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新国立劇場 ヴェルディ「リゴレット」 2008年10月31日 渋谷 新国立劇場台本】フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ指揮】ダニエレ・カッレガーリ演出】アルベルト・ファッシーニ美術・衣装】アレッサンドロ・チャンマルーギ照明】磯野 睦リゴレット】ラード・アタネッリジルダ】アニック・マッシスマントヴァ公爵】シャルヴァ・ムケリアスパラフチーレ】長谷川顯マッダレーナ】森山京子モンテローネ伯爵】小林由樹ジョヴァンナ】山下牧子マルッロ】米谷毅彦ボルサ】加茂下稔チェプラーノ伯爵】大澤健チェプラーノ伯爵夫人】木下周子小姓】鈴木愛美牢番】三戸大久合唱】新国立劇場合唱団管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団 ラード・アタネッリのリゴレット、すばらしかったです! 久々に燃えました~ 荒削りで一本調子ではあるものの、 欠点を補って余りあるその豊かな歌声。 こんなに若々しくかっこいいリゴレットは普通ないよね(笑) マッシスとのコンビはまるで恋人同士~ はああ~また日本に来てね~ あと美術がすばらしかった~ 演出のアルベルト・ファッシーニさんはもう亡くなられたそうです。残念ですね。ヴィスコンティと仕事しただけあって、とても豪奢ですばらしいセットでした。幕が開くたびに眼を奪われました。 マシスはとても清楚で可憐で美しいジルダにぴったりでした。「あたしが、あたしが!」というタイプではなくとても好感が持てました。 マントヴァ公ですが、この役に必要なカーン!という高音を持っていてしかもマックスの音量をだすと、ビリビリビリビリとくる感じもあって、とても良かったです。ただし低めの音程になると歌じゃなくなっていたのでそこは残念でした。見た目にセクシーさやかっこ良さ、貴族のオーラがないのがちょっとでしたが。リゴレットの方がかっこいいなんてどーゆーことじゃと。第1幕マントヴァ公の城。饗宴を楽しむ臣下たち。左右に入り口があるが豪華な彫刻がついていてびっくり。奥は幕が貼られていてその向こうで貴族たちが踊りに興じている。マントヴァ公がやってくるとさっそくチェプラーノ夫人を口説きだす。リゴレットが派手な道化の衣裳、道化メイクであらわれる。こぶを背中にしょって、よたよたと歩くが、女を口説いている公爵の周りを飛び回って、チェプラーノをからかう。モンテローネが奥から現れ、彼らに呪いをかける。同じ父親の悲哀を感じたリゴレットは呪いをまともに感じてしまう。第2場リゴレットの家の外このセットがまたすごかった! 回り舞台でリゴレットの家が完全に再現されている。この場は塀の外。スパラフチーレが立っている。リゴレットが帰ってくる。スパラフチーレが声をかける。スパラフチーレはすばらしかったです! びっくり。アタネッリに負けない堂々とした歌唱。ここの掛け合いも音楽的です。ヴェルディ。家に入っていくリゴレット。舞台が回りだし、リゴレットの家の中庭が現れます。ジルダが父親を迎えます。リゴレットは家政婦に彼女を守ってくれるよう頼みます。しかし物音がしてリゴレットが外に見に行ったすきに、マントヴァ公が走りこんできます。お金を家政婦に投げ渡して物陰に隠れます。リゴレットは出かけ、マントヴァ公がジルダに近づきます。自分は貧しい学生、グァルティル・マルデだと名乗ります。ジルダは家に入りバルコニーの上から彼への想いを歌います。大喝采。舞台が回転し、今度は家の外のさっきと別の側が正面に向きます。人々が大量に仮面をつけて待っています。彼らははしごをかけています。リゴレットをだましてはしごを握らせ、自分たちはジルダを誘拐します。ジルダの叫びで、リゴレットは「まだ終わらないのか」と疑念を抱き目隠しを取ります。