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今日のまとめサハラ以南アフリカの経済は好調中国が積極的に直接投資している輸出の好調が経済をけん引しているインフレの抑制が目下の課題である好調なサハラ以南アフリカの経済アフリカ大陸を論じる際、地中海に面した国々とサハラ砂漠によって分断されたサハラ以南アフリカ(Sub-Saharan Africa)を区別して論じる場合が多いです。今日はサハラ以南アフリカの近況について解説します。国際通貨基金(IMF)が最近提出した報告書によると2011年のサハラ以南アフリカのGDP成長率予想は+5.3%、2012年は+5.8%と予想されています。この地域の経済成長の様子をもう少し詳しく見ると、南アなどの中進国は雇用や鉱工業生産の点で未だリーマン・ショック以前の水準まで回復していません。その一方で低所得国は高い成長率を記録しています。中国による積極投資サハラ以南アフリカ諸国の経済が好調なひとつの理由は中国をはじめとするBRICs諸国との経済面での連携が近年強化されていることによります。とりわけ中国は近年積極的にアフリカ大陸に投資を行っています。中国は幅広いセクターに対して投資を行っています。中国だけでなくインドとブラジルもサハラ以南アフリカとの交易を積極的に拡大しています。このため2010年までに中国、インド、ブラジルのサハラ以南アフリカとの貿易は26%を占めるまでになりました。いまのところサハラ以南アフリカからこれらの国に対する輸出は石油などの一次産品が中心です。しかし工業製品の輸出も今度漸増することが予想されます。輸出好調が経済をけん引サハラ以南アフリカの輸出はリーマン・ショック後、四半期ベースで330億ドルから僅か130億ドルまで落ち込みました。しかしその後急角度で回復し、現在は300億ドル程度まで戻っています。一方、輸入は同時期320億ドルから180億ドルに落ち込みました。しかし現在は260億ドルまで回復しています。つまり輸出の回復の方が輸入の回復より著しいのです。輸出の好調を背景にサハラ以南アフリカの経常収支は健全な状況を示しています。外貨準備もだんだん改善する傾向にあります。インフレ抑制が課題サハラ以南アフリカの目下の課題はインフレを抑え込むことです。サハラ以南アフリカのインフレ率はリーマン・ショック前に一時14%まで上昇しました。その後7%台に下がっていましたが、再び上昇に転じており、現在は9.4%程度です。特に食品価格の値上がりが激しいのが気になります。サハラ以南アフリカのブレンド政策金利はリーマン・ショック前に12%に達しましたが、現在は8%を割り込んでいます。つまり実質マイナス金利になってしまっているわけです。しかも今回の景気拡大サイクルでは未だ利上げは行われていません。これはサハラ以南アフリカ諸国の中央銀行の金利政策が後手に回っていると言っても良いでしょう。特にコンゴ、ギニア、シエラレオネ、ザンビアなどはすぐに利上げする必要があると思います。
2011年10月24日

今日のまとめ 第3四半期のGDP成長率は予想を下回った9月の鉱工業生産は予想を上回った9月の小売売上高も予想を上回った中国経済は政府の目論見通り整然とスピード調整している GDP成長率 中国の第3四半期のGDP成長率は+9.1%でした。コンセンサス予想は+9.3%でしたので予想より悪かったです。 今年の第1四半期のGDP成長率は+9.7%、第2四半期は+9.5%ですから次第に成長率が鈍化していることがわかります。 鉱工業生産 中国の9月の鉱工業生産は前年比+13.8%でした。コンセンサス予想は+13.4%でしたので予想を上回りました。因みに8月は+13.5%でした。 上のグラフからもわかる通り、鉱工業生産は極めて安定的に推移しています。 小売売上高 中国の8月の小売売上高は前年比+17.7%でした。コンセンサス予想は+17.0%でしたので予想より良かったです。因みに8月は+17.0%でした。 チャンスとリスクが背中合わせ まとめると第3四半期のGDP成長率こそ市場予想を下回りましたが、その他の指標は概ね安定的に推移しています。 中国政府はインフレを抑制し、過度の不動産投機を冷やすことを目的に利上げを繰り返してきました。従ってGDP成長率が少し下がってきているのは目論見通りの展開であり、歓迎すべき事です。 現在は中国の利上げサイクルが最終局面にさしかかっていると考えて良いでしょう。 利上げが終了する時は株式市場の投資家にとってチャンスであると同時にリスクも大きい時です。 なぜなら利上げを止めた時点では未だ経済がソフトランディングするか、それともハードランディングするかを予測するのは不可能だからです。 若しハードランディングということなら株式は売られます。 これから暫くの間、中国経済の動向に注意したいと思います。
2011年10月18日

