全32件 (32件中 1-32件目)
1
今日紹介するのは、「灼眼のシャナ7」(高橋弥七郎:メディアワークス/角川書店)である。やっと7巻まで来たが、先はまだまだ長い。この作品について簡単に復讐すると、フレイムヘイズのシャナたちと世界のバランスを乱す「紅世の徒」(ぐぜのともがら)と戦いを描いたものだ。紅世の徒とは、人間の存在の力を食らって世界のバランスを乱す、異世界の住人。この「紅世の徒」が、世界を乱すことに憂慮した、強大な力を持つ「紅世の王」(紅世の徒と同種だが、強大な力を持っている者たち)が人間と契約して、彼らを討滅しようとしている。そして、フレイムヘイズとは、「紅世の王」と契約して、超人的な力を持つようになった人間である。 さて、この巻の内容である。とうとう、吉田一美は知ってしまった。坂井悠二が人間ではないことを。紅世の徒に存在の力を食われてしまった、「トーチ」と呼ばれる存在の残り滓に過ぎないことを。驚き逃げ出してしまう一美。しかし、それでも悠二が好きなことを改めて認識する。悠二をめぐる一美とシャナの恋のライバル関係は、新たな局面に入ったようだ。 今回の敵は、「教授」と呼ばれる「紅世の王」、「探耽求究」ダンタリオン。何を考えているか分からない、極めつけの変人のマッドサイエンティストだ。ミサゴ祭の最中、「教授」の「実験」が始まる。「実験」を成功させれば、御崎市は消滅してしまう。迎え撃つのは、「炎髪灼眼の討ち手」・シャナ、「弔辞の詠み手」・マージョリー・ドーそして「儀装の駆り手」・カムシンの3人のフレイムヘイズ。果たして実験を阻止できるか。 ところで、このカムシンの能力というのが、無茶苦茶である。ビルを壊して、瓦礫の大巨人を構成し、瓦礫をぶつけて攻撃するのだ。ものすごい破壊力の反面、精度の方は非常に大雑把で、巻き込まれないかと、あのマージョリー・ドーでさえびくびくしているのが面白い。 最後には、また新たな敵が現れ、今後の展開を予想させる。しかし、まだ後10巻くらいあるのか。○応援クリックお願いします。 ○「灼眼のシャナ6」の記事はこちら「灼眼のシャナ7」(高橋弥七郎:メディアワークス/角川書店) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 31, 2008
コメント(4)
これも、現文メディアさんから献本していただいた本である。心に残る本を送っていただいてありがとうございます。 今日紹介する「チャリンコ・ヒコーキ・ジャージャー麺」(イサンベ/ペクミョンシク :現文メディア/理論社 )は、「韓国人気童話シリーズ」の第1巻にあたる。 私も、韓国の事情には詳しくないが、著者による前書きを読むと、あちらには「少年少女家長制度」というものがあるようだ。これは、両親が死亡等で子供たちの面倒を見られなくなった場合に、満20歳以下の少年少女が、家事の実質的な責任を持って生活することを法的に許可する制度のことらしい。すなわち、子どもたちだけが残っても、いちばん上の子供が家長になれば、兄弟姉妹が施設などでばらばらに生活しなくてもよくなるのである。現在、韓国には、6千人もの少年少女家長がいるとのことだ。●チャリンコ(自転車) このお話の主人公であるトンスはまだ小学6年生の少年である。両親を亡くしたため、家長として、バラックで、弟のトンベ、妹のパンウルの面倒を見ながら暮らしている。彼らの生活は貧しい。しかし、貧しくても卑屈になったりはしない。それぞれが夢を持ち、なんともたくましく生きている。●ヒコーキ こういったお話には、意地悪な人が出てくることが多いが、この作品に出てくる人はみんな親切だ。どうも悲しい話は苦手なのだが、今回は安心して読むことができた。例えば、トンスが新聞配達で行く団地の管理人である「空軍おじさん」は、洗車のアルバイトを紹介してくれたうえ、自分の取り分を減らしてトンスに多めに報酬を渡してくれたり、トンスが欲しがっていた自転車を持ち主に安く売るように働きかけたりしてくれた。クラスメートのヘジュは、小児麻痺で片足が不自由だが、明るく積極的な少女で、トンスと仲が良い。そのヘジュの誕生日会に招かれた際には、ヘジュのお母さんが、誕生日のお餅のおすそ分けを装い、ごちそうの包みをもたせてくれた。こういった善意に囲まれて、トンス達は、貧しくとも前を向いて生きている。●ジャージャー麺 唯一はらはらしたのは、トンスが自転車を買うために貯めていたお金を、ゲーム中毒のトンベが根こそぎ使い込んでしまったことである。しかし、トンスは父親のことを思い出して、弟を許した。トンベも、模型飛行機という熱中できるものが見つかり、立ち直ったようだ。 最後は、トンベが模型飛行機大会で優勝したお祝いに中華料理屋でジャージャー麺を食べる場面で終わっているが、この兄弟は、これからも夢に向かってたくましく生きていくことを予感させる。○応援クリックお願いします。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 30, 2008
コメント(4)
当ブログの「大和西の京旅行記」の最後で予告しておいたように、引き続いて京都の旅行記に入る。訪れたのは南禅寺の界隈である。前日の奈良でちょっと歩きすぎたこともあり、比較的近場を選んだわけだ。[南禅寺豆腐」 京都にも市営の地下鉄がある。私の学生の頃はまだなかったが、1981年に京都市内を南北に走る烏丸線ができて以来、着々と延長されてきた。現在は京都市を東西に横切る東西線もでき、近鉄や京阪電気鉄道との乗り入れも行っている。今回は、久しぶりに地下鉄に乗ってみようということで、京都駅から烏丸線で烏丸御池まで行き、そこで東西線に乗り換え、目的地の蹴上まで行った。○京都市営地下鉄○地下鉄蹴上駅 ところで、蹴上といえば、日本で最初の水力発電所が作られたことで有名である。2007.6.21付の当ブログの記事 「大津1(関西旅行4)」で紹介したように、明治時代に、京都まで飲料用水や灌漑用水を運ぶために、琵琶湖疎水が作られた。この疎水の水を利用して発電したのが蹴上発電所であり、その電力で動いていた傾斜鉄道がインクラインだ。インクラインは、傾斜の急なこの地域で、三十石船をそのまま台車に載せて運んでいたとのことである。蹴上駅近くには、軌道とともに、台車がそのまま保存されているので、近くに行かれた際には、ぜひ見られるとよいだろう。○インクライン○琵琶湖疎水 もともと琵琶湖疎水事業は、東京への遷都により衰退した京都を復興させるための一大事業として始められたようである。この疎水の意義を多くの人々に伝えるべく、疎水竣工100年を記念して建てられたのが、「琵琶湖疎水記念館」だ。○琵琶湖疎水記念館 記念館の中には、疎水建設に関する多くの資料が展示されている。驚いたのは、この琵琶湖疎水を設計・施工を任されたのが、当時の東京工部大学校(現・東京大学工学部)を卒業したばかりの田辺朔郎だったということだ。大学卒の価値が薄れている現在なら、まず考えられないことである。○応援クリックお願いします。 ○泊まったホテル「R&Bホテル京都駅八条口 」 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 29, 2008
