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2022.04.08
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第61話「駆け引き」

豫章(ヨショウ)王・蕭綦(ショウキ)の入京を何とか阻止したい朝廷。
そこで粛毅(シュクキ)伯・宋懐恩(ソウカイオン)を説得に向かわせたが、あえなく失敗した。
朝廷は結局、自分たちが軟禁した皇帝・馬子澹(バシタン)を頼らざるを得なくなり、激しい雨の中で嘆願を続けるに至る。
「陛下…恐れながら大臣たちは2刻もひざまずいたままです」
侍女・凌春(リョウシュン)は見かねて皇帝に報告、すると子澹はようやく重い腰を上げて回廊へ出た。
「着替えてこい、半刻後に太極殿で話をしよう」

丞相・温宗慎(オンシュウシン)はもはや蕭綦率いる寧朔(ネイサク)軍の入京は防ぎようがないと上奏した。

子澹は自分たちが譲歩して入京を許すことにしたが、反逆罪についてはそのままにした。
「奴に分からせる、無実かどうかは調べの結果しだいだとな…」

その夜、宋懐恩の不安をよそに蕭玉岫(ショウギョクシュウ)は大王と王妃の帰京を心待ちにしていた。
「見て!明日、大王と王妃に会う時にこれを着るつもりなの!
 大王とあなたが肩を並べて朝廷に立つ、これで士族も見下せなくなるわ~」
「つまり…大王がいなければ寒門出身を守れないと?」
「もちろんよ~大王は寒門出身で初めての王だもの、寒門の首領だわ」
すると懐恩は今や豫章王の部下ではないと憤慨した。
″楝羽(レンウ)山の変″で豫章王が死んだと知り、いよいよ自分が取って代わろうと心を決めた途端、実は大王が生きて帰って来るという。
玉岫は夫の思わぬ言葉に困惑し、大王にとって懐恩はなくてはならない人だと訴えた。

翌朝、温宗慎は念のため皇帝に蕭綦の出迎えに行くのか確認した。

「誠に僭越ながら、陛下は王儇(オウケン)を忘れられず蕭綦を…」
「なら自分はどうなのだ?」
「陛下、私は太后を見舞いに行っただけです、他意はございません」
すると子澹は丞相の心が分かると言った。
「深い情があったからこそ未練が断ち切れぬ…出迎えの件はもう言うな、江夏王に行かせよ」


出迎えを任された王夙(オウシュク)は城門を飛び出し、愛しい妹と抱き合って再会を喜ぶ。
「哥哥(グァグァ)、静(セイ)児はどう?」
「心配ない、きちんと面倒を見ているよ」
すると王夙はこれから詔書を読むが、自分の責務のため容赦して欲しいと断った。
兄が詔書を開くのと同時にひざまずく王儇、しかし蕭綦は礼を尽くさず、王儇も立たせてしまう。
王夙は呆然としていたが、その時、蕭綦がいきなり詔書を取り上げ、自ら読み上げ始めた。
「…″楝羽山の変″は未解決であるが、蕭綦は3代の皇帝に仕え、戦場で功も立てた
 しばし反逆の罪を免じ、皇都の屋敷にとどまることを許す
 ただし真相が明らかになるまで地位は回復せず、朝廷への出入りも禁ず…」
蕭綦は詔書の内容に呆れた。
″楝羽山の変″から半年、これ以上、待てないからこそ自ら戻って来たという。
「″楝羽山の変″は解決していない、私自身で調べます…
 先帝を暗殺したのが誰なのか、私に罪を被せ、兵を害したのは誰なのか知りたい」

朝廷は蕭綦が赦免だけでは納得せず、真相解明を求めていると聞いた。
驚いた温宗慎たちは御花園で弓を射っている皇帝を訪ね、やはり出迎えに行くよう説得する。
「陛下、蕭綦1人の怒りではない、10万の兵の怒りなのです!
 怒りを鎮めなければその後はどうなるか目に見えています!」
一方、王夙は阿嫵に蕭綦の説得を頼んでいた。
しかし王儇はこの件をうやむやにはできないと訴え、兄が盾になってもいけないという。
蕭綦は皇帝の勅命の撤回を要求、するとそこへ子澹と大臣たちがやって来た。