今日のまとめ9月の輸出、輸入はともに予想を下回った 中国経済減速懸念が出ている 欧州向け輸出の鈍化が著しい 物価は2カ月連続で上昇率の鈍化を見た金融引締めがいよいよ終わりに近づいている貿易統計中国の9月の輸出は前年同期比+17.1%の1,697億ドルでした。コンセンサス予想は+20.3%でした。因みに8月の輸出は前年同期比+24.5%でしたので輸出のペースは減速しました。一方、9月の輸入は前年同期比+20.9%の1,552億ドルでした。コンセンサス予想は+23.7%でした。因みに8月は+30.2%でしたので輸入のペースも減速したことになります。 今回は輸出、輸入の伸び率ともに市場予想を下回り、ここ2カ月の漸増トレンドに反する結果となりました。夏以降、世界経済の減速懸念が高まっています。従って、いよいよ中国経済も世界のスローダウンがもたらす影響から逃れることが出来なくなっているのではないか?という懸念が台頭しています。9月の輸出の鈍化は主に欧州連合(EU)諸国向けの輸出の鈍化の影響です。欧州諸国は今急激に景況感が悪化しているので、これは仕方ないことではないでしょうか?9月の欧州向け輸出は316.1億ドルでした。これは8月に比べると-7.5%でした。一方、9月の米国向け輸出は301.1億ドルでした。これは8月の300.9億ドルを僅かに上回っています。 物価統計中国の9月消費者物価指数は前年同期比で+6.1%でした。これはコンセンサス予想と同じでした。因みに8月は+6.2%だったので若干、インフレの上昇ペースが減速したと言えます。インフレの上昇ペースが鈍化するのは2カ月連続です。一方、生産者物価指数は+6.5%でした。これはコンセンサス予想の+6.9%より低い上昇率でした。因みに8月は+7.3%でしたのでこちらも上昇のペースが鈍化しています。 今回、2カ月連続してインフレの上昇ペースが鈍化したことでいよいよ金融引締めが終わりに近付いているのではないかという期待が出ています。引き続き注目したいと思います。
2011年10月17日

今日のまとめ8月の利下げには賛否両論巻き起こった利下げ反対派はインフレ退治が出来ていない点を懸念している利下げ賛成派はこのところのセンチメントの低下を懸念しているブラジル経済は一般に考えられているより内需型利下げの発表ブラジルは8月の政策金利会合で50bpの利下げを決め、政策金利であるSELICレートを12.0%としました。この利下げ転換の決定が正しかったのかどうかについて投資家の間で議論が巻き起こっています。利下げに対する反対意見利下げが性急過ぎたとする人たちはその理由として未だインフレがピークアウトしていないことを指摘しています。下はブラジルの消費者物価指数(IPCA)です。現在のインフレ率は7.31%でこれは政府のターゲット(4.5%±2%)を大幅に超えています。またグラフからもわかる通り、インフレのペースも加速してしまっているように見えます。利下げに対する賛成意見その一方で利下げ擁護派は最近のブラジルの消費者ならびにビジネスのセンチメントの悪化を指摘しています。下はブラジルの消費者信頼感指数ですが相次ぐ利上げで指数が低下していることがわかります。また実業界のビジネス・コンフィデンス指数も一貫して下がっています。さらにブラジルの四半期毎のGDP成長率を見るとこのところ鈍化が著しいです。ブラジルは意外に内需経済最近、海外投資家の資金はブラジルから流出しています。これは若し中国経済が減速した場合、ブラジルの輸出セクターが打撃を受ける事を投資家が心配しているからです。もちろん、鉄鉱石や農産物などを中心に中国はブラジルにとって重要な貿易パートナーです。しかしブラジル経済全体に対する外需の重要性が意外に低いことはあまり知られていません。下のグラフは各国のGDPに占める輸出の割合を示したものです。今回のブラジル中銀の利下げの決断は国内の消費者やビジネスのセンチメントにとってプラスです。ブラジル株式市場の今後について考える場合、中国などの外需を心配するよりもブラジル国内の景気がどうなるか? という点に注目しながら投資の戦略を決めてゆくべきだと思います。
2011年10月11日
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