全9件 (9件中 1-9件目)
1

JR 東日本の発表資料 山形新幹線 E8系車両故障の調査結果と対策及び今後の運転計画について を読んでみた。画像に「保護素子」として写っているのはポリスイッチの様に見える。この素子の定数を変更して対策したと書いてあった。「ポリスイッチ」は商標名で他には "Everfuse", "Resettable Fuse" と言った呼び方がある。ここではこういったデバイスの総称として「ポリスイッチ」を使う。ポリスイッチは難しい素子だと思っている。「スイッチ」「ヒューズ」という言葉が入るので「切れる」というイメージを持ちやすい。これらは Positive Temperature Coefficient(PTC) device に分類され、正の温度係数を持つ抵抗器と考えた方が良い。「切れない」のだ。定数は周囲の温度、風の当たり方で大きく変わる。室内でファンなどの送風機構が無いセットの中であれば定数変化範囲は見込みが付きやすい。新幹線の床下設置で外気・強風に曝される環境で使いこなせるのだろうか?というのが率直な感想だ。とは言っても自分はポンポンとお気軽に使っている。FG085 MiniDDSkit の波形を見てみる では電源 ON 時の突流防止素子として使った。身近にあるパソコンの USB VBUS 電流制限素子としても良く見られる。前置きが長くなってしまった。Everfuse (ポリスイッチ と同様な機能の部品) で少し遊んでみよう。先の画像に見られる 3 個並びの茶色い円盤形部品は Polytronics RLD60P110XF と思われる部品(ジャンク袋から収集した部品)だ。主な定数は Ihold=1.10A (保持電流), Itrip=2.20A (トリップ電流), Pd_typ=1.5W (気温 23℃、気流無しでのトリップ状態消費電力), Rmin=0.15Ω (半田付け前、最小抵抗値) となっている。詳細はデータシートを見て欲しい。Ihold から Itrip の間の電流を流したらどうなるのだろう? RLD60P110XF のデータシートから引用したグラフを見てみる。Time to Trip Curve は 40 秒以上の部分を示していない。グラフを外挿した先、あるいはデータシートの隙間を突いてみる。次の様に直流電源の出力に直接繋ぐ回路で実験する。室温は 30 ℃、部品に風は当てない(肌で風は感じない程度)。電源出力は CV={5.0V, 4.0V, 3.0V, 2.0V, 1.0V}, CC=約 1.5A とする。電源出力を直接素子で消費させる荒っぽい回路だ。それでも数10時間程度のトリップ継続時間、100回 程度のトリップ繰り返しでポリスイッチが著しく劣化したり壊れたりすることはない。下の画像はテスト作業の様子を撮影したところ。見切れてしまっている。トリップを負荷電圧・電流が定常状態になった時点とすると、トリップするまでの時間は次の様になった。CV >= 3.0V では概ね 155 秒でトリップする。CV=2.0V で 168 秒、CV=1.0V で 308 秒でトリップする。CV x CC を Pd_typ 1.5W に近くなるように調整するとトリップするまでの時間が延びる。後で示す動画を見るとこの現象を理解しやすい。トリップ現象の始まりから高い消費電力で短時間のうちにトリップ状態に到達するかどうかがトリップ時間を決めている。トリップ現象の始まりから完全にトリップする間、回路は止まるか、動き続けたとして不可逆的な変化が起きないように設計する必要がある。トリップ状態になったときの電圧・電流をプロットすると次の様になる。室温 30 ℃では概ね 電圧 x 電流 が 1.3W ~ 1.5W になる曲線の上に乗る。データシートにある Pd_typ に近い値になった。電源ラインにポリスイッチを入れた場合、トリップするとポリスイッチの後にある回路はこの様な電圧降下と電流が流れるどこかの状態で動くことになるか、動作を停止することになる。当然不可逆的な変化が起きないように設計する必要がある。ポリスイッチを使ったとして、壊れずに動作しない状態になることを作り込む必要がある。規模が大きいとか、扱う電力が大きいと結局は異常検出、ロックアウト回路、コントローラーのファームウエアを作ることになる。動的な挙動を見ていこう。動画を全て見ると 10 数分程度掛かる。どれか 1 つ選んで見るのが時短になると思う。CV=5.0V, CC=1.5A にしてトリップさせる。トリップ後に指でポリスイッチに触れて、息を吹きつける。続くの動画も、トリップ後に同様に触れて、息を吹き付けている。CV=5.0V, CC=1.5A, Ta=30℃, 動画サイズ=11.7Mibyte(動画再生時刻 1:24, 実験経過時刻 2:43) 手で触れると直ちにポリスイッチは反応し、トリップ電流が 0.3A から 0.5A に上昇する。(動画再生時刻 1:43, 実験経過時刻 3:03) 息を吹き付けると直ちに トリップ電流が 0.3A から 0.5A に上昇する。センサーと同様に反応が良い。CV=4.0V, CC=1.5A, Ta=30℃, 動画サイズ=8.68Mibyte(動画再生時刻 1:14, 実験経過時刻 3:12) 手で触れると直ちにポリスイッチは反応し、トリップ電流が 0.38A から 0.7A に上昇する。(動画再生時刻 1:25, 実験経過時刻 3:24) 息を吹き付けると直ちに トリップ電流が 0.38A から 0.7A に上昇する。CV=3.0V, CC=1.5A, Ta=30℃, 動画サイズ=8.90Mibyte(動画再生時刻 1:02, 実験経過時刻 2:51) 手で触れると直ちにポリスイッチは反応し、トリップ電流が 0.48A から 1.0A に上昇する。(動画再生時刻 1:21, 実験経過時刻 3:10) 息を吹き付けると直ちに トリップ電流が 0.5A から 0.8A に上昇する。CV=2.0V, CC=1.5A, Ta=30℃, 動画サイズ=11.7Mibyte(動画再生時刻 1:20, 実験経過時刻 3:14) 手で触れると直ちにポリスイッチは反応し、トリップ電流が 0.72A から 1.5A に上昇する(CC モードへ戻る)。(動画再生時刻 1:49, 実験経過時刻 3:44) 息を吹き付けると直ちに トリップ電流が 0.72A から 1.13A に上昇する。CV=1.0V, CC=1.5A, Ta=30℃, 動画サイズ=15.8Mibyte(動画再生時刻 0:40, 実験経過時刻 4:46) ゆっくりと CC mode から CV mode へ遷移、(動画再生時刻 0:57, 実験経過時刻 5:05) ほぼトリップ状態になり (動画再生時刻 2:05, 実験経過時刻 13:57) までの間、電流が 1.3A 前後で変動を続けることを観測。