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我が家のオーディオのメインのスピーカーはSONY製で、中くらいの大きさ(高さ36cm)なのですが、もう20年近く使ってきて最近はさすがに音の出が悪くなり、更新しようということになりました(えっ、20年もなんて使い過ぎだって?)。昨日、ヨドバシへちょっと下見に行ったのですが、SONYは最近はもうあまりスピーカー製造に力を入れていないせいか、あまり種類がありません。 スピーカー売り場で幅をきかしていたのは、ボーズ、ヤマハ、デノン、ケンウッド、JBL、タンノイ、パイオニア、マランツなどですが、どうも置き場所の関係で高さ36cm未満のサイズで探してみたのですが、値段が適当なのがありません(予算は一応2台で7万円以内)。 ボーズもいいのですが、縦置きにするので横書きのロゴが縦になってしまうのが不細工で気乗りしません。ヤマハはデザインに凝りすぎて、台形をしているのがちょっと気に入りません。値段もやや高めです。 そんな中で、僕の目を引いたのは、DALIというデンマークのメーカーの製品「LECTOR2」(定価7万3500円)と、Bowers & Wilkins(通称「B&W」)という英国のメーカーの製品「685」(定価9万2400円)です。値段も手頃(どちらも値引き後の価格が2台で約6万円。B&Wの方が値引き率がいい!)ですし、大きさもほぼ希望のサイズで、デザインもなかなか良いのです。 店員さんに聴くと、「どちらもヨーロッパでは有名なメーカー。向こうでは映画館や音楽スタジオでよく使われている」とのことですが、これまで僕はずっと国産党だったので、少し迷っております(ちなみにDALIはデノンが、B&Wはマランツがそれぞれ代理店です)。 ブログの友人の皆さんで、このDALIとB&Wのスピーカーのこと、詳しい方はいらっしゃいますか? もしいらっしゃれば何かアドバイスをいただければ幸いです(今は最終的には、この2社から選ぶことになるような予感がしています)。 【追記】その後、ある友人から「ドイツのALR/JORDANの『ENTRY・M』というスピーカーもなかなかいいよ」と教えられました。この機種も候補の一つにしたいと思います。
2009/12/31
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関西発祥のBARグループである「サンボア・グループ」については、以前もたびたび取り上げたので、皆さんもよくご存知かと思う。だが、関西にはもう一つ、「Savoy」というBARが核となったBARグループが神戸と大阪にある。 グループの原点であるBar「Savoy」はついては、かつてこの日記でも二度ほど紹介した(05年12月28日の日記 & 06年12月27日の日記)が、1967年(昭和42年)、小林省三マスター=写真右=が創業した。関西のBAR業界の先達として、カクテル文化の定着や後進の指導に大きな功績を残されたが、残念ながら店は2006年12月、多くのSavoyファンに惜しまれつつ約40年の歴史に幕を閉じた。 しかし嬉しいことに、小林マスターの右腕として、34年間Bar「Savoy」を支えてきた木村義久さんが2002年に独立され、Bar「Savoy北野坂」=写真左=を一足早くオープンされた。店は「Savoy」本店が幕を閉じてしばらくした後、店名をBar「Savoy」に戻した。今では「Savoy」グループを支える柱となっているだけでなく、神戸を代表するオーセンティックBARの1軒でもある。 新「Savoy」では、「サン・エキスポ」=写真左下=など小林さんのオリジナル・カクテルを後世に伝えるとともに、木村マスターがサントリー・カクテルコンペで優勝したオリジナル「ソルクバーノ」ももちろん味わえる(写真右=Bar・Savoyの店内)。 小林さんや木村さんは、店で弟子を育てるだけでなく、「独り立ち」を積極的に支援してきた。