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Audibleで「なめとこ山の熊」の朗読を聞きました。朗読のBGMとしてピアノが入るんです。朗読とピアノのコラボレーションで、物語世界への没入感が、すごいことになっています。ゆっくりと落ち着いたナレーション(朗読)も、すばらしい!オススメのオーディオブックです。なめとこ山の熊 世界の童話シリーズその271(宮沢賢治作、ことのは出版、2018、14分)Audibleにはほかにもアニメ「まんが日本昔ばなし」で有名な常田(ときた) 富士男さんによる朗読のバージョンなどもあり、バリエーションがとても豊かです。昨日のブログで「多様性が大切」といった話を書きましたが、お話の朗読もそうですね。みんなちがって、みんないい。同じ作品であっても、いろいろな読み方がある。いろいろな、表現方法がある。常田 富士男さんによる朗読のバージョンも、大変引き込まれます。こちらはピアノなどのBGMはいっさい入らない、声のみの常田シアターといった印象。この声は、常田さんにしか出せない。唯一無二の表現世界が、そこにあります。なめとこ山の熊(宮沢賢治作、朗読:常田 富士男、TOKYO FM & Appleway、2015、34分)宮沢賢治作品の、多様な朗読者による朗読の聞き比べ。おすすめです。寝る前に聞くのもよし。読み聞かせに使うのもよし。家事をしながら聞くのもよし。「耳だけ読書」という読書形態が、「読む」というインプットの別のかたちを提案してくれているので、そこもまた、多様性。「そんなカタチもあるんだ」と驚きながら、その利益を享受するのもまたよし。今はほんとうに、いろんなカタチが、身近に、手近に、感じられる時代ですね。▼国語科教材「ごんぎつね」の朗読をYouTubeで公開▼朗読により文学作品の情景が立ち上がる!~稀代の朗読マンガ『花もて語れ』▼『モリー先生との火曜日』1~「つまりは、もう一度赤ん坊になるってことさ」▼川村たかし『サーカスのライオン』(絵本)▼ミヒャエル・エンデ『モモ』
2023.06.06
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『国語ファシリテーション』の本を、ようやく読み終えました。『対話で学びを深める 国語ファシリテーション』(石川 晋×ちょんせいこ、フォーラム・A、2022/12、税別2100円)4年半を費やしてまとめられた本だそうです。中身が、とても、充実しています!国語教育の本として今間違いなくオススメできる内容です。ムズカシイ実践はひとつもなく、たぶん今全国の皆さんが普段の授業でされていることと地続きの内容なので、ぜひ読んでもらいたいと思います。石川晋先生は長年にわたって小中学校両方の授業を、ご自身の学校だけでなく、全国の学校を訪問して実践してこられた方です。その授業を「のぞき見」できる楽しみが本書にはあります。子どもたちと楽しみながら授業をされている雰囲気が伝わってきますので、ワクワクしながら「こんな授業、自分も体験してみたいな」と思いながら読めますよ。前半は音読についてかなり詳細に書かれており、僕はこの時点でとても感動していました。この本を読んで、僕は、複数回音読することの大切さに、改めて気づかされました。「ああ!こんなにたくさん音読しても、いいんだ!」と気づかされた貴重な授業記録が、そこにありました。(この本は、石川晋先生の、かなり詳細な授業記録がところどころで紹介されています。)おかげで、自習の時間に入ったクラスで飛び込みで国語の授業をしたとき、僕の理想のする「音楽のような授業」にかなり近づけた実感が持てました。あれは、担任不在の自習の時間に4年生に入ったときのことです。「熟語の意味」という小単元のプリントが用意されていたのですが、子どもたちはその単元の授業は受けておらず、いきなりプリントをする予定になっていました。僕は、教科書の授業をひととおり確認してからプリントをさせた方がいいように思ったので、即興で15分ほどの授業をしてからプリントをさせることにしました。そのとき、僕は「熟語の意味」と題名を子どもたちに音読させた後、もう1回「熟語の意味」と読んで、追い読みを同じフレーズで2回行うことを、やりました。こういった「くりかえし音読」を、その小単元の終わりまで、続けました。たったこれだけで、「かなりちがうな」という印象を持ちました。これは、すごくシンプルで、やろうと思ったらすぐにできることです。でも、この本を読んでなかったら、こういったことをやろうという発想が、まず、出てこなかったです。この本を読んでいたおかげで、楽しい授業時間を子どもたちと共有することができ、とてもありがたかったです。2回目は、子どもたちの反応が、少し変わるんです。