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「奈良井発・舞子着 青春135!」 徘徊日記 2023年8月7日(月)JR東海あたり 2023年8月5日(土)に、新神戸駅から新幹線に乗って始まった、二泊三日の信州旅行のオシマイは、中央本線奈良井駅からチッチキ夫人と二人で「青春18」の旅でした。 二人の年齢を合わせれば「青春135!」というわけです(笑)。 最初の一泊二日は、学生時代から友達のトンボくんたちと松本駅で待ち合わせて、美ヶ原、霧ヶ峰、諏訪大社をめぐる「極楽とんぼ旅」 でした。 後半はゆかいな仲間松本組のみんなと会っての夕食会、カガク君が用意してくれた温泉宿でノンビリ、この日は、この日でカガク君の案内で、思いもよらなかった、中山道の奈良井宿までやってくるという、まあ、やっぱり「極楽旅!」 だったわけですね(笑)。 駅前で、カガクくんとはお別れでした。駅の改札は無人で、青春135切符のハンコはないままでプラットホームに出ました。 懐かしい風情の跨線橋を渡ると、向こうに川が見えます。南から北に流れているのが不思議ですが、このあたりでは奈良井川というようです。 あっちが下りというのが、なんとなく納得がいかないのですが、塩尻から松本を下って富山県を通って日本海に流れているようです。 プラットホームにいると「上り?」「下り(?)」がよくわからないのですが、塩尻から松本方面に向かう普通電車が入ってきました。 ボクたちが乗るのは、こっちからやってくるはずです。実は写真を撮りそこねたので、向こうの写真です。まあ、というわけで、午後1時30分、中津川行の普通電車はやって来て中央本線奈良井駅を出発しました。 乗り込んで、しばらくすると、川の流れが変わりました。南というか、西というかに流れています。木曽川でしょうね。 駅がありました。倉本という駅です。木曽の山のなかです。南木曽と書いて「なぎそ」とよむそうです。じゃあ、北木曽なら何と読むのでしょうね。もっとも、北木曽って、どこらあたりになるのか、それが問題ですよね(笑)。このあたりは、まだ、長野県のようです。 この後、無事、中津川で名古屋行に乗り継ぎましたが、写真はありません。急に都会っぽくなって、通勤の方とかの雰囲気で、写真を撮っているのがちょっと…なのですね(笑)。 隣ではチッチキ夫人は爆睡中で、この写真は撮りましたが、お見せ出来ません(笑)。 で、数少ない写真がこれです。名古屋駅到着、午後4時40分です。午後5時発の東海道線、大垣行を待っているホームの時計です。この時、ホームの駅員さんに声を掛けました。「あのー、青春18きっぷ、奈良井駅から乗ったんですが、無人というか、ハンコついてないんですけど。」「ああ、大丈夫です。下車する駅の改札で説明してください。」 ああ、そういうもんかと納得して、大垣行に乗りましたが、ただの満員通勤電車ですが、無事、着席です。 で、一枚だけ撮ったのが「関が原」の駅の名標です。まだ明るいですね。この後、大垣から米原行きに乗り継いで、米原からは新快速播州赤穂行でした。 というわけで、JR山陽本線舞子駅、無事到着です。改札でハンコを押してもらって懸案事項解決です。無人駅が近所にあれば… まあ、そういう想像をしないでもなかったのですが(笑)。 市バス乗り場で帰着写真です。明石大橋ですね。午後8時30分くらいでした。7時間の旅ですね。 無事帰宅して、旅の残り物を引っ張り出して一服です。「なあ、切符、もう1回二人で乗れんねんけど。」「暑い間はイヤ!」「でも、9月に10日までやし。」「一人で行っといで。わたしは家で寝てるわ(笑)」ウーン、次はどこに行ってこようかな? というわけで、夏の信州極楽旅の報告終わりです。最後まで読んでいただいてありがとうございます。またね(笑)ボタン押してね!
2023.08.31
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ジョン・カサヴェテス「アメリカの影」元町映画館 ジョン・カサヴェテスの特集、朝一、元町映画館通いの2本目は「アメリカの影」でした。 1958年の作品です。カサヴェテスという監督は1922年生まれらしいですから、36歳の時の作品ということですね。若いですね。めちゃくちゃ才能と人間性を感じる作品でした。 もう一つ、まあ、見たあとの後知恵なのですが、ニュー・ヨークで暮らすミュージシャンの兄二人と白人にしか見えない二十歳そこそこの妹という、白人と黒人の血を引く3兄妹の日常の姿を描いているこの映画の歴史的背景として、モンゴメリー・バス・ボイコット事件が1955年、ケネディ大統領の暗殺が1963年、公民権法の成立が1964年あたり、1950年代から60年代にかけてのアメリカの事情を思い出しておくとわかりよい気がしました。 「Shadows」という原題を「アメリカの影」という題で日本で公開した、配給会社の時代的気分ということも感じました。 ただ、「Shadows」という複数形が、黒人に対するものだけではなく、女性や貧困に対する差別、蔑視を意識して作られていることは間違いないとも思いました。 まあ、そういう意味で社会的評価というのでしょうか、映画が描いている社会に対する監督の立ち位置には共感と信頼を感じましたが、この映画の面白さは、多分、描き方というか、物語の展開のさせ方と、一つ一つのショットの撮り方ですね。 どいうことかというと、一つ一つのプロットというか、小さな場面の描き方がリアルで丁寧なのですね。具体的に言えば、末娘のレリアの初恋というか初体験(こんな言葉、今でもあるのかな?)が、後半のメーン・プロットです。まあ、見ているボク自身は、そこで描かれる、相手のニックという白人男性と上の兄のヒューのやり取りを見て、ようやく、この映画に差別や蔑視の問題が作品に底流していることに気づくという迂闊さでしたが、そこまでのシーンシーンのやり取りの意味が急に分かり始めて、何の気なしの場面の角の立て方が実にうまいと感心する次第でした。他の場面でもそうですが、日常的なシーンの作り方がリアルで、一方で映画のテーマ、まあ、この映画では差別、あるいは人間的絆ということなのでしょうが、それがジワジワと深まっていくのですね。この深まり方は、この監督に独特のものだと感じました。イヤーぁ、拍手! やっぱり明日も、朝一に来ますね(笑)。 監督 ジョン・カサヴェテス脚本 ジョン・カサヴェテス撮影 エリック・コルマー編集 モーリス・マッケンドリー音楽 チャールズ・ミンガスキャストベン・カルーザスレリア・ゴルドーニヒュー・ハードアンソニー・レイルパート・クロスデビッド・ポキティロウデニス・サラストム・アレン1959年・82分・アメリカ原題「Shadows」日本初公開1965年2月2023・08・22・no107・元町映画館no197
2023.08.30
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「摩耶ロープウェイのスカイ・ビュー!」 徘徊日記 2023年8月25日(金)その2 摩耶山あたり 摩耶ケーブルの「虹の駅」から5分もかからないですね。摩耶ロープウェイの「虹の駅」です。切符は1枚です。「まやビューライン」というそうです。ケーブルもロープウェイも5分づつくらいですから、900円という価格が高いのか安いのか、年齢によって意見は変わりそうですが、動物園とかにある観覧車よりも面白いことは確かでした。 これが切符。下の写真がロープウェイの虹の駅です。ほとんど待たなくて発車します。お客はやはり一人で、職員の方がもう一人です。 階段の横に咲いていました。 乗り場に出ると小豆色の箱が待っていました。当たり前ですが、ただの箱です。座席は二人分くらいの小さな座席で、4人分ほどです。つり革があって、どうも、立ったままの乗り物のようです。 揺れそうです。ボクは多分大丈夫ですが、高いところが苦手な方は、ダメでしょうね(笑)。 下の写真は、箱をぶら下げるロープを撮ったつもりですが、よく見えませんね。摩耶山の頂上に向かって、少したるんで伸びているのが、乗る前には、ちょっとドキドキしました。 動き始めました。ユラユラするわけではありませんが、ユラユラしている気がします。 ロープを吊っているタワーというか橋脚を通過するあたりで下りの箱と出会います。下っていくのはみどりの箱でしたが、最初の写真に写っています。 箱の下ばかり覗き込んでしまいますが、目をあげると、目の前には神戸の絶景です。大阪湾の向こうまで、一気に視界が開けます。「ちょっと、このあたりで止めてみて!」 まあ、止まれば止まったでこわいのでしょうが、そんな風景です。天気もよいし空気も透き通っているのでしょうね。 到着です。5分くらいの空中散歩でした。 「星の駅」というそうです。摩耶山の頂上の掬星台です。「きくせいだい」と読みますが、「掬」という字の訓読みは、たぶん「すくう」です。星を掬うところですね。 到着駅はこんな建物で、屋上が展望台のようです。自転車が貸し出されているようです。六甲山牧場あたりまで、自転車で行けるということのようです。 さて、懐かしい展望台に行ってみますね。その3に続きます。じゃあね。ボタン押してね!
2023.08.29
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ジョン・カサヴェテス「オープニング・ナイト」元町映画館 さて、2023年、猛暑の8月も20日を過ぎました。ちっとも涼しくなりませんが、今日から元町映画館午前10時出勤の1週間が始まります。お目当ては「ジョン・カサヴェテス・レトロスペクティヴ リプリーズ」という6本立ての特集です。先週から始まっていましたが、今週は午前10時スタート、朝一番上映です。 ボクの初日は「オーニング・ナイト」という1977年の作品でした。ジーナ・ローランズという女優さんが、マートル・ゴードンという人気の舞台女優、まあ、スターですね、を演じていて、「女優が年をとるとは?!」 という、まあ、ボクにとっては「どうでもいいんじゃないの?」と言いたくなるような「問題(?)」をめぐって、延々と演じている映画でした(笑)。 実はボクは、彼女が何に悩んでいるのか、映画の後半になるまでわからないまま見ていました。だから、まあ、なにがなんだかわからないで見ていたのですが、これが案外面白かったんですね。 一つは、演劇の舞台を映画で撮っているところですね。演劇を映画で撮ったナショナルシアターライヴという企画が好きで、よく見るのですが、この映画は舞台の裏表を撮っていて、まあ、それがメインなのですが俳優の「人間」を描こうとしているわけです。 ボクには、舞台の裏表の進行が面白かったんですね。芝居の無茶苦茶になる様子とか、最後の、まあ、芝居としては、映画の中で原作者も言ってましたが、いい加減というか、セリフも筋も、アドリブといえば聞こえはいいですが、それでも舞台は続くというあたりは、そんなんありかな? とは思うのですが結構面白かったですね。 もう一つは、プッツンの象徴のようにいきなり車にはねられて死んでしまう「追っかけの、若い女性ファン」と、その死をめぐる女優の葛藤というか、ジタバタの展開は、さて、どうなるか? で、ドキドキして(ウソですけど)見ました。別に好きなタイプではないのですが、イヤ、案外好きかな?というジーナ・ローランズという女優さんはなかなかいいな!でした。 ただ、最後になって、なんとなく「女優と老い」 というテーマ(?)に気づいて、実は、なんだか図式かなという印象だったのですが、まあ、そこまでの監督のネバリがスゴイですね。やっぱり、続けて見そうです。 まあ、とりあえず監督カサヴェテス、まあ、俳優としても出ていらっしゃったようですが、とジーナ・ローランズ、ご夫婦らしいですが、に拍手!でした。 疲れました!(笑)監督 ジョン・カサヴェテス脚本 ジョン・カサヴェテス撮影 アル・ルーバン美術 ブライアン・ライマン編集 トム・コーンウェル音楽 ボー・ハーウッドキャストジーナ・ローランズ(マートル・ゴードン:女優)ベン・ギャザラ(マニー・ビクター:演出家)ジョーン・ブロンデル(サラ:劇作家)ポール・スチュワート(デヴィッド:プロデューサー)ゾーラ・ランパートジョン・カサベテス(モーリス:俳優)1977年・144分・アメリカ原題「Opening Night」日本初公開1990年2月2023・08・21・no106・元町映画館no196
2023.08.28
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「摩耶ケーブル、乗りました!」 徘徊日記 2023年8月25日(金)その1 灘・箕岡通あたり 元町で映画を見ていたんです。カサヴェテスっていう、アメリカの古い監督の特集なのですが、ふと、日本の若い浜口竜介という監督の「ハッピー・アワー」という数年前に見た映画のことを思い出して思いつきました。「そうだ、ケーブルカーに乗りましょう!」 大丸前から阪急六甲行、2番の市バスに乗って神戸高校前で降りて、坂道を歩き始めるとJR六甲道駅のほうからでしょうかね、摩耶ケーブル行きのバスがあったようです。「ああーあれにすればよかった💦、💦」 灘駅から出ている「坂バス」というのもあるようです。 看板が見えてきました。 この辺りは箕岡通ですね。左手には神戸高校のグランドと校舎が見えています。40年ほど前に友達が住んでいました。大学の寮もこのあたりです。毎日、こんな坂道を上り下りするのが平気だったんですね。まあ、ボクは水道筋でしたけど。 あれが神戸高校の校舎です。 で、摩耶ケーブル駅に到着です。神戸高校前から徒歩7分とか書いてありましたが、まあ、普通の人はそうなんでしょうねえ。ボクの場合は汗だくでへとへとです(笑)。ご覧のように、午後1時15分です。お昼御飯用に持っているおにぎりは1個しかありません。ちょっと不安ですがまあ仕方ありません。1時20分に次の便が出るようです。「あのー、ケーブルとロープウェイは乗り継げるのですか?」「はい、摩耶ビューラインセットのチケットがありますよ。往復ですか?」「いや、帰りは歩こうかなって。」「ああ、そうですか、お気をつけてくださいね。」「あっ、ありがとう。」 改札に、こんな、たぶん、牛ですね。なんで、と思いながら通り過ぎてしまいました。で、乗り込む前に正面からの写真です。 で、車内(?)です。今回のお客はボクともう一人。若い女性です。それから従業員の方らしい男性です。天井にワニだかのぬいぐるみがいます。不思議です(笑)。 映画ではこの座席に登場人物たちが座っていました。もっとも、あのケーブルは、摩耶ケーブルじゃなくて六甲ケーブルですがね(笑)。 動き始めました。一番後ろの窓の席にいます。写真には、窓ガラスの反射光が写っていますね。スマホのレンズをもっと窓に近づけないとこうなりますが、まあ、これはこれで面白いかなとか思っています(笑) 摩耶ケーブルは、登り始めるとすぐにトンネルです。この前に乗ったのは30年以上も昔のことですが、なんとなく覚えていました。 神戸に住んで、50年ですが、たぶん、二度目です。子どもたちやチッチキ夫人とも乗ったことがありません。今となっては後の祭りですが、まだ、チッチキ夫人を誘うことはできそうです。 トンネルを抜けるとスカイ・ビューの始まりです。向うに見えるのは六甲アイランドですね。みどりの木立の向こうの青い海が美しいですね。 まあ、動いているのは、実質、5分ほどの旅ですが、結構、面白いですね。到着の駅は「虹の駅」だそうです。 ここ、ケーブルの「虹の駅」からロープウェイの乗り場の「虹の駅」までは歩いてちょっとです。ふらふら歩いていると木立にアゲハがとまっていました。 数匹のアゲハが舞っていたのですが、写ったのは1匹だけでした。摩耶山のアゲハ蝶です。 さて、次はロープウェイですが、次回に続きます。じゃあね(笑)。ボタン押してね!