コメント(6)
今日は、「ロザリオとバンパイア5」(池田晃久:集英社)の紹介だ。何回か紹介したように、人間の男の子青野月音(つくね)が、妖怪の高校で、バンパイアやサキュバスなどの美少女たちに囲まれて、ハラハラドキドキながら、ちょっとうらやましい学園生活を送るというお話である。 前回に引き続き、今回も人間界の魔女との戦いから始まる。お館様と呼ばれる老魔女が、捨て身の魔法で大暴走。さしものモカもピンチに。悲しい魔女のお話の結末はいかに? 後半は、月音に登校拒否だった女の子がストーカーのように付きまとう。もちろん妖怪の美少女である、今度は、氷を操る雪女だ。かなりアブナイ感じの娘だと思ったら、実は・・・ まったく普通の男の子が、妖怪とはいえ、美少女たちにモテモテ。絶対、誰かの願望が120%入っているな。 ○応援クリックお願いします。 「ロザリオとバンパイア5」(池田晃久:集英社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 28, 2008
コメント(6)
「今のあなたは、そのままで素晴らしいのです。他の人になろうとしないでください。」(ティク・ナット・ハンの抱擁) 先日、現文メディア社さんから、本を数冊献本していただいた。この場を借りてお礼申し上げます。 その中の1冊がこの「ティク・ナット・ハンの抱擁」(ティク・ナット・ハン/高橋宣壽:現文メディア/理論社 )だ。ティク・ナット・ハン(Thich Nhat Hanh:釈一行)は、ヴェトナム禅の老子で、平和活動に従事する代表的な仏教者である。ベトナム戦争のさなかの1966年にアメリカで和平提案のスピーチをしたことにより、ベトナム政府から帰国を拒否され、現在はフランスで亡命生活を送っている。この本は、そのティク・ナット・ハン氏による珠玉の言葉を集めたものである。 ページをめくってみると、美しい写真と、そこに記された数行の味わい深い言葉が、見開きで、目に飛び込んでくる。そして、その次の見開きの2ページには、写真のページに記された短い言葉について、補足的な解説が加えられているという構成だ。これが、ワンセットで、1週間分という見立てであり、1年分、合計53週分もの心を洗われるような言葉が収録されているのである。 それにしても、こんなに短い言葉がどうして、心に沁み込んでくるのだろう。私たちの周りには、あまりに飾り言葉にまみれた表現が多い。そのような生活を送っていると、短い言葉でストレートに本質をついた言葉はとても新鮮に思えるのかもしれない。 心が苦しい時、何かに悩んでいるとき、パラパラと、この本をめくってみるといいだろう。きっと何か示唆となる言葉が見つかるに違いない。特に悩みが無い人でも、読んでいけば、心が豊かになる何か得られだろう。 最後にもう一つ本文から引用して終わろう。「あなたは人生という奇跡に、'まさにここ、今、この瞬間’でのみ出会えるのです。」 (参考) 松岡正剛「千夜千冊」の記事「ティク・ナット・ハン『禅への鍵』」○応援クリックお願いします。 ○「ティク・ナット・ハンの抱擁」(ティク・ナット・ハン/高橋宣壽:現文メディア/理論社 ) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 27, 2008
コメント(7)
「キミが消えてから、ぼくはいったい何通の手紙を書いたろう。届くはずのないキミに向かって、ひたすらに書き続けた手紙。それが一連の事件の真相に近づいていく鍵だったなんてことを、いったい誰が予想しただろうか」(北森鴻:メビウス・レター) 最近は北森鴻の作品がお気に入りだ。北森鴻は、1995年に、デビュー作の「狂乱廿四考」で、第六回鮎川哲也賞を受賞し、更に、1999年には「桜の下にて春死なむ」で第52回日本推理作家協会賞短編および連作短編部門賞を受賞している。すでに彼の作品のいくつかは当ブログでも紹介しているが、読み応えのある連作短編の書き手だ。今日紹介するのは長編小説の「メビウス・レター」(北森鴻:講談社)だが、これも期待を裏切らない面白さである。 この作品は、地震で倒壊した工事中の自動車道の橋脚近くから人骨が発見されたという新聞記事から始まる。そして、流行作家の阿坂龍一郎のところに手紙が次々に送られてくるようになった。二度と顧みないと誓って捨てたはずの過去からの手紙が。それは、7年前に、ある高校で、一人の生徒が焼身自殺を遂げたとされる事件の真相を追及するものであった。 そして、ストーリーは、裏と表の関係にある、現代と手紙の中の過去が、お互いに、入れ替わりながら進んでいく。まるで、どちらが表か裏かが分からないメビウスの輪のように。そして、手紙の中の一人称の「ぼく」の正体、管理教育の権化で犯人と目された体育教師三島や美人で人気者の音楽教師小椋の本当の姿、こういったものが次々とひっくり返りながら、最後は意外な事件の全貌が明らかになる。よく考えぬかれた、いかにも北森らしい読み応えのある作品である。○応援クリックお願いします。 ○メビウス・レター(北森鴻:講談社)風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら○関連ブログ記事・igaigaの徒然読書ブログ
July 26, 2008
コメント(8)