(動画再生時刻 2:05, 実験経過時刻 13:57) 息を吹き付けると直ちに トリップ電流が 1.3A から 1.5A に上昇する(CC mode へ復帰)。いずれかの動画を見ればトリップ条件・状態が周囲の状況で大きく変化することが分かる。電車の補助電源装置の状況を考えると、走行中の外気変化、風量変化、負荷変動、周囲部品の発熱変化で中途なトリップ寸前状態を彷徨う可能性がある。ポリスイッチの使いにくさに対して半導体を使ったローサイド(GND 側)/ハイサイド(正電源側) スイッチに Over Voltage Protection (OVP), Over Current Protection (OCP),Over Temperature Protection (OTP), Reverse Voltage Protection (RVP) を備えたデバイスが多数出ている。バンドギャップリファレンスを使い周囲温度に対する定数変化は小さく作られている。これらのデバイスの中には I2C で設定変更できたり、状態取得したり、異常割り込みを発する機能を持つものもある。パソコン・スマホで標準装備になりつつある USB Type-C Power Delivery に対応しようとした場合、動的な設定変更は必須だ。新幹線の補助電源装置の保護にポリスイッチを使う理由が有ったのだろうか?「単純な物理現象・原理で保護する必要がある」という昭和な設計基準?昭和だったら次の様なバイメタルを使ったサーキット・ブレーカーを使ったのかも。これは自動復帰しない。手で赤いレバーを押して復帰する必要がある。それで良かったのかもしれない。補助電源装置の中でポリスイッチをどのように使っていたか、発表資料で詳しく書かれていない。まさか 日記 「ノートパソコン向け? AC アダプタ SQ2N80W19P-00 が毛布の中で過熱状態になり故障」 に示した次の回路と同様な考えでゲート抵抗として使っていたのだろうか?さらに難度の高い使い方だと思う。ゲート抵抗が上がると FET の消費電力が上がる。保護したつもりがより激しい現象を伴う故障になる。パンと破裂する、発煙するなどだ。電車全体の設計目標として、「自動復旧する」あるいは「自動切り替え」というのが妥当な設計なのだろうかと思う。トンネル内・橋梁上など続く避難・救護に困難が生じない場所であれば「止まれる」のが列車だ。問題を確認、処置、運転再開(打ち切り決定)を止めた状態で出来る。
2025.07.30
コメント(0)

タップ切り替え回路シミュレーションの続き。交換した部品を見ていく。一部は再掲となる。この日記に取り上げた部品以外にも劣化が見られたり、予防措置が必要な箇所がある。回路変更が必要だと考えているので、壊れたり動作に問題を感じる様になったら対応しようと考えている。■ ヒューズを定格に戻す中古品を買ったときに 10A のヒューズが入っていた。これを定格の 2.5A に戻す。ヒューズ定格を戻した後、何回か使っている。ヒューズが飛ぶことは無い。器機内部にスパーク痕などは見当たらず、ヒューズが交換された背景を推測することはできなかった。■ AC コード交換上の画像にある様にブッシングから出たすぐの辺りの AC コードに損傷が見られた。AC コード全体の痛みはコード表面を撫でても分からない場合が有るので交換することにした。ケーブルチューブの被り位置はもう少しだけ要調整かもしれない。■ 整流と逆電圧バイパスダイオード逆電圧バイパスダイオードを先に見る。逆電圧バイパスダイオードは出力端子側から、正負を逆にした電圧を加えられたときにバイパスするダイオードだ。出力端子付近のラグ端子に実装されている。ガラスパッケージの東芝製 G3D (VRRM=200V, IF=3.0A)と思われる。カソード側のリード線が折れていた。熱か振動が繰り返し掛かって折れたのか、そもそもリード線加工時に傷が入っていて、実装時の引っ張りか押し込みの力で徐々に折れたか。パッケージ表面の端子付近にも割れが見られる。ガラスパッケージだから高信頼性だと思っていたら、意外にも折れる、割れる問題が有るようだ。ER504 (VRRM=400V, IF=5.0A) に交換した。リード線を延長して巻きを作ったのは力の分散になるだろうか?整流ダイオードもガラスパッケージに割れが見られた。交換することにした。こちらも東芝製 G3D だと思われる。足を伸ばした状態で実装したのが良くなかったのだろうか?新電元 S10VB6026 (代表名 S10VB60, VRRM=600V, IF=10A) に交換した。元の基板は放熱板として仕立て直す。平滑コンデンサ放電抵抗 4.7kΩ は手持ちの部品の都合で 2.7kΩ を 2 個直列とした。定数に厳しい範囲制限はないと考えている。■ 平滑コンデンサ3300uF 50V x 2 を使った平滑コンデンサを交換した。予防交換になる。取り外して 2 個並列のまま測ってみる。約 7600uF だった。十分機能している様に見える。漏れ電流により、大きめの値になっている可能性もある?今の 3300uF 50V のコンデンサは基板取り付け型だ。基板に実装して、通気口にネジ止めする。通気口に触れない様にスペーサーで隙間を作っている(画像だと底面に着きそうに見えている)。そのうちプラスチックネジは金属ネジにするかもしれない。■ クラックがある抵抗などクラックが有る抵抗が見つかっている。今のところ様子見をしている。パイロットランプ減光抵抗にクラックが有る。この抵抗器は 40Ω と 60Ω を複合した抵抗器だ。パイロットランプは LED 化を考えている。気に入った色、導光機構を思いつき目処が付いたら抵抗を削除、ヒーター巻き線を休止、電源を制御基板から取るつもりだ。電流検出抵抗も CC 制御回路の日記でクラックがあると考えている。2 個あるパワートランジスタの片側だけ電流検出している。これを両側検出する様に回路変更が必要だと考えている。タップ切り替え回路の 2SA1015-Y Vebo 定格越え(リンク先は問題に気づいた日記)は悩ましい。単純に B-E 間にバイパスダイオード(ツエナーダイオードのつもり)を入れると電圧計・電流計が僅かに振れる。手持ちで Vebo が大きい 2SA1309A, 2SA1310S に置き換えるか。再塗装とかオシャレなことは苦手なんだよな...概要簡略化回路図調査動作選択スイッチ制御基板上の回路ブロックシミュレーションMetronix 524B リファレンス電圧、内部 12V 生成回路CV 制御回路CC 制御回路タップ切り替え回路修繕部品交換(この日記)その他AC ライン露出箇所簡略化回路図訂正 +S, -S ライン周り簡略化回路図訂正 CV 制御回路周り
