きょういく ユースフル! ~ 僕は触媒になりたい ~

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2020.09.04
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​​新美南吉の名作 「ごんぎつね」

勤務先の地域では、新年度の4年生の教科書に継続で採用されています。
(というか、どうやら日本全国どこの国語教科書でも採用されているようです。)
勤務先で採用された教科書では下巻の最初の物語教材なので、9月になって下巻が配られ、そろそろ学習が始まったところです。

ちなみに、僕は以前この話の朗読を録音してYouTubeで公開しました。
お話が分からない方は、見てみてください。↓



この話の冒頭、「ごんぎつね」が ​いたずらばかりする​ 、という説明があります。


これについて、今日、子どもがなかなか鋭いことを言いました。

​「どうやって、したの?」

これは非常にいい疑問だと思いました。

そう言われてみれば、 ​どうやって火をつけたんだろう​

まさか、きつねがライターで火をつけるわけは、ありませんからね。

実はここの表現、調べてみるとなかなか面白いことがいろいろ分かってきました。


まず、この表現は、「ウソだ」というものが、見つかりました。

作者が地の文で書いているものの中にウソが混じっているとは、驚きの主張です。

▼​ 火をつけるおかしさ
 (荒井 賢一先生のサイト「 教育考現学

リンク先では、火をつけたというのはデマであるとし、
「偏見と差別があるときは、相手のことを悪く言うために、その人がやってない悪さまで、その人のせいにされてしまう」 と書かれています。

なんと。

これが本当だとすると、ごんは、差別されていた存在ということになります。
この前提に立つと、物語の解釈が、ずいぶん変わってきそうです。




国語科教材「ごんぎつね」についての素材研究
 ─子供の疑問に応えるための作者・作品内容の比較・検討─
 (森田 弘行先生の論文PDFファイル)

こちらは論文です。

実は教科書に採用された文章は新美南吉の原文ではなく読みやすく分かりやすいように改変されたものであることが最初に言及されています。

これもまた、驚きの事実です。

新美南吉が書いた「ごんぎつね」の原文を踏まえた論文となっているので、教材研究にかなり役立つ内容だと思います。

で、肝心の火をつけるいたずらについての解説ですが・・・

こんなふうに、書かれています。

====================
菜種がらは,種子が熟したアブラナから菜種をはたき落とした茎の部分であり,燃 を着せられた可能がないとはいえない.
(論文集22ページ(PDFファイルでは12ページ目)より)
====================

4年生の子どもたちは「菜種」とは何かを「意味調べ」で辞書で調べています。
しかし、「だから火がつきやすい」と気がつく子が、どれだけいるでしょうか。
ちなみに僕は今の今まで、気がついていませんでした。
おっと、こいつは、うっかりさん。
言われてみれば、「なるほど」です。

ただ、いくら火がつきやすいとはいえ、やはりいたずらでわざと火をつけるのは、難しそうです。
やはり、濡れ衣なのでしょうか。

ちなみに、論文の続きを読むと、「きす」という魚も、一般的な「きす」という魚は海にいるものなので、ここで言う「きす」は違う魚だと書かれています。

ううむ、浅はかな知識で漫然と読んでいるとまったく引っかかってこなかったことばかりです。
今までの自分が、ことごとく「間違って読んでいた」ことが判明しました。

やはり教材研究は必要です。
今までの自分の浅い読み方を反省しました。

子どもの疑問をこうやって調べてみることで、自分の読みが深まり、次に子どもと出会ったときに、「調べてみるとこんなことが分かった」と、子どもにぶつけることができます。
​​





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Last updated  2020.09.04 21:31:57コメント(0) | コメントを書く


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