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2024年NHK大河ドラマ 『光る君へ』 の感想です。この回は、まひろ(吉高由里子さん)と藤原道長(柄本佑さん)がやっぱり互いに思い合っているし、相手の立場を理解して歩み寄ろうとしているのに、結局は二人が別の方向に行ってしまうことが気になった方が多いと思います。しかし私は、全く別の部分で感動していました。ドラマの冒頭でまひろの父・藤原為時の妾で病人のなつめを演じた藤倉みのりさんと、ドラマの中盤で一の姫の倫子の元に道長が婿入りしようとしていることでオロオロとうろたえまくる左大臣・源雅信を演じる益岡徹さんの、お二人の演技に感動でした。重病人を演じる藤倉みのりさんの、力の入らない体、やつれ具合、咳き込み、荒い息づかいなどは、どう見ても重病人そのものでした。また娘・さわにどうしても会いたいと哀願する表情、願いが叶って心残りはないという表情など、どれも見事だったと思います。そして益岡徹さん。目に入れても痛くないほど可愛い自慢の姫の倫子の縁談では、摂政の藤原兼家には気圧され、倫子からはどうしても道長を婿にしてほしいと懇願され、特に倫子をなだめるシーン(22分10秒から24分30秒)の益岡さんの表情は、困惑や狼狽を表すのにこんなにも種類があるのかと、画面に見入ってしまいました。感動というと、泣けることをさすことが多いと思うのですが、感動の言葉の意味は「美しいものやすばらしいことに接して強い印象を受け、心を奪われること」とあるので、私はお二人の演技にスゴイ!と思う感動をしたのです。私は演技に関してはド素人ですが、ここでベテラン役者さんの本領発揮を見たと思っています。こちらでは様々な意見がでていて参考になります。 ⇒ ⇒ #光る君へ 寛和2年(986)夏、藤原為時(岸谷五朗さん)は病の床に伏す妾のなつめ(藤倉みのりさん)はもう先が長くないと悟り、僧を呼んで得度(出家して僧や尼になること)の儀式を受けさせ、なつめを安心させました。しかしなつめにはもう一つ心残りがあり、離れて暮らす娘のさわ(野村麻純さん)に一目でも会いたいという思いでした。為時は娘のまひろ(吉高由里子さん)に頼んでさわを呼んできてもらい、離別してからずっと会えなかった娘との再会を果たせて、なつめは為時に看取られて穏やかに旅立っていきました。その後、さわは礼を言いにまひろのもとを訪れ、そしてまひろに家での仕事や琵琶の弾き方などを習って、姉妹のように仲良く時を過ごしていました。しかし為時の失職によりまひろの家の暮らしは厳しいものになっていました。それを案じた親戚の藤原宣孝(佐々木蔵之介さん)は、まひろがこの家に力のある婿を迎えることこそが最良と考え、いい人物がいると話をしにやってきました。その相手は正四位下で左中将の藤原実資で先ごろ北の方(嫡妻)が亡くなっていて、知恵者で名高い実資は賢いまひろを気に入るだろう、ということでした。為時も実資の学識と筋の通った人柄を認めていて、自分たちとは身分が違い過ぎると思いつつも、まんざらではないようでした。(まひろはこの時は、自分の気持ちも考えずに勝手に盛り上がる父と宣孝に困っていましたが、後で宣孝に「甘えるな。」と叱られています)さて、藤原道長(柄本佑さん)には妾腹の兄・藤原道綱(上地雄輔さん)がいて、父・藤原兼家の陰謀の折にも一緒に働いてその後に父に官位を上げてもらっているのですが、道綱は宮内での人間関係に疲れているようでした。道綱は道長の住む東三条殿に遊びに来て、酒を酌み交わしながら11歳年下の道長にあれこれ愚痴を言っていました。その折に道綱が女の「妾という立場」のことにふれ、道綱の話から道長はまひろとのやり取りを思い出して一人考えにふけっていました。(そしたら兄から顔をムギューっと。この2人は互いに心を許せるようです。)後日、摂政となった藤原兼家(段田安則さん)は左大臣・源雅信(益岡徹さん)を呼びたて、人払いをして内密の話をしました。その内容は、兼家の息子・道長が雅信の一の姫の倫子に婿入りしたいというもので、兼家にとっては願ってもないことでした。兼家は言葉こそ愚息の願いとか雅信への敬語とかで雅信を立てていますが、口調や態度は話を進めるごとに強くなっていき、是非にでもこの縁談が成立するようにと雅信に圧をかけていました。兼家に気圧された雅信でしたが、兼家とのつながりは慎重にしたいので即答は避け、まずは倫子の気持ちを確かめなければと言ってその場を濁しました。道長を倫子の婿にすると決めた兼家はすぐに道長を左大臣家に送り込み、道長が大臣家の皆の目に留まるようにしました。