2025.07.25
コメント(0)

秋月電子八潮店の 2025年 夏期休業は 8/11(月)~8/20(水) になっている。丁度お盆休みに休業になるのはいつものこと。2 週間前(7/6) 撮影を今時に日記にする遅さ... 様子は変わっているかも知れない。正面ワゴンは 298,000円のロジックアナライザー 140Mbit, 70ch, Sampling 1GHzmax, BW 200MHz LAP-B(702000X)がお出迎え。ワゴンセールという値段では無い様な。手前の 2N5884 は PNP トランジスタだ。買ってもすぐに使いどころが有るかというと...大きな箱は大型スピーカーだったと記憶している。2,000円、大きさからしてウーファーかなぁ。仕様は良く確認せず。何だな、見た目が音に影響するってこう言うことか。秋月電子でも金属ケースがガレージセールになっていた。極端な値引きはされていない。下に有る 100W 5V20A の DC-DC コンバーター DHS100B05-T は恐らく DC282V 入力(200V 3相交流整流か単相 3 線 L1-L2 を整流)を想定している。手が出ないか...ガレージ台に置いてあったプラスチックネジはお手軽仮組みに便利すると思う。自分は本組みでも使っている。プラネジだと当たっても傷付けないし、何なら足代わりにもなってしまう。手前の PNP トランジスタ 2SB1185 のコンプリメンタリー相手 2SD1762 は持っていた気がする。手荒い実験で使い果たしてしまったな... 今時相手が現れるなんて。一番上の棚の真ん中に写っている黒い箱は PIC32 starter だろうか?ひっそりと Hakko ステーションはんだごての箱も見えているような。N channel JFET MMBF4117 は gm(gfs) の低さから FET で使うていうよりは、漏れ電流の低さから過電圧プロテクタとして使う方が用途が有るだろうか?真空管なら 100umoh (uS) 程度でもプレート電圧を高くできて、プレート負荷抵抗も 100kΩ~ にできるのでそれ程困らない(とは言っても高インピーダンスでなかなか電力を出せないのに悩む)。多分流れはゆっくりなはず、無くなっていたら遅い日記で申し訳無い。
2025.07.22
コメント(0)

Aliexpress で VISHAY SPECTROL 534 potentiometer (多回転可変抵抗器) を買う。前の日記で BOURNS 3590S の様な部品と別のセラーから同時に買った部品だ。これは多分偽物だと考えている。SPECTROL の本物は持っていない。正規品を扱っているサイトと見比べての判断だ。偽物だと思い始めた切っ掛けは、CW-CCW 間が open になっていたことだった。CW-Wiper 間は可変抵抗の最大値 2kΩ に対して間の抵抗値 1.296kΩ を示す。半田付けをした後に気づく。半田付けでプラスチックでできたケースが溶けてダレてしまった。溶けるなんて昭和の頃の菅ヒューズホルダー、ケース取り付けネオンランプ? 今時だとオーディオプラグ類だろうか?もう一つ、フラックスが端子から内部に染みこんで接触箇所を絶縁してしまった可能性も考えた。そうだとしたら扱いづらい。何も染み込み対策が無く、耐熱性が低いプラスチック・ケースなのも偽物っぽい作りだと思う。正規品を扱っている大手通販サイトにある画像と比べてみる。Digikey US、Digikey JP、RS、Mouser JP、VISHAY。これらとくべると次の様な違いが有った。抵抗が丸まった波で描かれている摺動子が + で描かれている大文字の O が縦長になっている大文字 C の開きが狭い文字の太さが細い大文字 K の下ひげ(右下に伸びる線)が縦線から直接出ているLIN と±.25% の文字間隔がプロポーショナル金属製のハウジング兼クリップの蓋部分がプラスチックケースと寸法が合っていなく、隙間ができている(恐らく板打ち抜き寸法が曲げを考慮していない、曲げプレス金型の作りが悪い、圧力・速度の調整が悪い)。この寸法狂いが偽物だと強く思う理由ブランド捺印部分型名仕様捺印部分全体をまとめているクリップは小型マイナスドライバでこじれば簡単に外れる。内部は全体的に濡れる程度にグリスが行き渡っていた。摺動子端子に接着、樹脂流し込み、ゴムなどによる封止は無かった。折曲げのような機械的封止もない。うーん、フラックスが染みこんで半田付け不良になりやすそうだ(封止が無いのは偽物故なのだと思う)。上画像の右側に写るヘリカルポット(螺旋巻き線胴)を見ていく。端子部分から巻き線の間は「半田付け端子」、「巻き線接触片」、「巻き線」という構成になっていた。それぞれの間に接触部分がある。「半田付け端子」と「巻き線接触片」の間が open、「巻き線接触片」と「巻き線」の間が導通していた。ということは「半田付け端子」が外れるのだろうか。CCW 側は半田付けの熱でプラスチックのハウジング(ケース)が溶けてしまった跡が残る。「半田付け端子」を外してみる。「巻き線接触片」側に半田、フラックス、溶けたプラスチックの付着は無かった。熱で目視できない程度の酸化膜が真鍮表面上にできた可能性は有るかもしれない。そうだとしたら、偽物故に材質の選択に問題があると思う。CCW 側の「巻き線接触片」を見てみる。「半田付け端子」と導通する 2 つの接触片のうち片方が潰されていた。色からして錆が付いている様に見える。もう片方は普通に残っている。潰された接触片の影響で非接触状態になっていた可能性が高い。CW 側の「巻き線接触片」に目立つ変形はない。CW 側は導通、CCW 側は open なので、CCW 側の接触片が製造時に潰れて問題が起きた可能性が高い。半田付けで潰れるような力が掛かるとは思えない。分解は引き抜くだけだった。押し込むような潰れは起きないはず。似た形の何かになっていれば良く、機能するかどうか分からないものを作っているのか。
2025.07.22
コメント(0)

