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土曜日の夜は、テレビ朝日系の「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 歌うケツだけ爆弾!」を観ていた。2007年4月に劇場公開された映画である。この4月に新作である「クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ金矛の勇者」が封切予定なので、その前宣伝のための放映であろう。 ところで、「クレヨンしんちゃん」と言えば、元々は臼井儀人が1990年夏に「週刊Weekly漫画アクション」に連載を始めた漫画であるが、アニメ化されたことにより、一時社会現象とも言える程、子供たちに影響を与えた。最近はあまり聞かないが、かっては、子供たちがあちこちでしんちゃん言葉を使っているのを耳にし、世の親たちの顔をしかめさせていたものである。 内容をごく手短に紹介しよう。「ケツだけ星人」が巨大隕石を破壊するのに使った特殊爆弾のうちの一つが地球に流れ着き、野原家の愛犬シロにオムツのようにくっついてしまった。この爆弾が爆発すると地球は壊滅するため、シロごと宇宙へロケットで捨てようとする「宇宙監視センター(UNTI)」と、爆弾を手にして地球を支配しようとする美人テロ集団である「ひなげし歌劇団」が爆弾の争奪戦を繰り広げるというもの。果たして地球は助かるのか。そしてシロの運命はいかに。 宇宙監視センターの略称の「UNTI」(しんのすけは「うんち」と発音している)といい、ケツだけ星人やケツだけ爆弾といい、相変わらず、爽快なまでのお下劣ネタに溢れたおバカな映画だ。しかし、論理的に考えてみると、大きいとはいえ、地球に比べたらごみのような大きさの隕石を壊すのにすら爆弾を何個も使っていたのに、どうして、流れ着いた爆弾1個だけで地球が破壊されるということになるのだろう。そんなに破壊力があるのなら、はた迷惑にならないよう、「ケツだけ星人」も、初めから必要以上に使わなければ良いのにと思ってしまう。 それにしても、うちのわんこ、シロのような名(迷)犬になってほしいものだが。(原作)・臼井儀人(監督)・ムトウユージ (声の出演)・矢島晶子(野原しんのすけ)・ならはしみき(野原みさえ)・藤原啓治 (野原ひろし)・こおろぎさとみ(野原ひまわり)ほか ○応援クリックお願いします。 ○DVD風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 31, 2008
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広島駅近くをぶらぶらしていると、水木しげる、京極夏彦、荒俣宏そして衣笠祥雄の思わぬ関係を発見した。さて、いったいどんな関係か推理して見て欲しい。 「答えは、また明日」なんてけちな事は言わない。この写真が答えである。○稲生神社 上の写真は広島駅の近くの電車通り沿いにある「稲生神社」である。ビルの上に鎮座する珍しい神社だ。ここでひとつ疑問が湧いた人は、かなり神社仏閣に詳しい人である。「いなり」の字が違う? その通り。例外的に島根県津和野町の太鼓谷稲成神社は「稲成」と書くが、「いなり」は通常は「稲荷」と書く。「稲生」と記述するのは全国に20社位あるようだが、珍しい。広島にもいくつかあるようだが、別に広島だからといって「稲生」と書くわけではない。その証拠に、この「稲生神社」のあるところの地名は「稲荷町」なのである。また「稲荷」を音読みにした「とうかさん」という祭りもあり、広島市の若い女性は、毎年この祭りを境に浴衣を着始めるという風習がある。 それでは、なぜ「稲生」と書くのかだが、この神社には稲生武太夫(いのうぶだゆう)が奉られているらしい。このブログでも以前紹介したことのある、三次市に伝わる名高い妖怪物語・「稲生物怪録(いのうもののけろく)」の主人公である。そこから、「いのう(稲生)」が変化して「いなり」になったと考える人もいるようだ。ただ、それが他の「稲生」にも当てはまるかどうかは分からない。 えっ?まだ答えが良く分からないって? この神社に奉納されている幟に注目して欲しい。○「稲生神社の幟」 はい、もう分かったね。答えは、この神社に幟を奉納した人である。水木しげる、京極夏彦、荒俣宏は物の怪つながりでの奉納だと思うが、鉄人衣笠とこの神社の関係は?○応援クリックお願いします。 ○広島大学東千田キャンパス〔広島市を歩く(その25)] の記事はこちら○四人の関連グッズ 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 30, 2008
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セツブンソウ自生地をウォーキングを兼ねて見学した後は、温泉で汗を流そうということで、最後の目的地は、君田温泉森の泉である。このブログの読者にはおなじみであるが、美人の湯として有名だとのことだ。そういえば有名なデザイナーの孫で、この温泉と似た様な名前の美人タレントがいるが、別に関係はないと思う。でも、ここの湯に、何度も浸かれば、きっとあのような美人になれるのかもしれない。(保証はしないが)「君田温泉森の泉」 温泉を堪能してもまだ時間があったので、隣接している「はらみちを美術館」に入館してみることにした。前回ここに来たときも気になっていたのだがが、時間がなくてあきらめたのである。今回は幸いなことに、十分に入館して中を見るだけの時間があった。中はそう広くはないが、その分入館料も安いので、入ってみて損はないであろう。 ところで、はらみちをは、ご存知の方も多いと思うが、脳性小児麻痺で体が不自由なことにも負けず、「お母さんと子」や「ふるさとのぬくもり」をテーマに独特の優しいタッチの絵を描く画家であり、また詩人でもある。訪れたときも、ほのぼのとするような優しい絵がたくさん展示されており、館内を一巡りすると、暖かい気分で満たされるようだ。「はらみちを美術館標識」「はらみちを美術館入り口」○応援クリックお願いします。 ○セツブンソウ自生地(広島県北への旅2)の記事はこちら風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 29, 2008