そこは自分の家だった。すべてを理解し怒り狂うリゴレット。第1幕了。第2幕マントヴァ公の執務室。これがまた豪華!巨大なルネサンス期の絵画が壁に斜めにかかっていて、ふくよかな裸の女が寝そべっている。これも下品じゃなく芸術的。マントヴァ公のデスク、椅子。趣味がいい。マントヴァ公が誘拐されたジルダを思って悲嘆にくれている。しかし自分の部下たちがジルダをかどわかしたと知ると一転脳天気に喜ぶ。マントヴァ公はお楽しみのために退場する。一人「憐れなリゴレット…」と呟く、ボルサ。そこに「ララ、ララ、…」と自虐的に歌いながらリゴレットが出てくる。最初は道化者を演じて秘密を聞き出そうとするが、皆が明かさないのでついにきれてかつらを投げ捨てる。すべてをさらけ出す。「私の娘なんだ!」一同に動揺が走る。「返してくれ私の宝を」”ペルドノ、ピエタ”泣きながら懇願するリゴレット。ここの歌唱がすばらしくてもう大喝采。ジルダが逃げてくる。マントヴァ公?のガウンをかけている。このガウンも豪華。「お父様!恥ずかしいことを。」人払いするリゴレット。椅子にかける。「もう2人だ、話しておくれ」いきさつを話すジルダ。復讐を誓うリゴレット。「たった一日ですべてが変わってしまった。こんなところにはもういたくない。」「お父様だめよ復讐なんて。」娘の言うことが耳に入らないリゴレット。第2幕了第3幕スパラフチーレの宿屋。このセットがまたすごい!手前に川。下手に通路、扉。スパラフチーレの家は川沿いに立つあばら家で2階建て。1階部分はついたてのような雨戸?みたいのがあってそれをあけるマッダレーナ。ジルダとリゴレットがマントをかぶってやってくる。なんと「**」でやってくるマントヴァ公。「お前の妹と酒だ!」なんて簡潔な欲望を表す言葉でしょう。すぐに女心の歌。ラ・ドンナ・エー・モビレ!良かったです。そのあとさんざマッダレーナを口説いた後グーグー怪しい家で寝てしまうんだからマントヴァ公は相当豪胆だ。そんな彼を見て幻滅を感じつつも愛を捨てきれないジルダ。父親は彼女を別のところに行かせようとする。ジルダを行かせて自分はスパラフチーレと取引する。嵐がやってくる。雷鳴が轟き、電光が光り、ススキの葉がざわざわすごい音を立てる。ジルダが戻ってきて恐ろしいたくらみを聴いてしまい、マントヴァ公を助けるために自分が犠牲になる決心をする。どんどんどん、戸を叩く。ジルダは刺されて倒れる。雨戸が閉められ、リゴレットがやってくる。死体袋を受け取ろうとする。スパラフチーレが袋を運び出す。リゴレットは川に投げるのは一人でやると断る。しかしそのとき!♪ラ・ドンナ・エ・モビレ…目覚めたマントヴァ公の明るい歌声が聴こえてくる。あれは?死体袋を開けるとそこにはジルダが。驚愕するリゴレット。「死なないでくれ!」ジルダは天国で母さんと待っていると歌って死ぬ。リゴレットは「呪いが!」と叫んで遺体の上に覆いかぶさり号泣する。ブラヴィ!またアタネッリが日本で歌ってくれるのを待っています!全幕了。
2008年10月31日
ウィーン国立歌劇場日本公演2008ベートーベン「フィデリオ」2008年10月29日(水)神奈川県民ホール指揮: 小澤征爾 演出: オットー・シェンク 美術: ギュンター・シュナイダー=シームセン 衣裳: レオ・ベイ 合唱指揮: トーマス・ラング フロレスタン: ロバート・ディーン=スミス レオノーレ: デボラ・ヴォイト ドン・フェルナンド: アレクサンドル・モイシュク ドン・ピツァロ: アルベルト・ドーメン ロッコ: ヴァルター・フィンク マルツェリーネ: イルディコ・ライモンディ ヤキーノ: ペーター・イェロシッツ 第1の囚人: ウォルフラム・デルントル 第2の囚人: ヒロユキ・イジチ ウィーン国立歌劇場管弦楽団ウィーン国立歌劇場合唱団ウィーン国立歌劇場舞台上オーケストラ合唱協力:藤原歌劇団合唱部きょう虎は解き放たれていた。