Metronix 524B CC 制御回路のつづき、簡略化回路図のタップ切り替え回路部分を次の様に修正する。タップ切り替え回路部分のシミュレーションをしていたら気づいた。この日記にあるLTSpice 回路をダウンロードできる様に用意した。トランスタップを出力電圧に応じて切り替える回路を見ていく。タップ切り替え回路は出力電圧 V2 に応じてトランスのタップを切り替えるリレー {Rtapry, Ltapty} を駆動する回路だ。シミュレーション回路にはリレーのアーマチュア {Larm, Carm, Rarm} を簡易に組み込んである。簡易なので遅延動作、可動鉄片の着脱による Ltapry の 動的変化は組み込んでいない。Tap change circuit, METRONIX model 524B (PDF)タップ切り替え回路の電源は出力端子の PLUS Terminal を GND level とする。V1 によって供給される負電源で動作する。-16V としたのは交流電源が 85V ~ 90V くらいの低い電圧の場合を想定している。実際は安定化無しの -21V ~ -23V 程度になる。ツエナーダイオード D2 によって -6.8V を生成している部分は他の回路と共用している。ここでは単独で使っている。シミュレーション波形を見る前に主役のリレーを見ていく。松下の AP39281 が使われていた。データシートは見つからない。廃番だと思う。形状と回路電圧から制御盤用途の DC24V リレーのカバーをネジ止め式 (Case-surface mounting) にしたものだと思われる。取り付けネジ穴の間隔が約 38mm になっている。現行の互換品で探すとOMRON LY2F-DC24 (digikey)が良く一致している。コイル定格 DC24V なのに駆動電圧源は -21V ~ -23V になっている。リレーの応答時間を遅くして良ければ定格電圧の 80% 程度で駆動することを許容している。これは意図的だと考えている。タップ切り替え回路も応答時間は遅くとも良いから、勢いよく接点を動かさない設計をしたと思える所がある。「リレーの音が大人しいなぁ」と思える理由かもしれない。次の画像をクリックするとリレーの動きを撮った 2.78Mbyte の動画をダウンロードして再生する。おおよそ出力電圧が 8.47V に上がるとタップアップ、8.18V に下がるとタップダウンする。シミュレーションでは 8.5V 辺りを中心としてタップアップ・ダウンする様にしてある。回路に戻る。CV amp, CC amp と違い差動増幅は使わず Q2 の Vb, Ve で閾電圧比較している。温度変化は許容している。{R5, R7} によってタップアップ・ダウンの電圧にヒステリシスを付与している。僅かな出力変動でリレーがカチカチと忙しく動かない様にしている。悩ましいのは C1 だ。普通のリレー駆動回路は逆起電力バイパス(あるはフリーホイールと呼んでいる)ダイオード D1 だけ入るのが普通だ。C1 の意図は次の様に考えている。アーマチュアをゆっくり動かし、加減速に伴う振動発生を少なくし、接点跳ね返りによるノイズを減らすアーマチュアが振動することでリレーコイルに発生する振動電流・電圧を抑制するD1 で吸収しきれない逆起電力を吸収する次の様な懸念もある。リレー接点が閉じる寸前と僅かに開きはじめる状態の時間が長く、放電が生じやすい?トランジスタ Q1 が ON に遷移するところで Ic Peak 電流値が定格越えする可能性があるD1 で吸収していてもコイル電流が Off に遷移するときは電解コンデンサの極性とは逆の電圧が掛かる(1V 未満なら許容判断かも)波形を見ていく。C1 を放電するとき(Q1 が ON になるとき) Q1 コレクタ電流が 205mA ほどになっている。C1 の ESR を 1.2Ω にしてあり、制限が掛かる様にしてある。現実的な値のはず。Waves Tap change relay circuit, METRONIX model 524B (PDF)瞬間的なピークは 524B で使ってる 2SC1815GR の Ic max 定格 150mA を越える(2SC1815 はピーク定格を規定していない)。シミュレーションだと Ic が大きい領域(2SC1815GR だと Ic >= 30mA)で hFE が低下する現象が現実より出にくいので、物理現象は定格内かもしれない。タップ切り替え回路部分を接写したのが下の画像だ。あっ、シミュレーション回路に入れなかった 10nF のコンデンサがあった。画像を確認していたら気づいた。上の画像に写る 10nF のコンデンサはシミュレーション回路の Q2 ベース (Vin) と GND の間に入っている。このコンデンサもリレーに C1 を並列に入れた故の更なる追加だろうか? C1 があるのでQ1 が ON に遷移しても約 2.7ms の間は Q1 コレクタの電圧が下がり切らない。リレーから出るノイズ除去?Vin の電圧に Q2 の Vebo 定格越えが見られる。Q2 に充てられているのは 2SA1015GR だ。このトランジスタの Vebo は -5V だ。Q2 エミッタは -6.8V、出力電圧が 0V の場合、Vin は約 -250mV になる。従って Q2 Veb は -6.55V (有効桁丸めで -6.6V)になる。定格越えだ。乾電池 1 個の代わりに 1.5V 以下の出力で使い続けない限り故障に至らないので気づかない?あるいは故障してリレーが動かなくなっても、タップ切り替え無しで負荷電流が 100mA 程度であれば、設定電圧 18V で出力は下がることは無い。昭和の時代、1.5V 乾電池 1 個で動く身近な電子器機は液晶電卓、時計、LMF501(TDA7642)イヤホンラジオ(昭和の頃は IC ラジオと言っていた) くらいだったか。そう言えばメッキ用途に改造されたと思われる Metronix 521C を見たなぁ。これは出力電圧が 0 ~ 3V にされていた。こちらはタップ切り替えが無いので 524B の様な問題は起きなかったはず。タップ切り替え波形を見ていく。タップアップ(コイル電流を流す)は出力 8.68V、タップダウン(コイル電流を止める)は 8.42V 付近で発生している。差が 264mV だ。シミュレーションだとヒステリシスが実際より小さい。200mV もあれば操作感は悪く無いはず。カチカチとタップ切り替えが気になるようだったら、R7 680kΩ を小さくするか、R5 10kΩ を大きくするか。Waves at changing Tap, METRONIX model 524B (PDF)C1 の効果はタップダウン時に大きい。30ms ほど掛けてリレーコイル電圧が 0V に落ちている。コンデンサ 1 個(さらに Q2 ベースにもう 1 個)ではアップ・ダウンとも効果を出せなかったか。設計意図を取り違えている恐れはありつつも、コンパレータで作り直してみる。LM393 を想定して LT1017 を使う。Tap change circuit using comparator, METRONIX model 524B (PDF)ヒステリシス・コンパレータ (直上の回路にて) U1、リレー駆動電圧に傾き変化を付けるスロープ生成 U2、リレー駆動・電圧制限 Q2, Q1、3 つの部分を作る。