平城宮跡を見た後は、京都に戻るため、近鉄大和西大寺駅から、再び近鉄電車に乗って、京都駅に戻る。夕方ながら、まだ明るかったので、駅の近くにある「東本願寺」に寄ってみた。○京都のシンボル「京都タワー」 東本願寺は、浄土真宗「真宗大谷派」の本山である。東本願寺は通称で、真宗本廟が正式な名前だ。京都には「西本願寺」もあるが、こちらは、「浄土真宗本願寺派」の本山である。ちなみに、どちらも大学を持っていて、東本願寺の大学が大谷大学、西本願寺の大学が龍谷大学である。もともとは一つの宗派であったが、1602年(慶長7に)、教団内部の対立や徳川家康の宗教政策により東西に分裂したものである。浄土真宗は、この他にも、いくつもの分派が存在し、日本最大の宗教集団である。○東本願寺 そういえば、その昔、物知り顔で、東本願寺と西本願寺に違いを、親鸞が開いたか法然が開いたということであると、堂々と言ったおっちゃんがいたので、絶句したことがある。法然が開いたのは浄土宗で、本山は知恩院でんがな。 東本願寺の中は、どえらい大きな工事が行われており、何かビルでも建てるんかいなと思ったら、御影堂の修復工事だと言うことだ。建設中の仮設備だけでも、そのスケールには圧倒される。○御影堂修復中○応援クリックお願いします。 (大和西の京旅行記 終わり。 近々京都の旅行記を連載するので期待していて欲しい。)○「平城宮跡(大和西の京旅行記9)」の記事はこちら○泊まったホテル「R&Bホテル京都駅八条口 」 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 25, 2008
コメント(8)
本屋に行くと、集英社文庫で、かっての名作を、カバーイラストに有名漫画家を使いリニューアルしたものが並んでいた。 これは、結構有名。○「人間失格」(太宰治) こんなのもあった。○「地獄変」(芥川龍之介) こんなのも・・・○「こころ」(夏目漱石) なんやこれは! 荒木飛呂彦好きだけど、なんか違う! ○「伊豆の踊子」(川端康成 / 集英社 )○応援クリックお願いします。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 24, 2008
コメント(16)
さて、いよいよ本日最後の目的地である「平常宮跡」だ。平城宮は、今から1300年前の710年(和銅3)に元明天皇により遷都が行われ、784年に長岡京に都が移されるまでは、日本の中心であった。○平城宮跡標識 現在、文化庁による「特別史跡平城宮跡保存整備基本構想」に基づき、建物などの復元が進めら、1998年(平成10)には朱雀門が復元されている。2010年(平成22)には大極殿の第一次復原が完了予定だ。○平城宮朱雀門 朱雀門をくぐると、その後ろは野原が広がっている。雲雀の声も聞こえ、なんとものどかな景色だ。○朱雀門の向こう側 この平城宮の保存に尽力したのが、棚田嘉十郎である。1860年(万延元)奈良市の生まれで、私財を尽くして、平城宮の保存に力を注いだ。しかし、推挙した篤志家が約束を違えたことの責を取り、1921年(大正10)に自刃している。なんともすさまじい生き様だ。彼の死の翌年、平城宮跡は国の史跡として保護されることになった。○棚田嘉十郎像 平城宮跡を見物した後は、京都へ帰るため、また近鉄大和西大寺駅まで歩く。結構距離がある。この日は本当によく歩いた。 (続く)○応援クリックお願いします。 ○「垂仁天皇陵(大和西の京旅行記8)」の記事はこちら風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 23, 2008
コメント(6)
ビジネスの世界で、何でも自分が思った通りに物事を進められるというようなことは、ほとんどないであろう。例外的に、そのようなことができる立場の人もいるかもしれないが、ほとんどの人は、自分のプランを実行に移そうとすると、誰かにプランを説明して、承認を得たり、協力を求めたりする行為が必要になってくる。 こんな場合、つい力が入って、大作の分厚い企画書を作る人もいるであろう。しかし、心得違いをしてはいけない。分厚い企画書を読むというようなめんどくさいことを、誰もよろこんでやってはくれない。相手が、経営者などの忙しい人たちならなおさらである。 今日紹介する「企画書は1行」(野地秩嘉:光文社)は、企画書の魂は、「1行に込められた表現力と説得力」であるということを主張した本である。表題を見ただけでは、ちょっと勘違いするかもしれないが、何も企画書をたったの1行で書けと言っているわけではない。人を動かすための企画書には、1行で表現される、このような言葉が不可欠であるというのだ。そして、そのことを、多くの実例をあげて説明している。 ただし、これもまた勘違いしやすいのだが、企画書にいつも、そんな1行が、直接書かれているというわけではない。その企画の考え方の根本に、そんな1行であらわされるようなことがあるというような事例も多い。結局は、1行で表わされるくらい、企画のコンセプトを明確にしておけということであろうか。 出てくる、多くの事例は、非常に興味深く読める。一読しておいても損はないであろう。○応援クリックお願いします。 「企画書は1行」(野地秩嘉:光文社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 22, 2008
コメント(6)
土曜の夜は、テレビ朝日系の土曜ワイド劇場で、「京都殺人案内(31)」を観ていた。副題が、「夢の祇園・花歴の殺意!だらりの帯が涙に濡れた!幻の舞妓16年目の恩讐の夜」というちょっと怪しげなもということもあり、京都好きの私としては、これはぜひ観なくてはということである。 このシリーズは、知っている人も多いと思うが、京都府警の人情刑事音川音次郎(藤田まこと)が、人情たっぷりに、殺人事件を解き明かしていくというもので、今回が第31話にあたる。前回の放映が、昨年の12月なので、約半年ぶりということになる。ちなみに、同じ藤田まことが主演している刑事ドラマ「はぐれ刑事純情派」とまぎらわしいの間違えないように。 今回は京都らしく、祇園を舞台にした恩讐のドラマだ。失踪した祇園のクラブママ神谷怜子(立原麻衣)が、自分の車の中で殺されているのが発見される。遺体のそばには、1千万円もの現金が置かれていた。手がかりは、怜子の車の失踪後に走行距離140キロメートル。怜子は、昔祇園の舞妓だったが、かってかわいがってくれた置屋「与志川」の女将・寿美(波乃久里子)に、恩をあだで返すようなことをしていた。その心痛のため、寿美は、持病が悪化し、故郷の小豆島で療養中であった。音川は、事件の真相を探るために小豆島に向かう。 正直ドラマの方は、ちよっと退屈だった。普通、サスペンスだと、視聴者が飽きたころを見計らって、次の事件が発生させるものだが、それもなかった。おまけに、ちょっとよそ見をしている暇に、筋が分からんようになってしまったので、このブログを書くにあたって、番組の公式ホームページであらすじをもう一度確認しなければならなかった。 しかし、京都の祇園あたりや小豆島の風景は旅情を誘われるに十分だった。特に小豆島の夕日の場面は本当に美しかった。ぜひとも自分の目で見てみたいものである。○ドラマの中で出てきた「小豆島国際ホテル」(原作)・和久 峻三(監督)・岡屋 龍一(出演)・藤田 まこと(音川 音次郎) ・萬田 久子(音川 洋子) ・遠藤 太津朗(秋山 課長) ○応援クリックお願いします。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 21, 2008