2023.08.27
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「ここはどこでしょう?」 徘徊日記 2023年8月25日(金)その3 灘区、摩耶山あたり 六甲山の山頂あたりが、はるか彼方に見えます。青空と入道雲と緑の山が美しい。日差しが明るい。風が涼しい。 歩いてたどり着いたわけではありません。でも、汗だくです。で、とりあえず、絶景にため息です。夏ですねえ! 神戸ですねえ! 少し南に目をやると、大阪湾です。 もう少し正面を見ると、茅渟の海と神戸の町です。夜には100万ドルになるそうですが、お昼でも納得の風景です。海と人工島と東西に広がる街並みが、なんというか、相変わらずエキゾチックで美しいです。 真下には灘の町が広がっています。40年前には住んでいた町で、最近ではウロウロと徘徊している街ですが、歩いたことのある海沿いの道を探してしまいます。六甲アイランドがそこに見えて、その沖合を新しく埋め立てている様子です。 北に視線を移せば、摩耶山から六甲牧場に続く山並みと、その向こうの山頂です。 30年ほど昔に勤めた学校では鈴蘭台から峰を二つだか三つだか登って来て、今、立っているここから稜線沿いに山頂まで歩き、そこから有馬の方へ降りていく「耐寒登山!」というおそろしく元気のいい行事がありました。若かったシマクマ君は登山部の少年たちと先頭を歩かされたりしましたが、今、こうして山並みを眺めると信じられない元気さでしたね(笑) で、「そこはどこですか?」 というと、摩耶山山頂の掬星台(きくせいだい)、六甲山ハイキングの、まあ、展望の名所です。もちろん、ケーブルカーとロープウェイを乗り継いでやって来ました(笑) 今日は、どなたもいらっしゃいませんね。ここの所、猛暑と夕立の続く神戸です。ちょっとハイキングなんてことを考える人はかなりな変わり者でしょうね(笑) で、掬星台の杉だかヒバだかの大木です。なんか、懐かしいですね。どうして、今日、こんな所にいるのか、これからどうなったのかというの話は、つづきで書きますね。また覗いてくださいね(笑)。じゃあ、またね。ボタン押してね!
2023.08.26
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「ここは中山道、奈良井の宿!」 徘徊日記 2023年8月7日(月)信州・塩尻あたり「なら、塩尻やな。塩尻の一番南まで乗せたるわ。」「塩尻の南の走ってどこ?」「奈良井くらいかな?」 で、やって来たのが中山道の奈良井宿でした。 石碑と案内図が、街並みの入り口にありました。自動車は、地元の人以外進入禁止です。 駅前に駐車場がありましたが、管理人とかいらっしゃいません。 いってしまえば、まあ、何の変哲もない旧宿場町、一応、観光名所していますが、普通に暮らしていますふうの町並みです。ごらんのとおり、あんまり人はいません。 屋並みの間に、湧き水でしょうかね、こういう水場がいくつかありました。「ねえ、この水飲めるのかしら。」「さあ? アッ、飲めるって。」「うん、湧かしたら飲めるって書いてあるわ。」「ええー飲めるっていったやん。飲んじゃったわよ。」「ペットボトルにお茶持ってんねんやろ。焦って飲まんでもええやん。」「こういうのあったら飲みたい人やねん。」「それ、どういう意味😡?」 お蕎麦屋さんがありました。中津川行が来るまで30分ほどあります。 三人でお昼です。田舎のおそばやさんふうです。「オイ、あれ、横浜の牧ちゃうの?」「そやな。」「なんや、この辺は巨人だけちゃうんか?」「牧は地元や。」「地元?」「松本第一高校やで。」「そういえば、田舎顔やな。」「都会顔て、誰やねん?」「広島の森下とか。」「森下て、大学明治やけど、出身、大分ちゃうんか?どこが都会っ子やねん!」 お店の壁にはスポーツ選手のポスター、テレビでは高校野球をやってました。 さて、旅の帰り道は、いよいよ、青春18の旅です。乗車駅は中央本線・奈良井駅です。午後1時30発の中津川行きです。 奈良井駅は無人駅で、切符にハンコをついてもらえませんでした。駅事務所にいらっしゃる案内の方はボランティアだそうで、改札のハンコをつく権限がないのだそうです。 初乗車駅が「奈良井」とか、ハンコで残ればいいなと思っていたのですが空振りでした。 ここまで送ってくれたカガクくんと別れて、今回の旅について回った夏の青空をパチリ! 山の向こうは伊那谷です。 それでは2023年、夏の信州にサヨナラ! です。 ボタン押してね!
2023.08.25
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「千鹿頭神社!?」 徘徊日記 2023年8月7日(月) 信州・松本あたり ファーマーズ・ガーデンやまべでお買い物を済ませてカガク君号に乗るとカガク君がいいました。「まだ、チョット、時間あるからね。ユナちゃん姫の保育園の子どもらが遠足に行くとこ、連れて行ったるわ。」 で、やって来たのがの大きな池のほとりでした。赤い鳥居があって、山道が始まっています。断っておきますが、炎天下ですよ。「保育園の遠足コースや。ちょっと行ってみよ。」「ええー、ここから歩くのぉー?」「そら、そうや。保育園の年長さんが歩ける道やで。」「いや、チョット、イヤ、暑いやん。坂道やん。」「なにユウてんねん。オレなんかスリッポンやで。あんたらちゃんと靴はいてるやん」「なんでよ、わたし、サンダルやし。」「あの、上やろ、・・・・」「な、そうやって横着してるから、運動不足で腹出て、歩けんようになるんちゃうの?」 というわけで、オッチラ、オッチラ、歩き始めました。あたり前ですが見晴らしが開けてきます。さっきの池、ちかとう池というらしいですが、下に見えて、向こうに南松本から塩尻にかけての町並みです。「ビニールハウスがあるけど、あれ、なに?」「ブドウやな。」「売りもんにするブドウは大変らしいで。種なしの受粉から、一房、何粒の間引きまで、休むまなしやて。」「一房、多いほうがええんちゃうの。」「形がブドウの房にならんと売れんらしい。粒も、そろわんしな。」「向うの、山、灰色に見えるのは何の木?」「松枯れや。」「松枯れ?」「そうや、もう数年で、ここらというか信州一帯の松林が全部枯れるやろ。禿山になる。ほったらかしやからな。」 ヤレ、ヤレ、ようやく到着です。日傘のおばさんと、スリッポンのおにーさんです。親子らしいです。神社の正面には御柱です。この辺りの神社にはつきものなのでしょうかね? ご由緒書きがありました。 千鹿頭神社というらしいです。読めます? 「千鹿頭社=ちかとうしゃ」と読むそうです。聞いたことのない名前ですが、関東北部の山岳地帯から信州、諏訪あたりで進行されているお社のようです。いわゆる、お伊勢さん系の神社ではなくて、もともと、この辺りの山人たちの信仰の名残らしいです。弥生の世界の外に来たようで、チョット、ワクワクしますが、見かけは地味です(笑) 狛犬さんです。こっちが「阿」くんのようですが、あどけないですね。素朴で愛嬌があって、笑えます。 こっちが、「吽」くんでしょうか、写真では口が開いているように見えますが、閉じていますね。 ふもとに戻ってくると、鳥居の横に石碑もありました。読めませんが、まあ、写真は撮っておきましょう。(笑) 池のはたに朝顔が咲いていました。まだ、お昼前ですが、あまりの天気です。朝顔もしおれかけていますが、真夏の信州旅行の最後の思い出です。 で、かがくん号に乗り込むと予定変更でした。「どうせ、鈍行やろ。松本12時半やったら、塩尻1時やな。ここからやったら塩尻に行く方がええな。」「うん、うん、塩尻といわず、木曽福島、中津川でもええで(笑)」「まあ、それはちょっと遠いな。」 というわけで、塩尻に向かって出発でした。真夏の信州・松本、バイバイ!また、くるね~(笑)ボタン押してね!
2023.08.24
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「朝日に輝くタンゲ丸!」 ベランダだより 2023年8月22日(火)ベランダあたり タンゲ丸くんが久しぶりに咲いて、一夜開けました。明るい朝日に輝くように咲いているタンゲ丸くんです。 こうやって、写真だけ見ていると、ちょっと涼しげな初秋の朝を感じさせますが、すさまじい暑さの一日の始まりでした(笑)。 植木鉢の角度を変えて、明るい中で写真を撮ってみて、ようやく、七つ咲いたと錯覚した理由がわかりました。ごらんのとおり、いまにも咲きそうな蕾がまんなかにありました。 この角度からだと、蕾の様子がよくわかりませんね。 花のアップを撮ってみますね。 こっちの角度からだと、蕾がよく見えます。 今晩、もうひとつ咲くのですね(笑)。 結論です。昨晩咲いたのは六つです。今晩、もう一つ咲きますね。 昨晩、咲いた花は日中の猛暑の中で、あっという間に萎れてしまいました。暑さに強いサボテンといえども。この暑さの中で開花を維持するのは無理でしたね。ボタン押してね!