基準電圧源 Vinvvref は CV amp, CC amp で使った Vref 6.1V を反転する。入手性が良い基板取り付け型 DC12V リレーを使い、フリーホイール・ダイオードをリレーに近接して配置できる様にする。こうすればコイル電流 off 時に器機内配線で放出されるパルス的な電磁波を減らせる。接点にスナバも並列できるだろう。接点放電がどのように変わるかという心配もある。Tap Change Level 抵抗 R3, R4 は {固定抵抗器 5.6kΩ、半固定抵抗器 5kΩ、固定抵抗器 1.5kΩ} で構成する。半固定抵抗器の調整位置は真ん中よりずれる。許容しよう。全体的な波形を見てみる。Waves Tap change circuit using comparators, METRONIX model 524B (PDF)LM393 なので Vin 電圧は 0V(LM393 の V+) ~ Vee の範囲にあれば大丈夫(LM393 の入力部分にあるトランジスタは何かの保護があるのか、丈夫に作ってあるのか)。524B の Vee は -21V ~ -23V 程度なので定格だ。ダイオードを入れればより安全だろう。リレー電圧 Vry は -11.7V になった。温度を -10℃ ~ 80℃ の範囲で振ってみて -10V ~ -12V に収まっている。おおよそ自分が使いそうな環境でリレーは動く。タップアップ・ダウンの閾電圧にヒステリシスがあって使いやすそうか確かめてみる。出力 8.68V でタップアップ、8.39V でタップダウン、差は 287mV となる。元の動作と比べて違和感は無いだろう。Waves at Tap-Up and Tap-Down, Tap change circuit using comparators, METRONIX model 524B (PDF)リレー電圧 Vry の変化を確認する。タップアップ時は 43.0ms で 0V → -11.7V に変化していた。タップダウン時は 42.8ms で変化している。タップダウン時の電流変化は 12mA ~ 0mA の変化で急な所が残っている。12mA 程度なら許容しよう。D1 で十分に吸収できる。アーマチュアを勢いよく放すことも無いと考えている。Relay voltage wave, Tap change circuit using comparators, METRONIX model 524B (PDF)トランジスタ 2 個の回路なのにコンパレータで作り直すのに手間取ってしまった。出力電圧を 1.5V 以下で長時間使う事は今のところ無さそう。ダイオードの I-V 特性調査で使用機会は有るか。故障の可能性があることに留意しよう。タップ切り替え回路をフォト・リレーと 1 chip マイコンで作るのが今時なのかもしれない。せっかくの完全アナログ電源だ。壊れてリニューアルするとして、意地でもクロック源、PWM の様なスイッチングをする回路は入れないつもりだ。フォト・リレーを使う場合、駆動するシーケンサはアナログで作ろうと考えている。次の日記 部品交換概要簡略化回路図調査動作選択スイッチ制御基板上の回路ブロックシミュレーションMetronix 524B リファレンス電圧、内部 12V 生成回路CV 制御回路CC 制御回路タップ切り替え回路(この日記)修繕部品交換その他AC ライン露出箇所簡略化回路図訂正 +S, -S ライン周り簡略化回路図訂正 CV 制御回路周り
2025.07.18
コメント(0)

Metronix 524B CV 制御回路のつづき、Metronix 524B Constant Current 制御回路を見ていく。この日記にあるLTSpice 回路をダウンロードできる様に用意した。LTSpice でシミュレーションをする場合、Integration Method を modified trap に設定して欲しい。計算で発生する発振を抑制できる。Constant Current amp with dummy output stage, METRONIX model 524B (PDF)シミュレーション回路は Constant Current (CC) Amp だけ含んでいる。Constant Voltage (CV) Amp は含んでいないので、出力電圧は非安定である。PLUS.T, MINUS.T 出力端子に流れる電流を変えれば CC 条件を満たしていなくても出力電圧が変わる。CC 条件を満たすと急に出力電圧が 0V に近づく様になっている。負荷は定電流源と 2N3055 で作った可変電流負荷にした。シミュレーション計算が物理現象に近くなることを期待している。CV Amp との接続点は Q4 のベース になっている。R7 4.7kΩ は CV Amp と CC Amp で共用になっている。ここでは CC Amp 回路部品として配置する。CC Amp は +Sense (+S) 端子と独立した Red とラベルが付いた共通電位線がある。これは Vccsense, Vccset の電位基準になっている。普通の使い方では +S 線と同じく PLUS.T 線に繋がる(注: 実際の回路は動作選択スイッチが入っている)。Red 線もほぼ GND 電位である。Vccsense, Vccset とも GND から見て約 1.0V が最大電圧になっている。扱いやすい電圧になる様に設計されている。R5, R2 で電流検出抵抗 R1 に発生した電圧を分圧し、R3, R8, R4 で構成した CONSTANT Current 設定ボリュームで作った電圧と差動増幅 Q1, Q2 で比較し電流制限する。R5, R2 は基板上の 200Ωの半固定抵抗器で設定可能な最大電流を決めている。R8, R4 は正面にある CURRENT と書かれた ツマミ付き 500Ωの可変抵抗と 22 Ωで構成されている。524B の出力トランジスタは 2 個使われている。そのうち片方の電流だけ CC Amp で検出する様に作られている。シミュレーション回路も実際の作りに近い。トランジスタは同じヒートシンクに取り付けられ、熱結合は良く、電流バランスが得られていると思われる。電流検出抵抗もバランスを得るために特注品で作られたと考えている。3 端子の抵抗だ。中央が共通端子、中央と両端の間が 0.8Ω の抵抗器だ。製造時に同じ材料使い、動作時は熱的結合により、温度による抵抗変化が同じになる様に狙っていると思われる。片方の出力トランジスタを通る電流だけ検出する方式が可能になる構造だ。特注品(もっと言えば工芸品)なので保守に難が出てきている。