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今日紹介するのは、「屍姫4」(赤人義一 :スクウェア・エニックス)である。現在7巻まで発売されており、進行中であるが、一応半分まで紹介できたことになる。 ちょっと内容をおさらいしておこう。この作品世界では、未練を残して死んだ者は、「屍」になって、人を襲う。この屍、「ゾンビ」のようなものだが、別に蛆も湧いていなければ腐敗もしておらず見た感じは、普通の人間と変わらないが、不死のうえに驚異的な力を持っており、普通の人間では太刀打ちできない。そこで、光言宗という宗派がこの不死の「屍」たちと戦うために、「屍姫」を作り出したのである。「屍姫」も「屍」の一種であるが、光言宗の秘法により人工的に作られたことと、契約僧が死ぬと、「屍姫」も元の死体に戻ってしまうというところが、通常の「屍」との違うところである。 今回のテーマは、マキナの、契約僧であり、心のよりどころでもあった景世を失った悲しみ。マキナは景世を失ったことですさまじい「呪い」の力を発揮するが、それは、新たな契約僧となったオーリに過度の負担をかける諸刃の剣でもあった。 景世の仇である死面との戦い、そして、自分が屍姫となった原因である、七星と呼ばれる屍たちとの新たな戦い。果たしてマキナは、景世を失った悲しみを乗り越えられるのか。 ○応援クリックお願いします。 ○「屍姫3」の記事はこちら「屍姫4」(赤人義一 :スクウェア・エニックス) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 28, 2008
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三次ワイナリーを出ると、いよいよ今回の旅のメインである、セツブンソウの自生地に向かう。庄原市総領町というところだ。セツブンソウは、キンポウゲ科の多年草で、石灰岩質で北向きの、半日陰の山裾に生育する。昔は、そう珍しい花でもなかったようで、地元では「貧乏草」と呼ばれていたらしい。種から花が咲くまでに3~4年かかり、下草を刈らないと育たない植物のため、近年ではかなり減っており、環境省や広島県のレッドデータブック共に絶滅危惧種に指定されている。地元では有志が保存会を結成し、保存活動に取り組んでいる。 花は、ご覧の通りで、大きさはスミレの花くらいだ。そう鮮やかな花ではないが、群生しているのを見ると、結構感動する。絶滅危惧種ということで、あるいは滅びゆくものの美しさというものをまとっているのかもしれない。「セツブンソウ自生地」「セツブンソウ」 こちらは福寿草である。これは野生ではなく、地元の人が川沿いに植えたものとのことだ。鮮やかな黄色で、セツブンソウの控えめな美しさととは対照的である。「福寿草」 ○応援クリックお願いします。 ○「三次土人形(広島県北への旅1)」の記事はこちら (続く)風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 27, 2008
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この本は、だいぶ前に買っていたのだが、やっと読むことができた。「黄昏の百合の骨」(恩田陸:講談社)である。以前に紹介した「麦の海に沈む果実」の続編に当たる作品だ。この作品も、やはり、タイトルの付け方がうまい。はっきり言って、タイトルの意味は良く分からないが、なんとなく心を鷲掴みにしてくれる。ただし、読み終わった後は、なんとなくこのタイトルに納得するようになるのではあるが。 前作同様、主人公は水野理瀬。舞台は明記はされていないが、グラバー邸などが出てくる異国情緒に溢れた街という設定なので、長崎のようだ。そこにある「魔女の家」と呼ばれている古い屋敷に住んでいた理瀬の祖母が亡くなり、奇妙な遺言を残す。理瀬が半年以上この家に住まない限り、家を処分してはならないというのだ。イギリスに留学していた理瀬は、帰国して地元の女子高に編入し、祖母の家に住んでいる義理の伯母の利南子、利耶子と暮らしていた。さらに、祖母の一周忌のため、理瀬の従兄の亘と稔もこの家に帰って来る。 実は、この家には何か秘密があるようだ。その秘密を伯母たちは、何かお宝と勘違いしているようで、なんとか理瀬たちから探ろうと画策する。その秘密は理瀬たちも知らないのであるが、祖母はジュピターと呼んでいた。そして利耶子が事故で亡くなる。 ジュピターと言っても、別に平原綾香のCDが埋まっているわけではない。ましてやセーラージュピターが隠れているわけでもない。この屋敷にはとんでもない秘密があったのだ。 この作品では、理瀬は、親しげな仮面の下に隠されたどす黒い悪意にさらされる。「魔女の家」での体験を通じ、理瀬は心身ともに、少女から大人へ変貌を遂げていくのである。 しかし、ジュピターの正体がこんなものとは思わなかった。これが、「百合」と「骨」といったタイトルの言葉に結びついているのだろう。事件が、一件落着したと思ったら、最後の、いかにも恩田陸らしいしかけもあり、面白く読むことが出来た。○「麦の海に沈む果実」の記事はこちら○応援クリックお願いします。 「黄昏の百合の骨」(恩田陸:講談社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 26, 2008
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先般広島県の県北地方へのバスツアーに行ってきた。メインの目的は、庄原市総領町という所に咲く「セツブンソウ」を見に行くことだが、県北方面のバスツアーでは、お約束のように、「三次ワイナリー」に立ち寄る。このブログの読者(いるのか?)も、何回か目にしていると思う。 ココに立ち寄る目的は、ワインの試飲なのだが、残念なことに私はアルコールが飲めないため、ブドウの果汁から作ったノンアルコールの飲料を試飲する。甘くて、結構おいしい。「三次ワイナリー」 ふと展示用のショーケースを見ると、「三次人形」が展示されていた。粘土を素焼きして作り彩色した土人形で、三次市の伝統工芸品である。この三次人形の起源は諸説あるようだが、広島県北では、3月の初節句に男女共にこの人形を贈る風習があったようだ。写真で分かるように、素朴でなかなかよい味なのだが、値札を見ると、買って帰ろうと思うにはちょっと高い。「三次人形」○応援クリックお願いします。 (続く)風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 25, 2008
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「のだめカンタービレ」(二ノ宮知子:講談社 )の20巻が発売されていることを、たなぽん99さんなどのブログで知って、早速買ってきた。今月の13日に発売になっていたらしいが、その気で見ないとなかなか気がつかないものである。近所の書店では、この20巻のためだけにかなりのスペースを割いて展示しており、改めてのだめ人気のすごさを認識する。○ヤマハ グランドピアノ C3A 前半は、のだめの仲間たちが、コンテストに出場。入賞する人、落ちる人、色々な人間模様が繰り広げられる。ターニャと黒木の微妙な関係がどう展開するのかちょっと気になる。 「サムライ黒木、もっと男を見せんかい!」 のだめと千秋の間も、結構いい感じだが、予定されているRUiと千秋の競演で、またな何か騒動が起こりそうな予感が・・・ それにしても、作中で出ていた「バラとプルトニウム」気になったので、本当にあるかと思って、ググッてみたが、やっぱり架空の本のようだ。(違っていたらゴメン)本当に描いて見たら、結構面白いかもね。○応援クリックお願いします。 「のだめカンタービレ20」(二ノ宮知子:講談社 )風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 24, 2008