2023.08.23
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「タンゲ丸くん 開花!」 ベランダだより 2023年8月21日(月) ベランダあたり 6月に一つ咲きました。今年二度目の開花です。咲くのは夜です。写真のピントが合いません(笑)「今晩咲くわよ。!」 夕方、チッチキ夫人が、そういっていた時にやり過ごしてしまって、蕾が勢ぞろいしている姿を撮り損じてしまったのが、いかにも、残念です。 全景です。七つ咲いていると思ったのですが、写真には六つしか写っていません(笑)。どうしたのでしょうね? 角度を変えてみました。やっぱり、六つです。七つ咲いたと思ったのは、数え間違いだったのでしょうか?不思議です。 やっぱり、六つですね。まあ、こだわってもしようがないので、ちょっと、アップしてみます。 夏の終わりの、ちょっと考えられないくらい暑い夜がつづくのベランダです。タンゲ丸くん、こんなにたくさん一度に咲かせて大丈夫なのでしょうか?ボタン押してね!
2023.08.22
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「さて、お土産は?!」 徘徊日記 2023年8月7日(月) 信州・松本あたり 真夏の信州徘徊、二日目の宿は「月の靜香」という、なかなかいいお宿でした。で、三日目の始まりですが、朝早くから、誰もいない大浴場で朝湯を堪能したチッチキ夫人はご機嫌です。 朝食もあれこれおいしくて、普段コーヒーしか口にしないシマクマ君ですが、「お味噌汁がおいしいねえ。」 とかなんとかいいながら、ご飯のおかわりとかして満腹です(笑)。 部屋から見上げる空は、今日も青空です。まあ、しかし、さすが信州です。朝、夕は窓を開けても涼しいですね。 裏山の奥というか、上の方が初日にトンボくんたちと行った美ヶ原ですね。 ゆかいな仲間のカガク君が、午前中は自動車で町を案内して、お昼出発予定の駅まで送ってくれるというので、外で待ちながらの写真です。古い民家というか、お屋敷を宿に改造したようですね。 生垣沿いに花が咲いていました。 初雪かづらとかいう花のようですね。昨日、ユナちゃん姫と歩いていた道ばたにも咲いていました。名前は初冬ですが、夏の花のようです。 カガク君がやって来ました。「どうすんの、帰りは?」「松本駅12時過ぎの普通中津川行きに乗るつもり。」「普通って、何やねん?」「青春18、アベック旅やんか。」「おカー、了承したんか?」「まあ、いいだしたらきかへんやろ。あんたとおんなじで。」「それ、どういう意味やねん?」「それより、お土産買いたいねん。ヤサイクンとこのくるチャン姫とか。」 で、やって来たのが山辺ワイナリーとファーマーズ・ガーデンやまべという農協のお店が併設されている。美ヶ原登山道入り口です。 看板用の樽が積んであって、そこに薔薇の花が咲いています。で、駐車場とか建物の周りを見ていると果樹園です。赤い実がなっているので近づいてみました。 桃畑です。手が届くところにずっしりナっています。きっと、もう、食べられます。もちろん写真しか撮りません(笑)。 お隣に、青い実がたくさんなっている畑が続いていました。近づいてみるとリンゴです。 まだ青い実なのですが、間引いたのか、風のせいなのか、沢山の実が落ちていました。なんだか、羨ましい気持ちでいっぱいです。今、かじったら、どんな味かな? やっぱり、渋いんでしょうかね。 リンゴ畑の畔に立って、松本の街の写真を撮りました。夏の青空です。三日とも、青空の旅でしたね。向うに見えるのは木曽とか。北アルプスですね。 チッチキ夫人は、お野菜とか、スモモとか、ここにしかないらしいみどりのブドウとか買って、ご満悦です。どうせ、昼からは、ズット電車の旅ですから、荷物が少々大きくなってもかまいません。 青春18を無理強いしているシマクマ君も、荷物持ちの覚悟はしています(笑)。 さて、お土産も買いました。次は松本駅ですね。ボタン押してね!
2023.08.21
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映画製作者=匿名「ミャンマー・ダイアリーズ」 8月の中旬に大きな台風が来て、台風一過の「秋風ぞ吹く!」を期待していたのですが、吹きませんでした(笑)。猛暑は復活して、相変わらずのグダグダなのですが、「何だ、この映画?ひょっとして?!」 と、やる気のない気持ちを叱咤して、やって来たのが「ミャンマー・ダイアリーズ」というドキュメンタリーです。もちろんこの手の作品を上映してくれるのは元町映画館です。 アタリ! というか、 これ、見んかったら、ますます無知の塊やったなあ。まあ、それにしても、ここでもとんでもないことが・・・・・ という作品でした。チラシの真ん中に工事用のヘルメットの女性の影が映っていますが、彼女は銃撃され倒れました。血まみれの帰らぬ人となったのです。 ミャンマーなんて、ノーベル平和賞のスー・チー女史の名前でしか知らない国ですが、今、とんでもない状態だということを初めて知りました。 そのスーチー女史は、自宅ではなく犯罪者として刑務所だそうです。このフィルムに登場する人の名前も、顔も隠されていて、顔出しの人は翌日逮捕されたり、帰らぬ人となってしまった人に限られているドキュメンタリーでした。ジャングルで、民主派の青年たちが武闘訓練している様子は、60年代の新左翼ドキュメンタリーで見たことがある「銃を取れ!」のようで、見ていて気が滅入るばかりでした。 映像のほとんどは、おそらく、スマホとか小型カメラの隠し撮りで、いろいろな人が撮った切れ切れのフィルムがつぎはぎを映画として編集した作品です。そして「弾圧」・「圧政」という現実を描く映画としてのコンテクストを支えているどこかに、編集者たち、映画製作者たちの、芋虫から変身する蝶にたくした夢があって、たとえば、チラシのヘルメットにもとまっていますが、それが、なんだかコミカルに訴えられていることが、かえって救いであるかの作品でした。 70分の短い作品ですが、見終えてため息が出ました。しかし、ミャンマーの現実もさることながら、このフィルムを世界に発信する努力を続ける人がいることには、やはり、勇気づけられる思いもするわけでした。ああ、世界のことなんて何にも知らないで、フラフラ徘徊している場合かよ! できれば、若い人に見てほしいと思いました。とんでもないのはウクライナや香港だけじゃないんですよ。で、なによりもまず、この映画を上映してくれた元町映画館に拍手!でした。2022年・70分・オランダ・ミャンマー・ノルウェー合作原題「Myanmar Diaries」2023・08・19・no105・元町映画館no19
2023.08.20
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ドリヤス工場「文豪春秋」(文藝春秋社) ネット上だったと思いますが「文豪春秋」という題名を見て笑いました。もっとも、このダジャレはおじゃマンガのいしいひさいちが一度やっていたような記憶もありますから、まあ、ありがちではあるのですが、笑ったついでに購入して読みました。我ながら律儀なものですね(笑)。 絵は、水木しげるふうで、なんとなく素人臭いですが、悪くはありません。内容は、昔「トリビアの泉」とかいうテレビ番組がありましたが、30人の「文豪」の「トリビア」を、老舗の出版社の壁に飾ってある菊池寛の肖像が女性編集者に語るという趣向ですね。 「トリビア」のネタは、知ってるような、知らないような、知っていたからどうってことがあるわけではない話 です。まあ、トリビアですからね(笑)。で、とりあえず目次はこんな感じです。目次太宰治「走れ芥川賞」・中原中也「三角形の歌」・川端康成「一途の踊り子」・檀一雄「支度の人」・坂口安吾「皿の森の満腹の下」・谷崎潤一郎「痴人の折り合い」・宇野千代「色ざんまい」・国木田独歩「或恋文の一節」・永井荷風「僕の浮き名ん」・岡本かの子「連れは悩みき」・夏目漱石「吾輩は猫が好き」・直木三十五「衆俗太平記」・石川啄木「一握の寸借」・山本周五郎「心意気は残った」・志賀直哉「暗夜交誼」・向田邦子「あ・まい」・若山牧水「酒席百景」・須賀敦子「イタリアの恋人たち」・樋口一葉「卓見くらべ」・久米正雄「憂鬱な門人」・泉鏡花「抗菌聖」・江戸川乱歩「押入れで旅する男」・島崎藤村「夜明けに落し前」・林芙美子「毀誉褒貶記」・中島敦「採決記」・与謝野晶子「みだれ気味」・渋澤龍彦「家屋敷の手帖」・吉屋信子「女物語」・菊池寛「春秋の彼方に」・芥川龍之介「河童の事ども」 「文豪」一人につき、一話、5ページです。文春が出している文芸雑誌の「文学界」に連載されたマンガの単行本化だそうです。ああ、それから作者はドリヤス工場とおっしゃるんだそうです。意味わかりません(笑)。 第1話が太宰の芥川賞切望噺です。 焦っているのが太宰治です。似ていません。まあ、あんまり似ているとマンガになりませんからこれでいいのです。隣のページは菊池寛の銅像(肖像の場合もあります)と女性編集者の出会いです。 次のページは字だらけです。あまりのことに辟易でしたが、しばらくすると慣れます(笑)いろいろ書かれているのは、ボクらの世代の文学オタクならだれでも知っている程度の話ですが、一般にはトリビアなのでしょうね。もっとも、「知っていることが書かれていて嬉しい!」 ということもありますから、そういうタイプにも受けるかもしれません。 30人の文豪のことを菊池寛が語るのですが、目次をご覧になるとわかると思いますが、須賀敦子とか向田邦子、何故か、澁澤龍彦が登場したりするところが笑えますね。 菊池寛は、確か、昭和23年、1948年に亡くなっているわけですから、生粋の戦後文学の彼女、彼のことは知るはずがありません。中でも、澁澤龍彦なんて、文藝春秋社とそれほど縁があったとも思えませんからね(笑)。 ちなみに澁澤龍彦のページはこんな感じです。 漱石の猫の家に始まって、永井荷風の棲み家、井上靖の書斎、ヘミングウェイ、ユーゴー、ゴーリキーときて、澁澤龍彦の、まあ、耽美的で趣味的な「ドラコニア(小宇宙?)」生活の紹介です。うけるかもしれないという、興味本位と、おそらく作者の好みに徹しているところがおもしろいのですが、何で、そんなこと菊池寛が知ってんねん(笑)ですね。お好きな方は、ネットを探せば立ち読みできるそうですよ。ヒマつぶしにどうぞ(笑)。
2023.08.19
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鳥山明「SAND LAND」(集英社)2023年、8月のマンガ便に入っていました。鳥山明の「SANDLAND」(集英社)です。「あれれ、これって、古いんじゃないの?」 奥付を見ると、2000年11月7日第1刷ですから、23年前の発行です。でも、この本自体は2023年の7月8日、23刷ですから、ヤサイクンが最近買った新しい本です。 23年前というのはヤサイクンが高校生だったころですが、そのころ少年ジャンプに連載されていたマンガです。懐かしさにかられて買ったのでしょうかね? わが家の、ヤサイクンをはじめとするゆかいな仲間たちと鳥山明というマンガ家との出会いは「Dr.スランプ 」(1980年・ジャンプ・コミックス全18巻)と、続けて描かれた「ドラゴンボール」(1984年・ジャンプ・コミックス全34巻)以来です。みなさん小学生のころからテレビ・アニメに夢中で、単行本も揃っていたと思います。 で、今、なんで? マンガを読んでいてわかりましたよ。マンガのシオリとして腰巻が出てきました。ちょっとつけてみますね。 はい、映画化です。8月18日公開のアニメなのです。 内容を少し紹介すると、物語は単行本1巻読み切りで、主人公は悪魔の王子ベルゼブブくんです。お話は500年ほど未来の、まあ、端折りますが、砂漠化した地球で悪魔の少年とジジイ二人の三人組による水さがしの大冒険です。そんな、手の込んだ展開はありません。でも、鳥山明が趣味で描いたとしか思えない絵がなかなか楽しいマンガです。 ヤサイクンは映画に期待しているようです。さて、シマクマ君はどうしようなか?(笑)
