キヨイイキ | コブナガの「人間観察日記」

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舞い降りた天使は闇夜を照らす１２

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2012年01月21日

時計台の足元に凍える指でスマートフォンを必死でいじくる立体裁断のマスクをした男が居る。
ぽつん、ぽつん、見渡す周りには同じような男が何人も。

私は折りたたみ式の携帯電話をたたむと、深いため息を吐き出した。
それは白く、清く、どこか果敢無げに空に漂う散り散りの雲の一つのようにも見える。
男たちはその雲を空腹のハイエナの如く…自分の肺に取り込もうと深呼吸を繰り返す。

だから男は嫌いだ。
女に生まれて正解だったと私は思う。
男なんか全て消えてしまえばいい。
年中発情して毎日精子を拵えてはそれをティッシュに包み捨てている。

この前「３５を過ぎるとヨウスイが腐ってくる」と発言した女性人気アーティストが結婚をした。
なんだってそんな発想に思い至るのだろうか？
普段から表現を鍛錬しているからそんな言葉が出てくるのだろうか？
しかし思っても言わないのが人間じゃないのか？
もしや彼女は人間ではないのか？
そうだ、きっとそうだ。
彼女は人間では無いのだ。
きっとマリーアントワネットよろしく、下界の人気では無いのだ。
下々の人間を見下して悦に浸る、才能はあるが人間としての価値はマイナスの人間なのだ。
しかし、マリーアントワネットならばギロチンで公開処刑に処されるべきではないか？

…私は「別に」って発言をした、離婚離婚言ってる女優の方が人間臭くて好きだ。

全く、男も女も碌なものではない。
人間に生まれた事がそもそも失敗だ。
いっそ人形になってしまいたい。
ドールコンプレックスと言うやつか、はぁぁ。
手首を切り刻んでも赤い血しか出てこない。

はてな、なんの話だったか。
そうか。　吐息の話だ。
私が吐き出した息を吸いたくてたまらないのだろう、男たちは。
そして私には自分の吐き出す息やら液を吸い込ませたいのだろう。
全く。　最低だ。

時計台の針が１２時を指すと、中から人形が飛び出て踊りを始めた。
それが合図のように男たちはスマートフォンをポケットにしまうと、私に近づいてきた。

さて、これから本業だ。
撮影部隊は…　あぁ、居る。
ピルは飲んでいるが、挿入は無いから心配は無い。
全く、メイクを直すのも一苦労なのに…
しかしこの仕事ではそんなことは関係が無い。

スタートの合図も無く、それは始まる。
マスクの男たちの臭い息が私の顔にもろにかかる、流れに任せよう。
私は事前にアルミホイルで炙った結晶を回想する。

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