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金曜日の夜は、日本テレビ系の金曜ロードショーで「舞妓Haaaan!!!」を観ていた。ところで、この題名、覚えるのが結構難しい。読み方はすぐ覚えられるのだが、書き方となると、「a」が4つで「!」が3つと、結構ややっこしいのである。DVD「舞妓Haaaan!!!」 それは、さておき、話の方であるが、舞妓さんオタクの鬼塚(阿部サダヲ)は、「舞妓さんと野球拳をすること」が夢であった。念願の京都支社にめでたく?左遷され、彼女の富士子(柴咲コウ)を振って京都へ。しかし、お茶屋には「一見さんお断り」の壁が。なんとかお茶屋遊びをしたい鬼塚は、社長に連れて行ってもらおうと、新商品の企画を。 しかし、お茶屋で乱入してきた、野球選手の内藤(堤真一)は、そのお茶屋の息子で、鬼塚お気に入りの駒子(小出早織)の兄でもあった。おまけに、 鬼塚の運営していた舞妓さん専門のホームページの「荒らし」だったのである。ここから、鬼塚の内藤に対抗した、怒涛の快進撃が始まる。しかし、内藤は、いつも一歩先を行っていた。 一方、富士子も京都にやってきて、鬼塚の通っているお茶屋で舞妓の修行を始める。 脚本が宮藤官九郎ということから、想像がつくように、最初から最後まで、ドタバタの味付けである。でも、そんなドタバタのなかにも、しんみりとした話が織り込まれて、結構面白かった。 一言で感想を言えば、 「面白く、やがて哀しき 『舞妓Haaaan!!!』」といった感じかな。 でも、実は私は、白塗りは苦手だ。いくら伝統だからと言っても、刷毛を使ってまで、あんなに白く塗らなくても良いと思うのだが。首の後ろって、あんな感じで塗り残すんだな。それに、舞妓さんって祇園だけでなく夢川町も有名なのか?京都には長く住んでいたが、貧乏学生だったので縁がなかったからな。(監督)・水田伸生 (脚本)・宮藤官九郎 (出演)・阿部サダヲ (鬼塚公彦)・堤真一 (内藤貴一郎)・柴咲コウ (大沢富士子)・小出早織 (駒子) ・伊東四朗 (鈴木大海) ほか○応援クリックお願いします。 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 31, 2008
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南禅寺方丈を観終わって、次に訪れたのは「南禅寺天授庵」だ。ここは、南禅寺開山第一世大明国師無関普門禅師を奉納する南禅寺開山塔である。○天授庵 ここも、紅葉の若葉と苔の緑と庭に敷かれた小石の白さとのコントラストが美しい。これが、秋になれば、きっと紅白のコントラストに変化するのであろう。○天授庵庭園 ここは、建物には入れず、庭の見学のみである。建物の中から、木魚をポクポク叩きながら、大きな声でお経を唱えているのが聞こえてくる。白人の中年女性が縁側に座って、何かをポリポリと食べていたが、突然こちらに話しかけてくる。お経の声がうるさくて、何を言っているのかわからない(ということにしておこう)が、どうも、持っていたカメラのシャッターを押してくれるらしい。ありがたくお願いしたが、残念ながら、シャッターの隣にある電源ボタンを間違って押したらしく、撮れていなかった(涙)。でも、ここは、国際親善のため、にこやかに「Thank you!」とお礼を述べる。 小さな庭だと思っていたら、ぐるっと回ると、大きな池のある回遊式の書院南庭に出て、ちょっと驚いた。○天授庵南庭○応援クリックお願いします。 (続く)○「南禅寺方丈(南禅寺界隈散策4)」の記事はこちら○泊まったホテル「R&Bホテル京都駅八条口 」 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 30, 2008
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人間の存在の力を喰らい、世界のバランスを乱す「紅世の徒」(ぐぜのともがら)と、シャナ達フレイムヘイズとの戦いを描いた壮大なサーガである「灼眼のシャナ」(高橋弥七郎:メディアワークス/角川書店)シリーズも、やっと10巻目を紹介できる。 この巻は、これまでとはがらりと変って、主人公は、シャナではなく、マティルダ・サントメール。シャナの先代の「炎髪灼眼の討ち手」たるフレイムヘイズである。時代も、16世紀初頭のころという設定だ。紅世の徒たちは、「棺の織手」アシズとその9人の幹部「九垓天秤」を中心に「とむらいの鐘」という軍団を結成していた。この物語は、アシズがな成し遂げようとした「壮挙」とそれを阻止しようとするフレイムヘイズたちの戦いを描いたものである。内容の続き具合からいえば、 「灼眼のシャナS」 の中の短編「キープセイク」と「灼眼のシャナ5」の間に当たる。 今回は、敵味方とも、戦いの中で散っていった愛が多く描かれている。そして、残された者の思い。マティルダがとても魅力的に描かれているだけに、彼女の最後はとても悲しい。 ○応援クリックお願いします。 ○「灼眼のシャナ9」の記事はこちら「灼眼のシャナ10」(高橋弥七郎:メディアワークス/角川書店) 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 29, 2008
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三代目澤村田之助といえば、屋号を紀伊国屋といい、幕末から明治にかけて活躍した歌舞伎の名女形である。その美貌と艶やかな芸で大変な人気であったが、脱疽のため、四肢を次々に切断しなければならなかった悲劇の人でもある。彼は、それでもなお舞台に立ちつづけ、観客を魅了したという。 「狂乱廿四孝」(北森鴻:角川書店)は、その澤村田之助の物語を中心にして、戯作者見習いの娘お峰が、田之助の周りで起こる殺人事件の謎を追うというミステリー小説である。この作品は第6回鮎川哲也賞を受賞している。 時代は明治になったばかりのこと。脱疽のため両足を失ってなお艶やかな田之助の復帰舞台は、江戸で大評判であった。しかし、田之助の掛かりつけの医師の加倉井蕪庵が殺されるという事件が起きる。その殺され方は、半年前に起こった、役者の高宮猿弥殺しと似たような手口で会った。 その一方、音羽屋尾上菊五郎は、画家の川鍋狂斎の描いた不気味な幽霊画の謎解きに没頭していた。殺された蕪庵も猿弥も、死ぬ前にこの絵を見たという。果たして、絵に込められた、「逆さの黒衣」の謎とはどのようなものか。 田之助の滅びゆく運命が上の、はかない美しさ。田之助に魅了されその美しさを舞台につなぎとめようとする、彼を取り巻く人々とそこで起こった異常な殺人。非常に読み応えのあるミステリーだ。表紙の幽霊画も、不気味で、小説によくマッチしている。○応援クリックお願いします。 狂乱廿四孝(北森鴻:角川書店)風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 28, 2008