ムーティが飼いならしていた虎はきょうは思う存分暴れまくっていた。フィデリオという演目はもともとまるでベートーベンのシンフォニー・ナンバーナインの続編のようなのだ。最後の場面への場面転換の間奏曲(レオノーレ序曲第3番)、ものすごかった!これだけでも生きてて良かった!と感じさせるまさにベートーベン。オケはきょうは容赦なく歌手に襲い掛かった。力量のない歌手はすべて声が聞こえてこない。きょうの歌手はデボラ・ヴォイトがやはり抜きん出ていて、あとはディーンとドーメンが良かった。他の歌手はちょっと難しかったかな。演出がオットー・シェンクのオーソドックススタイルなのではっきり言って退屈した。コンヴィチュニー演出が見たいと思った。もともとこのオペラは音楽的部分も特異だし、それ以外の分はいまいちなオペラなのだ。だから難しいのだが、小澤とウィーンのすばらしい演奏を体験できたので、何物にも変えがたい価値のある公演だったと言えるだろう。脇役まで完璧を望むのは贅沢かもしれない。第1幕刑務所の扉に続く中庭。マルツェリーネがアイロンをかけている。マルツェリーナの声はちと細い。ヤキーノがやってきて結婚をせっつく。ヤキーノはしつこいタイプの男で、新入りのフィデリオに夢中のマルツェリーネはこの男をうざく思っている。父の看守のロッコがやってくる。ロッコは話し声はすばらしいのだが、歌の部分が逆に弱い。高音部分は声が出ない。フィデリオに化けたレオノーレが帰ってくる。野菜を背負ったかごいっぱいに入れている。安く仕入れたことでロッコを喜ばせる。デボラ・ヴォイトが歌いだすと圧倒的に舞台が締まる。すばらしい声。METのイゾルデ、そしてジークリンデ。ワグネリアン・ロールのできる彼女はすごい声を持っている。ただし背が低くて太っているので男装がまったく似合わないんだよね~動きもさっそう、ではなくヨタヨタなのである。ロッコはフィデリオの働きにいたく感じ入り、娘と結婚させようとする。マルツェリーネはフィデリオに体を密着させようとしている。刑務所の中職員たちの行進。奥からまっすぐ前に進み出てくる。奥が深いな~と感心する。刑務所の中庭にあたる部分で、上部には歩哨が見回るための橋がかかっている。刑務所長のピツァロが登場する。陰惨な表情。長いコート。頭部はかつらでしょうね。アルベルト・ドーメンもワグネリアン・ロールのできる歌手。迫力があってかっこいい~ピツァロは密告の手紙を苦々しく読む。彼は収監している政敵フロレスタンをすぐにでも殺すことにする。ロッコに殺人を命令するが、ロッコは殺しはできないと拒否する。その様子を背後からじっと見ていたレオノーレ。怒りに打ち震えて歌う。すばらしい!!!ロッコは囚人たちに中庭を散歩させてやろうとする。囚人たちの合唱。これがすばらしかった!特に第1の囚人はすばらしかった。所長が聞きつけて怒ってやってくる。レオノーレとピツァロは舞台中央でにらみ合う。第2幕地下牢。日も射さぬ暗闇の世界。鎖につながれた男が倒れている。フロレスタン。ロバート・ディーン=スミス、歌唱はすばらしかった。彼はMETでのトリスタン、あの時はまだかっこよかったのに、今回はよれよれメイクしすぎだよ~どう見てもこれじゃあ、鬼太郎に出てくる妖怪だよ~歌唱は良かったです~考えてみれば、ロバート・ディーン=スミスとデボラ・ヴォイトはこないだのMETのトリスタンとイゾルデなんだよね~あれはあんなにかっこよかったのに今回は衣裳とメイクで2人とも損してるな~ロッコと墓穴を掘るレオノーレ。フロレスタンにパンを与える。ここのフロレスタンの歌唱もすばらしい~彼を殺そうと地下牢に所長が下りてくる。まさに刺そうとしたそのとき、レオノーレが立ちはだかる。ここからがまさにイゾルデ!声がびんびんに出て、デボラ・ヴォイトの真骨頂発揮。いや~ワーグナーが聞きたい、と思っちゃった。フィデリオって実はワーグナー楽劇の原型ぽい部分がありますよね~すばらしい~ドン・フェルナンドの到着で窮地に陥る所長は慌てて出て行く。