王儇は皇帝に拝礼しようとしたが、蕭綦が腕をつかんで止めた。
憤慨した衛(エイ)侯は寧朔軍にひざまずくよう命じたが、子澹が構わないという。
すると温宗慎が皇帝は豫章王の復位に来たと言った。
「大軍を率いて皇都にやって来たのだ、お前の要求を聞いてやろう」
「要求はただひとつ、″楝羽山の変″の真相だ」
「その件ならすでに調べを始めている…顧閔汶(コビンムン)、お前が担当だな?まだ動きはないのか?」
顧閔汶は複雑な事件で思うように調べが進んでいないと報告、その場にひざまずいて許しを請うた。
そこで子澹は杖刑を命じたが、蕭綦が止める。
「例え陛下が尚書を殺しても真相は解明できず、何の意味もありません」
「…では余に杖刑を、豫章王の気が済むまで止めるな」
陛下!>・゚・。゚・(ノД`)人(´Д`)人(Д` )ノ・゚。 ・゚・<陛下!
大臣たちは一斉にひざまずき、皇帝を鎮めようとした。
皇帝と豫章王がしばし睨み合い、城門は緊張に包まれる。
その時、王夙が豫章王に調べさせてはどうかと上奏した。 ←ナイスアシストw
「…豫章王、お前の意見は?」
すると蕭綦はようやく皇帝に拝礼した。
「仰せの通りに…」

宋懐恩が屋敷へ戻ると、玉岫は矢継ぎ早に大王と王妃の様子を聞いた。
しかし皇帝が自ら出迎えたため、話すこともできなかったという。
玉岫はならば差し入れを持って屋敷を訪ねると言ったが、懐恩は止めた。
「玉岫、もう王妃の侍女ではない、そなたは粛毅伯の妻だ」
「…懐恩?今の身分がどうあれ恩人を忘れてはなりません」
すると懐恩は驚いた様子で、遠路はるばる来た大王と王妃を少し休ませるよう諌めた。
玉岫は自分の早合点だったと気づいて安堵し、日を改めて出かけると笑う。
一方、豫章王府に戻った王儇は徐(ジョ)女官、阿越(アエツ)と再会、無事を喜んだ。
そこで小皇子・馬静(バセイ)がどこにいるのか聞いたが、江夏王が信頼のおける人に預けたとしか知らないという。
2人はそれより蘇錦児(ソキンジ)のことが不可解だった。
王妃が連れ去られたあと、お供していたはずの錦児が1人で帰京、今では貴妃になったという。
王儇は賀蘭箴(ガランシン)から錦児の裏切りを聞いていたが、自分にも分からないと嘘をついた。
「錦児姐姐は大王と王妃が亡くなったと嘘をつき、皇帝もそれを信じていたそうです
 王妃、言わせてください、阿越は錦児姐姐を少し怪しんでいました…」
阿越が本音を漏らすと、徐女官も人は変わるものだと嘆いた。

寝殿に戻った蕭綦は寂しそうな姿の阿嫵を心配した。
「どうかしたか?」
「…時が経ち、人が変わった」
「それは誰のことだ?」
「多くの人よ」
「私もか?」
「変わったと思うの?」
蕭綦は皆に変わったと言われるが、自分自身では同じだと思うという。
「そなた以外の者にはどう思われても良い」
すると王儇は今日の蕭綦は確かに無礼だったが、正しいことをしたと評価した。
蕭綦も寧朔軍のために正義を主張した阿嫵に感謝し、豫章王よりずっと偉大だと笑う。
しかし王儇はこの先も危機が待っているようで不安だった。
「約束して、真相を明らかにし罪なき人は殺さないと…」
その時、急に雷鳴が轟いた。



翌日、王夙は豫章王府に阿嫵を訪ねた。
そこで馬静を江南の顧采薇(コサイビ)に預けたと嘘をつく。
もし自分のそばに置いて正体がばれたら士族が狙いかねないため、江南に残して来るのが安全だと考えたと説明した。
「身分は明かしていない、一夜限りの舞姫との間に生まれた子だと伝えた」
すると王儇は真実味がある嘘だとからかった。
王夙は自分を疑わない妹の姿に良心が痛み、うっかり口を滑らせそうになる。
「阿嫵…父亲大人が…」

つづく


( ̄▽ ̄;)ひげだん、怖かった~確かに変わってしまった気がする





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最終更新日  2022.04.08 21:52:46
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