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私:韓国の日本嫌いの原因となった日韓併合に関する記事をインターネットで検索したら興味ある事実が引っかかった。 まず、伊藤博文が日韓併合に反対だったことだね。A氏:なぜだろう。私:日本は日露戦争には勝ったものの持てる力を使い果たしての辛勝だったので、経済面、軍事面で、かなり厳しい状態だった。 しかも、韓国(大韓帝国)も経済的にボロボロだったので、なおさら「そんなものを抱え込む余裕なんてない!」という判断だったとあるね。 ただ、そういった経済的理由だけではなくて、伊藤博文は、朝鮮人の資質を高く評価し、朝鮮人に期待していたようだという。 新渡戸稲造の著書「偉人群像」によると韓国統監だった伊藤博文に会った時、こう稲造に言っていたという。「この民族にしてこれしきの国をみずから経営できない理由はない。 才能においては決してお互いに劣ることはないのだ。 しかるに今日の有様になったのは、人民が悪いのじゃなくて、政治が悪かったのだ。 国さえ治まれば、人民は量においても質においても不足はない」A氏:そんな伊藤博文の真意を知らず、1909年、日本による韓国支配に反対する安重根に暗殺されてしまったね。私:そうなると、併合反対派最大の重鎮伊藤博文を失ったことで、バランスは、圧倒的に併合賛成派に傾いた。 韓国でも、「韓日合邦」を主張する一進会が勢いを増し、1910年、日韓併合に至った。A氏:安重根の暗殺は皮肉な結果となるね。私:その点、安重根に反省の弁があったそうだ。もう一つ、日韓併合に関係ある人物が頭山満だね。 彼は玄洋社の総帥だね。 玄洋社は孫文の革命運動への支援と並行して、1910年の日韓併合にも暗躍したとされている。 玄洋社の杉山茂丸や内田良平などの社員、もしくは250余名の関係者が日韓の連携のために奔走したという。 しかし、玄洋社が目指していたのは植民地化ではなく、「合邦」という理想主義的な形態だったと見られている。 「合邦」の詳細については定かではないが、内田氏は現実の植民地化した日韓併合に対して憤激しており、初めは協力的だった玄洋社と日本政府の関係は後に大きく離間していき、政府からはむしろ危険視されていたという。A氏:玄洋社は日韓併合後の日本の植民地化政策を嫌ったのだろうね。私:「合邦」というのは平等な連携を考えていたんだろうね。 伊藤博文が暗殺されず、玄洋社の考えが日韓併合後の政策に反映されていたら、今の日韓関係は変わったものになっていただろうね。 歴史にイフはないが。
2013.12.31
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私:この本は一種の知的街道的なつながりで図書館で検索して借りた。 著者の宮田珠己氏は、蔵前仁一氏の「あの日、僕は旅に出た」を読んで興味を持ち、宮田氏の「旅の理不尽・アジア悶絶編」を読んだ。 宮田氏の著作は図書館のリストによるとかなりある。 そこで2冊目は、この「晴れた日は巨大仏を見に」を選んだ。A氏:君も巨大仏に興味があるのかね。私:俺の中学時代は終戦直後でアメリカ文化がどんどん入ってきていたから、皆、海外旅行というとハワイとかニューヨークなどをイメージしていたね。 ところが俺は一風変わっていて、中国に行く夢を見ていた。 それも見に行くのは中国の3大石窟での岩壁に掘った巨大な仏像だね。A氏:3大石窟というと雲崗、龍門、敦煌だね。私:特に雲崗石と龍門石窟の巨大な仏像写真を見て、現地に行きたいと思っていた。 実際に、夢を実現したのは50歳代の頃で、ツアーで行ってきたよ。 これらの岩に掘った仏の大きさは20メートル以上あろうか。 後で、テレビで峨嵋山の楽山大仏という71メートルの巨大な岩に掘った大仏を知ったね。 東大寺大仏の5倍にも及ぶという。 いずれも立像でなく腰から上の坐像だね。 それに俺の住む横浜市のはずれには、大船駅から見える大船観音がある。 大船駅から、丘を登ると観音像がある。 これも立像でなく、腰から上だけで25メートルあるという。 よく孫を連れて行ったものだ。 著者の宮田氏は親戚が三浦半島にあるので幼い頃から大船駅を通過する時よく大船観音を見たという。A氏:世界を旅行していた著者がなんで巨大仏紀行を本にしたのかね。私:著者は別に仏心でなく、巨大仏のある風景を見て、そのとき胸にわきおこるヘンな感触をじっくり味わって、その正体を明らかにしたいという意図で日本にある巨大仏を見て歩くんだね。 日本にある高さ40メートル以上の巨大仏は16あるという。 ほとんどが昭和から平成にかけて作られたものだという。 北は北海道から、南は九州まで散在する。 これを著者は見るだけで訪ねる。 最大のものは茨木にある牛久大仏で120メートル。 これが平地に突然、直立で立ち上がっているわけだ。 1つを除いて皆、立像だね。 これらの大仏を著者は、突然、現れるマヌケな風景として描写する。 どれも人影はまばらだったという。 著者独特のユーモラスな文章につられ、一挙に読んだよ。 できたら、巨大仏の本家である中国の巨大仏の紀行も書いて欲しかったね。 もっとも中国の巨大仏は坐像が多く、また、岩壁に彫っているから、岩を背にしており巨大でもマヌケな風景ではないだろう。
2013.12.30
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私:昨日のブログで記録を忘れていた点があったので追加しておく。 ドイツは「ドイツ病」を脱するために、1998年から2005年まで首相を努めたゲアハルト・シュレーダー氏が雇用市場改革と社会保障サービス削減を柱にして構造改革をした。 失業保険を引き下げ、派遣労働の規制を撤廃し、低賃金雇用制度を導入した。 こうして2000年代初頭に労働コストの引き下げをし、ドイツ企業の国際競争力を支援した。A氏:その後をメルケル首相となるね。私:メルケルもこの改革を継承し、公的健康保険制度の改革、公的年金制度の支給開始年齢の67歳への引き上げを断行。 メルケルは首相は就任演説で政党は異なるがシュレーダー氏に感謝の言葉を送ったという。 シュレーダーとメルケルの2人の構造改革によって失業と低成長に苦しんだ「欧州の病人」を「欧州のエンジン」に改造したという。 ところでドイツは法定最低賃金を持たないという欧州でも数少ない国の1つだ。 しかし、所得格差是正を叫ぶ声は最低賃金導入を要求している。 メルケルは最初反対していたが、2015年から一部導入することにしたという。A氏:経済界は反対だろうね。私:法定最低賃金がないことはドイツの産業競争力の強さの1つだからね。 メルケルが格差是正を実現しながらも、ドイツ企業の高い国際競争力を維持できるかが今後の大きな問題だね。 それから昨日、ドイツが「日本と逆」な3つの点として「ケイレツより自主独立」「カイゼンより全体最適」「産官学連携で『脱・タコツボ』」とあげたが、3つ目の「産官学連携」でドイツの大学が日本と違う点をあげている。 ドイツでは博士取得後は大学を出て、民間企業や国際的な研究機関に就職するのが一般的だという。 教授に向かうキャリアパスとして、大学外での実績が求められる。A氏:日本の大学では博士号取得後、助手、准教授、教授と内部昇格していくのが一般的だね。私:だから、日本は産業界と大学との人材の流動性が極めて低い。 ドイツは、「産官学連携」で大学も企業も最先端の科学的手法を実践的な問題に適用していて、これがドイツ業界の成功の1つの秘訣だという。 それから、昨日、ドイツの「強い中小企業」が地域に根ざして高収益をあげているといったが、その基盤に地域の職業訓練制度があることをあげていたね。 それに関連して、ドイツの大学進学率は40%台半ばで他の先進国と比べて低い。 大学へ進まない学生の半数以上が、なんらかの職業訓練を受けているとされるという。A氏:日本人は勤勉だというが、どうやら、ドイツの若者のほうが真面目で仕事に勤勉のようだね。私:それで、長時間労働をしていないということは、仕事が効率的なんだろうね。 その点も学ぶべきだね。
2013.12.29
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私:ドイツの2012年の経常黒字は中国を抜き、世界トップになった。 メルケル政権のもと、ドイツは世界最強の黒字大国になった。 しかし、この強さは過去10年でついたものだね。 2005年までは10年以上にわたって欧州経済の足を引っ張っていた。A氏:ドイツ病だね。 このブログのドイツ知的街道では、その経過を示しているね。 「危機下でも絶好調のドイツ経済の原因」、「好調なドイツ・その2」、「ドイツ病に学べ」、「あっぱれ技術大国ドイツ私:シュレーダー首相当時に行った雇用市場改革と社会保障の削減などで、労働コストを下げ、企業の競争力をつけたのが成功しているね。 ドイツは税収の増加により、2015年には財政均衡を達成し、2016年には財政黒字を計画している。 日米と対照的な「借金なき経済成長」となりつつあるね。 格差はあるが雇用も完全雇用に近い。 安倍政権は3つ目の矢として経済成長をあげているが、まだ、先が見えないね。 しかし、すでにドイツは、自動車産業を中心に技術革新を生み出す産業を復活することに成功している。 今、自動車産業はドイツの技術革新により「第4の波」に入っているという。 「第1の波」は、石油の大量生産を背景として1886年にドイツでガソリン車が生まれたとき。 「第2の波」は、「大衆」が出現した1906年のフォードのT型車の大量生産。 「第3の波」は、ニーズの多様化に対応した20世紀中頃のトヨタ生産方式による生産の効率化。 「第4の波」は、グローバル化の進展・技術の複雑化に対応した2012年のフォルクスワーゲンの「モジュール設計」。 これによって、フォルクスワーゲンはトヨタに挑戦しつつある。A氏:経済成長にはそのような「民間のイノベーション」が必要だね。 安部首相が言う「民間の爆発」だね。私:ドイツ車はフォルクスワーゲンだけでなく、BMWが電気自動車に挑戦しているという。 重い電池を搭載するため、軽量化のため、車体に炭素繊維を使うことで進めているという。 ドイツ企業が様々な革新を生む秘密は「日本の逆」を行く次の3点にあるという。 第1は、「ケイレツ」より「自主独立」だという。 例えば、日本部品メーカー大手のデンソーはトヨタが株式の22.3%を保有する上場企業。 これに対して自動車部品で世界首位のドイツのボッシュは、株の92%は創業者由来の財団所有で非上場。 自動車メーカーとの資本関係は一切ないという。 主要自動車部品メーカーの日独の株式上場を比較すると、日本はほとんど上場しているが、ドイツは約7割が非上場だという。 ところでボッシュは毎日特許19件で、トヨタを越えているという。 第2は「カイゼン」より「全体最適化」を進めていることだね。 第3は、「産官学提携」で「脱・タコツボ」だという。 「産官学提携」施設が国中に広がっている。A氏:ドイツはそういう独立した中小企業が強いというが。私:特徴は地域に分散していることだね。 これによって地方で安定した雇用を確保できる。 そして、地元に職業訓練学校があり、この卒業生を採用できる。 もっとも将来は、事業継承や少子化問題があるという。 こういう実態を見ると、日本はいつの間にか遅れをとっているね。 安部首相の言う「民間の爆発」にはこういうイノベーションを生み出す地盤が必要だね。 その点、アベノミクスの3本目の矢は、イノベーションについてドイツに学ぶべきだね。