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今日は「屍姫6」(赤人義一 :スクウェア・エニックス)である。5巻を紹介してから大分経ってしまった。屍姫とは、この世に未練を持って死んだために、さまざまな害悪をもたらす「屍」たちと戦うため、光言宗という宗派が秘術により作り出した、人造の屍である。いうなればゾンビなのだが、なぜか美少女揃いである。そして、この物語は、屍の集団・「大群(おおぜいのけがれ)」と光言宗との戦いを描いたものだ。 契約僧であった景世を失った屍姫星村マキナは、新しい契約僧オーリとの縁を強めるため、景世との縁を切るための修行を進めるが、彼を愛する心が強く、縁切りに失敗する。景世への未練は、マキナに「呪い」という恐るべき力を与えるが、それは、契約僧オーリ壊しかねない両刃の剣であった。 オーリはマキナと「ヒトガタ」と呼ばれる屍の調査に出向くが、景世の姿をしたヒトガタが二人を襲う。 オーリの景世に対する想いと覚悟、それを知ったとき、マキナの心はまたひとつ成長を遂げる。マキナの仇でもある七星たちと、本格的な戦いが始まりそうで、今後の展開に期待を持たせる。 ○「屍姫5」の記事はこちら○応援クリックお願いします。 「屍姫6」(赤人義一 :スクウェア・エニックス) 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 27, 2008
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だいぶ間が空いてしまったが、今日は京都の南禅寺界隈散策シリーズの続きである。前回南禅寺発祥の地と言われる南禅院を紹介したが、その後に訪れたのが、南禅寺の本坊である方丈だ。南禅寺は、正式名称を瑞龍山太平興国南禅寺といい、臨済宗南禅寺派の大本山である。かって京都五山の上に列せられた格式の高い寺である。 方丈は国宝で、前方の大方丈に後方の小方丈が隣接したつくりとなっている。大方丈は、慶長6年(1611)に、時の後陽成天皇より御所清涼殿を拝領移築したものであり、また、小方丈は桃山城の小書院を移したものだ。○南禅寺方丈 方丈庭園は、慶長年間に小堀遠州が作庭した「虎の児渡し」と言われる、枯山水の屈指の名園である。座って眺めていると、アルファ波で脳が満たされたような気持ちになり、時間の経つのも忘れてしまいそうだ。後方の苔の緑と、前方の川を模した小石の白さのコントラストがなかなかいい。○方丈庭園 小方丈では、金箔をふんだんに使った豪華な襖絵が見事だ。虎の間にある狩野探幽の襖絵はとりわけ有名である。 本坊中庭に置かれている大硯石は、岐阜県産の「紅縞」と呼ばれる大理石の一種で作られたもので、既に原石は掘りつくされてしまったという。よく見れば、ウミユリなどの化石がたくさん含まれている。○大硯石○応援クリックお願いします。 (続く)○「南禅寺南禅院(京都南禅寺界隈散策3)」の記事はこちら○泊まったホテル「R&Bホテル京都駅八条口 」 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 26, 2008
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今日は、ちょっと前に紹介した「狐罠」という作品の続編にあたる「狐闇」(北森鴻:講談社 )の紹介だ。もちろん冬狐堂を屋号とする美人旗師の宇佐見陶子が主人公の物語である。今回は、陶子が大きな事件に巻き込まれ、敵の策略で、酒酔い運転で事故を起こしたように偽装される。しかも、そのトランクには、盗まれたはずの絵が入っていたのだ。陶子は、運転免許だけでなく、古物商の鑑札も取り上げられるが、果敢にも事件の謎に挑む。 そもそもの事件の発端は、陶子が骨董市で2面の青銅鏡(海獣葡萄鏡)を競り落としたことから始まる。どういうわけか、そのうちの一枚が三角縁神獣鏡にすり替わっていたのだ。しかもその銅鏡は明治期に作らたもので、奇妙な鳥の姿を映し出す魔鏡であった。そして、陶子に付きまとう、鏡の持ち主であるという弓削家の影。 この作品は、話が骨董の世界だけにとどまらず、歴史に隠された闇の中に、大きなスケールで広がっていく。幻の税所コレクションや西郷隆盛と征韓論の謎など、陶子に起こった事件の背景の大きさに、思わず大丈夫かと呼びかけそうになる。 しかし、この作品では、陶子は心強い味方を得る。異端の民族学者と呼ばれる蓮丈那智である。彼女を主人公にした作品は、「蓮丈那智フィールドファイル」としてこれまでに3巻発売されており、このブログでも紹介している。実はこの作品、蓮丈那智フィールドファイル1「凶笑面」に収録されている「双死神」という話を陶子側の視点から見たものとなっており、併せて読むことで、面白さが倍増するであろう。更に、この作品では、「花の下にて春死なむ」に出てきたビアバー「香菜里屋」もさりげなく出ており、こちらのシリーズのファンの方も楽しめると思う。○「狐罠」の記事はこちら ○「緋友禅 旗師・冬狐堂」の記事はこちら○蓮丈那智フィールドファイル1「凶笑面」の記事はこちら○「花の下にて春死なむ」の記事はこちら○応援クリックお願いします。 ○「狐闇」(北森鴻:講談社 ) 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 25, 2008
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金曜日の夜、「DEATH NOTE リライト2 Lを継ぐ者」を日本テレビ系の金曜ロードショーでやっていた。「DEATH NOTE」のアニメ版である。ハッキリ言って好きなタイプの作品ではないが、オリンピックにも興味がないし、ブログネタにでもなればくらいの気持ちで観ていた。○DVD「DEATH NOTE リライト2 Lを継ぐ者」 内容は、タイトルからも想像がつくと思うが、呪怨の映画に出ていたような錯覚を起こさせるLが死んだ後の物語である。Lの後継者ニアと夜神月が対決する話だ。このニアという男も、Lの後継者だけあって、やはりかなりの変人である。 しかし、物語の方は、どうにもいただけない。勘違いして神になったつもりの、ただの殺人狂のイカレタ兄ちゃんの話というだけである。自己顕示欲も強く、言わなくてもいいことまで行ってしまうおバカであり、苦悩というものがまったく見えない。おまけに、魅上照という検事のくせに、キラを神とあがめるもう一人のおバカも出てくる。主人公に共感できるところがないというのは、致命的だ。せっかく、死神のノートという格好の素材があるのに残念なことである。 ニアとネロとの立場の違いもよく分からない。結局は、彼らは対立していたのか、それとも暗黙のうちに協力していたのか。単にニアがネロを利用したのか。そのあたりが、うまく描ききれないまま、ネロは唐突に現れ、唐突に死んだような感じだ。 それにしても、ニアと夜神月が対決した、倉庫のファン(換気扇)が、やたら、リアルだったのが、妙に頭に残っているのはどういうわけだろう。 (原作)・大場つぐみ・小畑健 (監督)・荒木哲郎 ○「DEATH NOTE リライト2 Lを継ぐ者」の公式HPはこちら○応援クリックお願いします。
August 24, 2008