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土曜の夜は日本テレビ系の金曜ロードショーで「妖怪大戦争」を観ていた。2005年の角川映画である。一応、1968年の大映映画のリメイク版という位置づけらしいが、内容はだいぶ異なっているようだ。宮部みゆきと雑誌『怪』編集部の旧作に関する雑談がきっかけで企画された映画のようである。そのためか、宮部みゆきもちょっとだけ学校の先生役で出演していた。また、制作には、この道の専門家?である、水木しげる、京極夏彦、荒俣宏、宮部みゆきといったすごい面々が参加していたらしい。 お話は、両親の離婚のため鳥取に引っ越してきた都会っ子の稲生タダシが、伝説の「麒麟送子」に選ばれたことから、世界を破滅させようとする魔人・加藤保憲と戦うというもの。加藤保憲とはどんな人物か、川姫の過去の出来事、タダシはなぜ麒麟送子に選ばれることになったのか等、説明不足の点が目立ち、結局妖怪たちが大騒ぎしていた場面だけが頭に残る映画になってしまっている。 妖怪たちはユーモラスで面白かった。でも、スネコスリは、もっとかわいくデザインしても良かったのではと思う。いかにも間に合わせで作ったような感じがしてちょっといただけない。また、加藤保憲は、「帝都物語」での嶋田久作のイメージが強いので、豊川悦司だとどうも違和感がある。 ところで、麒麟送子って、結局武器(聖剣)の方で勝手に戦っているような感じで、誰かが剣を持っていなくてもいいんじやないかと突っ込みたくなった。それに、加藤の企みが失敗する原因が小豆洗いの小豆一粒というのもかなり安直な気がする。(原作)・荒俣宏(監督)・三池崇史(出演)・神木隆之介(稲生タダシ/麒麟送子)・宮迫博之(佐田(雑誌「怪」編集者))・近藤正臣(猩猩) ・高橋真唯(川姫) ・阿部サダヲ(川太郎)・栗山千明(鳥刺し妖女アギ) ・豊川悦司(加藤保憲) 他○応援クリックお願いします。 ○「妖怪大戦争」DVD&原作(荒俣宏) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 23, 2008
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最近CDでよくピアノの演奏を聞いている。韓国のピアニストであるイ・スミという人の演奏である。このCD、「ピアノの天使 韓国天才少女イ・スミの物語」(コ・ジョンウク/パク・ヨンドン:現文メディア /理論社)という本の付録についていたものだ。私は、音楽の方は、あまり詳しくないので、適切に語る言葉を持たないが、聞いていていい演奏だと思う。何度聞いても聞き飽きない。 実は、この「ピアノの天使 韓国天才少女イ・スミの物語」、先般このブログで紹介した「韓国トップスターウンギョンの夢」と同じく、「夢をかなえる青少年美談シリーズ」のうちの一つである。シリーズの第1作である「韓国トップスターウンギョンの夢」を出版社からいただいたので、このつたないブログで記事として取り上げたところ、丁寧なお礼の手紙と共に、最新作である本書を送ってもらった。 この作品の主人公であるイ・スミは、ドイツでピアノを学び、ついにはドイツ最高のピアノコンクールである「連邦青少年音楽コンクール」で優勝した若き女性ピアニストである。しかし彼女の成功の裏には様々な物語があったのである。 1997年に発生したアジアの通貨危機を記憶している方も多いであろう。アジア各国の通貨が急激に下落し、経済が混乱した。韓国は、その中でも特に経済に大きな打撃を受けた国の一つであった。外貨準備高が底をつき、あわやデフォルト(債務不履行)寸前までとなった韓国は、IMF(国際通貨基金)に支援を仰ぎ、IMFの管理下で様々な改革を余儀なくされたのである。 この一連の流れは、激流となって、多くの人を飲み込んでいった。建築資材の商いを営んでいたイ・スミ一家もその例外ではなかった。不渡りを出し倒産、更には父親の投獄と辛い時代が続く。それでも、明るく前向きなイ・スミは、中学1年生のとき、日本円にして僅か4万円のお金を持っただけでドイツに留学する。 中には、悪い人間もいたが、イ・スミは多くの人の善意に囲まれて、ピアノの勉強を続けていく。人は、いっしょうけんめいに前を向いて進もうとしている者を応援したくなるものだ。それは、国や民族といったものには関係がないのである。イ・スミの物語は、前を向いて進もうとしているたくさんの人に夢や希望を与えることであろう。○「韓国トップスターウンギョンの夢」の記事はこちら○応援クリックお願いします。 「ピアノの天使 韓国天才少女イ・スミの物語」(コ・ジョンウク/パク・ヨンドン:現文メディア /理論社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 22, 2008
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こちらもだいぶ春めいてきました。きょうもわんこのスーちゃんとお散歩です。○今日のスーちゃん 散歩の途中で、シロバナタンポポを見つけました。このあたりでは、黄色い花の西洋タンポポはよく見かけますが、日本種であるシロバナは初めてです。昔はたくさん見かけましたが、最近は本当に少なくなりましたね。○シロバナタンポポ 街路樹の根元には、スイセンも咲いています。○スイセン 道端には、ホトケノザも見かけました。言うなればただの雑草なのですが、可憐な花を咲かせています。春は、雑草にも思いがけない美しさがあることが分かり、一番好きな季節です。○ホトケノザ○「ひろしま野の花」○応援クリックお願いします。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 21, 2008
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「汝夜歩くなかれ」 時折、横溝正史の本を読んでいるが、あの、いかにも時代がかった文体で描き出されるおどろおどろしい世界にはいつも圧倒される。このあいだ(といってもだいぶ前になるが)も2冊ほど仕入れてきた。そのうちの一冊が、この「夜歩く」(横溝正史:角川書店/角川グループパブリッシング)である。実は、もう一冊と言うのが、先般テレビで放映された「犬神家の一族」であるが、あの笑いを禁じえなかった映画を観て、まったく読む気が失せてしまった。しばらくほとぼりを冷まして、映画の記憶が薄くなった頃にまた読むことにしよう。 ところで、この「夜歩く」の方であるが、もちろん金田一シリーズの一つであり、横溝作品の中でも、特に横溝らしさがよく出ているような作品である。キャバレーで画家が撃たれる事件が起きる。撃ったのは、元大名である古神家の令嬢・八千代。八千代には、冒頭の言葉の書かれた手紙が来ていた。送り主は、八千代が夢遊病だということを知っていたのだ。そして、それが、悲惨な首なし殺人事件の幕開けになったのである。 更に、舞台は、東京の古神家の屋敷から、岡山の古神家の旧領へ移る。岡山は、横溝作品によく出てくる所だ。ここでやっと我らが名探偵金田一の登場となる。そこでもまた凄惨な事件が。 最後は、あっと驚くような真犯人が明らかになる。本当に意外な人物が犯人なのであるが、これから読む人は、ぜひ犯人を推理しながら読んで欲しい。○応援クリックお願いします。 ●横溝正史作品 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 20, 2008