2013.12.28
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A氏:昨日の君のブログで森達也氏が著書で 「日米安保条約は条約・Treatyで、『集団的自衛権』が前提となる同盟Allianceではない。 だから日米は『同盟関係』ではない。 混同すべきでない」 と書いてあったのを紹介していたね。 森氏は言葉は正確であるべきとして、そうでないと、まちがった「共同幻想」をマスコミよって国民が持つようになると警告している。 ところで、昨日の安部晋三首相の靖国参拝に対して、米国が「失望している」という声明を出している。 新聞によると声明文には 「日米は大切な『同盟国』であり、友好国だが、今回の首相の行動には失望した」 というように「同盟国」が登場しているね。 声明文の英語はAllianceなのかね。 それとも翻訳上の問題なのかね。私:さらに、朝日新聞の一面で編集委員の前田直人氏が「信頼の礎 壊しかねない」としてコメントを書いているが、ここにも「『日米同盟』強化をうたう首相」がとあり、「日米同盟」がやはり出てくるね。 安倍首相は東京裁判を本音では「連合国側の勝者の判断による断罪」として「東京裁判史観」に反対で、本質的には「反米的」であるとの受け止め方が広まっているようだ。A氏:これで中韓との関係はさらに悪化するだけなのは明らかだね。私:直接、関係するのは日中経済だろうね。 昨年の反日デモ以来、多少回復してきた中国との経済関係が、また悪化するだろうね。 自動車販売も一時、半減したのが、最近、持ち直ししてきたのがどうなるかね。 経済界は、「なんで今頃」と思っているだろう。 大きな市場を失い、アベノミクスに多少関係するだろうね。 しかし、企業のほうも先読みし、中国離れをはじめているという。 今年、上半期に日本から中国への投資は49億ドルで、前年同期より3割減。 これが加速するだろうね。
2013.12.27
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【送料無料】「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい [ 森達也 ]私:北朝鮮に対する「共同幻想」を作るべく、マスコミが操作していることを指摘しているね。 まだ、金正日が生きている頃の話だね。 例えば、北朝鮮の一般国民が金正日について語るとき、普通に「首領」とか「将軍」と言っているのに、テレビのデレクターやプロデューサーから「偉大なる首領さまである金正日同志」にしてくれと言われるという。 あるいは、「決められたことだから仕方ない」と言っているのに、「わが国のためだから当然である」というように攻撃的な表現を要求されるという。A氏:北朝鮮の独裁色と攻撃的な性質の「共同幻想」のイメージ作りかね。 敵視イメージとなりやい。 一時、マスコミが北朝鮮とだけ言わず、必ず「朝鮮民主主義人民共和国」と言い添えていた時期があったね。 あれはどういう圧力があったのかね。 それがいつの間にか消えたね。 何故だろう。私:北朝鮮が人工衛星と称して打ち上げたロケットを日本のマスコミはミサイルと報じているが、外国のマスコミはロケットとしているという。A氏:ミサイルとすると恐怖感を与えるね。私:言葉は注意しないと「共同幻想」を作りやすい。 例えば、日米安保条約は条約・Treatyだ。 集団自衛権が前提となる同盟Allianceではない。 ところが、ときどき、最近「日米同盟」とか、「同盟関係」とか表現されることが多くなっているという。A氏:だから、集団自衛権の解釈が問題になってくるのかね。私:戦争の話になるが、2010年のあるシンポジュウムでその年、97歳になる元皇軍兵士が日中戦争で行った残虐行為について自ら行ったことを証言している。 これを著者はとりあげている。 初年兵には柱に括りつけられ身動きできない中国人捕虜を着剣した銃でつかせる。 躊躇すると古年兵に半殺しにされる。 ピンタなどの私的制裁も日常的だ。 こうして、初年兵たちは、普通なら持ち合わせているはずの感情や良識や人間性を暴力によって根こそぎ奪われ、ただ上官の命令に反射的に服従し、命令さえあれば平気で人間を虐殺する機械に変わっていく。A氏:ホロコーストのナチスのアドルフ・アイヒマンも「命令だったから」と言っているね。私:米軍も同じだね。 第2次大戦後、前線における米軍兵士の発砲率が20%以下と低かったので、兵士教育を見直す。 射撃訓練の的を従来の円形だったのを人の形にして、人の命を奪うことに対する抵抗感を少なくするようにした。 入隊したばかりの兵士たちは情感を徹底的に剥奪され、倫理観や人格を壊される。A氏:旧日本軍の初年兵教育が参考にされたとのことだ。私:これにより米軍の最前線の攻撃効率は2倍に向上し、ベトナム戦争で効果を出す。 しかし、心を壊された帰還兵の多くは、除隊後も日常生活に復帰できず、犯罪者となるケースが相次いだ。A氏:ハリウッド映画の「ランボー」や「ディア・ハンター」の主人公がそうだね。「ディア・ハンター」では主人公が帰還後、鹿狩に行き、目の前に立派な鹿がいるのに引き金を引けなくなるのだね。私:そこで米軍はハイテク兵器の開発路線に変更する。 湾岸戦争とイラク戦争の初期がそうだね。 ところがイラク戦争後期のバグダッド侵攻で市街戦となり、再び心を壊された米兵が虐待や虐殺に走る。 このシンポジュウムの元皇軍兵士の証言の後の質疑応答時間で 「もし、また同じような状況になったら貴方はどうしますか」 という聴衆の質問に対し、証言した元皇軍兵士は 「また同じようにするでしょう。 皆さんもそうです。 それが戦争です」 と苦しそうに答えたという。
2013.12.26
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【送料無料】「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい [ 森達也 ]私:この本はダイヤモンド社のPR誌「経」に07年頃から連載された「リアル共同幻想論」がベースになっている。 どこかの書評から図書館に予約して借りた。 370頁余の厚い本で読み出があったね。 連載したものをまとめたので、40の短編エッセイからなっている。A氏:では、休み休み読むことができるね。私:だから、気になったエッセイだけ拾いだしてまとめておく。 長い本の題名は、森達也氏が死刑廃止論者で、同じ意見の勝間和代氏とテレビ対談をしたら、ネットやツイッターで激しい批判が集中したことからきているんだね。 多くの批判は共通した内容だという。 それは「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と非難がネット特有の激しい口調で表現されていることだという。 森氏は言う。 「僕は被害者遺族ではない。 もしも、遺族(当事者)になったなら、今とは違ったことを考えるかもしれない。 でも今は非当事者だ。 だから、今思えることを思う。 今の自分の感覚に従う。 今の自分がやるべきことを考える」 という。A氏:単に「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」という批判者は、当事者でないのに、当事者の複雑な心情を正確に想像して言っているのかね。私:先進国で死刑制度を今も存置するのは日本とアメリカだけと言われるが、処刑方法が大きく違う。 日本は絞首刑、アメリカもそうだったが死の苦痛を軽減するため、電気椅子に変え、さらに薬物注射に切り替えたという。 著者は死刑判決を言い渡す裁判官たちはせめて一度くらいは処刑場に足を運び執行を自分の目で見て確認すべきだという。 次に著者は、「反捕鯨団体」のことを論じているね。A氏:この団体は日本人がクジラを食べることを批判しているね。 イルカの追い込み漁を批判した「ザ・コーク」というアカデミー賞受賞のドキュメンタリー映画もあったね。私:視覚や聴覚や臭覚は生きるために必要だが、味覚が必要な理由があいまいだ。 人類の進化の過程で、食生活の変化により味覚が発達したんだろうね。 日本では牛は年間127万頭、豚は1660万頭、鶏は5億9千万羽、屠殺されているという。 著者は、肉を食う人はせめてどのように解体されているかを知ろうという。 著者もステーキを食べるという。 しかし、牛の屠殺現場を見たことがあるのかね。 俺は牛、豚、鶏の屠殺を解体工場で見たことはあるがね。A氏:俺も工場視察で見ているね。私:この本には「コーブ」のシーンの描写はあるが、牛の屠殺場の描写がないね。 俺は、アメリカで1日3千頭の牛を屠殺している解体工場を見たが、「コーブ」なんて比較にならないくらい壮絶だよ。 しかも血まみれで屠殺しているのは皆、黒人で白人はいない。 著者の「共同幻想」というのは簡単に言えば社会的な思い込みだろうね。 2010年に「タイガーマスク騒動」があったが、この安易な善意に批判的だね。 世界には約7200万人の子どもが学校に通えない。 これを見ていない。 善意は陶酔しやすく、一方向に加速するので周りが見えなくなる。 その帰結として多くの不合理や不正義を生み、多くの人を苦しめるという。A氏:それはちょっと問題を広げ過ぎではないかね。私:話は変わるが、ビンラディン殺害で著者は違和感を持つ。 「裁判もせず『殺されて当たり前』」のようにマスコミは報じているという。 しかも、殺したのは他国だ。 明日は、北朝鮮のイメージ作りと戦争に参加する兵士の問題に移ろう。
2013.12.25