場面転換。ここの音楽が筆舌に尽くしがたくすごかった!レオノーレ序曲第3番、まさに名演。これはもうオペラじゃない。聴いているだけでもうまさに生命の讃歌。人生の讃歌。まさにベートーベン!なのです。涙が出そうだった。こんなのは聴いたことがない。音量もマックスで大迫力。ウィーンの虎が暴れまくっている。これだよ!これがこのオケなんだよという感じ。幕が開くと刑務所の入り口。扉が開け放たれる。囚人の妻や恋人家族がなだれ込んでくる。そして自由の喜びを歌う。圧巻!現れたフロレスタン一行を見て驚くドン・フェルナンド。夫を救うために頭脳を駆使し、命をかけた妻のレオノーレを讃える。ここからが有名なフィナーレの部分に突入する。感動…ブラヴィ!蛇足だが神奈川県民ホールはすばらしいホールだったが、遠すぎる。帰り、かなり焦りましたよ。
2008年10月30日
ウィーン国立歌劇場「コシ・ファン・トゥッテ」Part2第2幕姉妹はバスタオル姿で湯上り。デスピーナが世話を焼いている。姉妹は風呂桶の後ろで着替える。デスピーナは歌う。姉妹はすっかり遊んでみる気になっている。広場。いよいよ勝負に出た男たち。なぜだか船から下りてくる。広場には人々、ギター弾きの男。しかしいざ面と向かうと話せない2組。ドン・アルフォンソが代わりに話す。とんちんかんな会話を始める2組のカップル。フェルランドとフィオルディリージは立って背景に立っている。グリエルモはドラベッラをついに口説き落とす。「あなたは茶化すんですね」「わたしが茶化すですって!」グリエルモはハート型の飾りを差し出す。「私の心です。」これで落ちてしまうドラベッラ。 第23曲 甘美な二重唱 『ハートをあなたに差し上げます』さてもう一組は。フィオルディリージの美しいアリア。これが絶品で白眉だった。これぞディーヴァ!ホルンとの甘美な対話。フェルランドにドラベッラが落ちたと打ち明けるグリエルモ。グリエルモは取り乱す。そんな彼のために歌うグリエルモ。 第26曲 アリア 『我がご婦人方、多くの男を弄ぶ』すばらしいダルカンジェロ! フィガロやレポレッロ風の速いテンポのアリア。グリエルモは「僕の方がいい男だからしょうがない」と慰めだかなんだかわからないことを言ってフェルランドに殴りかかられる。ここからがどんどん男たちが真剣になっていく。彼らの余裕は消し飛び、真剣勝負になっている。もしくは絶望に向かっている。次はグリエルモの番だ。一方ドラベッラは姉にすべてを告白する。ドラベッラのアリアフィオルディリージはどんどん混乱してきて、男たちの軍服をデスピーナに持ち出させる。着込んでいるところに(可愛い)フェルランドが最後の賭けにやってくる。そんな彼女をじ~っと見ているグリエルモ。表情は真剣だ。ついに落ちてしまうフィオルディリージ。グリエルモは悪態をつく。フェルランドはさっきのお返しをする。「僕の方がいい男だから…」第30曲 アンダンテ コジ・ファン・トゥッテデスピーナ、「お嬢様方結婚する気ですよ、満足ですか?」3人「満足だとも!」(コンテンティスィーミ!)この言葉をやけくそで叫ぶフェルランドとグリエルモ。なんとも滑稽で哀しい。結婚の準備。テーブルが運ばれる。女たちは浮かれているのに、男たちは浮かぬ顔。特にグリエルモはまだショックがさめやらず悪態をついている。公証人がやってきてあっという間にサインする。さあ仕上げだ!ドン・アルフォンソは婚約者たちが帰ってきたと言う。固まる女たち。「隠れて!」と言われ出て行く男たち。軍服に着替えたフェルランドとグリエルモが現れる。あまりの早変わりに客席から笑いが。男たちはデスピーナを引っ張り出し、結婚証明書を手に取る。女たちは2人で「あなたが言いなさいよ!」と説明責任を押し付けあっている。ついに観念した女たちは謝罪する。男たちは種明かしをする。ドン・アルフォンソはむしろ良かったのだと無理やりこじつける。6人並んで歌唱して終わり。大喝采!