2023.08.18
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マイケル・ベリー「『武漢日記』が消された日」(河出書房新社) 方方(ファンファン)という中国の女性作家の「武漢日記」(河出書房新社)というルポルタージュの感想を2023年の1月に「読書案内」しました。 コロナの始まりの都市、武漢に暮らす作家方方の、コロナ騒動体験記です。コロナの蔓延と都市封鎖に至る市民の日常が報告され、公的な対策の不備が綴られている日記ですが、日常生活の心配事や不如意がネットに投稿された結果、記事の内容をめぐって、とんでもないとしか言いようのない「弾圧」、「ヘイト」騒動が勃発したことのルポになってしまったことによって、現代社会の実相を描き出してしまったオンライン日記でした。で、その本を読んだついでに読んだのが、今日の案内本、マイケル・ベリー「『武漢日記』が消された日」(竹田純子訳・河出書房新社)でした。 2020年に河出書房新社から翻訳出版された「武漢日記」の日本語訳者は飯塚容と渡辺新一というお二人ですが、最初に、このオンライン日記に注目し、英語への翻訳を打診し、実行したのがマイケル・ベリーというUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の中国文化研究者でした。 彼は、方方の「柩のない埋葬」(河出書房新社)という作品の英訳者で、2020年当時、その仕事に従事していたようで、当然、方方のオンライン日記の重要性にいち早く気付き、オンライン上での英訳を申し出るわけです。2020年、2月16日のことです。その申し出に対する方方の答はこうだったそうです。「コロナウィルスの感染はまだ進行中で、私の日記もまだ続いています。今のところ、これを出版する計画もありません。できれば、この流行が落ち着くまで待ってもらえませんか」 で、ここから1週間の間に、たった1週間ですが、世界中のメディアが方方の日記に気づき始め、騒ぎになり始めたようです。2月24日、マイケル・ベリーによる英訳掲載が始まります。 コロナの世界への蔓延のスピードと、英訳作業の開始のあわただしさ、英訳された「武漢日記」が「事件」へと変化していく速度が、ピタリと重なっている印象です。その結果、方方という作家の名前は世界的な有名人として拡散していったわけです。 日記が大きく取り上げられ、方方が、中国語圏からやがて世界中でその名が知られる本物の有名人になると、暗黒の力もまた、彼女の周囲姿を現し始めた。日記は政治マンガにネタになり、中国で公知と呼ばれる知識人の間に白熱した議論を引き起こし、日記をディスるラップソングまで作られた。そしてネットメディアへの大量の書き込みにより、日記に対するネガティヴキャンペーンが延々と繰り広げられたのだ。 最後には、攻撃の矛先は私にも向けられた。「バカヤロー!」「クソッタレの恥知らず!」「人血饅頭はどんな味がする?白ブタめ!」(P17) 攻撃が増えるにつれ、自分の仕事がいろいろな政治勢力にどのように利用されるかが気になり始めた。 中国の国粋主義者たちに悪役に仕立て上げられるのも不愉快だが、国外のメディア(たとえば法輪功(ファール・ゴン)が運営するテレビ局―ニューヨークに本部を置く新唐人電視台。中国語を主要な言語とする。)が、私が受けているバッシングを反中国の視点から記事にすることにも、同じくらい強い違和感を覚えた。(法輪功は中国政府の弾圧を受けている。) バッシングが始まって数週間すると、私のもとには、あまりにも激しい攻撃に愕然とした中国の読者から、同意や連帯の気持を表すメッセージが続々と届き始める。気づかないうちに、政治やイデオロギーの複雑怪奇な主導権争いに巻き込まれていたのだ。同時に、方方が中国で経験していることに比べれば、私の体験など物の数ではないこともわかった。 だが、事はすでに「武漢日記」だけの問題ではなくなっている。翻訳、新型コロナウィルス、米中貿易戦争、サイバーポリティクス、偽情報キャンペーン、記録の役割(各種の証言や市民生活、コミュニティー活動を記録することは重要だ)など、この問題にはいろいろな要素が含まれている。(P18) 本書の書き出しあたりで、マイケル・ベリーが、本書の成立するいきさつをのべているところからの引用です。たとえば、ボクは、すでに忘れてしまっているのですが、これは2020年の2月のことです。 一人の女性作家が生活の日記をネット上に書き、それを評価したアメリカの学者が英訳した。その結果、インターネット社会の裏表があからさまに姿を見せ始めます。「コロナをめぐる言説」であったことが拍車をかけて、情報発信者の人格や人権など歯牙にもかけない社会が現前します。 この本は、その顛末を丁寧に描いています。蕭々腹を立てていらっしゃるようですが、冷静です。読めば読むほど疲れます(笑)。 現実の愚かしさのストレートな報告ですが、上にもあるように、「反中国」のヘイト文書ではありません。そこが、この報告を読み続けることができる理由です。もちろん、ほかにも面白いところはたくさんありますが、大切な一つのポイントだと思います。 とりあえず目次をあげておきますが、手に取ってお読みいただくのがいいんじゃないかと思います。きっと、あなたもお疲れになるにちがいないと思います(笑)。 ボクたちは、たぶん、とんでもない世界に生きて始めているんだというのが、率直な感想でした。目次プロローグ 発端評判になった日記翻訳とウイルス書名への攻撃放たれたネット荒らし魔女狩り方方がポップカルチャーに?さまざまな武漢日記不思議な感覚理由教訓エピローグ 光明
2023.08.17
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「ご馳走は目黒のとんかつ!」 徘徊日記 2023年8月6日(日) 信州・南松本あたり 極楽とんぼ軍団と松本駅で別れたシマクマ君ですが、ユナちゃん姫、サラちゃん姫のお迎えで、ゆかいな仲間松本組と合流です。 やってきた、ゆかいな仲間・松本組の本拠地は自宅は百日紅が満開でした。今年は百日紅を追いかけるのやめていましたが、ここで会いました。実は、おとなりの生垣だそうです。アケビかなんかでしょうか、つる植物らしいのですが、みどりの実もなっています。 シャワーとかコーヒーとか、一息つくと、近所の神社の夏祭りにお出かけです。( ̄∇ ̄;)ハッハッハ!💦💦 写真撮るの忘れてました。ユナちゃん姫は、おばーちゃんのチッチキ夫人とかき氷を食べていました。オジーちゃんはベンチでごろ寝でした。 で、やって来たのがここです。南松本あたりの線路わきです。ユナちゃん姫は電車がお好きなようです。でも、自動車生活なので、乗ったことはないかもですね。「あっちからね、電車が来るよ。」「おっ、こっちから来たよ。」「ジージ、あれ、乗るの?」「うん、あした。あっちから来るやつ。」 実は、ここはメグロさんというとんかつ屋さんのお店の前です。今晩のご馳走はメグロのとんかつ! 松本のメグロはサンマじゃありません。とんかつです! お座敷テーブルに座ってビールをたのむと柿の種が出てきました。で、ユナちゃん姫が乳歯の生え変わりで歯抜けになっている口で挑戦しています。もちろん写真は撮り忘れです(笑)。 なぜかノレンが二つ出ているお店は繁盛していて、満席です。松本に来るといつも連れて来てもらうのですが、実は、お味噌汁が絶品! なのです。キャベツが食べ放題。もちろんとんかつをはじめ、揚げ物もぐー!です。 のんびりビールを飲んでいるジージの向こうの席では6歳(?)のユナちゃん姫と、まだ言葉がわからない1歳(?)のサラちゃん姫が姉妹喧嘩をしています。サラちゃん姫は、いきなり大声で泣きだしてネーネをイカクしているようです。目は泣いていません(笑)。ネーネも心得ていて、泣き声に負けていません。神戸の二人暮らしでは味わえないチビラくんたちの喧騒です。いいものですね(笑)。 夕食をご馳走になって、チビラくんたちやサキちゃんママに別れを告げてつれて来てもらった今夜の宿です。「月の靜香」という、松本の郊外、美ヶ原の登山道の麓の温泉宿です。静かで、広いお部屋で、チッチキ夫人がいうには、いい温泉で(シマクマ君はやっぱり部屋のお風呂でしたが)、カガク君の心遣いがうれしい宿でした。 ボタン押してね!
2023.08.16
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諏訪大社 下社 春宮 徘徊日記 2023年8月6日(日) 信州・諏訪あたり 諏訪大社、下社、秋宮にお参り(?)した後、オルゴール記念館「すわのね」とかで音楽を満喫(?)して、さて、やってきたのは諏訪湖のほとりです。なんか、時々お湯が噴き出すというのでやって来ましたが、工事中でした。 シマクマ君はスマホのカメラがビデオ仕様からカメラ仕様に戻らなくなって、写真がありません(笑)。「そんなン、カンタンやろ、チョットかしてみー。」「な、ここタッチしたらカメラになんねん。」「あれっ?」「あれっ?」「あかんなあ…」「このスマホ、コワレてんのちゃうの?」 大阪、寝屋川からやってきた日本語教員Kくんのヒトリゴトです(笑)。シマクマ君は、こういう道具の扱いについては、まったく無能ですから、笑っています。 レンタカーに乗って、暗くなったらアイコンとやらがよく見えて治りました。そこで撮ったのがこの写真です。どこのどなたか存じ上げませんが、諏訪湖のまわりをサイクリングらしいです。快晴の青空です。命を大切に! そう叫びたくなる炎天下!です。若い人には爽快なのでしょうね(笑)。 で、諏訪大社、下社、春宮到着です。日差しが明るくてスマホカメラの画面がよく見えませんから、ピンボケも何のそのです。 由緒書きです。秋宮のときは春宮というのが別にあるということには気づきませんでしたが、諏訪大社というのは、上社、下社、それぞれ、本宮、前宮、秋社、春社というふうに四つあるのですね。 今回は下社の秋宮と春宮の参詣でした。 上社は、昨年だったかに来たことがありますが、諏訪湖の対岸にありますね。 大鳥居をはいると狛犬さんです。「阿!吽!」というより「イー!、ウー!」くんたちです。 こちらが「ウー!」くんです。 で、こちらが、一応、お口が開いているので「阿」くんなのですが、やっぱり、歯だけ見せている感じですね(笑)。 こちらが、本殿の前にある拝殿(?)です。しめ縄のかたちがおもしろいですね。出雲大社とかのしめ縄に似ているような気もしますが、神戸ではあまり見かけない形のような気もします。まあ、当たり前ですが、お相撲さんのしめ縄みたいです(笑)。 で、本殿です。いっしょにいたはずのトンボグループを見失っていることに気づいたシマクマ君は焦っています。「あれっ?ここにもおらんやん。どこ行ったんかな?💦💦」 とりあえず、やっぱり、御柱です。これが正面、右側です。で、こっちが左側です。奥に、もう二本あるのも気になるのですが、そんなことよりトンボくんたちのゆくへです。 無事、万治の石仏でトンボくんたちを見つけて、迷子状態解消(ホッ!)です。もう一度、春宮の境内に帰って来て大木を見上げてホッ!でした(笑)。 まあ、信州の神社に限らず、神社というところにはデカい木があるものですが、やはり、関西、神戸あたりの神社に比べるとデカさが違いますね。 で、実は、この神社の大鳥居の前には面白い下馬所とかもあったのですが、撮り損じましたね。というわけで、真夏の諏訪大社・下社、秋春巡り! 終了です。 最後に諏訪湖の風景、もう一枚どうぞ。 夏の諏訪湖です。手前は遊歩道です。向うの連山は南アルプスか、木曽の山々でしょうか。氷がはる冬の諏訪湖も見てみたいですね。 じゃあ、また、のぞいて下さいね(笑)。追記2023・08・17 このブログを読んでくれた「極楽とんぼ」の一人が、こんなシールを送ってくれました。 今後、極楽とんぼ旅の記事にはこのシールを貼ることにしますね(笑)。ボタン押してね!
