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監督・脚本 エリック・トレダノ/オリヴィエ・ナカシュ 実話を基にしたヒューマンドラマ。 ブラックボディのスポーツサルーン ”マセラティ・クアトロポルテ” が夜のパリを走っている。 運転しているのは、スラム街出身の黒人青年、ドリス。 彼はお気に入りのアース・ウィンド&ファイアーを流し陽気に歌っている。助手席に乗っているのは、この車の所有者で高級住宅街に住む老人フィリップ。その孤独な心を癒すためにドリスは彼を連れ出した。フィリップは満足気にドリスに従っている。ふたりの心の高揚に比例しスポーツカーのエンジンがうなりをあげる。そして次々に車を追い抜いていく。でも後方からパトカーのサイレンが追いかけてくる。逃げ切ろうと加速するが前方で挟みうちに遇ってしまう。突発的にフィリップが急病人を装ったのでパトカーは仕方なく病院へと車を誘導する。病院に到着しパトカーがその場を去ると、迎えに出てきた医師たちを無視し車は急発進する。そんなふたりの関係は体の不自由な大富豪とその介護人。フィリップは頸髄損傷で首から下が全く動かない。ドリスは、最初から介護をする気など毛頭なく不採用通知をもらうために(失業保険を申請できる)フィリップ邸へやってきた。フィリップは、面接に来たたくさんの人の中から「1ヵ月の試用期間を与えたい」とドリスを採用する。資格も経験もないドリスは戸惑いながらも身障者の介護に取り組むことになる。全てが対照的なふたり。人種、環境、教養、社会的地位、・・・ 年齢、体格、健康状態、音楽の趣味まで。 でもドリスはフィリップに対等に物を言う。陽気に冗談を言う。気難しい性格のフィリップはそんなドリスを信頼していく。 面白いシーンがいくつもあった。ドリスはフィリップの車いすを改造しセグウェイを追い越すスピードにパワーアップさせる。ドリスはフィリップの誕生日に演奏されたヴィヴァルディやバッハなどのクラシック音楽を興味ないと否定し、ノリのいいアース・ウィンド&ファイアーの「ブギー・ワンダーランド」でまわりをダンスに巻き込む。 「体が全く動かないので自殺することさえできない」と暗闇の中にいたフィリップ。妻を亡くし頸髄損傷の原因となったパラグライダーでもう一度大空を飛んだシーンは爽快でとても感動的だった。 フィリップのありのままの姿を受け留めてくれる文通相手の女性との新しい人生の始まりを、ドリスが演出する。碧くきらめく海辺のホテルがその友情のラストシーンを美しく盛り上げていた。 ※ 実在の介護士はアルジェリア移民の男性
2013.02.23

2013年のカレンダーも2枚めの月になりました。毎日温泉に浸かりたい季節です。 でも、気候が安定しませんね・・・。 今日は朝から雨模様です。 一人暮らしをはじめて4年ちかく、最近登山を趣味にしている息子からの写メールが届きました。体力作りをしている模様です。 六甲山山頂からの眺望 (1月下旬頃) いのししのお母さんが子育ての真っ最中みたいです。 危険ですから距離を充分保ちましょう。六甲山に住む野生動物たちのテリトリーです。 登山ルートは全27コースあり、たくさんの施設や年間イベントも充実しているようです。 http://www.city.kobe.lg.jp/information/public/online/rokkosanpo/index.html
2013.02.02

スタッフ監督:アン・リー原作:ヤン・マーテル脚本:デヴィッド・マギー製作:ギル・ネッター/アン・リー/デヴィッド・ウォマーク製作総指揮:ディーン・ジョーガリス撮影監督:クラウディオ・ミランダ、ASCプロダクション・デザイナー:デヴィッド・グロップマン編集:ティム・スクワイアズ、A.C.E.共同プロデューサー:デヴィッド・リー音楽:マイケル・ダナ画面は、モントリオール在住のインド系カナダ人パイ・パテル氏の自宅を、原作者である作家が訪問するシーンから始まる。当初、作家は小説を書くことに行き詰まりインドに滞在していた。ある日、物語の主人公になるパイ・パテル氏の叔父にあたる人物から彼に関する「神を信じるような話」を聞く。興味を持った作家は帰国し彼に取材を申し込む。パイ・パテル氏の体験物語は壮絶すぎて信じがたいものだったが、結論的に言えば作家はその話を信じた。 パイが16歳の時、インド・ポンディシェリで父親が経営していた動物園が倒産した。動物は転売され、一家と残った動物たちは日本の貨物船でカナダ・モントリオールに移住することになる。インドを出航して12日目、太平洋で大嵐に遭遇し船は沈没してしまう。荒れ狂う大海原で奇跡の救命ボートに乗り込んだのは、少年と足を骨折しているシマウマ、獰猛なハイエナ、大量のバナナを包んだ網に乗って流れてきたオラウータン、そして自らの力でボートまで泳ぎ着いた凶暴なベンガルトラだった。ボートに装備された限りある非常食と飲み水、絶望的な条件の中で人間と野生動物の生存を懸けた戦いが始まった。難破、遭難シーンは真に迫る迫力があった。 空が海に映し出され生き物が躍動する幻想的なシーンがとても美しかった。3Dの立体感、CGでありながらも動物たちとの格闘シーンがリアルだった。 ヒンドゥー教が大半を占めるインドでさまざまな宗教に真摯に向き合い真理を探求しようとする純粋で聡明な少年が絶体絶命の中で壮大な神の試練にあう。死を覚悟した少年が、力尽きてぐったりしているベンガルトラの頭を自分のひざの上に乗せて頭をなでるシーンは演出とはいえ泣きそうになった。 227日の漂流の末、奇跡的に流れ着いたメキシコの海岸で原住民に救助された少年は、振り向きもせずジャングルに消えたトラに 、「生死を共にした仲間なのにあいさつもなしか・・こんな別れ方があるか・・」と泣き叫ぶ。映画自体はフィクションだけど、 この話が「神を信じる話」であるが故に、「トラ」は振り向きもせずにジャングルに消えて行ったというストーリーになるのだと思う。 物語全てが哲学的だった。 《ベンガルトラ ”リチャード・パーカー” の名前をめぐる驚愕のシンクロニシティ》 (パンフレットより)リチャード・パーカーという人間的なトラの名前は、単なる書類上の書き間違えをシャレでそのまま使ったというストーリーになっている。でも、この名前をめぐる奇妙な元ネタがある。 エドガー・アランポーが1837年に発表した長編小説「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」の登場人物と同じ名前で、この小説は海を漂流中に食糧が尽きた4人の男が ”いけにえ”となるひとりをクジで選ぶという物語。その結果、仲間に食べられるはめになった船員がリチャード・パーカーだった。そしてポーの小説発表から47年後の1884年、”ミニョネット号事件 ”と呼ばれる摩訶不思議な事件が実際に起こった。イギリスからオーストラリアに向けて航海中のミニョネット号が難破し、乗組員4人は救命ボートで脱出。漂流20日、衰弱した最年少17歳の乗組員が殺害され、他の3人の食料になった。生き残った3人は後日、裁判にかけられたが、何と殺された少年の名前はリチャード・パーカーだった。まさに驚くべき歴史上のシンクロニシティ(意味ある偶然の一致)。
2013.02.01
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