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今日紹介するのはは「灼眼のシャナ9」(高橋弥七郎:メディアワークス/角川書店)である。やっと9巻目である。このシリーズは、人間の存在の力を喰らい、世界のバランスを乱す「紅世の徒」(ぐぜのともがら)と、シャナ達フレイムヘイズとの戦いを描いたものだ。 この巻では、敵との戦いはないが、シャナと彼女の育ての親であるヴィルヘルミナの戦いがある。ヴィルヘルミナは、坂井悠二の体内に宿った宝具の零時迷子を無作為転移させようと、入れ物である坂井悠二を破壊しようと画策しているのだ。企みがばれて、シャナに大嫌いと言われて、ヴィルヘルミナがマージョリ―・ドーを相手にやけ酒を飲んでいるのが、なんともおかしい。 この巻では、登場人物中、坂井悠二の母である千草さんが最強らしいということが分かる。もちろん戦闘力のことではなく、精神的な強さであるが。アラストールは、以前より一目置いていたが、今回は、ヴィルヘルミナもシャナのことで文句を言おうとして、完全に撃退されてしまった。 この巻では、千草さんの旦那も登場する。つまりは、悠二の親父であるが、これがまたなかなかの人物で、さすがは千草さんの連れ合い。破れ鍋に綴じ蓋じゃなかった、お似合いのベターハーフである。 最後は、悠二の体内にある零時迷子の秘密が分かり、この後、ますます面白い展開となりそうな予感だ。○応援クリックお願いします。 ○「灼眼のシャナ8」の記事はこちら「灼眼のシャナ9」(高橋弥七郎:メディアワークス/角川書店) 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 23, 2008
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いつものように、うちの子が持っていたコミックスを召しあげたのがこれ。「モノノ怪 壱」(蜷川ヤエコ :スクウェア・エニックス)である。元々は、フジテレビ系列の深夜アニメ作品だったが、現在は、ヤングガンガンというコミックス誌に連載されている。 主人公は、謎の薬売り。見た感じは、かなり怪しい。てっきり、こいつが妖怪だろうと思っていたら、どうも妖怪を退治する側らしい。今回出てくる妖怪は、どうも化け猫のようだ。 薬売りが訪れた、坂井家は、娘の真央が、今まさに嫁ごうとしていた。ところが、いきなり、真央が絶命。薬売りは、結界を張るも、物の怪の影が迫る。物の怪を切れるのは、薬売りの持つ退魔の剣のみ。しかし、その剣を抜くためには、斬るモノの「形」、「真」、「理」を示す必要がある。そして、坂井家に化け猫が取りついたのには、何か大きな訳がありそうである。 それにしても、この作品、ひっぱる、ひっぱる。一つの巻で、小さなものなら複数の、大きなものでもひとつはエピソードが終わっているものが多いのだが、この作品、一巻が終わってもまだまだ、お話の途中だ。でも、続きが気になってしょうがないから、作戦的には、成功か?○「モノノ怪」公式サイトはこちら○応援クリックお願いします。 「モノノ怪 壱」(蜷川ヤエコ :スクウェア・エニックス) 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 22, 2008
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最近、森博嗣の作品もよく読んでいるが、今回読んだのは、「月は幽咽のデバイス」(森博嗣:講談社)という作品。彼の作品には、Gシリーズとか、S&Mシリーズといったシリーズものが多いが、これは「Vシリーズ」に分類される作品らしい。 このシリーズ、現在10作品が発表されているが、この「月は幽咽のデバイス」は、シリーズ第3作に当たる。「Vシリーズ」の名前は、主人公・瀬在丸紅子(Venico)の頭文字に由来しているようだ。紅子だったら普通は、Bだろうと思うのだが、「Bシリーズ」では、作品がB級のように聞こえるので、それを避けたのだろうか。 このシリーズは、自称科学者で、没落した名家の令嬢瀬在丸紅子(せざいまる べにこ) を中心に、彼女と交流のある学生で、阿漕荘というアパートに住んでいる、小鳥遊練無(たかなし ねりな)、香具山紫子(かぐやま むらさきこ) たちが難事件を解決していくというものだ。そして、その話を、同じく阿漕荘に住んでいる探偵・保呂草潤平(ほろくさ じゅんぺい) が書いているというつくりになっている。 出てくる人物は、名前も変わっているが、それぞれなかなか個性的である。瀬在丸紅子は、家が没落して貧乏暮らしをしているのに、全く気にしている様子もない。貧乏暮らしなのに、なぜか住まいには執事がいる。小鳥遊練無は、少林寺拳法の使い手ながら、女装趣味のいわゆる「男の娘」というやつだ。香具山紫子は、長身でボーイッシュな関西弁の女の子である。そして、保呂草潤平は、どこか怪しげな感じだ。 物語の舞台は、篠塚邸。建設会社の社長を務める篠塚宏邦の屋敷だ。世間からは薔薇屋敷、月夜邸、黒竹御殿などとも呼ばれている。娘の莉英は、紅子とも交流があり、紅子も招かれたパーティの最中に、オーディオルームで、莉英の友人のファッションデザイナー・歌山佐季が死体で見つかる。部屋は密室になっており、死体は、衣服もぼろぼろで、部屋中悪魔にでも引きずりまわされたような悲惨な有様。そして、なぜか床には、大量の水がこぼれていた。 この事件を、紅子たちが解決するというものだが、密室のトリックが、森博嗣作品によく見られるように、かなりの力技だ。このあたりは、さすがは、建築の専門家というべきか。建築学トリックという名前を贈呈してもいいかもしれないと思う。○「月は幽咽のデバイス」(森博嗣:講談社) ○応援クリックお願いします。 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 21, 2008
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今日紹介するのは「灼眼のシャナ8」(高橋弥七郎:メディアワークス/角川書店)である。やっと8巻目である。このシリーズは、人間の存在の力を喰らい、世界のバランスを乱す「紅世の徒」(ぐぜのともがら)と、シャナ達フレイムヘイズとの戦いを描いたものだ。 前回の敵は、「教授」と呼ばれる「紅世の王」である「探耽求究」と呼ばれるダンタリオンであった。この極め付きの変人による怪しげな実験をなんとか阻止し、街はぼろぼろになりながらも、また束の間の平穏が戻ってきたようだ。 しかし、今度もまた、恐るべき敵が! それは、夏休み前の定期テスト! シャナの仲間たちは、定期テストに備えて、勉強会を開くことに。一方、坂井悠二をめぐって、シャナと吉田一美はますますヒートアップ。なんか普通の青春ドラマになってしまっている。シャナが悠二にお弁当を作ってきて、吉田一美が、抜けがけを怒っていたが、弁当箱の中身がメロンパンと黒こげの何かと、黒こげの何かと、黒こげの何かと言うのには笑ってしまった。 こんな平和な光景の一方、フレイムヘイズたちの情報源である「外界宿」の一つが、敵である強大な紅世の王・「千変シュドナイ」に襲われて壊滅。また、シャナの育ての親、ヴィルヘルミナも現れ、この後、何か大きな波乱がありそうな予感がする。○応援クリックお願いします。 ○「灼眼のシャナ7」の記事はこちら「灼眼のシャナ8」(高橋弥七郎:メディアワークス/角川書店) 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 20, 2008