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加計の吉水園を見物した後、昼食をとって、国の特別名勝である三段峡を訪れた。三段峡は、太田川上流の支流である柴木川に沿った全長約16kmの峡谷である。以前のブログでも述べたように、かっては、この三段峡まで、JR可部線が延びていた。可部線の可部駅以降が廃止されたため、現在は、公共交通機関で行こうと思うと、バス便だけである。 この三段峡には遊歩道があるので、この渓谷の雄大な流れを眺めながらハイキング気分が味わえる。特に秋の紅葉に映える三段峡の眺めは美しい。 この三段峡の入り口には温泉を備えた観光ホテルもあり、みやげ物やもあるので、自然の好きな方はぜひ訪れてみて欲しい。「三段峡」 (完)○「太田川の上流を訪ねて1(モリアオガエルに会える加計吉水園)」はこちら○応援クリックお願いします。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 19, 2008
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このブログをはじめた理由の一つは、文章修行だったのだが、2年以上経っても、それほどうまくなったという実感がない。本当は、もっと書きたいのだが、つい面倒くさくなって、そこそこで打ち切ってしまうこともままある。長い文章を書くのは、未だに得意ではない。それでも、いつかは、長い文章を流麗に書けるようになりたいと、文章の書くための方法論に関する本を時折買っては読んでみたりする。 最近買った「原稿用紙10枚を書く力」(斎藤孝:大和書房)も、文章を書く力を身につける方法について書かれた本の一つである。まず、題名の原稿用紙10枚といううたい文句に惹かれた。なにしろ原稿用紙10枚と言えば4000字である。長編小説を書くのでもない限り、4000字をコンスタントに書ければ、日常生活で不自由することはあまりないであろう。 この本でまず主張されているのは、「量をこなすことで質を上げる」ということである。とにかく量をこなしていけば、質の方は後からついてくるというのだ。だから、引用を活用したり映画のあらすじを書いたりなど、あらゆる手段を使って文章を書くトレーニングをしていけという。私も2年以上ブログを続けており、だいぶ量をこなしてきたつもりだが、なかなか質が上がった気がしない。4000字がさらっと書けるようになるまでは、まだまだ量のトレーニングが必要ということか。 更に、この本では、書くための本の読み方についても述べられている。すなわち、「性格の違う三つのキーコンセプトを取り出して、その三つをつなげる論理を組み立てていく。」ということである。別に作者が三色ボールペンを好きだからと言うわけではないだろうが、ここでのポイントは「3つ」のキーコンセプトだということだ。色々な本でも3という数字が重要視されており、3つというのが、人間の頭にとって、ロジックを展開していくのに一番適しているのであろう。 文庫本でそれほど厚くないので、色々参考にしながら、文章修行をしていくのに良いであろう。○応援クリックお願いします。 「原稿用紙10枚を書く力」(斎藤孝:大和書房) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 18, 2008
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「あなたにとってのソウルフードは何ですか?」 土曜の夜は、いつものように、フジテレビ系の土曜プレミアムで「UDON」を観ていた。2006年8月に公開された映画だ。題名から分かるように、「うどん」をテーマにした映画である。ところで、「うどん」といえば「讃岐うどん」ということで、舞台はもちろん、讃岐すなわち香川県である。 映画の冒頭で紹介されていたが、香川県は人口百万人のところに900軒のうどん屋があるとのことで、一人当たりの年間うどん消費量は日本一だそうだ。あの独特のコシのあるうどんは、県外にも多くのファンが多いことと思う。昔、四国の人に、うどんは醤油をかけて食べると聞いたことがあるが、映画でも生醤油に玉子だけで食べている場面があった。讃岐ならではの食べ方であろう。 ところで、映画の内容をごく簡単に紹介しよう。松井香助は、コメディアンになろうとして香川で製麺所を営む実家を飛び出して渡米したものの、夢破れ、借金を抱えて地元に帰ってきた。友人の紹介で地元のタウン誌に就職し、うどんブームを巻き起こす。 コメディタッチの中のストーリーの中に、「不器用で頑固親父とそれに反発する息子」、「亡くなってはじめた分かる人の価値」、「夢を追うことの大切さ」など、色々な要素が盛り込まれて結構面白く観ることができた。また、何回も行ったことのある、讃岐の美しい風景が、郷愁をそそる。それにしても四国は上空から見るとため池が多く、独自の風景を形作っているのに気づく。金毘羅さんの階段も、昨年行ったばかりで懐かしかった。 ところで、一番気に入ったのは、劇中に出てくる「キャプテンウドン」である。スピンオフで、本当に作ったら結構面白いんじゃないかな。(監督) ・本広克行(出演)・ユースケ・サンタマリア(松井香助) ・小西真奈美(宮川恭子) ほか ○応援クリックお願いします。 ●DVD「UDON」●讃岐うどん色々 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 17, 2008
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精神分析といえば、一番に名前が思い浮かぶのはフロイト、そしてその次がユングであろうか。私は、この方面ではまったくの門外漢なため、二人とも夢の分析をしているようだということくらいの知識しかなく、彼らの理論の違いについてはほとんど知らなかったのである。フロイトの方は、結構見聞きすることもあるが、夢を幼児期の抑圧された性に結びつけて解釈する方法には、なんとなくうさんくささを感じていた。一方、ユングの方は、名前は知っているものの、漠然とフロイトの弟子くらいかなと思っていたのだ。 たまたま、書店で「ユングの心理学」(秋山さと子:講談社)という本を見つけたので、なんとなく買ってみた。題名の通り、彼の心理学について、解説されたものである。やはり、フロイトとの関係は避けて通れないのか、彼との対比で述べられているような部分も多い。 彼らの関係であるが、ユングは、フロイトの理論に惹かれてフロイトに近づき、フロイトも彼を気に入り、一時は二人は蜜月関係にあったようだ。しかし、やがて、ユングはフロイトの考え方に違和感を持つようになっていく。彼にとっては、夢とは、もっとロマンチックで壮大なものだったのである。 もちろん、この新書版の本だけで、ユングの思想がすべて分かるというわけはないが、ユング流心理学の概要、フロイトとの考え方との違いなど分かりやく述べられていて、入門書としては良いのではないかと思う。○応援クリックお願いします。 ●「ユングの心理学」(秋山さと子:講談社)●ユング関係書籍 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 16, 2008