2008年10月28日
ウィーン国立歌劇場 「コシ・ファン・トゥッテ」 2008年10月27日(月) 東京文化会館指揮: リッカルド・ムーティ 演出: ロベルト・デ・シモーネ 美術: マウロ・カロージ 衣裳: オデッテ・ニコレッティ 合唱指揮: トーマス・ラング フィオルディリージ:バルバラ・フリットリ ドラベッラ: アンゲリカ・キルヒシュラーガー グリエルモ: イルデブランド・ダルカンジェロ フェッランド: ミヒャエル・シャーデ デスピーナ: ラウラ・タトゥレスク ドン・アルフォンソ: ナターレ・デ・カローリス ウィーン国立歌劇場管弦楽団ウィーン国立歌劇場合唱団ウィーン国立歌劇場舞台上オーケストラ ムーティはやはり神だった。 モーツァルトの「コジ」はひょっとすると音楽的にはフィガロよりもドンジョバよりも上かもしれない。そう思わせたのはムーティの力ゆえか。 疾走し続ける音楽。始まりから終わりまで圧倒的な緊張感で音楽が編み出されていく。止むことのなき流れのよう。テンポがすごく速い。 こっちはついていくだけでもせいいっぱい。 フィガロやドンジョバはドラマ的部分も大傑作であるが故に傑作と思われているが、音楽的にこちらははるかにおもしろ~い! オケもすばらしかった。 人馬一体というが、オケと指揮者と歌手がもう一つの脳みそで動いているようだった。 アンサンブルがもう見事で、これでもかと続いていくので、名人芸というほかない。 歌手でダントツですばらしかったのはやはりフリットリ。彼女の歌い出しが弱かったのでお風邪でも召したかと気になったが、1幕中盤からどんどん良くなり、圧倒的になり、2幕のアリアではもう神が下りてきたかのような圧倒的なディーヴァ! すごい求心力。 2幕のアリアでのホルンとの対話するような歌唱が非常に印象に残った。 1幕のアリアは超絶技巧で難しそうだった。 それからダルカンジェロも特にすばらしかった。しゃべっているだけなのに圧倒的な声量。演技も声も今絶好調男。オーラが漂っていて、小柄なのにすごい存在感がある。 シャーデは彼より一回りも大きい。ウィーンの最近のコジはフランチェスコ・メーリを聞いていたのでまったく違うフェルランドを愉しんだ。 声が高くて高音が楽々と出る。声の陰影もあるし、強弱のつけ方も見事。繊細で美しい声、これぞモーツァルトのテノールという存在感はまだ失っていない。 キルヒシュラーガーも良かった。ドラベッラはフイオルディリージに比べて損な役だが、ダルカンジェロとの恋に落ちる場面の二重唱はほんとに魂持ってかれた。 デスピーナがとても良かった。ラウラ・タトゥレスクも他の大ベテランにまったく見劣りせず、若々しく堂々と歌いきった。えらい。 美術がすばらしい。セットは芸術品のよう。衣裳はとてもロマンチックで美しい。しかし見とれる暇がないのだ。音楽に酔いしれて。 第1幕 序曲終わりですぐに幕が開き、お話が始まる。フェルランドのミハエル・シャーデはダルカンジェロより背丈も体も大きい。 ダルカンジェロはスレンダーなので制服が似合う。 背景は回り舞台の壁の部分で、美しい絵が描かれている。 フェルランドはグリエルモに飲み物を渡す。 グリエルモはブーツを磨いてもらっている。 男同士の賭けをした3人。 回り舞台が回って背景がはけるとそこにはナポリの港湾の遠景の背景が。 狭い絵の中の世界から外にぱっと開ける。実に効果的。 女たちが粘土で婚約者のトルソーを作っているが、ぜんぜん似てないぞ(笑)。 フィオルディリージの歌い出しの声が細い。 キルヒシュラーガー(ドラベッラ)は豊かな音量。 彼女たちは婚約者の訪れを待っているが、現れたのはドン・アルフォンソ。 「お別れしなくてはいけません」 出征の命が下ったと嘘をつく。 大きな船が背景に現れる。人が載っている。 おもちゃの船みたいだがちゃんと動く。 2組のカップルが別れのあいさつ。抱き合って口付けし、靴下止めを渡す。 抱きついているグリエルモの腕を引き剥がし押しやるドン・アルフォンソ。 行ってしまった!すると大きな幕が下りてきてさっきの景色をシャットダウンする。 そこに書かれているのはさっきの港湾の180度反対側の景色。 やはり海が遠景で手前に牛を追う人。 これも写実的というより絵画調で美しい。 夕景の中、美しい三重唱が始まる。 第10曲 小三重唱 「風が穏やかにあり」 とろけそうな贅沢とはこのこと。 女たちが下手にはける。ドン・アルフォンソは一人で歌う。 デスピーナ。ココアを作っている。姉妹が黒いヴェールをかけてやってくる。 明らかに彼女たちは不幸をエンジョイしている。 おおげさな嘆きで楽しんでいる。 デスピーナはそんな姉妹を心の中では馬鹿にしている。 デスピーナが歌うと姉妹はビスケットを紅茶につけてかじりながら見ている。 ここがユーモラスだった。 第12曲 デスピーナのアリア 「男たちに、兵士たちに」 デスピーナを仲間に引き入れるドン・アルフォンソ。 アルバニア人に化けたフェルランドとグリエルモがやってくる。 この衣裳は大柄なシャーデの方が似合う。 男たちは女たちに迫る。 グリエルモは胸をはだけてドラベッラに接近し、フィオルディリージはショックを受けて妹を連れ去る。 フィオルディリージのアリア。音程が上下する高度な旋律。 女たちは出て行き、フェルランドは最も美しいアリアを歌う。 第17曲 アリア 僕たちの尊い愛の宝の息吹は ここ、シャーデは繰り返しをピアノで歌った。声の強弱や陰影が美しかった。高音も楽々出る。 男たちは砒素を飲んで自殺を図った振りをする。そしておおげさに倒れて女たちに看病させる。デスピーナが医者に化けて現れる。 彼女が変な器具を振ると、たちまち直ってしまう。 「毒の後遺症!」と医者に言わせて、男たちは好き勝手に女を誘惑する。第1幕了