2023.08.15
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「万治の石仏って、万治いう人が作ったの?」 徘徊日記 2023年8月6日(日) 信州・諏訪あたり 諏訪大社の下社、春宮神社の境内でウロウロしていると極楽とんぼ軍団とはぐれてしまいました(笑)。「万治の石仏とかいうとったよな。あっちかな?」 適当に検討をつけて神社の西を流れている川に掛かっていた赤い橋を渡ると石碑がありました。「あった、あった。この川沿いの上流やねんな。」 石碑の文字は、あの岡本太郎!です。「ふーん、岡本太郎が石仏か?なんちゃら万治いう人が作ったんかな?」 いい加減な独り言をいいながら、川に沿って歩きます。 川は砥川(とがわ)というらしいのですが、この川沿いに東に登っていく道が旧中山道のはずです。この日の朝、上田のほうからレンタカーで走ってきたのが国道142号線で、それが旧中山道のはずですから、この上で南に迂回して諏訪湖のほうへ下ったようですね。 今度は立て札です。ハハハハハ。万治は名前ちゃうやんか。江戸の元号やんけ(笑)。 そばには句碑もありました。峡の田に座して石仏のどかなり 正夫 どなたの句なのかわかりませんが、まあ、きっとのどかなのでしょうね。 砥川でしょうか、川の流れがいい感じです。 おっと、いらっしゃいました。これは、スゴイ!スゴイ!スゴイ! ナルホド、岡本太郎ですね。いやー、いいもの見ましたねえ。 シマクマ君の石仏到着と入れ違いに、極楽とんぼ軍団が神社の方へ引き返していきました。まあ、そう急がんでええやんな。 なにはともあれ、しばし、凝視!でした。イヤハヤ、これは、今回の旅の大収穫です。やっぱりすごいですね(笑) 正面からのアップです。いかがでしょうか? 後ろのほうにも回りたかったのですが、お参りの方たちが回りをぐるぐるなさっていて、チョット遠慮しました。 あわてて、はぐれていたとんぼ軍団のあと追いかけて、砥川の中州にわたると、小さなお社がありました。浮島社というそうです。今回の極楽とんぼ旅行、最後にお参りするのが浮嶋というのも、なかなかいいですね(笑)。 実は、シマクマ君の旅はもう少し続きますが、トンボくんたちとは、ここから松本に向かって、松本駅でお別れです。 諏訪から、松本に向かう高速道路から見た信州の山と夏の空です。楽しい二日間でした。またね!ボタン押してね!
2023.08.14
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諏訪大社 秋宮 徘徊日記 2023年8月6日(日) 信州・諏訪あたり 2023年夏の極楽とんぼ旅、二日目です。 レンタカーの運転手が交代して、大阪、堺からやってきたF君です。F君には学生時代からかわいそうなことがいくつかあって、中でも、一番かわいそうなことは、40年数年前に大学生になった時に、高校時代から先輩風を吹かせることが生きがいのような上級生だったシマクマ君=筆者(笑)と、大学で同級生になってしまったことなのですが、それは、またの話題として、今回の旅で、運転手をしながらF君が告白した、最新のかわいそうなことは、同居人の女性が右左がわからないことだそうです。 例えば、F君が運転していて、同居人のカヨちゃんが助手席に座っていて、所謂、ナビゲーターをしているときに事件は起こるのだそうです。「次の交差点、右?左?」「えーっと、わかんない!」「わかんないって、あんた!」「ああ、そっち!」「そっちて、どっちやねん!」 今時、ナビゲータは機械がするのですから、この話は、少々眉唾ですが、まあ、そういう反応をする人というのは、案外いらっしゃるらしくて、話を聞いていたS君が相槌を打ってました。「うちのも、チョット、その傾向があるよ。」 イヤハヤ、なんともですね。夜の宴会では糖尿がどうした、こうした、昼の車内では右と左がどうしたこうしたで盛り上がる、まあ、やっぱり、極楽とんぼ旅ですね。 ノンビリ、宿を出て、ずーっと山の中を走って(もちろんレンタカーが)やってきたのは諏訪大社ですね。諏訪大社には上社と下社がありますが、ここは諏訪湖の北の端にある下社の秋宮神社です。無料!駐車場のそばに、大木と小さなお社がありました。 そのそばに龍吐水の手水場があります。これまた建物が立派です。 白龍がいましたが、水は吐いていません。水を吐いているのは竹筒です。 そばに大きな石碑です。形がおもしろいの写真を撮りましたが、何の石碑なのか、まあよくわかりません(笑)。でも、周りの木立の大木群がいいですねえ。 案内の看板です。 大鳥居です。参道が緩やかなのがいいですね(笑) で、本殿です。 諏訪大社で有名なのは「御柱(おんばしら)」ですね。こちらが社殿の左に立っていた御柱です。 こちらが、社殿の右に立っていた御柱です。本当は社殿を囲んで四本の柱が立っているはずですが、残りの二本は、本殿の奥にあるはずですが、どこにあるのかわかりません。 で、神社参拝恒例の狛犬さんです。信州の神社の狛犬さんは、関西というか、神戸の神社の狛犬さんに比べて、雄々しいですね。何しろ体格がいいですね。 こっちが「阿」さんだと思うのですが、「うー」さんにしか見えません。 で、こっちが「吽」さんです。こちらは、さしずめ「イー!」さんですかね(笑)。 狛犬さんの近所にあった「白松」です。御柱ではなくて、松の木です。黒松白鹿なら知っています。別に枯れているのではないようなのですが、よくわかりません。 杉の大木です。「根入りの杉」というそうです。 由緒書が付いていて、夜泣きする子供がお参りすると、夜泣きが治るのだそうです。「寝入るの待つ」じゃなくて、「寝入りすぎ」だからいいでしょ! ということらしいですね(笑)。別に腹がたったりしません。 さて、ここからオルゴールを聴きに行くそうです。なんでしょうね、オルゴールって? じゃあ、また覗いてくださいね(笑)ボタン押してね!
2023.08.13
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佐藤信介「キングダム 運命の炎」 ( ̄∇ ̄😉ハッハッハ!見ちゃいました(笑) 佐藤信介監督の「キングダム 運命の炎」です。 8月11日のお昼ごろ、映画友達の独身・子育て・看護士Sさんからメールがありました。「今日、久しぶりに、完全フリーなのですが、シマクマさんはおヒマ?」「おヒマ!」「映画など、いかがでしょう?」「109ハット、キングダム、午後3時25分!」「了解しました。灘駅でお迎えします。この炎天下、シマクマさんのお年で、あそこから日陰のない道はキケンですから(笑)。」「わーっ!ありがとう。到着したらメールします。」 というわけで、同伴鑑賞(笑)でした。「末のお嬢さんは、夏休みで帰って来てるんじゃないの?」「はい、受験準備とかで、毎日、京都の芸大に通っています。」「推薦かなんかで合格しているとか?」「いえ、いえ、なんか、興味のある企画があったらしくて。 まあ、そういう、お出会いするといつもの調子のおしゃべりしていると始まりました。 ははは、とても笑えて、面白かった! まあ、誰かにすすめる気はしませんが、原作がお好きで、「キングダム」、「キングダム2 遥かなる大地へ」とご覧になってきた方にはおススメです(笑)。笑えます。 ボクは羌瘣を演じる清野菜名さんが「蚩尤」という伝説の暗殺者一族の扮装で画面に現れたときに、思わず涙してしまいました。ジジイのうれし泣きです。かわいい! まあ、「マンガの実写」ということで人気らしいのですが、「実写のマンガ」とでも言った方がいい映画です。登場人物が、みんなマンガ化して、演技がどうのなんてどうでもよい面白さです。 見終えてのおしゃべりです。「あの、橋本環奈ちゃんの役って、なんなんですか?」「Sさん、原作は読んでますか?河了貂という人物はね、信が、今回、飛信隊の隊長になったでしょ。その部隊の、参謀になるんですが、今回はまだ外にいるんですね。次の展開くらいから重要な役どころなの。」「殷、周、秦、漢って、丸暗記した覚えがありますけど。これっていつ頃?」「うん、それの周の終わり、戦国の七雄の秦が、政という若い王さんで全国統一する時の話。今回は趙で人質暮らしの政が、秦に帰国するエピソードが前半の山だったでしょ。」「ああ、杏さんが吉沢君を助ける話ですね。」「ああ、あの女優さん、杏っていう人なんだね。」「メイキャップで、あれ?って思うんですけど杏ですね。東出君と別れた人。」「で、今日のお話は紀元前240年くらいだから、政が始皇帝になるまで、まだ20年あるの。今日、小栗旬君がちらっと出て来たでしょ。趙と秦の戦いは始まったばっかりで、趙の主役は小栗君が演じていた李牧だから、彼の顔出しは次回の予告だね。」「そういえば、シマクマさんの好きな長澤まさみさんも今回は顔出しだけでしたね。」「まあ、でも、大沢たかおとか、笑えるでしょ。ぼくは清野菜名ちゃんが、原作マンガそっくりでよかったけど(笑)。」「じゃあ、まだまだ続くんですね。」「そうだよ。原作は60巻越えているけど、それでも、お話は紀元前235年くらいのところだから、全国統一には程遠いし、原作者の原泰久は、たぶん50歳くらいだけど、連載をはじめたの2006年くらいで、今日の映画の飛信隊結成の話は第10巻くらいだからね。」「原さんて、そんなお年なんですか。」「そんなお年って、あなたたちくらいでしょ(笑)。もう、15年以上連載していて、完成させるにはもう10年以上かかるんじゃないかな?」「大変ですね。」「いや、でも、原作もおもしろいよ。」 というわけで、やっぱり、羌瘣の清野菜名ちゃんと、人質少年政を救い出す紫夏を演じて、壮烈な最期を遂げた杏ちゃんに、拍手!でした。監督 佐藤信介原作 原泰久脚本 黒岩勉 原泰久を演じて、撮影 佐光朗照明 加瀬弘行美術 小澤秀高編集 今井剛音楽 やまだ豊主題歌 宇多田ヒカル中国史監修 鶴間和幸キャスト山崎賢人(李信)吉沢亮(政)橋本環奈(河了貂)清野菜名(羌瘣)杏(紫夏)高嶋政宏(昌文君)長澤まさみ(楊端和)玉木宏(昌平君)佐藤浩市(呂不韋)大沢たかお(王騎)萩原利久(蒙毅)2023年・129分・G・日本2023・08・11・no104・109シネマズ・ハットno32
2023.08.12
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「オルゴールって何語?」オルゴール記念館 すわのね 徘徊日記 2023年8月6日(日) 信州・諏訪あたり 諏訪大社の秋宮神社の参拝をすませると案内役のI君がいいました。「あのね、チョット、そこの下にオルゴール記念館てのがあって、これがなかなかいいんだよ(笑)。行く?」「オルゴール?おれらが?」「いや、きっと、わるくないよ。」「行ってみよう!行ってみよう!計画ないし。」 シマクマ君は、気乗りしないので外でおタバコです。玄関はこんな感じす。 道の向こうから全景を見れば、こんな感じ。「オルゴール記念館 すわのね」だそうです。なんだか、似合わないですよねえ。 炎天下に立っていてもしようがないので、結局、入りました。中は、涼しい!「先ほどのお客さま方のお連れ様ですか?」「ああ、そうそう、じじい集団ね。」「もう一人いらっしゃるということでした。みなさまは2階の展示室です。オルゴール作りは?」「えっ?そんなんしませんしません。」 というような会話があって、2階に上がりました。 マスクをしていらっしゃるので、よくわかりませんが、美しいに違いない制服の女性が展示品の解説をお話なさっていて、なんだか場違いな極楽とんぼ軍団は、妙に、神妙な顔をして聞き入っていました。他にも親子づれとか、数人のお客がいらっしゃいます。 ガラスケースの展示品の話が終わると、次の大きな箱です。結構、真面目な解説と実演紹介です。オルゴールはドイツが本場なのだそうです。次々と実演されます。真面目に聞き入るトンボたちです。 とか何とかいいながら、シマクマ君が最初に気にいったのはこの箱です。 前の扉が開けられて、ハンドルを回して、コインを入れると中の円盤が回り始めて、なんだか景気のいい音楽が鳴り始めました。で、下の競馬場の画面の前を馬が走り始めます。おもろいなあ! ジューク・ボックスのレコード盤が何枚も並んでいるように、金属の円盤が何枚も重なって立っていて、何曲も演奏できるオルゴールもあるようです。すごいものですねえ! で、一番気に入ったのが、最初の写真のミュージック・ボックスです。アコーデオン、鉄琴、小太鼓、エトセトラが自動演奏します。一応、今は電動だそうですが、元はふいご式だったようです。アメリカ製。スイッチを入れると明かりがついて、アコーディオンがせり出してきて曲が聞こえてきます。1930年代のアメリカです。 マジ、これ、ほしい! 最後は見学の人たちの実演です。手回しで鳴らして、宣伝に使うやつですね。トンボの一人が挑戦していますが、案外難しいようです。解説係の女性が拍手してくれて、ちょっとうれしそうです。 最後にクイズでした。「オルゴールって、何語かご存知ですか?」 ご存知でしょうか?まあ、どっかの言葉のいい間違いかな? という見当ですが、オランダ語のオルゲルの和製いい間違いらしいですね。英語だと、ミュージックボックスだそうです。 なんだか、入るのに抵抗があったのですが、楽しい1時間でした。何事も先入観はいけませんね(笑)。 ボタン押してね!