コメント(10)
写真は、先般仕事で行った、大阪市の某所から見下ろした、中之島あたりの風景。大阪と言えば、景気が悪いということで、何かと財政再建に関する話題が多い。しかし、結構建設工事も行われており、旅人の目からは、そんなに景気が悪そうには見えない。写真では分かりにくいかもしれないが、見渡す限り、はるか向こうまでビルが並び、絶対に住みたくはないような眺めである。●大阪市中之島あたりの風景 こちらは、やっぱり先般仕事で行った、鳥取県倉吉市の風景。建物の密度と絶対量が全然違う。自然もまだ多く、このくらいの街が、一番住みやすいのではと思う。●倉吉市の風景 ○応援クリックお願いします。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 20, 2008
コメント(6)
最近、何やかやと言いながら森博嗣の作品をよく読んでいる。今回読んだのは「詩的私的ジャック」(講談社 )だ。犀川創平と西之園萌絵が密室トリックに挑戦する「S&Mシリーズ」の第4作目にあたる。日本語の表題は、いつも通りダジャレ風である。そして、他の森博嗣の作品と同様、これにも英語の副題として「JACK THE POETICAL PRIVATE」という題が付いている。 この作品の表題にある「ジャック」は、もちろん「Jack the Ripper」すなわちその昔ロンドンで発生した「切り裂きジャック」事件を意識してつけられたものだ。 今回の事件は、S女子大の助手杉東千佳が、大学のログハウスでT大の学生・前川聡美が殺されているのを発見することから始まる。続いて、T大の冷却ポンプ室で、S女子大の学生相田素子が同様の手口で殺される。警察の捜査線上に、犀川が担任していた、ロック歌手の結城稔が浮かぶが、またしても萌絵が通うN大の実験棟で杉東千佳が殺される。杉東は結城稔の義姉にあたる。そして、結城稔までも殺される。殺人現場はどれも密室で、被害者は腹部に、ナイフで文字のようなものを刻まれていた。 実は、私は、ミステリーをよく読むが、密室トリックにはあまり興味がない。それでは、なぜ密室トリックの多い森作品を最近よく読んでいるかというと、このシリーズ、登場人物特に犀川創平と西之園萌絵の会話のやり取りが、なんとも面白いのである。 萌絵に振り回されている感じの犀川のちょっととぼけた感じが、森博嗣の別の作品の「水柿助教授」を連想させる。この水柿助教授、どうも森博嗣自身がモデルのような感じがするので、この作品の犀川助教授も、彼の分身なのだろう。作品の中で、超美人の萌絵に慕われているという設定は、結局自分自身の願望なのだろうか? そんなことを考えながら読んでいると、結局、意外な人物が犯人だった。しかし、動機の方は、森博嗣らしく、我々一般人の理解を超える。密室トリックの方も、ちょっとしたどんでん返しがあるが、これもいかにも森博嗣らしいといえるだろう。○応援クリックお願いします。(両方押してね) 「詩的私的ジャック」(森博嗣:講談社 ) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 19, 2008
コメント(6)
唐招提寺を観終わると、今度は、復元された朱雀門を観ようと、平城宮跡に向かう。ちょっと距離があるが、行き方がよく分からないし天気も良いので、地図を片手にぶらぶら歩く。 途中、寄ったのが、「垂仁天皇陵」。堀に囲まれた巨大な前方後円墳だ。垂仁天皇は、崇神天皇の第三皇子で、第11代天皇とされている。周りにはため池らしいものもあり、地元のおじさんたちが、何かを釣っている。何が釣れるかと声を掛けると、鯉だとのこと。○垂仁天皇陵遠景○垂仁天皇陵近景○垂仁天皇陵近くのため池 古墳を、堀の向こうから少し眺めた後は、またぶらぶら平城宮跡まで、向う。途中で「秋篠川」を横切る。もうじき平城宮跡だ。○秋篠川 (続く)○応援クリックお願いします。 ○「唐招提寺(大和西の京旅行記7)」の記事はこちら風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 18, 2008
コメント(6)
先日うちの子が、懐かしいものを買ってきた。「イナズマン(1)」(石ノ森章太郎 :秋田書店 )である。石ノ森章太郎といえば、なんといっても「サイボーグ009」か「仮面ライダー」だと思うのだが、「イナズマン」とは何ともマニアックだ。調べてみると、週刊少年サンデーに1973年から1974年にかけて連載されており、アニメにもなっていたようだ。石ノ森マンガで育った私でさえ、その存在を完全に忘れていたが、どういうわけか、最近文庫本で出ているらしい。 内容は、超能力に目覚めた風田サブロウが電光を操る超能力者イナズマンに変身して、仲間たちと、人類を滅ぼそうとする超能力者の組織と闘うものだ。石ノ森作品で超能力といえば、平井和正原作の「幻魔大戦」を思い浮かべる。また変身といえば、もちろん「仮面ライダー」だ。この作品は、これらの要素を合体させたようなテイストがあり、改めて読んでみるとなかなか面白い。 「イナズマン」というネーミング自体、今の時代では考えられないセンスだが、これが、かえって新鮮だ。○応援クリックお願いします。(両方押してね) ○「イナズマン(1)」(石ノ森章太郎 :秋田書店 )風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 17, 2008
コメント(8)