ただ音読をしているだけなのに、子どもたちと「やりとりをしている」という感じがすごく出てきて、うれしかったです。本書では具体的な授業の中身も多数収録されていますが、何よりも「なにを大切にして、授業というものをとらえるか」ということを著者と一緒に考えることができます。この本をきっかけに自らの興味関心に従ってさらに深めていくこともできるように、脚注も充実しています。あなたが国語の授業を担当するなら、ぜひ、読んでみてください。 そして、脚注で紹介されていた他の方の本にも、手を伸ばしてみてください。この本の最後の方には、「授業じまい」の話題も出てきます。ちょうど年度末でタイムリーなので、本書から引用させてもらいます。ちょんせいこさんが石川晋さんの授業を言語化されることで、第三者の僕たちのような読者にとっても、すっと入ってくるものになっています。ちょん:例えば、授業びらきを読み聞かせではじめたら、授業じまいも読み聞かせで終わるみたいな。 そういう一貫した物語をデザインしていくって、授業でとても大事ですよね。(同書p228より)「おわりに」で書かれている「ファシリテーターであるちょんが、ファシリテーションという視点・文脈で価値づけてまとめる」(p236)ということの具体的なかたちが、上の引用箇所にも、非常によくあらわれていると思います。本書のなかでふれられている授業実践の中にも、ペアでつくりあげる実践がふくまれています。本書自体もペアで作りあげられたということに、本書の中身と本書の創造とに共通する「実践者」の思いを感じられて、とても興味深いです。最後に、個人的なことを少し書きます。最後の方を読んでいると、僕が個人的に晋さんに相談に乗っていただいた「星の王子さま」が「授業じまい」の教材例として取り上げられており、びっくりしました。「星の王子さま」は僕も大好きな作品で、個人的にこの物語を歌にするという取組をしていて、その歌詞の相談に乗っていただいていたのでした。↓▼自作曲「星の王子さま」▼子どもの学習意欲を高める授業の工夫 (2019/08/30の日記)▼小学1年生国語「くじらぐも」で、子ども同士が伝え合う姿に感動♪ (2021/11/18の日記) ▼「たから島のぼうけん」の創作物語を考えるのにも使える!宝島を舞台にしたアンプラグドプログラミング教材 (2021/12/10の日記) ▼「ミュージカルのような授業」 ~マンガ家矢口高雄さんの体験より (2014/03/29の日記)
2023.03.21
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光村図書の国語教科書2年生教材は、指折りの名作ぞろいです。勤務校では、そろそろ「スーホの白い馬」に入ったところです。今日、子どもに「スーホってどんな人?」というのを聞いていたら、今までは思いもしなかったことを子どもが言い出しました。本文に「少年」と書いてあるのですが、その意味を「女の子」だと思っていたのです。なぜ、「女の子」だと思ったのか?それは、挿絵に引きずられていたからです。たしかに、スーホの顔がアップで映っているときの絵は、女の子に見えなくもありません。そして、後で出てくる絵では、スカートのようなものをはいています。これは、モンゴルの民族衣装なのですが、そのイメージから、「女の子」だと判断していたようです。(参考画像:シルエットACより)子どもは、大人には思いもつかないような「思い違い」をしていることがあります。子どもと対話して、子どもがどんなふうに言葉の意味をとらえ、作品をとらえているか、ちゃんと確かめないといけないな、と思ったのでした。『スーホの白い馬 モンゴル民話』 (日本傑作絵本シリーズ)[ 大塚勇三 ]▼10歳の天才馬頭琴奏者に会いました♪ (2009/04/19の日記)
2023.02.17
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昨日の日記に、「予定通りにいかないことこそが面白い」と書きました。それに関連して、自分の体験の中で、思い出したことがあるので、書きます。小学校2年生を担任したときのこと。国語の単元で、音読劇をしました。その年は2回目の2年生担任でした。各教科の内容があらかじめ分かっていたので、最初から「国語」の物語単元は音読劇で通そう、と思っていました。その一発目が、くどうなおこ作「ふきのとう」でした。当時はインクルーシブ教育に先進的に取り組むA市にいました。支援学級在籍のAさんも、クラスの中にいて、いっしょに国語の学習を進めていました。Aさんには、音読劇の役割分担の中では、最後の方に出てくる、「こんにちは」だけを担当してもらいました。日常的に使う挨拶の言葉ですし、5文字だけの、短い言葉です。「これだったらAさんも言えるかな」と思っていました。