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「故に屍姫は憐憫と嘲笑を込めて呼ばれる」「光言宗の理の為に不死殺しの戦いにかり出された少女たちへの憐れみと・・・力なき自らを嘲笑うが為に・・・」(屍姫3) 今日は、「屍姫3」(赤人義一 :スクウェア・エニックス)の紹介である。このシリーズは、現在7巻まで発行されているが、やっと3巻目の紹介である。 人の身でありながら「死の国」を作り出そうと、屍たちと行動を共にする赤紗。彼に過去にいったい何があったのか。そして、屍たちが蘇らそうとしている「王」とは何者か。不気味な肉球・奇想蓮華と屍・死面がマキナたちの前に立ちふさがる。 今回のハイライトは、オーリの過去、そして景世との悲しい別れ。 どんどん強力な敵が現れてくる。しかし、まだまだ強い敵がたくさん控えているようだ。この程度の敵にこれだけ苦戦して、大きな犠牲を出しているのに、この後の戦いは本当に大丈夫なのだろうか。また、最強の屍姫と呼ばれる「神佳」の実力は? ○応援クリックお願いします。 ○「屍姫2」の記事はこちら「屍姫3」(赤人義一 :スクウェア・エニックス)風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 15, 2008
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写楽の名を知らない人はまずいないであろう。江戸時代に活躍した浮世絵画家で、独特のデフォルメされた役者絵で知られている。しかし、この写楽、その正体は謎につつまれているのだ。 この写楽の名を冠した作品である「写楽・考」(北森鴻:新潮社)は、これまでこのブログでも紹介してきた、異端の女性民俗学者とその助手が、民俗学上の出来事と現実の殺人事件の間で交錯する謎を解き明かすという、蓮丈那智フィールドファイルシリーズの第3巻で完結編に当たる。この本も、1,2巻と同様短編集で、次の4編の作品が収められている。「憑代忌」:万年助手の内藤三國が女子学生から写真を撮らせて欲しいと頼まれる。ところが、この写真が散々な目に。また、三國が那智から命じられた調査先で殺人事件が発生する。果たして憑代の変換とは。「湖底祀」:円湖という名の湖の湖底に、江戸時代初期の神社跡の存在の可能性が。調査に訪れた三國は、散々な目に。果たして湖底に眠るものは何か。「棄神祭」:九州の旧家に伝わる奇妙な祭祀。那智がかってそこで遭遇した殺人事件の謎。「写楽・考」:式直男という名で学会誌に掲載された「仮想民俗学序説」の衝撃。ところが、この式直男が行方不明に。解き明かされるのは和洋の偉大な画家に関する謎。 いずれも、民俗学と現実の殺人事件が見事にクロスオーバーし、読み応えのあるミステリーになっている。 ところで、前作では、内藤三國は、講師昇進をかけて、必死で論文を作成していたはずだが、本作でも相変わらず助手のままである。このまま、那智の下僕としてずっといってしまうのかと、つまらない思いが頭をよぎった。○応援クリックお願いします。 「写楽・考」(北森鴻:新潮社)
March 14, 2008
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広島県に、可部線というJRのローカル線路がある。かっては、名勝三段峡まで、線路が延びていたのだが、行き止まりの赤字路線のため、2003年11月30日で、可部~三段峡間の46.2kmが廃止されてしまった。かって、この間の拠点駅であった加計駅周辺は、火が消えたようになっている。 ところで、この加計には、吉水園という見所がある。廻遊式の庭園であり、江戸時代半ばに、江戸期をの中国地方最大手のたたら鉄山師である加計隅屋の16代当主の佐々木八右衛門正任が山荘として建設したものらしい。昔から多くの文人墨客が訪れる名園で、昭和26年(1951)には県名勝に指定されている。 この吉水園、普段は入れない。一般公開されるのは、春と秋のそれぞれ2週間、それも土日のみなのである。また、ここは、モリアオガエルの産卵地としても有名で、産卵期には、その様子が、県内のテレビニュースで紹介されたりすることも多い。 写真は、紅葉でわかるように、昨年の秋に,あるツアーで訪れたものである。さすがにこの時期には、モリアオガエルにはお目にかかれなかったが、機会があれば、春に行ってみたいものである。「吉水園」 (続く)○応援クリックお願いします。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 13, 2008
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今では、資格や検定に関する話題は、当ブログ別館の「文理両道」で展開しているが、最初の頃は、このブログでもテーマの一つであった。ということで、今日は、資格関係の本を紹介しよう。 紹介するのは、「甲種危険物取扱者問題集」(奥吉新平:弘文社)である。危険物取扱者は、乙種までは受験資格に制限がないが、甲種については、受験資格が定められており、これまでは受験できなかった。ところが、来年度から、受験資格の要件が緩和されたため、受験できるようになった。もっとも乙種について1類から6類まで持っており、そもそも、この関係で飯を食っているわけでもないので、実質甲種を取るメリットはあまりないが、せっかくなので受験してみようと思いこの問題集を買ってみた。 この問題集の特徴は、見開きで左右のページがワンセットになっているということである。左のページに問題があり、右側のページに解答と解説、参考になる事項が書かれており、隙間時間を利用して勉強するのに便利である。いるのだ。楽天ブックで注文したときには分からなかったが、サイズもポケットに入りそうなコンパクトサイズであり、通勤などの際にも利用しやすい。 試験を受けてみないと、はっきりしたことは言えないが、おそらく、この問題集を隙間時間を活用して繰り返してやればおそらく合格できるのではないかと思う。その時は、また別館の方に、記事を載せることにしよう。○応援クリックお願いします。 「甲種危険物取扱者問題集」(奥吉新平:弘文社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 12, 2008
