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鑑賞日:2009年11月21日(土)14:00開演入場料:¥3,885 D席4階(3列18番)主催:文化庁芸術祭執行委員会/新国立劇場平成21年度(第61回)文化庁芸術祭主催・新国立劇場公演共同制作:バイエルン州立歌劇場アルバン・ベルク作曲歌劇「ヴォツェック」(全3幕 ドイツ語上演/字幕付)会場:新国立劇場・オペラパレス指 揮:ハルトムート・ヘンヒェン演 出:アンドレアス・クリーゲンブルク美 術:ハラルド・トアー衣 裳:アンドレア・シュラート照 明:シュテファン・ボリガー振 付:ツェンタ・ヘルテル合 唱:新国立劇場合唱団、NHK東京児童合唱団管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団出演:ヴォツェック:トーマス・ヨハネス・マイヤー鼓手長:エンドリック・ヴォトリッヒアンドレス:高野二郎大 尉:フォルカー・フォーゲル医 者:妻屋秀和第一の徒弟職人:大澤 建第二の徒弟職人:星野 淳マリー:ウルズラ・ヘッセ・フォン・デン・シュタイネンマルグレート:山下牧子感想: 故若杉弘氏が新国立オペラ芸術監督に就任時に20世紀オペラの重要作品として上げた作品であり、日本で一般商業公演では上演不可能であろうベルク作曲「ヴォツェック」を観に、遅れない様(3幕連続公演で途中休憩がないため)早めに初台へ出かけ、オペラシティー地下で腹ごしらえをしてからオペラ劇場へ。 今回2008年11月バイエルン州立歌劇場の公演舞台演出をそのまま持って来たもので、前公演「オテロ」と同様に舞台一面に水が張られいるが、照明は当てられず真っ黒な水面、その上に部屋の舞台装置が前後することで場面転換される、シンプルなもの。 部屋が後に下がる際に胸に「Arbeit(求職)」のプラカードを下げた黒ずくめ男達が複数名現れ、時々投げ入れられる残飯に水しぶきを上げながら群がるのは貧困と苦悩の象徴なのか。登場人物全て顔が白く塗られ、更にヴォツェックとマリー以外は髪の毛が後方だけか坊主で額まで白く、不気味さを含んだ異様な雰囲気。 音楽は無調性の現代音楽。アリア的なメロディーもなく、台詞に音楽が付いている印象。会話場面はP基調の音楽だが苦悩の独白等の場面では大音量になり、そのダイナミックスで最後まで引き込まれた。 2幕レストラン庭での踊りの場面では黒ずくめの男達が四つん這いになった上に置かれた長方形の台上にバイオリン、クラリネット、チューバにギター、バンドネオンのバンダが登場する所やピアノが浮いた台を回しながら演奏する所も面白い。 歌手は皆歌えており、その中でもマリー役ウルズラ・ヘッセ・フォン・デン・シュタイネンの表現が良かった。 一番目立っていたのはヴォツェックとマリーの子供であり、終始無言で父親に甘えていると思えば、常に冷静に親を見ていて、壁に黒ペンキで「GELD(金銭)」と書いたり、最後は子供たちに「母親が殺されたよ」と石を投げられると「ママ」と小声で叫び、その手にはナイフを握っていた。貧困と苦悩がそのまま子供に受け継がれてしまう所に救いのない世界を感じた。 演劇だけでは表現出来ないオペラの奥深さを感じた公演であり、日本で公演出来たことは故若杉弘氏の功績でしょう。End
2009.11.21