これは、タイトルにもなっている、ふきのとうのセリフです。最後の場面では、たくさんのふきのとうが顔を出します。他の子が次々と「こんにちは」を言った後、他の子たちをまねて、同じように言えばいいようにしていました。発表会の本番当日。Aさんも、ちゃんとはっきりとセリフを言えたのですが・・・なんと、Aさんは、「こんにちは」を、「わ」ではなく「は」と言っていまいました。思わず、みんながどっと笑いました。でも、それが、全然失敗を笑うような笑い方ではなく、心から楽しそうな、明るい笑いだったのです。明るい笑い声が巻き起こったすぐ後、Aさんはもう一度、今度は「こんにちわ」と、言い直しました。そして最後のナレーション。別の子が、「もう、すっかり、春です」で、幕。期せずして起こったハプニングと笑いにより、フィナーレはより一層感動的なものになりました。このことは、たぶん、一生忘れません。クラスメイトたちのあの笑い声は、昨日のブログ記事の中で引用した「あなたのありのままが面白いよね!」というメッセージそのものだったなあ、と思います。子どもたちの世界は、ほんとうに、すてきです。
2022.12.06
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「ごんぎつね」の朗読をYouTubeで公開しました。 (全文テキスト表示付き、約16分)「マルチメディアDAISY教科書」のような教科書の音声読み上げのニーズのある子どもたちは全国に多くいると思います。 「DAISY」などは登録申請をしなければいけませんが、いつでも誰でもすぐに利用できるものとして、著作権が切れた文学作品であれば、YouTubeでも朗読を公開できるのではないか、と考えました。いろいろと問題や不具合があるかもしれません。 気づかれたことがありましたら、お知らせいただけたら、助かります。最初のところは何度も録りなおしたのでずいぶんよくなりましたが、全文を何度も録りなおす根気がなく、ある程度のミスはそのままになっています。 16分間ベストの読み方をするのって本当に難しいです。発表する機会があれば、それまでにしっかり練習しておきたいと思います。以下、YouTubeの動画の説明に書いた文章です。===============================新美南吉の「ごんぎつね」を朗読しました。画面上に物語の全文も表示されます。この作品は、全国的に小学校4年生の国語教科書で使われていると思います。文字を目で追うことや見ることに課題がある子どもたちが、耳で聞くことでお話の世界が理解できれば、という思いで公開しました。教科書の音声読み上げはいろいろなボランティア団体によってされていますが、著作権の切れた文学作品であればYouTubeでも公開できるのではないか、という実験的な試みでもあります。YouTubeであれば登録申請等の手間もいらず、パソコンでもスマホでも再生できます。音読の宿題の代わり、または自分で音読する前のモデルとしても、お役立ていただけるかもしれません。テキストの底本は「青空文庫」を元にしています。(著作権の切れた文学作品をテキスト化してWebで公開しているサイトです。)ただ、「青空文庫」の漢字の使用等について、現代の児童書における一般的な使用法に則って修正を入れています。作成に当たってはパワーポイントでスライドを作成し、動画出力した後で朗読音声を重ねています。(イラストは、「いらすとや」さんのものを使わせていただきました。)公開が12月1日になってしまいました。おそらく子どもたちが学校で習う時期を過ぎてしまったと思います。もしよかったら来年度以降に役立ててもらえればと思います。ご意見、ご感想、よろしくお願いします。===============================さて、ニーズがあるか、ないか?※「ごんぎつね」の音声読み上げニーズだけで言うと、単元の学習が終わっていれば今更ニーズはないと思います。もし3学期に習う予定の国語教材で、著作権の切れた文章の朗読リクエストがあれば、応じさせていただくかもしれません。
2019.12.01