その結果、Savoyグループは現在、神戸にBar「Savoy」をはじめ、Bar「Puerto」(写真右下)、Bar「Savoy Hommage」(写真左下)、Bar「Savoy Nino」、Bar「SONORA」の5店、大阪にBar「Savoy Osaka」と計6店を擁するBARグループに発展している(このうち「SONORA」と「Savoy Osaka」は、独立した営業をしている)。 SavoyグループのBARは、当然ながら、店ごとに個性的で、特徴が異なる。「Puerto」はワンコインBAR(ノーチャージで、どのお酒も嬉しい1杯500円均一!)、「Hommage」はどこかの家の応接間のように落ち着いた雰囲気で、トークが抜群のMマスターの素晴らしいとカクテルが楽しめる。 「Nino」(写真左下=通りにあるこの看板が目印)はこじんまりしたBARだが、女性店長Iさんの優しい接客にいつも癒される。路地裏の突き当たりにあるというロケーションもいい。 「SONORA」(写真右下)は「Puerto」で人気者だったKマスターが独立した店。飾らない人柄と誠実な接客・サービスが嬉しい。店の内装はSavoyグループでは一番明るく、ラテン系な雰囲気。 大阪にある「Savoy Osaka」は以前この日記でもいち早く紹介(08年8月10日の日記)したが、フードが充実し、シェリーの品揃えもよく、BARとバルの中間のような使い方ができる、嬉しい店だ。Hマスターはまだ若いのに研究熱心で、工夫を凝らしたオリジナル・カクテルも魅力的だ(僕の仕事場からも近くて、お値段もリーズナブルなのも有り難い)。 いずれも店の店主、バーテンダー、バーテンドレスにも共通して言えることは、どなたも気さくで、接客が温かいということ。これはおそらく小林さん、木村さんの後進教育のたまものだろう。 唯一、個人的に残念なことは、グループの店のほとんどが神戸の三宮、元町エリアに集中していることか。できれば、今後お弟子さんが独立される際は、ぜひ大阪や京都にももっと進出してほしい。そして、ゆくゆくは東京へも出店して、「関西にSavoyあり」の存在感を見せてあげてほしいと願う(写真右=Bar・Savoy Osaka)。 なお、小林さんは「Savoy」を閉じられた後、しばらく「Puerto」などのカウンターに週数回立たれていた。最近は少し体調を崩されてるが、現在は、調子が良い時は「Hommage」のカウンターに不定期で接客されているという(個人的にも、早くもっと元気になっていただきたい)。小林さんと再会されたい方は、Hommageに電話でご確認のうえ、お越しください。 【Bar Savoy】神戸市中央区中山手通1-7-20 第3天成ビル4F 078-331-8977 【Bar Puerto】神戸市中央区元町通2-2-7 尾上ビル2F 331-8654 【Bar Savoy Hommage】神戸市中央区下山手通5-8-14 341-1208 【Bar Savoy Nino】神戸市中央区三宮町3-9-4 331-2275 【Bar SONORA】神戸市中央区下山手通2-4-13 永都ビル3F 392-6715 【Bar Savoy Osaka】大阪市西区江戸堀1-1-9 06-6445-2077(営業時間、定休日等は各店へお尋ねください) 【追記1】20100109ネットであれこれ調べていたら、「Savoy」という名前を使ったBARは全国に他にも6カ所あることを知った。このうち秋田、新潟、四日市、福岡(博多)の4つはBARで、厚木とつくばの2軒はライブBAR(ライブハウス?)だった。いずれにしても、神戸のSavoyより歴史が古いということはなかろう。同じ名前を気軽に使うのはいかがなものかと思うけれどねぇ…(もちろん「本家のSavoyもあのSavoy Hotelの名前を勝手に使っているじゃないか」と言われたら、反論は難しいのかもしれないけれど…)。 【追記2】小林省三氏は大変残念ながら2015年10月に天上に旅立たれました。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/12/29
