ゴジラ老人シマクマ君の日々
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イヴ・イェルサン「小さな逃避行」元町映画館 神戸の元町映画館がやっているヘルヴェティカ・スイス映画祭という企画にハマっています。1本目に見た「要塞」というドキュメンタリィ―にしてやられて、「これは、見んとしゃあないな!」 で、2本目です。イヴ・イェルサンという監督の「小さな逃避行」という作品です。1979年の作品らしいですが、日本では初公開だそうです。 大きな農場で、住み込みで働いているらしい初老の男で、パイプと呼ばれている、上の写真の男が主人公でした。農場主と奥さん、後継ぎらしい息子、亭主はいないようなのですが子持ちで、チョコレート工場に働きに出ている娘とその息子、住み込みのイタリア人の出稼ぎ青年、そしてこのパイプという農家のお話でした。 朝から主人がパイプを探していますがどこに行ったか分かりません。主人の男はこのシーンから、映画が終わるまで、ずっと不機嫌です。 で、使用人のパイプはといえば、注文していたらしい原付自転車を受け取りに駅に来ていました。ピカピカの原付自転車が貨物として到着します。駅のホームには嬉しいのか悲しいのかわからない顔でパイプが立っています。 で、映画は、原付自転車に夢中になるパイプの日々を描き始めます。 仕事そっちのけです。思いついたら原付です。それだけです。叱られようが、探されようが、なんのそのの日々です。思い付きで出かける場所は、ドンドン遠くなります。で、端折っていいますが、とどのつまりはモトクロスバイクの大会というかお祭りというかに紛れ込んでクイズに当選してカメラをもらって大喜びです。でも、その帰り道だかで事故っちゃうんです。農場の主人は、これ幸いに原付を燃やしちゃいます。「あーあ、そこまでやるか?」 でもね、いったん目覚めたパイプはめげません(笑)。今度はクイズで手に入れたカメラがあるんです。原付のことなんて忘れたかのように、ポラロイドカメラの日々の始まりでした。で、まあ、それだけでした(笑)。 本人はともかく、見ているこっちには面白くもなんともない日々です。「逃避行って何が起こるんや?」 何も起こりません。にもかからず、妙に引き付けられて面白いんです。「えっ?このまま、何にも起きずに終わるの?」 終わりました。 パイプが30年働いてきた農場の今後は、必ずしも明るいわけではありません。このままだと破産の危機に、ズーッと不機嫌だった農場主のオヤジは、農場の将来を息子に託します。事件は映画の向こう側で起こっていたのです。間違いなく70年代末期の映画です。しかし、部屋の壁一面に写真を貼ることに熱中しているパイプの生活にこれといった事件が起きる兆しはかんじられません。 スゴイ映画だと思いました。 今、だから、この映画から50年経った今です、マッターホルンが見たいからといって、ひょいと仕事をさぼってペリコプターに乗ることができる老農夫が世界のどこに存在可能でしょうか?それが、たとえ、映画の中だったとしてもです。 70歳を過ぎて、世の中がどっちを向いているのか、ほとんど興味を失って、毎日のように映画館に通うという「逃避行」を続けている老人はつくづく感動するのでした。 毎日「小さな逃避行」で行方をくらますパイプ(ミシェル・ロバン)に拍手!でした。監督・脚本・編集 イヴ・イェルサン脚本 クロード・ミュレ音楽 レオン・フランコリーニ撮影 ロベール・アラズラキ録音 リュック・イェルサンキャストミシェル・ロバン(フランス語版) (ピプ)フレッド・ペルソンヌ(フランス語版) (ジョン・デュペレー、ピプのボス)ミスタ・プレシャック (ローズ、ジョンの妻)ドレ・デ・ローザ (ルイージ、イタリアの季節労働者)ロラン・サンドス (アラン、ジョンの息子)ファビエンヌ・バロー (ジョジアーヌ、ジョンの娘)イヴェット・テローラス(フランス語版) (ガソリンスタンドの店員)製作1979年・スイス・130分・フランス語2025・11・23・no170・元町映画館no328追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2025.12.01
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