道長が帰った後、源倫子(黒木華さん)が思いつめたような顔で父・雅信のところに来て、そして父に訴えました。「私は、藤原道長様をお慕いしております。」自慢の姫で可愛くて仕方がない娘から、好いた男がいると言われて激しく衝撃を受ける雅信左大臣さま。さらに倫子からは、夫は道長と決めている、どうか婿に、生涯一度のお願いとまで言われ、雅信はよりによって摂政家の若君をと、どうしたものかと狼狽するしかありませんでした。果て倫子は、道長との結婚が叶わなければ自分は生涯、猫しか愛でないとまで言いだし、なんとか父上の力で道長を婿にともう必死の訴え。そして倫子が道長の目に留まっていたようだと伝えたら、それならば!とさらに力を込めて、そして泣きながら倫子は父に訴えました。涙する倫子を雅信が慰めながらつい「不承知ではない」と言ったら、それを妻の穆子が聞いていて「この話、是非進めていただきましょう」と穆子からも雅信に圧が。摂政・兼家の圧に負け、可愛くて仕方がない娘の涙の懇願に負け、妻からの圧がダメ押しとなり(要するに自分以外はみんな賛成っこと)、左大臣さまは道長を婿として迎えることになりました。道長は姉で一条天皇の生母である藤原詮子から、倫子だけでなくもう一人、醍醐天皇の孫にあたる源明子を妻に迎えよと強く言われていました。さて、倫子との結婚を意識したからか道長はかな文字の稽古に励んでいて、藤原行成(渡辺大知さん)が師となって教えていました。いつもは大した欲もなく日々を過ごしていると思っていた道長がやる気になっていて、藤原公任(町田啓太さん)と藤原斉信(金田哲さん)は目を見張りました。道長の姿を見て、これは摂政家が宮中を全て意のままにしようとしているのではと感じた公任は父で太政大臣の藤原頼忠に相談しました。すると父・頼忠は、自分は内裏に出仕をするのをやめるから後を頼むと、そして摂政家では藤原道隆ではなく藤原道兼と懇意になるよう、公任に助言しました。さて平安の都では、人々が眠らずに夜を明かす庚申待ちの夜を迎えました。まひろは弟の藤原惟規(高杉真宙さん)と、近頃すっかり親しくなったさわと共に3人であれこれ語り合いながら眠らない夜を過ごしていました。その時、道長の使いで百舌彦がまひろ宛の文を持ってきていたのですが、それを受け取った惟規が勝手に開封してしまい、さわにも読まれてしまいました。でも、いつもの空き家で道長が待っているのでまひろは居ても立っても居られず、惟規とさわを置いてすぐに家を飛び出していきました。まひろは無我夢中で走りながら、妾でもいいから道長の妻でいたい、道長以外の妻にはなれない、と思いを改めていました。しかし道長と再会して道長の口から出た言葉は、左大臣家の倫子に婿入りする、それを自分でまひろに伝えたかった、ということでした。思いがけない展開にまひろは呆然としつつも、なんとか道長を祝福する言葉を送り、道長もまひろが理想とする政を行うために精一杯努めると返しました。まひろは道長なら妾でもいいと思ったけど、才能も人柄も素晴らしくて自分も好感を持つ倫子が嫡妻ではそれはできない/したくないと思い、自分も道長と別れるつもりだったととっさに言葉をつくろい、去っていきました。(息を切らしながら何かを期待した顔で空き家に入ってきたときのまひろのことを思い出せば、今の言葉は本心じゃないと道長もわかると思うのですが。)まひろが去った後、道長はその足で倫子の屋敷を訪れました。(道長なりに、まひろとの決別の思いもあったと想像します。)穆子は倫子に文も寄越さずにいきなり来た道長を呆れつつも、そのまま倫子の部屋の前に通しました。御簾の内を許された道長は倫子の傍に座り、倫子の手を取って徐々にと思っていたら、倫子のほうから道長の胸に飛び込んできました。自分への思いを一心にぶつける倫子に、道長も自然と惹かれていきました。道長に会うために急ぎ走った道を、まひろはトボトボと歩いて帰ってきました。家を出るときは飛び出していった姉が思ったよりも早く、しかもどこか哀しげな顔をして帰ってきたので、惟規とさわはうまくいかなかったのだと察しました。二人は何も言わず、惟規はまひろに酒を勧め、さわは「こらえなくてもいい」とまひろをなぐさめ、まひろは夜空を仰いで酒を一気に飲み干しました。(まひろが道長とのことで傷ついていることを察し、まひろの悲しみに寄り添いただ傍にいてくれる惟規とさわがいてくれてよかったと思いました。)
March 27, 2024