薬師寺の玄奘三蔵院を見物した後は、田舎道を通って、ぶらぶらと「唐招提寺」に向かう。途中、すごく入りにくそうな喫茶店らしきものがあったが営業していたのだろうか。○これがその喫茶店? 鉄条網が人を拒んでいるような・・・ さて、「唐招提寺」の方だが、井上靖の有名な小説である「天平の甍」で有名な鑑真和尚の開いた寺である。南都六宗のひとつである律宗の総本山だ。鑑真は、5回にわたる渡海の失敗にもくじけず、仏法を広めようと、日本に渡って来た。金堂は、残念ながら平成12年5月から解体修理中であった。終わるのは平成21年6月の予定のようだ。○唐招提寺入口○唐招提寺標識 金堂の後ろには講堂があり、本尊の巨大な弥勒如来を始め、多くの仏像が安置されている。講堂を観た後、高床式の由緒ありそうな宝蔵の前を通り、新宝蔵に行ってみる。ここには、金堂にあった巨大な大日如来像他多数の木造物が展示されている。一部破損している仏像もあるが、それでも重要文化財というのはすごい。○唐招提寺宝蔵○唐招提寺新宝蔵 (続く)○応援クリックお願いします。 ○「薬師寺玄奘三蔵院(大和西の京旅行記6)」の記事はこちら風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 16, 2008
コメント(8)
森博嗣Gのシリーズの第5作目にあたる「λに歯がない」(森博嗣:講談社)を読んだ。Gシリーズというのは、ギリシャ文字から始まる一連のシリーズで、いずれも意味不明のタイトルが付いている。 このシリーズも、デビュー作の「すべてがFになる」に源流をさかのぼれる、N大学助教授の犀川創平とその教え子の西之園萌絵が活躍する一連のシリーズのひとつである。ただし、このGシリーズは、元犀川研の助手の国枝桃子が現在助教授を務めているC大学(大学院含む)の学生である、山吹早月、海月及介、加部谷恵美の3名が中心になって動いている。もっとも、謎ときはかなり、萌絵が動いて、最後は犀川が締めくくるような感じなのだが。山吹は、キャラとしては普通の人だが、ミニ犀川のような感じで、いつもテンションの低い海月とやたらテンションの高い加部谷の組み合わせが面白い。 ところで、理系ミステリーといえば、少し前に「ガリレオ」が話題になったが、このシリーズも完全に理系ミステリーと言える。もっと絞って言えば、著者が元建築学の大学助教授だったこともあり、建築学系ミステリーの色合いが強い。 今回の事件も、密室殺人。国枝が共同研究を行っていたT建設技術研究所で4人の人間が殺されていた。現場は密室。死体は全員歯を抜かれており、そのポケットには「λに歯がない」と書かれたカードが。西之園萌絵は、これまでの事件での実績により、密室殺人の専門家とみなされているようで(実はその後ろにいる犀川が当てされているようなところもあるのだが)、警察に協力して、事件の推理を進める。 今回の密室トリックもかなりの力技。まさに理系トリック、工学系トリック、建築系トリックである。これは、建築に詳しくないと、思いつかないかもしれない。 このシリーズには珍しく、本作品では、題名の一部の意味が分かる。「歯がない」という部分だ。しかし「λ」の意味は相変わらず不明である。さらに、やはり、このシリーズには珍しく、犯人と動機も明らかになる。だが、やっぱり、分からない部分の方が大きく、すっきりしない。シリーズが進めば、このもやもやがとれるのだろうか?○「λに歯がない」 (森博嗣:講談社) Gシリーズの過去記事○「τになるまで待って」の記事はこちら○「εに誓って」の記事はこちら○「φは壊れたね 」の記事はこちら森博嗣の小説の原点。犀川、西之園と真賀田四季との最初の関わりはここから始まる。○「すべてがFになるの記事はこちら○応援クリックお願いします。(両方押してね) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 15, 2008
コメント(6)
私が、薬師寺を訪れた時には、「玄奘三蔵院」の特別公開が行われていた。入場券は、薬師寺と共通で800円のものを買ったので、観ておくことにする。この建物は玄奘三蔵を祀るもので、建設は1991年とまだ新しい。ここの見どころは、平山郁夫による13枚の「大唐西域壁画」。なんと制作に30年もかかったらしい。 玄奘三蔵院から薬師寺を眺めると、また風情がある。○玄奘三蔵院○玄奘三蔵院から薬師寺を望む 壁画は、全部で49メートルにもなる壮大なもので、西域への旅の困難さがよく描かれている。ものすごく奥行きが感じられる迫力のある壁画だ。天井には、ラピスラズリで、見事な星空が描かれている。 玄奘三蔵院を観た後は、「唐招提寺」に向かうため、入ったところとは違う出口から出たが、通路の両側には牡丹の花が美しく咲いていた。(訪れたのはまだ春のころなので念のため)○玄奘三蔵院の牡丹 (続く)○応援クリックお願いします。 ○「薬師寺(大和西の京旅行記5)」の記事はこちら風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 14, 2008
コメント(8)
金曜日の夜は、日本テレビ系の「金曜ロードショー」で「ゲド戦記」を観ていた。ゲド戦記は、ヒューゴー賞とネビュラ賞をW受賞したSFの名作「闇の左手」で有名な、アーシュラ・K・ル=グウィンの原作によるものである。ただし、宮崎駿の絵物語である「シュナの旅」も原案として付け加えられているので、原作とはだいぶ異なった部分があるようだ。 物語について簡単に紹介しよう。エンラッドの王子アレンが、父王を刺して出奔し、旅の途中で、ハイタカ(大賢者ゲド)に出会い、共に旅を続ける。しかし、アレンが、奴隷狩りの一団に捕まりってしまう。ハイタカはアレンを助け、昔馴染みのテナーの家に身を寄せた。しかし、テナーと一緒に住んでいる少女・テルーは、アレンに対し冷たい。一方、ハイタカに恨みを持つ悪い魔法使い・クモの魔手がハイタカたちにせまる。 この作品は、宮崎駿の息子である宮崎吾朗が監督を務めたが、内外で散々な不評を買ったことで知られる。ということで、かえって興味をひかれ観てみたが、なるほど、批判の多いのもうなずけると思った。 冒頭で、アレンは、父王を刺すが、これが、全く唐突で、理由がよく分からない。竜が出てくるが、その意味が不明だ。最後は、テル―が竜に変身したようだが、なぜ?ハイタカとクモの因縁は?アレンの影は、なぜ現れるようになったのか?真名を教えると結局どうなるの?とにかく話の設定がよく分からないことだらけだ。 