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私:ビジネスと禅は水と油のように思われるが、実は深い関係にある。 この特集では、日本では、JAL再建をした稲盛和夫氏をあげているね。 氏は、1997年に臨済宗妙心寺派の円福寺で得度を受けている。 もう一人、禅との関係が深い経営者が亡くなったスティーブ・ジョブズ氏だね。A氏:このブログの「英語を社内公用語にしてはいけない3つの理由」でツイッターの創始者ジャック・ドーシー氏をとりあげているね。 ドーシー氏は、シリコンバレーでは「ポスト・ジョブズに一番近い男」と期待されている天才だが、禅仏教により広まった「わび」「さび」を英語で書いた1冊の本を新入社員研修で渡し、「両極端の要素に中にある『美』、そのバランスこそが大事ということを社員に学んでほしい」という。 ドーシー氏は、アップル社の故ジョブズ氏を師として尊敬しているという。私:この週の日経ビジネスは、「iPadは禅そのもの:禅プロダクト」と言い、ジョブズ氏が禅をカタチに変えたという。 ジョブズ氏は大学中退後、インド放浪を経て、サンフランシスコ禅センターに通うことから曹洞宗とかかわるようになる。 ジョブズ氏はここで生涯の師となる乙川弘文師と出会う。 そして、曹洞宗の大本山・永平寺での修行を何回も打診したが認められなかった。A氏:日本の修行についていけたろうかね。私: 禅は師との相性があるからね。 しかし、ジョブズ氏は乙川師の教えで深く禅を学ぶ。 日経ビジネスでは6つのジョブズ氏の名言と禅の教えとのつながりを説明しているね。1.30歳のとき「自分の居場所は自分で作る」--「臨済録」に「いつ、いかなる状況に置かれても主体的に生きるという覚悟を示す」とある。2.41歳のとき「ベストを尽くして失敗したら?ベストを尽くしたということさ」---道元「正法眼蔵」に「一生懸命に努力する過程に価値がある」とあり、米国の成果至上主義と異なるジョブズ氏の考えを示している。3.44歳のとき「最善と言えない状況でやった仕事に、一番誇りを感じる」---道元「正法眼蔵随聞記」に「真理を悟るには志をしっかり持つべし」とある。4.49歳のとき「すり傷のついたステンレスを美しいと思う。僕たちだって似たようなもんだ」---道元「正法眼蔵随聞記」に「傷のない完璧な人間などいない。むしろ傷ついた経験こそが人の輝きを増す」とある。5.50歳のとき「今日が人生最後のだったら、今日やろうとしていることをやりたいか?」---道元「正法眼蔵随聞記」に「人は必ず死ぬもの。今、修行しなければいつ修行するのか」とある。また、禅の基本理念は「今日なすべきことをする」である。 この時、ジョブズ氏は、大病で死と向き合っている。6・54歳のとき「年を取れば取るほど、動機こそが大切だという確信が深まる」---道元「学道用心集」に「出発点が間違っていたらすべての行いが無意味になる」とある。 ジョブズ氏は栄誉を機に歩んてきた道を振り返った時、道元の言葉の正しさを確信したのであろう。A氏:ジョブズ氏は、2005年にスタンフォード大学の卒業式でゲストとしてスピーチしたが最後に「ハングリーであれ、愚直であれ」と言って締めくくっているね。私:これも道元「正法眼蔵」で「仏法が体に溢れていたら、目先の目標に到達してもそれで満足しない、どこか足りないと考える」とあるね。 ところでジョブズ氏発の「禅プロダクト」はアメーバのように世界に広がっているという。 「ZEN」と名のつく企業製品がとりわけ欧米で増えているという。 ZEN(禅)という日本語が市民権を得ているのがフランスだという。 自動車メーカーのルノーは、中核車種(トヨタで言うとカローラ級)を今年から「ZEN」という名称に変えた。 今後、中級車種はすべて「ZEN」にするという。 フランスの新幹線TGVにもZEN車両、地下鉄にもZENシートがあるという。 イメージ先行だが、禅はカタチから入るというから、今後の中身の充実を期待したいね。
2013.12.24
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A氏:先週20日の朝日新聞の池上彰の「新聞ななめ読み」欄で、君がブログ「PISA 日本の学力回復傾向・4日新聞報道」でとりあげた新聞報道の「ななめ読みを」していたね。私:池上氏は、2012年のPISAの結果で朝日新聞の「学力向上傾向」と読売新聞の「復調傾向」と報じている点にコメントしているね。 PISAは2000年の第1回以来、3年毎に行っているので、2012年を含めて過去5回やっている。 その順位比較で、日本の15歳の生徒の学力レベルを論じているのだが、池上氏は、比較するには気をつけないといけないのは、この4回は同一条件でないとしているね。 まず、PISA参加国・地域数が違う。 00年は32カ国、03年は41カ国・地域、06年は57カ国・地域、09年と12年は65カ国・地域と増えている。A氏:しかし、参加国数が増えても、あまり学力の高くない国が参加しても、上位グループの順位には変わりがないのではないのかね。私:そうだね。 参加国が増えたことで上位グループに登場するようになったのは、香港、台湾、シンガポール、上海などと少ないので、あまり上位グループの順位には大きく影響はないと思うね。 しかし池上氏は、参加国・地域が増えても12年は日本の順位が上がったのだから、読売新聞の「復調傾向」はおかしく、朝日新聞の「向上傾向」のほうが妥当だとしているね。A氏:次に、PISAでの日本の成績と「ゆとり教育」の関係だね。 03年、06年のPISAで日本の成績が大幅に順位をさげたのは「ゆとり教育」のせいだと読売新聞は報じている。私:これについて、池上氏は厳しい批判をしているね。 「ゆとり教育」が始まったのは小学校、中学校で02年度からだ。 「ゆとり教育」をわずか1年受けただけの生徒が03年のPISAで成績が悪いことになるのは、おかしい。 06年の成績の悪いことは「ゆとり教育」のせいだといえるかもしれないが、03年には言えないね。A氏:逆に「脱ゆとり教育」が中学校で全面実施されたのは12年だから、12年のPISAを受けた生徒は「脱ゆとり教育」を受けていない。 それなのに、03年、06年のPISAより12年は格段の好成績だ。 だから、読売新聞の12年のPISAの好成績は「『ゆとり教育』からの転換で学力が着実に向上した」という報道は、矛盾することになるね。私:池上氏は「自分たちの成果だ」と誇示したい文科省の発表に誘導されたと厳しく指摘しているね。 これは朝日新聞も同様に誘導され記事を書いているね。 発表されたことをうのみにせず、論理的に分析するという学力をPISAは求めている。 この記事を書いた記者は、その学力を持っているのか、と池上氏は皮肉をきかしてコメントしているね。
2013.12.23
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【新品】【書籍 ハードカバー】前泊 博盛 本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」私:この本を読んで驚いたことは、サンフランシスコ講和条約には日本語の「正文」がないことだね。 日本訳は「ひとしく正文である英語、フランス語及びスペイン語により、並びに日本語により作成した」とあるが、変な日本文で、この「並びに」の「訳」が曲者だね。 英語文は明解で "in the English, French, and Spanish languages, all being equally authentic, and in the Japanese language" で、この太字の文言が「ひとしく正文である」にあたり、仮に日本語も正文だとすると "in the English, French, Spanish languages, and in the Japanese language, all being equally authentic. と太字の文言が最後の位置にくるべきだね。 これは何を意味するのか、この本では明解に解説していないが、謎だね。 日本ではやむを得ず、外務省に英文を和訳させ、これを「正文に準ずるもの」として締約国の承認を得たうえで条約に調印したという。A氏:講和の当事国である日本の日本語訳が「正文に準ずるもの」だとはね。私:ところで、一般的に地位協定の必要性とは何かだね。 1国の軍隊が他国に長期間滞在することは、第2次大戦前は例外的であったが、戦後は友好国の軍隊が平時においても外国に滞在することが一般的になった。 そこで「軍隊の外国における地位status」を規律する必要が生じたのだという。 問題になっている「日米地位協定」の問題点を大きく分類すると次の5つになるという。 1.米軍や米兵が優位にあつかわれる「法のもとの不平等」 2.環境保護規定がなく、いくら有害物質をたれ流しても罰せられない協定の不備など「法の空白」 3.米軍の勝手な運用を可能にする「恣意的な運用」 4.協定で決められたことも守れない「免法特権」 5.米軍には日本の法律が適用されない「治外法権」 著者は、これらを実際に沖縄で起きた事件をもとに条文にそって詳しく解説しているね。 巻末には、「日米地位協定」全文と解説がある。 たしかに入門書としてはていねいで理解しやすいね。 しかも、日米間の秘密事項を米国の公開文書で明らかにしている。 ところで、この本で特に驚いた事件は次の3つだね。 1.1959年の砂川裁判 1審裁判で在日米軍は「憲法違反」であるとした「伊達判決」で、被告は全員無罪。 これが最高裁でくつがえされる。 この判決をめぐって米国側が最高裁にとった裏工作が2008年に米国の公文書で明らかになる。 2.米軍の違法を合法にするための車両制限令の法改正 1972年、横浜市近くの米軍相模原補給廠から修理を終えた戦車がベトナム戦争に戻るため大型トレーラーに乗せられ、横浜港のドックに近づいたら「重量オーバーで市道が損壊される」という市民団体の反対があった。 「車両制限法」違反だ。 トレーラーは2日間ストップ後、引き返した。 当時の横浜市長は後に社会党委員長になる飛鳥田一雄氏だね。 あわてた日本政府は2ヶ月後に、この「車両制限法」の例外適用として「米軍車両」を追加した。 3.日本人青年二見寛の運命・「二見事件」 1966年、彼は米国に出稼ぎに行っていたが、米国の長期滞在者にも適用される「普通軍事訓練及び兵役法」によって米軍に徴兵され、ベトナム戦争に派遣されることになった。 彼は死の恐怖に怯え、カナダに亡命したが、カナダは日本人の亡命を認めていなかったので、本人の希望により日本に強制送還し、彼は千葉県の親戚の家に身を寄せる。 米軍は「脱走した米兵の身柄を引き渡してほしい」と外務省に「日米地位協定」をもとに引き渡しを求める。 外務省は「日米地位協定」に基づき、彼を米軍に引き渡す。 これは原因として、長期滞在者でも兵役に服さない「軍事服役免除」を外務省が米国との間で結んでいなかった失態が原因としてあり、現在は問題ない。 しかし、「日米地位協定」では日本以外の地で脱走し、日本に入国した場合は「日米地位協定」は適用されないという考えだった。 それなのに、彼を米軍に引き渡したのは、外務省としての言い分は、本人の希望だという。 真相はわからないが、国民を他国に引き渡した北朝鮮の拉致問題みたいだね。 いずれにせよ、この本を読むと日本はまだ「永続敗戦」下にあることをつくづく感じるね。 戦争に敗けるということは、民族や国家にとって本当に大変なことだね。