2024年NHK大河ドラマ 『光る君へ』 の感想です。この回は花山天皇を退位させた寛和の変(986)のその後が描かれ、視聴した後に私は政治的な面よりも藤原兼家(段田安則さん)の父としての息子たちへの扱いが気になりました。いつの世でも、その人の外見や雰囲気や言動で、本人が特に意識していなくてもなんとなく周囲の人が惹かれるいわゆる「人気」のある人がいます。反対に本人の地のままでは特に引き寄せられるものが感じられない人気の無い人もいます。父・兼家は、息子たちの性格を親として直感し、長男・道隆(井浦新さん)と三男・道長(柄本佑さん)には、自然と人の気を集めることを期待したと思います。そして次男の道兼(玉置玲央さん)には、周囲の目がとかいずれとか言って、あの働きの割には自分の扱いが低いと怒る道兼をなだめて説得していました。これはまあ兼家が道兼を利用しているだけ、と思えるのですが、それでも兼家は道兼に「相手の心をつかめ」と大事な助言をしています。つまり兼家は父として道兼の性格ではこれから政治家となるうえで大切な「人気がない」ことを見抜いていて、力を持つためにも周囲を味方にするよう努力し、実力で兄・道隆を抜け、と道兼に言っているようにも思えました。もちろん現代でも、上に立つ人や人気のある人は、元々持っている能力や性格に加えて、見えない場所で本人がすごく努力しているのがほとんどだと思いますが。親の直感は正しいことが多いーー今回はドラマから、ふとそんなことを思ってしまいました。こちらでは様々な意見がでていて参考になります。 ⇒ ⇒ #光る君へ 寛和2年(986)6月、藤原兼家の陰謀で花山天皇は退位させられ、人事が大きく入れ替わったため、まひろ(吉高由里子さん)の父の藤原為時(岸谷五朗さん)は官職を失い、再び無職になってしまいました。為時は昨夜のうちに何があったのかは全くわからず、ただ兼家が新しい帝の摂政として最高権力者になったことと、兼家の元を去った自分は兼家には許してもらえずこの先の除目でも職を得ることはないと深く落胆していました。大学に入ったばかりのまひろの弟・藤原惟規(高杉真宙さん)も父の力添えはもう期待できなくなり、苦手な学問に励んで自力で進むしかありませんでした。帝のあまりにも突然の退位・出家には誰もが驚きを隠せず、藤原公任(町田啓太さん)たちも密かに、誰が何をどうやったのかと憶測し合っていました。父が太政大臣・藤原頼忠である公任は、あの日の明け方に兼家の息子の藤原道長(柄本佑さん)が父の元に帝の譲位を馬で報せにきたことを漏らし、そう聞いた藤原斉信(金田哲さん)と藤原行成(渡辺大知さん)は、これは兼家の一家を挙げた謀り事だと3人は考えました。そこに当の道長が来たので行成はさっと話題を変えましたが、斉信は直に事件のことを道長に問いました。道長は「知らないほうがいい」と流し、そのまま学問の時間に入っていきました。無職となってしまった父に何とかして職をもらうためにも、まひろは左大臣家の一の姫の源倫子を訪ねました。左大臣・源雅信の力で父に職をと期待したまひろでしたが、摂政・兼家の決定を左大臣がくつがえすことはできない、摂政はまひろの身分では直接会える人ではないと、倫子から厳しく言われました。それでも諦めきれないまひろは藤原兼家(段田安則さん)の屋敷に行き、兼家に会えるまでは帰らないと食い下がって、なんとか兼家に会ってもらえました。まひろは兼家に、父は長年精一杯勤めてきた、どうか官職をと懇願しました。しかし兼家は、自ら去っていった為時に情けをかけることはできない、自分が生きている間は為時が官職を得ることはない、と厳しく言い渡しました。まひろが帰宅すると親戚の藤原宣孝(佐々木蔵之介さん)が来ていました。まひろが兼家に会ったとこを話すと宣孝は、摂政に会えただけでも途方もない事、摂政に直談判するなんてまひろは肝が据わっている、と感心していました。ただ父の仕事が望めない以上、下女たちは暇をだして自分も働かねばとまひろが言うので、宣孝は「有望な婿を取れ」と助言しました。北の方(正妻)にこだわらなければまひろならいくらでも良い婿が来る、それでこの家も安泰だ、と宣孝は言います。妾は好まぬまひろでしたが、宣孝は誰か探してやると言って帰っていきました。御所では早速、摂政・兼家による臨時の除目が行われ、兼家は(帝の退位の裏で密かに働いた)長男・道隆や次男の道兼を昇進させていました。そして兼家の孫の懐仁親王は新たな帝・一条天皇となり、帝の母で国母となった藤原詮子(吉田羊さん)は、まだ7歳の帝にいろいろと心得を聞かせていました。また次の帝となる東宮には、詮子の亡き姉・超子が産んだ居貞親王(兼家の孫で道長の甥)が立ちました。兼家は妾の藤原寧子(財前直見さん)を訪ねていました。寧子との間の子の藤原道綱(上地雄輔さん)も花山天皇退位の件ではさちゃんと役割を果たしたので、蔵人の官職を与えていました。亡き北の方(時姫)の子たちは兼家の力で十分過ぎる昇進をしているので、寧子は道綱のことが気が気ではなく、何度も兼家に念押しをしていました。