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鑑賞日:2009年11月3日(火・祝)15:00開演入場料:¥15,000 B席2階(7列36番)主催:Bunkamura/KAJIMOTOBunkamura20周年記念特別企画大野和士指揮 フランス国立リヨン歌劇場管弦楽団マスネ作曲歌劇「ウェルテル」全4幕(演奏会形式)(フランス語上演/日本語字幕付き)会場:Bunkamuraオーチャードホール指 揮:大野和士(リヨン歌劇場首席指揮者)管弦楽:フランス国立リヨン歌劇場管弦楽団児童合唱:東京少年少女合唱隊(合唱指揮:長谷川久恵) 出演:ウェルテル: ジェイムズ・ヴァレンティシャルロット:ケイト・オールドリッチアルベール: リオネル・ロート大法官: アラン・ヴェルヌソフィー: アンヌ=カトリーヌ・ジレシュミット: バンジャマン・ベルネームヨハン: ナビル・スリマン感想: 10月は自身のオペラ合唱出演や地元文化祭合唱団出演などありオペラ、コンサートへ行けなかったが、(「愛の妙薬」高橋薫子のアディーナを聞き逃したのは残念)今が旬で是非聴いてみたい指揮者の1人大野和士が首席指揮を務めるリヨン歌劇場管弦楽団を引き連れて演奏会形式でオペラを演奏するとのことで、木枯らしが吹くなか渋谷へ。 開演45分前から大野和士が舞台に登場しプレトーク開始。マスネが作曲に至った経緯、ワーグナー「トリスタンとイゾルテ」との共通点等の話の後、(モネ劇場での解説参照)、自らピアノを弾いて有名な「オシアンの歌」、児童合唱「クリスマスの歌」でキリスト教と自殺との関係、舞踏会での二重唱、そしてピストルを撃つ部分を紹介、ゲーテ原作とは異なる部分もあるが規範を超えて愛を全うする、ロマンティズム、若き血潮が溢れているところが共通点と結び、プレトーク終了後ピアノは舞台下へ。 ピアノまで準備してのサービス満点のプレトークで観客はいやが上にも期待が高まる。 第1幕前奏曲からロマンチックな旋律が奏でられ、コンマスソロの美しさで既に甘いクリームに包まれた様な気分に。特にfからpへの急激な音量の変化も完璧に抑制して鳴らす管楽器は素晴らしく、この当たりがフランスのオケなのでしょう。 児童合唱団と大法官がオケ後方の山台にいてクリスマスの歌から開幕。シュミットとヨハンの掛け合い、ソフィーの後にシャルロットそしてウェルテルが登場。音響の悪いホールで且つオケと同じ舞台での歌唱なので大変なのだが、皆さんそれなりに聞こえてきた。 その中ではシャルロット役ケイト・オールドリッチの感情を込めた歌声表現が良かった。ドレスも1、2幕は赤、3,4幕は白と場面に合わせていた。 ウェルテル役ジェイムズ・ヴァレンティは声があまり届かずオケに消されることも多かったが、「オシアンの歌」はそれなりに歌えており役柄としてはしょうがないか。但しずっと突っ立ったまま楽譜を見て歌っており、演奏会形式としても他の歌手の様に動作、絡みの表現が欲しいところだが。 児童合唱は4幕は裏歌だったが天使の声の様に美しい響きが聞こえてきた。 そして全幕通じて管弦楽が素晴らしく、歌手がいなくても管弦楽だけで既に音楽を表現出来ている。大野和士はダイナミックな指揮振りで、時には指揮台の手すりより後に仰け反って歌手達にも見せており全てを統率している印象だった。 プログラムの大野和士インタビューでリヨン歌劇場において託児所設置(預かった子供たちにもオペラの話を聞かせる)や若者への劇場の開放など改革を行い、今では観客の4分の1が25歳以下とのこと。観客に対するサービス精神は大したもで、小澤征爾にも通じるものがある。日本も見習って欲しいのだが・・・。 オペラにおける管弦楽の違いを改めて認識できた演奏だった。この後リヨン歌劇場管弦楽団だけの演奏会もあるようだが日程が合わず断念。 それから来シーズンの新国立劇場の「トリスタンとイゾルテ」の指揮が大野和士とのことで、今から楽しみだ。End
2009.11.03
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