2023.08.11
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「霧ヶ峰~♪」 徘徊日記 2023年8月5日(土) 信州・松本あたり 美ヶ原から、ビーナスラインとかで一路、たぶん、東南に向かったんじゃないかと思うのですが、よくわかりません。 再び緑の草原の駐車場に到着しました。向うの山の上にはドームがありますが、車山という山らしいです。標高は1900メートルくらいです。石碑があったのでとりあえず撮りましたが、内容を真面目に読む気は毛頭ありません(笑)。 この辺りの高原が霧ヶ峰というらしいですね。先ほどのドームのあたりまで、反対側の麓からリフトで登って来て、ハイキングするのに絶好の高原らしいですが、極楽とんぼ集団はあんまり歩く気はありません。レンタカーを止めたのは車山肩というところらしいです。 到着した時刻は夕方の4時を過ぎていました。遠くまで歩く気はありませんが、霧が~峰♪の涼風 に誘われて、チョット、フラフラしました。 名前はわかりませんが、白い花が咲き残っていました。とりあえず、ひとつづつ写真!ですね(笑)。 こちらも白い花です。シシウドとかでしょうかね。 こちらも、白い花ですが、また少し違いますね。 黄色い花もありました。 多分、鬼百合の一種でしょうね。草原は立ち入り禁止になっていて、近づけません。はなのしゃしんというより、背景の雲の様子が嬉しくてとったようですね(笑)。 多分、先ほどの鬼百合とか、名前はわかりませんが白い花がかたまって咲いていました。背景が青空なのは、雲が出ているのは山際に沿ってなので、上空は青空なのです。 ずーっと草原が続いています。キリガァ~ミネ~♪ うす紫のちいさな袋状の花が咲いています。山の上に来ないと見ることができないんでしょうねえ。 神戸に帰って来て、調べてみると、かなり広々とした高原で、湿地とかもあるようですし、最初の写真のドームあたりも、登れば、実は絶景らしいのですが、まあ。無計画をおもしろがっている極楽とんぼ集団ですから、よくわからなくていいのです(笑)。 とかなんとか、1時間ほどの高原散策に飽きたころ、I君が声を掛けました。「オーイ、そろそろ宿にむかいましょう!」「どっちに行くのかな?」「白樺湖のほう。」「そやから、それが、どっち?やろ。」「あっち!」 本日のお宿にご到着です。大江戸温泉というのは、なんとなく、どこにでもあるお宿ですが「鹿教湯温泉」というのは、読み仮名がなければ読むことができないでしょうね。「かけゆ」と読むそうです。鹿が教えてくれた温泉だそうです。ほんとかな? I君が探してくれた宿です。松本周辺は松本ぼんぼんという夏まつりの当日ということで、どこも満杯だそうで、ここは上田の山のなかでした。 ようやく宿について、皆さん、温泉に入って、さあ!酒池肉林! かと思いきや、食前の飲み薬のみせあいに始まって、糖尿病談義の、まあ、盛り上がらないことおびただしい(笑)極楽とんぼ宴会! でした(笑)。そこから先のおしゃべりはオフレコですが、40年の歳月を感じさせないのがいいんですよね(笑)。 明日は諏訪大社です。また、覗いてくださいね。ボタン押してね!
2023.08.10
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「美ヶ原のトンボたち」 徘徊日記 2023年8月5日(土) 信州・松本あたり 「ゆかいな仲間=松本組」と別れたシマクマ君は、コロナ騒ぎの前には、一年に一度集まっていた「老人・集団・徘徊クラブ」のメンバーと再会しました。松本駅・8月5日(土)午後1時集合でした。 長野県内から一人、神戸市内から二人、寝屋川と堺から、それぞれ一人、他にもメンバーはいますが、今回は5人です。実は、同じ大学の同級生で、なんと!40年来の遊び仲間です。 医学部、理学部、法学部が一人、文学部が二人です。一人を除いて、今では現役は引退して、極楽とんぼ! の身分です。 で、その極楽とんぼ集団が本日向かうのは美ヶ原高原です。レンタカー登山ですね。案内は長野県から参加しているI君です。で、誰が運転するのか決める段になって、一応、一揉めしました。「あのね、ボク、会社、売っちゃタンだよ。だから、運転もしたくないんだよ。」 なぜか、40数年前に出合った時と同じ、東京方言風・標準語でI君がいいました。すると、関西方言集団が、声をそろえて言いました。「なにゆうてんねん!地元やねんから。ここはまず、I君ということやろ!」 出発!です。 14時40分、約1時間30分で美ヶ原到着!です。標高は1800メートルくらいで、日差しには鋭いものがありますが、涼しいです。駐車場には、登って来るときには、ほとんど出会わなかった自動車がいっぱいで、ちょっと驚きましたが、絶景です。上空は、ここでも、やはり、青空です。 視線を正面から、少し下げると、山の上に上がったからなのか、雲が垂れ込めて来て、大きく見えます。駐車場の端から見えるのは、上ってきた松本方面ではなくて、東側、上田方面だそうです。 向うの山が、どこの山なのか、ボクにはわかりません。霞んでいますが、なんだか遠くまで来た気持ちのなります。 展望台の手すりにはクマもいました。山の上には色々いるんですねえ(笑)。 5人の中で、一人だけタバコを吸うシマクマ君は、喫煙所を探しましたが、駐車場のはずれにありました。 で、座るための切り株に赤トンボがとまっていて、思わず撮った写真が最初の写真です。これから、霧ヶ峰とかに向かうらしいです。山の上なのに、東西南北の方向が全く分からなくなってしまいました。そういうことは、結構、得意だったはずなのですが、どうしてでしょうね。不思議でした(笑)。 それじゃあ、またね(笑)。ボタン押してね!
2023.08.09
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「新幹線でシュッ、パーツ!」 徘徊日記 2023年8月5日(土)真夏の信州・松本あたり 今日は2023年8月5日(土)です。朝の8時過ぎに新神戸駅にやって来ました。久しぶりの新幹線です。いっしょにやってきたチッチキ夫人は10年以上乗ったことがないはずです。 自宅を出たのは6時40分でした。団地の空は朝から快晴で、まごうかたない夏の青空でした。二人で、こんな時間に、仲良く(?)つれだってバスを待つなんて、40数年の同居暮らしで初めてです。シマクマ君は、少々緊張しています。繰り返し口から出るのはこればっかりです(笑)。「ねえ、切符持った?」「持ってる!持ってる!じぶんは?」「えーっと、どこやったっけ?」 新神戸駅の空も、やっぱり真夏の青空でした。少し早めに到着したので駅の外に出て一服です。ホームに上がると九州行のみずほだかが入ってきました。喜んで写真を撮っているとチッチキ夫人がいいました。「みずほとか、さくらとか、銀行ばっかりやんね(笑)。」「のぞみ銀行ってあるか?ヒカリ銀行はありそうやな?」「うーん、あったような気もするけど、あっ、来たわよ!のぞみ銀行号!」 新神戸8時30分発ののぞみ号で、一路、名古屋に向かいます。一番先頭車両の二人掛けです。猛スピードです。窓際をシマクマ君がとったのでチッチキ夫人は少々不機嫌な様子です。新神戸を出てつづくトンネルに文句を言っています。「新幹線って、ホント、面白ない風景ばっかやんね。」 あっという間に(ウソですけど)名古屋です。乗り換えまでに30分あるのでコンコースに出て、駅の外までフラフラしました。 太閤口だそうです。あんまり旅行とかしない生活ではあるのですが、名古屋の街には、生まれてこの方入ったことがありません。太閤口とかが街のどっちに行く出口なのか皆目わかりません。そのうえ、折角なのに、空の写真も撮り忘れました(笑) 10時00分発の特急しなの7号が入ってきました。ここから、車窓の風景は、ノンビリ山のなかです。木曽福島を越えて、トンネルがあって、奈良井とかいう駅があって、向こうに見えてきたのは南アルプスでしょうか?車窓から見えていた川の流れの方向も変わったようです。「ねえ、川の流れが電車と同じ方になったよ。」「分水嶺がどっかにあったんやで。ここからやったら、諏訪湖のほうに流れてるんかなあ?」「ほんと?」 シマクマ君、しったかの大ウソ! でしたね。 帰って地図を調べてみると、奈良井駅あたりで見える川は木曽川ではないことは事実でした。見えている奈良井川というらしいです。たしかに川は北流していますが、塩尻から松本を抜けて、日本海に流れるようです。なんだかすごいですねえ。 塩尻駅です。空は青空ですね。ここから特急しなの号は中央本線にお別れして、篠ノ井線経由で松本に向かいます。 今日の二人の早朝からの電車旅の目的地は松本でした。12時ちょうどくらいの到着です。ホームではゆかいな仲間松本組のユナちゃん姫とカガク君が出迎えてくれました。 松本駅の青空です。アルプス口という、市内とは反対の出口からの写真です。松本の夏の青空のすごさに唸りました。街の向こうの山は美ヶ原です。駅の向こう側の街では「松本ぼんぼん」という、まあ、よそ者には意味不明の名前の夏祭りで、ユナちゃん姫一家は夕方から。保育園の「連」に集って、踊りで参加するそうです。実は、チッチキ夫人は、ユナちゃん姫の妹のサラちゃん姫のこもり役として、はるばる松本までやってきたのですが、役に立つのですかね?(笑) で、シマクマ君はというと、実は、学生時代の旧友たちと、松本駅で午後1時に集合して「美ヶ原」登山なのです。( ̄∇ ̄;)ハッハッハ! もちろん、レンタカー登山ですよ(笑)。というわけで、ゆかいな仲間松本組およびチッチキ夫人とは、ここでひとまずお別れでした。 というわけで、今回はここまでです。つづきはまたね(笑)ボタン押してね!