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今日は「ごんぎつね」の初回授業が通級にあたっていた子がいたので、久しぶりに「ごんぎつね」の朗読をして、物語のイメージが子どもに伝わるようにしました。その前にかなり負荷がかかることをやっていたので少々涙顔でしたが、朗読が始まるとぱっと表情が明るくなり、物語世界を楽しんでくれたのがわかりました。物語の簡単な感想を求めると、すぐに書いてくれました。このまま単元の学習に意欲的に臨めたらいいな、と思います。 自分で言うのもなんですが、「ごんぎつね」の朗読、うまいんです。(笑)「ごんぎつね」の朗読だけで生きていくのもいいなあと思っています。 読みに来て〜というリクエストがあったら、ぜひ呼んでください。(笑)ただ、「朗読」というのは少々マニアックなジャンルです。こんなお願いをしても聞いてもらえないだろうな、と思いつつ、Siriに頼んでみました。「朗読をかけて」すると、なんとiPhoneのミュージックアプリから、朗読+音楽のコラボレーションが流れ出しました。驚愕。おお!こんなジャンルがあるんだ!とびっくり。いろいろ調べてみると、最高のシリーズが見つかりました。「おとえほん」のシリーズです。AppleMusicの聴き放題サービスでも、聴くことができました。ちょっと聞いただけで、驚愕。音楽の質も、朗読の質も、すごく高い。朗読に音楽をつけたら面白いだろうなーと思っていた自分にとって、モデルを見つけた思いです。音楽の演奏は一切の妥協のないオーケストラサウンド。物語に合った音楽を追求されていると感じました。子どもに聴かせるのに、とてもいいと思います。おとえほん 〜世界昔話〜 おとえほん 〜日本昔話〜 おとえほん 〜日本昔話3〜守時タツミ/おとえほん 〜日本昔話4〜YouTubeで動画を見ることもできました。▼「おとえほん」公式サイト「おとえほん」の2番せんじになるつもりはありませんが、僕も朗読+音楽にぜひチャレンジしたいと思っています。2年前に「とっておきの音楽祭」というところで、宮沢賢治の『やまなし』の導入部分だけ朗読して、その後自作曲の演奏につなげたことがありました。そのときは完全な朗読ではなかったので、作品1つを最初から最後まで読むのと、音楽をコラボできたらいいなーと思っています。お披露目の日まで、研究にいそしみます!(^^)
2019.10.01
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僕が担当させてもらっている通級指導教室では、読み書きが苦手な子どもたちを何人も指導しています。読みが苦手な子どもたちの場合、今の学年で新しく習う国語教材をいきなり読ませるのはハードルが高い場合もあります。僕の場合、新しい物語教材との最初の出会いは、まず僕が読むか、音声読み上げ機能を使って、本人は「聴く」ことから始めます。Aくんの場合、その時点で「長いなあ」と言って、知ったその時点から嫌気がさしていました。2度目の通級では、本人が読むための文章を、「これぐらいなら読める」という抜粋版で用意しておきました。抜粋は、物語の一番のクライマックスの部分です。セリフが多いこともあり、余白がわりとあり、見た感じでも、そんなに文字が多いように感じません。物語文の読みの前に、さらに導入で用意していたのは、「阪神大勝」の新聞記事。阪神タイガースが大好きなその子のために、これまでも阪神が勝った翌日の新聞記事は、一緒に読むことをやっていました。一緒に読む、というか、本人が勝手に読み出して、分からない漢字の読みだけ、僕に質問してきます。読むことが苦手な子どもだからこそ、本人が読みたいもの、読めるとうれしいものを用意しておきたい、と思います。
2019.04.22
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Facebookで情報提供をいただいて、さっそく購入した『花もて語れ』。「朗読」をテーマにしたマンガです。僕の大好きな宮沢賢治の『やまなし』の作品解釈が載っているということで読んでみました。読んでみたときの衝撃!今まで、これほどまでに『やまなし』の世界観を強烈に感じられたときはなかったです。マンガだからこそできるビジュアルでの見せ方と、「朗読」で取り上げられる言葉のコラボレーション!僕の大好きなマンガとなりました。全13巻刊行。僕は、朗読場面を読むときに自分も声に出して朗読しながら読みます。そして思いっきり作品世界を味わっています。いつもよりもゆったりと、言葉の一つ一つを愛で、味わいながら読む。それはそれは、至福の時間となっています。そんな風にゆっくりと大切に読んでいるので、2ヶ月くらい前から買い始めたのに、まだ4巻目を読み終わったところ。ブクログに4巻目までの感想を載せていました。そのまま転載します。文学や音読・朗読に興味のある方は、ぜひ読んでみてくださいね。『花もて語れ』1巻 感想花もて語れ 1 (ビッグコミックス スペシャル) / 片山ユキヲ 東百道=================================朗読の場面は僕も声に出し、朗読に挑戦した。そばで聞いていた僕の子どもが、「お話、読んで」とせっついてきた。声に出すことの凄みを、久しぶりに思い出した。いま、声の力がいかに忘れられ、軽んじられているか。これは日常や普段の読書に対する、強烈な問題提起になりうる本だ。