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私はギャンブルをやらないが、競輪や競馬などで、かなりの確率で、誰が勝つかの予想ができるのなら、話は変わってくる。株式にしてもしかりである。この外にも未来のことが予想できたら便利なことは色々とあるであろう。 未来を予想するにはどうするか。専門家の予想は、過去のデータを利用することはあるにしも、自分の経験や高度な勘による部分も多いのではないかと思う。しかし、あるデータを入力すると、コンピュータが未来を予測してくれれば、こんな楽なことはない。実は、このアイディア自体は、回帰分析という手法として昔から知られている。過去のデータから、データ間の相関を表す式を導き、これを予測に使う方法であり、計量経済学などでも使われている。「その数学が戦略を決める」(イアン・エアーズ/山形浩生:文藝春秋)は、そのような方法が、専門家の出す予想に比べて、ずっとすぐれていると言うことを主張した本である。 ただし、この方法、言うは安くなのだが、予測したいものと、相関関係の高いデータを探すのが結構大変で、多量のデータ処理を必要とすることも多い。しかし、コンピュータの発達により、データ処理は、昔より格段に楽になっている。 この本の冒頭には、ワインの値段を予測する方程式が紹介されているが、専門家の意見よりずっと制度が良いと言う。また、中ほどには、性犯罪者の再犯リスク評価という意外な応用例も出ている。ただし、この本の中にも書いてある通り、この方法は万能ではなく、繰り返し発生する事象にしか使うことができず、一回限りの出来事には適用できない。 内容は非常に興味深く読めるのだが、やたら「絶対計算」とか「絶対計算者」という単語がでてくるのが気になる。原題は「Super Crunchers」なので、「ものすごく計算ができる人」と言ったような意味かと思うのだが、「絶対計算」といわれると、「なんのこっちゃ?」と思ってしまうのである。○応援クリックお願いします。 「その数学が戦略を決める」(イアン・エアーズ/山形浩生:文藝春秋) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 11, 2008
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「朝霧の巫女」(宇河弘樹:少年画報社)といえば、広島県三次市が舞台の、妖怪や怪異をテーマにした漫画である。少年画報社の「ヤングキングアワーズ」という雑誌に、2000年3月号から2007年8月号まで連載されていた。三次市の実際の風景が作品中に織り込まれていることでも有名で、2002年にテレビ東京系でアニメが放映されたこともあり、一時は、全国からファンが、舞台となった場所を探しに、三次市を訪れていた。三次市が舞台となった理由は、作者の宇河氏が広島県の出身(三次ではないらしいが)ということと、元々三次市に「稲生物怪録」という妖怪伝説があったことによるようだ。この「稲生物怪録」は、、朝霧の巫女の物語のベースの一つとなっている。 この第5巻が、最近発行された。前回の第4巻から、なんと4年ぶりである。いくら月刊誌でも、異常に遅すぎるような気がするのだが、どうした訳だろう。 ところで、物語の方だが、主人公の天津忠尋が、母親の置手紙に従って、伯母一家の住む三好へやってきたところから始まる。忠尋は、そこで、様々な怪異に遭遇するのだが、従姉妹の倉子、柚子、珠の3姉妹を初めとする巫女たちがその怪異と戦うというもの。最初の頃は、美少女や巫女などのいわゆる「萌え」要素が一杯のうえ、結構コミカルな感じだったのだが、巻が進むにつれ、だんだんと話がダークな方向に進んでくる。5巻になると、忠尋の祖母にあたる「こま」(実は人間でなく猫又なのだが)の悲しくも恐ろしい過去の物語が中心で、まさにダーク一色と言う感じである。 既に雑誌の連載は終了しているが、4巻から5巻までの発行が4年も空いたことを考えると、果たして6巻はいつ発行されるのだろうか。この後、どう展開していくか、とても気になるのだが。○応援クリックお願いします。 「朝霧の巫女」(宇河弘樹:少年画報社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 10, 2008
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ちょっと前に、北森鴻による、「蓮丈那智フィールドファイル」の第1作である「凶笑面」を紹介したが、この作品、だいぶ前にテレビドラマ化されていたようだ。ネットで調べてみると、フジテレビ系列の金曜エンタテイメントで、2005年9月に、木村多江主演で放映されていた。この頃は、まだこの作品のことを知らなかったので、見逃してしまったのが残念である。番組の公式サイトには、「新シリーズ」と書かれていたので、ドラマでもシリーズ化するつもりだったのだろうか。でも、2年以上も経つのに、次の作品は放映されていないようだ。 ところで、このシリーズの主人公である蓮丈那智は、原作では、短髪で年齢不詳、モンゴロイド離れしたした中性的な容貌の彫刻を思わせるような美女というなかなか難しい設定になっている。ドラマの方で那智を演じる木村多江については、あまり知らないが、画像を見る限り、ちょっとイメージが違うかな。なかなか難しい設定だが、私なら、秋本奈緒美あたりに那智を演じさせたい。中性的なの条件には当てはまらないが、年齢不詳の美女で、ショートの髪が似合う女優が他に思いつかなかったからだ。 話がだいぶ脱線したが、本日は、その「蓮丈那智フィールドファイル」の第2作にあたる「触身仏」(北森鴻:新潮社)の紹介をしよう。やはり、東敬大助教授の蓮丈那智とその下僕いや助手の内藤三國が活躍する、民俗学を織り込んだ短編ミステリー集である。収録されているのは、次の5編。「秘供養」:那智と三國は、東北の山中に線刻された五百羅漢の謎を調べる。「大黒闇」:三國がサークルの顧問を依頼されるが、実はそのサークルはカルト教団であった。「死満瓊」:フィールドワークに出かけた那智からの連絡が途絶える。そして、那智から、三國の元に謎のメールが送られてくる。「蝕身仏」:那智と三國は、奥羽山脈の麓の小さな村に伝わる「即身仏」の調査に出かける。「御蔭講」:三國は、講師への昇進をかけて、御蔭講に関する論文の執筆を目指す。一方蓮丈研究室には、新しい助手が入ってくる。 もちろんいずれも、民族学上のモチーフを現実世界で起こる殺人事件がうまく組み合わされた面白い作品ばかりである。今回は、鉄の女・那智も、雪山で転落して足の骨を折って入院したり、薬で眠らされて、死体といっしょに車の中に置かれていたり、何者かに襲撃されたりと散々である。 一方三國の方も、カルト集団の顧問にさせられそうになったり、論文のことで那智に怒られたり散々な目にあっている。しかし、那智にディープなキスをされて(実は、ある実験のためだったのだが)、ちょっと幸せ気分になり、頭の中で、「僕は一生先生について行くことを心に決めました」とか「那智、お前の一生は俺が面倒見てやる。黙ってついてこんかい。」と色々な言葉をめぐらしたが、結局何も言えないのがなんとも三國らしくて面白い。○応援クリックお願いします。 ○「凶笑面」の記事はこちら「蝕身仏」(北森鴻:新潮社)風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 9, 2008