映画の続編などは、前作を観ないと、よく分からない場面が結構出てくる。この映画もそんな感じだ。しかも、その前作なんて、どこにも存在しないのである。もっとも、最初にアレンが父王を刺した場面は、フロイト流に解釈すれば、監督の、偉大な父親に対するエディプス・コンプレックスの現れとなるのかもしれないが。 もっとも、悪いところばかりともいえない。絵は他のジブリ作品同様きれいだし、手嶋葵の挿入歌「テル―の唄」は、素朴な感じがなかなかいい。ネットを調べると、この唄の場面を延々とやっているところに、演出のまずさを指摘する意見もあったが、その時間、よく分からない話を続けられるよりはましではないかと思う。(原作)・「ゲド戦記」(アーシュラ・K・ル=グウィン ) (原案)・「シュナの旅」(宮崎駿 ) (監督)・宮崎吾朗(製作)・スタジオジブリ ○応援クリックお願いします。(両方押してね) ○DVD「ゲド戦記」 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 13, 2008
コメント(16)
秋篠寺から、のんびりと、坂道を降りながら、近鉄大和西大寺駅に戻ると、再び近鉄電車に乗り込み、西ノ京駅に向かう。近鉄橿原線でわずか2駅の距離だ。この近鉄西ノ京駅のすぐ近くにあるのが、これまた本日のメインの目的地のひとつ「薬師寺」である。○薬師寺境内 薬師寺は、南都な七大寺のひとつで、法相宗の大本山だ。天武天皇の発願により、680年(天武天皇9年)より飛鳥の地に建設が始められ、698年(文武天皇2年)には、ほぼ完成した。平城遷都に伴い、現在の地に移ったのは、710年(和銅3年)のことである。広大な敷地には、金堂や大講堂をはじめ、堂々たる建物が並ぶ。境内に入ると、極彩色の建物の美しさに目を奪われるが、実は、ほとんどの建物は、近年に再建されたものだ。今なお白鳳時代の歴史を背負っている東塔(国宝)以外は、1528年(享禄元年)の兵火により、いったんは焼失してしまっている。再建された極彩色の建物が並ぶ中で、モノトーンの色彩の東塔が、目立って、なんとも面白い。○薬師寺東塔(国宝) 大講堂に入ってみると、中には弥勒三尊が安置してある。真中に弥勒如来、向って右に法苑林(ほうおんりん)菩薩、右側に大妙相菩薩が並んでいる。弥勒は、釈迦入滅後56億7千万年後に現れると言われる仏だ。」それまでは菩薩として兜率天で修行中ということで、如来形の造形は珍しいのではと思う。○薬師寺大講堂 続いて、金堂に入ってみる。ここに置かれているのは、薬師三尊だが、この時は、脇侍の日光、月光菩薩が、「国宝薬師寺展」に出張中で、実物大の印刷された写真が貼ってあったのはご愛敬。○薬師寺金堂(続く)○応援クリックお願いします。 ○「八所御霊神社(大和西の京旅行記4)」の記事はこちら風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 12, 2008
コメント(6)
「τになるまで待って」(森博嗣:講談社) を読んだ。相変わらず意味のよく分からない題だが、「φは壊れたね 」、「θは遊んでくれたよ」に続く森博嗣Gのシリーズの第三作目にあたる。ちなみに、この作品の次が「εに誓って」である。○「τになるまで待って」 (森博嗣:講談社) このシリーズの主役は、C大学または大学院の学生である、山吹早月、海月及介、加部谷恵美の3名である。この3名、今回は、探偵・赤柳の手伝いのバイトのため、森の奥にある「伽羅離館」を訪れる。そこは、自称超能力者の神居静哉の別荘であった。ここで、調べ物をするというのだ。その館には、他にも新聞記者の富沢やカメラマンの鈴本も取材のため来ていた。 ところが、神居静哉が、自室で殺される。部屋は、中から閂がかかっており、密室となっていた。さらには、外に通じるドアも開かず、一行は、建物の中に閉じ込められてしまう。「τになるまで待って」とは、神居が殺される前に聞いていたラジオドラマのタイトルだそうだが、いったいどんな意味があるのだろう。 結局密室トリックの謎は、犀川が来て、あっというまに解決していくのだが、そのトリックというのが、かなりの力技で、ちょっとあぜんとしてしまった。やっぱりトリックは力技よりはエレガントな方がいい。 それにしても、今回の事件も、分かったのは密室のトリックだけで、誰が何のためにやったのかは分からず、読後に不完全燃焼の感が残ってしまう。背後には、真賀田四季の影がちらついているようだが。この後どう進んで行くんだろう。結局よく分からないことだらけだ。Gシリーズの過去記事○「εに誓って」の記事はこちら○「φは壊れたね 」の記事はこちら森博嗣の小説の原点。犀川、西之園と真賀田四季との最初の関わりはここから始まる。○「すべてがFになるの記事はこちら○応援クリックお願いします。(両方押してね) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 11, 2008
コメント(8)
秋篠寺の南門を出るとすくそこにあるのが、「八所御霊神社」である。○秋篠寺南門 本殿は、桧皮葺の三間社流造であり、奈良県の指定文化財(昭和52年指定)である。「八所御霊神社」 の名前は、崇道天皇、伊豫親王、藤原吉子、橘逸勢、文屋宮田麻呂、藤原広嗣、吉備大臣、火雷神の八柱の御霊を祀っていることに由来するようだ。 御霊というのは怨霊のことで、貴族たちの勢力争いの中で、悲運な死を遂げたものは、怨霊となって祟りをなすが、これをうまく祀れば、逆に守り神になるという。しかし、これも貴族連中に限ってのことであり、庶民の中には、もっと悲惨な死に方をした者も多かったと思われるが、彼らが祀られたという話は聞かない。 この中で、もっとも有名な怨霊は、崇道天皇だろう。実際に天皇に即位したことはなく、生前は早良親王(さわらしんのう)と呼ばれていた。桓武天皇の弟に当たるが、藤原種継暗殺事件に連座して、淡路に流される途中に憤死した。その後、関係者に病死などが続いたため、崇道天皇の名を追贈されたものである。 その他祀られている御霊も、悲運の死を遂げたものばかりであるが、吉備大臣はよく分からない。吉備大臣は、吉備真備のことで、学者から大臣まで出世した人物である。ちなみに、近世以前に、学者から大臣になったのは、他には菅原道真だけだということだ。吉備真備は、特に悲運の死を遂げたということはなかったのではないかと思うのだが。○八所御霊神社 八所御霊神社を見学した後は、いったん、近鉄大和西大寺駅に戻ることにする。帰りは下り坂が続くので、歩いてのんびりと戻ることにした。(続く)○応援クリックお願いします。 ●「秋篠寺(大和西の京旅行記3)」の記事はこちら風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 10, 2008