マンガだから伝えられる、イメージと言葉との融合。こんなやり方があったのか。画期的な書。読書と朗読を愛する、全ての人に。=================================『花もて語れ』2巻 感想花もて語れ(2) (ビッグスピリッツコミックススペシャル) [ 片山ユキヲ ]=================================第1巻を読んで以来、楽しみにしていた第2巻をようやく読んだ。今回も朗読場面では自分でも即興で朗読をしながら、作品世界を味わった。「やまなし」の「12月」の作品世界を味わえて幸せだった。「春と修羅」も朗読に挑戦したが、これの解釈はなかなか難しい。巻末に解説もあるが、この解説もまたまた難しい。次巻は「花咲き山」。これも楽しみである。既刊のマンガだが、このマンガだけは一気に読まずに一つ一つ味わいたいと思う。朗読とはそういうものだから。=================================『花もて語れ』3巻 感想花もて語れ(3) (ビッグスピリッツコミックススペシャル) [ 片山ユキヲ ]=================================「花咲き山」に隠された秘密が今、露わになる。マンガだから表現できる、感動の場面!=================================『花もて語れ』4巻 感想花もて語れ(4) (ビッグ コミックス〔スペシャル〕) [ 片山ユキヲ ]=================================この巻も、文学作品を読み解く上での重要な鍵が紹介される。地の文における視点の転換。題材は芥川龍之介の『トロッコ』である。漫画ならではの、ビジュアルを伴った言葉の呈示で、文字だけでは思い至らなかった作品世界の情景がぱっと目の前に開ける。トロッコに重ね合わせる主人公の感情も印象的に読み手に迫る。逃げずに路上朗読に挑戦する主人公。「ま、どんなやつでも、本気さえ出したら、なんだってできるってことだの!」路上ライブを続ける主人公の友人の言葉が、読み手にも突き刺さる。=================================紹介しておいて何ですが、この本、もしかしたら絶版かもしれません。書店で探しましたが見つからず、結局ネットに頼っています。ネットだとさすがに手に入りますね。僕の「今から読む本」コーナーには、すでに13巻までが鎮座しております。急いで読まずに、時間をかけてゆっくり読みます。楽しみが増えました。
2017.11.05
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「さかなやのおっちゃん」という詩があります。作者は畑中圭一さん。「さあ、こうてや こうてや~」ではじまる、関西弁の売り文句で始まり、連の終りには「そんなあほな、おっちゃん」などのお客さん(?)の突っ込みが入る、楽しい詩です。この詩を使って、特別支援学級の合同学習をしています。この詩は「せりふ」で構成されていることから、詩の音読から「お芝居」「ごっこ遊び」に発展させやすいナイスな教材です。ある程度、詩の音読をしたら、「お客さん」役を1~数名つのります。残りの子は、「お魚屋さん」になります。がらんがらんと鳴る呼び鈴(?)を使ってお客さんを呼ぶところからスタートします。「いらっしゃい、いらっしゃい」お客さんに向かって言う言葉は、当然「お客さん」に向けて言わせます。「対象を意識して言葉を話す」ことの具体的練習でもあります。さらに発展として、今後「さかなやのおっちゃん」の「おっちゃん」を「〇〇さん」と子どもの名前に変えてやってみるバージョン、「さかなやのおっちゃん」の「さかなや」を「〇〇や」と変えてさかな屋とは違う「お店屋さんごっこ」をやってみるバージョンと、変化形を考えています。こういういろんなアレンジがきく、工夫・発展しやすい教材、おもしろくてワクワクする教材はとっても貴重です。この詩はどこに載っているかというと、2年生用の音読詩集「おがわ」(光文書院)などに載っています。日本標準だと「ことばのアルバム」音読詩集の4年生に載っているようです。『言葉の力を伸ばす発展教材の学習』という本では、有田和正先生が「高学年の発展教材(「さかなやのおっちゃん」(畑中圭一)で、方言を楽しむ」というテーマで授業を紹介されているようです。『発展教材の開発シリーズ6 言葉の力を伸ばす発展教材の学習』(岡山木曜会 /有田和正、明治図書、2003、1800円くらい)そんなわけで、全国で話題沸騰教室大爆笑超お勧めのこの詩。知らなかった人はぜひ今日から「詩の音読」の対象候補に加えましょう!(^0^)
2009.01.19
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