2013.12.22
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【新品】【書籍 ハードカバー】前泊 博盛 本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」 私:著者前泊博盛氏は、以前琉球新報の編集長をしていた人だ。 長い間、沖縄で「日米地位協定」の不公平問題にふつかってきた経験が豊富だね。 この本は書評で知り、図書館から予約待ちで借りた。A氏:そういえば、今月16日、神奈川県三浦市三崎の埋め立て地に、在日米海軍厚木基地(同県綾瀬市、大和市)に所属するMH60Sヘリコプターが不時着しようとして横転した事故があったね。私:テレビのニュースで驚いたのは、米軍と一緒に県警が合同で調査していたシーンだ。 というのは、2004年(平成16年)8月13日に米海兵隊所属CH-53D型ヘリコプターが、沖縄国際大学の本館ビルに墜落、激突後に、爆発炎上するという重大事故が発生したね。 このときは、日本の警察は一切、現地に入れなかった。 これが「日米地位協定」の不公平な例としてよくあげられていたからだ。A氏:今度は、神奈川県県警は事故直後、すぐ現地に入ることができたんだね。私:朝日新聞は 県警は横浜地裁の検証許可状を取って、現場の米軍憲兵隊の責任者に検証を要請し、米側の同意を得て合同で捜査したと報じている。 外務省日米地位協定室によると、2004年の沖縄国際大の米軍ヘリ墜落事故では、沖縄県警はヘリが撤去された後にしか現場検証ができなかった。 しかし、今回、ヘリに対する捜査許可が出た点について「当時とは大きく異なる」としていると報じている。A氏:しかし、同日の東京新聞では、県警は在日米海軍と合同で現場検証したが、わずか90分間で終了したという。 「日米地位協定」で乗組員の事情聴取には米軍側の許可が必要な上、米軍側は飛行経路の詳しい情報提供に応じず、早くも捜査の障壁となっているという。私:同じ頃、米国務省のハーフ副報道官は17日の記者会見で、仲井真弘多沖縄県知事が安倍晋三首相に、「日米地位協定」への環境条項の追加改定を求めたことについて、 「米政府は『日米地位協』定に関する再交渉の開始にこれまでも賛成してこなかったし、今後も検討することはない」 と述べたと報じている。 ツレナイね。 こういうニュースを聞いていると、この「本当は憲法より大切な『日米地位協定入門』」の本の知識が生きるね。 この沖縄県知事の環境条項の追加改定というのは、「日米地位協定」には環境面の規定がゼロだという「法の空白地帯」を問題にした提案だね。 この本では、実際に起きた嘉手納基地のPCB問題をとりあげている。 嘉手納基地は地下水が豊富なところなのに、米軍は池を掘ってPCB廃油を流し込んでいた。 地下水汚染となる。 基地従業員の告発を受けて、県や周辺自治体が「基地内」の立ち入り調査を要請したが、米軍は「日米地位協定」の「基地の管理権」をタテに拒否。 その間にPCB廃油池を埋めてしまった。 結局後になってPDB廃油池が発見され、埋め立てられた場所は掘り返され、PCBを含んだ汚染土壌はドラム缶数百本につめられ、米国本土に船で運ばれた。 ところが、米国の環境法では「有害物質は持ち込んではいけない」ことになっている。 米軍は仕方なくユータンして日本に持ち帰ったが、横浜港では反対運動で入港できず、また沖縄にもどってしまった。A氏:どうしようもないね。私:最終的な処分は当時の防衛施設庁に委託されたそうだが、行方は不明だという。 こういう問題があったからか、沖縄県知事は「日米地位協定」の環境規制の空白を埋めるべく、安部首相に要請したのだろうが、米国務省のハーフ副報道官はこのニュースに反応して即、「日米地位協定」の改定の意志は全くないことを表明したね。明日は、サンフランシスコ講和条約に一旦もどって、再度「日米地位協定」を考えよう。
2013.12.21
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【2500円以上送料無料】中国人、韓国人、アメリカ人の言い分を論破する法 ディベートなくして納得は無し/松本道弘【RCP】私:どこかの書評で興味を持って図書館に予約して、少し待って借りた。 副題に「ディベートなくして納得は無し」とあるように、日本人が不得意なディベート外交の主張だね。 松本氏は外交の専門でないと思うが、話があちこちと外交問題にとんでまとまりがなかったね。 武士道や宮本武蔵の五輪書が飛び出したりして、あまり参考にならなかった。A氏:松本道弘氏は、ディベートの専門家だから、我田引水だね。 もともと英語はディベート向きだね。 私;松本氏はディベートの日本語訳に悩んで「究論」という訳を考えだしている。 ディベートは、ご承知のようにキチンとした根拠と論理がないとだめだ。 そして勝敗がつく。 日本語の議論と違う。A氏:高校生の英語によるディベート競技については、このブログの「英語をたどって」でふれているね。 昨年12月の全国高校生英語ディベート大会で、栃木県立宇都宮高校英語部が参加250校の頂点に立って優勝した。 その宇都宮高校英語部は今年初めにあったトルコの世界大会に日本代表として参加する。 予選の相手はタイ、トルコ、チェッコなど8カ国で英語を母国語とする高校生ではない。 それでも彼らの英語のスピードや語彙力は段違いで、嵐のように主張がとんでくる。 ずらずらずらっと論拠を並べ、こちらが出して論拠を次々に打ち破る。 日本勢は惨状だった。 結果は8カ国中、レバノンに勝っただけで1勝7敗。 しかし、この1勝は貴重で、日本代表として3年ぶりの勝ち星だ。 今回も含め、日本は7回出場し4勝52敗。私:この本でも松本氏は日本にディベートの風土がないことを嘆いているね。 「和」だとか、「空気」とか訳のわからないものが支配しているのが日本社会だという。 よく敗戦後、日本はアメリカ文化に毒されたというが、基本的な日本社会の特徴は変わっていないようだね。 実は、俺は松本氏と面識がある。 30年位前に、仕事で米国のビジネスマンと打ち合わせをするときに同時通訳をしてもらっことがある。 松本氏は同時通訳の資格もある。 狭い応接室で、米人と松本氏、こちらは俺と同僚の2人で計4人。 その部屋で松本氏のディベート的な歯切れのいい英語と日本語がとびかった。 失敗したのはイヤホーンを使わなかったことだ。 米国人が英語で話し、同時に松本氏の日本語が流れる。 両方の言葉が同時に耳に入るのでちょっと混乱したね。 そして、なまじその米国人の英語もわかるのでちょっと集中出来ない点があった。 しかし、無事、打ち合わせは終わったよ。私:打ち合わせの後、松本氏に当時、マスコミで問題になっていた朝日新聞記者本多勝一氏と山本七平氏の間のディベートの勝敗を聞いた。 そのディベートのテーマは、日中戦争で、ある部隊の2人の中尉が、どちらが先に中国兵を日本刀で百人斬るかという競争をしたという話で、この話は事実かどうかというものだ。 本多氏は日本兵の残虐性を指摘したが、山本氏は、日本刀はそんなに人は切れないとして戦争中の新聞記者の扇動的な記事だと反論した。 この2人のディベートについて、松本氏は、山本氏に軍配をあげていたね。 山本氏は部下が戦死し、埋葬するときに、死体を切るために、初めて日本刀を使ったそうだが、すぐに刃こぼれして斬れなくなったという経験もある。A氏:黒澤明監督の名画「七人の侍」でも、主人公の勘兵衛が多くの賊を次から次に斬るために、何本もの刀を土に突き刺し、何人か斬ると、すぐに別の刀に代えていたね。 何人か斬ると刃こぼれして斬れなくなるからだね。私:日本刀の権威の岩崎航介氏(1967年64才没)は、時代小説を読んで、刀の描写の不正確さが気になって仕方がなく、当時、新聞連載中の吉川英治の「宮本武蔵」の中で武蔵が百人ほどを相手にした一乗寺下がり松の決闘の小説での描写を問題にした。 「武蔵の刃は欠けるはずなのに、刃が欠けたと書いてない。 本当の戦いを知っている昔の人は、必ず、刃がノコギリのようになったとか、ささらのようになったとか、弓のように反ったとか描写している。 実際の斬り合いを見ていない現代人はスバリスバリと切って刃がなんともならないように考えている」 と言って、吉川英治氏の家に乗り込んだという。 このため、この小説では、後半で刀の研師が登場することになる。 時代小説の大家海音寺潮五郎氏は日本刀の話を小説に入れると専門家に文句を付けられるので、刀にふれないほうが無難であると言っていたという。 ディベートに勝つには確かな根拠としっかりした論理が必要だね。 右翼だろうと左翼だろうと思い込みの感情が先に走ると負けだね。
2013.12.20