コメント(6)
さて、次は、秋篠寺である。奈良時代末期の創建で、宮家の名前も、この寺にちなんでつけられる位の由緒ある寺だ。大和西大寺駅からは、ちょっと距離があるので、バスで行くことにする。奈良交通の「押熊」行きバスで170円の料金だ。 同じバスに、坊主頭の大群が乗り込んでくる。さすがは古都奈良、神社仏閣の街なんちゃって。実は、高校の野球部の連中だったというオチ。みんな大きなスポーツバッグを抱えているので、バスの中は、足の踏み場もないような状態であった。○奈良交通バス バスは、住宅地の中の狭い道を抜けて、秋篠寺に到着。約6分の距離だ。境内に入ると、まるで林の中を歩いているような感じで、木が多く茂っている。苔の緑が美しい。どこからか鶯の声が聞こえた。(訪れたのはまだ春のころなので念のため)○秋篠寺入り口 林を抜けて、本堂のある場所までたどり着く。ここで500円の入場料を取られる。本堂は、思ったよりシンプルな感じだ。鎌倉時代の再建であるが、国宝となっている。この本堂には、多くの仏像が安置されている。薬師三尊(薬師如来、日光菩薩、月光菩薩)を中心に、左右に12神将が6対づつ配置され、向って右側には、不動明王と帝釈天、左側には地蔵菩薩と伎芸天が安置されている。この他にも、国立博物館に寄託されている仏像もあるようだ。いずれも、すばらしいお姿で、ずっと眺めていても見あきない。○秋篠寺境内○秋篠寺本堂 この仏像群の中で、もっとも有名なのは、左端にある伎芸天であろう。数ある仏像の中でも、もっとも美しいものの一つだ。大自在天(シヴァ神)の髪の生え際から生まれたとされる天女であり、名前のとおり、技芸習達をさせてくれる神様である。しかし、技芸天は、他に作例がなく、この像も頭部のみが平安時代のオリジナルで、体は鎌倉時代に継ぎ足されたもので、技芸天ということに疑問の声もあるようだ。もしかすると、この像が帝釈天と対となる位置に置かれていることに、何かヒントがあるのではないかと思ってみる。 技芸天に近づいてみると、わずかに彩色の跡が残っているのが分かる。前から見ると、美しい天女だが、横から見ると、案外どっしりしているのは、美女の基準が、現代とは異なっていたためだろうか。(続く)○応援クリックお願いします。 ●「西大寺石落神社(いしらくじんじゃ)本殿(大和西の京旅行記2)」の記事はこちら風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 9, 2008
コメント(8)
最近、私の書いた記事に、コメントを書こうとしても、「禁止ワード」があると言うエラーメッセージが出て、書き込めないという現象が頻発している。自分が、コメントに返信をしようとしても、同じ現象が出て困っている。 楽天の場合、あまりにスパムが多く、ある程度の禁止ワードの設定はしているが、どうみても、禁止ワードは含まれていない。一昨日は、コメントに、何も書かずに、そのまま「返事を書く」で返信してもエラーが出た。一度書き込めたコメントから実質的には何も変わっていないにもかかわらずである。今日は、笑い話のようだが、カタカナの「コメント」が引っ掛かった。ひらがなに直したら、こんどは書き込めた。 楽天に問い合わせたところ、以下のようなとぼけた回答が返ってきた。真面目に調査する気はないようだ。顧客の声を真面目に聞かないようなら、楽天はもう終わっていると言わざるを得ないだろう。 他の人のブログでも、エラーが最近よく出ているということを読んだ。このブログをお読みの皆さんのブログではどうだろうか?○応援クリックお願いします。 ***** 以下楽天からの回答 *****楽天ブログ ユーザサポートでございます。日頃から弊社サービスをご利用いただきまして、誠にありがとうございます。楽天ブログの、日記のコメントの 書き込みについてでございますが、お申し出いただいたエラーメッセージが表示される場合は、書き込み制限の設定によるものと思われます。 下記の設定をされている場合、お申し出いただいたエラーメッセージが 表示されるようになっております。 -------------------------------------------------------------------------■禁止ワード設定(設定したワード、URL) ・単語単位で認識されます。 (例:「H」を登録した場合は「NHK」もはじかれます。) (エラーメッセージ:ユーザが禁止設定をしている文字列が含まれています。) ※禁止ワード設定につきましては、禁止ドメイン設定、禁止URL設定と同様、 1つの枠内にスペースや、カンマ等を入力されますと、正常に機能しない場合もございます。-------------------------------------------------------------------------今一度、ご確認いただきますようお願いいたします。なお、上記をご確認いただいても状況が改善されない場合は、一旦、禁止ワードの枠内を全て空白にしていただき、書き込みをお試しください。また、この度は貴重なご意見をありがとうございました。 私どもも、皆様のご意見をうかがいながら、よりよいサービスを 提供できるようにつとめてまいる所存でございます。 この度いただいたご意見についても、今後の運営において参考に させていただきたく存じます。 何卒よろしくお願い申し上げます。
July 8, 2008
コメント(9)
今日は、「ロザリオとバンパイア4」(池田晃久:集英社)である。この作品第1シーズン全10巻のうち、やっと4巻まで来た。人間の男の子青野月音(つくね)が、妖怪の高校で、バンパイアやサキュバスなどの美少女たちに囲まれて、ハラハラドキドキの学園生活を送るというお話である。 陽海学園は夏休み。つくねたち新聞部の仲間は、人間界へ合宿に。ところが、そこでもやはり事件に巻き込まれる。着いたところは、一面のひまわり畑。ところが、ここで、最近、神隠しが頻発しているという。 今回もまた、新しいキャラが出てくる。瑠妃(るび)という魔女、もちろん美少女だ。陽海学園の生徒で、同じ魔女の紫(ゆかり)を仲間に引き入れようと、つくねたちを襲ってくる。結局は、瑠妃もつくねのやさしさにうたれてしまうのだが、瑠妃の背後には、お館様と呼ばれる老魔女が。そして、明らかになる、魔女たちの悲しいお話・・・。 しかし、日本なのに、どうして魔女が住んでいる?○応援クリックお願いします。 「ロザリオとバンパイア4」(池田晃久:集英社) ○「ロザリオとバンパイア3」の記事はこちら風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 8, 2008