2023.08.08
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「死のなかに」 黒田三郎 「戦後代表詩選」(詩の森文庫・思潮社)より(2) 鮎川信夫、大岡信、北川透の三人が選んだ「戦後代表詩選」(詩の森文庫・思潮社)を拾い読みしています。二人目は黒田三郎、荒地派の詩人のひとりです。詩は「死のなかに」、上に貼った「荒地詩集1951」(国文社・1975年初版)に「市民の憂鬱」としてまとめられている数編の詩の一つです。 死のなかに 黒田三郎 死のなかにいると僕等は数でしかなかった臭いであり場所ふさぎであった死はどこにでもいた死があちこちにいるなかで僕等は水を飲みカードをめくりえりの汚れたシャツを着て笑い声を立てたりしていた死は異様なお客ではなく仲のよい友人のように無遠慮に食堂や寝室にやって来た床にはときに食べ散らした魚の骨の散っていることがあった月の夜にあしびの花の匂いのすることもあった戦争が終ったときパパイアの木の上には白い小さい雲が浮いていた戦いに負けた人間であるという点で僕等はお互いを軽蔑しきっていたそれでも戦いに負けた人間であるという点で僕等はちょっぴりお互いを哀れんでいた酔漢やペテン師百姓や錠前屋偽善者や銀行員大食いや楽天家いたわりあったりいがみあったりして僕等は故国へ送り返される運命をともにした引揚船が着いたところで僕等はめいめいに切り放された運命を帽子のようにかるがると振って別れたあいつはペテン師あいつは百姓あいつは銀行員一年はどのようにたったであろうかそして二年ひとりは昔の仲間を欺いて金を儲けたあげく酔っぱらって運河に落ちて死んだひとりは乏しいサラリーで妻子を養いながら五年前の他愛もない傷がもとで死にかかっているひとりはそのひとりである僕は東京の町に生きていて電車のつり皮にぶら下っているすべてのつり皮に僕の知らない男や女がぶら下っている僕のお袋である元大佐夫人は故郷で栄養失調で死にかかっていて死をなだめすかすためには僕の二九二〇円ではどうにも足りぬのである死 死 死死は金のかかる出来事である僕の知らない男や女がつり皮にぶら下っているなかで僕もつり皮にぶら下り魚の骨の散っている床やあしびの花の匂いのする夜を思い出すのであるそしてさらに不機嫌になってつり皮にぶら下っているのをだれも知りはしないのである 海軍大佐の息子として1912年、大正8年、広島の呉で生まれ、鹿児島で育ち、東京帝国大学を出たエリートが、赴任先のジャワで現地招集され入営、3年の従軍ののち敗戦。なんとか生き延びて帰国したものの、結核で倒れ、ようやくNHKで働き始めた30代半ばの男がいます。彼は「荒地」という名の詩人グループに参加し、詩を書きはじめています。昭和20年代の半ば、1950年ころの東京でのことです。まだ結婚もしていませんし、もちろん「ユリ」と名付けられることになる娘もいません。 男は、数年後、「小さなユリ」という詩集で、戦後詩なんていうものは読まない多くの人の称賛を得て、それから10年後、高度成長の始まりの年、1964年に書いた「紙風船」という詩が、やがて、小学校の教科書に載り、子どもも大人も愛唱する歌の詩人として愛されることになる黒田三郎です。その出発の詩の一つが、彼の詩や歌を愛する多くの人が、実は知らない「死のなかで」というこの詩です。いかがでしょうか。ぼくは、黒田三郎という詩人は生涯この立ち位置を変えなかった人だと思います。後年、酒乱を噂されたりしたこともありましたが、「そりゃあ、彼は、飲みだせば止まらないでしょう。」という気持ちになった記憶があります。 多くの人を励ました、紙風船はこんな詩でしたね。 紙風船 黒田三郎落ちてきたら今度はもっと高くもっともっと高く何度でも打ち上げよう美しい願いごとのように ボクは、この詩の「美しい願いごと」の向うに、「死のなかに」の詩人が、電車のつり革につかまりながら立っていることを思い浮かべるのですが、教科書で出逢って、詩を口ずさむことを覚えた子供たちにそのことを伝えるのは余計なことなのでしょうか。追記2023・10・01 ボクが黒田三郎の「死のなかに」という詩に出あったのは国文社の「荒地詩集1951」です。今回、詩の森文庫の「戦後代表詩選」をパラパラ読んでいて、なんか変だと感じて、出あった方の本を引っ張り出してきてわかりました。ちょっと写してみますね。 死のなかに 黒田三郎 死のなかにゐると僕等は数でしかなかった 臭ひであり場所ふさぎであった 死はどこにでもゐた 死があちこちにゐる中で 僕等は水を飲み カアドをめくり 襟の汚れたシャツを着て 笑ひ声を立てたりしてゐた 死は異様なお客ではなく 仲のよい友人のやうに 無遠慮に食堂や寝室にやって来た 床には 時に 喰べ散らした魚の骨の散れてゐることがあった 月の夜に 馬酔木の花の匂ひのすることもあった戦争が終ったとき パパイアの木の上には 白い小さい雲が浮いてゐた 戦ひに負けた人間であるという點で 僕等はお互ひを軽蔑し切ってゐた それでも 戦ひに負けた人間であるという點で 僕等はちよつぴりお互ひを哀れんでゐた 醉漢やペテン師 百姓や錠前屋 偽善者や銀行員 大喰ひや楽天家 いたわり合つたり いがみ合つたりして 僕等は故國へ送り返へされる運命をともにした 引揚船が着いた所で 僕等は めいめいに切り放された運命を 帽子のやうにかるがると振って別れた あいつはペテン師 あいつは百姓 あいつは銀行員一年はどのように經つたであろうか そして 二年 ひとりは 昔の仲間を欺いて金を儲けたあげく 醉つぱらつて運河に落ちて死んだ ひとりは 乏しいサラリイで妻子を養ひながら 五年前の他愛もない傷がもとで 死にかかってゐる ひとりは・・・・・その ひとりである僕は 東京の町に生きてゐて 電車の吊皮にぶら下つてゐる すべての吊皮に 僕の知らない男や女がぶら下つてゐる 僕のお袋である元大佐夫人は 故郷で 栄養失調で死にかかってゐて 死をなだめすかすためには 僕の二九二〇圓では どうにも足りぬのである死 死 死死は金のかかる出来事である 僕の知らない男や女が吊皮にぶら下つてゐる中で 僕も吊皮にぶら下り 魚の骨の散れてゐる床や 馬酔木の花の匂ひのする夜を思ひ出すのである そして 更に不機嫌になつて吊皮にぶら下つてゐるのを 誰も知りはしないのである 旧仮名遣いで、旧漢字が使われているのですが、そのことよりも、全体が散文詩風に書き連ねられていて、分かち書きされていません。多分、この表記の仕方で、印象が変わったのでしょうね。何がどうっだといわれてもわかりませんが、ボクはこの詩を、とても散文的な印象で記憶(してませんけど)していたんでしょうね。 このブログをお読みの皆さん(いらっしゃればですが)いかがでしょう?
2023.08.07
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「ミッキー・マウス」清水哲男 「戦後代表詩選 続」より ミッキー・マウス 清水哲男消防夫であり機関士であり辻音楽師であり探偵であるミッキーは遠くアメリカの暗箱のなかで憤然とサラダを食らっていたそのくれなゐ色に冷えた影を鼠径部に溜めたまんまで僕は手紙を書き(出す宛もなく・・・・・)友だちにも会った「ああ、くさがぬっか にえがすっと」(ああ、草の暖かい匂いがするぞ)僕らは憤然として挨拶を交し鎌も握った消防夫であり機関士であり辻音楽師であり探偵であるミッキーはそれからは何度も結婚して世界中の日溜りのために尾のカーボンを燃やしつづけたそのあかがね色に冷えた灰を鼠径部に溜めたままで僕はせっせと会社に通い(結婚もしたぜ)友だちと酒も飲む「ネバ― ザ・トゥエイン シャル ミート」(二者、とこしえに相遇わず・・・・・か)僕らは軽く手をあげるだけで死ぬまで別れられるのである 鮎川信夫、大岡信、北川透という三人の詩人たちが編集している「戦後代表詩選 続」(詩の森文庫・思潮社)という新書をぽつぽつ読んでいます。 鮎川信夫の「近代詩から現代詩へ」(詩の森文庫・思潮社)という新書で、近代の詩を、これまた、ぽつぽつ読み始めた結果、こっちもあるな、とかなんとか思いつて引っ張り出してきた戦後詩のアンソロジーです。 で、この詩に再会してブワーッとなにかが襲いかかってきて、ユーチューブで『A LONG VACATION』を聴き始めると、涙が溢れました。 「スピーチバルーン」という名曲がこのLPの中にありますが、上に引用した「ミッキー・マウス」という詩は清水哲男の「スピーチバルーン」(思潮社)いう詩集に入っている詩の一つです。 で、清水哲男のその詩集が本屋に並んだのは1975年で、ミュージシャンの大瀧詠一がその曲の入ったレコードで、大評判になったのは1981年です。お二人の間には、たぶん、何の関係もありません。ぼくだって大瀧詠一の歌に触発されて清水哲男の詩を読んだわけでもありません。にもかかわらず、大瀧詠一に戻るのはなぜでしょうね。おそらく、ボクの中で、その時代がひと塊 だからでしょうね。 で、今回、大瀧の「スピーチ・バルーン」という歌の中にこんな一節があることに気づきました。吐息一つスピーチ・バルーン声にならない飛行船君は耳に手を当て身をよじるけどなにも届かないで、清水の詩の最後の二行がこうです。僕らは軽く手をあげるだけで死ぬまで別れられるのである 当時はともかく、今回、清水哲男のこの結びの二行に心が揺らいだことは間違いありません。今、耳に手を当て、あるいは、目を瞠り、身をよじるようにして記憶をたどるのですが、あの日、軽く手を挙げて別れた人の姿は見つけることはできません。 まあ、そういう個人的な思い入れはともかくとして、大瀧詠一が2013年に亡くなったことは、さすがに知っていましたが、詩人の清水哲男が昨年、2022年の3月に亡くなったことには気づきもしませんでした。現代詩文庫の「清水哲男集(正・続)」(思潮社)」はもちろんですが、「スピーチバルーン」(1975・思潮社)とか「夕陽に赤い帆』(1994年、思潮社)とか、詩集を買って読んだ、数少ない詩人の一人だったのですが。 もっとも、今読み返してもそうですが、個人的な思い込みでは好きだったのでしょうが、詩想を理解(?)して読んでいたのかどうか、かなり怪しいですね(笑)
2023.08.06
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鈴ノ木ユウ「竜馬がゆく 4 」(文藝春秋社) 2023年7月のマンガ便です。鈴ノ木ユウ「竜馬がゆく4」(文藝春秋社)です。第31話から始まります。 時は1954年、嘉永6年です。所は伊豆半島の東、三浦半島の長州藩が海防基地の海岸あたりです。僧なんです、ペリーがやってきているんです。で、長州藩の陣地を偵察していた北辰一刀流の剣豪坂本龍馬と、長州藩士で神道無念流の達人桂小五郎の一騎打ちで開巻です。 というわけで、表紙の人物は桂小五郎君です。吉田松陰門下の俊才の一人です。維新の有名人の中では、珍しく、1877年、明治10年、43歳くらいまで生き延びて、維新の三傑とかいわれた人です。ちなみに、三傑の残りの二人は西郷隆盛と大久保利通です。 この第4巻33話は吉田松陰の「下田渡海」、伊豆半島の下田港沖に停泊中のペリーの船に、金子重助という、弟子だった足軽の青年と二人で乗りつけてアメリカに連れて行ってもらおうと談判した有名な事件があるのですが、そこが描かれていて感無量でした。 あのー、実は、シマクマ君は40年前の卒業レポートで(まあ、卒論ともいいますが)、吉田松陰の詩と真実とでもいいますか、そのあたりをあれこれ調べたことがあるのです。だから、まあ、やたらなつかしいわけですね。 で、桂小五郎ですが、彼は松下村塾ではなくて、藩校の明倫館で、天才少年と言われた松陰、吉田寅次郎から山鹿流の兵学講義を受けた人で、歳は松陰の三つ年下に過ぎません。ただ、残された肖像画の松陰がえらくオジサンに描かれていて、誤解されるのですが、松陰という人は1859年、安政6年に処刑さた時、29歳なんですね。ついでに言えば、このマンガの主人公坂本龍馬も30歳くらいで亡くなっていますし、高杉晋作は27歳で病死、先ほどの金子重助は25歳で獄死です。 70歳になろうかという、馬齢を重ねている目から見ると、異様な若さですね。で、1954年が舞台の本巻では、まあ、20歳そこそこの龍馬とか小五郎とか、松陰が、今、まさに幕末の志士へと変貌せん! とする、その時が描かれていて、なかなか、感無量ですね。「同じ国の藩同士がそれを隠したり隠されたりするようでは日本はもう守れんよ」「……」「面白い」「坂本くん・・・・キミに長州陣地の全てを教える」 31話の最後のページです。小五郎が龍馬を知ったシーンです。まあ、事実か創作かはわかりませんが、司馬遼太郎らしい演出です(笑)。 なにはともあれ、幕末の始まりですね。ここから、いよいよ面白くなるはずですが、この時、「日本」を揺るがしたのはペリーだけではありませんでした。 もう一つの大事件が繰り返し「日本」を襲います。 本巻36話に描かれた「安政東海地震」(1954・M8.4)、この巻ではまだ触れられていませんが「安政江戸地震」(1955・M6.9)という、二つの巨大地震ですね。 「安政東海地震」は、所謂、南海トラフ型、「安政江戸地震」は直下型で、地震としてのタイプは違いますが、後者が大都市江戸を直撃したことが、決定的だったわけです。まあ、そのあたりは次巻以降の話題でしょうね。楽しみです。 というわけで、鈴ノ木版「竜馬がゆく」快調です。面白いですよ(笑)。