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私:第3部のテーマは核燃料サイクルの「政策変更の難しさと打開策」だ。 核燃料サイクル政策を転換すれば、「再処理」を前提に全国から使用済み核燃料を受け入れていた青森県と国との信頼関係が崩壊する。 第3部も4人の識者が意見を述べている。 1人目は、英国の原子力政策を研究してきたウイリアム・ウオーカー氏で「英国と日本は似ている」として意見を述べている。 英国は197〇年代、高速増殖炉の実現を前提に、中西部のセラフィールドに「再処理工場」を建設する計画を立ち上げた。 経済的な理由から高速増殖炉からは94年に撤退したが、地元の経済と雇用の関係で「再処理工場」は操業した。 業界の助言だけを聞き、「再処理」の既得権益だけを守ったという。 しかし、これによってできたプルトニウム100トンの山をどうしていいかわからないという。A氏:しかし、英国は「再処理工場」を2018年に閉鎖すると、このブログの「宙に浮くプルトニウム」で述べているが、地元の経済と雇用問題は解決のメドは立ったのかね。 これをウオーカー氏から聞き出していないようだね。 英国はプルトニウムを有償で保管するビジネスをはじめたことも聞き出していないね。私:2人目は元国家戦略担当相の民主党の古川元久氏だね。 民主党は政権にあった時、「原発ゼロ」を掲げながら、青森県への配慮から核燃料サイクル政策は続けるとした。 急に政策を変更できず、徐々に変えていこうという趣旨だったという。A氏:3人目の米プリンストン大学名誉教授フランク・フォンヒッペル氏は、使用済み核燃料を再処理せず、原発の敷地内で「乾式キャスク」という容器に入れて、中間貯蔵することを提案。私:同時に青森県には国が十分な補償をすると提案。 「再処理」をやめれば日本国民には約7兆円のコスト節減効果があると教授は言う。A氏:4人目の経済産業省の廃棄物問題の作業部会で委員長をつとめる増田寛也氏は 「最終処分の必要性と安全性への国民の理解、合意が全く不十分だった」 としている。 そして、国が責任をもって処分地を絞り込むが順調でも数十年はかかるという。私:増田氏は原発立地で最終処分を引き受けるより、発電と中間貯蔵、最終処分のリスクを分担するほうが全体の公平性にかなうとしているね。 最後に古川氏は、 「使用済み核燃料や最終処分場の問題は財政赤字と似ている。 いま解決できないからと、将来にリスクやコストを先送りしてきた。 福島第1原発事故を経験した我々の世代が、生き方を問い直すことが必要だ」 と述べたという。 最終処分場の選定は、時間のかかる作業だが、進むしかないね。 このシンポジュウムでは、核燃料サイクル問題は解決困難な難問を多く抱えていることが明らかになったね。英仏独日の原子力政策一覧 国 原発 プルトニウム 高速増殖炉 再処理工場 MOX工場 核兵器 英 16基 91.2トン 撤退 閉鎖予定 閉鎖 有 仏 58基 57.5トン 新計画 稼働中 稼働中 有 独 9基 5.8トン 撤退 中止 中止 無 日 50基 44.3トン 長期停止中 ほぼ完成 建設中 無 なお、米国の原発は104基。 核燃料サイクル政策をとっていないのでシンプルである。 シェールガスの開発で、原発はコスト高で閉鎖する原発もあるという。
2013.12.19
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私:第2部は、核燃料サイクルの「経済性と安全性での問題点」がテーマで4氏の討議となったが、意見は一致しなかった。 まず、1人目の原子力委員会委員長代理鈴木達治郎氏は、核燃料サイクル費用は、使用済み核燃料をそのまま捨てる「直接処分」の約2倍かかると指摘。 これは原子力委員会の検討会の試算だね。A氏:日本が使用済み核燃料の「全量再処理」をそのまま続けると、総費用は7兆円から8兆円多くなると指摘しているね。私:ところが、2人目の京都大学原子炉実験所教授山名元氏は、原発コスト全での費用を比べると再処理は「直接処分」より1割程度しか高くならないと指摘。 鈴木氏の計算結果と異なったね。 山名氏は、さらに「再処理すると使用済み核燃料8本でMOX燃料1本になり、使用済み核燃料の保管量を減らすことができる」と述べている。 しかし、再処理の場合、「ガラス固化体」が新たに発生し、その処分コストの増大については、議論になったのか、ならなかったのか新聞のまとめでは報じていないね。A氏:3人目のドイツの大手電力会社で再処理や中間貯蔵計画に携わったクラウス・ヤンバーグ氏は、ドイツでもMOX燃料は加工費だけでウラン燃料の2倍以上するという試算を示した。私:ドイツは1989年に再処理工場の建設を中止した。 再処理コストがあまりにも高く、電力会社がやめようと声を上げたのだという。 この点は鈴木氏と同じ意見だね。A氏:4人目の米資源・安全保障問題研究所長ゴードン・トンプソン氏は、全国の使用済み核燃料を六ヶ所村再処理工場に集めることは危険だと指摘。 3カ所のプールには放射性セシウムがそれぞれ500京ベクレルもの放射能があるという。 事故やテロがいったん発生すると歴史的に残る悪影響が予想されるという。私:再処理の可否については4氏の意見は一致しなかったが、「全量再処理」は問題が多く「直接処分」を増やしたり、中間貯蔵を増やしたりのバランスをとることではほぼ一致したようだね。 鈴木氏は 「原子力の将来が不確実な現状では、「再処理」と「直接処分」を併存させる政策がよい。 原子力委員会としては政策に柔軟性を持たせるべきだとすでに決定した」 という。 ただ、それが実際の政策転換につながっていないと新聞はコメントしているね。明日は第3部の核燃料サイクルの「政策変更の難しさと打開策」に移ろう。
2013.12.18
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私:今朝の朝日新聞で12月5日に行われたこのシンポジュウムのまとめをしているね。 日本の核燃料サイクル政策が行き詰まっている。 1960年代から日本は国策として進めてきた核サイクルの「主役」は高速増殖炉だった。 しかし、高速増殖炉は困難で停滞しており、米国など多くの国で撤退している。 日本は政策を変えず、すでに44トンのプルトニウムを保有している。 これで六ヶ所村の再処理工場がフル稼働すれば年4トンずつプルトニウムは増加する。A氏:再処理前の使用済み核燃料はすでに六ヶ所村に約3千トン、全国17ヶ所の原発に計1万4千トンがたまり、原発には貯蔵の余裕が無いという状態だね。私:そういう背景でこのシンポジュウムが開かれた。 基調講演は米原子力規制委員会委員長アリソン・マクファーレン氏が行っている。 世界中の原発から出る使用済み核燃料の処理が問題になっていると指摘。 米国は最終処分場は地下深く埋める方法を考えていて、ネバダ州ヤッカマウンテンの検討が始まったという。A氏:広大は大陸のアメリカでも最終処分場の立地は非常に難しいようだね。私:しかし、原発が稼働している限り、使用済み核燃料は増え続ける。 マクファーレン氏は稼働させる前から、後始末の計画を作るべきだという。 未解決のまま、使用済み核燃料を地上に残しておくと、次の世代に禍根を残すことになるという。A氏:アメリカも「トイレ無きマンション」だね。私:このシンポジュウムは3部に分かれている。 第1部のテーマはプルトニウムの「大量保有と国際社会の懸念」だ。 オバマ政権で核拡散問題を担当しているスティーブ・フェッター氏は、六ヶ所村再処理工場が稼働すると、利用計画がないまま、プルトニウムが増え続けるとして、日本は再処理をやめるべきだと口火をきっている。A氏:日本のプルトニウム保有量は、現在、国内で約10トン、英仏に約35トン。 国内の10トンだけでも核兵器約1500発分だというね。私:これに対し、日本側は核兵器を持つ意図はないと説明している。 しかし、核兵器を持たない国の中で日本だけが再処理を認められている。 これに不服な韓国は再処理の容認を求めているという。A氏:プルトニウムを持つ国が増えれば、核拡散につながり、安全保障の脅威になるね。私:日本側の川口順子元外相は再処理を含めた核燃料サイクルは日本で必要だと主張。 日本が再処理をやめたからといって、他国が核武装をやめるとは限らない。 核軍縮の推進や国際原子力機関(IEA)による査察の拡充、核不拡散条約(NPT)に違反した国への制裁の徹底をすべきだと訴えたという。 明日は第2部・核燃料サイクルの「経済性と安全性での問題点」に移ろう。
2013.12.17
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私:小泉純一郎元首相の「即時原発ゼロ」発言で高レベル放射性廃棄物が問題になった。A氏:原発の使用済み核燃料の問題と違うんだね。私:使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出す過程で、高レベル放射性廃棄物が生じる。 これをガラスで固めた「ガラス固化体」の処分問題だね。 これを12日の朝日新聞でとりあげていたね。A氏:新聞報道では経産省は、この処分問題を今年から推進方法の見直しを進めているという。私:まだ、核燃料サイクルを諦めないのかね。 稼働が遅れている六ヶ所村の再処理工場が、安全審査が通れば再処理が始まり、国産初のプルトニウムと「ガラス固化体」ができる。 2021年までには「ガラス固化体」は4万本になるという。 これをどのように処分するかだね。A氏:フィンランドが一番進んでいて2020年に処分場(地下420メートル)が稼働する。 次いで、スエーデンが25年に試験操業を行うという。私:日本は今のところ、地下300メートル以深に埋めるというが、候補地がきまらない。 それに日本はフィンランドやスエーデンと違い地震国だ。 地震国の先例はない。A氏:小泉氏の言うように「即時原発ゼロ」なら、この危険な「ガラス固化体」は英仏で再処理したもので日本に送られ、青森県六ヶ所村で2,000本くらい保管しているので終わりだね。 もっともプルトニウムも原爆千発分ぐらいあるという。私:後は再処理しない使用済み核燃料の処分の問題とプルトニウムの処分の問題だ。 しかし、これらの処分も「ガラス固化体」同様に難問だね。 進むも地獄、退くも地獄だね。 全部、子孫の代に先送りだね。 これで地震国日本は滅ぶかね。A氏:ところで、君のブログで勝谷誠彦著「ディアスポラ」をとりあげているね。 この本は2001年に刊行されているんだが、福島第1原発事故でまた読まれ出した。 「日本沈没」同様、原発事故で日本人が国土に住めなくなり、全世界に逃げて散らばったということが前提になっているんだね。 作家の想像力は恐ろしいね。 本には「あの事故」としてしか書いていないが、原発事故をさしていることは明らかだね。私:「ディアスポラ」というのは広辞苑でひくと「離散」とあるが、パレスチナから他の世界に離散したユダヤ人をさすんだね。 「民族離散」だね。 この本は、「あの事故」でチベットの高地に避難した20人ほどの日本人の生活を描いいている。A氏:同じく原発事故で「全電源喪失」を描いた真山仁著「ペイジン」があるね。 これも君はブログでとりあげているね。 これも2008年刊行だから福島事故の前に書いている。私:当時、真山氏は多数の原発専門家に小説のために取材したが「日本では『全電源喪失』なんて絶対に起こり得ない!」と声を大にして反論されたという。 そこで氏は、「全電源喪失」の舞台を中国の原発で起きたという小説にしたのだという。 その日本ではあり得ない「全電源喪失」が3年後に福島第1原発で起きた。 小説家のほうが科学的「想像力」があるね。 小泉元首相も、当時、これらの本を読んでいたら、手を打ったかもしれないね。 歴史にイフはないが。 政治家にも高度の想像力が必要だし、「ウソ」にだまされないように、少数であっても反対意見も聴きべきだね。 反省点だね。