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久しぶりに、高田崇史のQEDシリーズを読んだ。「QED~flumen~九段坂の春」(高田崇史:講談社)である。本作品は、このシリーズで初めての連作短編だ。収録されているのは次の4編。それぞれの編での主人公は、このシリーズのレギュラー陣が務めている。当然の如く、各編では、何らかの蘊蓄が語られ、そして、殺人事件も発生している。●「九段坂の春」 中学生時代の、桑原崇の物語。場所は東京九段坂。中学生で、もう現在の桑原の片鱗が見える。このときの理科の教師である五十嵐弥生に、色々と教えを受ける崇は、弥生に初恋の感情を覚えるが、最後はほろ苦い別れで終わる。崇と棚旗菜々の間がなかなか進展しないのは、このあたりに原因があるのだろうか。語られるのは、「万葉集」、「古今和歌集」、「新古今和歌集」などに出てくる「袖」の意味と三島由紀夫の「豊饒の海」の謎。事件は、千代田区の小児科の女医落合康美と夫の光弘の殺害。●「北鎌倉の夏」 高校時代の棚旗菜々の物語。場所は鎌倉。菜々のちょっと切ない初キス体験。語られるのは、楠木正成の謎など。事件は鎌倉宮の管理人五十嵐勝の謎の死。●「浅草寺の秋」 大学時代の小松崎良平の物語。場所は東京浅草。こちらも切ない彼女との別れ。語られるのは、山本勘助に関する謎など。事件は、浅草寺の裏手で抱き合ったまま死んでいた佐藤真太郎と江上奈緒美の謎。●「那智瀧の冬」 大学院時代の御名形史紋の物語。場所は和歌山県那智。既に学生時代から、地元では変人で有名だったようで、さすがに色恋はなし。語られているのは補陀洛渡海など。事件は、那智勝浦の大地主深影佳勝の全身を腫れあがらした無残な死。 レギュラーとしては、11作目の「QED 神器封殺」から登場する御名形史紋より、棚旗奈々の妹詩織の方が、登場する権利があると思うのだが、本作品では、全く登場しない。やはり、史紋の圧倒的な存在感に軍配が上がったようで、作者がこの人物に、かなりの愛着を持っていることが推察できる。 物語の流れとしては、登場人物の共通性はあるものの、「北鎌倉の夏」も「浅草寺の秋」も、他の作品と強い結びつきはない。最も強く結びついているのは標題作の「九段坂の春」と最後の「那智瀧の冬」だ。「九段坂の春」で起こった事件の謎が「那智瀧の冬」で明らかになるのである。事件の解明のきっかけをつくったのは、もちろん御名形史紋。対するのは、「九段坂の春」に、桑原崇の先生として登場していた五十嵐弥生。さすがに、桑原が尊敬するだけあって、さしもの御名形も、弥生に一服もられるという失態を演じる。 このシリーズ、最近は蘊蓄部分とミステリー部分が分離しすぎていたような感があったが、この作品では、それほど不自然さは感じなかった。しかし、どうして、この作品の登場人物、誰もかれも、そんなに蘊蓄が語れる? ○応援クリックお願いします。 ○「QED~flumen~九段坂の春」(高田崇史:講談社) 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 19, 2008
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先日本屋に行くと、いつのまにか「のだめカンタービレ」(二ノ宮知子:講談社 )の21巻が発売されていた。前回が確か3月頃だったから、久しぶりにのだめと再開である。 この巻では、最初から相変わらずの変態ぶりが健在なことを証明してくれるのだめであるが、千秋とRuiが共演するコンサートを聴いてから、ちょっと変である。千秋にプロポーズするも、冗談と思われ軽くスル―されるが、のだめの悩みはかなり深刻なようだ。 せっかくオクレール先生から「べーべ」の呼び名を返上して、名前で呼ばれるようになったというのに、まだまだ、心は不安定なべーべのままのようである。そんな、のだめの前に、ミルヒ・ホルスタインことシュトレーゼマンが現れ手を差し伸べる。○ヤマハ グランドピアノ C3A この後どうなるんだろう。二人の歩く道が離れて行ってしまうのか。そんな予感を感じさせるような気がするのだが。 ところで、のだめの音楽仲間たちの千秋評が笑える。 リュカ:「目の上のタンコブ!」 ユンロン:「金持ちの天才シェフ」 ターニャ:「孔雀?」 ○応援クリックお願いします。 「のだめカンタービレ21」(二ノ宮知子:講談社 ) 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 18, 2008
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少し前にテレビで話題になった東野圭吾による「ガリレオ」シリーズ。「探偵ガリレオ」、「予知夢」に続く第3段が、この「容疑者Xの献身」(文芸春秋社)である。第134回直木賞受賞作だ。このシリーズは、もともと物理トリックとか理系トリックといったものを売りにしていたのだが、本作はだいぶ方向性が異なって、犯人の内面を描いたような「ミステリーになってしまっている。そのあたりが、直木賞の選考委員には受けたのかもしれないが、私としては、やはりこのシリーズの持ち味である、科学技術を応用したトリックを見せてほしかったと思う。「容疑者Xの献身」(東野圭吾:文芸春秋社) もっとも科学技術的なトリックが出てこないのは、今回の相手が数学者であることも関係しているのかもしれない。今回湯川准教授が対決するのは、「ダルマの石神」という男。現在は高校の数学教師だが、元々は湯川の大学時代の同級生で、湯川も認めた数学の天才である。 今回の事件は、石神のアパートの隣の部屋に住む花岡靖子と娘の美里が、執拗につきまっとってくる靖子の前夫・富樫慎二を殺してしまったことから始まる。靖子に好意を持っていた石神は、二人を助けるために、彼の天才的な頭脳で、犯行の隠蔽を図る。 本作品では、犯人ははじめからわかっているので、見どころは、湯川がどのように石神の仕組んだアリバイトリックをつきくずしていくのかと思っていたら少し違った。「崩せそうで崩れないアリバイ、これこそが石神が仕掛けた罠だった」(作品中より引用)のである。そこには、想像を絶する恐るべきトリックが仕掛けられていたのだ。見どころは、湯川の「物理学的頭脳」と石神の「数学的頭脳」の戦いといったところであろうか。 石神の身を捨てた、完璧なはずのトリック。絶対に崩れないはずの筋書きが破たんしたのは、人の心は、必ずしも論理的にはいかないということであろうか。それにしても、石神の心は哀しい。○応援クリックお願いします。 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 17, 2008