抵抗表面にクラックと思われる傷が見つかっている。単に (0.33Ω + 0.47Ω = 0.8Ω) x 2 として代替することを考えていた。回路を調べた結果、熱結合した 0.8Ω x 2 を作る必要がありそうだ。あるいは両トランジスタの電流を合算する回路を設ける。CC Amp は Q1, Q2 の差動増幅回路になっている。CV Amp 程に増幅率は稼がない回路だ。CC 制御が始まると Q1 が温まりはじめるはずだ。電流制限値が下がる方向に変動するので安全側に倒していると思われる。調整はすこし難を感じるかもしれない。524B は CV | CC どちらで動いているかをメーター Rccmt で示す。メーターは CC 優勢の時に Q4 のベース電位を下げるため電流を引き込む回路の途中に入っている。電流が流れればメーターが振れる。メーターなので CV | CC の優勢度合いを連続的にみることができる。出力端子を短絡するとメーターが振り切れ小さくカチッと鳴るので「あっ」と気づける。興味深く使い勝手が良い。後継機では LED に置き換えられてしまった。R11 220kΩ は CC 動作開始・終了の電流値にヒステリシスを設けるために回路に入っていると考えている。C2 を削除した状態でシミュレーションすると、CC 動作開始時に Current Load として機能している Q5 コレクタの電流が僅かに下がる。CC 終了は CC 動作開始より約 5mA ほど低い電流値が閾値になっている。CC 動作時に発振しない様にする工夫だろう。動作波形を見ていく。Waves running Constant Current amp with dummy output stage, METRONIX model 524B (PDF)Ic(Q5) が負荷電流である。おおよその設計目標 1.0A で Constant Current になる様に動作している。CC 開始の電流値にピークがあるのは C2 220uF があるためだ。電荷が抜けきるまでは制御が効かない。Vccampout が 0.0s ~ 0.5s, 1.5s ~ 2.5s, 3.5s ~ 4.0s で M の字を描く様に変化しているのは、負荷電流が 0A に近づくと Q4 (その先の Q3) のベースに電流が多く流れる状態が見えている。次の様な回路で実験できると思う。Experiment output stage current, output stage, METRONIX model 524B (PDF)CV Amp を実装していないので目立つ。一見奇妙だ。R1 に流れる電流が減り、ベース電流の抑制が無くなる現象が起きている(いわゆるエミッタ帰還抵抗の効果)。Waves experimental output stage current, output stage, METRONIX model 524B (PDF)差動増幅部で増幅率を稼いでいないので CC 開始・終了前後の Vccampout, Ic(Q1) 変化は緩やかになっている。メーター Rccmt の振れが CV | CC の中間状態になる条件を作りやすい。オペアンプで CC Amp を構成した回路を作ってみる。CV Amp と同様に LT1013 は LM324 のつもりで使っている。Constant Current amp using opamp, METRONIX model 524B (PDF)Vcc, Vee は +12V, -12V に変更する。Vee の方は 524B に倣って -5V ~ -8V の方が良いのかもしれない。CV Amp の方で Veb 定格を守るためにわざわざダイオード D2 を入れるより、Vee 電圧を変える方針も有りだろう。メーター Rccmt の逆流素子ダイオード D1 はバイパス抵抗 R10 込みで逆流阻止する。D2, R7 は CV 側と結合するならば回路変更だろう。C1 は恐らく可変抵抗の摺動ノイズを取り除く目的で入っているので増しておいた。オペアンプ化した回路を動かしてみる。Waves Constant Current amp using opamp, METRONIX model 524B (PDF)CV/CC の変わり目が急峻になった。LED で CV | CC をするほうが良くなりそうだ。メーターで中間状態を指すことはほぼ無い。メーターが動くうちは無理に LED 化しなくても良いと思う。電流検出抵抗を特注で作り、2 個の出力トランジスタのバランスを得つつ電流検出回路は片側のみする工夫をしている。ヒステリシス、低ゲインの差動増幅、差動増幅回りの温度に対する変化は CC 設定に対して変動、緩慢なフィードバックを許容している。精度、変動、制御応答、コスト、それぞりの折り合いが難しかったか途中で方針変更があったか。次の日記 トランスタップ切り替え回路概要簡略化回路図調査動作選択スイッチ制御基板上の回路ブロックシミュレーションMetronix 524B リファレンス電圧、内部 12V 生成回路CV 制御回路CC 制御回路(この日記)タップ切り替え回路修繕部品交換その他AC ライン露出箇所簡略化回路図訂正 +S, -S ライン周り簡略化回路図訂正 CV 制御回路周り
2025.07.10
コメント(0)

7/5(土) 千葉県道 51 号線で交通事故が有った(リンク先はニュース記事なので消えるかもしれない)高塚幼稚園入り口付近 Google map リンク。前に日記に書いた事故の近くで起きた事故だ。この場所は道路拡幅のための詳細設計測量が始まったばかりだと思われる。ピンクリボンが掛けられている場所がある。工事が始まるのは 5 年くらい先だろうか。
2025.07.06
コメント(0)