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メリー・クリスマス! 皆さま、イブの夜はいかがお過ごしですか? 今年もイブの夜に、働くみんなのために、街行く人たちのために、大阪・中之島の「中之島三井ビル」(31階建、通称「東レ」ビル)が魅せてくれました。 嬉しいですね。今年はスキーを楽しむ雪だるま。色やデザインとも、見事な出来栄えです! デザインはビルのテナントの方々の投票で選んだそうです。 毎年思うのですが、このアイデアはだれが考えるんでしょう? この窓のライト・ディスプレーを見るとほっこりします。 アイデアを考える人がいて、窓の開閉やデコレーションで協力してくれるテナントさんがいて成り立つイベントです。 ビルのオーナー(三井不動産)とビルのテナントの皆さん、本当に有難う! 世の中のみんな、こんな素敵な人たちばかりなら、争いごとなんて起こらないのに、ね。ちなみに、去年のクリスマス と 一昨年のクリスマスは、こんなディスプレーでした。 5分ほど東へ歩くと、中之島公園。そこにある「中央公会堂」でもこんな光の演出をやっていました。公会堂正面の壁面を使って、「光の絵画」を描いています=写真下。とても綺麗ですね。会社帰りのサラリーマンやカップル、家族連れとかで、公園は結構な人出でした。 これも中之島公園。可愛い「光のスノーマン」がいました! 大阪市役所も負けじとイルミネーションでライトアップです。
2009/12/24
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長年歌のパートナーだったMさんが去ったピアノBAR・Mはそれ以後、うらんかんろにとっては灯の消えた家のように寂しさ漂う場所( → 11月26日の日記参照)でしたが、神様は見捨てていませんでした。 スタッフに新たな歌姫が現れました。日記上のニックネームを何にしていいのか分からないので、とりあえずSさんとでもしておきます。 とにかく、めちゃ歌が上手くて、歌えるジャンルも広いのです。先日、初めてお手合わせをしましたが、いろんな曲のメロディの細かい部分がよく頭に入っているのには感心しました(※Sさんとの歌伴は厳密に言えば2度目でしたが、1度目は1曲だけ=ノラ・ジョーンズの「Don't Know Why」=だったのでその片りんがよく分かりませんでした)。 この夜はJ-popと洋楽で計4曲ほどコラボしました。なかでも絢香の「みんな空の下」は鳥肌が立つほどでした。聞けば、Sさんは昼間はボイス・トレーナーとして働いているそうです(だから、歌が上手いのは当たり前か)。 コラボの後、店に置いてある僕の曲目リストを見ながら、どんな曲が一緒にできるか2人で検討しました。すると、ざっと見ただけでも候補曲は20~30曲はありました。これからが楽しみです。 さらに、その同じ夜は、お客さんでまだ20代と思われるYさんという男性と出会いました。「Mには初めて来ました」というこの方がまた、半端じゃなく歌が上手いのです。2曲(DesperadeとHonesty)だけ歌伴しましたが、これだけでも十分その才能が分かりました。Yさんとは携帯電話の番号を交換して、再会を約束しました。 ピアノBar・Mでは、こうした思いがけない嬉しい出会いがいっぱいあります。会社とか肩書きを忘れて、一緒に音楽を楽しめる仲間に巡り会えます。 最初に紹介したSさんは火・金曜がMでの出勤日。という訳で、うらんかんろがMに出没するのも当分の間は火曜か金曜(一応、隔週くらいの頻度で)ということになります。機会があれば、ぜひ僕とSさんのコラボを聴きにきてくださいませ。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/12/20
