今を生きる LIVE NOW:露草日記
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今の職場には、28歳で就職以来30年以上務めたけれど、本当にもう限界という気持ちが日増しに強くなり、不眠や倦怠感も続き、もう働き続けられないと気持ちが決まった。自分がわがままなのか、他者の意見を聞き入れられないのか、自信がなくなったけれど、でも酷いことが続くことを容認できずやっと気持ちが定まった。どこの医療機関も社会保障制度が切り崩される中で、経営を維持し存続することが困難になっていることは十分承知している。だからと言って、本来の意義を忘れて経営至上主義に走ることをどうしても受け入れることはできない。ある日の職場の会話。肺がんの末期で脳にも転移している方のご主人が、「先が長くないのでとにかく家で最期を迎えたい、でも自分たちはどのようにお世話をしてよいのか分からない。看護師さんや介護士さんにお願いして過ごしたい」と、一日二回の訪問看護と、訪問介護の依頼があった。所得の高い方なので、医療保険も介護保険も3割負担。上司はそのことを知りながら、どのようなケアをすればこの方が穏やかに過ごせるかを検討もせずに、かってに排せつ介助と健康状態の観察と決めつけた。病院で過ごせば、朝起床したら顔や手をふき歯磨きをし、排せつをしたり着替えたり、食事をしたり飲み物を飲んだり。そういうことすべてをケアとして臨んでいたのに、排せつしていないから何もすることはないと全身の様子を見ることをしない。かってに訪問時間は30分以内と決めてしまって、時間超過することを否定する。先週の日曜日、体温計が壊れてしまって熱がありそうなので様子を見に来てほしいといわれて臨時訪問したところ、目やにのために目が開かず、唇が渇き口の中は汚れ放題。少し時間をかけて口腔ケアをして白色ワセリンでクレンジングしながら顔をふき、手足をふき、姿勢を整える。少し気持ちやよくなったのか目を開けて会話を始めた。血色が改善して穏やかな表情を見たご主人が「さっきはもうだめかもしれないと思ったけれど、看護師さんが来てからはやっと元気に見えてえ来た。良かった」と。口を固く閉じた人の口腔ケアは本人の恐怖感を拭い去るまで、そっと優しく丁寧にケアを始めなくてはたとえお口であってもブラッシングも難しい。だからこそ、ケアに通じた看護ケアが大事なのだが、そのことを上司は分からない。翌日の朝の会議で報告したところ、口腔ケアは介護士さんがやっていると思った、って平気でのたまう。お口をきれいにすることは肺炎予防の基本中の基本なのに誰も口の中を観察していなかった。口腔ケアだけでなく、褥瘡予防についても拘縮予防についても、ケアに時間をかけることを気にかけない。ある神経難病の方の関節可動域訓練を、状態観察を含めて30分間以内にするように指示している。血圧や体温を測り、呼吸音を確認して、失禁の有無や失禁していた時のおむつ交換や寝衣交換をするだけで優に30分間はかかるので、さらに関節可動域訓練をすると少なくともあと15分間は必要になるのだけれど、他のメンバーは杓子定規に30分間以内に収めている。どうしても合点がいかない。どんな風にケアをしているか尋ねたら、ある関節を動かす回数は一回とか。それでは関節可動域の維持はできないはずなのに。ひょっとしたら私が間違っているのかもしれないが、でも、いろいろ考えてもどうしても納得できない。そのうえ、どんどんケアの手抜きが起こってしまっている。褥瘡ができ始めた方の皮膚の観察がまるでできていない。どんどん状態が悪化しているのに、元の処置のまま継続している。トップの考え方が間違っているのに誰も意見をしない。もうどうしようのない状態になった時に、「可哀想」って言ってもその状態を改善するには相当の時間とケアが必要になるのに。なんでこういうことが横行してしまっているのか、とても理解できない。ということで、退職と決めた。ただ人員の問題があるので、とりあえずメンバーの夏休み消化が終わるまで。人員が補充できるとわかったら、さっさと退職するつもり。上司に退職希望を話したその夜は、ぐっすり眠ることができた。でも、あと半年。どんどんひどくなる職場環境の中で、何とか自分を壊さず過ごすことも大変そうだけど、ここは乗り越えるしかない。
2019年03月13日
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