2008年10月27日
Ein deutsches Requiem by Johannes Brahmswith the Munich Philharmonicconducted by Christian Thielemann.Christian Gerhaherブラームス:ドイツ・レクイエム[指揮]クリスティアン・ティーレマン[演奏]ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団クリスティーネ・シェーファー(ソプラノ)クリスティアン・ゲルハーヘル(バリトン)フリードマン・ウィンクルホーファー(オルガン)バイエルン放送合唱団[合唱指揮]ペーター・ダイクストラ[映像監督]アニェス・メト[収録]2007年4月27日・28日・29日ガスタイク・フィルハーモニー(ミュンヘン)クラシカジャパンで放送中。ゲルハーヘルすばらしい!シェーファーは神じゃね?Christian Gerhaher Official
2008年10月25日
METライブビューイングいよいよ今シーズンも始まる(…らしい)11月1日~7日 in Japan Salome (R Strauss)Recorded : Saturday, October 11, 2008at the MET Conductor: Patrick Summers; Production: Jürgen Flimm; Karita MattilaIldikó KomlósiJuha UusitaloKim BegleyJoseph Kaiser皮切りはシュトラウスのサロメ。ナラボートはジョゼフ・カイザー。う~んかなり見たい。それにサロメは大傑作だからにゃあ~MET HD 2008-2009松竹オフィシャル
2008年10月25日
The Royal Opera: Matilde Di ShabranRoyal Opera House, Covent GardenOpening night23 Oct 2008Dir: Mario MartoneThe Royal Opera, Sergio Tramonti (des)Carlo Rizzi (cond), Aleksandra Kurzak (Matilde Di Shabran)Juan Diego Florez (Corradino)Mark Beesley (Raimondo)Vesselina Kasarova (Edoardo)Marco Vinco (Aliprando)Alfonso Antoniozzi (Isidoro)Enkelejda Shkosa (Contessa D'Arco)Carlo Lepore (Ginardo)Robert Anthony Gardiner (Egoldo)Bryan Secombe (Rodrigo)初日が終わりました。噂によるとすごく休憩まで長いらしいとか。レビューによるとフローレスが出てくるまで30分かかるとか。これには主役の2人が傑出していたと書いてありますね。ReviewsEvening Standard - This is London co.uk.The Royal Opera: Matilde Di ShabranGuardianROH OfficialBBC Radio3 で放送されます。いや~待ち遠しいわあ~BBC Radio3 Opera on 322 November at 6.00pm(現地)Rossini: Matilde di Shabran from Royal Opera House
2008年10月25日
きょう、久しぶりにギャンビルさんのサイトに行ってみたんだよね。 前回見たときは何も書き込まれてなかったスケジュールがUpされてるではないか。 彼は今年の9月にウンター・デン・リンデンでトリスタンを3回も歌ったようなんだよね。 でもこれがクリフトン・フォービス降板での代役だったみたいなんだよね。 バレンボイムだったので出ることにしたんでしょうか。キャストは豪華です。 それで10月にはベルリンドイツオペラの北京公演があったんだけど、タンホイザー、キャンセルしたみたいなんだよね。 そんで11月22日にはハノーヴァー・シュターツオーパのヴァーグナー・ガラに出るんだよね。でもその紹介の書き方がいかにも添え物っぽいんだよね。 2009年2月にはスカラ座のトリスタンなんだよね。これはもう知っていたけど、セカンドキャストなんだよね。 そんで4月にはドレスデン(ゼンパーオーパ)でピーター・グライムズなんだよね。これ見たいなあ…無理なんですけど。
2008年10月24日