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きょう12月17日は僕がよくお邪魔して、個人的にもあれこれお世話になっている大阪・天満橋のBar・Cadboll(カドボール)の10周年記念日である( → 08年12月29日の日記ご参照 )。 だから今週は、カドボールの記念ウイークでもある。店では、マスターの林壮一さんがわざわざスコットランドの蒸留所で樽を選んで買い付けた記念のシングルモルト・ウイスキー「ベンリアック(Ben Riach)」(限定246本で、ボトル販売もOK)をはじめ、貴重な長熟モルトが特別価格で味わえる嬉しいサービスもあった。 うらんかんろは今週14日(月)、16日(水)と2度お邪魔して、ささやかなお祝いも贈った。マスターの林さんについては、以前の日記でも同じことを書いたが、僕がこれまで出会ったバーテンダーでも、間違いなくベスト3に入る方だと思う。 林さんのどこが素晴らしいかと言えば、マスター(バーテンダー)に必要とされるカクテルなどドリンクづくりの技術、酒類に関する知識、接客・サービス、トークなどあらゆる面において、限りなく満点に近いものを兼ね備えているからだ。 加えて店の内装など雰囲気も良くて、料金もリーズナブル。優しい人柄も申し分ない。これ以上のBARは全国を探しても、そう簡単には見つからないだろう(とは言っても、僕も全国47都道府県すべてのBARへ行った訳ではないので、もし異論があればお許しあれ)。 それ故、天満橋という大阪では不利な立地にありながら、店のカウンターは毎夜、林さんを慕い、その美味しいウイスキーやカクテルを求める客であふれる。僕はこの場所で、このカドボールが10年無事続いたことが、心から嬉しい(写真右=10周年記念の「Ben Riach」ボトルは一番左。もちろん1999年樽詰めの10年熟成)。 さらなる10年へ歩み始める林さんに、僕からの一つだけのお願いは、これからは時にはその優しさを封印して、客に厳しいマスターという一面も見せてほしいということ。 カドボールには林さんの優しさに甘え過ぎて、周りの客のことをあまり考えないマナーの良くない常連客もいるが、大声を出して騒いだリ、傍若無人にタバコをプカプカ吹かす客には、時には叱る厳しいマスターであってほしい。 常連度が高すぎて、初めての客が小さくなっているようなBARを時々見かけるが、BARは「みんなで共有する・楽しむ空間」である。常連客も初めての方も、みんなが平等にリラックスして過ごせる場所でありたい。林さんと一緒に、みんなでさらに素晴らしいカドボールにしていきたい。【Bar・Cadboll】大阪市中央区石町2-2-20 電話06-6944-2918 午後5時半~午前1時 日休 地下鉄&京阪電車天満橋駅から徒歩約5分【お知らせ】23日(祝)には、初の試みで「スタンディングBAR・カドボール」が午後3時から8時まで開催されます!こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/12/17
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大阪の京橋と言えば、関西人なら、飲食レジャービルの深夜のテレビCM「京橋は~ええとこだっせ、グランシャトーが、おまっせ~」という有名なフレーズもあって、知名度は高い(関西以外に住む人なら、まず、「それって、どこ?」という反応がほとんどだろうが…)。 JR大阪駅からは環状線で10分ほどの場所にあり、京橋駅を中心に発展してきた。うらんかんろの働く中之島西方のエリアから京橋までは、JR東西線か京阪・中之島線で東へ10数分ほど。だが、阪神間に住む僕にとっては帰る方向とは逆なので、なかなか頻繁には行けないのがつらいところだ。 京橋はにぎやかで、庶民的な雰囲気の街。残念ながら、キタやミナミのようなシンボリックな「街の顔」はない。強いて言えば、前述の「グランシャトー」か(だが、実際に行ったという人とは、なぜかほとんど出会わない…(笑))。 安くて美味しい居酒屋や猥雑なキャバクラやスナックがあふれる一方で、時々、驚くほどな面白い店やセンスの良い店にも出会えるエリア。一方で、すぐそばには、大阪ビジネスパークや大阪城ホール、ホテル・ニューオータニなどの近代的なオフィス・ビル、集客施設が隣接する。そんな「何でもありな顔」と新旧の絶妙な対比が京橋の魅力でもある。 さて、いささか前置きが長くなったが、この京橋駅から歩いて7、8分ほどに今回紹介するBARはある。その名は「Bar the Monarch(バー・ザ・モナーク)」=写真左上。