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以前出張に行った時、仕事が終わって、街をうろうろしていると、古書店を見つけた。なんと、ちょっと前に買った本が何冊か、もっと安い値段で売られていてがっかりしたが、気を取り直し、面白い本はないかと探してみた。 見つけたのがこれ、「三つ首塔」(横溝正史:角川書店 )である。なんと105円で売られていた。酒を飲まない私にとって、缶入り飲料より安く、旅先での徒然をなぐさめることができるのはありがたい。横溝正史と言えば、金田一耕助シリーズという訳で、この作品も金田一耕助シリーズのひとつである。 この物語でヒロインを演じるのは、両親を亡くしながらも、伯母夫婦の手で両家の令嬢として育てられた宮本音禰。ところが、莫大な遺産相続の話が、音禰にもちあがる。しかし、遺産相続のためには、高頭俊作という男と結婚するという条件が付けられていた。 そして、伯父の還暦パーティの夜、音禰の婚約者高頭俊作を始め、全部で3人もの人間が殺されたのだ。音禰も俊作のいとこの高頭五郎という男に凌辱され、ついには、殺人への関与を疑われ逃亡生活に。 いかにも、横溝作品らしい淫靡な世界が広がっていき、良家の令嬢であった音禰が、怪奇な事件のなかで翻弄され、どんどん転落していくかに見える。音禰は、このままどこまで堕ちていくのだろうと思っていたら、びっくりするようなどんでん返しがあり、犯人も全く意外な人物であった。○応援クリックお願いします。 DVD「三つ首塔」風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 16, 2008
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「数奇にして模型」(講談社)は、森博嗣のS&Mシリーズの一つである。森博嗣の作品は、タイトルの意味がよく分からないものが多いが、これは一応模型に関係した事件を扱っているということで、少しは分かりやすい方であろうか。しかし、英語の副題の方は「NUMERICAL MODELS」となっており、これと併せて考えると、ますます意味不明となってしまう。 内容を簡単に紹介しよう。「模型」ということから類推されるように、この作品は、模型愛好者すなわちモデラーたちを扱ったミステリーである。舞台は那古野市内。そこで開催された、模型交換会の会場で、密室殺人が起こる。殺されたのはモデルの筒見明日香。明日香の殺されていた部屋には、M工業大学社会人大学院生の寺林が昏倒していた。同じころM工業大学でも、もう一つの密室殺人事件が発生しており、寺林にその容疑がかけられていた。西之園萌絵は、犀川創平の妹の雑誌記者儀同世津子に、従兄の作家で模型マニアの大御坊安朋の紹介を頼まれていたため、例によって事件に首を突っ込んでいく。 この作品でも、森博嗣らしく、大きなどんでん返しの結末が待っている。しかし、このどんでん返しぶりは、かなり反則技くさい。また、犯行の動機の方も、あまりにも異常すぎて、かえってリアリティに乏しくなっているのではないかと思う。 しかし、後先考えずに猪突猛進する萌絵のキャラと、やる気があるのかないのか分からない犀川のぬるキャラぶりの対比は、相変わらず面白い。しかし、今回、犀川は、珍しく、最後に、ぬるキャラらしくない活躍をしていた。○応援クリックお願いします。 「数奇にして模型」(森博嗣:講談社) 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 15, 2008
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昨日は、ひろしま美術館で開催中の「芸術都市 パリの100年展―ルノワール、セザンヌ、ユトリロの生きた街 1830-1930年」を見に行ってきた。オルセー美術館やポンピドゥー・センターなどの、パリを中心とした16の美術館から、ルノワール、セザンヌ、ユトリロらの絵画を集めたものである。 日仏交流150周年の記念として催されたもののようであるが、1830年から1930年までが選ばれたのは、この時期が、パリがこの時期、芸術の都として最も輝いていたことかららしい。出品されているのは、絵画だけでなく、彫刻や写真もあった。全部で約140点あるとのことだ。 絵画の方は、表題に上がっていた画家以外には、あまり知った名前はなかったが、ロダンの彫刻がかなり出ていた。まあ、ルノワールの絵が何点か見れただけでも、行った甲斐があったというものだ。○応援クリックお願いします。 ○「夾竹桃咲く御幸橋のたもと(広島市を歩くその29)」の記事はこちら風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 14, 2008
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1年以上前の本ブログで、映画版の「時をかける少女」のレビューをした(H19.7.23付記事)が、今日は、そのコミック版を紹介しよう。これも、うちの子が持っていたものを召しあげたものだ。 あらすじは、基本的には、映画版と同じなので、過去記事から抜粋しておこう。 「女の子一人と男の子二人のトリオ、最初は三角関係の物語かと思っていたら、そうではなかった。功介が下級生から告白されるのを何とかうまくまとめようとする真琴。その一方、千昭から自分への告白はタイムリープを使って、結局無いことにしてしまう。最後は、千昭を好きなことに気付くが、意外な結末が・・・。」 天真爛漫な真琴だったが、千昭が好きだと気がついた時には、もう別れの運命が。ノスタルジックで切ない青春を感じさせてくれる作品だ。コミックス版も、なかなか泣かせる。○「時をかける少女」(映画版)の記事はこちら ○応援クリックお願いします。 「時をかける少女」( 琴音らんまる/筒井康隆:角川書店) 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 13, 2008
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つい最近まで、米穀通帳というものが制度上は存在していた。米国通帳ではないので、くれぐれも、アメリカの銀行の貯金通帳と間違えないようにしてほしい。米穀通帳とは、食糧管理制度の下で、米の配給を受けるために必要な通帳であり、廃止されたのは、1981年のことである。1960年代位までは米屋で米を買う時には必要だったようだ。しかし、その後は、次第に有名無実になり、いつの間にか忘れ去られていった。私にしても、実物をまったく見たことがないのである。 この食糧管理制度であるが、食料の需給と価格の安定を図るために、1942年(昭和17)に制定された食糧管理法に基づいたものである。食糧管理法の下では、米は、国が生産者から高く買い付けたものを、消費者に安く売ることが基本となっており、米の流通についても、厳しい制限が課せられていた。しかし、時代とともに、制度に潜む矛盾が顕在化し、1995年(平成7)には廃止された。奇しくも、この食糧管理法廃止の前年に、この制度の矛盾を鋭く抉るような内容のミステリーとして刊行されたのが、「沃野の伝説 上、下」(内田康夫:光文社)である。浅見光彦シリーズの旅情ミステリーに分類されるものであるが、あまり旅情を感じさせず、社会派ミステリーのテイストが高いものとなっている。 事件の発端は、浅見光彦の母親である雪江未亡人の、「米穀通帳は、どうなったのかしら」という素朴な疑問である。ところが、雪江が米穀通帳について問い合わせをした、京北食糧卸協同組合の坂本義人が死体で発見される。光彦は雪江の言いつけで、事件を調べ始める。 その一方では、長野県では、巨額のヤミ米横領事件が発覚する。長野と言えば、この人。「信濃のコロンボ」こと竹村警部の登場である。この横領の犯人と目されているのは、行方の分からなくなっている、山花商事という米を扱う会社に勤める、阿部隆三という契約社員。坂本は、失踪前にしていた電話で、「阿部さん」という呼びかけを何回もしていた。警察は、阿部を、坂本殺人事件の犯人と見なすが、父親の無実を信じる阿部の娘悦子と、事件の真相を追及していく。 この作品の最大の魅力は、内田作品の2大スターである、浅見光彦と竹村警部の豪華共演である。また、作品中のそこかしこで触れられる、食糧管理制度の矛盾と行政の無定見さに関する記述も読みごたえがある。例えば、かって八郎潟という琵琶湖に次ぐ巨大な湖が秋田県にあった。この八郎潟を埋め立て、入植者を募ったが、入植した農家は、猫の目行政により、減反を強いられたかと思えば、もち米を植えろと言われ、更には、収穫ができる前に、青田刈りをさせられたりと思ったら、今度は畑にしろと言われ散々な目を見た。こういった行政の矛盾を作品中ではしっかりと描き出している。○応援クリックお願いします。 ○「沃野の伝説 上、下」(内田康夫:光文社) 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 12, 2008