(しつこく言わないと兼家が道綱のことを忘れそうで心配なのかも)でも道綱は、高い位についても自信がないと、蔵人で十分満足していました。(素直で明るい道綱を兼家も可愛がっているとは思いますが、逆に道綱も父母の前では明るくふるまうよう努力しているように思えました。)そして幼い一条天皇(高木波瑠くん)が即位式をする朝がきました。即位式のときのみ使われる高御座では着々と儀式の準備が進められていたのですが、道長が外で警護をしているとその高御座のほうから悲鳴が上がり、道長が急ぎ駆けつけてみると、そこにいた者たちは皆腰を抜かして恐怖におびえていました。道長が高御座を覗いてみると、そこにはなんと子供の生首が。道長はそれを布でくるみ捨ててくるよう舎人に命じ、またこのことは一切他言無用、外にもれたら命はないと思えと、そこにいた者たちに厳しく命じました。それから準備を進めるよう命じたものの誰もが穢れを恐れて動けないので、道長はやむなく自分で穢れの始末をし、その後では何事もなかったかのように即位式が執り行われました。その一方で、失意の花山院は播磨国書写山の圓教寺に旅立っていきました。兼家の孫で藤原道隆(井浦新さん)の甥でもある一条天皇の即位は一族にとって大変喜ばしいことで、兼家は道隆やその嫡男の藤原伊周(三浦翔平さん)、いずれ一条天皇に入内させる予定の娘の定子(木村日鞠ちゃん)ら道隆一家と、陰陽師の安倍晴明(ユースケ・サンタマリアさん)を招いて宴を開いていました。聡明で物おじすることなく晴明に対しても思うままに物を言う伊周と、入内したら皇子を産むよう加護をしてほしいと道隆に頼まれた定子を、晴明は何か考えながら黙って見つめていました。ところがその宴のさなかに、父・兼家のご機嫌伺いに来た次男の藤原道兼(玉置玲央さん)が兄の道隆一家が楽しそうにしているのを見て、帝の退位の件では自分はあれだけ働いたのになぜ呼ばれないのかと、怒りを露わにしました。兼家は道兼をなだめるためにに庭に出て、道兼が身を賭して働いたことを内心は十分に認めていました。しかし公卿たちの目もあるのですぐには高い地位につけられない、いずれ報いる、この宴は定子を入内させるためのものであり、道兼の3歳の娘も同じように帝に入内させたい、孫娘2人の入内を考えられるこの幸せは道兼が切り開いてくれたおかげだと、道兼の将来も考えていると兼家は話しました。さらに道兼が高い地位に就いたときのためにも今から公卿たちの心を掴んでおけ、地固めをしておけば堂々と兄を抜けると助言し、道兼は納得して喜んでいました。まひろの父が職を解かれたことでまひろの生活が苦しくなっていることを道兼は薄々感じていました。一方、源倫子(黒木華さん)もまひろのことを案じていましたが、その話からなぜか倫子の婿取りの話になり、倫子は密かに思う人がいると打ち明けました。倫子が思う相手は道長なのですがそれは伏せ、必ず夫に、この家の婿にするとまひろに決意を伝えました。そんな頃、まひろへの思いをまたどうしても抑えられなくなった道長は家人の乙丸を通じてまひろに会いたいと伝え、同じ思いのまひろもそれに応じて夜に道長が待つ空き家に向かいました。まひろをどうしても自分のものにしたい道長は、まひろに妻になってほしいと思いを伝えましたが、それはあくまで妾としてでした。道長は自分の心の中ではまひろが一番だと言いますが、妾の立場はまひろには絶対に受け入れたくないことで、道長と考えが対立してしまいました。父を摂政にもつ道長にとってまひろを北の方にすることは無理であり、せめて妾であれば自分なりにまひろ一家を守ってやれるという思いもあったでしょうが、それも叶わぬことに激しく失望した道長は怒って一人で帰ってしまいました。(前回は道長が、今回はまひろが感情的に。互いに相手のことを思って冷静に考えられても、自分のことには感情的になってしまうようです。)それから屋敷に戻った道長は父・兼家のところに行き、何かを頼んでいました。
March 19, 2024