モナークとは店主であるKさんの思い入れ深いウイスキーの銘柄にちなむ。 Kさんは、元々、師匠であるHさんが京橋で営むBar・Leigh(リー)で修業していた。Hさんが北新地へ3号店を出され、もっぱら支店に関わるようになってからは、京橋の本店を任され、店長を長くつとめてきた。 そして7年前、京橋の店自体を師匠から譲り受け、めでたくオーナー・バーテンダーとなった。従って、店の内装や造りなどは基本的にBar・Leigh時代からあまり変わっていない。 この間、Kさんは業界のさまざまなコンクールで優秀な成績を残してきた。だから、優れた技術を持つバーテンダーであることは何の疑いもない。Kさんのつくるカクテルも、決して期待を裏切らない。だがKさんの良さは、そんな技術をひけらかさない謙虚さ、そして誠実で穏やかな人柄にあると僕は思う(写真右=マスターのKさんとBarモナークの店内)。 Kさんとは、Bar・Leigh時代からもう10年以上の付き合いだが、僕は彼が怒ったり、言葉を荒げたりする姿はまだ一度も見たことがない。当然、同業者や客がKさんの悪口を言うのも、一度として聞いたことはない。こんなマスターがつくる酒を飲めば、癒されるのは当たり前である。モナークのカウンターでは、僕は心底リラックスできて、ほっこりした気分になれる。 モナークのカウンターで、一番好きな酒は定番の「モナ・ハイ」である。「モナ・ハイ」とはモナークのハイボールの略。ウイスキーは「モナーク」自体はもう廃番で手に入らないので、モナークつながりでシングルモルトの「グレンフィディック」をベースにする(写真左=店にはもちろん今や廃番となってしまった「モナーク」のボトルが…)。 この「モナ・ハイ」用のグレンフィディックは常に冷凍庫でキンキンに冷やされていて、とろけるような状態でグラスの氷の上から注がれる。これが旨くないはずがない(十三トリスの「Tハイ」、カドボールの「カドハイ」に並んで、いまや大阪の3大ハイボールと言ってはいいすぎかな?) 京橋はキタ、ミナミに次ぐ大阪市内の盛り場ではあるが、オーセンティックBARはなぜか少ない(カジュアルなショットBARは多いが…)。大阪城ホールのコンサートの帰りなど、僕は時々、Barモナークに寄って、つかの間の余韻に浸る。この至福のひとときがたまらない。京橋にBarモナークがあることを、そしてKさんがマスターであることを、僕らは感謝しなければならない。【Bar the Monarch】大阪市都島区片町2-7-25 電話06-6358-8210 午後6時~午前1時 日休(祝日は営業) JR環状線または京阪電車・京橋駅から徒歩約7分、JR東西線・大阪城北詰駅から徒歩約5分(料金も良心価格で安心して飲めます!)こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/12/16
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いくらでもお金を出せるなら、美味しい和食は間違いなく味わえる。ただし例えば、あのミシュランがこのほど発刊した「京都・大阪版」で「3つ★」を付けた5軒の和食店(「吉兆・嵐山店」「つる家」「菊乃井・本店」「瓢亭」「千花」)はほとんどが、夜の食事の予算が1人3万円以上の店ばかり。我々庶民が気軽に行けるような場所ではない。 加えて言えば、そのような超高級料亭では、その料理だけでなく、その建物や室内の置物・飾り物(貴重な骨董が多い)、器(これも言わずもがなで高価だ)、雰囲気、接客などすべてのサービスに対する対価を払うことになる(それは「当たり前だ」と言われたら、あえて反論はしない)。 うらんかんろは、そうしたトータルで対価を求められる超高級料亭よりも、どちらかと言えば、我々庶民でも少しばかり貯金をすれば「ハレの日」に楽しめる、予算は(夜に飲んで食べて)1人1~2万円くらいの店で、優れた「QOC」(クオリティ、オリジナリティ、コストパフォーマンス)を持った店を探すのが好きだ。建物の由緒や室内の置物などはさほど気にしていない(※もちろん予算1万円以下の和食店でも優れた「QOC」の店はあるが、ここでは一応1~2万円の店に限っての論評。