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元々旅行好きということもあり、以前紹介した「鉄子の旅1」でこの漫画にすっかりハマってしまい、シリーズを全巻揃えてしまった。もっとも全六巻なので、それほど財布は痛まないのは助かった。今日紹介するのはそのうちの2巻目にあたる「鉄子の旅2」である。 内容を簡単に紹介すると、鉄ヲタの元祖ともいえるトラベルライターの横見浩彦と、鉄分の少ない漫画家のキクチナオエ、そして編集者のカミムラが、ハードながらも抱腹絶倒の旅をして、それを漫画にするというものだ。 今回収録されている旅は、次の8旅。第9旅 冬の北東北・デラックス旅第10旅 小野田線を目指して第11旅 名古屋鉄道・路面電車第12旅 木次線・三江線・加部線第13旅 わたらせ渓谷鉄道と廃線跡歩き第14旅 海底駅そして北海道初上陸第15旅 飯田線・秘境駅巡り第16旅 四国初上陸・全地域制覇 今回は、馴染みのある中国地方の鉄道も結構入っていて、一層興味深く読むことができた。もっとも、木次線・三江線というのは、私もまだ乗ったことはないのだが。そのうち暇ができたら、青春18キップでチャレンジしたいものだ。 第9旅では、新しいレールクイーンが登場する。いつもはテンションが異常に高い横見サンが、レールクイーンのみえちんにかっこをつけようと無理してテンションを抑えているのが面白い。横見サンもみえちんにヒロッチと呼ばれて喜んでいる。 第10旅では、横見サンから急に小野田線の車両の引退イベントに呼びつけられたキクチサンとカミムラ氏。横見サンのいない普通の旅の楽しさを知ったようだ。 第12旅は、今はもう廃線になってしまった可部線(可部~三段峡)での旅。横見サンが終点の三段峡がすごいと散々に盛り上がっていたが、実は駅の周りの景色だけしか見たことがなく、そこが風光明媚な三段峡の入口にすぎないということを知らなかったというオチ。 第13旅は、横見サンが、お気に入りのきなこちゃんを呼んだのはいいが、カミムラ氏がいらぬ気をまわして、おじゃま虫を呼んでしまったため、横見サン不機嫌の旅。 第16旅は、キクチサンも感動の四国の秘境駅が登場。 とにかく、面白い旅漫画だ。旅に出たくなる。○応援クリックお願いします。 ○「鉄子の旅1」の記事はこちら「鉄子の旅 2」(菊池直恵:小学館) 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 11, 2008
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今回紹介する「心に刺さったガラスの破片」( ファンソンミ/キムユデ:現文メディア/理論社)も、ちょっと前に、現文メディアさんから献本していただいた本の中の一つである。「韓国人気童話シリーズ」の2巻目だ。シリーズ1巻に当たる「チャリンコ・ヒコーキ・ジャージャー麺」は、両親を亡くして、貧しい暮らしながらも、前を向いて強く生きる3人兄妹の姿を描いたものだが、今回の舞台は、ごく一般の家庭のようである。 この作品の主人公ウンギョルは、両親と、兄のハンギョルとの4人家族だ。両親とも働いており、兄とはあまり仲が良くない。持ち物はいつも兄のおさがりばかり。そんなウンギョルは、寂しさからか、母の財布からお金を抜いて、友達にものをおごったりするようになる。そんなある日、いつものようにお金を財布から抜こうとして、コップを割ってしまい、その破片をふんづけてしまう。ガラスの破片で、ウンギョルはに足の痛みが、どんどんひどくなっていく。まるで、ウンギョルの心に刺さったかのように。 ところで、ハンギョルがテコンドーの試合に負けた時、父親が、出勤もしたくないくらいがっかりしていたシーンは、国民性の違いが出ているようで、少し興味深かった。家族の会話も、国民性の違いが出ており、韓国の普通の家族の生活をうかがい知ることができるようだ。 終りの方で、兄弟が激しく言い争っていたが、最後には、父が歯周病の手術をすることになったことから、兄弟の絆をとりもどしたようで、ちょっと安心した。 ○応援クリックお願いします。 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 10, 2008
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成毛眞氏と言えば、元マイクロソフト株式会社(日本法人)の社長として有名であるが、彼の読書術を披露したのが、「本は10冊同時に読め」(成毛眞:三笠書房)である。 彼が勧めるのは「超並列読書」。これは、一言でいえば、リビング、寝室、トイレ、通勤途上などで、それぞれ別々の本を読むということである。色々なジャンルの本を、なるべく多く並行して読むことで、脳のあらゆる部分が刺激されて新しいアイディアが出るのだということだ。もちろん、多くの本を、すべて、最初から最後まで読むことはできないし、その必要もない。うまく飛ばし読みをしたり、途中でやめたりしてもよいのである。読み方も、隙間時間などを利用した「合間読み」、「ながら読み」である。実は、私も、大体同じような読み方をしている。ただ、ミステリーが多いのと、コミックスも入っているので、成毛氏からは、違うと言われそうだが。○「本は10冊同時に読め」(成毛眞:三笠書房) 確かに、多くの本を読むことは重要であろう。しかし、現実には、野球の話やゴルフの話しか出来ない人間がなんと多いことか。社会全体が、もっと知的な方向を目指さなければならないだろう。 それにしても、副題が「本を読まない人はサルである!」とあるように、内容は、かなり挑発的で、言いたい放題である。そもそも、多くの本を読むということと成功するということにどれだけの因果関係があるかは疑問である。成功した成毛氏にだから言えることであり、勝てば官軍ということだろうか。もっとも、社会のリーダーには、どこに出ても恥ずかしくないような教養は持っていてもらいたいものだが。 成毛氏によれば、欧米の支配者階級層がまず読んでいると言う、「ロンドン・エコノミスト」という雑誌が、IQ180レベルであるという。これには、思わず突っ込んでしまった。 「IQ180の人なんて、そないおりまへんで!そないな雑誌、商売がなりたたんのとちゃいまっか?」○応援クリックお願いします。 ○成毛眞氏のその他の著作 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら○関連ブログ記事・less than zero
