性j権力を奪い(第1条)、軍事力も放棄(第9条)する、
  新しい憲法の制定でした(p.91)

しかし、この憲法第9条は、世界に類を見ない特別なものでした。

  9条は、単なる戦争放棄の条項ではありません
  それは「軍事力を一切もたない」「日本だけが世界に先駆けて実行する」
  特別の戦争放棄なのです(p.131)

  同じ敗戦国であるドイツとイタリアの憲法にはあった
  「相互主義の原則」が、日本の憲法9条には存在しませんでした(p.159)

  「ただの戦争放棄」ではない、「特別の戦争放棄」の発案者は、
  まちがいなくマッカーサーでした。(p.149)

そして、マッカーサーが「特別の戦争放棄」を発案したのには、大きな理由がありました。
そして、日本側にも、それを進んで受け入れるだけの大きな理由があったのです。

  次期大統領選をも視野に入れた、マッカーサーの個人的野望が、
  強引な憲法草案の作成と、その「押しつけ」を生みました(p.135)

  かつての敵国に、理想主義的な「精神的リーダーシップ」を与えた偉大な指導者
  それこそが、大統領をめざすマッカーサーが求めた崇高な自己イメージでした(p.168)

  9条のもつ「特別な光輝」は、天皇が失った道義的な
  空白を埋めるものだったのではないでしょうか(p.175)

しかしながら、マッカーサーの「特別の戦争放棄」には、さらなる思惑があったようです。
ただし、それはマッカーサーが大統領になれなかったため、実現しませんでした。

  マッカーサーがアメリカ大統領になっていれば、
  「特別の戦争放棄」(マッカーサー・ノート)と
  「ただの戦争放棄」(ケーディス執筆の9条)は、
  国連の集団安全保障体制のもとに統合されていたはずです(p.174)

  9条は国連の集団安全保障体制、
  つまり国連軍を前提に書かれたものでした(p.175)

  「国連軍」というキーワードを加えてみると、
  9条のもつ「光輝」も「非現実性」も姿を消し、
  ただ現実的な国際的安全保障の理想形が浮かび上がってきます(p.279)

もし、マッカーサーが大統領になっていれば、
憲法9条は、違う意味を持つものになっていたのかもしれません。





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Last updated  2023.07.01 15:07:09 コメントを書く
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