その辺りはお許し願いたい)。 ここで僕が言う「クオリティ」とは、味と材料のレベルの両方についてのクオリティであり、「オリジナリティ」という言葉には、見た目も美しいという、「アーティスティック!」という賛辞も含まれる。 そうした「QOC」で強烈な印象を与えた店と出会ったことは、これまでの人生で2度(2軒)あった。1軒は京都の「桜田」(奇しくも、ミシュランでも「2つ★」として紹介されているが、僕にとっては「3つ★」以上の店である)。もう1軒は大阪ミナミの「桝田」である(こちらもミシュランに選ばれ、「1つ★」)。 いずれの店にも共通して言えるのは、上記の「QOC」(クオリティ、オリジナリティ、コストパフォーマンス)が極めて素晴らしいという点である(ちなみに両店とも夜なら1人2万円以内で十分満足が得られる料理が楽しめる。※両店については別の機会にまた詳しく紹介したい)。 上記の2店に出会ったのは、「桜田」についてはもう15年も前(店主の桜田五十鈴さんとは、神戸ポートピアホテル内の「招福楼」にいらした頃からの付き合いです)、「桝田」は5、6年前だ。その後は、「なかなかそういう強烈な印象の店に巡り合えないなぁ…」と思っていたら、先般久々に、僕の「QOC」に値する店と出合った。 その店の名は神戸・三宮の「植むら」。さまざまな雑誌や実際に行かれた方の高い評価は聞いていたので、僕の期待は裏切らないとは思っていた。しかし訪れて味わうと、これはもう大きく期待以上の味と芸術性&オリジナリティに、はっきり言って唸った。 当日頂いた料理(10月の訪店)をとりあえず紹介しておくと(少し長くなりますが…)、1.「座付」くみあげ湯葉とツル紫のモロヘイヤソース、2「八寸」菊葉とんぶり和え、紫ずきん、川津海老、松葉茶そば、絹かつぎ、紅葉煎餅、秋刀魚手まり寿司、銀杏松葉刺し、梅貝旨煮、葉唐辛子、3.「椀代わり」車海老・ハモ団子、なめ茸、丹波黒古地、四方竹の土瓶蒸し、4.「向附」伝助穴子の千草和え 5.「焼肴」秋鮭の西京焼き、めふん・酢蓮根添え、6.「強肴」ズワイ蟹・面詰め、7.「揚物」秋野菜の天ぷら(秋茄子、鳴門金時、四角豆、菱の実)、8.「御飯(土鍋)」讃岐合鴨米、おかずには筋子醤油漬、鰯紅梅煮、大根、昆布佃煮、肉味噌、9.「止椀」赤出汁(浅利、あおさ海苔、ミョウガ)、10.「甘味」無果花おしるこ。 残念ながら、文字であれこれ説明しても味までは伝わらないと思う。これは、実際に味わって五感で理解してもらうしかない(お許し願いたい)。しかし、それぞれ工夫を凝らした絶妙の一品であることは確かである。お酒も珍しい、こだわりの日本酒をあれこれ揃えていて、ぐい呑み(おちょこ)も50種類くらいから選べるのが楽しい(左の写真は、天ぷらのネタの秋野菜たち。四角豆とか菱の実は初体験でした)。 とりあえず当日撮った写真をいくつか少し載せておくので、料理の雰囲気をある程度つかんでいただきたい。写真を見ただけでもきっと、素晴らしい「QOC」が垣間見れると思う(とくに上から2枚目の写真=「八寸」の盛り付けの素晴らしさには貴方も絶句するだろう。ちなみにこの大皿は3分割でき、再び合体も可というユニークなもの)(写真右は、ご飯に添えられた充実のおかず)。 「植むら」は大将と従業員(この方)の2人でされていて、この2人の連携が抜群。料理が出てくるタイミングも、心憎いほどちょうどいい。加えて、一品、一品の料理や材料について、丁寧に説明してくれる気さくさも嬉しい。 皆さんも三宮にお越しの節は、ぜひ「植むら」の素晴らしい料理を自分の舌で味わって頂きたい(カウンター8席だけのお店なので、予約は必須。ぜひ事前に席を確保してからお出かけを!。予算の目安は、飲んで食べて1人1万円~1万5千円ほどです)。【植むら】神戸市中央区中山手通1丁目24-14 ペンシルビル2F 電話078-221-0631 午後6時~午前0時 不定休 JR三ノ宮駅、阪急・阪神三宮駅から北野坂を北へ徒歩5分ほど(※来春辺りに近場で移転されるそうです)こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/12/15