August 9, 2008
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写真は、先般出張に行った時に、新幹線の中で食べた広島駅の駅弁「夫婦あなごめし」。あなごめしは、宮島口駅で売っているものが有名だが、広島駅でも売っている。 ふたを開けるとなんとアナゴが二本。(ふたに書いてあるとの突っ込みはなしね。)値段もその分高く1050円であるが、たまにはささやかな贅沢と、清水の舞台から飛び降りたつもりで買ってみた。(ちょっと大げさか?) いっしょに入っているのは、タレと奈良漬、骨せんべいだ。飯は、アナゴの出汁で炊いているようで、アナゴの身とよくマッチしてなかなかうまい。骨せんべいは、アナゴの骨を、からっと揚げたもので、これも結構いける。○応援クリックお願いします。 ○楽天で見つけたあなごの数々 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 8, 2008
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これもうちの子が持っていた本だ。「うみねこのなく頃にepisode 1:legend of the golden(1)」 (夏海ケイ/竜騎士07 :スクウェア・エニックス) である。「ひぐらしのなく頃に」に続く、「なく頃にシリーズ」の第二弾だ。 物語の舞台は、伊豆諸島のひとつ「六軒島」。本当にこんな島があるかどうかは知らないが、大富豪の右代宮家が所有する島だという設定だ。この島に、恒例の親族会議のため、親族一同が集合するところから物語が始まる。現当主は、余命いくばくもないと宣告されているが、怪しげな黒魔術にふけっており、集まった子供や孫たちの前にも姿を現わさない。 この六軒島には魔女伝説がある。現当主は関東大震災で傾いた右代宮家を、魔女ベアトリーチェから借りた10tの黄金を元手に、立て直したというのだ。その黄金は、右代宮家の全財産とともに、ベアトリーチェに変換されるが、黄金を見つけ出したものには、右代宮家のすべてが与えられるという。ベアトリーチェの黄金をめぐって、恐ろしい事件が幕を開けそうな気配だ。 私の性格としては、どうもいろいろ突っ込みたくなる。「ロザリオとバンパイア」の時も同じ突っ込みをしたが、なぜ、日本で魔女なんだ。日本なら、陰陽師とか黒巫女だろう。標題も気になる。前作の「ひぐらし」なら「なく頃」は夏に決まっているが、ウミネコって、一年中鳴いているんじゃないだろうか。「なく頃」とはいつだ? と突っ込んでいるうちにもう一つ気がついた。表題の「legend of the golden」である。黄金伝説なら「legend of the gold」となるはずではないか。わざわざ「the golden」としたのは、「金色のものの伝説」ということで、実は黄金は偽物だったということをほのめかしているのだろうか。ベアトリーチェの手紙では、自分を「錬金術師」と言っていたし。考えすぎか・・・○応援クリックお願いします。 ○「うみねこのなく頃にepisode 1:legend of the golden(1)」 (夏海ケイ/竜騎士07 :スクウェア・エニックス) 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 7, 2008
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月曜の夜は、TBS系の月曜ゴールデンで、「2008夏の映画スペシャル(1)」と銘打った「どろろ」を観ていた。私が子供のころ、「週刊少年サンデー」に連載されていた手塚治虫の漫画が原作であり、私たちの世代には懐かしく思う人も多いと思う。調べてみると、少年サンデーに連載されていたのは、1967年から1968年までだったようだ。結末がどうも思い出せないと思っていたら、どうも途中で掲載誌が「冒険王」に変更されていたようである。 ストーリーであるが、48の魔物に体の48か所を奪われた青年百鬼丸が、こそ泥のどろろと、体を取り戻すため、妖怪を倒しながら旅を続ける話である。百鬼丸は、父の醍醐景光の野望のために、魔物に体を奪われたのだが、助けてくれた医師により、人工の体を与えられていた。一方、どろろは、醍醐景光に両親を殺されていた。旅を続けるうち、百鬼丸は、弟の多宝丸に出会ったことから、景光の城に行き、自らの出生の秘密を知る。自分が、どろろの両親の敵の子供であったことを。○DVD「どろろ」 最初の方は、魔物との対決も迫力があり、なかなかいい感じだ。でも、途中の、魔物退治のシーンは、お笑いのような感じで、作品が軽くなるような違和感がある。百鬼丸の性格も、だんだん軽くなっていくようであり、これも残念だった。演技が軽いのは、どろろを演じる柴咲コウも多宝丸を演じるも瑛太もいっしょで、軽い演技の人々中、中井貴一演じる醍醐景光だけが重くて、かえって浮いてしまっていた。その醍醐景光も、最後はちょっぴりいい人になったが、これは最後まで徹底的に悪役を演じてほしかったところだ。 ところで、終りの方で、百鬼丸がどろろに、股間を蹴られて痛がっていたが、ここはもう魔物から取り返していたのか。 なお、このどろろ、続編が、「どろろ梵」(どろろぼん)として、昨年から「ヤングチャンピオン」に連載されているようだ。私も、一度立ち読みしたことがあるが、なんと、百鬼丸が女性として転生している。妖怪になったどろろに体を真っ二つにされた百鬼丸が、500年後に、どろろを殺す旅を続けるという話らしい。こんどコミックスを見つけたら買ってみるかな。(原作)・手塚治虫(監督)・塩田明彦 (出演) ・柴咲コウ (どろろ)・妻夫木聡(百鬼丸)・中井貴一 (醍醐景光) ほか○応援クリックお願いします。 ○「どろろ」(手塚治虫:秋田書店) と 「どろろ梵」 (道家大輔/手塚治虫:秋田書店) 風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら
August 6, 2008
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先般、倉吉市へ行った帰りに、途中の鳥取で買った駅弁の「あご寿し」。「あご」とは、山陰地方で、トビウオのことである。トビウオを使った製品としては、「あご竹輪」が有名で、山陰の主要な駅ではたいてい売っている。しかし、、この「あご寿し」は、鳥取駅でしか売っていないようだ。現在は年間を通して売られているが、かっては、トビウオの漁期(4~7月)の季節限定販売であったらしい。○「あご寿し」と「あご竹輪」 見た目は、バッテラ寿しのような感じだ。サバがトビウオに置き換わったものと思ってもらえればよい。酢でしめられたトビウオが、昆布のうまみとよく調和し、なかなかうまい。○応援クリックお願いします。 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら(追伸) 本ブログの貴賓館として「本の宇宙(そら)」を開設しました。当面は、本館ブログのうち、自分で気に入った記事を、セレクトして掲載していきたいと思います。 「本の宇宙(そら)」(風と雲の郷 貴賓館)はこちら