2024年NHK大河ドラマ 『光る君へ』 の感想です。この回は開始早々、藤原兼家(段田安則さん)が一族の存続をかけた陰謀のために、4人の息子たちそれぞれに役割を与えていく場面に、思わず引き込まれました。兼家は父として息子たちの個々の性格や能力をよく見ていて、そこにそれぞれの息子に対する自分の感情を織り交ぜた絶妙な役割分担をさせていたように私は思えました。長男・道隆(井浦新さん)は跡継ぎとして大事であり、また全体をまとめるのが上手で人望があるので、計画が成功した暁には家が安泰する絶対的な地位に。次男・道兼(玉置玲央さん)には目的を達成するための下準備の、陰で動く一番難しい裏方の役割を。庶子の道綱(上地雄輔さん)は明るく素直で可愛いけど、万一の時は汚れ役をやるように命じ、そして末子の道長(柄本佑さん)は息子として可愛いという思いと道長の人望を見込んで比較的ラクな役割を振っていました。さらに兼家はこの陰謀で、上3人の息子は自分と運命を共にする覚悟で、そして万一のことを考えて道長だけは生き延びさせて、家の再興を図るようにしました。先々を考えた時に、表舞台に立つ者(道隆と道長)と裏方に徹する者(道兼と道綱)、成功か否かどうなるか分からない状況で、自分と運命を共にする者(道隆と道兼と道綱)と必ず生かしておく者(道長)。4人の息子をどちら側の置くべきかを、冷徹なまでに判断して役割を振り分けていました。ところで、この「家の存続のために誰かは生き残るようにしていく」という場面に、長年大河ドラマを見ている方は、どこか既視感がある方が多かったと思います。そう、2016年の『真田丸』の、『犬伏』の回です。真田家の3人が豊臣と徳川のどちらにつくかで悩んだ末に、父・昌幸(草刈正雄さん)と弟・信繁(堺雅人さん)は豊臣方に、兄・信之(大泉洋さん)は徳川方につくことにして、勝敗がついた時には互いに命がけで除名嘆願をすると決めた、あの親子の別れの回でした。権力者が大きく入れ替わるかもしれないという時は、どの時代も命を懸けた大きな決断があったのですね。さて、今回のドラマの中で、いったいどれほどの意味があるのかよくわからない「剣璽」について、番組のHPで解説が出ていました。 ⇒ ⇒ 剣璽とは こちらでは様々な意見がでていて参考になります。 ⇒ ⇒ #光る君へ 寛和2年(986)6月某日、帝(花山天皇)を退位させようともくろむ藤原兼家(段田安則さん)は、安倍晴明の占いで決行は6月23日が良いと言われ、急ぎ4人の息子たちを集めて計画を練りました。その日の丑の刻から寅の刻のわずかな時間の間に帝を出家させるために、次男の藤原道兼(玉置玲央さん)には、丑の刻までに女装させた帝を内裏から連れ出すように、長男の藤原道隆(井浦新さん)には、朔平門の外に女車の牛車を用意し、丑の刻までに朔平門を出るようにと。その後は内裏の全ての門を閉じ、道兼は帝に同行して元慶寺に行くように、また剣璽を道隆と庶子の藤原道綱(上地雄輔さん)で梅壺に運ぶように、もし誰かにそれを見られたらその者を道綱が後で始末をするように、という父の命でした。(父に呼ばれて喜んで参上したであろう道綱。それがとんでもない陰謀の一端を担うことになり、重責に恐れおののいていました。)兼家は三男で末子の藤原道長(柄本佑さん)には、剣璽が梅壺に運びこまれたら、帝が譲位したと関白・藤原頼忠の屋敷に伝えに走るよう命じました。この陰謀はもし万一失敗したら兼家の一族は滅びるという大きな賭けでした。なので伝令を命じた道長には、万一しくじった時は、道長は父が謀り事をしたと関白に伝えよ、道長自身は何も知らなかった事にして我が身とは関わりない事と言い張れ、そして生き残って家を守れ、と言いました。道長が家を守るのは道隆兄上の役目ではと問うと父は、この謀り事が成功すれば手柄は道隆のもの、道隆はそちら側だと言って父は去っていきました。このところ父・藤原為時(岸谷五朗さん)が高倉の女のところに行ったままずっと家に帰ってこないので、まひろ(吉高由里子さん)はどうにも気になってしまい、様子を見に行ってしまいました。粗末な家に住むその女は病の床にいて、為時に粥を食べさせてもらっていました。まひろがいることに気がついた父は庭に出てきて、事情を説明しました。女は病が重いが他に身よりもなく見捨てられない、間もなく命が尽きるだろうが一人で死なせるのは忍びなく見送ってやりたい、と父は言いました。父を人として立派だと思ったまひろは女の看病の協力を申し出ましたが、為時はまひろの気持ちだけ受け取ってそれは断り、まひろは家に戻りました。(こういう時の従者(乙丸;矢部太郎さん)は、話をしている主人の方を見ないようにして待っているのですね。)まひろが高倉から戻ると、道長の従者の百舌彦が家の前で待っていました。百舌彦は道長からの文をまひろに届けにきていて、まひろは胸が高鳴りました。文には古今和歌集の句が書かれ、それは道長のまひろへの恋心でした。まひろは急いで漢詩で返歌を書いて道長に届け、道長からは恋心を歌う和歌が、まひろからは冷静な漢詩がと、そんなやり取りが3度続きました。このことを道長が藤原行成(渡辺大知さん)に相談すると行成は「和歌は人の心を言葉に表したもの、漢詩は人の志を言葉に表したもの。漢詩を送るという事は、何らかの志を詩に託している。」と助言をくれました。道長とまひろが交わした和歌と漢詩の内容についての解説があります。 ⇒ ⇒ こちら 道長は6月23日に決行される謀り事のために、東宮(懐仁親王)の生母であり、姉の藤原詮子(吉田羊さん)のいる梅壺を訪ねました。この時に道長は梅壺から出ていく女性を見ていて、姉はその人は亡き源高明の一の姫の明子女王だと言いました。詮子は父・兼家が万一失脚しても懐仁親王が困らぬよう、宇多天皇の孫である左大臣・源雅信と醍醐天皇の皇子である源高明の2つの源氏を後盾にしておきたい、だから道長が明子女王と左大臣の一の姫の倫子の両方を妻にもってくれたら言うことない、と嬉しそうに語りました。さて道長が内密の用事でここに来たと察した詮子は人払いをし、道長は詮子に近寄って小声で、23日は内裏から出ないようにという父の伝言を伝えました。道長は詳細は詮子には伏せ、この時に起こることは詮子と東宮にとって悪い話ではないと言い、詮子は父も兄たちも信用できないけど唯一信用できる道長が言うならと、詮子は了承しました。一大事の決行を前に、まひろへの思いをどうにも抑えられなくなった道長は、情熱のままに文をしたためてまひろに送り、道長の思いを受け止めたまひろは逢瀬のために一人夜道を駆けていきました。道長はこのまま二人でどこかに行って一緒に暮らそう、自分は藤原と今持っている全てのものを捨てるとまで言い、まひろに決心を促しました。激情のままこの先の出世も何もかも捨てると言う道長だけど、貧しい暮らしの辛さを、なにより権力がないと直秀のように理不尽な目に遭う事を知っているまひろなので、道長の思いに応えられないと言いました。道長が好きでたまらない、でも二人で都を出ても世の中は変わらない、道長は偉い人になってより良き政をする使命がある、とまひろは伝えました。高貴な家に生まれた道長だからこそできる己の使命を果たして欲しい、直秀もきっとそれを望んでいると、そしてまひろは語気を強めて「一緒に遠くの国には行かない」とはっきりと道長に伝えました。でもこの都で、誰よりも愛おしい道長が政でこの国を変えていく様を片時も目を離さず見つめ続ける、とまひろなりの思いの丈を伝えました。そして夫婦にはなれないけど、愛し合う思いを二人で確かめ合いました。(互いに思い合うからこそ、激情のままに藤原を捨てるという道長と、最後は権力が身を守ることを知っているから貧しい弱い側に道長を来させてはいけないと理性で考えるまひろ、だと思いました。)そしていよいよ兼家の陰謀を決行する日になり、帝(花山天皇;本郷奏多さん)を内裏から外に連れ出す役割の道兼は、急に側近の藤原義懐に相談しようか、とか忯子の文を忘れたとか言いだす帝を説得するのに苦労していました。どうにかして道兼が帝を朔平門で待つ牛車に乗せたら御所の全ての門が閉じられ、道隆と道綱は剣璽を運びに動き出しました。(本妻の兄たちのように出世は望めないけど、重圧もなくノビノビ暮らしているであろう道綱は、生死を懸けた大仕事の一端を担うことになり、あまりの緊張で心も身体も平常ではいられませんでした。)剣璽が懐仁親王(高木波瑠くん)のいる梅壺に運びこまれた後、道長は急ぎ馬で関白の藤原頼忠のもとに走り、ただいま帝が退位して剣璽が梅壺に移り、東宮が践祚したと報告をし、関白にはすぐに内裏に来るように促しました。花山天皇退位の策を考えた安倍晴明は星空を見上げながら事の成り行きをじっと見守っていました。亡き女御の忯子を思うあまり道兼の誘導に乗せられるがまま出家への道を進んだ花山天皇は、元慶寺で剃髪を終えて出家しました。しかし一緒に出家すると約束していた道兼は、自分の番になったら出家はしないと言い、後を御坊に任せてさっさと退室していきました。花山天皇は道兼に裏切られた、騙されたとわかってもすでに後の祭り。屈強な武者たちに道をふさがれ、あきらめるしかありませんでした。花山天皇が退位して出家した報は藤原義懐にももたらされました。そして寅の刻となり、事がうまく終わった兼家は高笑いが止まらず、4人の息子たちは安堵の表情になり、我が子の懐仁親王がこれから新しい帝になる詮子は、父・兼家のやり方やこれからのことに複雑な思いでした。夜が明けて蔵人たちが仕事に就いた時、兼家と道兼が入ってきました。そして兼家は、昨夜にわかに帝が退位して東宮が践祚したこと、まだ幼い新しい帝の摂政は自分が務めること、今ここにいる蔵人は習いにより皆解任となること、新しい蔵人頭は道兼が務めると告げ、退室していきました。その後で道兼が新しい蔵人を発表し、藤原実資は筋が通らぬ、納得がいかないと猛反発しましたが、道兼に逆らう力もなく黙るしかありませんでした。
March 12, 2024