2013.12.16
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私:11月10日のこの「ザ・コラム」欄では「ドミニカ移民・小泉談話の持つ力」として、筆者が「ドミニカ移民」の国家的犯罪を、国家として謝罪した小泉談話の持つ力をとりあげていたね。 小泉氏は首相引退後は、インタビューもテレビ出演もすべて断っているという。 しかし、筆者は、このコラムの記事が縁で小泉氏と夕飯を共にすることになる。A氏:「取材ではないよ」と念を押されたというね。 俺もこの記事を読んだが、いい記事だね。私:筆者が小泉氏に会って、どうしても聞きたいことは「原発ゼロ」への変節動機だったという。 それによると、小泉氏を変えた一番のものは「電気事業連合会のウソ」だという。 「専門家が『安全でコストが安い』『脱石油にはこれしかない』と何年も俺たちにウソを言ってきた。 3.11以前はそんな関心がなかったし、あれほど制御しがたいものとは知らなかった」 と小泉氏は言う。A氏:小泉氏の原発ゼロ発言は、最初は無視されたが、8月末に毎日新聞のコラムでとりあげてから無視できなくなったという。 このコラムで小泉氏は昭和の戦争における満州の例をあげていたという。 昔は「満州は日本の生命線」と言ったけど、満州を失っても日本は発展した」と小泉氏は言う。私:昭和史に詳しい作家の半藤一利氏は 「僕は小泉さんは大嫌い。 首相時代は独裁になるヒトラーのやり口と同じと感じたからだ。でも彼の原発ゼロ発言は正論だし、満州の例えはその通りだと思う」 と言ったという。A氏:そして、半藤氏は 「日露戦争の後、大国主義を選んだ日本は朝鮮半島を「利益線」にして、資源や人口問題などいろいろ理由をつけて満州を「生命線」とした。 原発と満州は同じかもしれない。 かっては、満州があって国を滅ぼしたが、これからは原発をもつことで国を滅ぼすことになるのではないか」 と言う。私:夕食後、最後に筆者が「今日のことは書きますので」というと、小泉氏はアッハッハと高笑いし、片手を上げて去っていったという。 政権トップも知らなかった原発の危険性は、「特定秘密情報」だったのかね? しかし、まだ、核サイクル政策を現政権は続けそうだね。 小泉元首相の「原発即ゼロ」に対して、まだ「原子力村」は健在だね。
2013.12.15
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私:今朝の朝日新聞の針すなお氏の政治一コマ漫画は傑作だね。 一昨日に京都清水寺で行われた「今年の漢字」にひっかけた漫画だね。 漫画では、「輪」にあたる部分を僧侶が大く「倫」と太筆で書いている。 その上に「2013年『都知事の漢字』」とある。A氏:なるほど、「今年の漢字」は「輪」だから、音をひっかけて「倫」としたわけだ。私:漫画では都知事が左側にしょんぼり立っていて、その頭の上に「5000万円問題」と書いてある。 猪瀬都知事の「政治倫理」問題になってきたということで「倫」にしたんだね。A氏:それにしてもオリンピックを意味する「輪」の方だが、猪瀬都知事はオリンピック・五輪の東京誘致功労者の一人だね。 先頭に立ってよく頑張ったね。私:それが「輪」と「倫」の両方の「今年の漢字」に囲まれるとはね。 漫画は皮肉だね。 「倫」の方は来週、また都議会の集中的な厳しい追及が行われる予定だが、どうなるかね。 ことによっては、猪瀬都知事は、自分個人の「倫」によって、「輪」を失うことになるかもしれないね。
2013.12.14
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A氏:今朝の朝日新聞で、JR北海道大沼管理室で9月に起きた脱線事故の2時間後に、事故現場のレール点検数値を組織ぐるみで改ざんしていたことを報じているね。 本社の社員が改ざん前のデータをみつけたことがきっかけで分かったという。 私:それで思い出したのは柳田邦男氏の言葉だね。 1988年に「死角・巨大事故の現場」という本を柳田氏が出しているが、次のようなことを書いている。 「小事故こそ、有効な情報を引き出すことのできる宝庫なのである。 問題はいかにして小事故を報告させるかである。 人は誰しも責任を負いたくない。 ミスをあげつらわれたくないという気持ちを抱いている。 かって、国鉄の職場には『マルにする』という隠語があった。 小事故は現場で修復して知らん顔をしてしまう(マル秘にする)、という意味である。 それを黙認し、あるいは積極的に隠蔽に加担する運転区長や機関区長は、人望が厚くなる。 これでは、全職場に生かすべき『危険要因』の情報が、埋葬されてしまい、どこかで同じような事故が再発することになる。(中略) 日本のように、刑罰や処分を優先する国柄では、どうしても『誰がやったのだ』という発想が、司法当局から行政機関、企業、ジャーナリズム、一般の人々に至るまで、あらゆる階層にしみついている。 そういう中で(中略)科学的・合理的な要因分類の視点は、なかなか受容されにくい。(中略) 高度技術社会におけるリスク・マネジメントはこのような発想の転換をベースにしなければ、前進を期待できないというべきであろう。」 A氏:まさにその通りだね。 私:1987年に民営化する前の国鉄時代の『マルにする』という体質が、二十数年以上も生き残っているとはね。 二十数年間、先輩から伝えられてきたのだろうか。 根が深くなってきたね。 ところでトヨタは「Bad News First:悪いニュースを先に」という意識を従業員に徹底するという。 トヨタが米国に進出したとき、最初、米国従業員は「Good News First:良いニュースを先に」という意識だったという。 これでは良い車は作れない。 A氏:どこも人情は同じだね。私:それを教育訓練で徹底的に「Bad News First:悪いニュースを先に」にしたという。 JR北海道も学ぶべきだね。
2013.12.13
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私:ついに、朝日新聞も今日の社説で、猪瀬直樹都知事の5千万円の釈明がおかしいとして、議会の信頼を取り戻し、職員を束ね、都政を円滑に進める力は期待できないとして、辞任を要求しているね。A氏:俺も読んだが、カネの疑惑を抱えたまま、世界の祭典である五輪の顔として振る舞えるはずはないと厳しいね。私:今日の夕刊では、猪瀬都知事が5千万円を受領当日、「事務所に寄らず、自宅にまっすぐ帰った」と都議会で説明していたが、これが虚偽だとわかったと報じている。 これは猪瀬氏の公用車使用記録を見たら、当日、事務所によってから、公用車で事務所から帰宅したことがわかったという。A氏:また、この人の言うことが信じられない事実が発覚してしまったね。 「借用書」もあやしいものだね。私:年明けには東京オリンピック組織委員会の設立が控えている。 社説が言うように、猪瀬氏の顔では問題だろうね。 すでに東国原英夫氏が議員辞職するなど変な動きをしているね。
2013.12.12
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私:日銀黒田東彦総裁の「異次元緩和」の功罪について、立場の異なる2人の日銀OBのコメントが大きく掲載されているね。 「罪」を指摘しているのは京都大学教授翁邦雄氏。 円安、株高は「異次元緩和」の直接的な効果でなく、心理的なものだという。 物価上昇期待も「偽薬効果」で、1度はうまくいっても2回目以降も効く保証はないという。A氏:「偽薬」を本当の薬のように宣伝し、期待に働きかけるという賭けに日銀は出てしまったというわけか。私:副作用は、多量の国債の買い入れ増だね。 前白川総裁の時は慎重だったが、黒田総裁のもと、日銀は明らかにルビコン川を渡ってしまったという。 そして緩和の出口は米国を見れば明らかなように難しい。 黒田総裁のコミュニケーションは、期待に働きかける宣伝はするが「偽薬」の費用や出口戦略は封印するなど、情報操作が目立つという。 「よらしむべし、知らしむべからず」では市場の予想を困難にさせ、不確実性を高めるという。 「功」の立場ではトヨタファイナンシャルサービス副社長平野英治氏がコメントしているね。 しかし、平野氏も「異次元緩和」が、どんな効果を及ぼすのか本当はよくわからないという。 ただ、以前の日銀とはコミュニケーションが違い、「物価に効果がある」と言い切っている。A氏:それを翁氏は「偽薬」の強い宣伝と見ているのだね。私:さらに平野氏は「異次元緩和」の本質は、構造改革や財政再建を進め、民間企業の稼ぐ力を高める「時間稼ぎ」だという。 国民が信用できる中期的な経済再生策を描くことが「異次元緩和」の出口を見出すことにほぼ等しいという。A氏:両氏とも立場は違うが「出口戦略」の難しさには意見が一致しているようだね。私:現在の政権が財政再建と規制緩和を中心とする構造改革に十分な危機感をもっていないと平野氏は言う。 それに対して、黒田総裁はオピニオン・リーダーの役割を発揮すべきだと平野氏はコメントしているね。 安倍政権の経済政策の具体化が問われる段階に来ているね。
2013.12.11