AliExpress で売っている電子部品の偽物で名物と言えるのが半導体とヘリカル・ポテンショメーター(多回転可変抵抗器)だろうか?高級オーディオパーツ真空管、コンデンサ、抵抗も偽物が多いかな。オーディオ系は簡単に作れる範囲だけ触っているので詳しくない。試しにヘリカル・ポテンショメーターを買ってみた。AliExpress 商品写真には BOURNS ロゴはマーキングされていなく、中国メーカー名がマーキングされていた。届いたのは BOURNS ロゴが入っていた。いわゆる 3590S の様な物である。AliExpress の商品画像は「Photoshop で弄った似たような何か、または、全く別物」というお約束通りだった。偽物の違いと問題を並べてみる。外観が色々と違う端子が固定されていなく動く軸回転途中でクリック感の様な引っかかりがある摺動子が離れたと思われるノイズが発生する外観から見ていく、偽物はマーキングが色々と違う。気づきやすい違いを見ていく。文字間隔がプロポーショナル(本物はモノスペース)始点・終点のレーザー強度調整が甘いのか環を作る文字にスポットが付く(本物はスポットが無い)'0' 文字の両側に丸みが付いている(本物はかなり直線的)'9' 文字の下側が丸まっている(本物は直線)他の AliExpress の商品画像はここで見られる偽物特徴の一部だけ合致している場合もある。外殻(シェル)・金属部品も違いが大きい。偽物の違いは、軸側外殻が青色である(本物は灰色)軸を通している首部分がアルミニウムダイカスト?鋳物を旋盤加工したか、粉末冶金で成型したか(本物はメッキ仕上になっている)軸側外殻と底面側外殻のゲートスポット(プラスチック成形で樹脂を流し込む流路部分、ヘソの緒のような構造でランナーから切り離す部分)が並んで見える(本物は並ばず、軸側外殻のゲートスポットは端子側に見られる)外殻胴部分にある凹みに付けられた金型番号?の位置が違う。(偽物は軸が正面だとすると右手側、本物は左手側)色が違うのでマーキングより見分けが付きやすい。端子部分を見ていく。半田付けをして電気的特徴を調べた後で画像撮影したので、分かりにくくて申し訳ない(高いので買い直すのは...)。偽物の違いは、1 番(CCW)端子, 3 番(CW)端子付け根部分が樹脂固定されていない(本物は樹脂固定)端子付け根部分に窪みが無い(本物は樹脂受けの様な窪みがある)恐らく端子根元付近の作り方が、摺動子と巻き線が安定して接触しているのかどうかに関係していると思われる。他に気づく違いを見ていく(事情を言えば別撮影になってしまった)。軸先端の切断面が粗い(本物は平坦な切断面)3 番端子(CW 側端子)に○刻印が無い(本物はある)軸先端部端子刻印外観の違いだけで、機械的・電気的に問題が無ければ良いと思っていた。期待できないことが分かった。軸を回転すると、2 番(摺動子)端子が動く個体があった。この時点で残りがいくつあっても品質評価を打ち切るのが普通だろう。あっ、下請法だと全数検査(ロット抜き打ち検査)して不良品(ロット)だけ返却処置だっけ?小さな端子なので動画で分かりにくいかもしれない。下の画像をクリックすると約 3Mbyte ダウンロードをした後、再生が始まる。接着剤か充填剤で固定すれば何とかなるのかな... 揮発した成分が中を侵す場合も有るので安易に固定処理すると余計にダメになるかも。2 個買った。もう1個は端子が動くことはなかった。代わりに軸を回すと引っかかり(クリック感)があった。引っかかりは電気的な問題と関係しているのだろうか?UTC M2073 (NJM2073 あるいは TDA2822 系) を使ったオーディオアンプを組み立てて、摺動子の接触状態を聞いてみることにした。部品はジャンク箱にあったものから拾っている。定格の拘りはない。ほぼ M2073 の BTL 出力応用回路通りで作る。R2 を 330kΩ にして抵抗値が高い可変抵抗器でも対応できる様にした。BTL 出力オフセットズレは 10mV ~ 20mV 程度だったので気になる程度ではなかった。C4 は指定 10uF のところ 330nF のマイラーコンデンサを使う。漏れ電流の小ささを重視している。次は基板画像、1 石アンプを入力部に追加したりする試行錯誤をして止めたため、上記回路図にない部品が載っている。実験をしながら作ったので途中画像とも少し違う。摺動子が抵抗巻き線を擦る音だけするのが理想だ。偽物を試してみる。下の画像をクリックすると約 13Mbyte ダウンロードの後、再生が始まる。偽物 (2kΩ)カリッと引っ掻く様な音がする。良く聞いてみると軸回転に引っかかり感があるところで巻き線を擦る音が「うぅうぅ」と揺れる。電気的に問題がある。滑らかな精密可変がしたいのに途中飛んでしまうのは使いづらい。本物は高速に回転しても引っ掻く音もしなければ、擦る音も回す加減速に比例するだけで揺れない。下の画像をクリックすると約 9.7Mbyte ダウンロードの後、再生が始まる。本物 (手持ちの関係で 5kΩ)せめて軸に付いているナット・ワッシャくらいは偽物から外して使えないかって? 初めから付いていなかったし(商品画像には添付あり)、付いていたとしても本物と溝のピッチが違うか径が違うので嵌まらない。Aliexpress で買った偽物? VISHAY SPECTROL 534
2025.07.04
コメント(0)

Metronix 524B 簡略回路図を修正の続き、安定化電源の華である CV (Constant Voltage) 回路を見ていく。この日記にあるLTSpice 回路をダウンロードできる様に用意した。LTSpice でシミュレーションをする場合、Integration Method を modified trap に設定して欲しい。計算で発生する発振を抑制できる。Constant Voltage amp, METRONIX model 524B (PDF)CV 回路は CC (Constant Current) 回路と結合している。CC 部分と接続してある部分は省略してある。CC 回路との接続点は上記回路の Q6 Collector の部分だ。過電流になると、この接続点から電流を引き出す。回路全体の GND (基準電位) は PLUS 端子に繋がる +S 端子である。この電位の取り方で、Q1, Q2 の駆動に必要とする電圧 Vdrv を GND から見て +1.1V 程度で済む様にしてある。MINUS 端子に繋がる -S 端子に現れる負の電圧 Voneg を安定化する回路になっている。 Q3, Q4 が差動増幅器になっていて、Vfb が抵抗 R11, R10 の加算で 0V になる様に制御する。R11 が前面パネルの VOLTAGE 可変抵抗器、R10 が金属皮膜抵抗と半固定抵抗器で構成された最大電圧設定になっている。シミュレーションでは R11 を 1kΩ にして 10V を出力する (Voneg=-10V) 状態にしてある。R10, R11 抵抗加算回路は -S 点に向かって約 10mA (=6.1V / 610Ω) の電流を流し、+S 線を通して GND に向かって約 10mA を戻す様に動作している。無負荷の場合は電流の主要な流れは -S → 電流計 Rcum → V1 電源(実際の回路は整流回路とトランス) → 出力トランジスタ Q1, Q2 → R2, R4 → +S のという経路だ。524B を VOLTAGE CHECK 動作にすると僅かに電流計が振れるのは -S, +S 線に流れる電流が主な要因になっていると思われる。アナログメーター故の妥協だ。針の 0 点を僅かにずらせば針が指示する位置を補正できる。あるいは殆ど目視できない。