2024年NHK大河ドラマ 『光る君へ』 の感想です。この回で強烈だったのは、藤原兼家を演じる段田安則さんの、4人の子たちを前にして、政界を生き抜いてトップに立つための術を父として教えておこうとする、迫力の演技でした。そして父・兼家と共にだんだんと、4きょうだいたちの生き方や能力が見えてくるようになりました。藤原道隆(井浦新さん)は第6回の漢詩の会でもあったように、若い者たちををうまくまとめて望ましい方向に皆を率いていく、長男らしい力を感じます。次男の藤原道兼(玉置玲央さん)は親の愛を乞うが故に、父が望むことならなんでもやろうと考え、この策略も父が誰よりも先に自分だけに真実を明かしてくれたのが嬉しくて、そのために己を痛めつけて帝に近づきました。ただそれで得た「成功」の喜びをどこか得意げになって兄と弟に語る姿は、少しもの悲しい部分も感じましたが。三男の藤原道長(柄本佑さん)は、幼い頃から力の弱い者たちをかばってやる優しさがあり、自分とは異なる世界の考えも受け入れる度量があります。でも今はまだ、どの方向に行けばいいのかを模索中で周囲の考えや行動をじっくり見ている感じです。道長の姉の藤原詮子(吉田羊さん)は女子だけど父の気質をいちばん受け継いでいるようです。ただ父ほど人生経験も実力も足りないので、まだまだ未熟で迫力も足りない感じがしますが。そして今回意外だったのが、直秀(毎熊克哉さん)があまりにもあっけなく退場となったことでした。直秀はもっと後半まで登場してまひろの人生に絡んで、たくさんの影響を与える人かなと思っていました。でも直秀を演じた毎熊さん、見事なインパクトを我々視聴者に残していってくれました。もしかしたらNHKに、この先のドラマで毎熊さんが違う役で再登場するよう嘆願書がたくさんきているのでは?と想像してしまうほどに。こちらでは様々な意見がでていて参考になります。 ⇒ ⇒ #光る君へ 寛和2年(986)藤原道長(柄本佑さん)が住まう東三条殿に盗賊の集団が入り、警護の者たちが捕らえてみたらそれは直秀(毎熊克哉さん)たちの一行でした。道長は直秀に会ったときからどこか親しみを感じ、つい先日は“弟”として打毬の代理も頼んでいましたが、もしかしたらあの時の盗賊ではとうすうす感じていて、この時それがはっきりとしました。道長は警護の者たちに、直秀たちは人を殺めてはいない、手荒なことはするな、検非違使に引き渡せと命じて、奥に入っていきました。左大臣・源雅信の一の姫の源倫子(黒木華さん)のところでは、茅子(渡辺早織さん)としをり(佐々木史帆さん)が右大臣家の東三条殿での盗賊騒ぎの噂をあれこれと話していました。道長が活躍した話になったときには密かに道長を思う倫子はついうっとりとしてしまい、慌ててごまかしたりもしていました。(道長が獅子奮迅の働き?・・というか、この時は家来に指図しただけだと思うのだけど、噂はいつの時代も尾ひれがついて誇張されていくのですね。)左大臣家からの帰り道、まひろ(吉高由里子さん)は直秀たちがいつも稽古をしている場所に立ち寄り、直秀の行方を捜していました。するとその時放免たちが来て、まひろと乙丸(矢部太郎さん)を盗賊の仲間だと決めつけて、縛って獄に連行していきました。ただちょうどその時に道長が直秀たちの様子を見に獄に来ていて、彼らを早めに解き放つよう、手荒なことはしないよう頼んで番人に金を渡していてそこにいたので、まひろと乙丸は道長によってすぐに解放されました。しかしその時、獄の中にいる直秀たちを見てまひろは愕然として立ちすくんでしまい、道長はまひろを連れてすぐにその場を立ち去っていきました。道長はまひろを馬に乗せて、少し離れた空き家に入って話をしました。なぜ直秀たちを見逃してやらなかったのかと問うまひろに道長は、自分の立場上それはできない、自分の今の生活は身内とて信用できない、でもまひろと直秀は信じている、直秀は盗賊であっても敵は貴族と筋が通っている、と説明しました。そして直秀たちの身を案ずるまひろに、検非違使には心づけを渡しておいたからまもなく獄を出て都から遠くに解き放ちとなるだろう、と道長は言いました。その時、乙丸がそろそろ帰宅をと声をかけ、道長は送っていこうと思いました。でも一緒にいるところを左大臣家の誰かに見られたらよくないとまひろは断り、道長に今日の礼を言って帰っていきました。(もしなにか噂になれば権力のある道長はいいけど、力のないまひろの側はそうはいかないですからね。)最愛の女御の忯子を亡くして以来、帝(花山天皇)は何もする気力が起こらず、帝に仕える藤原為時(まひろの父)もただ黙って見守るしかありませんでした。しかし今の帝の次の代も権力を持っていたい側近の藤原義懐は、蔵人頭である藤原実資(秋山竜次さん)に帝の傍に女子を送り込むよう命じました。