チューリヒ歌劇場 ヘンデル:オラトリオ「セメレ」セメレ : チェチーリア・バルトリ ジュピター : チャールズ・ワークマン ジュノー : ビルギット・レンメルト アイノ : リリアーナ・ニキテアヌ カドモス / ソムヌス : アントン・シャリンガー アタマス : トマス・マイケル・アレン アイリス : イザベル・レイ 合 唱 : チューリヒ歌劇場合唱団 管弦楽 : チューリヒ歌劇場・シンティルラ管弦楽団 指 揮 : ウィリアム・クリスティ 美 術 : パトリック・キンマンス 演 出 : ロバート・カーセン 収録: 2007年1月28日, 2月2/4日 チューリヒ歌劇場 (スイス) ] 放送:2008年 10月11日 NHKBSハイビジョンアイリスさいこ~ぶっとんじゃった。さすが。うますぎる。カーセンだな~
2008年10月18日
キター!フランチェスコ・メーリ!!どばっ(鼻血)本日Bunkamura公式サイトにようやく出ましたよ~彼は最近事務所変わったみたいで以前検索で出てきてた事務所のサイトからはもう削除されています。彼は現在28歳ぐらいと推測される。The young Francesco Meli, born in Genoa in 1980Francesco MeliRelated LinksFrancesco Meli [Paolo Erisso Maometto II ROF 2008] ペーザロ・ロッシーニ・フェス キャストドニゼッティ「マリア・ストゥアルダ」のメーリ+++メフメト2世の音源を聴きながら、あらすじを読みながら、イタリア語を追いながら、それをインターネット翻訳で英語にして頭の中でまともに変換しながらという作業で聴いた。カルボのダニエラ・バルチェッローナがすばらしくてブラヴァブラヴァだった。残念ながら日本公演には来ませんが。アンナもなかなかだった。メーリの声は輝かしすぎて他を睥睨させる力がある。これがテノールというものだ。ザルツのジョヴンニでも一人だけ浮いてた~いや~ドン・オッターヴィオすばらしかったです。このエリッソ、老け役なんですね(アンナの父ちゃんだから)でも主役。どんなんだろう。彼は役へののめりこみ方がすごい!そこもすばらし~音だけ聴いていてもわかるもん。
2008年10月17日
小澤征爾『カラヤン・メモリアル・コンサート』[演目] ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調『悲愴』他[指揮]小澤征爾[ヴァイオリン]アンネ=ゾフィー・ムター[演奏]ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団[収録]2008年1月28日ムジークフェラインザール大ホール(ウィーン)放送:2008年10月12日 クラシカジャパンで放送。ムター すばらしいです。
2008年10月12日
MET: "Macbeth"Composer: Giuseppe VerdiLibrettists: Francesco Maria Piave and Andrea MaffeiProduction: Adrian NobleConductor: James LevinePerformers: Zeljko Lucic (Macbeth), Maria Guleghina (Lady Macbeth), Dimitri Pittas (Macduff) John Relyea (Banquo)MET 「マクベス」 ( ヴェルディ ) マクベス (ダンカン王に仕える将軍) : ジェリコ・ルチッチ マクベス夫人 : マリア・グレギーナ バンクォー (ダンカン王に仕える将軍) : ジョン・リライア マクダフ (スコットランドの将軍) : ディミトリ・ピタス マルコム : ラッセル・トマス マクベス夫人の侍女 : エリザベス・ブランク・ビッグズ 医者 : ジェームズ・コートニー バレエ : メトロポリタン歌劇場バレエ 合 唱 : メトロポリタン歌劇場合唱団 管弦楽 : メトロポリタン歌劇場管弦楽団 指 揮 : ジェームズ・レヴァイン 美術 : マーク・トンプソン 演出 : エードリアン・ノーブル 収録: 2008年 1月, メトロポリタン歌劇場放送:2008年 10月8日 NHKハイビジョンチャンネルよかったです~ジェリコ・ルチッチはすばらしいヴェルディ・バリトン。彼の歌唱はすばらしい。声も良い。実に美しい。配役がアタネッリから変更になった。この理由は何だったのか。いまだにわからないがアタネッリがこの役をやったらまったく違うマクベスだったろう。彼は圧倒的な声量と迫力で歌うだろう。しかし繊細さではルチッチの方がはるかにまさるだろう。マリア・グレギーナのレディ・マクベスはとにかくすごい!演技もすごいし。最高のレディ・マクベス。ジョン・レライアのバンクォーがとにかくかっこいい!映画スターみたい。血まみれで舞踏会に現れて歩き回るところがすごく衝撃的である。バンクォーの息子役の子供が可愛い~マクダフのディミトリ・ピタスは妻と息子が殺されたという手紙を読んで、すーと涙を流した。まじですか!すごい演技だ!これ演出は20世紀に読み替えている。バーナムの森は木の枝も出てくるけど進軍する連合軍?の緑の大きな旗として表現される。この演出家はRSCもやっているということだがとにかく見事だった。RSCの不思議な舞台を思い出した。小物をけっこう効かすんですよね。大きな水晶玉に中空に浮かぶ精霊たち。どっか東欧の独裁者の終焉とかをイメージしてるかなーという演出でした。背筋の寒くなる舞台で暗澹とするが…しかしリリアーナ・カヴァーニ演出のヌッチのマクベスはもっと残酷できもかった。