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私:今日、東京都議会の総務部会で猪瀬直樹知事の例の5千万円問題についての追及質疑を9チャンネルの生中継で2時間ほど見たよ。 すでにマスコミでも報じているが、例の借用書の問題がまだすっきりしないね。A氏:猪瀬都知事は以前から質問にはキチンと答えていない癖があるね。私:俺が驚いたのは、徳洲会の5千万円の話に右翼団体の一水会代表木村三浩氏がからんでいることだね。 猪瀬氏はもとは左翼的な出だろうなのにね。 それが右翼の一水会代表の木村三浩氏と深い仲とはね。 尖閣問題で前石原慎太郎都知事と一水会の関係を引き継いだのかね。A氏:インターネットのニュースによると、例の借用書は、5千万円を徳洲会側に返却したとき、もどってきた経路に木村氏がからんでいるんだね。私:木村氏が徳田毅議員の事務所に借用書を取りに行き、木村氏から借用書を郵送してきたという。 なんで借りた猪瀬氏が借用書を直接取りに行っていないのか、あるいは、徳田毅事務所から猪瀬氏に直接郵送されていないのか、おかしな話だね。 テレビの生中継を見ていると、その理由を議員が質問しても 「本来、私が借用書を取りに行くべきだが、これこれの理由で木村氏に代わりに行ってもらった」 という説明が一切ない。 見当外れの説明ばかりで、質問している議員のほうが逆に困惑していたね。 生放送を2時間位見たが、このようなちんぷんかんぷんの質疑応答の連続だ。 こういう問答を見ていると、ますます、おかしなサスペンスストリーになっているなという疑惑が増すばかりだね。 どうも、辞職で都知事選となりそうな気配だね。 小泉純一郎都知事の声もあがっているよ。 明日も都議会では猪瀬都知事の追及を行うようだね。 しかし、同じ質問と同じ見当外れの返事で、時間のムダだと感じたね。 早くオリンピックの準備をしないといけないのにーーー。 このサスペンスストーリーは、将来、誰か気鋭のジャーナリストが真相を暴くか、フィクションでもいいから明らかにしてほしいね。
2013.12.10
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私:TPP交渉ははやり、関税が難航しているようだね。 合意が容易と思われる分野でも細かい点になると合意が難しいようだ。 例えば小売業など、外国企業を差別しない規定を作ることでは合意している。 しかし、コンビニへの外国資本の出資を規制するベトナムなどは「例外」をもとめているという。A氏:「例外」を増やすと協定が骨抜きになりかねないね。 多くの国がからむと一致した協定に到達するのは大変だね。私:今朝は朝刊は休みだったが、昨日の新聞では、WTO(世界貿易機関)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)ほうが3分野で合意したと報じているね。 「貿易円滑化」、「途上国の貧困層向けの食糧支援」、「開発」の3分野だ。 「貿易円滑化」は当然のことだが、中身は「通関業務の簡素化を各国に法的に義務付けること」で先進国側の主張が通った。 「途上国の貧困層向けの食糧支援」は、途上国では国が貧困層向けに農家から食量を買い上げる。 先進国側は「実質的な補助金にあたりWTO協定違反のおそれがある」と反発していたが、これは途上国側の主張が通った。 「開発」は「先進国側は後発途上国の輸出品については品目数の97%までは関税をかけないで無制限に輸入する」ことで合意したという。A氏:やはり、先進国と途上国との対立は容易に解消することはなさそうだね。私:途上国での食糧支援ではインドが最後まで自らの主張を貫いたという。 インドは来年5月までに行われる総選挙を控え、この貧困層食糧支援策が与党の目玉政策だという国内事情があった。 徹夜の討議でインドが主張を通した。 2001年に始まったドーハ・ラウンドがこぎつけたものは、最初目指した理想像からはほど遠い状態で終わったようだね。A氏:先進国の中には今回の合意で交渉体としてのWTOは終わったという見方が強いという。私:実際、先進国はWTO交渉に見切りをつけ、TPPなど地域ごとの貿易交渉に注力している。 しかし、TPPも各国の内部の問題を抱えて難航しそうだね。 年内決着まで、1ヶ月ない。 甘利明大臣を欠いた日本はどこまで自己主張を貫けるだろうか。
2013.12.09
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私:まず、今年問題になった高血圧治療薬ディオパンの話しからこのコラムは始まっているね。 この薬は高血圧患者がのむと脳卒中にかかりにくいという効果で売りだした。 しかし、薬のデータが製薬会社に有利に操作されていたということがわかり問題となる。 俺の知人でこの薬を処方され、怒っていた。A氏:俺もこの記事は読んだが、この実証的な「効果」というのは、高血圧の患者3031人を2つのグループに分け、一方だけにディオパンをのませて、その後の比較をした結果によるんだね。 すると、ディオパンをのんでいる人は1000人あたり年間5.6人、のんでいない人は10.4人、脳卒中になったというんだね。 たしかに脳卒中のリスクは半減したことになる。 これが、でっち上げた「効果」だ。私:しかし、筆者が言うように、このデータを斜めから読めば、ディオパンをのんでも脳卒中になる人もいるし、のんでものまなくても、ほとんどの人は脳卒中にならないことになる。 確率の問題だね。 「絶対に有効」な治療法など存在しないという。 この後、物理学の話に入る。A氏:それは飛ばして読んだよ。 身近な確率の例で筆者は天気予報の降水確率が10%なら傘を持たないという。 しかし、確率だから雨も降ることもある。 その場合は、損をするが、損が気にならない程度だから腹が立たないという。私:ところが原発事故なら話が違う。 既存の原子炉が損傷する深刻な事故の発生確率は、国際原子力機関が掲げる目標は「原発1基あたり1万年に1回」だという。A氏:「1万年に1回」どころか、「永遠にゼロ」がいいが、それは「絶対に有効」な治療法を求めるに等しくムリだね。私:「1万年に1回」ならいいのか、それでも嫌なのか。 選択は「人」だね。 科学は確率しか言わない。 もう、日本では原発事故で多くの被害者が出ていて、被害者の一生をメチャメチャにしている。 「1万年に1回」でも俺は嫌だね。
2013.12.08
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今日は朝から天気は快晴。 風もあまりない。 これから、だんだん、湿度が低くなるシーズンなので、午前中は、加湿器の手入れをする。 午後2時頃、思い切って近所の自然公園にウオーキングに出かける。 少し厚手のジャンバーをはおる。 途中、ちょっと、ふくらはぎに痛みを感じたので、ムリをしないようにと思い、いつもの半分くらいのところで折り返して、帰途につく。 帰宅後、多少汗ばんだ下着のシャッツだけ着替える。 約1時間、7300歩。 初冬の森は静寂である。 しかし、反対に新聞報道も国会前も、昨日、参院を通過して成立した特定秘密保護法反対で大騒ぎである。 そう言えば、明日12月8日は、1941年に運命の真珠湾攻撃で日米開戦を決断した日だ。 特定秘密保護法のその後はどうなるであろうか。 反対派が心配している事態が出るだろうか。
2013.12.07
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私:クルーグマン教授は米国は金融危機の影響があったとは言え、40年前より裕福な国になったという。 しかし、ウォールマートやマクドナルドの店員など、小売業で働く人々は、1973年に比べインフレ調整後の賃金は約3割減だという。A氏:俺もこのコラムは読んだが、彼らへの支援策として最低賃金の引き上げを強く提案しているね。 最低賃金を引き上げると国際競争力を失うというが、クルーグマン教授は米国人がハンバーガーやフライドポテトを買いに中国まで買いに行くことはないだろうとこの考えを却下しているね。私:最低賃金を引き上げると雇用に悪影響を与えるというが、米国は州によって最低賃金が違うが、高い州の雇用が低い州より雇用が悪いという事実はないという。A氏:今年初め、経済政策研究所(EPI)が推計したところ、もし、最低賃金を現在の7ドル25セントから10ドル10セントに引き上げれば、3千万人が恩恵を受けるという。 関連してファストフード店の店長の給与も上がるだろう。私:「勤労所得税額控除」もいいが、このワーキングプアへの支援策は議会で通らないとみている。 ところが、最低賃金の引き上げは圧倒的に世論の支持があり、共和党の賛成派もいるというので実現可能性が高いとクルーグマン教授は期待しているね。 アベノミクスで日本の最低賃金引き上げはあるのだろうかね。
2013.12.06
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【送料無料】旅の理不尽(アジア悶絶篇) [ 宮田珠己 ]A氏:この本は、君のブログ「「あの日、僕は旅に出た」蔵前仁一著」の読後感につながるものだね。私:この本のもとは1995年に著者が30歳の頃、自費出版で刊行したものだね。 それが「あの日、僕は旅に出た」の蔵前氏の雑誌「旅行人」で高く評価されるね。 1998年小学館文庫に収録され、さらに2010年にちくま文庫で刊行された。 文庫本で250頁だから、1日で読了したね。A氏:文体は変わっていたかね?私:たしかに変わった文体というか、表現方法は変わっていたが、大体、蔵前氏の「あの日、僕は旅に出た」も変わっている文体だったので、あまりショックではなかったね。 16のアジアの各地に行った旅のことが書かれているが、たしかにありきたりの旅行案内的な体験談ではないね。 だまされたことも盗難にあったこともある。 書き方というか表現方法も独特で読みやすいね。 アジア各地のこともよく理解できるね。 しかし、この本は、もう約20年近く昔のアジアを描いている。 この20年で日本も変わったが、それ以上にアジアは大きく変わったね。 最近のアジアについての宮田氏の旅行記をまた読みたくなったね。 図書館で検索すると、宮田氏は、この本を含めて24冊出版しているね。 逐次、読んでみたいと思っている。
2013.12.05