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公開中の映画「ゼロの焦点」を見てきました。「ゼロの焦点」のは、言うまでもなく、松本清張のベストセラーにもなった長編推理小説を映画化したものです(過去何度も映画やテレビドラマにもなっています)。 簡単にあらすじを紹介しておくと--。時代は昭和33年。東京に暮らす26歳の板根禎子(広末涼子)は26歳。金沢の広告代理店に勤める鵜原憲一(西島秀俊)と見合い結婚した。信州での新婚旅行を終えた10日後、憲一は、仕事の引継ぎをしてくると言って夜行列車で金沢へ旅立つ。しかし、予定を過ぎても憲一は帰京しない。 しばらくして禎子の元に届いたのは、憲一が北陸で行方不明になったという、勤務先からの知らせだった。禎子は急いで金沢へ向かう。憲一の後任者の男性らの協力を得ながら憲一の行方を追うが、その過程で、夫の隠された過去や金沢での暮らしぶりを知ることになる(これ以降はネタばれになるので、映画館でどうぞ)。 僕は自分で言うのもなんですが、松本清張の大ファン。中学生の頃から、彼の読み始め、彼の作品の7~8割くらいは読んでいると思います。当然、この「ゼロの焦点」も読んだはずなのですが、ずいぶん前なので、映画を観る前はどういう結末だったのかは忘れていました(映画を観るためにはそれがかえって良かったかもしれません(笑))。 見終わってとりあえずの感想としては、いくつかあります。 1.映画の出来としては及第点でしょう。映像美も素晴らしい。古い金沢の街がとてもよく再現されていました(主に韓国の映画撮影所のオープン・セットを使って再現したそうですが…)。 2.ただし、米軍占領下の日本とその頃日本人女性が置かれていた状況や、親だけで結婚相手を決めてしまうなどの時代背景について、今の若い世代がどこまで理解できるかどうか(戦後復興のために必死で努力していた日本人の姿が、随所に描かれているのはとても良かったですが…)。 3.主役の広末は、共演の中谷美紀に完全に食われていたなぁ…--の3点です。 僕はとくに、古い時代の面影をまだよく残していた昭和50年代前半、金沢に住んだことがあったので、(昔の金沢駅など)よく目にした情景や耳にした地名がたくさん出てきて、とても懐かしい気持ちになりました。オープン・セットでは雪の金沢の街で、昔の市電まで走らせていましたが、ここまで時代考証にカネをかければいい映画も撮れるという証でしょう。 清張がこの作品で最も訴えたかったのは、おそらく「敗戦後の日本で、時代に翻弄された女性たちの悲しい運命」だったと思います。米軍占領下で、主権を奪われていた日本では、生きるために、貧困から脱するために男性も苦労しましたが、女性はより過酷だったことを忘れてはなりません。そうした歴史的、社会的背景を頭の片隅に置きながら、この映画を観ればより充実感が味わえると思います。 映画では、様々な事件を縦軸にしながら、横軸として(原作にはなかった)金沢市長選挙への女性の選挙運動(立候補から当選まで)が女性の自立、社会参加の象徴として描かれていますが、現実の金沢市政では女性市長は今なお誕生していません。監督の真意は分かりませんが、女性の地位向上・自立を選挙という舞台で描きたかったのかもしれません。 【おすすめ度】★4つ半(★5つで満点)【追記】091223 映画を観た後、原作をもう一度読み直しました。原作と比較して映画は、骨格はあまり変えてはいないのですが、いくつかの部分で原作とは違います。上記で書いたように、金沢市長選への女性候補の出馬のエピソードはありませんし、さまざまな事件の殺害場所、殺害方法も若干違います。登場人物の中でも、映画では死ぬのに、原作では死なない人もいます。でもまぁ、映画の脚本・演出としては許容の範囲内かなと思います。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2009/12/08
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