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ミッキー・マウス 清水哲男 鮎川信夫、大岡信、北川透 という三人の詩人たちが編集している 「戦後代表詩選 続」(詩の森文庫・思潮社) という新書をぽつぽつ読んでいます。
消防夫であり
機関士であり
辻音楽師であり
探偵であるミッキーは
遠く
アメリカの暗箱のなかで
憤然とサラダを食らっていた
そのくれなゐ色に冷えた影を
鼠径部に溜めたまんまで
僕は手紙を書き(出す宛もなく・・・・・)
友だちにも会った
「ああ、くさがぬっか にえがすっと」
(ああ、草の暖かい匂いがするぞ)
僕らは憤然として挨拶を交し
鎌も握った
消防夫であり
機関士であり
辻音楽師であり
探偵であるミッキーは
それからは何度も結婚して
世界中の日溜りのために
尾のカーボンを燃やしつづけた
そのあかがね色に冷えた灰を
鼠径部に溜めたままで
僕はせっせと会社に通い(結婚もしたぜ)
友だちと酒も飲む
「ネバ― ザ・トゥエイン シャル ミート」
(二者、とこしえに相遇わず・・・・・か)
僕らは軽く手をあげるだけで
死ぬまで別れられるのである
その時代がひと塊 だからでしょうね。
吐息一つスピーチ・バルーンで、 清水の詩 の最後の二行がこうです。
声にならない飛行船
君は耳に手を当て
身をよじるけどなにも届かない
僕らは軽く手をあげるだけで
死ぬまで別れられるのである
清水哲男
のこの結びの二行に心が揺らいだことは間違いありません。今、耳に手を当て、あるいは、目を瞠り、身をよじるようにして記憶をたどるのですが、あの日、軽く手を挙げて別れた人の姿は見つけることはできません。
まあ、そういう個人的な思い入れはともかくとして、 大瀧詠一
が 2013年
に亡くなったことは、さすがに知っていましたが、 詩人
の 清水哲男
が 昨年、2022年の3月
に亡くなったことには気づきもしませんでした。 現代詩文庫
の 「清水哲男集(正・続)」(思潮社)」
はもちろんですが、 「スピーチバルーン」(1975・思潮社)
とか 「夕陽に赤い帆』(1994年、思潮社)
とか、詩集を買って読んだ、数少ない 詩人
の一人だったのですが。
もっとも、今読み返してもそうですが、個人的な思い込みでは好きだったのでしょうが、詩想を理解(?)して読んでいたのかどうか、かなり怪しいですね(笑)
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