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当サイトのような無名ブログでも、長くやっていると、たまに、出版社から献本されることがある。この「韓国トップスターウンギョンの夢」の夢も、先日出版社からもらったものである。私は、あまり芸能界には詳しくないので知らなかったのだが、この本の主人公イム・ウンギョンは、お隣韓国のトップスターらしい。巻末に写真のページが袋とじでついているが、とてもかわいい女性で、読む前から好感度がかなりアップした。また、ウンギョン嬢のステッカーも付いており、まさにいたれりつくせりと言う感じだ。 ところが、このウンギョン嬢、かわいい笑顔からは想像の出来ないほど、厳しい少女時代を過ごしてきている。この本は、そんなウンギョン嬢の辛い少女時代から、タレントになって成功するまでを描いた、シンデレラストーリーである。 ウンギョンの両親は、どちらも耳と言葉が不自由であり、そのために、貧しい少女時代を過ごしてきた。父と母のことで、いわれのない悔しい思いを繰り返し、貧しさゆえに惨めな思いを味わってきたのだ。しかし、唯一の救いは、家族がウンギョンを愛していたということである。 父母に愛されていたのはもちろん、同居していた叔父も、やはり耳と言葉が不自由だったが、いつもウンギョンをかわいがってくれた。祖父は家族の中で唯一、ウンギョンと言葉を交わせる存在で、仕事で留守がちの父親代わりの存在でもあった。 ところが、その叔父が事故で亡くなり、祖父も病気で入院してしまう。ウンギョンがタレントとして成功し、初めて手にしたお金で祖父の好きな干し柿を病室に持参したが、祖父はその干し柿を食べることなく亡くなってしまう場面は、涙なくしては読めない。そして、祖父が亡くなった後、ウンギョンは、障がいのある人たちを助ける仕事をすることを決意し、初めて父母に、心を込めた手話で話しかける。 久しぶりにいい本を読んだ。多くの人に、夢と希望そして感動を与えてくれるだろう、そんな一冊であった。○応援クリックお願いします。 「韓国トップスターウンギョンの夢」(コジョンウク/ウォンユミ:現文メディア/理論社)風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 8, 2008
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「越中おわら風の盆」は、富山県富山市八尾町に伝わる伝統行事である。石川さゆりの「風の盆恋歌」に歌われている事でも有名な行事だ。胡弓のうら悲しい旋律を伴奏に、越中おわら節にあわせて踊るというものであるらしい。(私は残念ながら観たことはないが。)おわら節の歌詞は、7、7、7、5の26文字で構成され最後の5文字の前に「オワラ」という言葉が入るとのことだ。全国に多くのファンがおり、この季節は、小さな町が、多くの人で溢れかえると言う。言うなれば、盆踊りの一種だが、そう言ってしまうと身も蓋もない。誰が考えたか知らないが、「風の盆」というネーミングの持つ響きが、とてもすばらしい。 「風の盆幻想」(内田康夫:幻冬舎)は、このおわらをモチーフにした、浅見光彦シリーズの旅情ミステリーである。 八尾の町を二分する体制派と反体制派のおわらの勢力争い。そして、その中で起きた殺人事件。光彦は内田センセといっしょに風の盆でにぎわう八尾を訪れ、事件を調べ始める。美しい胡弓のメロディに合わせて、踊られる勇壮な男踊りと優美な女踊り。そこには、オワラの勢力争いのため引き裂かれた恋人たちの悲しい愛の姿があった。 なかなか面白いミステリーであったが、内田センセ、作品中で自分のことをだいぶ自画自賛しているようなシーンあったのにはちょっと笑ってしまった。 なお、この「風の盆」は、ネーミングが良いからか、西村京太郎や和久峻三も自分の作品で取り上げている。○応援クリックお願いします。 「風の盆幻想」(内田康夫:幻冬舎) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 7, 2008
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インスタントラーメンの歴史は、日清食品の安藤百福氏が発明した「チキンラーメン」に始まる。1958年(昭和33)のことである。子供の頃はよくこのチキンラーメンを食べていたが、最近は、色々な種類のインスタントラーメンが出ているので、あまり食べない。しかし、最近でも仲間由紀恵の出ているCMが放映されており、非常に息の長い商品である。日清 チキンラーメン 袋めん5袋×6パック 今では、インスタントラーメンは世界に広がり、日本の誇る(ちょっと大げさか?)世界食になっている。ということで、今日紹介する本は、「日本が生んだ世界食! インスタントラーメンのすべて」((社)日本即席食品工業協会:日本食料新聞社)である。内容は、インスタントラーメンの歴史、製造方法、その他インスタントラーメンに関係する資料などから構成されており、私のような門外漢にも分かりやすく読める。しかも、内容はかなり専門的であえり、この本を熟読すれば、インスタントラーメンの専門家として、誰でもかなりの薀蓄を語れるようになるような気がする。 たまには、このように、普段自分が読むものから、ちょっと変わった本を読んでみるのも面白い。○応援クリックお願いします。 「日本が生んだ世界食! インスタントラーメンのすべて」((社)日本即席食品工業協会:日本食料新聞社)風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 6, 2008
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だいぶ前に、「屍姫」の第1巻の記事を書いたが、今日はその第2巻の紹介だ。この巻で描かれているのは、かって、マキナを襲った悲劇、景世とマキナの悲しい再開、彼らの前に立ちふさがる敵・大群(おおぜいのけがれ)、そしてマキナの仇である七星の一人との対決である。 また、この巻では、もう一組の契約僧と屍姫のコンビである莉花と早季が出てくる。莉花の方は、僧なのにヘソ出しホットパンツ姿であり、とても僧侶には見えない(笑)早季の方は小さな少女の姿なのに、体に不釣合いな大斧という古典的な武器を使い、マキナが使うサブマシンガンとは対照的なのが面白い。○応援クリックお願いします。 ○「屍姫1」の記事はこちら「屍姫2」(赤人義一 :スクウェア・エニックス)風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 5, 2008