コメント(4)
西大寺の入口(東門)から、道を挟んですぐの場所に、小さな神社があるのに気がつく。西大寺の境内飛び地となっている西大寺石落神社(いしらくじんじゃ)だ。西大寺の鎮守として、1242年(仁治3)に祀られたのが始まりだという。奈良市指定文化財となっている。○石落神社説明板 訪れたのは、まだ春のうちだったので、地面に、桜と椿の花の絨毯が敷き詰められたようになっていて、とても風情があった。○西大寺石落神社本殿 さて、次はいよいよ本日のメインのひとつ秋篠寺だ。 (続く)○応援クリックお願いします。 ●「奈良西大寺(大和西の京旅行記1)」の記事はこちら 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 7, 2008
コメント(6)
だいぶ遅れ気味になったが、春に奈良に行った時の旅行記の連載を開始しよう。奈良まで行く方法は、いくつかあるが、このときは、京都駅から近鉄電車でいくことにした。JR京都駅と同じ敷地内にある、近鉄京都駅から、橿原神宮行きの急行に乗り込む。近鉄電車は特急もあるのだが、別途高い特急料金を取られるので、できるだけ特急は使わない。○近鉄電車(近鉄京都駅にて) 本日の最初の目的地は、奈良「西大寺」である。真言律宗の総本山だ。名前から想像できるように、本来は、「東大寺」とペアになるべき寺だ。平安時代以降衰退したようだが、それでも多くの国宝や重文クラスの寺宝を有している。大きな抹茶茶碗で、お茶を回し飲みする大茶盛の行事でも知られている。創建は、765年(天平神護元)。称徳天皇の勅願により建てられた寺である。ちなみに、岡山市にも西大寺(観音院)という寺があり、天下の奇祭「会陽」(裸祭り)で有名であるがこれは余談。 電車を降りたのは、近鉄大和西大寺駅。この駅は4方向に、線路が延びて、関西の主要な観光地へ行くための拠点となっている。西大寺は、ここから歩いてほんの数分である。○近鉄大和西大寺駅○西大寺入口 境内には、本堂、四王堂、聚宝館、愛染堂などの建物があるが、ちょっとびっくりしたのは、建物ごとに拝観料を取るのである。これは、ちょっとかなわないと思いながら、折角来たのだからと、本堂だけ入ってみた。ここに収められている仏像は、本尊の釈迦如来像をはじめ、文殊菩薩像、弥勒菩薩像など。最初の2つは、重要文化財に指定されている。本堂自身も重要文化財だ。○西大寺本堂 (続く)●奈良西大寺のHPはこちら●岡山西大寺(観音院)のHPはこちら○応援クリックお願いします。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 6, 2008
コメント(8)
京都嵐山に、大悲閣千光寺という寺がある。JR「嵯峨嵐山」駅から徒歩40分と、ちょっと離れた山の中腹にあるため、私もまだ、訪れたことはないが、メジャーコースを外れているため、ひっそりとした佇まいらしい。しかし、京都市内や東山三十六峰を見渡せ、景色がすばらしいと聞く。江戸時代初期に、角倉了以が開いた禅宗の寺だ。 この実在の寺を舞台にした、北森鴻のミステリー短編集が、「支那そば館の謎 - 裏京都ミステリー -」 (光文社)である。実在の寺にも関わらず、「貧乏寺」扱いしていたので、怒られないかと思ったが、巻末の解説を、大悲閣千光寺の大林道忠住職が書いており、北森氏と親交があるようだ。 もちろん、登場人物の方は、架空の人物であるが、実在の寺の住人が主役のミステリー小説というのも珍しいのではないだろうか。 千光寺の寺男の有馬次郎は、元怪盗だ。ある時千光寺に忍び込んで、逃げる時に、階段を転げ落ちて、骨折してしまう。ところが、千光寺の住職は、有馬を警察に突き出すどころか、介抱してくれたうえ、寺男として働くことを勧めてくれた。そんなわけで、有馬は、心を入れ替え、寺に居ついてしまった訳だ。でも、元々事件巻き込まれ体質なのか、さまざまの奇妙な事件に巻き込まれる。しかし、昔取った杵柄である特殊能力(泥棒するための技術ですな)を活かして、事件を解明していくというお話だ。 掲載されているのは、以下の6篇。「不動明王の憂鬱」「異教徒の晩餐」「鮎踊る夜に」「支那そば館の謎」「居酒屋 十兵衛」 事件の解決の重要なヒントを与えてくれる知恵者の千光寺住職、恥じらいをどこかに置き忘れてきたみやこ新聞の女性記者・折原けい、自他共に認める府警の税金泥棒・碇屋警部、バカミス賞作家・水森賢など、有馬を取り巻く人物たちがなんとも面白い。これって続編はないのかな。○応援クリックお願いします。 ○「支那そば館の謎 - 裏京都ミステリー -」 (北森鴻:光文社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
July 5, 2008
コメント(4)
山陰本線を走る列車。 伯耆大山駅で撮影した米子行き。 こちらは、鳥取方面行き。○応援クリックお願いします。
July 4, 2008
コメント(2)
倉吉駅前の通りから駅側を眺めた風景。 電線が地中化されており、すっきりした眺めだ。 こちらは、夜の倉吉駅。○応援クリックお願いします。
July 3, 2008
コメント(3)
倉吉で泊まったホテルの横に咲いていた花。「何の花だろう?」と暫定版に書いていたら、yasu41asyさん から「アガパンサス」と教えていただいた。「ムラサキクンシラン」とも呼ばれる、ユリ科の花のようだ。 これが、泊まった「ホテルセントパレス倉吉」。倉吉駅前にあるので、鳥取県中部の観光やビジネスに便利だ。 ○応援クリックお願いします。
July 2, 2008
コメント(6)
移動中の列車の車窓からの風景。 遠くに見えるのは山陰を代表する山、大山。○応援クリックお願いします。
July 1, 2008
コメント(8)
全32件 (32件中 1-32件目)
1