義懐はさらに、帝の気力が戻らないのは実資の怠慢とまで言い、我慢がならなくなった実資は義懐に反論、義懐は帝に対する愚痴を言いながら去っていきました。帰宅した実資は妻の藤原桐子(中島亜里沙さん)に宮仕えでの不満や愚痴をあれこれとこぼしていました。実資の愚痴があまりにしつこいので、桐子は日記を書くことを勧めました。(ドラマでは実資は「日記など書かん!」と言ってますが、実際には『小右記』という全61巻の日記を残しています。)ところで、病で倒れてずっと眠ったままだった藤原兼家(段田安則さん)は、実は病は陰陽師の安倍晴明と組んだ芝居であり、とうに回復していました。兼家の枕元に長男・藤原道隆(井浦新さん)ら4人の子が集まり、兼家は4人に我が一族の命運に関わる大事な話だから心して聞くよう言いました。兼家の狙いは今の帝をなんとか譲位させて娘の藤原詮子(吉田羊さん)が生んだ懐仁親王を玉座につけることであり、晴明がそのための画策をしていました。そして次男の藤原道兼(玉置玲央さん)には、帝の信頼を得て傍にあがるように命じていて、道兼は己を傷つけ父・兼家に冷遇されていると見せて帝の哀れみを誘い、帝の様子を父に知らせていたのでした。策として晴明は忯子の霊が兼家に憑りついていると噂を流した、しかしこの後、内裏でさらにいろいろなことが起こり(=起こし)、それは兼家が正気に戻ったと同時に忯子の霊が内裏でさまよっているということにして帝に譲位を促すというものだと、兼家は4人に説明しました。そして兼家は力強く「これより力の全てを懸けて、帝を玉座より引き降ろし奉る。皆、心してついてこい。」と言い、父の命を道隆・道兼・道長は承知しました。さらに兼家は、源を味方につけて強気になっている詮子に、いつもの「女御さま」ではなく父として「詮子」と呼び、自分についてこなければ懐仁親王の即位はないと思え!と念を押しました。ところで獄にいる直秀たちですが、捕まってからずっと取り調べもなく、この先自分たちはどうなるのだろうと、不気味さと不安を感じていました。でも盗みはしたけど人殺しはしていないからムチ打ち30くらいかなとか考え、ここを出たら女に会いに行こうとか話をしていたらそのうち冗談も歌も出てきて、皆で歌って笑って獄での時を過ごしていました。一方、直秀たちの今後が気になっていた道長は、直秀たちが流罪となって明日の卯の刻(夜明けの6時頃)に出立するという情報を得ました。そこで従者の百舌彦を通じてまひろに伝え、直秀たちを見送ろうと思いました。しかし道長とまひろが見送りに来たときには、直秀たちはもう出立していました。向かった先が鳥辺野と聞き、そこは屍の捨て場であり、まさかと思いつつ道兼はまひろを馬に乗せて急ぎ鳥辺野に駆けつけました。そして道長が着いたときには時遅しで、直秀たちはすでに放免たちに殺されて息絶えていました。せめて遺骸をカラスや獣たちに荒らされないよう道長とまひろは二人で皆の穴を掘り、直秀には自分の扇子を持たせ、彼らを埋めてやりました。検非違使が最初彼らを拷問にかけるようなことを言っていたから、手荒なことをさせないよう心づけを渡した、でも後で盗人ならせいぜいムチ打ちくらいと聞き、もしかしたら自分のしたことで検非違使が何か思い違いをして直秀たちを殺してしまったのかと、道長は激しく後悔して皆に詫びて泣き崩れました。ところで内裏では、床下から動物の死骸が出てきたり廊下が水で濡れていたり、あるいは弘徽殿に白い影が出ると噂されたりと、気味の悪い現象が相次ぎました。帝(花山天皇;本郷奏多さん)が病に倒れた兼家が死ななかったことを苦々しく思っていたら、事態はもっと深刻で兼家に憑いていた忯子の霊がこの内裏に飛んできている、霊が成仏できずに苦しんでいる、と安倍晴明(ユースケ・サンタマリアさん)が帝に進言しました。忯子を哀れに思う帝は霊が成仏するならなんでもする、どうすればと晴明に問い、晴明は言いにくかったけど帝から促され、帝が出家するしかないと答えました。一方、まひろの家では弟の藤原惟規(高杉真宙さん)が大学に入ることになり、父・藤原為時(岸谷五朗さん)は惟規から挨拶を受けていました。 大学寮とは惟規の乳母のいと(信川清順さん)は惟規がこの家から出ていってしまうことが寂しくてしかたなくて、ずっと泣いていました。父は息子に言葉を贈り、そしてまひろほど学問が得意でない惟規のことを案じつつ、惟規を送り出しました。父はまひろが男であったらとまた思い、まひろもまた自分が男だったら勉学に励み内裏に上がって世を正すのにと、どうしようもないことだけど考えていました。
March 6, 2024
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