Related Links“Met at the Movies” - Macbeth--- Macbeth was sung by a Serbian baritone Zeljko Lucic, not Lado Ataneli who was, as I understand, originally scheduled for the performance. Lady Macbeth was a Russian soprano --- Opera Today13 Nov 2007Macbeth at the Met--- excerpt-Lucic; has a voice of true Verdian warmth and heft, though a few sustained notes troubled him. The beauty of his singing underscored the tragedy here: Macbeth is not intrinsically evil; he’s an ambitious man who knows he is doing wrong but cannot stop himself. Lucic should prove an elegant interpreter of many another of Verdi’s introspective baritones.John Relyea, a bit young and sexy for a role that sounds and usually looks patriarchal, sang an impressive Banquo. (He makes a sexy ghost, too.) Dimitri Pittas, a New Yorker who’s been coming up through the Met ranks, sang Macduff with a brash but interesting sound, a clarion Verdi tenor with a youthful ping. Macduff, with his one aria and one-fourth of a finale, is a popular spot for a not-yet-star-Verdi tenor to make a first impression, and Pittas made it. 非常に的を得ている(極めてノーマルな)レビューです。そのとおり!って感じです。
2008年10月11日
Sofia National Opera Japan tour 2008Verdi: UN BALLO IN MASCHERAWednesday, October 8 at Tokyo Bunka Kaikan CASTRiccardo: Kamen Chanev (8th) / Emil Ivanov (11th)Amelia: Mariana Tsvetkova (8th) / Shinobu Sato (11th)ソフィア国立歌劇場 日本公演2008「仮面舞踏会」音楽:ジュゼッペ・ヴェルディ台本:アントニオ・ソンマ指揮:クーン・ケッセル 演出:プラーメン・カルターロフ 美術:イヴォ・クネゾヴィチ 衣装:エレーナ・イヴァノヴァ振付:ペタル・ルカノフ 照明:アンドレイ・ハジニャクリッカルド:カメン・チャネフレナート:キリル・マノロフアメーリア:マリアナ・ツヴェトコヴァウルリカ:エレーナ・チャブダロヴァ=イサオスカル:テオドラ・チュクルスカシルヴァーノ:ストイル・ゲルギエフサムエル:アンゲル・フリストフトム:ディミター・スタンチェフ判事:ミロスラフ・アンドレエフアメーリアの召使:スラヴィ・マノフソフィア国立歌劇場管弦楽団ソフィア国立歌劇場合唱団きょう、ソフィアの仮面舞踏会を見た。うん。それなりだった。主役のリッカルドは良かった。私は遠めだったのでアンナ・ネトレプコとピョートル・ベチャーラを聴いている気で聴いてた。レナートは超巨漢。一流ではない。でもEri tuや男の三重唱など第3幕はがんばっていたので許す。レナートはやっぱどす黒いハンサムじゃなくちゃあねえ~ヴェルディとワーグナーは、いつ、何を、何回聴いても良い!悲劇的展開の中で超速いテンポで展開するオスカルの歌と重唱、あのへんが好きだ~オケは最悪。演出良くない。セットも寒い。でもヴェルディの歌があればいいのだ~可愛いバレエダンサーの男の子に目が釘付けでした~
2008年10月08日
今週はメトの特集ウィークだったんですね。きのう気づけよ!って感じですが。きょうはロミジュリです。いや~楽しみですね!特にルチッチのマクベスは見逃したので楽しみ~***ドマシェンコまたドタキャンです。ローザンヌ歌劇場。これってやっぱセカンドキャストにしてたのはこれを危惧したためか?
2008年10月07日
たった今ですが、メトのセビリアの理髪師をNHKハイビジョンで再放送しています。ジョイスディドナート、ペーター・マッティ、ファン・ディエゴ・フローレスという豪華版です。何度見てもすごいわ~
2008年10月06日
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