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日本人の多くは、自分の家は仏教であると思っていることと思う。もちろん、キリスト教や神道の家もあるが、やはり葬式などの際には、お寺に来てもらう家が圧倒的に多いのではないか。 でも考えてみると、ちょっと不思議である。例えば阿弥陀仏系の経典によると、阿弥陀仏の本願により、人間は死ねば、極楽浄土に生まれ変わる。そして、そこで修行して、成仏して仏になり、輪廻転生の苦しみから開放されるのである。別に、お寺にお経を上げてもらったから、成仏できる訳でもない。また、お墓や仏壇をつくって先祖を奉るというのも、阿弥陀如来の教えとはどこかそぐわない気がする。実は、これは、儒教の先祖崇拝の考え方がかなり入っているのである。また、仏教徒のはずなのに、何かにつけ神社にお参りをするし、キリスト教にゆかりのクリスマスやバレンタインデーには、国中が大騒ぎする。リモコン式・高級国産銅器仏具 これらの疑問を解き明かしてくれるのが、「仏教・神道・儒教集中講座」(井沢元彦:徳間書店)である。八百万の神々の住むわが国は、宗教に対して非常にフレキシブルであり、外来の神々をも、自らの中に取り込んで、日本独特のものに変換してしまうのだ。仏教しかり、儒教しかりである。 井沢氏の宗教についての考え方は、これまで、「逆説の日本史」シリーズなど、いろいろなところで騙られていたが、この本は、それらを一冊にまとめたような書である。「逆説の日本史」シリーズを読まれていた方には、それほど新しいことは見当たらないも知れないが、題名に「集中講座」とあるように、日本人の宗教観を再認識するには、最適の1冊であろう。 ○このブログ、ランキングで何位かな。覗いてみてね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 「仏教・神道・儒教集中講座」(井沢元彦:徳間書店) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 4, 2008
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入船山を見学して、港に戻る。呉港に隣接して、有名な「大和ミュージアム」があるが、その隣に、あるのが、海上自衛隊呉史料館である。愛称を、「てつのくじら館」と言い、2007年4月に開館した、まだ新しい博物館である。史料館の建物の前に、「てつのくじら館」のシンボルともいえる実物の潜水艦が屋外展示されている。この潜水艦は、実際に使われていたものであり、史料館の建物の方から中に入ることができるようになっている。「てつのくじら館」 この資料館は、潜水艦と掃海艇(機雷除去のための船)が2大テ ーマということで、展示物もそれに沿った興味深いものが多く展示されている。何よりも無料というのがうれしい。「展示物例その1」「展示物例その2」 帰りも、フェリーに乗った。途中、安芸の小富士と言われる似島が夕日に映えてとても綺麗だった。平和な時代がいつまでも続いて欲しいものである。「似島と夕日」○「軍港呉1」の記事はこちら○応援クリックお願いします。 ○呉市のホテル 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 3, 2008
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現代社会は、情報に溢れている。私たちの周りには、様々な情報が氾濫し、うっかりすると情報の洪水に押し流されていきそうな気がする。これらの情報をうまく整理して、役立てている人も多いと思うが、やはり大事なことは、できるだけ、手持ちの情報を厳選するということだろう。そんな折、「情報を捨てる技術」(諏訪邦夫:講談社)と言う本を見つけた。ブルーバックスシリーズの中の一冊である。 ところで、情報を捨てるとは、二通りの意味があるのにお気づきだろうか。一つは、入り口の段階であまり重要性のないものを切り捨てて、その情報にアクセスすることを止めるという意味である。そしてもう一つは、既に手元にある既存の情報であまり重要でないものを捨てていくというものである。本書は、この二つについて述べた後、最後の章で、自分流のパソコンによる情報整理術を紹介している。 私などは、捨てるのが下手なため、どんどん資料が溜まっていって、結局何がどこにあるのかすら分からなくなってしまうことが多い。この本には、「迷ったら捨てる」とか「使えないソフトは捨てる」とか「OSのバージョンアップは捨てる」など、色々なヒントが書かれている。ただし、発行が2000年のため、多少手に入りにくいかもしれない。○応援クリックお願いします。 「情報を捨てる技術」(諏訪邦夫:講談社)風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 2, 2008
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私は、活字中毒の気があるのか、暇さえあれば、本を読んでいる。読みたい本があまりにも多いので、なんとか限られた時間で速く読みたいと思い、読書法に関する本もよく読む。今日紹介する「差がつく読書」(樋口裕一:角川書店)もそんな読書法について述べた一冊である。 読んで気がつくのは、著者はとにかく分類好きだということである。まず読書の目的を大きく「実読」と「楽読」に分ける。「実読」とは、「何かの役に立てるための読書」であり、「楽読」とは、「楽しみのための読書」であるという。また、「実読」は、「多読」と「精読」、または「全読」と「部分読」に分けられ、更に「部分読」には「アリバイづくり読み」、「独立読み」、「裏づけ読み」、「飛ばし読み」、「斜め読み」の5種類があると主張している。しかし、「楽読」については、それほど分類はされていない。■文庫本棚(60cm幅・ブラウン)■ ところで、これらの分類は、けっしてうまいとは言えない。ロジカル・シンキングで教える分類のやり方に、MECE (Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive) というものがある。要はもれなくダブりなくということである。しかし、この本に述べられている読書法の分類は、必ずしもMECEになっていない。 まず、「多読」と「精読」は必ずしも対立する概念ではない。なぜなら、時間が有り余っていれば、「多読」で「精読」するというのは、少なくとも理論上は不可能ではない。「多読」には「少読」、「精読」には「速読」というのが対立概念であろう。また、「部分読」を細分した「アリバイづくり読み」、「独立読み」、「裏づけ読み」、「飛ばし読み」、「斜め読み」であるが、「アリバイづくり読み」や「裏づけ読み」は、読書の目的からの分類の匂いが強く、その他の3つは本の読み方からの分類である。 とはいえ、個々のテクニックには色々参考になることも多いので、体系的なことは無視して,役に立ちそうなところを拾い読みするのが良いであろう。○応援クリックお願いします。 「差がつく読書」(樋口裕一:角川書店)風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
March 1, 2008
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