VOLTAGE ポテンショメータを最小位置にして無負荷の時に PLUS 端子、MINUS 端子 (以降出力端子)の電圧を測ると僅かに負電位が現れるのも -S, +S 線に流れる電流が原因であろう。R10, R11 加算回路に繋がっている D1 は定常動作時に電流はほぼ流れない。D1 は電源 ON をして回路が起動する時に電流が流れる。D1 が無いと出力端子に電圧が殆ど出ない状態で安定してしまう。後で見ていく。Q3 は差動増幅器を構成しつつ、実質ダイオードとして動作する。うーん、コレクタ側は R9 と同じ 10kΩ を通して Vc12 に接続した方が Q4 と熱的な差異を生じないようにできるはず。部品 1 個でかなり違うと思う。Q5 の コレクタに入っている 340Ω の抵抗は 680Ωをパッチ的な実装によって並列接続したものだ。AC 電源電圧が低い、低温、出力電圧高時で、最大出力電流を Q1, Q2 で出せなかった? R1, R3 330Ω, R7 2.2kΩ を倍程度の値にする修正もあったと思う。起動時の波形を見ていこう。Startup wave Constant Voltage amp, METRONIX model 524B (PDF)0.4ms 近辺で Vdrv が非線形領域まで振れている。Voneg は 0.4V ほどオーバーシュートし目標値 -10V から外れる様な変化になっている。0.5ms ~ 0.6+ms の間振動がある。発振に至る程ではない。起動時かつ実際は交流を整流した電源を使っているので、起動時の挙動は目立った問題では無いはず。無理にこの挙動を出力端子に出そうとするなら OUTPUT ON の状態で AC プラグを挿す操作だろう。動作中の負荷変動応答特性が気になる。まだ見ていない。D1 があるおかげで Vcome (差動増幅トランジスタの共通エミッタ電圧)は約 -659mV 程で定常状態になる。Vcome が 0V を越て正の電圧にならないように制限される。定常状態の波形を見てみる。Waves when reached stable at Constant Voltage amp, METRONIX model 524B (PDF)Vcome に変化があるのはシミュレーション計算特有の変化だと考えている。Voneg が約 -9.988V に対して Rcum(電流計) の電流は約 1.0088A だ。これは +S, -S に流れる電流 10mA が、電流計に現れていることを示している。全体的に発振は見られない。良好な動作だと考えられる。起動用ダイオード D1 を外してシミュレーションしてみる。Constant Voltage amp without startup diode D1, METRONIX model 524B (PDF)D1 を外すと Q4 のベース電圧が約 0.6V 以上に上がったときに Vcome が 0V から上がりだし、Q3 が逆バイアス状態になり off になる。こうなると Q3, Q4 は差動増幅器として機能しなくなる。Waves Constant Voltage amp without startup diode D1, METRONIX model 524B (PDF)波形を見てみると Vcome は 675mV まで上がっている。Q3 のベース・コレクタは 0V なので、Q3 は逆バイアスされた状態になったことを確認できる。Fail safe も考慮した設計なのか、このような状態になった場合は出力電圧 Voneg は約 31.2mV となり、出力端子電圧は若干負電圧になるものの端子に接続した回路を壊してしまうほどの電圧ではない。D1 を付け加える案を選択したのはなぜだろうか?回路に落書きしたように「Re を 2.7kΩから 2.2kΩに下げる」あるいは「R9 を 10kΩから 15kΩ に上げる」と言った部品を追加しない対策で回路は起動する様になる。差動増幅部分のゲインを上げて、理想的なオペアンプに近づけることもできたはずだ。定数を調整しきって発振しないことを確認した所で起動しない問題が発生して、再設計する時間が無かったのか、あるいは出力端子に過酷事象を印加した場合も対応できる利点を重視したのか。オペアンプを使って動作原理の確認とリニューアルの検討をしてみる。簡略化回路図にも示したようにオペアンプの反転入力・非反転入力の使い方が奇妙なのが正しいのかも確かめる。Voltage amp using opamp, METRONIX model 524B (PDF)オペアンプは LT1013 を使った。これは LM324 のつもりで充ててある。Vcc, Vee はオペアンプに合わせて +12V, -12V にする。上の回路の D1, R5 はトランジスタの Vebo 定格に収めるためのクランプ回路だ。LM324 が出力短絡を許容していることに甘えた。パッケージ許容損失を守る必要はある。C1, C2 は帰還ループの応答特性を良くする様に試みて定数を変更、挿入してある。C1 を大きくしたので Constant Current 制御に影響があるかもしれない。要確認だ。C2 は少しやり過ぎ感もある。減らした方が良いかもしれない。起動時の波形を見てみる。Voneg のオーバーシュートは約 0.13V だ。応答特性を調整したので非線形領域に入らずに済んでいる。クランプ回路は働かない。負荷条件を多様に振ってみて確認を進めると何か気になる挙動が有るかもしれない。Startup waves Voltage amp using opamp, METRONIX model 524B (PDF)定常状態の波形を見てみる。安定した動作だ。Waves Voltage amp using opamp, METRONIX model 524B (PDF)ディスクリート・トランジスタで作ったアンプよりも高ゲインなので Voneg=-9.9999809V になってほぼ -10V に制御できている。オペアンプならではの動作だ。発振に気を使う必要も出てくる。オペアンプを使ってスッキリと作り直せるかと思ったら、要クランプ回路だった。悶々として、結局 LM324 の出力短絡許容に甘えるのかな...次の日記 CC 制御回路概要簡略化回路図調査動作選択スイッチ制御基板上の回路ブロックシミュレーションMetronix 524B リファレンス電圧、内部 12V 生成回路CV 制御回路(この日記)CC 制御回路タップ切り替え回路修繕部品交換その他AC ライン露出箇所簡略化回路図訂正 +S, -S ライン周り簡略化回路図訂正 CV 制御回路周り
2025.07.03
コメント(0)
全9件 (9件中 1-9件目)
1

![]()
![]()