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私:2012年度の15歳の生徒のPISA(国際学習到達度調査)で、日本の学力回復傾向は鮮明になったという。 調査は3つの分野(数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシー)にわかれているね。 日本の過去の順位をみると、最初のPISAをした2000年は優秀だね。 数学的リテラシーは1位。 読解力は8位。 科学的リテラシーは2位。A氏;調査は3年毎にやっているが、2003年から、日本はガクンと下がりだすね。 2003年には 数学的リテラシーは6位。 読解力は14位。 科学的リテラシーは2位。私:文科省はあわてて、この年の小学1年生から「ゆとり教育」を脱却し「確かな学力」育成に転換が始まる。 2006年ではまだ、15歳の生徒は「ゆとり教育」の影響下で育った世代だね。 数学的リテラシーは10位。 読解力は15位。 科学的リテラシーは6位。 どん底になったね。A氏:「ゆとり教育」脱却がまだ、効果をださないのか、2009年では 数学的リテラシーは9位。 読解力は8位。 科学的リテラシーは5位。 とやや横ばい。私:小学校1年生から「ゆとり教育」を脱却し、「確かな学力」育成で育った世代が15歳になった2012年では、その効果が出たのか 数学的リテラシーは7位。 読解力は4位。 科学的リテラシーは4位。 と回復傾向が出始める。A氏:他の地域をみると、上海が2009年と2012年で3分野とも連続トップだね。 優等生だったフィンランドが下がってきたね。 シンガポールが上位で健闘している。 韓国は日本といい勝負になってきた。私:それにしても、最初の2000年の日本の成績がこの12年間で一番いいのは何故かね。 回復傾向と言っても、まだ日本は数学的リテラシーが低く、学生もあまり興味が無いという点がまだ、問題のようだね。 小学生の孫を見ていると小・中学校の教育はまだまだ、検討の余地は大きいね。
2013.12.04
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私:特定秘密保護法案のような本音がはっきりしないものは、政権側で誰か失言をしそうだと思っていたが、政権党の幹事長がついに本音を吐いたね。 すぐに撤回したが、失言が本音だというのは皆知っている。 撤回しても、「大音量で自己の主張を述べるような手法は民主主義といれなものである」とまだ、おかしなことを言って、潔さがないね。A氏:今度、自分の選挙のときや、幹事長として党の候補を応援するとき、マイクは使わないのかね。 それが民主主義かね。 「静かにやれ」と言って福島で特定情報保護案の公聴会を開いたが、ほとんど反対だね。 ところがこれを国会で取り上げず、翌日、採決だ。 これが民主主義かね。私:ところでこの法案はマスコミでは反対一色だね。 本当は賛否両論を載せるべきだね。 そうすると新聞読者に問題点がよく分かると思う。 朝日新聞でも「異議あり・特定秘密保護法案」という欄でずっと連載して、いろいろな人が書いているが、当然、反対論だけだね。A氏:今朝の朝日新聞では一挙にワイドと称して1頁大で12名の各界の著名人が反対論を展開しているね。私:その中で興味があったのは、元経済同友会代表幹事(元富士ゼロックス会長)の小林陽太郎氏の言葉だね。 40年前に米国ニクソン大統領が突如、訪中し毛沢東と会談した。 そのことで、小林氏は当時大統領補佐官だったキッシンジャーに 「なぜ、訪中を事前に日本に伝えなかったのか」 と聞いた。 キッシンジャーは 「日本に伝えたら漏れる」 と答えたそうだ。A氏:だから、小林氏は外交や安全保障で秘密を守ることは重要だという。私:しかし、現行の国家公務員法には守秘義務がある。 なぜ、特定秘密保護法という新法が必要で、なぜ成立を急ぐのか、わからないと疑問を呈している。 秘密の範囲など問題点が多く、このまま、成立させるのは反対だと小林氏は主張している。 新聞も反対論だけでなく、急ぐ理由を明確に取材して、反対論も比較して掲載すべきだね。 ところで、キッシンジャーはこの法案はどう思っているかね。A氏:今朝の朝日新聞では、関連して「非情世界・信義なき情報戦争」として「極秘情報 日米の神経戦」という記事を特定秘密保護法に関連して掲載しているね。 これによると、シリア攻撃問題でロシアとの裏交渉は米国は一切日本に伝えていなかったという。私:どの国にも、本音と建前がある。 特定秘密保護法があっても、本音を言うかはわからないね。
2013.12.03
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「オリンピックの身代金」奥田 英朗著・角川書店08年刊私:2020年にオリンピックが東京にきまったので、この本はまた人気になっているようだね。 俺もこの本に興味が湧いて図書館に予約した。 待ちが少なく、すぐに順番が来たが、手にして驚いた。 500頁を超える長編だ。 図書館は返却納期がある。 他に読みたい本もあったので、この本は諦めて読まずに返却したよ。A氏:この本は09年の吉川英治賞をもらっているそうだね。私:そうしたら、これがテレビドラマになったんだ。 本を読まずにすんだ。 テレビ朝日開局55周年記念ドラマにこの「オリンピックの身代金」がテレビドラマ化され、2日連続でそれぞれ2時間で放映された。 初日は11月30日、2日目は昨日の12月1日。 いずれもテレビに録画予約した。 1日目の分は、昨日録画で見て、2日目は昨夜テレビ放送をそのまま見たよ。A氏:1日で全部通しで見たのか。 俺は、2日にわたって放送で見たよ。私:今から、50年位前の昭和の町並みが出るので、撮影のセット作りや登場するバスや自動車も当時の型のものを使って雰囲気を出していたね。 そして、当時のオリンピックのシーンは聖火リレーを始め、開会式のシーンなど、当時の記録映画を使って描いており、懐かしかったね。A氏:時代背景としては60年安保があった後だから、東大構内で刑事が捜査するのは憚れていたね。私:犯人はオリンピックの身代金として8千万円の現金を要求し、要求をのまない時は、オリンピックを開催できないようにするという、新聞紙を切り抜いた活字を並べた脅迫状を警察に送る。 署名は当時、世間を騒がしていた爆弾魔の「草加次郎」を名乗り、予告として警察関係の施設を爆破する。A氏:テレビでは、1日目で大体犯人が絞られるね。 東大生で東北の田舎の出身。 兄は東京オリンピックの土木工事のため出稼ぎをしていたが、過労で倒れて死亡する。 実は、重労働のため、ヒロポンをやっていたための中毒死だということが後で分かる。 田舎と東京の生活の経済格差。 オリンピック開催に伴う近代都市東京を作るための土木工事労働者への過重な労働と経済格差。私:犯人は東大生の学生運動の組織活動としてではなく、個人でオリンピックを人質にして世の中の格差に挑む。 学生運動の学生たちは、オリンピックは国民が期待している活動だから、オリンピック開催反対は市民の共感を得られないとして、この学生の支援を断るんだね。A氏:警察は、この脅迫事件を徹底的に秘密にして捜索を進める。 予告爆破も単なるガス事故の爆発にしてマスコミに真相は隠す。 オリンピックは絶対に成功させなくては警察の威信にかかわると必死だ。 しかし、犯人は分かったが逮捕できず、ついに開会式当日になる。私:主人公の刑事が、偶然、点火台の根本にダイナマイトが仕掛けられているのを見つけ、爆発は避けられる。 しかし、これはストーリーとしてはおかしいね。 本来なら、前日に徹底的に疑わしいところは、しらみつぶしに調べるべきだね。 点火台なら、本来、すぐに疑えたはずだがね。 さらに、犯人が逃走するのを追いかけ発砲する。 犯人は逮捕され、オリンピックは無事に開催される。 ドラマとしては面白かった。 この一連の事件は公開されないで終わる。A氏:今で言う、特別秘密情報だね。 公開60年なら、次の東京オリンピック後に公開だね。 もっとも、この本は、今の秘密情報保護法騒ぎ以前の創作だから、それはふれていないがね。私:この本は、1964年のオリンピックを舞台にしているが、視点は経済格差や地域格差が固定化してきた2000年代の視点で書かれているように思う。 1960年代は、高度成長のはじまりで、皆、多忙で、消費も活発になり、一億総中流で今のようにあまり格差という意識はなかったのではないかと思う。 格差という意識が強くなるのは、2000年代になってからだろう。 2006年の流行語大賞に「格差社会」があるからね。 それにしても、このアジアの最初の東京オリンピックで日本は、敗戦後の壊滅状態から、先進国にいよいよ仲間入りするという国民的な総意が感ぜられるね。 2020年の東京オリンピックはそれに比較すると、そのような国民的総意があまり感ぜられない気がするね。 成熟社会になったせいかね。
2013.12.02
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私:今週の日経ビジネスの特集は「東電解体」だね. 序章から第1章に始まり、第5章まである。 序章では原発問題はフクシマの事故の追及があいまいなまま再稼働という政権の姿勢が国民は納得出来ないとしているね。 小泉純一郎氏の「原発ゼロ」も登場する。 俺はこのうち、汚染水問題に興味があったので、これを扱っている第1章をとりあげる。 第1章のタイトルは「汚染水、もれるため息」だね。A氏:「汚染水『漏れ』」と「『もれる』ため息」を「もれる」をかけたのかね。私:雑誌では、福島原発の汚染水の流れを大きく地図で示している。 1.まず、地下水が原子炉に流れ込む。 2.3号炉と4号炉に流れ込んだ地下水は、核に汚染され、汚染水に変わる。 3.汚染水処理装置(サリー)でセシウムを除去 4.タンクに1時保管 5.多核種除去装置(ALPS)でストロンチウムなど62種類の放射性物質を除去 (トリチウムだけは除去できない) なお、ALPSに入る前に一部は原子炉を冷やすために炉に戻り、これが汚染地下水に合流する。 6.取り除いた62種類の放射性物質の保管(タンク) 7.トリチウム以外を取り除いた水の保管(タンク) 8.海洋放出?A氏:この経路で問題になったのは、ALPSの稼働遅れだね。 これで5.のALPS待ちのタンクを増やさざるを得なかった。 フランスのアレバ社が提案した技術は実績があったにもかかわらず、採用されなかったという。 ALPSは身内企業の東芝製だね。 身内を大事にする体質は変わらない。私:汚染水の問題は根本的には地下水の流れ解明されていないためだね。 地下水はどんどん発生し、それは放置すれば無限に続く。 フクシマ原発は東日本大震災という自然の力にやられたが、今は地下水という自然の力にやられているね。 無限にタンクは作れない。しかし、地下水の調査もまだ、十分にしていない。 地下水が原子炉内に流れ込まないように、地中の土を凍らせて建屋まわりに壁を作る凍土遮水壁を建設予定だという。 だが、地下の構造がわからないところに均一に人工の凍土壁を作るのは至難の業だね。 上の1.と2.の経路で吸収できず、地下に直接流出する汚染水もあるだろうね。A氏:タンクの増設場所と、問題となっている作業員の問題も解決しないまま継続している。私:さらに、天罰のないことを祈りたいね。
2013.12.01
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