August 5, 2008
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水路閣をくぐって、坂道を上ると、南禅寺の塔頭のひとつである「南禅院」がある。名前からも推測できるように、ここが南禅寺の発症の地とされる。亀山上皇の離宮に端を発し、応仁の乱以降荒廃していたものが、五代将軍徳川綱吉の母である桂昌院が1703年(元禄16)に再建したのが現在の建物である。 庭園は、亀山上皇による作庭と言われる。池泉回遊式庭園であり、苔の緑が美しい。○南禅院庭園 境内には、「亀山天皇分骨所」があり、ここは宮内庁所管となっている。その右隣りには「一山国師塔」が建つ。一山国師は、元朝から平和の使者として派遣された高僧だ。南禅寺第三世となった僧である。○亀山天皇分骨所○一山国師塔○応援クリックお願いします。 (続く)○「南禅寺水路閣(京都南禅寺界隈散策2)」の記事はこちら○泊まったホテル「R&Bホテル京都駅八条口 」 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
August 4, 2008
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以前、美人旗師宇佐見陶子を主人公にした北森鴻の「緋友禅 旗師・冬狐堂」という作品を紹介したが、彼女が登場する第一作目の作品が「狐罠」(北森鴻:講談社)である。なお、旗師というのは、店舗を構えない古物商のことだ。 宇佐見陶子は、屋号を冬狐堂という、売り出し中の美人旗師である。陶子は、銀座に店舗を構える骨董商の橘薫堂から、周到な「目利き殺し」を仕掛けられ、贋作の発掘物と称する硝子椀を掴まされた。骨董の世界は「目利き」がすべてである。陶子は自らのプライドをかけて、橘薫堂に対して、「目利き殺し」返しを仕掛けようと企てる。その一方、橘薫堂の外商を担当していた田倉俊子が死体で発見された。 骨董の世界といえば、テレビの鑑定団などでのイメージでは、どこかのんびりしたようなユーモラスな感じを受ける。しかし、この作品に描かれている世界は、決してそのようななまやさしいものではない。先にも言ったように、「目利き」が全て。贋作をつかまされる方が、目が利かないだけのこと。まさに食うか食われるかの、どろどろとした世界である。「いい仕事してますねえ」なんていう言葉の裏にも、何が隠されているか分からないのだ。 作品中に出てくる、贋作師の潮見という老人がすさまじい。「目利き殺し」返しのための、文箱を製作するのに、それが制作されたと見せかけたい時代と同じ材料、工具を揃えるだけではない。当時の栄養状態を考えて、自分の体をいじめ抜きいて幽鬼のようにやせ細り、当時の職人頭の心情を想像して、秘伝の技が誰にも見られないよう、暗がりの中、燈心の明かりのみで作業を行う。贋作師とはいえ、一流の者は、ここまでやるのかと奇妙な感動に襲われる。 最後は、陶子がピンチに陥るが、急転直下、事件が解決し、驚くべき真相が明らかになる。北森らしい、よく取材され、周到に練り上げられた良品のミステリーである。 ○応援クリックお願いします。 ○「緋友禅 旗師・冬狐堂」の記事はこちら○「狐罠」(北森鴻:講談社) 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
August 3, 2008
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先般本屋に行くと、「ひぐらしのなく頃に解 目明し編4」(方條ゆとり/竜騎士07:スクエア・エニックス)が出ていた。このシリーズ、いつもは、うちの子が買ってきたのを取り上げて読んでいるのだが、今回は「目明し編」の完結となるので、気になって自分で買ってしまった。 この作品は、昭和50年代の古い因習に囚われた雛見沢村(もちろん架空の村)で起こった、オヤシロさまの祟りと言われる謎の連続怪死事件を描いたものである。いくつもの「「○○編」に分かれており、それぞれが、まるで、RPGのゲームで、主人公を変えてプレイするような感じで、中心となる人物やエピソードが変化しながら進んでいく。 この、「目明し編」は、以前に書いたように、園崎家次期当主園崎魅音の双子の妹詩音を中心とした話である。聡史の死を知った詩音は、悪鬼のように、関係者を次々に残酷な方法で手にかけていく。方條ゆとりの絵は、萌え系でかわいいだけに、残酷なシーンとのギャップが目立ち、結構怖い。 これまでの色々な「○○編」での話を総合すると、どうも古手梨花がすべての謎を解くキーマンのようだが、まだまだ謎も多い。「なく頃にシリーズ」の第2弾の「うみねこのなく頃に」もコミックの1巻が発売されているというのに、いつになったら全貌が明らかにされるのだろうか。 そういえば、前回の記事で、帯に、2008年春、実写映画が公開と書かれてあったことを書いたが、今回は帯に第2弾の制作が決定されたとあった。そのうちテレビで放映されるかな?○「ひぐらしのなく頃に解 目明し編3」の記事はこちら○映画「ひぐらしのなく頃に」の公式サイトはこちら○応援クリックお願いします。 「ひぐらしのなく頃に解 目明し編 4」(方條ゆとり/竜騎士07:スクエア・エニックス)と竜宮レナのフィギア 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
August 2, 2008
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琵琶湖疎水記念館を観た後は、いよいよ南禅寺だ。この寺は、塔頭も多く、見物するものは事欠かかない。ちなみに南禅寺といえば「湯豆腐」が有名であるが、この日は、時間と予算の都合から、食べるのはあきらめた。 まず向かったのは、「南禅寺三門」。藤堂高虎が大阪夏の陣で死んだ一門の武士の供養のために寄進したもので、重要文化財である。昔、大泥棒の石川五右衛門が、この三門に登って、「絶景かな絶景かな」と言ったという伝説は有名だが、これは本当に伝説だけのようで、石川五右衛門の生きていた時代と、三門が建てられた時代が合わないということだ。こういった伝説も生まれるくらい、楼上からの景色はすばらしいらしい。私は登らなかった(入場料を取られるので)が、数人が登っているのが下から確認できた。○南禅寺三門[京・南禅寺漬] 次に観たのが、南禅寺のシンボルともいえる水路閣だ。南禅寺といえば、これを連想する人も多いと思う。しかし、これはお寺のために施設ではなく、この前の記事で紹介した、琵琶湖疎水を流すための水路なのである。○水路閣 ちなみに、水路閣を上から見ると、こうなっている。○水路閣上部(続く)「琵琶湖疎水記念館(京都南禅寺界隈散策1)」の記事はこちら○応援クリックお願いします。 ○泊まったホテル「R&Bホテル京都駅八条口 」 風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)はこちら
August 1, 2008
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