2023.08.05
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工藤直子「工藤直子全詩集」(理論社)(その1) 市民図書館の新入荷の棚で、やたらデカい顔をしてのさばっていたので手に取りました。2023年7月初版です。ふんぞり返っていたのは「工藤直子全詩集」(理論社)です。700ページを越えるブットイ本です。重いので躊躇しましたが、借りてきました。 なつかしい! それが、まあ、第一印象というか借りてきた理由です。食卓テーブルでパラパラやっていて、いろいろ思いだしました。ボクにとっては、何と言っても「てつがくのライオン」の詩人で、松本大洋というマンガ家のおかあさんです。1935年に台湾で生まれた方で、日本最初の女性コピー・ライターです。 そんなことを考えながら、最初のページに戻って、ぎょっとしました。 死黙って生きてゆきましょうよ食べてー 眠ってーそして死ぬんですどうも私はかけまわっているようだ“帰っておくれ!”とみんなが笑っているようだが恐ろしくないのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・やはり黙って生きてゆきましょう 一九五〇・一・二五(P8・1950) この詩集には、私家版だったようですが、工藤直子の初期詩篇が収められているのが、全詩集の所以の一つです。絵本の語り手(?)になる以前の工藤直子です。その最初の最初の詩がこれです。25歳の工藤直子です。何にたじろいだのか、うまくいえません。しかし、この感じは他人ごとじゃないですね。「帰っておくれ!」って、本当にそういわれて、真っ暗闇の道を歩いた記憶があるような気がします。 まあ、そういう、昔の思い出はともかくとして、60年、黙らずに生きて来てどうなりましたか? というわけで、当然、最後のページですね。 85歳の工藤直子です。うまくいえませんが、最初のページから60年の歳月があって、この詩です。読んでいるボクは68歳です。なんだか、元気づけられた気持ちになったのですが、それは。ボクの年齢のせいでしょうかね。 このところ工藤さんは俳句を作っていらっしゃるようですので、もう一つ紹介しますね。 けんきち・はいく こいぬけんきちゆきふわりしっぽにっこり ぱたぱたたはいくのきもちああ ぼくの だいすきな ゆきがふわ ふわ ふってきたうれしくて しっぽが わらいたくなりぱたぱた ぱたぱた しちゃったよ(P668・2016) それから、まあ、工藤直子といえば、なんといっても「てつがくのライオン」なのですが、長くなるのでその2に続きますね。じゃあこれで、バイバイ。そのうち書きますから、その2ものぞいてね(笑)
2023.08.04
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ヤン・ヨンヒ「愛しきソナ」元町映画館 先日来、元町映画館がやっている「映画監督ヤンヨンヒと家族の肖像」ですが、今日は2009年に発表された「愛しきソナ」を見ました。 「ディア・ピョンヤン」(2005)、「愛しきソナ」(2009)、「スープとイデオロギー」(2021)という、ヤン・ヨンヒの三つの仕事の、時代的には真ん中の作品です。 先日見た「ディア・ピョンヤン」が「父の肖像」、昨年の9月に見た「スープとイデオロギー」が「母の肖像」、そして、本作「愛しのソナ」は、ピョンヤンで暮らす「三人の兄とその家族の肖像」なのだろうと予想して見ました。 たしかに、映画の作り手であるヤン・ヨンヒにとっては次兄の娘、ですから、姪に当たる「ソナ」という少女の、3歳くらいから、大学入学ですから18歳くらいでしょうか、その姿を追ったフィルムを中心に構成されていました。しかし、実質的には、カメラを持って、ピョンヤンの兄弟たちや、甥、姪の姿を撮っている監督自身の肖像という印象を強く持ちました。 1990年代から2009年という時間の経過の中で、「ディア・ピョンヤン」で撮った父の死があり、ヤン・ヨンヒ監督自身が、発表した作品の評価によって、北朝鮮政府から入国を拒否されるという政治的弾圧の対象になったことが明らかにされます。 彼女は、作品の中で何気なく語るのですが、実は、彼女が映画で表現しようとしていた、在日コリアンの「家族」を縛り続けてきた「政治性」・「歴史性」が如実に正体をあらわした事実だと、ボクは思いました。そういう意味では、かなりスリリングな映画だったと思います。 映画の終盤、大阪の祖母が送ってくれた日本製のランドセルをしょって、ピョンヤンの小学校に通う「ソナ」の姿を、学校の校門まで撮り続けるシーンがありましたが、「ソナ」の後ろ姿に、かつて、北朝鮮に「帰国」していった兄たちの姿と、残された小学生だっ監督自身の姿が重ねられていることを強く印象付けられるシーンでした。 政治的な事態が明らかになってから編集されたにちがいないナレーションで、監督であるヤン・ヨンヒ自身が語る「別の世界に去っていくソナ」 という言葉に、強く胸打たれました。見る前には、なにしろ、幼い少女が映り続けて、見ていてつらいだけなのではないかと不安でしたが見てよかったと思いました。監督 ヤン・ヨンヒ脚本 ヤン・ヨンヒエグゼクティブプロデューサー チェ・ヒョンムク撮影 ヤン・ヨンヒ編集 ジャン・ジン音楽 Marco2009年・82分・G・韓国・日本合作2023・08・03・no102・元町映画館no193
2023.08.03
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パトリス・ルコント「仕立て屋の恋」 先日、「メグレと若い女の死」という新しい作品をパルシネマで見ながら、パトリス・ルコントという、今では高齢の監督に興味を持ちました。 さすが、パルシネマ! 「夜パル」という企画で「仕立て屋の恋」という、ルコント監督の、1989年らしいですが、古い作品を、ほぼ、同時期にやってくれていて、午後8時45分上映開始で、終わるのは10時過ぎでという時間設定が問題なのですが、まあ、仕方ありません。やって来ました。パトリス・ルコント監督、「仕立て屋の恋」です。 殺された若い女性の死体が横たえられた姿が映り、頭の禿げあがった中年男が、明りを消した部屋の窓から、通りを隔てて正面にある、隣のアパートの明るい部屋で、下着になってくつろいでいる若い女性の姿態をじっと見ているシーンへと画面が変わります。この辺りで、もうドキドキです。 殺されたらしい、最初のシーンの女性と、男が覗いている若い女性が同じ人物なのだと思い込んで見ていましたが、やがて、その二人の女性は全くの別人だと気づいたあたりから物語の輪郭が浮かび始めました。 仕立て屋の男は、女性殺害事件の容疑者として疑われていて、くり返し警官に尋問されているのですが、アパートの部屋に戻ると覗かずにはいられないのが二人目の女性ですね。二人の女性は別人でした。 で、今、覗かれている女性アリスは、覗かれていることに気づかないまま、生活のすべてを、もちろん、部屋にやってくる男との情事も含めて、覗いている、今風い言えばストーカー男である仕立て屋イールに、すべてさらけ出しててしまっていたことが、この映画の肝でした。仕立て屋の男は何を見て、何を考えているのか。 先日のメグレと同じくジョルジュ・シムノンの推理小説が原作ですから、これ以上筋は追いません。しかし、「覗き男が見ていたものはなにか?」という「謎」を、殺人事件をめぐる「謎」をたて糸として「愛」の物語に仕立てたのは、原作者ジョルジュ・シムノンなのかもしれませんが、一人の孤独な男の哀切な破局を、静かな、しかし、圧倒的なエロスと死の物語として描いたのはパトリス・ルコントのお手柄というか、才能でしょうね。 傑作ですね。仕立て屋を演じたミシェル・ブラン、覗かれた女アリスを演じたサンドリーヌ・ボネールの二人の表情の演技の応酬、心理戦に拍手!拍手!、監督パトリス・ルコントも凄い!、拍手!。イヤハヤ、まったく、納得、満足、夜の映画の遊び時間でした(笑)。 で、余談ですが、女が覗かれていることに気づいた雷雨の夜、稲妻の光の中に、仕立て屋の部屋のガラス窓に男の姿が浮かび上がるのですが、その瞬間に思い出しました。アッ!この映画見たことある! ホント、人間の記憶ってどうなってるんでしょうね。そこから、後半のお話に対する。自分自身の呑み込みの良さに(当たり前ですが)、我ながらカンドー!でした。(笑)監督 パトリス・ルコント 製作 フィリップ・カルカソンヌ ルネ・クライトマン原作 ジョルジュ・シムノン脚本 パトリス・ルコント パトリック・ドゥボルフ撮影 ドニ・ルノワール美術 イバン・モシオン編集 ジョエル・アッシュ音楽 マイケル・ナイマンキャストミシェル・ブラン(イール:仕立て屋)サンドリーヌ・ボネール(アリス:恋人)リュック・テュイリエ(アリスの恋人)アンドレ・ウィルム(刑事)1989年・80分・フランス原題「Monsieur Hire」2023・08・01・no101・パルシネマno63
2023.08.02
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川上未映子「黄色い家」(中央公論新社) 第1章 再会 このさき、自分がどこで生きることになっても、何歳になっても、どうなっても、彼女のことを忘れることはないだろうと思っていた。 けれど今さっき、偶然に辿りついた小さなネット記事で彼女の名前を見るまで、そんなふうに思ったことはもちろん、彼女の名前も、存在も、一緒に過ごした時間も、そしてそこで自分たちがしたことも、なにもかも忘れていたこと気づかなかった。 吉川黄美子。 同姓同名かもしれないという考えが一瞬よぎったけれど、この記事に書かれているのがあの黄美子さんだということを、わたしは直感した。(P7) 読売新聞紙上に2021年7月24日から2022年10月20日まで連載された「黄色い家」(中央公論新社)という川上未映子の最新作の書き出しです。 語り手は伊藤花という40代の、独身の女性です。語り手の時間はコロナの蔓延する「現代」ですが、語られている出来事は、1990年代の終わり、所謂、20世紀の世紀末、東京の郊外の町で住所不定、無職だった、語り手である彼女の10代の終わりの生活です。 バーというのでしょうか、クラブというのでしょうか、ともかく、飲み屋の雇われホステスであるシングルマザーの母と小さなアパートで暮らす中学生だった伊藤花が、母の友人だった吉川黄美子という、当時40代だった女性と暮らし始めるところから物語は始まります。 「黄色い家」という題名は、その黄美子が自分の色として、まあ、縁起を担いでいた色を、黄実子にこころをつかまれ、一緒に暮らすようになった10代の伊藤花が引き継ぎ、部屋の調度から壁まで黄色く塗ったアパート、そこで二人が暮らし、やがて、加藤蘭、玉森桃子という同世代の女性たちとの共同生活の場になった住居からとられています。 世紀末から2000年という時代の中で、人が生きていくことを支えるのは「お金」であるという「現実」に「洗脳」されていく10代の、預金通帳さえ作ることができない境遇の少女の姿をテンポよく描き出した佳作だと思いました。 カードやネットによるお金の流通が当たり前になっている現代社会において、住所不定、保護者不在の未成年の女性が、いかにして犯罪者への道を歩むのかという、いかにも現代社会の最底辺の実態を描いたドキュメント・ノワールという趣で、読み始めると、やめられない、とまらない「かっぱえびせん本」でした。 他の、知らない作家であれば、これで終わりですが、「乳と卵」(文春文庫)、「先端で、さすわ さされるわ そらええわ」(ちくま文庫)の川上未映子の仕事ということになると、もう一言ですね。 あくまでも、ボクにとってですが、川上未映子の面白さは「わかりにくさ」というところにあると思っていました。「なに?これ?」 まあ、そういう感じが浮かんでくることに対する期待ですね。残念ながら、そういうニュアンスは、この作品にはありません。たとえば吉川黄美子という、いかにも、川上的興味をそそられる登場人物がいます。「なに?この人?」 そういうイメージを、登場とともに抱かせる人なのですが、何故か、その人物について描かないというのが、この作品の特徴なのですね。伊藤花による「吉川黄美子」像だけでは、あまりにあやふやじゃないでしょうか。 「ヘヴン」(講談社文庫)あたりで、人気作家になったと思いますが、あのあたりからですかね。わからなさは影をひそめてしまったのは。 まあ、読みますけど、残念ですね(笑)。
2023.08.01
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